(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のキャリアのうち前記第1キャリア及び前記第2キャリア以外のキャリアには、隣接するキャリアに対して移動可能に支持する支持部材が取着されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のスライドスクリーン。
前記複数のキャリアのうち1以上のキャリアに、当該遮蔽材の開閉動作に伴う該キャリアの傾斜を抑制する傾斜抑制部材が取着されていることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のスライドスクリーン。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンガーレールに複数の遮蔽材(例えば、カーテン生地)を個別に吊下支持し、ハンガーレールに沿って当該複数の遮蔽材を移動させて、その開閉を可能とするスライドスクリーンが知られている。一般的なスライドスクリーンにおいては、各遮蔽材が互いに平行に吊下されたままハンガーレールに沿って移動するように構成される。
【0003】
また、一般的なスライドスクリーンでは、遮蔽材を引き出した際に、隣り合う遮蔽材との間に重なりを持たせるため、1枚若しくは2枚の遮蔽材を吊下する毎に1条のレール部を構成したハンガーレールが必要とされている。このため、例えば4枚の遮蔽材を吊下してスライドスクリーンを構成する際には、4条若しくは2条のレール部を構成したハンガーレールによって遮蔽材を吊下する必要がある。このように、一般的なスライドスクリーンでは、遮蔽材の枚数の増加に比例して、ハンガーレールのレール部の数が増加しスライドスクリーンを設置するために必要となるスペースが大きくなる。
【0004】
一方、カーテン生地の枚数に関係なく1条のハンガーレールに2条のレール部を形成し、この2条のレール部を利用して全てのカーテン生地を吊下し移動可能とする技法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示されるスライドスクリーンでは、2条のレール部を形成した1条のハンガーレールと、当該ハンガーレール内を移動可能な複数のランナーと、該ランナーを介して当該ハンガーレールに吊下支持される複数のキャリアと、該キャリアから吊下支持されるカーテン生地とを備えるよう構成される。そして、隣り合うキャリアの先端側と後端側が2条のレール部を跨って共通のランナーで支持され、この共通のランナーにより各キャリアを相対移動可能に支持するよう構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、一般的なスライドスクリーンにおいては、各遮蔽材(例えば、カーテン生地)が互いに平行に吊下されたままハンガーレールに沿って移動するように構成される。このような構成では、遮蔽材の枚数の増加に比例して当該遮蔽材を吊下するレール部の数が増加するため、遮蔽材の枚数の増加に比例して設置スペースが大きくなり設置効率の観点から問題がある。また、遮蔽材を畳み込んだ際に、1枚分の遮蔽材幅の畳み代(即ち、格納スペース)が必要となり、格納効率が良くないという問題がある。
【0008】
ここで、特許文献1の技法によれば、カーテン生地の枚数に関係なく1条のハンガーレールに2条のレール部を形成するため、一般的なスライドスクリーンよりも格納効率及び設置効率が改善される。しかしながら、特許文献1の技法においても、カーテン生地を畳み込んだ際にハンガーレールに対して斜めに納まり、その畳み代(即ち、格納スペース)が十分に小さいとは云えず、改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上述の問題を鑑みて、複数の遮蔽材を移動させて開閉可能とするスライドスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスライドスクリーンは、複数の遮蔽材を移動させて開閉可能とするスライドスクリーンであって、主レール及び格納用レールを有するハンガーレールと、前記ハンガーレールに吊下支持される複数のキャリアと、前記複数のキャリアの各々に取着される遮蔽材とを備え、前記複数のキャリアのうち第1キャリアは、前記主レールの基端部で移動不能に一点が支持されるとともに前記格納用レール上で移動可能に他点が支持され、前記複数のキャリアのうち当該第1キャリア以外のキャリアは、隣接するキャリアに一点が支持されるとともに前記主レール上で移動可能に他点が支持されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のスライドスクリーンにおいて、前記第1キャリアに隣接する第2キャリアは、前記第1キャリアに対して折り畳み可能に支持されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のスライドスクリーンにおいて、前記第2キャリアは、前記第1キャリアに対して相対回動可能、且つ移動不能に支持されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のスライドスクリーンにおいて、前記複数のキャリアのうち前記第1キャリア及び前記第2キャリア以外のキャリアには、隣接するキャリアに対して移動可能に支持する支持部材が取着されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のスライドスクリーンにおいて、前記複数のキャリアのうち1以上のキャリアに、当該遮蔽材の開閉動作に伴う該キャリアの傾斜を抑制する傾斜抑制部材が取着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスライドスクリーンによれば、遮蔽材を畳み込んだ際の畳み代を小さくすることができ、格納効率を改善することができる。また、実質的に、遮蔽材の枚数とは無関係にハンガーレールを構成することができ、設置効率の観点からも優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態のスライドスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、
図1(b)に示すスライドスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方を遮蔽材の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示前方向をスライドスクリーンの室内側(又は前側)、及び、図示後方向をスライドスクリーンの室外側(又は後側)と定義して説明する。例えば、スライドスクリーンの前後方向と称するときは、
図1(b)の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
【0018】
(スライドスクリーンの構成)
まず、図面を参照して、本発明による一実施形態のスライドスクリーンについて説明する。
図1(a), (b)は、それぞれ本発明による一実施形態のスライドスクリーンの構成を示す平面図及び正面図である。
図2は、本発明による一実施形態のスライドスクリーンの第1キャリア3a及び第2キャリア3bの周辺構成を示す斜視図である。また、
図3は、本発明による一実施形態のスライドスクリーンの第3キャリア3cと、第3キャリア3cに隣接配置可能とする第4キャリア3dの周辺構成を示す斜視図である。
【0019】
図1(a), (b)に示すスライドスクリーンは、3枚の遮蔽材(例えば、カーテン生地)4a〜4cが、それぞれのキャリア3a〜3cを介して主レール1及び格納用レール1aを有するハンガーレールに沿って移動可能に吊下支持されている。尚、第1キャリア3aは、第2及び第3キャリア3b,3c等の他のキャリアと同一構造ではあるが、長手方向に短尺に構成される。一方、当該他のキャリアは略同一長及び同一構造である。
【0020】
図1(a)に示すように、当該ハンガーレールは、レール連結部材2により、1条の主レール1に対して、その基端側に略逆くの字状の格納用レール1aが連結されて構成されている。主レール1には吊下支持部材5,7,8が配設され、格納用レール1aには吊下支持部材6が配設される。ここで、吊下支持部材5は、主レール1に対して相対回動可能ではあるが主レール1の基端部を固定位置として設置される。例えば、図示しないストッパにて主レール1に対して移動不能に吊下支持部材5を設置することができ、第1キャリア3aの基端部近傍を固定位置として吊下支持する。一方、吊下支持部材7,8は、主レール1に対して相対回動可能、且つ移動可能に設置され、それぞれ第2及び第3キャリア3b,3cを固定位置で吊下支持する。また、吊下支持部材6は、格納用レール1aに対して相対回動可能、且つ移動可能に設置され、更に、第1キャリア3aを固定位置で吊下支持する。したがって、吊下支持部材6,7,8については、格納用レール1a或いは主レール1に対して走行可能なランナーとして機能する。
