特許第6496467号(P6496467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496467
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】哺乳瓶消毒器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20190325BHJP
   A61J 9/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A61L2/07
   A61J9/00 V
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-193755(P2014-193755)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-63915(P2016-63915A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】舟 倉 健 二
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−109057(JP,A)
【文献】 特開平02−092359(JP,A)
【文献】 実開平04−042835(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3112647(JP,U)
【文献】 特開2000−041855(JP,A)
【文献】 特表2006−526490(JP,A)
【文献】 実開昭47−037064(JP,U)
【文献】 特開昭56−040152(JP,A)
【文献】 実開平02−055825(JP,U)
【文献】 実開昭56−014336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/06
A61L 2/26
A61J 9/00
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳瓶を蒸気によって加熱消毒するための哺乳瓶消毒器であって、
前記哺乳瓶を収容するための処理容器と、
前記処理容器の内部に前記蒸気を供給するための蒸気供給手段と、
前記蒸気供給手段が組み込まれた消毒器基部と、を備え、
前記処理容器は、前記消毒器基部に着脱自在に装着されており、
前記処理容器の底部に、前記蒸気供給手段からの前記蒸気を前記処理容器の内部に導入するための導入開口が形成されており
前記処理容器は、前記消毒器基部の上部に載置されており、
前記処理容器の側面部が、互いに離間して配置された内部壁と外部壁とを含む二重壁構造を有しており、
前記処理容器は、前記内部壁を含む内側部材と前記外部壁を含む外側部材とを分離可能に結合して構成されており、
前記内側部材の底部は、前記処理容器の底部を形成しており、
前記外側部材は、その内部に装着された前記内側部材の前記底部が挿通されて突出する底面開口を有し、
前記内側部材の前記底部に、前記導入開口が形成されており、
前記内側部材の上端周縁部には、外側に向けて張り出した上側フランジ部が形成されており、前記上側フランジ部が、前記外側部材の上端周縁部に係合しており、
前記外側部材の下端周縁部には、内側に向けて張り出した下側フランジ部が形成されており、前記下側フランジ部の先端が、前記内側部材の外周面下部に形成された係合溝に係合している、哺乳瓶消毒器。
【請求項2】
前記内側部材の前記底部の周縁部を支持する環状段部が前記消毒器基部の前記上部に形成されている、請求項記載の哺乳瓶消毒器。
【請求項3】
前記消毒器基部に対する前記処理容器の着脱状態を検出し、前記処理容器が前記消毒器基部から取り外された状態においては電源をオフにするための安全機構をさらに備えた、請求項1または2に記載の哺乳瓶消毒器。
【請求項4】
前記処理容器の内部に加熱空気を供給するための加熱空気供給手段をさらに備え、
前記加熱空気供給手段は、空気を加熱して吹き出すための熱風生成手段と、前記熱風生成手段から吹き出された熱風を偏向させて分散するための熱風分散手段と、を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の哺乳瓶消毒器。
【請求項5】
前記処理容器の内部に着脱自在に配置される有孔棚部材をさらに有し、
前記処理容器は、その上面を開放可能に封止するための蓋部材を有し、
前記有孔棚部材は、前記処理容器の前記側面部の上端と前記処理容器の前記蓋部材の周縁部との間に位置するフランジ部を有し、
前記フランジ部の少なくとも一部が、前記蓋部材の前記周縁部よりも外側に張り出して把持部を形成している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の哺乳瓶消毒器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳瓶を収容した処理容器内に蒸気を供給して哺乳瓶を加熱消毒するための哺乳瓶消毒器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、哺乳瓶の消毒方法として、熱湯による煮沸消毒が知られている。この煮沸消毒は、調理用の深底の鍋などを用いて、沸騰したお湯の中に哺乳瓶をある程度の時間にわたって浸漬して、熱により哺乳瓶を消毒するものである。
