特許第6496544号(P6496544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6496544ブラシテーブル清掃具の収納装置,ブラシテーブル清掃具,板材加工機,及びブラシテーブル清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496544
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ブラシテーブル清掃具の収納装置,ブラシテーブル清掃具,板材加工機,及びブラシテーブル清掃方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20190325BHJP
   B21D 43/10 20060101ALI20190325BHJP
   B21D 28/36 20060101ALI20190325BHJP
   B23K 26/70 20140101ALN20190325BHJP
【FI】
   B21D43/00 K
   B21D43/10 E
   B21D28/36 A
   !B23K26/70
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-260238(P2014-260238)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-120502(P2016-120502A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】種田 吉晃
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 諭
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−320318(JP,A)
【文献】 特開2001−269300(JP,A)
【文献】 実開平05−013348(JP,U)
【文献】 特開2010−181941(JP,A)
【文献】 特開平09−234530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00 − 43/28
B21D 28/36
B21D 26/70
B23K 26/70
B26D 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板体と、前記板体の一面側に延在するよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットを前記板体に対して着脱自在に取り付ける固定具と、を備えると共に、ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットが前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具を、水平姿勢で支持する収納本体部と、
前記収納本体部を支持すると共に、前記収納本体部に収納された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、前記ブラシテーブルに載置された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、が一致するよう前記収納本体部を昇降させる昇降部と、
を備え、
前記収納本体部は、前記汚れ吸着マットを手作業で交換可能とする開口部又は切込み部を有していることを特徴とするブラシテーブル清掃具の収納装置。
【請求項2】
板体と、前記板体の一面側に延在するよう取り付けられた汚れ吸着マットと、を備え、ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットが前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具を水平姿勢で支持する収納本体部と、
前記収納本体部を支持すると共に、前記収納本体部に収納された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、前記ブラシテーブルに載置された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、が一致するよう前記収納本体部を昇降させる昇降部と、
を備え、
前記収納本体部は、前記昇降部に対し、収納した前記ブラシテーブル清掃具が水平姿勢となる位置と傾斜姿勢又は鉛直姿勢となる位置との間で回動自在に支持されていることを特徴とするブラシテーブル清掃具の収納装置。
【請求項3】
板体と、前記板体の一面側に延在すると共に両端部が他面側にあるよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットの前記両端部を前記板体の他面側に着脱自在に取り付ける固定具と、を備え、
前記板体は、縁部に沿って延びる一対の長孔を有し、
前記汚れ吸着マットの前記両端部は、前記一対の長孔それぞれから前記他面側に引き出されて前記固定具で取り付けられており、
ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具。
