特許第6496598号(P6496598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496598
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】押圧操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/58 20060101AFI20190325BHJP
   H01H 25/06 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   H01H13/58 B
   H01H25/06 E
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-86158(P2015-86158)
(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-207389(P2016-207389A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】今野 悟
(72)【発明者】
【氏名】崔然照
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−018752(JP,U)
【文献】 特開2009−059578(JP,A)
【文献】 特開平10−041107(JP,A)
【文献】 実開昭54−101371(JP,U)
【文献】 米国特許第04771141(US,A)
【文献】 特開2004−349006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/56 , 13/58
H01H 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作に応じて移動する移動部材と、
受け部材と、
前記移動部材と前記受け部材との間に介在し、前記移動部材と当接して回転する回転カムと、
を有し、
前記回転カムは、
前記押圧操作に応じて前記移動部材と離間した状態で前記移動部材と一体となって前記受け部材に向けて移動し、前記受け部材に当接した後に、前記移動部材と当接して回転し、当該回転により、前記移動部材の前記押圧操作前の位置に向けた復帰動作が可能な非ロック状態となる第1の回転姿勢から、前記復帰動作が規制されるロック状態となる第2の回転姿勢に切り換わる
押圧操作装置。
【請求項2】
前記受け部材は、第1の弾性部材であり、
前記回転カムは、前記受け部材に当接して当該受け部材から付勢力を受けた状態で、前記移動部材と当接して回転するように構成されている
請求項1に記載の押圧操作装置。
【請求項3】
前記移動部材と前記回転カムを収容し、前記移動部材の移動方向に沿ってスライド溝が形成されたハウジングと、
一端が前記ハウジングに固定され、他端が前記移動部材に固定され、前記押圧操作前の位置に向けて前記移動部材を付勢する第2の弾性部材と、
を有し、
前記回転カムは、前記第1の回転姿勢において前記ハウジングの前記スライド溝に沿って移動可能であり、前記第2の回転姿勢において前記スライド溝の周辺部で係止されるストッパ部を有する
請求項1または請求項2に記載の押圧操作装置。
【請求項4】
少なくとも前記回転カムが前記受け部材に当接したことを条件にオン・オフするスイッチ
を有する請求項1〜3のいずれかに記載の押圧操作装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記移動部材が前記押圧操作されていない状態で回転操作されると、当該回転操作に応じて所定の仮想軸に中心に回転可能であり、
前記押圧操作装置は、
前記ハウジングの回転位置を検出する検出部を有する
請求項3に記載の押圧操作装置。
【請求項6】
前記受け部材は、板バネである
請求項2に記載の押圧操作装置。
【請求項7】
前記回転カムは、フック部を有し、
前記移動部材の中空部に一端から前記フック部をスナップインにより挿入することで、前記移動部材の移動方向に移動自在、且つ回転自在に引っ掛けられている
請求項1〜6のいずれかに記載の押圧操作装置。
【請求項8】
前記受け部材の周辺に位置する発光部と、
前記移動部材の前記回転カムと反対側の端部に設けられた押圧操作部と
を有し、
前記回転カムは、透明であり、
前記発光部からの光が前記回転カムを介して、前記押圧操作部付近まで達するように構成されている