【0003】
しかしながら、この煮沸消毒方式においては、消毒後の哺乳瓶を取り出すために、熱湯が入った鍋などを流し台まで運んで、熱湯の中に水を加えながら流し台に捨てるなどの作業が必要であり、非常に手間のかかるものであった。
【0004】
そこで、従来の煮沸消毒方式に代わるものとして、蒸気を利用した蒸気消毒方式の消毒器が提案されている(例えば特許文献1)。この蒸気消毒器においては、処理対象の哺乳瓶を所定の処理容器の中に収容し、処理容器の内部に蒸気を供給することで、蒸気の熱によって哺乳瓶を消毒するものである。
【0005】
このような蒸気消毒方式によれば、煮沸消毒方式のような、消毒終了後の熱湯の処理といった面倒な作業がなく、消毒作業を従来に比して容易なものとすることができる。
【0006】
さらに、蒸気消毒方式においては、消毒後の哺乳瓶を次回の使用まで処理容器の内部に収容しておくこともできるので、煮沸消毒方式に比べて衛生上も有利となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−534114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、蒸気消毒方式を採用した従来の技術においては、処理容器が蒸気消毒器の一部として一体的に形成されており、処理容器の部分だけを取り外して持ち運ぶことができなかった。そのため、消毒後の哺乳瓶を、処理容器の内部に収容した状態で所望の場所まで移動させるためには、蒸気消毒器全体を持ち運ぶ必要があった。
【0009】
一般に蒸気消毒器は、蒸気を生成するためのヒーターやその電源などが搭載されているため、その重量が比較的大きなものとなり、電源ケーブルが付設されていることもあって、持ち運びには不便である。特に、複数の哺乳瓶を同時に収容できる比較的大型の蒸気消毒器は、その重量が大きいため、持ち運びには適していない。
【0010】
本発明は、上述した従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、消毒後の哺乳瓶を、処理容器の内部に収容したままの状態で、所望の場所まで簡単に持ち運ぶことができる蒸気消毒器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、哺乳瓶を蒸気によって加熱消毒するための哺乳瓶消毒器であって、前記哺乳瓶を収容するための処理容器と、前記処理容器の内部に前記蒸気を供給するための蒸気供給手段と、前記蒸気供給手段が組み込まれた消毒器基部と、を備え、前記処理容器は、前記消毒器基部に着脱自在に装着されており、前記処理容器の底部に、前記蒸気供給手段からの前記蒸気を前記処理容器の内部に導入するための導入開口が形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記処理容器は、前記消毒器基部の上部に載置されている、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記処理容器の側面部が、互いに離間して配置された内部壁と外部壁とを含む二重壁構造を有している、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記処理容器は、前記内部壁を含む内側部材と前記外部壁を含む外側部材とを分離可能に結合して構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記外側部材は、その内部に装着された前記内側部材の底部が挿通されて突出する底面開口を有し、前記内側部材の前記底部に、前記導入開口が形成されている、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記内側部材の前記底部の周縁部を支持する環状段部が前記消毒器基部の前記上部に形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様において、前記消毒器基部に対する前記処理容器の着脱状態を検出し、前記処理容器が前記消毒器基部から取り外された状態においては電源をオフにするための安全機構をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の態様は、第1乃至第7のいずれかの態様において、前記処理容器の内部に加熱空気を供給するための加熱空気供給手段をさらに備え、前記加熱空気供給手段は、空気を加熱して吹き出すための熱風生成手段と、前記熱風生成手段から吹き出された熱風を偏向させて分散するための熱風分散手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の態様は、第1乃至第8のいずれかの態様において、