【請求項4】
板体と、前記板体の一面側に延在すると共に両端部が他面側にあるよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットの前記両端部を前記板体の他面側に着脱自在に取り付ける固定具と、を備え、
前記汚れ吸着マットの前記両端部は、前記板体の一対の端部を覆うように回り込んで前記他面側において前記固定具で取り付けられており、
ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具。
【請求項5】
板状のワークを把持するワーククランパと、
前記板状のワークを支持する複数のブラシが植設されたブラシテーブルと、
前記ワーククランパで把持した前記ワークを前記ブラシテーブル上で移動させるワーク移動部と、
を備えた板材加工機であって、
前記ワーククランパによって、請求項3又は請求項4記載のブラシテーブル清掃具を前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持し、前記ブラシテーブル上において所望の移動パターンで移動させる制御部を備えたことを特徴とする板材加工機。
【請求項6】
板材加工機のブラシテーブルを清掃するブラシテーブル清掃方法であって、
汚れ吸着マットを、板体の一面側に延在させると共に両端部を他面側において着脱自在に取り付けて清掃具とする汚れ吸着マット取り付けステップと、
前記清掃具を、前記板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在した部分を前記ブラシテーブル側となる向きで把持する把持ステップと、
前記把持ステップで把持した前記清掃具を、前記ブラシテーブル上で移動させる移動ステップと、
を含み、
前記汚れ吸着マット取付ステップにおいて、
前記板体を縁部に沿って延びる一対の長孔を有するものとし、前記汚れ吸着マットを、前記一対の長孔の間で前記板体の一面側に延在させると共に両端部を前記一対の長孔それぞれから前記板体の前記他面側に引き出して取り付けることを特徴とするブラシテーブル清掃方法。
【請求項7】
板材加工機のブラシテーブルを清掃するブラシテーブル清掃方法であって、
汚れ吸着マットを、板体の一面側に延在させると共に両端部を他面側において着脱自在に取り付けて清掃具とする汚れ吸着マット取り付けステップと、
前記清掃具を、前記板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在した部分を前記ブラシテーブル側となる向きで把持する把持ステップと、
前記把持ステップで把持した前記清掃具を、前記ブラシテーブル上で移動させる移動ステップと、
を含み、
前記汚れ吸着マット取付ステップにおいて、
前記汚れ吸着マットを前記板体の一面側に延在させると共に両端部を前記板体の一対の端部を覆うように回り込ませて前記板体の前記他面側において取り付けることを特徴とするブラシテーブル清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシテーブル清掃具の収納装置,ブラシテーブル清掃具,板材加工機,及びブラシテーブル清掃方法に係る。
【背景技術】
【0002】
タレットパンチプレスやレーザ加工機などの板材加工機では、ワークテーブルとして、樹脂製のブラシを多数植設したいわゆるブラシテーブルが多用される。
ブラシテーブルは、加工に供される板材を樹脂製のブラシによって支持するため、板材の裏面に擦り傷がつきにくいという特長がある。
一方、ブラシテーブルのブラシは、加工時間の累積と共に汚れが付着し、付着した汚れが板材を汚染して不良を誘発する場合がある。
そのため、作業現場では、ブラシの汚れが顕著になった時点で、ブラシの掃除を、ウエスによる拭き取りなどとして手作業で行うのが一般的である。
一方、この作業者の掃除の負担を軽減するためのブラシテーブル清掃装置が提案されており、一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたブラシテーブル清掃装置は、板材加工機に予め搭載される装置である。
具体的には、ブラシテーブル上で板材を位置決め移動するX軸キャリッジに備えられてY軸に並行な回転軸を有するブラシローラと、その回転軸に設けられると共にX軸キャリッジに取り付けられたラックに係合する歯車と、を備えている。
この構成において、ブラシローラをブラシに接触させるように配置しX軸キャリッジを移動させることで、ラック及び歯車を介してブラシローラが回転してブラシの清掃ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−320318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラシの掃除を手作業で行う場合は、長時間で手間のかかる作業となるため、短時間で容易にできるような負担改善が望まれる。
一方、特許文献1に記載されたブラシテーブル清掃装置は、予め板状加工機に搭載されるものであるため、設置済みの板材加工機への適用は容易ではない。
また、ブラシテーブル清掃装置に対し、ブラシローラの掃除や交換などのメンテナンスを行う場合には板材加工機を停止させる必要があるため、板材加工機を高効率で稼働させる観点から更なる改善の余地がある。
