(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、この発明の実施形態の画像処理システムであるゲームシステムについて説明する。なお、この発明の構成は、実施形態に限定されるものではない。また、各フローチャートの処理手順は、実施形態に限定されず矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0015】
<実施形態1>
図1は、この実施形態のゲームシステム1の構成を示す図である。ゲームシステム1は、ゲーム機2、携帯端末3および表示装置4を備え、所定のビデオゲーム(ゲーム)を実行する。ゲーム機2は、ゲームプログラムが記録された記録媒体(記憶媒体)15からゲームプログラムを読み取って実行することでゲームを実行し、生成したゲーム画像を表示装置4に表示させる画像処理装置である。なお、記録媒体15は、CD、DVD、Blu−ray Disc(登録商標)、または、ハードディスクなどを用いることができる。
【0016】
ゲーム機2は、ゲーム開始時などの所定タイミングに携帯端末3を使用して画像の明度調整処理を行う。画像の明度調整処理では、ゲーム画像の明度(描画明度)を補正するための補正値が算出される。この実施形態における画像の明度調整処理では、携帯端末3を撮像部として使用して補正値の算出が行われる。すなわち、表示装置4に表示された調整用画像(特定の画像)5を携帯端末3の撮像ユニット73(
図3参照)で撮像し、撮像した調整用画像5の画像データの明度値と、基準値との差異に基づいて補正値が算出される。詳細は後述する。
【0017】
携帯端末3は、たとえばカメラ機能を有する携帯電話機やスマートフォンであり、ピア・ツー・ピア(Peer to Peer)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、Wi−FiまたはUSBなどの接続方式でゲーム機2に接続される。表示装置(表示部)4は、有線でゲーム機2に接続される。
【0018】
図2は、この実施形態のゲーム機2及び表示装置4の内部構成を示すブロック図である。ゲーム機2は、バス33およびインプット・アウトプット(I/O)ポート39上に、制御部30、通信制御部40、操作部41、ドライバ(DRV)42および記憶部43等を有している。制御部30は、CPU31、RAM32、ROM33、画像プロセッサ34および音声プロセッサ35を含んでいる。
【0019】
CPU31は、装置全体の動作を制御する。RAM32には、ゲームの進行に応じて各種のデータが記憶される。ROM33には、ゲーム機2の基本的な機能を実現するためのシステムプログラムが記憶されている。画像プロセッサ34は、GPU(Graphics Processing Unit)を備えている。また、画像プロセッサ34は、CPU31の指示に従ってゲーム空間を生成し、このゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像をゲーム画像としてビデオRAM(VRAM)44上に描画する。VRAM44には、表示装置4のディスプレイ50が接続されている。ディスプレイ50は、たとえば液晶ディスプレイであり、VRAM44に描画されたゲーム画像などを表示する。音声プロセッサ35には、D/Aコンバータを含むアンプ45が接続され、アンプ45には表示装置4に内蔵されているスピーカ51が接続される。
【0020】
通信制御部40は、インターネット等のネットワークを介して他のゲーム装置と通信する。また、通信制御部40は、無線通信回路部を含み、上述した接続形式で携帯端末3に接続して通信する。操作部41は、たとえば、操作ボタン群およびアナログスティックを有するゲームパッドである。また、操作部41は、ユーザのゲームに対する操作を受け付けて、その操作内容に応じた操作信号を発生する。発生した操作信号はCPU31に入力される。ドライバ42は、記録媒体15に記録されているデータを再生し、デコードする。記憶部43は、たとえばハードディスクであり、ユーザのゲームに関する情報、画像の明度調整処理で算出された補正値を記憶する。
【0021】
