特許第6496589号(P6496589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496589
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】車両用変速操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-66132(P2015-66132)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185731(P2016-185731A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−071563(JP,A)
【文献】 特開2007−237861(JP,A)
【文献】 実開昭62−040622(JP,U)
【文献】 特開2006−306189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を中心に回動することによって車両の変速機を操作可能なシフトレバーと、
該シフトレバーを回動可能に支持するユニットと、
該ユニットを保持するとともに、車体の所定位置に固定されるブラケットと、
を備えた車両用変速操作装置であって、
前記ユニットは、前記シフトレバーの回動軸に対して同軸で突出しつつ当該回動軸を回転自在に支持する突起が形成されるとともに、当該突起が前記ブラケットの嵌合部に対して回転自在に支持されて前記ブラケットに対して当該ユニットを揺動可能に保持し、且つ、前記ブラケットに対して前記ユニットを任意角度に揺動させた状態で当該ブラケットに固定させる固定手段を具備したことを特徴とする車両用変速操作装置。
【請求項2】
前記回動軸は、前記シフトレバーに一体形成された凸部から成るとともに、前記突起は、前記ユニットに一体形成されたボス部から成ることを特徴とする請求項1記載の車両用変速操作装置。
【請求項3】
前記突起は、円筒状に突出したボス部から成り、その中央孔に前記回動軸を挿通して支持するとともに、外周面が前記ブラケットの嵌合部に回転自在に支持されることを特徴とする請求項記載の車両用変速操作装置。
【請求項4】
前記ブラケットの嵌合部は、上方に開放したU字状の溝から成ることを特徴とする請求項1〜の何れか1つに記載の車両用変速操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機を操作し得る車両用変速操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機(トランスミッション)を変速操作するための車両用変速操作装置は、通常、揺動操作可能なシフトレバーを有しており、運転者が当該シフトレバーを把持しつつ所望位置まで揺動させることにより、変速機の変速段を所望に操作可能とされている。また、従来の車両用変速操作装置は、車体の所定位置(運転席近傍)に固定されるブラケットを具備しており、当該ブラケットにシフトレバーが揺動可能に保持されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−237861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の如き問題があった。
変速操作装置は、取付対象の車種等によって車体に対するブラケットの固定位置や固定角度が種々異なることから、当該ブラケットに保持されたシフトレバーの取付位置や取付角度も種々異なってしまうのであるが、シフトレバーは、ブラケットの固定位置や固定角度等に関わらず、操作性等を勘案して適正な取付角度とする必要がある。そのため、異なるブラケットを車種毎に用意する必要があり、製造コストが嵩んでしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、取付対象の車種が異なっても、ブラケットを共通化しつつシフトレバーを適正な取付角度とすることができる車両用変速操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、回動軸を中心に回動することによって車両の変速機を操作可能なシフトレバーと、該シフトレバーを回動可能に支持するユニットと、該ユニットを保持するとともに、車体の所定位置に固定されるブラケットとを備えた車両用変速操作装置であって、前記ユニットは、前記シフトレバーの回動軸に対して同軸で突出しつつ当該回動軸を回転自在に支持する突起が形成されるとともに、当該突起が前記ブラケットの嵌合部に対して回転自在に支持されて前記ブラケットに対して当該ユニットを揺動可能に保持し、且つ、前記ブラケットに対して前記ユニットを任意角度に揺動させた状態で当該ブラケットに固定させる固定手段を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項記載の発明は、請求項1記載の車両用変速操作装置において、前記回動軸は、前記シフトレバーに一体形成された凸部から成るとともに、前記突起は、前記ユニットに一体形成されたボス部から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項記載の車両用変速操作装置において、前記突起は、円筒状に突出したボス部から成り、その中央孔に前記回動軸を挿通して支持するとともに、外周面が前記ブラケットの嵌合部に回転自在に支持されることを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項1〜の何れか1つに記載の車両用変速操作装置において、前記ブラケットの嵌合部は、上方に開放したU字状の溝から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ユニットは、シフトレバーの回動軸に対して同軸で突出しつつ当該回動軸を回転自在に支持する突起が形成されるとともに、当該突起がブラケットの嵌合部に対して回転自在に支持されてブラケットに対して当該ユニットを揺動可能に保持したので、ブラケットの固定位置や固定角度が異なってもシフトレバーを任意角度に揺動させることができ、取付対象の車種が異なっても、ブラケットを共通化しつつシフトレバーを適正な取付角度とすることができる。
