(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆材が、薄膜、紙、段ボール、合成樹脂シート、織物、不織布およびこれらの組合せから選ばれるものであり、前記締め付け材が合成樹脂製または金属製のバンドである、請求項2記載のフィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体。
【背景技術】
【0002】
嵩高いフィルタトウは、圧縮されたフィルタトウベールの状態で梱包されている。
梱包されたトウベールは、多段積みされた状態で倉庫に保管されるため、このような多段積みを容易にするための技術が提供されている。
【0003】
特許文献1には、トウベールをプラスチックフィルムで包装し、内部を負圧状態にすることでトウベールの頂面と底面を平坦面にする技術が開示されている。
しかし、この技術では、トウベールを運搬して多段積みする作業時などにおいてプラスチックフィルムが破れた場合には、内部の負圧状態が維持できず、平坦面も維持できなくなるため、多段積みもできなくなる。
【0004】
特許文献2には、凸面ベールプラテンを使用して繊維材料を圧縮した後で包装して繊維ベールを製造する発明が開示されている。
図2、
図3に示されているとおり、凸型ベールプラテン18は、凸型表面20の全体が湾曲した形状のものである。
このような形状の凸型ベールプラテン18を使用して繊維材料を圧縮したとき、繊維材料の中心部分が強く圧縮され、周辺部分の圧縮は弱くなることから、圧力を開放したあと、中心部分の膨張の程度は小さく、周辺部分の膨張は大きくなるため、全体として平坦面となる。
しかし、このような製造方法で得られたベールは、中心部分と周辺部分における弾性回復力が異なるため、1つのベールの中で異なる物理的性質を持つフィルタトウが混在するようになる。
このため、このようなベールを原料として、例えばタバコフィルタを製造するとき、ベールからトウを巻き出すときの張力が変動することから、フィルタ1本当たりの質量の変動が大きくなり、それがフィルタの品質のばらつきを大きくすることになる。
【0005】
特許文献3には、圧盤を使用して繊維材料を圧縮する方法が開示されているが、圧盤自体は特許文献2の凸面ベールプラテンと近似する形状のものであることから、同様の問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多段積みすることができ、同一ベール内のトウの品質のばらつきを小さくすることができる、フィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体、前記梱包体のフィルタトウベールから得られるタバコ用フィルタープラグ、前記非密封状態に梱包された梱包体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
セルロースアセテートからなるフィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体であって、
前記梱包体が、前記フィルタトウベールが前記梱包材で締め付けられた状態のものであり、
前記フィルタトウベールが、縦800〜1400mm、横800〜1150mm、高さ800〜1100mmの立方体または直方体のものであり、
前記フィルタトウベールの天面と前記梱包材との間の梱包初期圧力が6.3kPa以下である、フィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体を提供する。
【0009】
本発明は、
上記のフィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体から梱包材を外したあとのフィルタトウベールからなるタバコ用フィルタープラグであって、
前記タバコ用フィルタープラグが、円周20〜25mmで、密度400〜600kg/
m3のときの濾過抵抗のばらつき(PDCV)が3.5未満のもの、および
前記タバコ用フィルタープラグが、円周18mm以下で、密度350〜450kg/
m3のときの濾過抵抗のばらつき(PDCV)が3.5未満のものである、タバコ用フィルタープラグを提供する。
【0010】
本発明は、
上記のフィルタトウベールの非密封系の梱包体の製造方法であって、
圧縮缶内に、帯状のフィルタトウを積層しながら充填する第1工程、
充填された帯状のフィルタトウ積層物に対して、平坦面のみからなるプレス手段により上方から圧縮する工程であり、下記式から求められる力積(N・s)が1500以上になるようにプレス手段により圧縮する第2工程、
プレス手段による圧縮を停止した後、圧縮に使用した筒状壁を移動させて外した後、梱包材によりフィルタトウベールが非密封状態になるように梱包する第3工程、
