(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水栓本体内に、固定弁体と、その固定弁体に対して移動可能な可動弁体とを設け、前記水栓本体の外側には前記可動弁体を移動させるための操作ハンドルを備えたシングルレバー水栓において、
前記固定弁体に摺動平面を形成するとともに、可動弁体をその摺動平面上において摺動可能に構成し、前記固定弁体には湯が供給される湯流路及び水が供給される水流路と、シャワーヘッドに連通されるシャワー流路及びカランに連通されるカラン流路とを形成し、前記可動弁体にはその移動により、前記湯流路及び水流路のうちの少なくとも一方と、前記シャワー流路及びカラン流路の一方とを連通させるための連通口を形成し、前記湯流路を一対設けるとともに、前記水流路を両湯流路間に配置したシングルレバー水栓。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
[実施形態の構成及び作用]
図1及び
図2に示すように、シングルレバー水栓21の水栓本体22は一対のクランク管27、28を介して浴室の壁面等(図示しない)に支持されている。水栓本体22の下部にはカラン24が設けられ、後部にはシャワーヘッド(図示しない)に至るシャワーホース25が接続されている。水栓本体22の前部にはシングル操作レバー(以下、単に操作レバーという)26が設けられている。
【0012】
そして、
図1に示すように、本実施形態において操作レバー26が上向きに配置されている状態はシャワー吐出対応位置である。このシャワー吐出対応位置において、操作レバー26が
図1に実線で示す起立位置にあるときには、湯吐出位置Aであり、2点鎖線で示す右側に傾斜した位置にあるときには水吐出位置Cであり、その両位置A、C間の位置が混合水吐出位置である。そして、これらの各位置A、C等において操作レバー26が水栓本体22側に押し込まれたときには止水され、各位置A、C等において、操作レバー26が手前側に引き倒されたとき(例えば
図1の位置B)には、湯、水または混合水が吐出され、その引き倒し量に応じて吐出量が調節される。
【0013】
図2に示すように、本実施形態において操作レバー26が下向きに配置されている状態はカラン吐出対応位置である。この位置において、操作レバー26が
図2に実線で示す下側位置にあるときには、湯吐出位置Dであり、2点鎖線で示す右側に傾斜した位置にあるときには水吐出位置Fであり、それらの両位置D、F間の位置が混合水吐出位置である。これらの各位置において操作レバー26が手前側に引き起こされたとき(例えば
図2の位置E)には、湯、水または混合水が吐出され、その引き起こし量に応じて吐出量が調節される。
【0014】
以下に、このシングルレバー水栓21の詳細について説明する。
図4〜
図6に示すように、前記水栓本体22の内部には、区画壁30より、同水栓本体22の後部側の左右に位置する湯通路31及び水通路32と、中央部に位置するシャワー通路33及びカラン通路34とが区画されるとともに、前部側の中央には前端を開放した混合室35が区画されている。湯通路31、水通路32の後端の接続口311、321にはそれぞれ前記クランク管27、28が接続されている。クランク管27を通して湯通路31が給湯源(図示しない)に接続されるとともに、クランク管28を通して水通路32が給水源(図示しない)に接続されている。シャワー通路33の後端には前記シャワーホース25が連結されている。カラン通路34の下端には前記カラン24が接続されている。
【0015】
図4及び
図6に示すように、湯通路31は180度離れた上下一対の通湯孔36、37を介して前記混合室35に接続されている。水通路32は前記通湯孔36、37間に位置するひとつの通水孔38を介して混合室35に接続されている。混合室35はシャワー接続孔39を介してシャワー通路33に接続されている。また、混合室35はカラン接続孔40を介してカラン通路34に接続されている。
【0016】
従って、給湯源からの湯が湯通路31から通湯孔36、37を介して混合室35に至り、その混合室35からシャワー接続孔39及びカラン接続孔40を介してシャワーヘッド及びカラン24に供給される。また、給水源からの水が水通路32から通水孔38を介して混合室35に至り、その混合室35からシャワー接続孔39及びカラン接続孔40を介してシャワーヘッド及びカラン24に供給される。
【0017】
図3(a)及び
図7〜
図9(特に、
図8参照)に示すように、前記混合室35内にはカップ形状の弁体ケース41が収容固定されている。
図3(b)に示すように、弁体ケース41の底壁411には前記通湯孔36、37、通水孔38、シャワー接続孔39、カラン接続孔40とそれぞれ連通する湯連通孔42、43、水連通孔44(
図4参照)、シャワー連通孔45及びカラン連通孔46が透設されている。
【0018】