【0021】
また、各キャリア間(
図1に示す例では、キャリア3a,3b間とキャリア3b,3c間)は、支持部材(
図1に示す例では、それぞれ支持部材9,10)により連結支持される。支持部材9は、キャリア3aとキャリア3bとを相対回動可能ではあるが、相対移動不能に連結支持し、支持部材10は、キャリア3bとキャリア3cとを相対回動可能、且つ相対移動可能に連結支持する。
【0022】
主レール1及び格納用レール1aを有するハンガーレールには、吊下支持部材5,6,7,8及び支持部材9,10を利用して、各遮蔽材4a〜4cを取着可能な複数のキャリア3a〜3cが二点(二箇所)で相対回動可能に吊下支持される。より具体的には、複数のキャリア3a〜3cのうち第1キャリア3aは、吊下支持部材5により主レール1の基端部で移動不能に一点が支持されるとともに、吊下支持部材6により格納用レール1a上で移動可能に他点が支持される。また、第1キャリア3aに隣接する第2キャリア3bは、支持部材9により第1キャリア3aに対して一点が移動不能に支持され、吊下支持部材7により主レール1上で移動可能に他点が支持される。そして、第2キャリア3bに隣接する第3キャリア3cは、支持部材10により第2キャリア3bに対して一点が移動可能に支持され、吊下支持部材8により主レール1上で移動可能に他点が支持される。
【0023】
このように、複数のキャリア3a〜3cが2点で吊下支持されるが、各キャリア3a〜3cの固定位置で吊下支持する吊下支持部材5,7,8の位置は、各キャリア3a〜3cの上端部の予め定めた位置とすることができ、例えば各キャリア3a〜3cの長手方向の縁部近傍とすることができるが、
図1に示すように、吊下支持部材7,8の位置については各キャリア3a〜3cの長手方向の縁部からやや中央よりとしてもよい。また、本例では、第2キャリア3bは、第1キャリア3aに対して当該一点が移動不能に支持される例を主に説明するが、これは、遮蔽材4a〜4cの畳み込み時における後述する格納作用を確実にする意図であり、その畳み込み時における格納に支障の無い範囲内で第2キャリア3bを第1キャリア3aに対して当該一点が移動可能に支持してもよい。このような第1キャリア3aに対する第2キャリア3bの移動範囲を規制するためにストッパを利用することもできる(図示せず)。
【0024】
尚、必要に応じて、
図1(b)に示すように、各遮蔽材4a〜4cの下端部にバランスウェイト11を吊下支持するよう構成することができる。各バランスウェイト11はボトムコード(図示せず)で連結されて、風等による各遮蔽材4a〜4cのバタつきを防止するようになっている。
【0025】
次に、
図2及び
図3を参照して、第1キャリア3a及び第2キャリア3bの周辺構成と、この第3キャリア3cに隣接配置可能とする第4キャリア3dの周辺構成を説明する。
【0026】
まず、
図2を参照するに、第1キャリア3aは、吊下支持部材5により主レール1の基端部で相対回動可能ではあるが、移動不能に一点が支持されるとともに、吊下支持部材6により格納用レール1a上で相対回動可能、且つ移動可能に他点が支持される。また、第1キャリア3aに隣接する第2キャリア3bは、支持部材9により第1キャリア3aに対して一点が相対回動可能ではあるが、移動不能に支持され、吊下支持部材7により主レール1上で相対回動可能、且つ移動可能に他点が支持される。各キャリア3a,3bには面ファスナー等の固定部41により各遮蔽材4a,4bの上端が取着される。これにより、各遮蔽材4a,4bは、主レール1及び格納用レール1aを有するハンガーレールに吊下支持される。
【0027】
