(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の検査設備管理装置シミュレータにおいて、前記模擬応答情報は、前記制御応答内容を変換した制御応答情報と前記非制御応答内容を変換した非制御応答情報を有し、前記通信回線は、前記制御情報及び前記制御応答情報の通信に使用する第1の回線と前記非制御応答情報の通信に使用する第2の回線とを有することを特徴とする検査設備管理装置シミュレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムを、検査設備と、検査設備に制御情報を送信しながら検査設備からの応答情報を受信する検査設備管理装置とを有する検査システムに適用する場合、センタサーバが検査設備管理装置、リモートコントロールサーバが検査設備側の設備制御装置、各機器が検査設備の検査装置にそれぞれ対応することになる。そして、検査設備管理装置内に仮想検査装置を構築するためには、検査設備管理装置に検査設備側の設備制御装置と同じ情報(検査装置と設備制御装置との間の実通信データ)を共有させる必要があり、検査装置と設備制御装置、即ち検査設備が存在しない状態では、仮想検査装置を構築することができないという問題がある。
また、設備制御装置と検査装置との間の実通信データは、単なる数値の羅列なので、検査設備管理装置が実通信データを取得して検査設備管理装置内に仮想検査装置を構築する場合は、実通信データから制御情報及び応答情報をそれぞれ作成すると共に、制御情報は検査設備管理装置の送信データ、応答情報は検査設備の送信データであることを指定する必要がある。このため、単に、実通信データを取得するだけでは検査設備管理装置内に仮想検査装置を構築することはできないという問題がある。更に、検査システムにおいて不具合が発生した場合、不具合の原因が検査設備管理装置側にあるのか、検査設備側にあるのかの判断ができないという問題がある。
【0005】
一方、検査設備管理装置と検査設備との間の通信が、LANを介して行われている場合、市販のLANアナライザを用いて実際に通信した内容を再現することができ、実通信データの内容を変更することにより、検査設備管理装置に対する仮想検査装置を構築することが可能になる。しかし、LANアナライザを検査設備管理装置と検査設備との間に接続して実通信データを取得する必要があり、検査設備が存在していない状態では、市販のLANアナライザは使用できないという問題がある。また、実通信データを制御情報及び応答情報に変換すると共に、制御情報は検査設備管理装置からの送信データであること、応答情報は検査設備からの送信データであることを指定する必要
があり、実通信データを取得するだけでは仮想検査装置を構築することはできないという問題が生じる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、検査設備管理装置による制御を受ける検査設備が存在しなくても、検査設備管理装置の動作確認試験を行うことが可能な検査設備管理装置シミュレータ及びそれを用いたシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る検査設備管理装置シミュレータは、通信回線を介して
二次電池の充放電検査設備と接続し、該
充放電検査設備に制御情報を送信しながら該
充放電検査設備からの応答情報を受信することにより該
充放電検査設備を用いた
充放電検査を行う検査設備管理装置の動作確認試験を行う検査設備管理装置シミュレータにおいて、
前記
充放電検査設備の中で前記検査設備管理装置による制御を受ける対象機器にそれぞれ対応する模擬対象機器を設定する模擬検査設備構成手段と、
前記検査設備管理装置から前記通信回線を介して前記模擬対象機器に送信される前記制御情報を受信して、該制御情報に対応する該模擬対象機器の動作結果(動作状態)を示す制御応答内容及び検査結果を含む非制御応答内容からなる模擬応答内容を予め設定された様式に変換した模擬応答情報を、前記通信回線を介して該検査設備管理装置に送信する送信手段と、
前記制御情報を予め設定された様式に変換して得られる前記模擬対象機器に対する制御指令内容を前記模擬応答内容と共に保存する通信履歴保存手段と、
前記通信履歴保存手段内の前記制御指令内容及び前記模擬応答内容を時系列に表示する表示手段とを有
し、
更に、前記検査設備管理装置と前記充放電検査設備との間で実際に行われた実通信情報より、該検査設備管理装置から前記対象機器に送信された実制御情報を抽出し、該実制御情報を予め設定された様式に変換して実制御指令内容として保存する実制御情報作成手段と、前記実通信情報より、前記対象機器から前記検査設備管理装置に送信された実応答情報を抽出し、該実応答情報を予め設定された様式に変換して実制御応答内容として保存する実応答情報作成手段と、前記実制御指令内容と前記実制御応答内容を時系列に保存すると共に表示する通信再現手段とを有し、前記検査設備管理装置の制御と前記充放電検査設備の応答を再現する。