このように、板材加工機のブラシテーブルの清掃を、その板材加工機が設置済みか否かによらず、容易に、かつ板材加工機の稼働効率を低下させずに行えることが望まれていた。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ブラシテーブルの清掃を、板材加工機が設置済みか否かに拘わらず、稼働効率を低下させず容易に行うことができるブラシテーブル清掃具の収納装置,ブラシテーブル清掃具,板材加工機,及びブラシテーブル清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成、手順を有する。
1) 板体と、前記板体の一面側に延在するよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットを前記板体に対して着脱自在に取り付ける固定具と、を備えると共に、ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットが前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具を、水平姿勢で支持する収納本体部と、
前記収納本体部を支持すると共に、前記収納本体部に収納された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、前記ブラシテーブルに載置された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、が一致するよう前記収納本体部を昇降させる昇降部と、
を備え、
前記収納本体部は、前記汚れ吸着マットを手作業で交換可能とする開口部又は切込み部を有していることを特徴とするブラシテーブル清掃具の収納装置である。
2) 板体と、前記板体の一面側に延在するよう取り付けられた汚れ吸着マットと、を備え、ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットが前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具を水平姿勢で支持する収納本体部と、
前記収納本体部を支持すると共に、前記収納本体部に収納された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、前記ブラシテーブルに載置された前記ブラシテーブル清掃具の高さと、が一致するよう前記収納本体部を昇降させる昇降部と、
を備え、
前記収納本体部は、前記昇降部に対し、収納した前記ブラシテーブル清掃具が水平姿勢となる位置と傾斜姿勢又は鉛直姿勢となる位置との間で回動自在に支持されていることを特徴とするブラシテーブル清掃具の収納装置である。
3) 板体と、前記板体の一面側に延在すると共に両端部が他面側にあるよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットの前記両端部を前記板体の他面側に着脱自在に取り付ける固定具と、を備え、
前記板体は、縁部に沿って延びる一対の長孔を有し、
前記汚れ吸着マットの前記両端部は、前記一対の長孔それぞれから前記他面側に引き出されて前記固定具で取り付けられており、
ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具である。
4) 板体と、前記板体の一面側に延在すると共に両端部が他面側にあるよう取り付けられた汚れ吸着マットと、前記汚れ吸着マットの前記両端部を前記板体の他面側に着脱自在に取り付ける固定具と、を備え、
前記汚れ吸着マットの前記両端部は、前記板体の一対の端部を覆うように回り込んで前記他面側において前記固定具で取り付けられており、
ブラシテーブルを有する板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持可能とされたブラシテーブル清掃具である。
5) 板状のワークを把持するワーククランパと、
前記板状のワークを支持する複数のブラシが植設されたブラシテーブルと、
前記ワーククランパで把持した前記ワークを前記ブラシテーブル上で移動させるワーク移動部と、
を備えた板材加工機であって、
前記ワーククランパによって、3)又は4)に記載のブラシテーブル清掃具を前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在する部分が前記ブラシテーブル側となる姿勢で把持し、前記ブラシテーブル上において所望の移動パターンで移動させる制御部を備えたことを特徴とする板材加工機である。
6) 板材加工機のブラシテーブルを清掃するブラシテーブル清掃方法であって、
汚れ吸着マットを、板体の一面側に延在させると共に両端部を他面側において着脱自在に取り付けて清掃具とする汚れ吸着マット取り付けステップと、
前記清掃具を、前記板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在した部分を前記ブラシテーブル側となる向きで把持する把持ステップと、
前記把持ステップで把持した前記清掃具を、前記ブラシテーブル上で移動させる移動ステップと、
を含み、
前記汚れ吸着マット取付ステップにおいて、