請求項1〜7のいずれかに記載の押圧操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席周辺等に設けられる押圧操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハートカム機構を備え、操作部材を押し込んだ位置でロック状態となり、操作部材を再度押し込むことにより非ロック状態となって、操作部材を突出位置に復帰させるプッシュスイッチ装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−17532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した引用文献1に記載のプッシュスイッチ装置では、ハートカム機構がロックピンを使用しているため操作音が大きいという問題がある。
【0005】
また、スライダの側面にカム面を設け、ロック状態においてロックピンをスライダの側面に当ててロックをするため、ロック状態おいてスライダに側面方向からの力が継続して加えられ、バランスが悪く、スライダが傾く等の問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作音が小さい押圧操作装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、ロック状態でのバランスがよい押圧操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の問題を解決し上述した目的を達成するために、本発明の押圧操作装置は、押圧操作に応じて移動する移動部材と、受け部材と、前記移動部材と前記受け部材との間に介在し、前記移動部材と当接して回転する回転カムとを有し、前記回転カムは、前記押圧操作に応じて前記移動部材と離間した状態で前記移動部材と一体となって前記受け部材に向けて移動し、前記受け部材に当接した後に、前記移動部材と当接して回転し、当該回転により、前記移動部材の前記押圧操作前の位置に向けた復帰動作が可能な非ロック状態となる第1の回転姿勢から、前記復帰動作が規制されるロック状態となる第2の回転姿勢に切り換わる。
【0008】
この構成によれば、前記押圧操作による前記移動部材の移動に応じて、前記回転カムが前記受け部材に当接した後に回転をする。すなわち、前記回転カムが前記受け部材に当接する迄の間は、前記回転カムは回転しない。そして、前記回転カムが前記受け部材に当接して、前記回転カムが前記受け部材から摩擦力を受けた状態で前記回転カムが徐々に回転する。そのため、急激な回転による前記回転カムと前記移動部材との間の衝突音を抑えることができる。
【0009】
好適には本発明の押圧操作装置の前記受け部材は、第1の弾性部材であり、前記回転カムは、前記受け部材に当接して当該受け部材から付勢力を受けた状態で、前記移動部材と当接して回転するように構成されている。
この構成によれば、前記回転カムが前記第1の弾性部材に当接してその弾性力を徐々に受けながら滑らかに回転することができ、上述した急激な回転による前記回転カムと前記移動部材との間の衝突音をより効果的に抑えることができる。
【0010】
好適には本発明の押圧操作装置は、前記移動部材と前記回転カムを収容し、前記移動部材の移動方向に沿ってスライド溝が形成されたハウジングと、一端が前記ハウジングに固定され、他端が前記移動部材に固定され、前記押圧操作前の位置に向けて前記移動部材を付勢する第2の弾性部材と、を有し、前記回転カムは、前記第1の回転姿勢において前記ハウジングの前記スライド溝に沿って移動可能であり、前記第2の回転姿勢において前記スライド溝の周辺部で係止されるストッパ部を有する。
この構成によれば、ロック状態において、ストッパ部の係止が前記移動部材の移動方向に沿った方向に向けて行われるため、安定した姿勢でロックができる。
また、この構成によれば、押圧操作力が解除された場合に、移動部材を自動的に元に位置に復帰させることができる。
【0011】
好適には本発明の押圧操作装置の前記ハウジングは、前記移動部材が前記押圧操作されていない状態で回転操作されると、当該回転操作に応じて所定の仮想軸に中心に回転可能であり、前記押圧操作装置は、前記ハウジングの回転位置を検出する検出部を有する。
この構成によれば、押圧操作に加えて回転操作入力が可能になる。
好適には本発明の前記受け部材は、板バネである。
この構成によれば、前記受け部材の高さ管理が容易になると共に、前記回転カムの面で前記受け部材を押圧でき、耐摩耗性が高く、高い耐久性を得ることができる。また、ねじりコイルバネのように回転に伴って捻じれるということがないので、弾性変形後の戻り時に異音が発生しない。
【0012】
好適には本発明の押圧操作装置の前記スイッチは、前記受け部材が前記回転カムによって押圧される過程でオン・オフする。
【0013】
好適には本発明の前記回転カムは、フック部を有し、前記移動部材の中空部に一端から前記フック部をスナップインにより挿入することで、前記移動部材に対して前記仮想軸方向に移動自在、且つ回転自在に引っ掛けられている。