これにより、検査設備管理装置と検査設備の実際の動作状況を把握(再現)することができる。
【0008】
第1の発明に係る検査設備管理装置シミュレータにおいて、前記模擬応答情報は、前記制御応答内容を変換した制御応答情報と前記非制御応答内容を変換した非制御応答情報を有し、前記通信回線は、前記制御情報及び前記制御応答情報の通信に使用する第1の回線と前記非制御応答情報の通信に使用する第2の回線とを有することが好ましい。
これによって、第1の回線の特性として高速性及び高信頼性を、第2の回線の特性として簡便性及び低コスト性をそれぞれ確保すると、検査設備管理装置、通信回線、及び検査設備で構成される検査システムにおいて、制御の高速性及び高信頼性を図りながら検査システムの簡便性及び低コスト化を図ることが可能になる。
【0009】
【0010】
第1の発明に係る検査設備管理装置シミュレータにおいて、前記通信履歴保存手段内の前記制御指令内容と前記実制御情報作成手段内の前記実制御指令内容を比較し差異を検出する比較手段を有することが好ましい。
これによって、制御指令内容の修正又は変更を容易に行うことができる。
【0011】
前記目的に沿う第2の発明に係る検査設備管理装置
シミュレーション方法は、通信回線を用いて
二次電池の充放電検査設備と接続し、該
充放電検査設備に制御情報を送信しながら該
充放電検査設備からの応答情報を受信することにより該
充放電検査設備を用いた
充放電検査を行う検査設備管理装置の動作確認試験を行う検査設備管理装置シミュレーション方法において、
前記
充放電検査設備の中で前記検査設備管理装置による制御を受ける対象機器にそれぞれ対応する模擬対象機器を設定する模擬検査設備構成工程と、
前記検査設備管理装置から前記通信回線を介して前記模擬対象機器に送信される前記制御情報を受信し、該制御情報に対応する該模擬対象機器の動作結果(動作状態)を示す制御応答内容及び検査結果を含む非制御応答内容からなる模擬応答内容を予め設定された様式に変換した模擬応答情報を、前記通信回線を介して該検査設備管理装置に送信する送信工程と、
前記制御情報を予め設定された様式に変換して得られる前記模擬対象機器に対する制御指令内容を前記模擬応答内容と共に保存する通信履歴保存工程と、
前記制御指令内容及び前記模擬応答内容を時系列に表示する表示工程とを有
し、
前記検査設備管理装置と前記充放電検査設備との間で実際に行われた実通信情報より、該検査設備管理装置から前記対象機器に送信された実制御情報と、該対象機器から該検査設備管理装置に送信された実応答情報をそれぞれ抽出し、前記実制御情報を予め設定された様式に変換して形成される実制御指令内容と、前記実応答情報を予め設定された様式に変換して形成される実制御応答内容を時系列に保存すると共に、前記実制御指令内容と前記実制御応答内容を表示して、前記検査設備管理装置の制御と前記充放電検査設備の応答を再現する。
これにより、実際の検査時に発生した問題(異常な実制御指令内容、異常な実制御応答内容)の確認を容易に行うことが可能になる。
【0012】
第2の発明に係る検査設備管理装置シミュレーション方法において、前記通信回線として第1、第2の回線を設け、前記制御情報及び前記制御応答内容を変換した制御応答情報の通信には前記第1の回線を使用し、前記非制御応答内容を変換した非制御応答情報の通信には前記第2の回線を使用することが好ましい。
これによって、制御情報及び制御応答情報の通信と非制御応答情報の通信がそれぞれ独立して実行されるか否かの確認を容易に行うことができる。
【0013】
【0014】
第2の発明に係る検査設備管理装置シミュレーション方法において、前記制御指令内容と前記実制御指令内容を比較し差異を検出することが好ましい。
これによって、制御指令内容の修正又は変更を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明に係る検査設備管理装置シミュレータ及び第2の発明に係る検査設備管理装置シミュレーション方法においては、検査設備管理装置による制御を受ける対象機器に対応する模擬対象機器を設定し、検査設備管理装置から模擬対象機器に送信される制御情報に対応する模擬応答情報を作成して検査設備管理装置に送信するので、検査設備(対象機器)が存在していなくても、検査設備管理装置の動作確認試験を行うことが可能になる。