弁体ケース41内における底壁411上には、セラミック板材よりなる円板状の固定弁体51が収容固定されている。
図10〜
図16に示すように、固定弁体51には、前記湯連通孔42、43、水連通孔44、シャワー連通孔45及びカラン連通孔46とそれぞれ対応する湯流路52、53、水流路54、シャワー流路55及びカラン流路56が透設されている。これらの湯流路52、53、水流路54、シャワー流路55及びカラン流路56は同心状に配置され、湯流路52、53、水流路54が外側に、シャワー流路55及びカラン流路56が内側に配置されている。
【0019】
図3(a)及び
図7〜
図9(特に、
図8参照)に示すように、前記弁体ケース41の表裏両面には、それぞれシールリング57、58が設けられており、これらのシールリング57、58は湯流路52、53、水流路54、シャワー流路55及びカラン流路56の両端開口の周囲をシールしている。
【0020】
前記弁体ケース41内において前記固定弁体51上の摺動平面にはその固定弁体51より小径のセラミック板材よりなる円板状の可動弁体61が接合されている。この可動弁体61は、固定弁体51と接触状態を維持しながら固定弁体51の摺動平面上を摺動される。この可動弁体61はカップ状の弁体本体62と、その弁体本体62の開口部に嵌合固定された蓋体63とにより構成され、蓋体63の外周面と弁体本体62の内周面との間にはシールリング64が介在されている。弁体本体62と蓋体63との間には、室66が形成されている。
【0021】
図10〜
図16に示すように、弁体本体62の底壁には可動弁体61の摺動にともなって前記各流路52〜56に連通可能な連通口65が形成されている。蓋体63の固定弁体51と反対側の面には低い角筒状の連結部631が形成されている。
【0022】
図7〜
図9に示すように、前記弁体ケース41の開口には蓋状のレバー支持体71が固定され、その中央には円筒状のボス72が形成されている。このボス72内の同軸上には回転スリーブ73が回転可能に支持され、その内部には支持軸74が架設されている。支持軸74には断面四角形の連結レバー75が回転可能に支持されており、その一端が前記蓋体63の連結部631に相対回転不能に、かつ傾動可能に嵌合されている。
【0023】
連結レバー75の他端には前記操作レバー26がカラー76を介して連結されており、この操作レバー26の操作により、連結レバー75を介して前記可動弁体61が固定弁体51と接触を維持した状態で前後左右及びそれらの合成方向に移動されるとともに、弁体ケース41の軸線及びその軸線と平行な軸線を中心に回転される。
【0024】
水栓本体22の前端には前記レバー支持体71と操作レバー26との間の部分を隠蔽するカバー77が設けられている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0025】
(湯シャワー吐出)
操作レバー26が
図1に実線で示す位置及び
図7に示す位置、すなわち、湯シャワー吐出対応位置において位置Aに配置された場合には、
図10(a)に示すように、可動弁体61が同図の下側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のシャワー流路55と対応しているものの、湯流路52外に位置しているため、止水状態にある。
【0026】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き倒されると、
図10(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がシャワー流路55との対応状態で湯流路52と対応し、湯通路31からの湯が通湯孔36、湯連通孔42、湯流路52、連通口65、シャワー流路55を通り、シャワー連通孔45、シャワー接続孔39を介してシャワー通路33及びシャワーホース25に流れ、シャワーヘッドから湯が吐出される。
【0027】
図10(b)の状態では、連通口65が湯流路52の広い面積領域と対応しているため、シャワー最大流量状態であり、
図10(c)の状態では、連通口65と対応する湯流路52の面積が狭くなるため、シャワー中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き倒し量に応じて、狭くなった対応面積が拡大または縮小されて湯シャワー吐出量を無段階に調節できる。
【0028】
(水シャワー吐出)
操作レバー26が
図1に実線で示す位置から2点鎖線で示す位置から位置Aに回動配置された場合には、
図11(a)に示すように、可動弁体61が同図の斜め下側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のシャワー流路55と対応しているものの、水流路54外に位置しているため、止水状態にある。
【0029】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き倒されると、