前記処理容器の内部に着脱自在に配置される有孔棚部材をさらに有し、前記処理容器は、その上面を開放可能に封止するための蓋部材を有し、前記有孔棚部材は、前記処理容器の前記側面部の上端と前記処理容器の前記蓋部材の周縁部との間に位置するフランジ部を有し、前記フランジ部の少なくとも一部が、前記蓋部材の前記周縁部よりも外側に張り出して把持部を形成している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、消毒後の哺乳瓶を、処理容器の内部に収容したままの状態で、所望の場所まで簡単に持ち運ぶことができる蒸気消毒器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による哺乳瓶消毒器の正面図。
図2図1に示した哺乳瓶消毒器の側面図。
図3図1に示した哺乳瓶消毒器を分解して示した側面図。
図4図1に示した哺乳瓶衝動器の蓋部材を示した上面図。
図5図1に示した哺乳瓶消毒器の有孔棚部材を示した上面図。
図6図1に示した哺乳瓶消毒器の消毒器基部を示した上面図。
図7図6に示した消毒器基部のVII-VII線に沿った縦断面図。
図8図1に示した哺乳瓶消毒器の加熱空気供給手段を示した上面図。
図9図1に示した哺乳瓶消毒器の加熱空気供給手段を示した側面図。
図10図1に示した哺乳瓶消毒器の処理容器の縦断面図。
図11図10のXI部を拡大して示した部分拡大図。
図12図10に示した哺乳瓶消毒器の処理容器の内側部材を示した斜視図。
図13図10に示した哺乳瓶消毒器の処理容器の外側部材を示した斜視図。
図14図10に示した哺乳瓶消毒器の処理容器の内側部材を示した図であり、(a)は上面図、(b)は縦断面図。
図15図10に示した哺乳瓶消毒器の処理容器の外側部材を示した図であり、(a)は上面図、(b)は縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態による哺乳瓶消毒器1について、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態による哺乳瓶消毒器1は、蒸気を用いて哺乳瓶を加熱消毒するものであり、図1乃至図3に示したように、消毒器基部2と、この消毒器基部2の上部に着脱自在に載置された処理容器3と、を備える。消毒器基部2の前面には、哺乳瓶消毒器1の操作スイッチ等を含む制御パネル4が設けられている。
【0024】
図3に示したように、処理容器3は、筒状の側面部5と、側面部5の上面開口を開放可能に封止する蓋部材6と、側面部5の下面開口を封止する底部7と、を有する。図1および図4に示したように、処理容器3の蓋部材6には、処理容器3の内部の気体を外部に放出するための放出口8が形成されている。また、蓋部材6の中央部に形成された凹部9の中に、蓋部材6の取っ手10が設けられている。
【0025】
図3に示したように、処理容器3の内部には、哺乳瓶の乳首部分などの小物部品を載置できる有孔棚部材11が着脱自在に配置されている。図3および図5に示したように、有孔棚部材11は、全体として皿状に形成されており、多数の貫通孔11aが形成された有孔底板12と、有孔底板12の周縁部から上方に立ち上がる環状側壁13と、環状側壁13の上端周縁から側方に延在するフランジ部14と、を有する。フランジ部14にも貫通孔11aが形成されている。
【0026】
有孔棚部材11のフランジ部14は、処理容器3の側面部5の上端と処理容器3の蓋部材6の周縁部との間に位置している。フランジ部14の対向する辺の一部が、蓋部材6の周縁部よりも外側に張り出して把持部15を形成している。ユーザーは、有孔棚部材11の把持部15を掴んで、有孔棚部材11を、その上に載置された蓋部材6と一緒に持ち上げることができる。
【0027】
図2および図3に示したように、消毒器基部2の左右側壁の上端部には、各凹部2aが形成されている。ユーザーは、左右の凹部2aに指先を差し入れて処理容器3の底部を支持することにより、処理容器3を消毒器基部2から容易に持ち上げることができる。
【0028】
図6および図7に示したように、本実施形態による哺乳瓶消毒器1の消毒機器部2の内部の略中央部には、蒸気を生成するための水を入れる金属製の蒸発皿16と、この蒸発皿16を加熱するための加熱器17とが設けられている。蒸発皿16および加熱器17は、処理容器3の内部に蒸気を供給するための蒸気供給手段を構成する。
【0029】
図6および図7に示したように、消毒器基部2の内部の後方部分には、空気を加熱して吹き出すための熱風生成器18が設けられており、熱風生成器18の吹き出し口から略水平方向に向けて蒸発皿16の上方に熱風が吹き出される。蒸発皿16の上方には、図8および図9に示したように、熱風生成器18から吹き出された熱風を偏向させて分散するための熱風分散部材19が設けられている。
【0030】
熱風分散部材19は、多数の貫通孔20aが形成された有孔基板20と、この有孔基板20の上面に立設された複数の偏向板21とを有している。熱風生成器18から吹き出された熱風は、複数の偏向板21に衝突して分散される。これにより、処理容器3の内部への加熱空気の供給を均一化することができる。