そして、模擬対象機器に対する制御指令内容と、制御情報に対応する模擬対象機器の模擬応答内容を時系列に表示することができるので、動作確認試験の内容を時系列で確認することができ、検査設備管理装置から出される制御情報の変更、修正を容易に行うことが可能になる。その結果、検査設備管理装置の製作を短期間で効率的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る検査設備管理装置シミュレータ10(以下、単にシミュレータ10という)による動作確認試験が行われる検査設備管理装置11は、通信回線12を介して二次電池の充放電検査設備13(検査設備の一例、
図2参照、以下、単に充放電検査設備13という)と接続し、充放電検査設備13に制御情報を送信しながら充放電検査設備13からの応答情報を受信することにより充放電検査設備13を用いた二次電池の充放電検査を行うものである。なお、検査設備管理装置11は、充放電検査設備13の運転管理用に作成した二次電池充放電検査プログラムを、例えば、パーソナルコンピュータPCに実装することにより構成されている。
【0018】
図2に示すように、充放電検査設備13は、二次電池の充放電検査を行う複数の充放電検査装置14と、二次電池を保管場所から充放電検査装置14まで運んで充放電検査装置14に取付ける搬送装置15と、充放電検査装置14を操作する制御装置の一例であるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)16と、搬送装置15を操作する制御装置の一例である搬送プログラマブルロジックコントローラ(搬送PLC)17とを有している。また、充放電検査装置14は、二次電池の充電時に電力を供給し二次電池の放電時に電力を回収する電源18と、二次電池と接続し、二次電池に対する充電又は放電の操作を行うステージ19と、PLC16からの指令に基づいてステージ19の操作(動作制御)を行うと共に、二次電池の検査結果(例えば、電圧値の時間変化及び電流値の時間変化)を収集する制御部20とを有している。
【0019】
そして、制御部20の操作結果(例えば、充電開始、充電停止、放電開始、放電停止等の各動作結果)及び制御部20が収集した二次電池の検査状況や検査結果は、PLC16を経由し通信回線12を介して検査設備管理装置11に応答情報として送信される。また、搬送装置15の動作結果(例えば、二次電池の保管場所からの払出し、ステージ19に対する二次電池の着脱、検査済み二次電池の回収等)や搬送装置15の移動状況(位置情報)は、搬送PLC17を経由し通信回線12を介して検査設備管理装置11に応答情報として送信される。
【0020】
ここで、PLC16を経由し通信回線12を介して検査設備管理装置11に送信される応答情報の中で、制御部20の操作結果は検査設備管理装置11からの制御情報に直接関連する制御応答情報であり、二次電池の検査結果や充放電検査装置14の状態を示す情報は制御情報に直接関連しない非制御応答情報となる。同様に、PLC16を経由し通信回線12を介して検査設備管理装置11に送信される応答情報の中で、搬送装置15の動作結果は検査設備管理装置11からの制御情報に直接関連する制御応答情報であり、搬送装置15の移動状況等の搬送装置15の状態を示す情報は制御情報に直接関連しない非制御応答情報となる。
【0021】
このため、検査設備管理装置11と充放電検査設備13を結ぶ通信回線12において、検査設備管理装置11から充放電検査設備13への制御情報と充放電検査設備13から検査設備管理装置11への制御応答情報は、高速性及び高信頼性が確保されるPLC16、17用の専用回線21を使用し、充放電検査設備13から検査設備管理装置11への非制御応答情報は、イーサネット(登録商標)等の汎用回線22を使用する。なお、符号23は、汎用回線22とPLC16、搬送PLC17の間に設けた中継器である。
【0022】
続いて、
図1に示す本発明の一実施の形態に係るシミュレータ10について説明する。
図3に示すように、検査設備管理装置11の動作確認試験を行うシミュレータ10は、充放電検査設備13の中で検査設備管理装置11による制御を受ける対象機器(具体的には、PLC16及び充放電検査装置14(電源18、ステージ19、制御部20)から構成される検査系と、搬送PLC17及び搬送装置15から構成される搬送系)にそれぞれ対応する模擬対象機器を設定する模擬検査設備構成手段24を有している。模擬対象機器を設定することにより、
図1に示すように、シミュレータ10内に、模擬検査設備を構築することができる。