支持部材9は、第1キャリア3aの先端側端部に取着される本体部91と、本体部91に対して水平方向にて相対回動可能に軸支される支持部92から構成され、支持部92には、第2キャリア3bの室外側の側部から突出した後、下方に突起した突出片33を掴持可能な掴持部92aを有する。ここで、掴持部92aを第2キャリア3bに対して移動不能に固持するよう構成することもできるし、ストッパ等を利用して移動不能とすることや、畳み込み時の悪影響を及ぼさない範囲で移動可能とすることができる。
【0028】
そして、
図1に示される第2キャリア3bに隣接する第3キャリア3cは、
図3に示すように、支持部材10により第2キャリア3bに対して一点が移動可能、且つ相対回動可能に支持され、吊下支持部材8により主レール1上で移動可能、且つ相対回動可能に他点が支持される。支持部材10は、第3キャリア3cの先端側端部に取着される本体部103と、本体部103に対して水平方向にて相対回動可能に軸支される支持部101から構成される。支持部101は、当該支持部101の室外側の側部からその上下側でそれぞれ二股状に突出する掴部101a及び係合部101bを有し、突出した掴部101aの先端は下方に二股状に突起して第2キャリア3bの上端を掴持可能に構成され、掴部101aと略平行にその下方位置で突出した係合部101bの先端は、第2キャリア3bの側部に設けられた凹部32へと係合可能に構成されている。これにより第3キャリア3cは、支持部材10により第2キャリア3bに対して当該一点が移動可能、且つ相対回動可能に支持される。尚、支持部材10は、第2キャリア3bの上端にて、その端部(サイドキャップ)と吊下支持部材7との間で移動することができる。
【0029】
そして、第3キャリア3cと同一構造で、第4キャリア3dを増設することができ、更にそれ以上の数のキャリアを第3キャリア3cと同一構造及び同一形状で増設することができる。例えば、第3キャリア3cに隣接する第4キャリア3dは、支持部材10‐2により第3キャリア3cに対して一点が移動可能、且つ相対回動可能に支持され、吊下支持部材8‐2により主レール1上で移動可能、且つ相対回動可能に他点が支持される。支持部材10,10‐2は、それぞれ同様に構成され、各キャリアの側部に設けられた凹部32を利用して取付ネジ102により固定される。各キャリア3c,3dには面ファスナー等の固定部41により各遮蔽材4c,4dの上端が取着される。これにより、各遮蔽材4c,4dは、主レール1及び格納用レール1aを有するハンガーレールに吊下支持される。したがって、主レール1に並列してレール数を増加することなく、吊下支持する遮蔽材の数を増加させることができる。尚、主レール1は、その長手方向に所定の連結部材を利用して増設することもできる。
【0030】
図2及び
図3に示すように、各吊下支持部材5,6,7,8(或いは8‐2)は、同一形状で構成することができ、それぞれ支持部51及び吊下部52から構成される。支持部51は主レール1(又は格納用レール1a)に対して相対回動可能に支持される構造を有しており、本例では、二層の略円板状のフランジ間を連結する軸部で、主レール1(又は格納用レール1a)の底面側開口縁部に軸支される構造となっている。また、支持部51における下方には略U字状のリング部が設けられ、このリング部に吊下部52の上端が相対回動可能に軸支される。尚、支持部51及び吊下部52の構造は、不所望な動き(傾き)を抑制する構成であればヒンジなどでもよい。支持部51に対して軸支される吊下部52は、その下端部が二股状に延び、各キャリア3a〜3cの上端と側部から突出する突出片31を狭持する構造を有している。
【0031】
次に、上記のように構成されたスライドスクリーンの遮蔽材4a〜4c等の畳み込み前後の状態について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4(a), (b)は、それぞれ本発明による一実施形態のスライドスクリーンにおける遮蔽材4a〜4c等の畳み込み前後の状態を説明する平面図である。
図5(a), (b)は、
図4(b)に関して、それぞれ本発明による一実施形態のスライドスクリーンにおける遮蔽材4a〜4c等の畳み込み時の部分的な断面を示す正面図である。
【0032】
図4(a)は、