プレス手段を上昇させてフィルタトウベールを圧力から開放する第4工程、
を有している、フィルタトウベールの非密封系の梱包体の製造方法を提供する。
力積(N・s)
=(凸部の高さ(mm)/5.4+1) ×圧縮時のプレス手段による力(N=kg・m/s
2)×圧縮時間(s)
【0011】
本発明は、
上記のフィルタトウベールの非密封系の梱包体の製造方法であって、
圧縮缶内に、帯状のフィルタトウを積層しながら充填する第1工程、
充填された帯状のフィルタトウ積層物に対して、中央部に凸部を有し、周辺部に平坦面部を有しているプレス手段により上方から圧縮する第2工程、
プレス手段による圧縮を停止した後、圧縮に使用した筒状壁を移動させて外した後、梱包材によりフィルタトウベールが非密封状態になるように梱包する第3工程、
プレス手段を上昇させてフィルタトウベールを圧力から開放する第4工程、
を有している、フィルタトウベールの非密封系の梱包体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された梱包体は、多段積みすることができ、同一ベール内のフィルタトウの品質のばらつきも小さい。
このため、前記梱包体のフィルタトウベールから得られた本発明のタバコ用フィルタープラグは、濾過抵抗のばらつきが小さくなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<フィルタトウベールの非密封系の梱包体>
本発明のフィルタトウベールが梱包材で非密封状態に梱包された(以下、「非密封状態の梱包体」と略す)は、セルロースアセテートからなるフィルタトウベールが梱包材で締め付けられた状態のものであり、多段積みできる程度に平坦面となっているものである。
本発明において「非密封状態」は、フィルタトウベールが通気可能な状態で梱包材により覆われていることを意味するものであり、特許文献1の発明のような梱包手段として負圧を利用するものは除かれる。
【0015】
次に
図1により本発明の非密封状態の梱包体を説明する。
非密封状態の梱包体10は、セルロースアセテートからなるフィルタトウベール15が梱包材11で締め付けられている。
フィルタトウベール15は、縦800〜1400mm、横800〜1150mm、高さ800〜1100mmの立方体または直方体のものである。
【0016】
梱包材11は、被覆材12と締め付け材13の組み合わせからなるものを使用することができる。
このような被覆材12と締め付け材13の組み合わせからなる梱包材11を使用したときは、
図1に示すように、フィルタトウベール15が被覆材12で覆われ、その上から締め付け材13で締め付けられている。
【0017】
被覆材12としては、薄膜、紙、段ボール、合成樹脂シート、織物、不織布およびこれらの組み合せから選ばれるものを使用することができる。
被覆材として合成樹脂シート、織物、不織布を使用するときは、厚み、材質、織り方などを調整することで伸縮性が付与されたものを使用することもできる。
なお、被覆材として伸縮性のあるもの使用したとき、被覆材を伸ばした状態で被覆することで、被覆材自体でも締め付けることができるようになる。
締め付け材13としては、合成樹脂製のバンドまたは金属製のバンドを使用することができる。
【0018】
図1に示すような被覆材12と締め付け材としてのバンド13に代えて、被覆材と前記被覆材の一体化手段の組み合わせからなる梱包材を使用することができる。
被覆材としては、上記したものと同じものを使用することができる。
一体化手段としては、面ファスナー、接着剤、ヒートシールから選ばれるものを使用することができる。面ファスナーは、近接させた被覆材の端部同士を一体化させるものであり、接着剤やヒートシールは重ね合わせた被覆材の端部同士を一体化させるものである。
【0019】
本発明の梱包体10は非密封状態であることから、フィルタトウベール15は被覆材12で完全に覆われている必要はない。
また被覆材12で完全に覆うときは、被覆材12として、通気性を有している材料からなるもの、または通気性を有していない材料からなり、通気孔を有しているものを使用する。
【0020】
梱包体10は、フィルタトウベール15の天面15aと梱包材12との間の梱包初期圧力が6.3kPa以下である。
ここで「梱包初期圧力」とは、梱包終了時(
図3(e)のプレス圧を開放したとき)から10分後の圧力であることを意味する。
「梱包初期圧力」は、実施例に記載の方法により測定されるものであり、
図2に示す天面15aの中心点を含む円(○印)51と、円(○印)52〜55の内の2箇所の合計3箇所の圧力の平均値である。
【0021】
梱包体10は、天井面10aの中央部と周辺部が面一のものが好ましいが、中央部が周辺部に比べて膨張したものであって、膨張の程度が小さいものであればよい。