更に、シミュレータ10は、検査設備管理装置11から通信回線12を介して模擬対象機器に送信される制御情報を受信し、制御情報に対応する模擬対象機器の動作結果を示す制御応答内容及び検査結果を含む非制御応答内容からなる模擬応答内容を予め設定された様式に変換した模擬応答情報を、通信回線12を介して検査設備管理装置11に送信する送信手段25と、制御情報を予め設定された様式に変換して得られる模擬対象機器に対する制御指令内容を模擬応答内容と共に保存する通信履歴保存手段26と、通信履歴保存手段26内の制御指令内容及び模擬応答内容を時系列に表示する表示手段27とを有している。以下、詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、充放電検査設備13が検査設備管理装置11との間で情報の送受信を行う場合、充放電検査設備13の中の対象機器は、検査設備管理装置11に対して制御情報の受信源かつ制御情報に対する応答情報(制御応答情報及び非制御応答情報)の送信源として作用する。したがって、模擬対象機器は、制御情報に直接的又は間接的に対する応答情報の送信源と、その送信源が使用する通信回線12の形態(専用回線21又は汎用回線22)を特定する情報を与えることにより構築できる。
なお、制御情報には、直接対応する応答情報が必ず存在する情報の他に、直接対応する応答情報が存在しない情報が存在する(応答情報には、制御情報に直接対応する情報の他に、制御情報に直接対応しない情報が存在する)。直接対応する応答情報が存在しない制御情報としては、例えば、検査の開始指令情報がある。検査の開始指令情報に対しては、「検査を開始した」という情報ではなく、搬送系及び検査系からの具体的な応答情報が対応することになる。また、直接対応する制御情報が存在しない応答情報としては、例えば、検査を実行する中での単位操作の終了情報がある。単位操作の終了情報は、「単位操作が終了した」という情報ではなく、単位操作を実行した結果として得られる「状態(状況)を示す情報」又は「検査結果の情報」が対応する。
【0024】
このため、
図3に示すように、模擬検査設備構成手段24は、制御情報毎に対応する応答情報の送信源及び送信源が使用する通信回線12の形態をそれぞれ規定して送信源情報群を作成して保存する送信源情報作成部28と、送信源情報作成部28内の送信源毎に、受信した制御情報に対して応答情報の送信を行うか(送信を開始するか)送信を行わないか(送信を停止するか)を決定(設定)する送信源応答設定機能を備えた送信源応答設定部29とを有している。
なお、送信源情報作成部28は送信源情報群を作成して保存する機能を発現するプログラムを、送信源応答設定部29は送信源応答設定機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成できる。なお、送信源情報群の保存には、パーソナルコンピュータPCS内の記憶機器又はパーソナルコンピュータPCSに接続する外部記憶機器を利用することができる。
【0025】
図3に示すように、送信手段25は、応答情報の送信を行うように設定された送信源毎に、受信した制御情報に対応する模擬対象機器の動作結果を示す制御応答内容と非制御応答内容(模擬対象機器から出力される検査結果や模擬対象機器の状態表示等を含む)とを有する模擬応答内容を作成する応答内容作成機能を備えた応答内容作成部30と、模擬応答内容を予め設定された様式の模擬応答情報に書き換える模擬応答内容変換機能を備えた模擬応答情報作成部31と、模擬応答情報を通信回線12を介して検査設備管理装置11に送り出す送信機能を備えた応答情報送信部32とを有している。なお、模擬応答情報は、制御応答内容を変換した制御応答情報と非制御応答内容を変換した非制御応答情報を有している。
ここで、模擬応答情報の様式は、例えば、模擬対象機器の実体である対象機器が制御情報に対応して応答したことをPLC16又は搬送PLC17を経由して検査設備管理装置11に通信回線12を介して送信する場合に使用する情報様式に合わせることができる。
なお、送信手段25は、応答内容作成機能、模擬応答内容変換機能、及び送信機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成できる。
【0026】
図3に示すように、通信履歴保存手段26は、制御情報を予め設定された様式に変換して模擬対象機器に対する制御指令内容を作成する制御情報変換機能を備えた制御指令内容作成部33と、制御指令内容及び送信手段25で作成された模擬応答内容を保存する通信履歴ファイル部34とを有している。また、表示手段27は、通信履歴ファイル部34に保存された制御指令内容及び模擬応答内容を読み込んで時系列に変換して出力する時系列変換機能を備えた時系列変換部35と、時系列変換部35から出力される制御指令内容及び模擬応答内容を表示する表示部36とを有している。