図1(b)と同様に、遮蔽材4a〜4c等が畳み込み前の引き出された状態を示している。この状態では、吊下支持部材6は、第1キャリア3aの先端側端部近傍に位置し、且つ格納用レール1aの主レール1に対する連結側端部近傍に位置している。支持部材10は、第2キャリア3bを吊下支持する吊下支持部材7近傍に位置している。第2キャリア3bに継続して隣接する第3キャリア3cや、更に継続して隣接するキャリア3c〜3hが設けられている場合も、この支持部材10と第2キャリア3bとの位置関係と同様に配置される。
【0033】
そして、遮蔽材4a〜4c等が畳み込まれると、
図4(b)及び
図5に示すように、各キャリア3a〜3hは、それぞれ略平行で、且つ主レール1の長手方向に対して略垂直に格納される。このとき、吊下支持部材6は、第1キャリア3aの略中央に位置し、且つ格納用レール1aの主レール1に対する連結側とは反対の端部近傍に位置している。支持部材10は、第2キャリア3bの室内側端部近傍に位置している。第2キャリア3bに継続して隣接する第3キャリア3cや、更に継続して隣接するキャリア3c〜3hについても、この支持部材10と第2キャリア3bとの位置関係と同様に配置される。したがって、遮蔽材4a〜4c等を畳み込んだ際の畳み代(即ち、格納スペース)を最小化するよう吊下支持部材6や支持部材10等が移動し、格納効率を向上させることができる。
【0034】
尚、
図5に示すように、各遮蔽材4a〜4c等の下端部にバランスウェイト11を吊下支持するよう構成する場合にも、当該畳み代の最小化に悪影響を及ぼさない。各遮蔽材4a〜4c等の下端部に設けられる各バランスウェイト11は、それぞれの当該遮蔽材とリンクさせるためのリング111,112を利用してリンクコード113で接続保持され、且つリング112は、隣接する遮蔽材(又はバランスウェイト11)に対してボトムコード114で連結されて、風等による各遮蔽材4a〜4c等のバタつきが防止される。
【0035】
次に、遮蔽材4a〜4c等が引き出されている状態から畳み込まれるまでの動作遷移について、
図6を参照して説明する。
図6に示す例では、第1乃至第5キャリア3a〜3eが設けられる例を説明する。即ち、第1乃至第3キャリア3a〜3cは、
図1と同様に構成され、第4及び第5キャリア3d,3eは、第3キャリア3cと同一形状及び同一構造で構成され、それぞれ吊下支持部材8‐2及び支持部材10‐2と、吊下支持部材8‐3及び支持部材10‐3により、第3キャリア3cの吊下支持部材8及び支持部材10と同様に支持される。
【0036】
図6(a)に示す遮蔽材の畳み込み前の引き出された状態から畳み込みを行う際には、
図6(b)に示すように、右側の第5キャリア3eから順番に畳み込まれる。第3乃至第5キャリア3c〜3eにおける各支持部材10,10‐2,10‐3は、隣接支持されるキャリアに沿って移動する。第1及び第2キャリア3a,3bは、支持部材9によるヒンジ作用で折り畳まれる。最終的に、
図6(c)に示すように、各キャリア3a〜3eは、それぞれ略平行で、且つ主レール1の長手方向に対して略垂直に格納することができる。
【0037】
また、
図7に示すように、第1キャリア3aに対して畳み込み時の傾斜を抑制する傾斜抑制部材30を設置するのが好適である。
図7(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態のスライドスクリーンにおける傾斜抑制部材30及びガイドプレート35を設置した際の実施例を示す部分的な平面図(畳み込み時)及び正面図(引き出し時)である。尚、
図7(a)では、第1キャリア3a、及びその他のキャリア3b〜3hを図示しているが、
図7(b)では、本発明の理解を容易化するために、第1キャリア3a及び第2キャリア3bのみを図示している。傾斜抑制部材30は、第1キャリア3a以外のキャリアの上端に設けられる。
【0038】
より具体的には、傾斜抑制部材30は、その基体部が第2キャリア3b(或いは他のキャリア3c〜3h等も同様)の上端に固着され、当該基体部の上部にはボールキャスターや水平方向に回動可能にして任意方向に走行可能な車輪等の走行部材36が設けられている。また、主レール1にはガイドプレート35が並設されており、このガイドプレート35は、格納用レール1aとは対称側の主レール1の下方にて略水平方向にて所定幅で、且つ主レール1と略同一長で、その長尺方向に延在している。そして、傾斜抑制部材30は、第2キャリア3b(或いは他のキャリア3c〜3h等も同様)の動きに応じて、その走行部材36がガイドプレート35の下面側に当接して走行可能とすることで、当該キャリアの略鉛直面上の傾斜が抑制される。