【0031】
熱風生成器18および熱風分散部材19は、処理容器3の内部に加熱空気を供給するための加熱空気供給手段を構成する。
【0032】
図6および図7に示したように、消毒器基部2の上部には、処理容器3が載置される載置面22a、22bが階段状に形成された環状段部22が設けられている。階段状に形成された環状段部22の載置面22a、22bのうち、低い位置にある内側載置面22aには、出没自在に設けられたピンの状スイッチ部材23が設けられている。このスイッチ部材23は、消毒器基部2の上部に処理容器3が載置されると、処理容器3の底部によって押し込まれるように構成されている。
【0033】
スイッチ部材23は、消毒器基部2の内部に設けられた電源(図示せず)と電気的に接続されており、消毒器基部2に対する処理容器3の着脱状態を検出し、処理容器3が消毒器基部2から取り外された状態においては、哺乳瓶消毒器1の電源をオフにするための安全機構を構成している。
【0034】
図10に示したように、本実施形態による哺乳瓶消毒器1の処理容器2は、略筒状の外側部材24と、この外側部材24の内側に配置された有底筒状の内側部材25と、を有する。図12は、処理容器3の内側部材25を分離状態で示しており、図13は、処理容器3の外側部材24を分離状態で示している。
【0035】
処理容器3の側面部5は、内側部材24で構成された内部壁と外側部材24で構成された外部壁とで構成されており、外部壁と内部壁とを互いに離間して配置した二重壁構造を有している。
【0036】
処理容器3の内側部材25の上端周縁部には、外側に向けて張り出したフランジ部26が形成されており、この内側部材25のフランジ部26が、外側部材25の上端周縁部に外側に向けて形成されたテーパー部27の内面に係合している。
【0037】
図11に拡大して示したように、処理容器3の外側部材24の下端周縁部には、内側に向けて張り出したフランジ部28が形成されており、このフランジ部28の先端が、内側部材25の外周面下部に形成された係合溝29に係合している。これにより、処理容器3の外側部材24と内側部材25とが、分離可能に結合されている。
【0038】
図14に示したように、処理容器3の内側部材25は、フランジ部26をその上端周縁部に有する略方形筒状の側壁部30と、複数の貫通孔(導入開口)31を有する底部32とを備える。複数の貫通孔31を介して、上述した蒸気供給手段からの蒸気や、加熱空気供給手段からの加熱空気が、処理容器3の内部に導入される。
【0039】
処理容器3の内側部材25の底部上面には、消毒対象の哺乳瓶の口部を嵌め込んで支持するための複数の短筒部材33が立設されている。短筒部材33の底面開口は、内側部材25の底部32に形成された貫通孔31に連通している。短筒部材33の近傍には複数のピン状部材34が立設されている。複数のピン状部材34は、隣接する短筒部材33から様々な距離をおいて配置されており、短筒部材33に嵌め込まれる哺乳瓶の口部を内側または外側から支持する。
【0040】
図15に示したように、処理容器3の外側部材24は、テーパー部27をその上端周縁部に有する略方形筒状の部材である。外側部材24は、その内部に装着された内側部材25の底部32が挿通されて突出する底面開口35を有している。図10に示したように、外側部材24と内側部材25とを解放可能に結合した状態においては、内側部材25の底部32が外側部材24の底面開口35から突出している。内側部材25の突出底部32は、処理容器3の底部7(図3)を構成する。
【0041】
図6および図7を参照して既に述べたように、消毒器基部2の上部には、処理容器3が載置される環状段部22が形成されており、処理容器3の内側部材25の突出底部32が、消毒器基部2の環状段部22に嵌合される。これにより、内側部材25の突出底部32の周縁部が、消毒器基部2の環状段部22の内側載置面22aによって支持される。このように処理容器3の底部7(図3)を構成する内側部材25の突出底部32と消毒器基部2の上部を構成する環状段部22とが嵌合されることにより、処理容器3を消毒器基部2上に載置する際の位置合わせが自動的に達成されると共に、消毒器基部2上に載置された処理容器3が不用意に動くことを防止できる。
【0042】
上記構成を備えた本実施形態による哺乳瓶消毒器1を用いて哺乳瓶を消毒する際には、消毒器基部2内部の蒸発皿16に水を入れた状態で、処理容器3を消毒器基部2上に載置する。処理容器3の内部において、消毒対象の複数の哺乳瓶の各口部を各短筒部材33に嵌め込み、ピン状部材34も適宜利用して、各哺乳瓶を直立状態に保持する。有孔棚部材11に、哺乳瓶の乳首部分など、消毒対象の小物部品を載置し、その上から蓋部材6を被せる。
【0043】
この状態で、制御パネル4のスタートスイッチを操作して、加熱器17に電圧を印加し、加熱器17によって金属製の蒸発皿16を加熱する。なお、消毒器基部2に処理容器3が載置されているので、図6に示したスイッチ部材23が処理容器3の底部7によって押し込まれている。そのため、哺乳瓶消毒器1の電源をオフにする安全機構は作動しておらず、制御パネル4のスタートスイッチの操作によって、上記の通り加熱器17に電圧が印加される。