図11(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がシャワー流路55との対応状態で水流路54と対応し、水通路32からの水が通水孔38、水連通孔44、水流路54、連通口65、シャワー流路55を通り、シャワー連通孔45、シャワー接続孔39を介してシャワー通路33及びシャワーホース25に流れ、シャワーヘッドから水が吐出される。
【0030】
図11(b)の状態では、連通口65が水流路54の広い面積領域と対応しているため、シャワー最大流量状態であり、
図11(c)の状態では、連通口65と対応する水流路54の面積が狭くなるため、シャワー中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き倒し量に応じて、狭くなった対応面積が拡大または縮小されて水シャワー吐出量を無段階に調節できる。
【0031】
(混合水シャワー吐出)
操作レバー26が
図1の位置Aと位置Cとの間の位置に回動配置された場合には、
図12(a)に示すように、可動弁体61が同図の斜め下側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のシャワー流路55と対応しているものの、湯流路52及び水流路54外に位置しているため、止水状態にある。
【0032】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き倒されると、
図12(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がシャワー流路55との対応状態で湯流路52及び水流路54と対応し、湯通路31からの湯が通湯孔37、湯連通孔42、湯流路52、連通口65、シャワー流路55を通り、シャワー連通孔45、シャワー接続孔39を介してシャワー通路33及びシャワーホース25に流れる。また、水通路32からの水が通水孔38、水連通孔44、水流路54、連通口65、シャワー流路55を通り、シャワー連通孔45、シャワー接続孔39を介してシャワー通路33及びシャワーホース25に流れる。このため、シャワーヘッドから混合水が吐出される。
【0033】
図12(b)の状態では、連通口65が湯流路52及び水流路54の広い面積領域と対応しているため、シャワー最大流量状態であり、
図12(c)の状態では、連通口65の対応する湯流路52及び水流路54の面積が狭くなるため、シャワー中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き倒し量に応じて、狭くなった対応面積が拡大またが縮小されて混合水シャワー吐出量を無段階に調節できる。
【0034】
また、操作レバー26の位置Aと位置Cとの間の回転角度に応じて、湯流路52及び水流路54に対する連通口65の対応割合が変更されて、湯と水との混合割合が調整され、混合水の温度が調節される。
【0035】
(湯カラン吐出)
操作レバー26が
図2に実線で示す位置及び
図9に示す位置、すなわち、湯カラン吐出対応位置において位置Dに配置された場合には、
図13(a)に示すように、可動弁体61が同図の上側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のカラン流路56と対応しているものの、湯流路53外に位置しているため、止水状態にある。
【0036】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き起こされると、
図13(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がカラン流路56との対応状態で湯流路53と対応し、湯通路31からの湯が通湯孔36、湯連通孔42、湯流路53、連通口65、カラン流路56を通り、カラン連通孔46、カラン接続孔40を介してカラン通路34に流れ、カラン24から湯が吐出される。
【0037】
図13(b)の状態では、連通口65が湯流路53の広い面積領域と対応しているため、カラン最大流量状態であり、
図13(c)の状態では、連通口65と対応する湯流路53の面積が狭くなるため、カラン中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き起こし量に応じて、狭くなった対応面積が拡大または縮小されて湯カラン吐出量を無段階に調節できる。
【0038】
(水カラン吐出)
操作レバー26が
図2に2点鎖線で示す位置Dに配置された場合には、
図14(a)に示すように、可動弁体61が同図の左側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のカラン流路56と対応しているものの、水流路54外に位置しているため、止水状態にある。