【0039】
傾斜抑制部材30の動作について、
図8を参照して詳細に説明する。
図8(a), (b),(c)は、本実施形態のスライドスクリーンにおける傾斜抑制部材30を設置した際の実施例にて遮蔽材4a等の畳み込み動作を説明する左側面図(
図7に示す“A視”方向の側面図)である。尚、左側面図で示す
図8(a),
図8(b),
図8(c)の各々は、それぞれ平面図で示す
図6(a),
図6(b),
図6(c)の動作に対応しており、簡略的に図示している。
図8(a)は、遮蔽材の畳み込み前の引き出された状態であり、
図8(b)は、
図8(a)の状態から遮蔽材の畳み込みを開始した途中経過の状態である。
図8(c)は、最終的に畳み込まれ、各キャリアが、それぞれ略平行で、且つ主レール1の長手方向に対して略垂直に格納された状態を示している。
図8(a)の状態では、傾斜抑制部材30の走行部材36はガイドプレート35の下面側に当接していない。遮蔽材の畳み込みを開始するにつれて、
図8(b)に示すように、傾斜抑制部材30の走行部材36がガイドプレート35の下面側に当接しはじめる。更に畳み込み動作を進めると、
図8(c)に示すように、傾斜抑制部材30の走行部材36がガイドプレート35の下面側に当接し走行可能な状態となり、当該キャリアの略鉛直面上の傾斜が抑制される。即ち、
図8(b)や
図8(c)に示す状態では、吊下支持部材(5〜8等)が主レール1に位置し、遮蔽材の自重等で図示“F1”方向へ遮蔽材(及びキャリア)が傾く力が発生する。また、必然的に“F2”方向へ遮蔽材(及びキャリア)が傾く力も発生することから略鉛直面上の傾斜が生じうる。このため、傾斜抑制部材30の走行部材36がガイドプレート35の下面側に当接することで、その傾きを抑制することができる。
【0040】
また、
図7(a), (b)に示す例では、第1キャリア3a以外の全てのキャリアについて傾斜抑制部材30を設ける例を説明したが、1つおき等の所定間隔のキャリアについて傾斜抑制部材30を設けてもよい。したがって、複数のキャリアのうち1以上のキャリアに、遮蔽材4の開閉動作に伴う該キャリアの傾斜を抑制するよう傾斜抑制部材30を設けるのが好適である。また、ガイドプレート35は、押出し成形で主レール1と一体化して形成させることや、主レール1に対してブラケット等の連結部材を用いて連結することで、主レール1と並行に設置することができる。そして、ガイドプレート35の形状は、格納用レール1aとは対称側の主レール1の下方にて略水平方向にて所定幅で、且つ主レール1と略同一長で、その長尺方向に延在し、傾斜抑制部材30における走行部材36が当接して走行可能として、当該キャリアの略鉛直面上の傾斜を抑制可能する形態であれば、板状や溝状等の任意の形状で形成することができる。
【0041】
以上のように、本発明に係るスライドスクリーンによれば、遮蔽材を畳み込んだ際の畳み代を小さくすることができ、格納効率を改善することができる。また、実質的に、遮蔽材の枚数とは無関係にハンガーレールを構成することができ、設置効率の観点からも優れたものとなる。
【0042】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、主レール1及び格納用レール1aを有するハンガーレールの形態は、様々な変形例が想定される。例えば、ガイドプレート35の図示を省略するが、
図9(a)に示すように、1条の主レール1に対してレール連結部材2により格納用レール1aを連結する形態の他、
図9(b)に示すように、主レール1の一部と格納用レール1aとが一体化されたレールに対してレール連結部材2により更に別の主レール1を連結する形態や、
図9(c)に示すように、ハンガーレール101内に、主レール1及び格納用レール1aとして機能する溝部を形成する形態とすることができる。
【0043】
また、上述した実施形態の例では、各キャリア3a〜3h、遮蔽材4a〜4c、吊下支持部材5〜8,8‐2,8‐3、及び支持部材9,10,10‐2,10‐3について特定の形状・構造を例に説明したが、本発明の作用・効果を生じさせる限りにおいて他の形状・構造で実現してもよい。