【0012】
さらに、突起は、シフトレバーの回動軸を回転自在に支持し、且つ、ブラケットの嵌合部に回転自在に支持されるので、シフトレバーの回転軸を支持する機能と、ユニットをブラケットに支持させる機能とを兼用させることができる。
【0013】
また、ブラケットに対してユニットを任意角度に揺動させた状態で当該ブラケットに固定させる固定手段を具備したので、シフトレバーを確実に適正な取付角度にて保持させることができる。
【0014】
請求項の発明によれば、回動軸は、シフトレバーに一体形成された凸部から成るとともに、突起は、ユニットに一体形成されたボス部から成るので、シフトレバーとは別個の回動軸、及びユニットとは別個の揺動軸を不要とすることができ、部品点数を削減することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、突起は、円筒状に突出したボス部から成り、その中央孔に回動軸を挿通して支持するとともに、外周面がブラケットの嵌合部に回転自在に支持されるので、簡易な構成にてブラケットに対して回動軸を回転可能に支持し、且つ、ブラケットに対してユニットを揺動可能に支持させることができる。
【0016】
請求項の発明によれば、ブラケットの嵌合部は、上方に開放したU字状の溝から成るので、ブラケットに対するユニットの組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用変速操作装置を示す正面図、平面図及び右側面図
図2】同車両用変速操作装置を示す背面図及び左側面図
図3】同車両用変速操作装置を示す斜視図
図4図2におけるIV−IV線断面図
図5】同車両用変速操作装置を示す分解斜視図
図6】同車両用変速操作装置においてブラケットに対してユニットを揺動させた状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る車両用変速操作装置は、自動車等の車両の運転席近傍に取り付けられるもので、図1〜3に示すように、シフトレバー1と、ユニット2と、ブラケット3と、固定手段4とを有して構成され、シフトレバー1の回動操作に伴って操作ワイヤ(不図示)を動作させることにより車両が搭載する変速機(トランスミッション)を任意に操作し得るものである。
【0019】
シフトレバー1は、回動軸L1を中心に回動することによって車両の変速機を操作可能なもので、先端に操作ノブ(不図示)が取り付けられ、当該操作ノブを運転者が把持しつつユニット2に対して回動操作可能とされている。そして、シフトレバー1を任意の位置(例えば、Pレンジ、Dレンジ、Rレンジ等の位置)まで回動操作すると、その位置に応じた変速機の操作が可能とされている。
【0020】
また、本実施形態に係るシフトレバー1は、図4に示すように、パイプ状部材1aの内部に挿通して組み付けられた棒状部材1bと、パイプ状部材1aの基端側にインサート成形等にて形成された基端部1cと、パイプ状部材1内に配設されて棒状部材1bを同図中上方へ付勢するバネsと、棒状部材1bに固定され当該棒状部材1bの長手方向と略直交する方向(同図中左右方向)に延設されたピンpとを有して構成されている。
【0021】
しかして、シフトレバー1がPレンジの位置にあるとき、ピンpがユニット2に形成された窓部2aの所定部位に係止されており、シフトレバー1の回動操作を規制するとともに、操作ノブに形成された操作ボタン(不図示)を押圧すると、棒状部材1bがバネsの付勢力に抗してパイプ状部材1a内を摺動し、ピンpの窓部2aに対する係止が解かれるようになっている。これにより、Pレンジの位置にあるシフトレバー1を任意位置まで回動操作し得るようになっている。
【0022】
ここで、本実施形態に係るシフトレバー1は、その基端部1cに回動軸L1が一体形成されている。かかる回動軸L1は、ユニット2の幅方向(図4における左右方向)に延設された左右一対の凸部から成り、ユニット2に形成された突起L2(ボス部)の中央孔L2aに回転自在に支持される。これにより、シフトレバー1は、回動軸L1を中心としてユニット2に対して任意位置まで回動し得るようになっている。
【0023】
ユニット2は、シフトレバー1を回動可能に支持するとともに当該シフトレバー1と一体化されて一体部品を成すもので、シフトレバー1の回動軸L1に対して同軸で突出しつつ当該回動軸L1を回転自在に支持する突起L2が形成されている。具体的には、ユニット2にシフトレバー1を組み付けた状態において、回動軸L1と対応する位置に突起L2が形成されており、その突起L2(具体的には、突起L2に形成された中央孔L2a)に回動軸L1を挿通して組み付けられているのである。
【0024】
すなわち、本実施形態に係る突起L2は、ユニット2に一体形成されるとともに円筒状に突出した左右一対のボス部から成り、その中央孔L2aに回動軸L1を挿通して支持するとともに、外周面がブラケット3の嵌合部3b(図5参照)に回転自在に支持されるのである。しかして、シフトレバー1は、上述のように、回動軸L1を中心としてユニット2に対して回動可能とされるとともに、ユニット2は、突起L2を中心としてブラケット3に対して揺動可能とされている。また、ユニット2は、図4に示すように、左右一対の部材α、βにて構成されており、これら部材α、βの間にシフトレバー1を介在させつつネジn(図1参照)にて当該部材α、βを組み付けることにより一体化されるようになっている。
【0025】