天井面10aの中央部が周辺部に比べて膨張したものである場合は、周辺部を基準としたときの中央部の膨張高さが25mm以下のものである。このように中央部が膨張している場合でも、膨張の程度を小さくできれば、多段積み作業が容易になる。
【0022】
本発明の梱包体10は、特許文献2、3の発明のように、中央部の膨張の程度が小さく、周辺部の膨張の程度が大きいことで平坦面が形成されているベールとは異なり、中央部と周辺部が面一であるか、中央部が周辺部よりも僅かに膨張しているものであるため、同じトウベール15内における弾性回復力のばらつきが小さい。
このため、トウベール15からトウを巻き出すときの張力の変動が小さいことから、フィルタ1本当たりの質量の変動も小さく、それが均質なフィルタを得ることができるようになる。
【0023】
本発明の梱包体10のトウベール15を使用して得られたフィルタープラグは、
円周が20〜25mmで、密度が400〜600kg/
m3のフィルタープラグに加工したときの濾過抵抗のばらつき(PDCV)は3.5未満にすることができ、
円周が18mm以下で、密度が350〜450kg/
m3のフィルタープラグに加工したときの濾過抵抗のばらつき(PDCV)は3.5未満にすることができる。
【0024】
<梱包体の製造方法>
図3(a)〜(f)により上記したフィルタトウベールの非密封状態の梱包体の製造方法を説明する。
【0025】
〔第1工程〕
第1工程において、
図3(a)に示すように、圧縮缶20内に、帯状のフィルタトウを積層しながら充填する(フィルタトウ積層物30)。
フィルタ用のトウとしては、例えば、フィラメントデニールが1.5〜8.2のものを2,000〜30,000本集合させた、全デニールが15,000〜45,000のものを使用することができる。
フィルタ用のトウは、タバコフィルタプラグの製造原料と使用するときは、前記タバコフィルタプラグの太さに応じて異なるフィラメントデニールのものを使用することができる。
上記した円周が20〜25mmで、密度が400〜600kg/
m3のフィルタープラグに使用するときは、フィルタ用のトウとして、フィラメントデニールが2.0〜3.5、トータルデニールが30,000〜40,000のものが好ましい。
また上記した円周が18mm以下で、密度が350〜450kg/
m3のフィルタープラグに使用するときは、フィルタ用のトウとして、フィラメントデニール3.6〜8.2、トータルデニール30,000〜40,000のものが好ましい。
【0026】
その後、
図3(b)に示すように、フィルタトウ積層物30が充填された圧縮缶20を下部プレス板(下部プラテン)21と上部プレス板(上部プラテン)22が高さ方向に正対して配置された場所に移動させ、下部プレス板21上に置く。
【0027】
下部プレス板21は平板である。
また、下部プレス板21の上には梱包材(被覆材)(図示せず)と締め付け材となる合成樹脂製バンド40が配置されている。合成樹脂製バンド40は、下部プレス板21に形成された複数本の溝26に通される。
このように梱包材に相当するものを予めプレス手段に配置する方法自体は公知のものであり、例えば特開2010−254376号公報に記載され、
図2にも示され、特開2011-213354号公報に記載され、
図2、
図4にも示されている。
【0028】
〔第2工程〕
第2工程において、
図3(c)に示すように、フィルタトウ積層物30に対して、上部プレス板22により上方から圧縮する。
上部プレス板22は、油圧ロッド25により圧力を加えられるようになっている。
【0029】
上部プレス板22は、中央部に凸部23を有し、周辺部に平坦面部24を有している。
凸部23と平坦面部24は、合成樹脂製バンド40を通すための複数本の溝26を有しており、溝26には締め付け材となる合成樹脂製バンド40が通される。
凸部23は、
図4(a)、(b)に示すように、平坦な頂面23aと傾斜面23bを有しているものである。傾斜面23bは、階段面であってもよい。
【0030】
平坦面部24からの凸部23の高さHは0〜40mmが好ましく、10〜38mmがより好ましい。
上部プレス板22における凸部23と平坦面部24との面積比率は、凸部23の面積が95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
凸部23における平坦な頂面23aと傾斜面23bの面積比率は、平坦な頂面23aの面積が10〜40%であることが好ましく、15〜30%であることがより好ましい。
【0031】
また、第2工程では、下記式から求められる力積(N・s)が1500N・s以上になるように圧縮することが好ましく、1500〜15000N・sになるように圧縮することがより好ましい。
力積(N・s)