図3は、この実施形態の携帯端末3の内部構成を示すブロック図である。携帯端末3は、バス55上に、制御部60、無線通信制御部70、操作部71、記憶部72および撮像ユニット73等を有している。制御部60は、CPU61、RAM62、ROM63、画像プロセッサ64および音声プロセッサ65を含んでいる。CPU61は、装置全体の動作を制御する。RAM62には、各種のデータが記憶される。ROM63には、携帯端末3の基本的な機能を実現するためのシステムプログラムが記憶されている。
【0022】
画像プロセッサ64は、GPUを備え、CPU61の指示に従って待ち受け画面や電話番号等をVRAM74上に描画する。VRAM74には、表示部76が接続されている。表示部76は、液晶ディスプレイを含み、VRAM74に描画されたゲーム画像などを表示する。音声プロセッサ65には、D/Aコンバータを含むアンプ75が接続され、アンプ75にはスピーカ77などが接続されている。無線通信制御部70は、携帯電話通信網(不図示)を介して、音声通話およびデータ通信を行う。また、無線通信制御部70は、無線通信回路部を含み、ピア・ツー・ピア、Bluetoothによってゲーム機2と通信する。
【0023】
操作部71は、たとえば表示部76上に形成されたタッチパネルであり、ユーザの操作を受け付けて、その操作内容に応じた操作信号を発生する。発生した操作信号はCPU61に入力される。記憶部72は、たとえばハードディスクであり、各種アプリケーションプログラムなどが記憶されている。この実施形態では、記憶部72に明度算出アプリケーションプログラムが記憶されている。なお、上記プログラムは、たとえば、無線通信制御部70によって所定のアプリケーションサーバ(不図示)からダウンロードすればよい。
【0024】
撮像ユニット73は、光学レンズ81、絞り機構82、CCDイメージセンサ(CCD)83および撮像信号処理部84を含み、被写体を撮像した画像データを生成する。光学レンズ81は、フォーカスレンズを含み、被写体像をCCD83の受光面上に結像する。絞り機構82は、光学レンズ81とCCD83との間に位置し、絞りドライバ(不図示)から供給される絞り制御信号に応答して開口径(絞り値(F値))を変化させる。絞りドライバは、CPU61からF値の指示を受信する。
【0025】
CCD83は、受光面に結像された像の光による明暗を電荷の量に光電変換する。また、CCD83は、電子シャッタ機能を有し、CPU61によって露光期間(シャッタースピード)が制御される。なお、メカニカルシャッタを設けた構成としてもよい。撮像信号処理部84は、A/D変換回路を含み、CCD83から出力される電圧信号を読み出してR,G,B成分への色分解などの各種処理を行って、ディジタル信号である画像データに変換する。
【0026】
また、携帯端末3は、輝度センサ90を有する。輝度センサ90は、携帯端末3の筐体表面上に配置され、携帯端末3の周囲の環境の明るさを検知する。輝度センサ90の検出値はCPU61に入力される。CPU61は、たとえば、環境の明るさに応じて表示部76に表示する画像の明度を調整する。
【0027】
次に、ゲーム機2により実行されるゲームプログラム、および、携帯端末3により実行される明度算出アプリケーションプログラムについて説明する。ゲームプログラムは、ゲーム機2にゲームを実行させるとともに、所定のタイミングに、ゲーム機2に画像の明度調整処理を行わせる。画像の明度調整処理では、ゲーム実行中の画像であるゲーム画像の明度を補正するための補正値が算出される。所定のタイミングは、たとえば、ゲームの実行を開始してユーザがゲームプレイを開始する前などである。補正値は、記憶部43に記憶される。補正値が記憶されたのち、ゲームプログラムはゲームを進行させる(続行する)。
【0028】
この実施形態において、ゲームプレイの開始とは、ゲーム本編が開始することである。ゲーム機2によってゲームプログラムが起動されると、最初にゲームに関するムービーなどを再生するオープニング画面が表示装置4の表示画面(ディスプレイ50)に表示される。その後、タイトル(メニュー)画面が表示画面に表示され、ユーザが操作部41を操作してメニュー画面内の「ゲームスタート」を選択することでゲームが開始される。ゲーム開始後、まずゲームのチュートリアルやプレイヤキャラクタの設定、BGMや効果音の設定などのゲームに関するセッティングが案内される。その中で、上述した明度調整処理も行われる。そして、セッティングの終了後、ゲームステージなどのゲーム空間の画像(ゲーム画像)が表示されてゲーム本編がスタートする(すなわちゲームプレイが開始される)。