ブラケット3は、所望材料の成形品から成り、ユニット2を保持するとともに、車体の所定位置に固定されるものである。具体的には、ブラケット3は、その下部にボルト孔3aが複数形成されており、それらボルト孔3aにそれぞれボルトを挿通して車体の所定位置に固定し得るようになっている。また、ブラケット3は、ユニット2(シフトレバー1が組み付けられた状態のユニット2)を保持するための保持溝K(図5参照)が形成されており、当該保持溝K内にユニット2が揺動可能に取り付けられるようになっている。
【0026】
さらに、ブラケット3は、上方に開放したU字状の溝から成る嵌合部3bが左右それぞれに形成されており、当該嵌合部3bにユニット2の突起L1が回転可能に嵌合し得るようになっている。なお、左右の突起L1のうち一方の突起L1には、側方に延設した延設部aが形成されており、当該突起L1が嵌合部3bに嵌合された状態でユニット2が幅方向にずれないようになっている。なお、保持溝Kには、図5に示すように、内側に突出する突出部bが一体形成されており、当該突出部bと保持溝Kの壁部との間にユニット2に形成された膨出部2bが挟まれた状態で当該ユニット2が保持されるようになっている。これにより、左右の突起L1のうち他方の突起L1側においては、ユニット2の幅方向のずれが防止されるようになっている。
【0027】
一方、ユニット2の下部には、挿通孔2cが形成されるとともに、ブラケット3の下部には、複数(本実施形態においては3つ)の挿通孔3cが形成されており、突起L2を中心にユニット2を揺動させると、挿通孔2cと、挿通孔3cの何れか1つとが合致し得るよう設定されている。そして、挿通孔2c及び何れかの挿通孔3cが合致した状態において、固定手段4を挿通させることにより、ブラケット3に対してユニット2を任意角度に揺動させた状態で当該ブラケット3に固定させることができる。
【0028】
固定手段4は、ブラケット3に対してユニット2を任意角度に揺動させた状態で当該ブラケット2に固定させるもので、本実施形態においては、図5に示すように、軸部4a及び頭部4bを有したピン状部材から成る。頭部4bは、軸部4aの一端側に形成された部位から成り、楕円又は小判状に形成されている。そして、挿通孔2c及び何れかの挿通孔3cが合致した状態において、軸部4aを挿通させた後、頭部4bを回転させることにより、ブラケット3の側面に形成された突出部3dの溝3daに当該頭部4bが係止され、固定状態が維持されるよう構成されている。
【0029】
しかして、シフトレバー1が一体化されたユニット2をブラケット3に保持させた状態において、突起L2を中心としてユニット2を前後に揺動させ、任意角度(本実施形態においては、図6における実線で示す位置又は二点鎖線で示す位置の3位置の何れか)になったとき、挿通孔2c及び何れかの挿通孔3cが合致した状態となるので、その角度を保持させるべく固定手段4にてユニット2をブラケット3に固定させることができる。
【0030】
上記実施形態によれば、ユニット2は、シフトレバー1の回動軸L1に対して同軸で突出しつつ当該回動軸L1を回転自在に支持する突起L2が形成されるとともに、当該突起L2がブラケット3の嵌合部3bに対して回転自在に支持されてブラケット3に対して当該ユニット2を揺動可能に保持したので、ブラケット3の固定位置や固定角度が異なってもシフトレバー1を任意角度に揺動させることができ、取付対象の車種が異なっても、ブラケット3を共通化しつつシフトレバー1を適正な取付角度とすることができる。さらに、突起L2は、シフトレバー1の回動軸L1を回転自在に支持し、且つ、ブラケット3の嵌合部3bに回転自在に支持されるので、シフトレバー1の回転軸L1を支持する機能と、ユニット2をブラケット3に支持させる機能とを兼用させることができる。
【0031】
また、ブラケット3に対してユニット2を任意角度に揺動させた状態で当該ブラケット3に固定させる固定手段4を具備したので、シフトレバー1を確実に適正な取付角度にて保持させることができる。特に、本実施形態に係る回動軸L1は、シフトレバー1に一体形成された凸部から成るとともに、突起L2は、ユニット2に一体形成されたボス部から成るので、シフトレバー1とは別個の回動軸、及びユニット2とは別個の揺動軸を不要とすることができ、部品点数を削減することができる。
【0032】
さらに、本実施形態に係る突起L2は、円筒状に突出したボス部から成り、その中央孔L2aに回動軸L1を挿通して支持するとともに、外周面がブラケット3の嵌合部3bに回転自在に支持されるので、簡易な構成にてブラケット3に対して回動軸L1を回転可能に支持し、且つ、ブラケット3に対してユニット2を揺動可能に支持させることができる。またさらに、ブラケット3の嵌合部3bは、上方に開放したU字状の溝から成るので、ブラケット3に対するユニット2の組み付け性を向上させることができる。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばブラケット3に形成される挿通孔3cを2つ或いは4つ以上とし、その何れかにユニット2の挿通孔2cに合致させて固定手段4にて固定させるもの、又は他の形態によってブラケット3に対するユニット2の固定を行わせるもの等であってもよい。また、本実施形態においては、オートマティックトランスミッションを操作する車両用変速操作装置に適用されているが、マニュアルトランスミッションを操作する車両用変速操作装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
ユニットは、シフトレバーの回動軸に対して同軸で突出しつつ当該回動軸を回転自在に支持する突起が形成されるとともに、当該突起がブラケットの嵌合部に対して回転自在に支持されてブラケットに対して当該ユニットを揺動可能に保持し、且つ、ブラケットに対してユニットを任意角度に揺動させた状態で当該ブラケットに固定させる固定手段を具備した車両用変速操作装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 シフトレバー
2 ユニット
3 ブラケット
4 固定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6