前記板体を縁部に沿って延びる一対の長孔を有するものとし、前記汚れ吸着マットを、前記一対の長孔の間で前記板体の一面側に延在させると共に両端部を前記一対の長孔それぞれから前記板体の前記他面側に引き出して取り付けることを特徴とするブラシテーブル清掃方法である。
7) 板材加工機のブラシテーブルを清掃するブラシテーブル清掃方法であって、
汚れ吸着マットを、板体の一面側に延在させると共に両端部を他面側において着脱自在に取り付けて清掃具とする汚れ吸着マット取り付けステップと、
前記清掃具を、前記板材加工機のワーククランパによって、前記汚れ吸着マットにおける前記一面側に延在した部分を前記ブラシテーブル側となる向きで把持する把持ステップと、
前記把持ステップで把持した前記清掃具を、前記ブラシテーブル上で移動させる移動ステップと、
を含み、
前記汚れ吸着マット取付ステップにおいて、
前記汚れ吸着マットを前記板体の一面側に延在させると共に両端部を前記板体の一対の端部を覆うように回り込ませて前記板体の前記他面側において取り付けることを特徴とするブラシテーブル清掃方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシテーブルの清掃を、板材加工機が設置済みか否かに拘わらず、稼働効率を低下させず容易に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るブラシテーブル清掃具の実施例であるブラシ清掃具1を説明するための平面図ある。
図2図2は、図1におけるS2−S2位置での断面図である。
図3図3は、ブラシ清掃具1を用いてブラシ19の清掃を行うタレットパンチプレス11を説明するための模式的平面図である。
図4図4は、ブラシ清掃具1とブラシ19の接触状態を説明するための部分断面図である。
図5図5は、ブラシ清掃具1の清掃動作における移動パターンの例を説明するための模式的平面図である。
図6図6は、ブラシ清掃具1を収納する収納装置31を説明するための側面図(部分断面)である。
図7図7は、収納装置31を説明するための平面図である。
図8図8は、収納装置41を説明するための側面図である。
図9図9は、ブラシ清掃具1の変形例であるブラシ清掃具1Aを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係るブラシテーブル清掃具の実施例であるブラシ清掃具1を説明する。
図1は、ブラシ清掃具1の平面図である。図2図1におけるS2−S2位置での断面図であり、中央部を破断省略している。
【0011】
ブラシ清掃具1は、矩形の板体2と、板体2に取り付けられた汚れ吸着マット3と、汚れ吸着マット3を板体2に着脱自在に固定する固定具4と、を有する。
詳しく説明すると、板体2は、例えば厚さ6mmの鋼板であって、対向する一対の縁部2a,2aそれぞれに沿って延びる矩形の長孔2b,2bが形成されている。
固定具4は、例えば面ファスナのフック側の部材であり、長孔2bの長手に対応した長さの短冊状に形成されている。以下、固定具4をフック部材4とも称する。
フック部材4は、板体2の一方の面2c(以下、上面2cと称する)における縁部2aと長孔2bとの間の部分に取り付けられている。この取り付けには、例えば両面テープ或いは接着剤が用いられる。
【0012】
汚れ吸着マット3は、油や塵埃などの汚れを吸着するマットである。例えば、ポリプロピレン製不織布の油吸着マットを用いることができる。具体的製品例は、ピグマット(ピグは登録商標)RFL631である。
汚れ吸着マット3は、外形形状が矩形とされる。
ブラシ清掃具1において、汚れ吸着マット3は、板体2に対し、一対の長孔2b,2b間が下面2dに概ね密着するように延在し、一対の縁部2a,2a側が長孔2b,2bを通して上面2c側に引き出されている。さらに、引き出された両端部は、素材が面ファスナのループ部材として機能するのでフック部材4に係止させることができ、これにより汚れ吸着マット3は板体2に着脱自在に取り付けられている。
素材が面ファスナのループ部材として機能しない場合は、汚れ吸着マット3の両端部に、面ファスナのループ部材を両面テープ或いは接着剤により取り付けておく。
【0013】
汚れ吸着マット3の板体2への取り付けは、作業者の手で行われる。その際、下面2dに沿って延在する部分に弛みが生じないよう引っ張りながらフック部材4へ係止される。
【0014】
上述から明らかなように、ブラシ清掃具1は、板体2の下面2d側が、一対の長孔2b,2bの間において汚れ吸着マット3の厚み分だけ突出している。
汚れ吸着マット3が下面2d側に突出延在した部分を清掃部3aと称し、上面2c側に引き出されて固定具4に固定された部分を固定部3bと称する。
【0015】
次に、ブラシ清掃具1を用いたブラシテーブルのブラシ清掃について、図3図5を参照して説明する。
まず、模式的平面図である図3を参照し、板材加工機であるタレットパンチプレス11について説明する。説明の便宜上、X軸及びY軸と各軸の+−方向とを、図3に示された矢印で規定する。
また、X軸及びY軸に直交する方向を上下方向として規定する。上方は図3における紙面表方向である。
【0016】
タレットパンチプレス11は、Y軸方向に延びる下部フレーム12と、下部フレーム12に対応しその上方に門型に形成された上部フレーム13(一点鎖線で図示)と、を有する。