【0029】
画像の明度調整処理が開始されると、最初に、
図1に示すような表示装置4の表示画面中央に調整用画像5が表示される。調整用画像5は、たとえば、単色画像である。また、表示画面の調整用画像5の上部には、ユーザへのメッセージ「アプリを起動して枠内の画像を撮像して下さい。」がテキスト表示される。このメッセージは、携帯端末3で明度算出アプリケーションプログラムを起動し、携帯端末3の撮像ユニット73で調整用画像5を撮像するように指示している。
【0030】
さらに、上述したメッセージに加えて「カメラ部分を枠内の表示画面に密着させて下さい。」もテキスト表示されている。このメッセージは、撮像ユニット73(光学レンズ81)が配置されている携帯端末3の背面を、表示画面の調整用画像5が表示されている領域に密着させた状態で、調整用画像5を撮像するように指示している。
【0031】
携帯端末3では、明度算出アプリケーションプログラムが起動される。明度算出アプリケーションプログラムは、ユーザによって手動で起動されてもよく、ゲーム機2との通信による指示で自動的に起動されてもよい。明度算出アプリケーションプログラムの起動により、明度算出処理が開始される。明度算出処理では、最初に撮像モードとなる。この状態において、ユーザは、上記メッセージで指示されたように携帯端末3をディスプレイ1に密着させて調整用画像5を撮像する。携帯端末3(撮像ユニット73)を表示装置4の表示画面に密着させることにより、外乱の少ない画像を撮影することができる。また、一般的に撮像ユニット73は、距離0cmの近距離撮影ができないため、撮影された画像はいわゆるピンぼけ画像となり、これによってディスプレイ1の画素の粗密に影響されない均質な(ボケた)画像が撮像されることが期待できる。撮像ユニット73によって撮像された調整用画像5の画像データは、記憶部72に記憶される。次に、明度算出処理では、この画像データから画像の明度値が算出される。画像データはたとえば各画素のR,G,Bの数値情報であり、これらR,G,Bの数値情報から明度値を算出する。なお、明度値は、グレースケール8ビット程度の細かさでよいが、よりビット数を増やして細かく算出してもよい。また、RGB別々に明度値を算出してもよい。
【0032】
携帯端末3の撮像ユニット73がアプリケーションプログラムからシャッタスピードおよびF値を設定可能なものである場合、明度算出処理では、調整用画像5の撮像時、シャッタスピードおよびF値として予め決められた値が用いられる。たとえば、シャッタスピードは1/8秒であり、F値はF8である。これにより、各ユーザが使用する携帯端末3が異なる機種などであっても、撮像(露光)条件を一定にできるので、適切な明度調整を行うことができる。また、逆に撮像ユニット73にオートマチックモードで撮影させ、そのときのシャッタスピードおよびF値を取得してもよい。この場合、実際に算出された明度値から上記所定値(1/8秒、F8)の設定の場合の明度値に換算したものをゲーム機2に送信する明度値とすればよい。
【0033】
携帯端末3は、算出した明度値をゲーム機2に送信する。ゲーム機2は、受信した明度値と基準値との差異に基づいて補正値を算出する。基準値は、ゲームプログラムの制作者側が意図する調整用画像5の明度値である。ゲーム機2は、たとえば、受信した明度値と基準値との差分値を補正値として設定する(記憶部43に記憶する)。
【0034】
以上の処理で、ゲーム機2は、画像の明度調整処理を終了し、補正値に基づいて明度を調整しつつゲーム画像を描画し、表示装置4に表示させる。なお、画像の明度の調整は、一般的な手法で可能であるので詳細な説明は省略する。
【0035】
図4は、この実施形態のゲームシステム1の機能ブロック図である。ゲームシステム1は、
図1、
図2及び
図3に示したゲーム機2、携帯端末3および表示装置4と、ゲーム機2の記憶部43に保存されているゲームプログラムおよび携帯端末3の記憶部72に記憶されている明度算出アプリケーションプログラムとの協働によって実現される。
【0036】