=(凸部の高さ(mm)/5.4+1)×圧縮時のプレス手段による力(N=kg・m/s
2)×圧縮時間(s)
(式中の、5.4及び1は、蓄積された長期間の製造データに基づく定数であり、圧縮時のプレス手段による力(N=kg・m/s
2)×圧縮時間(s)から求められる公知の力積(以下「力積1」とする)を示している。)
【0032】
第2工程では、上部プレス板22として平坦面のみからなるもの(凸部23がないもの)を使用することができる。
このような平坦面のみからなる上部プレス板22を使用するときは、上記した所定の力積になるようにして圧縮する。
【0033】
〔第3工程〕
第3工程において、
図3(d)に示すように、上部プレス板22による圧縮を停止した後、圧縮に使用した圧縮缶20を移動させて外した後、梱包材(図面では合成樹脂製バンド40のみを表示している)によりフィルタトウベール15が非密封状態になるように梱包する。
第3工程にて圧縮を停止するとは、油圧ロッド25により圧力を加えることを停止することを意味するものであり、上部プレス板22自体は
図3(d)の状態にあるため、フィルタトウベール15には、少なくとも上部プレス板22の自重による圧力が加えられた状態になっている。
図3(d)の状態で、フィルタトウベール15の天面15aと梱包材12との間の梱包初期圧力が6.3kPa以下になるように梱包する。
【0034】
〔第4工程〕
第4工程において、
図3(e)、(f)に示すように、上部プレス板22を上昇させてフィルタトウベールを圧力から開放して、梱包体10を得る。
上部プレス板22を上昇させた直後の
図3(e)の状態では、梱包体10の天面10aは平坦面であるが、時間の経過と共に天面10aの中央部が僅かに膨らむ場合がある。
しかし、このときの膨張高さは、上記したとおり、周辺部を基準としたときの中央部の膨張高さが25mm以下のものであることから、多段積み作業が容易になる。
【実施例】
【0035】
実施例1〜7および比較例1〜8
図3(a)〜(f)に示す工程により実施例および比較例の梱包体を製造した。
〔第1工程;
図3(a)、(b)〕
フィルタトウは、フィラメントデニールが2.0〜3.5、トータルデニールが30,000〜40,000のものを用いた。
圧縮缶20は、長辺が1200mm、短辺が950mm、高さが4000mmの直方体の金属からなるものを用い、これにフィルタトウ625kgを振り入れた。
【0036】
〔第2工程;
図3(c)〕
図3(c)に示すようにして、表1に示す圧縮条件にて、上部プレス板22によりトウ積層物30を圧縮して、梱包密度が550kg/m
3のベールを得た。
実施例1、2と比較例1〜3は、上部プレス板22として平坦面のみからなるもの(表1中、凸部の高さ(H)が0mmのもの)を使用した。
他の例については、
図3に示すような凸部23を有する上部プレス板22を使用した。凸部の高さ(H)は表1に示すとおりである。
【0037】
〔第3工程;
図3(d)〕
表1に示す圧縮時間経過後に非密封状態になるように
図1に示すように互いに直交する方向からバンドを掛けて梱包した。
被覆材12としてはポリエチレン樹脂製フィルム及び合紙の2枚(外側が合紙)を使用し、合成樹脂製バンド13としてはポリエチレンテレフタレート樹脂製バンド(幅15mm)を5本使用した(同一方向に2本、直交する方法に3本使用した)。
【0038】
〔第4工程;
図3(e)、(f)〕
梱包後、圧力を開放して、梱包体10を得た。
梱包体10の梱包初期圧力を測定した。
また取り出した梱包体10を室温にて24時間放置後、天面の膨らみを測定した。天面の膨らみは、天面に平板(10kg)を置き、四隅と平板との間隔を計測して、その平均値として示した。
【0039】
<梱包初期圧力の測定方法>
幅14mm、長さ205mm、厚さ0.208mmのフィルム状のセンサ(センサの先端にある直径9.5mmの円が有効センシングエリアであるもの。最大荷重4.4N及び110N;圧力−電圧変換タイプ)(商品名Flexi Force,ニッタ(株)製)を使用して測定した。
測定は、
図3(e)工程において圧力を開放したときから10分経過後に測定した。
測定方法は、
図2に示す円51、円53、円55の3箇所近傍の被覆材に対して20mm程度の切り込みを入れ、そこからフィルム状のセンサの有効センシングエリア(外部回路と接続されている)が円51、円53、円55に位置するように差し込んだ状態で測定した。
但し、円51、円53、円55の位置には合成樹脂製バンド13はない。
【0040】
試験例1(多段積み性の評価)
得られた梱包体を使用して、4段積みしたときの安定性を評価した。床面と一番下の梱包体の間、各梱包体同士の間には、それぞれ木製パレットを介在させた。