下部フレーム12における上部には、円盤状の下タレット14Bが回転自在に設けられ、上部フレーム13における下部には、円盤状の上タレット14Uが回転自在に設けられている。
下タレット14Bには、複数のダイ金型Dが周方向に適宜間隔で、かつ複数着脱自在に装着され、上タレット14Uには複数のパンチ金型Pが周方向に適宜間隔で、かつ着脱自在に装着される。パンチ加工の際には、協働でパンチ加工を行うダイ金型とパンチ金型との組が適宜選択されると共にパンチ位置Kに割り出しされ、後述するワークテーブル18に支持された板状のワークWに対し、パンチ加工が施される。
【0017】
下部フレーム12における上部には、Y軸方向に延びる中央テーブル15が配設されている。
また、中央テーブル15に対しX軸方向の+側には、連結テーブル16aとそれを挟んでサイドテーブル17aが配設されている。また、−側には、連結テーブル16bとそれを挟んでサイドテーブル17bが配設されている。
中央テーブル15と連結テーブル16a,16bとサイドテーブル17a,17bとで、ワークテーブル18が構成される。
ワークテーブル18の上面には、複数の樹脂製のブラシ19が上方に向け起立するよう植設されている。植設パターンは、例えば図3に示される千鳥状である。
タレットパンチプレス11の稼働時には、これらの複数のブラシ19によってワークWを支持し、ワークテーブル18はいわゆるブラシテーブルとして機能する。
【0018】
ワークテーブル18の上方には、X軸方向に延びるキャリッジベース20が設けられている。キャリッジベース20は、上部フレーム13に設けられたY軸駆動機構(図示せず)に連結され、Y軸方向に移動可能とされている。
キャリッジベース20には、キャリッジ21が、X軸駆動機構(図示せず)によってX軸方向に移動可能に取り付けられている。
また、キャリッジ21には、板状のワークWを把持するための複数のワーククランパ22が、クランプ移動機構(図示せず)によってX軸方向に移動可能に取り付けられている。
ワーククランパ22は、クランパ駆動部(図示せず)によって板状のワークWやブラシ清掃具1を、その板厚方向となる上下方向から把持する。
【0019】
タレットパンチプレス11は、この構成により、パンチ加工に供するワークWを、ワーククランパ22によって把持すると共にキャリッジ21及びキャリッジベース20を移動させることで、ワークテーブル18上を複数のブラシ19で支持しながら任意のX−Y方向に移動することができる。
すなわち、ワークWの所望位置をパンチ位置Kに位置決めしてパンチ加工を施すことができる。
キャリッジベース20とキャリッジ21とを纏めてワーク移動部WAとも称する。
ワーク移動部WAの動作を含むタレットパンチプレス11の動作は、タレットパンチプレス11に備えられた制御部CTにより制御される。制御部CTは、外部に設けられ、有線又は無線により制御を行うように構成されていてもよい。
【0020】
次に、ワークテーブル18のブラシ19を、ブラシ清掃具1を用いて清掃する作業について説明する。
まず、作業者が、ブラシ清掃具1をワークテーブル18の所定位置に載置する。次いで、図3に示されるように、載置したブラシ清掃具1の縁部をワーククランパ22で把持する。そして、把持したブラシ清掃具1を、キャリッジ21及びキャリッジベース20によってワークテーブル18における清掃すべき領域上で移動させる。
【0021】
図4は、ワーククランパ22によってブラシ清掃具1を把持した状態での、ブラシ19と汚れ吸着マット3との接触関係を説明するための部分断面図である
図4に示されるように、ブラシ19は、その先端部が、ブラシ清掃具1における清掃部3aにおいて汚れ吸着マット3に下方に押し付けられるように強く当たっている。
この状態でキャリッジ21を移動させると、ブラシ清掃具1は、図4の矢印Da方向(X軸方向)に移動し、キャリッジベース20を移動させると矢印Da方向に直交する方向(Y軸方向)に移動する。これにより、ブラシ19の先端部が汚れ吸着マット3によって擦られる。
この擦りによって、ブラシ19に付着していた種々の汚れが汚れ吸着マット3側に吸着され、ブラシ19は清掃される。
【0022】
ワークテーブル18上の所望の清掃範囲のブラシ19を清掃しようとする場合、その清掃範囲に対し、ワーククランパ22で把持したブラシ清掃具1を所望の移動パターンで移動させるとよい。
移動パターンの例が模式的平面図である図5(a)〜(b)に示される。
すなわち、図5(a)に示されるX軸方向(又はY軸方向)の直動での往復動、図5(b)に示される斜め方向の往復動、図5(c)に示される円や楕円などの閉曲線を軌跡として移動させる周回動、がある。もちろん、これらの動作を組み合わせた移動パターンであってもよい。
移動パターンは、制御部CTが備える記憶部MRに予め記憶させておく。制御部CTは、記憶された移動パターンに基づいて清掃動作を実行する。
移動パターンは、もちろん清掃動作実行時に作業者が手動で設定してもよい。
【0023】
ブラシ清掃具1の外形形状は、上述の矩形に限定されないが、ワークテーブル18のブラシ19が植設された領域すべてを効率よく清掃可能とするために、矩形とするのが好ましい。
また、ブラシ清掃具1を矩形とした場合の清掃部3aのY軸方向の長さである汚れ吸着マットの幅La(図1参照)は、清掃するタレットパンチプレス11において加工可能とされるワークの最大Y軸方向長さと同じにすることが望ましい。