図4に示すように、ゲームシステム1は、ゲーム実行部100、描画処理部101、補正値算出部102、アプリ実行部103、明度算出部104、および、上述した記憶部43、ディスプレイ50、撮像ユニット73等として機能する。ゲーム実行部(ゲーム実行手段)100は、制御部30およびゲームプログラム等の協働によって実現され、ゲームを実行する。また、ゲーム実行部100は、上述した画像の明度調整処理を実行し、算出された補正値を記憶部43に格納する。描画処理部(描画手段)101は、制御部30、VRAM44およびゲームプログラム等の協働によって実現され、オープニング画面の画像、ゲーム画像および調整用画像5などを生成し、ディスプレイ50に出力する。また、描画処理部101は、記憶部43の補正値を参照して画像の明度を調整する。
【0037】
補正値算出部102は、ゲーム実行部101に含まれ、明度の補正値を算出する。補正値算出部102は、本発明の描画明度決定手段に含まれる。アプリ実行部103は、制御部60および明度算出アプリケーションプログラム等の協働によって実現され、明度算出アプリケーションを実行する。明度算出部104は、アプリ実行部103に含まれ、撮像ユニット73で撮像された調整用画像5の画像データの明度値を算出する。
【0038】
次に、上述の画像の明度調整処理をフローチャートを参照しつつ説明する。
図5は、この実施形態の画像の明度調整処理を示すフローチャートである。画像の明度調整処理は、上述したようにゲームプレイの開始前においてメニュー画面から「ゲームスタート」が選択された際のセッティング時に、主としてゲーム実行部100、アプリ実行部103によって行われる。
【0039】
ゲーム実行部100は、
図1に示すような調整用画像5およびメッセージが含まれる画像を描画処理部101に生成させてディスプレイ50に表示させる(ステップS10)。そして、携帯端末3(アプリ実行部103)から撮像情報を受信する(ステップS11でYES)まで待機する。
【0040】
一方、明度算出アプリケーションプログラムが起動されている状態の携帯端末3では、アプリ実行部103は、ユーザの操作によって調整用画像5が撮像される(ステップS20でYES)まで待機する。調整用画像5が撮像されて画像データを取得したと判断した場合(ステップS20でYES)、アプリ実行部103は、上述したように明度算出部104に画像データの明度値を算出させる(ステップS21)。そして、アプリ実行部103は、算出された明度値を撮像情報としてゲーム機2に送信する(ステップS22)。
【0041】
ゲーム実行部100は、補正値算出部102に、受信した画像データの明度値と基準値との差異に基づいて補正値を算出させる(ステップS12)。その後、ゲーム実行部100は、算出された補正値を記憶部43に格納し(ステップS13)、この処理を終了する。
【0042】
以上のように、撮像ユニット73(撮像部)によって撮像された調整用画像5の明度値に基づいてゲーム画像の描画明度が決定される。したがって、ユーザの感覚にかかわらず、表示部(表示装置4)に表示されるゲーム画像の描画明度を調整することができる。これにより、各ユーザが使用する表示装置4に、ゲームの制作者側が意図した明度でゲーム画像を表示させることができる。また、各ユーザに略同一の画像の明度(環境)でゲームをプレイさせることができ、明度の違いによるゲームバランスの不均衡の発生を防止できる。
【0043】
なお、この実施形態では、携帯端末3(明度算出部104)が、調整用画像5の画像データの明度値を算出しているが、ゲーム機2が算出してもよい。この場合、撮像された調整用画像5の画像データを撮像情報として携帯端末3からゲーム機2に送信すればよい。
【0044】
また、上述の実施形態では、撮像ユニット73(光学レンズ81)を表示装置4の表示画面に密着させて調整用画像5を撮像しているが、特にこれに限定されるものではない。表示画面から離間した状態で撮像する構成であってもよい。この場合、携帯端末3(明度算出部104)は、輝度センサ90の検出値に基づく携帯端末3の周囲の明るさを考慮して、調整用画像の画像データの明度値を算出することが好ましい。表示画面から離間された状態で撮像する場合、周囲の明るさ(環境光)も画像データの明度に影響するためである。たとえば、周囲が明るい場合は、暗い場合と比較して、撮像された調整用画像5の画像データの明度値も高い(明るい)。
【0045】