このようにして4段積みしたとき、各梱包体同士の間に介在させたパレットと梱包体の天面との接地状態を肉眼で観察・評価して、パレットが梱包体の天面に接地しているものを○、一部でも接地していないものを×とした。
【0041】
試験例2(タバコフィルタに加工したときの通気性の評価)
実施例および比較例の各梱包体のトウベールを使用して、タバコフィルタに加工したときの通気性を評価した。
フィルタは、たばこ用フィルタ製造用巻上げ機(KDF2/AF1)を用いて、セルロースアセテート繊維のトウを幅約5cmから20cmに開繊し、トウ100質量部に対し6質量部のトリアセチンを均一に散布した後、空気流で開繊し、トランペット状の収束管に導入し、巻取紙を用いて巻上げた後、カッターで切断した。
円周24.2mm、長さ100mmのフィルターロッドを得た。但し、巻き上げ速度は600m/minとした。
長さ100mmのフィルターロッドについて、自動通気抵抗測定器(イギリス・セルリーン(CERULEAN)社製「QTM−6」)を用いて、空気流速17.5ml/秒の条件で圧力損失(mmWG)を測定した。
測定データから、圧力損失(PD)の平均値(x)と標準偏差(σ)を計算し、PDCVを式:σ/x×100で求めた。
PDCVが3.5未満の場合は○、3.5を超える場合は×とした。PDCVが3.5未満であれば、タバコフィルタとして使用したときの喫味に悪影響を与えることがない。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から明らかなとおり、本発明の梱包体は、中央部分の膨らみ高さが小さい(25mm以下)ことから、多段積み性とタバコフィルタに加工したときのPDCVの両方とも良かった。
また実施例1、2と実施例3〜7との対比から、中央部に凸部を有し、周辺部に平坦面部を有しているプレス手段を使用した方が、圧縮時間を短くできるので、製造時の設備台数を考慮するとより好ましい製造方法であることが分かった。
【0044】
実施例8〜10および比較例9〜13
図3(a)〜(f)に示す工程により実施例および比較例の梱包体を製造した。
〔第1工程;
図3(a)、(b)〕
フィルタトウは、表2に示すフィラメントデニールとトータルデニールのものを用いた。
圧縮缶20は、長辺が1200mm、短辺が950mm、高さが4000mmの直方体の金属からなるものを用い、これにフィルタトウ625kgを振り入れた。
【0045】
〔第2工程;
図3(c)〕
図3(c)に示すようにして、表1に示す圧縮条件にて、上部プレス板22によりトウ積層物30を圧縮して、表2に示す各梱包密度のベールを得た。
実施例9と比較例9〜11、13は、上部プレス板22として平坦面のみからなるもの(表1中、凸部の高さ(H)が0mmのもの)を使用した。
他の例については、
図3に示すような凸部23を有する上部プレス板22を使用した。凸部の高さ(H)は表1に示すとおりである。
【0046】
〔第3工程;
図3(d)〕
表3に示す圧縮時間経過後に非密封状態になるように
図1に示すように互いに直交する方向からバンドを掛けて梱包した。
被覆材12としてはポリエチレン樹脂製フィルム及び合紙の2枚(外側が合紙)を使用し、合成樹脂製バンド13としてはポリエチレンテレフタレート樹脂製バンド(幅15mm)を5本使用した(同一方向に2本、直交する方法に3本使用した)。
【0047】
〔第4工程;
図3(e)、(f)〕
梱包後、圧力を開放して、梱包体10を得た。
梱包体10の梱包初期圧力を測定した。
また取り出した梱包体10を室温にて24時間放置後、天面の膨らみを測定した。天面の膨らみは、天面に平板(10kg)を置き、四隅と平板との間隔を計測して、その平均値として示した。
【0048】
実施例および比較例の各梱包体を使用して試験例1の多段積み性の評価をした。結果を表3に示す。
また、実施例および比較例の各梱包体のトウベールを使用して、試験例2によりタバコフィルタに加工したときの通気性を評価した。但し、試験例2において、円周16.5mm、長さ100mmのフィルターロッドを作製して使用した。結果を表3に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表3から明らかなとおり、本発明の梱包体は、中央部分の膨らみ高さが小さい(25mm以下)ことから、多段積み性とタバコフィルタに加工したときのPDCVの両方とも良かった。
また実施例8と実施例9との対比から、中央部に凸部を有し、周辺部に平坦面部を有しているプレス手段を使用した方が、圧縮時間を短くできるので、製造時の設備台数を考慮するとより好ましい製造方法であることが分かった。
さらに表1の実施例1〜7と表3の実施例8〜9は、太さの異なる(フィラメントデニールの異なる)フィルタトウを使用しているが、本発明の製造方法を適用することにより同じ結果が得られることが確認された。