また、X軸方向の長さは限定されず、ワーククランパ22等の掴み替え動作を行うことでブラシ植設領域全体を清掃可能となる長さに設定することが望ましい。
【0024】
上述の清掃作業は、ブラシ清掃具1をその保管場所からワークテーブル18上に載置するまでの搬送は、作業者が行う。
ブラシ清掃具1を大型化した場合や板体2を高比重材で形成した場合は、ブラシ清掃具1の質量が比較的大きくなる。この場合、作業者の搬送負担を軽減すべく、次に説明するブラシ清掃具の収納装置31(以下、単に収納装置31とも称する)を用いるとよい。
図6は、収納装置31を説明するための側面図(一部断面図)であり、サイドテーブル17bの一部と共に示されている。また、図7は、収納装置31及びそれに収納されるブラシ清掃具1を併記した平面図である。図6の断面位置は、図7におけるS6−S6位置である。
【0025】
図6及び図7に示されるように、収納装置31は、キャスタ32を有して床FL上を移動可能とされた台座33と、台座33から上方に延出するパンタグラフ式の昇降部34と、昇降部34に支持された収納本体部35と、を有している。
収納本体部35は、上面視がブラシ清掃具1よりも一回り大きい矩形を呈する。収納本体部35の上面を有する支持面部35aには、中央部に矩形の開口部35bが形成されている。また支持面部35aの四つの縁部の内、図6及び図7の右方側の縁部を除く三つの縁部に、壁部35cが立設形成されている。
支持面部35aにおける開口部35bの周囲には、ボールやローラなどを利用した回転支持具35dが、適宜間隔で複数取り付けられ、一定の高さで板状部材を移動可能に支持できるようになっている。
【0026】
収納本体部35における壁部35cに囲まれた部分には、図7に示されるように、壁部35cが形成されていない縁部側からブラシ清掃具1を進入させて(図6及び図7の矢印Db参照)収納することができるようになっている。収納本体部35に収納されたブラシ清掃具1は、図6において二点鎖線で示されている。
これにより、作業者は、ブラシ清掃具1を直接把持して持ち運ぶことなく、収納装置31に収納した状態で床の上を移動することができる。
この移動は、収納装置31がキャスタ32を備えているため極めて容易である。
【0027】
また、昇降部34の高さ調整により、回転支持具35dで支持されるブラシ清掃具1の床FLからの高さと、サイドテーブル17bのブラシ19で支持されたブラシ清掃具1の床FLからの高さと、を一致させて同じ高さHaとすることができる。
これにより、作業者は、収納装置31とワークテーブル18との間で、ブラシ清掃具1を水平移動のみで載せ替えることができ、作業負担がさらに軽減する。
【0028】
また、開口部35bは、収納本体部35aにブラシ清掃具1が収納された状態で、下方側からブラシ清掃具1の清掃部3aを臨め、かつ手で扱えるように設けられている。
さらに、収納本体部35は上方側が解放されていることから、清掃部3a及び固定部3bが、共に手で取扱えるように外部露出している。
これにより、作業者は、ブラシ清掃具1を収納本体部35aに収納した状態で、汚れ吸着マット3を手作業で交換することができる。そのため、作業者が行うブラシ清掃具1のメンテナンス作業は容易である。
【0029】
収納装置31は、サイドテーブル17bの横に限らず、ワークテーブル18の任意の縁部に移動して設置(横付け)することができる。
これにより、収納装置31を、ブラシテーブル18における汚れが顕著なブラシ領域に近い縁部に横付けし、収納されたブラシ清掃具1を収納装置31からワークテーブル18上に載せ替えると共に、ブラシ清掃具1をワーククランパ22で把持させず、作業者が手でブラシ清掃具1を往復動させて清掃してもよい。
この清掃作業においても、作業者は、ブラシ19に支持されたブラシ清掃具1を単に水平移動させるだけなので、作業負担は従来の清掃作業より軽くて済む。
【0030】
ブラシ清掃具1のX軸方向の長さが、例えば高さHaの二倍より短い場合には、次に説明する収納装置41に収納してもよい。
図8は、収納装置41を説明するための側面図である。
図8に示されるように、収納装置41は、キャスタ42を有して床FL上を移動可能とされた台座部43と、台座部43から上方に延出し紙面表裏方向に離隔設置された一対の下脚部44と、一対の下脚部44それぞれにボルトBtなどの締結部材で連結されて上方に延びる一対の上脚部45と、を有する。さらに、収納装置41は、上脚部45に対し支持軸部46を介して支持された収納本体部47を有する。
収納本体部47は、図8における左右方向の概ね中央部位で、上脚部45に対し所定の角度範囲で回動できるように支持されている。この支持位置は、収納本体部47のブラシ清掃具1の進退方向における概ね中央となる部位である。
【0031】
台座部43は、箱状の基部43aに対し、先端部にキャスタ42が取り付けられた二対のフット43bが、図8の左右方向(矢印Dc参照)に出入り可能かつ出入りの任意位置で固定可能に取り付けられている。
下脚部44は、台座部43の基部43aに立設されている。
下脚部44における上方部位には、上下方向に延びる長孔44aが形成され、この長孔44aの上下任意位置に上脚部45が締結部材(例えばボルトBt)により固定されている。