したがって、たとえば、算出された明度値を増減させる調整値を、周囲の明るさ(輝度センサ90の検出値)に対応付けて携帯端末3の記憶部72に記憶しておけばよい。
【0046】
また、上述の実施形態では、撮像ユニット73を用いた一般的な撮像手法によって調整用画像5が撮像されているが、明度値を算出できれば撮像手法は限定されない。たとえば、ハイダイナミックレンジ(HDR)合成で生成された画像データから明度値を算出するようにしてもよい。また、撮影される画像は、静止画、動画のいずれであってもよい。
【0047】
<実施形態2>
この実施形態は、ゲーム機に明度算出部が含まれる構成、および、撮像ユニットのシャッタスピードおよびF値が所定値に設定されない構成で上述した実施形態1の構成と異なる。以下、主として異なる構成について説明する。
【0048】
図6は、この実施形態のゲームシステム200の機能ブロック図である。この実施形態では、明度算出部204が、ゲーム機2の制御部30およびゲームプログラム等の協働によって実現される。明度算出部204は、撮像された調整用画像5の画像データに加え、撮像時のシャッタスピードおよびF値に基づいて明度値を算出する。明度算出部204は、補正値算出部102とともに本発明の描画明度決定手段に含まれる。
【0049】
この実施形態では、上述の実施形態1とは異なり、撮像時のシャッタスピードおよびF値が所定値に固定されていない。すなわち、撮像ユニット73は、携帯端末3(制御部60)によって自動調整されたシャッタスピードおよびF値で調整用画像5を撮像する。したがって、異なる機種の携帯端末3では、同一の表示装置4に表示されている調整用画像5であってもシャッタスピードおよびF値が異なる場合がある。また、同じ機種の携帯端末3であっても、携帯端末3自体のカメラ設定、環境光、表示装置4(機種、液晶ディスプレイなどの表示原理)などの環境の違いによってもシャッタスピードおよびF値が異なる場合がある。
【0050】
そのため、明度算出部204は、たとえば、基準のシャッタスピードおよびF値と、撮像時のシャッタスピードおよびF値とのそれぞれの差分値に応じて、画像データから算出した明度値を増減させて最終的な明度値としている。なお、基準のシャッタスピードおよびF値、差分値に対する明度値の増減量は、予め記憶部43に記憶しておけばよい。
【0051】
また、この実施形態では、携帯端末3のアプリ実行部203が、上述した調整用画像5の画像データ、シャッタスピードおよびF値を撮像情報としてゲーム機2に送信する。
【0052】
図7は、この実施形態の画像の明度調整処理を示すフローチャートである。ゲーム実行部100は、調整用画像5およびメッセージが含まれる画像を描画処理部101に生成させてディスプレイ50に表示させ(ステップS10)、携帯端末3(アプリ実行部203)から撮像情報を受信する(ステップS11でYES)まで待機する。
【0053】
一方、携帯端末3のアプリ実行部203は、ユーザの操作によって調整用画像5が撮像される(ステップS20でYES)まで待機する。調整用画像5が撮像されて画像データを取得したと判断した場合(ステップS20でYES)、アプリ実行部203は、調整用画像5の画像データ、撮像時のシャッタスピードおよびF値を撮像情報としてゲーム機2に送信する(ステップS22′)。
【0054】
ゲーム実行部100は、明度算出部204に、受信した撮像情報に基づいて明度値を算出させる(ステップS11−1)。次に、ゲーム実行部100は、補正値算出部102に、上記画像データの明度値と基準値との差異に基づいて補正値を算出させ(ステップS12)、記憶部43に格納する(ステップS13)。
【0055】
以上のように、撮像情報としてシャッタスピードおよびF値が含まれるので、シャッタスピードおよびF値を調整用画像5の撮像用に設定していなくても、上述した実施形態1と同様の効果を奏する。なお、実施形態1で述べたように、輝度センサ90の検出値(携帯端末3の周囲の明るさ情報)を撮像情報に含め、環境光に基づいて明度値を算出する構成としてもよい。
【0056】