【0039】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き起こされると、
図14(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がカラン流路56との対応状態で水流路54と対応し、水通路32からの水が通水孔38、水連通孔44、水流路54、連通口65、カラン流路56を通り、カラン連通孔46、カラン接続孔40を介してカラン通路34に流れ、カラン24から水が吐出される。
【0040】
図14(b)の状態では、連通口65が水流路54の広い面積領域と対応しているため、カラン最大流量状態であり、
図14(c)の状態では、連通口65と対応する水流路54の面積が狭くなるため、カラン中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き起こし量に応じて、狭くなった対応面積が拡大または縮小されて水カラン吐出量を無段階に調節できる。
【0041】
(混合水カラン吐出)
操作レバー26が
図2の位置Dと位置Fとの間の位置に回動配置された場合には、
図15(a)に示すように、可動弁体61が同図の斜め上側に位置して、その可動弁体61の連通口65が固定弁体51のカラン流路56と対応しているものの、湯流路53及び水流路54外に位置しているため、止水状態にある。
【0042】
この状態において、操作レバー26が手前側に引き起こされると、
図15(b)、(c)に示すように、可動弁体61の移動により、連通口65がカラン流路56との対応状態で湯流路53及び水流路54と対応し、湯通路31からの湯が通湯孔37、湯連通孔42、湯流路53、連通口65、カラン流路56を通り、カラン連通孔46、カラン接続孔40を介してカラン通路34に流れる。また、水通路32からの水が通水孔38、水連通孔44、水流路54、連通口65、カラン流路56を通り、カラン連通孔46、カラン接続孔40を介してカラン通路34に流れる。このため、カラン24から混合水が吐出される。
【0043】
図15(b)の状態では、連通口65が湯流路53及び水流路54の広い面積領域と対応しているため、カラン最大流量状態であり、
図15(c)の状態では、連通口65と対応する湯流路53及び水流路54の面積が狭くなるため、カラン中間流量状態である。そして、操作レバー26の引き起こし量に応じて、狭くなった対応面積が拡大または縮小されて混合水カラン吐出量を無段階に調節できる。
【0044】
また、操作レバー26の位置Dと位置Fとの間の回転角度に応じて、湯流路53及び水流路54に対する連通口65の対応割合が変更されて、湯と水との混合割合が調整され、混合水の温度が調節される。
【0045】
(切替途中)
図16(a)〜(c)は、シャワー吐水とカラン吐水との切替途中において、操作レバー26がシャワー側とカラン側との間に位置する状態を示している。
【0046】
[実施形態の効果]
以上のように構成された実施形態は以下の効果を発揮する。
(1)単一の操作レバー26により、1枚の可動弁体61を1枚の固定弁体51の摺動平面上において摺動させることにより、湯、水及び混合水をシャワーヘッド及びカランの双方から吐出させることができる。このように、水栓からの吐水、止水や温度調節を単一の操作レバー26によって操作することができて、取り扱いが容易である。
【0047】
(2)1枚の固定弁体51に対して1枚の可動弁体61を固定弁体51の摺動平面上において摺動させることにより、前記のように湯、水及び混合水をシャワーヘッド及びカランの双方から吐出させることができる。従って、操作レバー26がひとつしか設けられていないことと相俟って、部品が少なくなり、構成が簡単になる。このため、水栓の製作も容易になる。
【0048】
(3)固定弁体51及び可動弁体61の双方が板状をなしているので、両弁体51、61をセラミックによって簡単に構成できる。従って、両弁体51、61を耐久性に優れたものにすることができる。
【0049】
(4)固定弁体51に湯流路52、53が一対設けられ、水流路54が両湯流路52、53間に配置されているため、固定弁体51をコンパクトにできて、ひいては固定弁体51上の可動弁体61もコンパクトにできて、水栓全体の小形軽量化を図り得る。
【0050】
(5)固定弁体51の湯流路52、53、水流路54、シャワー流路55及びカラン流路56が同心状に配置されているため、固定弁体51を小径化できるとともに、可動弁体61の移動領域を狭くすることができる。従って、水栓全体の小形軽量化を図り得る。
【0051】
[変更例]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
【0052】
・固定弁体51及び可動弁体61をセラミック以外の材質で構成すること。この場合、両弁体51、61の摺動面には耐磨耗性の膜を形成することが好ましい。
・可動弁体61に室66を設けないようにすること。