なお、制御指令内容作成部33は、制御情報変換機能を発現するプログラムを、時系列変換部35は、時系列変換機能を発現するプログラムを、それぞれパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成でき、通信履歴ファイル部34はパーソナルコンピュータPCS内の記憶機器内又はパーソナルコンピュータPCSに接続する外部記憶機器内に構成することができる。
【0027】
図3に示すように、シミュレータ10は、更に、検査設備管理装置11と充放電検査設備13との間で実際に行われた実通信情報より、検査設備管理装置11から対象機器に送信された実制御情報を抽出し、実制御情報を予め設定された様式に変換して実制御指令内容として保存する実制御情報作成手段37と、実通信情報より、対象機器から検査設備管理装置11に送信された実応答情報を抽出し、実応答情報を予め設定された様式に変換して実制御応答内容として保存する実応答情報作成手段38と、実制御指令内容と実制御応答内容を時系列に保存すると共に表示する通信再現手段39と、通信履歴保存手段26内の制御指令内容と実制御情報作成手段37内の実制御指令内容を比較し差異を検出する比較手段40とを有している。
【0028】
図2に示すように、実通信情報は、検査設備管理装置11の図示しない記憶部に保存されており、制御情報及び制御応答情報を保存した通信ファイルAと、非制御応答情報を記録した通信ファイルBから構成されている。このため、実制御情報作成手段37は、例えば、通信回線12の、例えば、汎用回線22を介して通信ファイルAを読み込む機能と、通信ファイルAから実制御情報を抽出し、実制御情報を予め設定された様式に変換して、対象機器の実際の動作内容を示す実制御指令内容を作成して実制御情報ファイル部42に保存する機能を備えた実制御情報抽出部41を有している。
なお、実制御情報抽出部41は、上記の機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成でき、実制御情報ファイル部42はパーソナルコンピュータPCS内の記憶機器内又はパーソナルコンピュータPCSに接続する外部記憶機器内に構成することができる。
【0029】
また、実応答情報作成手段38は、通信回線12を介して通信ファイルAを読み込む機能、及び通信ファイルAより、対象機器から検査設備管理装置11に送信された実応答情報を抽出し、実応答情報を予め設定された様式に変換して、対象機器の実際の動作結果内容を示す実制御応答内容を作成して実応答情報ファイル部44に保存する機能を備えた実応答情報抽出部43を有している。
なお、実応答情報抽出部43は、上記の機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成でき、実応答情報ファイル部44はパーソナルコンピュータPCS内の記憶機器内又はパーソナルコンピュータPCSに接続する外部記憶機器内に構成することができる。
【0030】
実制御情報作成手段37と実応答情報作成手段38を設けることにより、
図1に示すように、シミュレータ10内に通信ファイルA、Bが形成されることになる。このため、
図3に示すように、通信再現手段39を、実制御情報ファイル部42に保存された実制御指令内容と実応答情報ファイル部44に保存された実制御応答内容を取得し、実制御指令内容及び実制御応答内容を時系列に保存すると共に出力する機能を備えた実制御応答内容出力部45と、実制御応答内容出力部45から出力された制御指令内容及び実制御応答内容を表示する表示部46とを用いて構成すると、実制御指令内容と実制御応答内容を時系列に表示することができ、実通信を再現することができる。
なお、実制御応答内容出力部45は、上記の機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成でき、表示部46にはパーソナルコンピュータPCS用の表示機器を使用することができる。
【0031】
比較手段40は、通信履歴保存手段26(通信履歴ファイル部34)内の制御指令内容と、実制御情報作成手段37(実制御情報ファイル部42)内の実制御指令内容を読み込み、制御指令内容と実制御指令内容を比較して差異の有無(一致の有無)を検出し、差異が有る(一致しない)場合に、差異の有無が検出された制御指令内容と実制御指令内容を抽出して出力する機能を備えた差異抽出部47と、出力された制御指令内容と実制御指令内容を表示する比較表示部48とを有している。ここで、制御指令内容と実制御指令内容が共に数値情報である場合は数値の不一致により、制御指令内容と実制御指令内容が共に文字情報である場合は文字及び文字列の不一致により、制御指令内容と実制御指令内容に差異が有ると判定する。
なお、差異抽出部47は、上記の機能を発現するプログラムをパーソナルコンピュータPCSに搭載することにより構成でき、比較表示部48にはパーソナルコンピュータPCS用の表示機器を使用することができる。