【0044】
加熱器17に電圧が印加されて蒸発皿16が加熱されることにより、蒸発皿16上の水が加熱されて蒸気が生成される。生成された蒸気は、熱風分散部材19の有孔基板20に形成された多数の貫通孔20aを通って上昇する。上昇する蒸気は、処理容器3の内側部材25の底部32に形成された複数の貫通孔(導入開口)31を通って、処理容器3の内側部材25の内部に流入する。
【0045】
このとき、上昇する蒸気の一部は、哺乳瓶の口部が嵌め込まれた短筒部材33の中を通って、哺乳瓶の内部に流入する。これにより、哺乳瓶の内面に付着した汚れや細菌は、哺乳瓶の内部に流入した高温の蒸気によって除去され、殺菌される。
【0046】
また、処理容器3の内部に導入された蒸気は、処理容器3の内部上部まで上昇し、有孔棚部材11の各貫通孔11aを通ってその上方に流入する。有孔棚部材11に載置された哺乳瓶の乳首部分などの小物部品は、下方から流入した蒸気によって殺菌される。
【0047】
なお、蓋部材6には放出口8が形成されているので、処理容器3の内部に蒸気を導入しても、処理容器3内の空気や蒸気が放出口8を介して外部に放出され、処理容器3の内部が過圧状態になることはない。
【0048】
上述した蒸気洗浄・蒸気殺菌処理を所定時間にわたって行なった後、タイマー機能などを利用して加熱器17をオフにすると共に、熱風生成器18をオンにする。熱風生成器18から吹き出された熱風は、熱風分散部材19によって分散された後、処理容器3の内側部材25の底部32に形成された多数の貫通孔(導入開口)31を通って、処理容器3の内側部材25の内部に流入する。
【0049】
このようにして加熱空気を処理容器3の内側部材25の内部に導入することにより、処理容器3の内部の温度が上昇し、哺乳瓶の表面や小物部品の表面に付着していた水分が加熱され、蒸発する。
【0050】
この乾燥処理を所定時間にわたって行なった後、タイマー機能などを利用して熱風生成器18をオフにする。これにより、哺乳瓶や小物部品の消毒処理が終了する。
【0051】
ユーザーは、消毒処理された哺乳瓶等を所望の場所に運ぶ際には、消毒器基部2の左右側壁の上端部に形成された凹部2aに指先を差し入れて、処理容器3の底部7を支持しながら、消毒器基部2から処理容器3を持ち上げて、消毒器基部2から分離して処理容器3を所望の場所まで搬送することができる。
【0052】
なお、消毒器基部2から分離した処理容器3を載置するための専用の載置台を別途準備しておいても良い。
【0053】
上述したように本実施形態による哺乳瓶消毒器1によれば、消毒後の哺乳瓶を処理容器3の内部に収容したままの状態で、処理容器3を消毒器基部2から分離して所望の場所まで簡単に持ち運ぶことができる。消毒済みの哺乳瓶を、所望の場所にて、次回の使用時まで処理容器3の内部で保管することができるのでとても便利である。
【0054】
また、本実施形態による哺乳瓶消毒器1においては、処理容器3の側面部5が二重壁構造を有しているので、消毒処理の終了直後においても、処理容器3の側面部5の外面温度は十分に低く抑えられている。そのため、ユーザーは、処理容器3の温度が下がるのを待つことなく、消毒処理の終了直後であっても、処理容器3の側面部5を両手で掴んで支障なく持ち運ぶことができる。
【0055】
また、本実施形態による哺乳瓶消毒器1の処理容器3は、互いに分離可能な内側部材25と外側部材24によって構成されているので、処理容器3を洗浄する際には、内側部材25と外側部材24を分離して洗浄することができる。これにより、汚れを残さずに処理容器3を清掃することができ、カビの発生などを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 哺乳瓶消毒器
2 消毒器基部
2a 消毒器基部の側壁の凹部
3 処理容器
4 制御パネル
5 処理容器の側面部
6 処理容器の蓋部材
7 処理容器の底部
8 放出口
9 蓋部材の凹部
10 蓋部材の取っ手
11 有孔棚部材
11a 有孔棚部材の貫通孔
12 有孔棚部材の有孔底板
13 有孔棚部材の環状側壁
14 有孔棚部材のフランジ部
15 有孔棚部材の把持部
16 蒸発皿
17 加熱器
18 熱風生成器
19 熱風分散部材
20 有孔基板
20a 有孔基板の貫通孔
21 偏向板
22 消毒器基部の上部に形成された環状段部
22a、22b 環状段部の載置面
23 スイッチ部材
24 処理容器の外側部材
25 処理容器の内側部材
26 内側部材のフランジ部
27 外側部材のテーパー部
28 外型部材のフランジ部
29 内側部材の係合溝
30 内側部材の側壁部
31 内側部材の貫通孔
32 内側部材の底部
33 短筒部材
34 ピン状部材
図1
図2
図3
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図5
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