なお、上述の実施形態では、撮像時のシャッタスピードおよびF値が撮像情報に含まれているが、特にこれに限定されるものではない。撮像時のシャッタスピードおよびF値を推測できる情報を撮像情報に含めるようにしてもよい。たとえば、撮像した携帯端末3を識別する識別情報がある。識別情報は、携帯端末3の機種情報などである。この場合、シャッタスピードおよびF値の推測値(機種別補正情報)を、上記識別情報に対応付けて記憶部43に記憶させておき、ゲーム機2は識別情報に対応する推測値を参照して画像データから明度値を算出すればよい。
【0057】
また、この実施形態では、ゲーム機2(明度算出部203)において、調整用画像5の画像データの明度値が算出されていたが、実施形態1と同様に携帯端末3が実行してもよい。
【0058】
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、撮像ユニットを有する携帯端末3を撮像部として調整用画像を撮像しているが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、カメラ装置をゲーム機2本体にUSBケーブルなどで直接に接続し、ゲーム機2(制御部30)がカメラ装置の動作(シャッター動作など)を制御するようにしてもよい。あるいは、ゲーム機2本体に接続される操作部41(ゲームパッド)に撮像ユニットが内蔵されている場合には、この操作部を使用してもよい。
【0059】
また、調整用画像は赤外線カメラの撮像による画像データであってもよく、画像データの明度値の算出が可能であれば、特に限定されるものではない。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、明度調整処理すなわち補正値の算出はゲーム開始時に一度だけ実行されるが、複数回実行してもよい。たとえば、画像の明度調整処理において、最初に補正値を算出した後、補正値で明度を調整した調整用画像を表示装置に表示させ、再度の撮像をユーザに指示する。そして、再度の調整用画像5の画像データの明度値を、基準値と比較することで差異がないか(または許容範囲内であるか)をゲーム機2が判断する。差異がないと判断した場合は、画像の明度調整処理を終了する。一方、差異があると判断した場合は、基準値との差異がなくなるまで再度の補正値の算出を行う。これにより、補正値の明度の補正精度がより向上する。また、明度の補正値に加えて、コントラストの補正値などを算出してもよい。
【0061】
上述の実施形態では、ゲームプレイ開始前のセッティング時に明度調整処理を行っているが、明度調整処理が行われるタイミングは、ゲームプログラム起動後であればいずれのタイミングであってもよい。たとえば、ユーザが操作部41を操作してメニュー画面から「設定」を選択した場合に、その設定モードの中で明度調整処理を行ってもよい。また、ゲームプレイを中断した際(いわゆるポーズ中)に行ってもよい。あるいは、ゲームプレイが開始される前において、補正値が設定されていないことを条件として、明度調整処理を実行してもよい。
【0062】
上述の実施形態では、明度調整処理は継続的に行われないが、継続的に行うようにしてもよい。たとえば、ゲームプレイ中、明度調整処理を所定間隔毎に行ってもよい。具体的には、ゲームプレイ中、ゲームステージが変わるときなどにゲームデータなどの読み込み(ローディング)を都度行うが、そのローディング待機中に明度調整処理を実行する。ゲームプレイにおいては、途中で部屋の環境光が変わったりする場合もあるが、所定間隔毎に明度調整処理を実行することで、このような変化にも対応して明度調整を行うことができる。なお、この場合、記憶部43にはゲームステージ毎に明度の基準値が予め記憶され、ゲームステージが変わるときに、次のゲームステージの明度の基準値を用いて明度調整処理が実行されるようにしてもよい。
【0063】
また、ゲームステージが変わるタイミングでなくてもよく、たとえばゲーム画像が表示されている間において継続的に明度調整処理を実行してもよい。この場合、ゲーム画像と調整用画像とを合わせて表示装置に表示すればよい。なお、ゲーム画像に比較して調整用画像が目立たない程度の大きさにすることが望ましい。
【0064】
また、上述の実施形態では、明度値と基準値との差異に基づいて補正値を算出しているが、明度値を用いて補正値を算出できれば基準値を用いなくてもよい。たとえば、
図8に示すような明度値と補正値とが対応付けられた補正値テーブル300参照し、算出された明度値に対応する補正値を取得するようにしてもよい。この場合、補正値テーブル300を記憶部43に記憶しておけばよい。