従って、上脚部45の高さ位置は、長孔44aの上下長さに対応した範囲で調整可能となっており、下脚部44と上脚部45とを含んで昇降機能を有する昇降部48が構成されている。
【0032】
収納本体部47は、収納装置31の収納本体部35に対し、蓋体49を有し、かつ図8の左右方向の概ね中央部位で上脚部45に支持されている点で異なる。
また、収納本体部47は、図8の上面視においてブラシ清掃具1よりも一回り大きい矩形を呈する。
収納本体部47は、図8に示される使用姿勢で床FLと平行となる支持面47aを有し、支持面47aの中央部には、矩形の開口部47bが形成されている。また支持面47aの四つの縁部の内、図8の右方側の縁部を除く三つの縁部に壁部47cが立設形成されている。
支持面47aにおける開口部47bの周囲には、ボールやローラなどを利用した回転支持具47dが、適宜間隔で複数取り付けられ、一定の高さで板状部材を移動可能に支持できるようになっている。
ここで、収納本体部47における壁部47cに囲まれた部分には、図8に示されるように、壁部47cが形成されていない縁部側からブラシ清掃具1を進入させて収納することができるようになっている(矢印Dd参照)。収納本体部47に収納されたブラシ清掃具1は、図8において二点鎖線で示されている。
【0033】
蓋体49は、支持面47aに平行対向するように設けられている。
蓋体49は、収納本体部47に収納されたブラシ清掃具1における一対の固定部3b(図2参照)それぞれに対応するよう、開口部49aが設けられている。
詳しくは、蓋体49の開口部49aを通して収納されたブラシ清掃具1の固定部3bを臨め、かつ手で取り扱えるようになっている。
【0034】
収納本体部47は、支持軸部46により、図8に示された、支持面47aが水平となる使用位置と、壁部47cが形成されていない縁部が上となるよう傾斜又は上下方向に起立した収納位置と、の間を適度な抵抗をもって回動可能とされている。
図8では、収納位置を使用位置から図8の反時計まわりに90°回動させた位置とし、収納本体部47の収納位置での概略外形を二点鎖線で示してある。
使用位置と収納位置との間の回動は、手作業で行われる。また、図示しない駆動装置によって機械的に回動させてもよい。
【0035】
収納装置41を用いることで、作業者は、ブラシ清掃具1を直接把持して持ち運ぶ必要はなくなり、ブラシ清掃具1を収納装置41に収納した状態で床の上を移動することができる。この移動は、収納装置41がキャスタ42を備えているので極めて容易であり、作業者の作業負担はより軽減する。
【0036】
また、収納装置41は、昇降部48の高さ調整により、回転支持具47dで支持されるブラシ清掃具1の高さと、ワークテーブル18のブラシ19で支持されたブラシ清掃具1の高さと、を同じ高さにすることができる。
これにより、作業者は、収納装置41とワークテーブル18との間で、ブラシ清掃具1を水平移動のみで載せ替えることができ、作業負担がさらに軽減する。
【0037】
また、収納装置41は、収納本体部47が、使用位置と収納位置との間で回動可能とされ、収納位置でブラシ清掃具1が傾斜した傾斜姿勢又は起立した鉛直姿勢とすることができる。
これにより、ブラシ清掃具1を使用しない場合に収納本体部47を収納位置とし、フット43bを基部43a内に収めて延出部分を短くすることで、図8の左右方向幅を極めて小さくすることができる。
そのため、ブラシ清掃具1を収納装置41に納めて保管しておく際の占有スペースが小さくて済み、省スペース化に優れる。
【0038】
また、収納装置41は、収納本体部47において、ブラシ清掃具1の清掃部3aを手で取り扱えるように露出する開口部47bと、ブラシ清掃具1の固定部3bを手で取り扱えるように露出する開口部49aと、が設けられている。
これにより、収納本体部47が水平姿勢となる使用位置はもとより、傾斜姿勢又は縦姿勢となる収納位置においても、ブラシ清掃具1を収納本体部47に収納した状態で、汚れ吸着マット3を手作業で交換することができる。
これにより、作業者は、無理な姿勢とならずに汚れ吸着マット3の交換などのメンテナンスを行うことができ、そのメンテナンス作業は極めて容易である。
【0039】
以上詳述したブラシテーブル清掃具であるブラシ清掃具1によれば、ブラシ清掃動作が手作業ではなく板材加工機により行われるので、清掃動作は高速で短時間に完了し、作業者に負担は発生しない。
また、設置済みの板材加工機11に対しても、そのブラシテーブル18の清掃が可能となる。
また、ブラシ清掃具1における汚れ吸着マット3の交換などのメンテナンス作業は、板材加工機11の加工動作を停止させることなく独立して行える。
これにより、ブラシ清掃具1のメンテナンス作業で板材加工機11の稼働率が低下することはない。
【0040】
上述のブラシ清掃具1を収納する収納装置31,41を用いれば、ブラシ清掃具1を、ブラシテーブル18と収納装置31,41との間で容易に載せ替えできる。これにより、作業者の負担がより低減する。
また、ブラシ清掃具1における汚れ吸着マット3の交換を、収納装置31,41に収納した状態で行うことができるので、ブラシ清掃具1のメンテナンス作業は容易である。
【0041】