【0032】
続いて、本発明の一実施の形態に係る検査設備管理装置シミュレータ10を用いた検査設備管理装置11の動作確認試験の方法、即ち、検査設備管理装置シミュレーション方法について説明する。
検査設備管理装置シミュレーション方法は、通信回線12を用いて充放電検査設備13と接続し、充放電検査設備13に制御情報を送信しながら充放電検査設備13からの応答情報を受信することにより充放電検査設備13を用いた検査を行う検査設備管理装置11の動作確認試験を行う方法であって、充放電検査設備13の中で検査設備管理装置11による制御を受ける対象機器にそれぞれ対応する模擬対象機器を設定する模擬検査設備構成工程と、検査設備管理装置11から通信回線12を介して模擬対象機器に送信される制御情報を受信し、制御情報に対応する模擬対象機器の動作結果を示す制御応答内容及び検査結果を含む非制御応答内容からなる模擬応答内容を予め設定された様式に変換した模擬応答情報を、通信回線12を介して検査設備管理装置11に送信する送信工程と、制御情報を予め設定された様式に変換して得られる模擬対象機器に対する制御指令内容を、模擬応答内容と共に保存する通信履歴保存工程と、制御指令内容及び模擬応答内容を時系列に表示する表示工程とを有する。
【0033】
模擬検査設備構成工程において、検査設備管理装置11による制御を受ける対象機器に対応する模擬対象機器を設定する場合、検査設備管理装置11からの制御情報毎に直接的又は間接的に対応する応答情報の送信源と、送信源が使用する通信回線12の形態をそれぞれ規定した送信源情報群を予め作成して保存しておき、受信した制御情報に対して送信源毎に、応答情報の送信を行うか行わないかを設定するので、充放電検査設備13が存在していなくても、検査設備管理装置11の動作確認試験を行うことが可能となる。
そして、送信工程において、検査設備管理装置11からの制御情報に対応する模擬応答情報を検査設備管理装置11に送信するので、模擬応答情報に対する検査設備管理装置11の動作を時系列で確認することができる。これにより、検査設備管理装置11から充放電検査設備13に送信する制御情報の変更、修正を容易に行うことが可能になる。その結果、検査設備管理装置(具体的には、二次電池充放電検査プログラム)の製作を短期間で効率的に行うことができる。
【0034】
また、通信回線12として専用回線21(第1の回線)と汎用回線22(第2の回線)からなる2種類の回線を設け、制御情報と、制御応答内容を予め設定された様式に変換した制御応答情報の通信には専用回線21を使用し、非制御応答内容を予め設定された様式に変換した非制御応答情報の通信には汎用回線22を使用する。これによって、制御情報及び制御応答情報の通信と非制御応答情報の通信がそれぞれ独立して実行されることになる。ここで、専用回線21は高速性及び高信頼性を有し、汎用回線22は簡便性及び低コスト性を有するので、検査設備管理装置11、通信回線12、及び充放電検査設備13で構成される検査システムにおいて、制御の高速性及び高信頼性を図りながら検査システムの簡便性及び低コスト化を図ることが可能になる。
【0035】
そして、検査設備管理装置11と充放電検査設備13との間で実際に行われた実通信情報より、検査設備管理装置11から対象機器に送信された実制御情報と、対象機器から検査設備管理装置11に送信された実応答情報をそれぞれ抽出し、実制御情報を予め設定された様式に変換して形成される実制御指令内容と、実応答情報を予め設定された様式に変換して形成される実制御応答内容をそれぞれ保存すると共に、実制御指令内容と実制御応答内容を時系列に表示して実通信を再現、即ち、検査設備管理装置11の制御と充放電検査設備13の応答(動作結果及び動作状況)を容易に再現することができる。
これにより、例えば、充放電検査設備13においてトラブルが発生した場合、トラブルが発生した際の通信履歴(実制御情報と実応答情報)を取得し、実通信を再現することにより、トラブルの内容(実制御指令内容の異常及び/又は実制御応答内容の異常)を確認することができる。その結果、実制御指令内容の異常から検査設備管理装置11の改善内容を、実制御応答内容の異常から充放電検査設備13の改善内容や補修内容を、容易に確認することが可能になる。
【0036】
更に、制御指令内容と実制御指令内容を比較し差異を検出することができる。これにより、制御指令内容(即ち、開発中の二次電池充放電検査プログラム)に存在する問題点の検出、問題点の除去、問題点の是正を容易に行うことができる。
【0037】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。