【0065】
さらに、上述の実施形態では、ゲーム画像とは異なる調整用画像5を特定の画像として明度調整処理を行っているが、ゲーム画像を特定の画像として用いてもよい。たとえば、ゲームプレイ(ゲーム進行)中にゲーム空間に登場する所定の敵キャラクタ(たとえばゾンビ)を用いる。すなわち、ゲーム画像に含まれる所定のゾンビの画像を特定の画像として明度調整処理を実行する。また、ゲーム機2は、所定のゾンビの画像に「画面に映っているゾンビにカメラをあてろ!」などの案内画像も含めて表示させる。そして、ユーザが、この案内画像にしたがって、上述の実施形態と同様に携帯端末3(撮像ユニット73)を所定のゾンビが表示されている表示装置4の表示画面に密着させて撮像等することで明度調整できる。これより、ユーザはあたかも仮想空間(ゲーム空間)で進行するゲームに参加しているような感覚を味わいながら明度調整を行うことができる。
【0066】
また、上記案内画像にしたがい携帯端末3を用いて所定のゾンビの画像を撮像した場合(ゲーム機2が携帯端末3から明度値または撮像情報を受信した場合)、所定のゲーム効果を発生させるようにしてもよい。たとえば、上記所定のゾンビを倒すことができたり、所定のゲームアイテムをユーザ(プレイヤキャラクタ)に付与したりするなど、ゲームにおいてユーザにとって有利となる特典を与える。
【0067】
なお、上記所定のゲーム効果は、ゲーム画像ではない調整用画像を特定の画像として明度調整する場合にも発生させてもよい。たとえば、上述の実施形態1,2において、補正値が記憶部43に記憶されている場合、ゲーム機2は、明度調整処理が行われたとしてゲームプレイ開始後にプレイヤキャラクタ(ユーザ)にゲームアイテムを付与する。このように明度調整処理の実行に対して所定のゲーム効果を発生させることで、ユーザが明度調整を積極的に行うようになる効果がある。なお、所定のゲーム効果は、明度調整処理が実行されたことを判断できた場合に発生させればよい。ゲーム機2が携帯端末3から明度値または撮像情報を受信した場合でもよく、明度調整処理が終了した場合などでもよい。
【0068】
さらに、上述の実施形態のゲームシステムでは、ゲーム機が単体でゲームを実行しているが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、ゲーム機がインターネット等を介してゲームサーバ装置に接続されるオンラインゲームシステムであってもよい。この場合、ゲームサーバ装置において補正値を算出するようにしてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、明度調整処理が行われない場合であってもゲームプレイを行うことが可能であるが、明度調整処理が行われない場合にゲームプレイに関する所定の制限を行うようにしてもよい。たとえば、上述したオンラインゲームシステムで提供される複数のユーザ同士の対戦ゲームの場合、明度調整処理が行われていなければ、対戦相手となる他のユーザとのマッチングを行えないように制限する。すなわち、他のユーザとオンライン対戦できないように制限する。この場合、たとえば、ゲーム機が、ゲーム機の記憶部に記憶されている補正値の有無によって明度調整処理が行われたかを判定し、制限する処理を実行すればよい。
【0070】
ユーザは、表示装置の明るさや、ゲームオプションでの明るさ設定などを手動で調整することで、他のユーザまたはゲーム開発者(製作者)の提供する環境よりも有利な状況でプレイすることがある。特に、上述したオンラインゲームなどの対戦ゲームにおいては、明るい画面でプレイする方が有利となり、平等な環境で対戦ゲームを提供することができなくなる。したがって、上述したように明度調整処理が行われていない場合に他のユーザとオンライン対戦できないように制限することで、各ユーザに平等な環境の対戦ゲームを提供することができる。
【0071】
上述の実施形態では、画像処理システムの一例としてゲームシステムについて説明したが、特にこれに限定されるものではなく、画像を表示させる画像処理システムであればいずれであっても本発明を適用することができる。たとえば、ユーザの分身であるアバターを活動させる仮想世界を提供し、各ユーザの端末装置の表示装置において仮想世界の様子を表示させる画像処理システムがある。