板材加工機11を、ブラシテーブル18の任意の縁部に収納装置31又は収納装置41を一体連結して備えるものとすれば、作業者がブラシ清掃具1を保管場所から移動させる必要がない。
これにより、作業者の作業負担はさらに軽減する。
また、収納装置41を備えた板材加工機11は、ブラシ清掃具1を使用しないときに、収納本体部47を傾斜姿勢又は鉛直姿勢(縦姿勢)として収納保管しておくことが可能であり、板材加工機11の設置占有面積が抑制でき省スペース化が図れる。
【0042】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0043】
ブラシ清掃具1における板体2の材料は、鋼板に限定されるものではなく、例えば樹脂板であってもよい。また、板厚も適宜選択してよい。
板体2が同サイズであれば高比重材であるほど、また同材料であればサイズが大きいほど大質量となるので、清掃移動時に汚れ吸着マット3がブラシ19を擦る力は強く、ブラシ19の汚れがより良好に汚れ吸着マット3に吸着でき、清掃効率が向上する。この観点において、鋼板は、比較的高比重であり、入手容易で扱い易く好適である。また、ワーククランパ22で把持可能な範囲で板厚を厚くすることは好ましい。
また、板体2を、樹脂板などで形成された軽量の板状基体と、その板状基体に着脱自在な錘と、で構成してもよい。この場合、重量物である錘はタレットパンチプレス11の近傍に保管しておくのがよい。
これにより、汚れ吸着マット3が取り付けられた軽量の板状基体をワークテーブル18に載置し、その後、錘を取り付けてブラシ清掃具1を重量化することができるので、作業者の作業負担が軽減される。
【0044】
ブラシ清掃具1における板体2の外形形状は、矩形に限定されない。ワーククランパ22により把持可能であり、ワーククランパ22により把持された状態でキャリッジベース20及びキャリッジ21によってワークテーブル18上を移動可能な形状であればよい。
【0045】
板体2に対する汚れ吸着マット3の取り付け構造は、上述の構造に限定されない。例えば、変形例として図9に示されるような、汚れ吸着マット3を、板体2の平行な一対の端部2eを覆うように回り込ませて固定具4に取り付けたブラシ清掃具1Aとしてもよい。
ブラシ清掃具1Aを収納装置31,41に収納する場合は、開口部35b,47bを、収納状態で汚れ吸着マット3を手作業で交換できるように形成するのがよい。
【0046】
汚れ吸着マット3の板体2への取り付け構造は、上述の構造に限定されない。固定具4として面ファスナを用いた例を説明したが、両面テープ或いはクリップなどを固定具として用いてもよい。
【0047】
収納装置31,41は、板材加工機としてのタレットパンチプレス11に対し別体のものとして説明したが、タレットパンチプレス11と一体的に備えてもよい。例えば、収納装置31又は収納装置41をサイドテーブル17bの側部に分離可能又は分離不能に取り付けて、収納装置31又は収納装置41を備えた板材加工機としてもよい。
【0048】
収納装置31,41において、汚れ吸着マット3を臨めて手作業で交換可能とする開口部35b,47bは、周縁が閉じている開口ではなく、周縁の一部が解放され切り込まれるよう形成された切込み部であってもよい。
【0049】
収納装置41における収納本体部47の回動は、エアシリンダやモータなどの駆動装置を駆動源として行われるものであってもよい。また、昇降部48による回動支持位置を、収納本体部47のブラシ清掃具1の進退方向における概ね中央位置としたが、支持位置は限定されない。
例えば、支持位置を、収納本体部47のブラシ清掃具1が進入する縁部近傍、又はその反対側の縁部近傍に設定してもよい。
【0050】
収納装置31,41における昇降部34,48の昇降機構は、上述のものに限定されず、周知の昇降構造を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A ブラシ清掃具(ブラシテーブル清掃具)
2 板体、 2a 縁部、 2b 長孔、 2c 上面
2d 下面、 2e 端部、 3 汚れ吸着マット、 3a 清掃部
3b 固定部、 4 固定具
11 タレットパンチプレス(板材加工機)
12 下部フレーム、 13 上部フレーム、 14B 下タレット
14U 上タレット、 15 中央テーブル
16a ,16b 連結テーブル、 17a,17b サイドテーブル
18 ワークテーブル(ブラシテーブル)、 19 ブラシ
20 キャリッジベース、 21 キャリッジ、 22 ワーククランパ
31 収納装置(ブラシ清掃具の収納装置)
32 キャスタ、 33 台座、 34 昇降部、 35 収納本体部
35a 支持面部、 35b 開口部、 35c 壁部
35d 回転支持具
41 収納装置(ブラシ清掃具の収納装置)
42 キャスタ、 43 台座部、 43a 基部、 43b フット
44 下脚部、 44a 長孔、 45 上脚部、 46 支持軸部
47 収納本体部、 47a 支持面、 47b 開口部
47c 壁部、 47d 回転支持具、 48 昇降部、 49 蓋体
49a 開口部
Bt ボルト(締結部材)、 D ダイ金型、 FL 床
P パンチ金型、 Ha 高さ、 K パンチ位置、 La 幅
W ワーク、 WA ワーク移動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9