この構成によれば、前記回転カムを前記移動部材に容易に取り付けることができる。また、前記回転カムと前記移動部材との間の離間および当接の動作を適切に発揮できる。
【0014】
好適には本発明の押圧操作装置は、前記受け部材の周辺に位置する発光部と、前記移動部材の前記回転カムと反対側の端部に設けられた押圧操作部とを有し、前記回転カムは、透明であり、前記発光部からの光が前記回転カムを介して前記押圧操作部付近まで達するように構成されている。
この構成によれば、前記回転カムに対して基板側に前記発光部を設けた場合でも、当該発光部からの光を前記押圧操作部付近まで導くことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、操作音が小さい押圧操作装置を提供することができる。
また、本発明によれば、ロック状態でのバランスがよい押圧操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の入力操作システム1の平面図である。
図2】入力操作ケースに回転操作体と直線操作体とを収容した状態の正面側の構成を説明するための図である
図3】回転操作体の側面側の外観斜視図である。
図4】回転操作体の底面側の外観斜視図である。
図5】回転操作体の分解斜視図である。
図6】移動部材、回転カムおよび第1の弾性部材との関係を説明するための図である。
図7図6に示す断面線B−Bにおける移動部材と回転カムの断面構成図である。
図8】第2の弾性部材、移動部材およびハウジングの係合関係を説明するための外観斜視図である。
図9】回転操作体の入力操作ケースに装着された状態の背面側の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る押圧操作装置を説明する。
図1は本実施形態の入力操作システム1の平面図、図2は入力操作ケース3に回転操作体と直線操作体とを収容した状態の正面側の構成を説明するための図である。
【0018】
図1および図2に示すように、入力操作システム1は、例えば、車両の運転席のハンドルの脇等に配置され、例えば、ヘッドライト等の外部照明の明るさを調整する押圧操作装置23と、フォグランプ等のオン/オフ操作を行うための直線操作体25とヘッドライトのオン/オフ操作を行うための操作体27とを入力操作ケース3に収容して構成されている。
入力操作システム1の正面側に位置する正面パネル板5には、押圧操作装置23の押圧操作部121、直線操作体25の操作部70および操作体27の操作部28が表れる。
【0019】
以下、押圧操作装置23について詳細に説明する。
図3は押圧操作装置23の側面側の外観斜視図、図4は押圧操作装置23の底面側の外観斜視図、図5は押圧操作装置23の分解斜視図、図6は移動部材125、回転カム129および第1の弾性部材131との関係を説明するための図である。図7図6に示す断面線B−Bにおける移動部材125と回転カム129の断面構成図、図8は第2の弾性部材123、移動部材125およびハウジング127の係合関係を説明するための外観斜視図である。図9は押圧操作装置23の入力操作ケース3に装着された状態の背面側の外観図である。
図3図8に示すように、押圧操作装置23は、例えば、押圧操作部121、第2の弾性部材123、移動部材125、ハウジング127、回転カム129および第1の弾性部材131を有する。
【0020】
ハウジング127は、正面パネル板5と基板137との間に仮想軸57を中心に回転可能に支持されている。
図3に示すようにハウジング127の一端部は基板137と対向して位置している。基板137上には第1の弾性部材131が固定されている。第1の弾性部材131は、例えば、板バネである。
【0021】
ハウジング127の外周には、一端がハウジング127に係止され、図8に示すように他端が移動部材125の係合部125bに係止された第2の弾性部材123が設けられている。
【0022】
ハウジング127の中空部内には、仮想軸57に沿って直線移動自在に移動部材125が収容されている。
図6に示すように、移動部材125は、挿着方向の端部に第1のラチェット係合部125aを有し、押圧操作部121に第1の弾性部材131に向けた押圧操作力が加えられると、第2の弾性部材123の弾性力に抗して回転カム129および第1の弾性部材131に向けて移動する。
【0023】
図6に示すように、回転カム129は、移動部材125と第1の弾性部材131との間に介在し、第1のラチェット係合部125aと係合可能(ラチェット結合可能な)な第2のラチェット係合部129aを有する。
回転カム129は、図5に示すように、移動部材125に対して仮想軸57方向に移動自在、且つ仮想軸57を中心として回転自在に移動部材125内の段差面125dに係合し、仮想軸57方向において移動部材125と所定距離以上離間しないように規制する3つのストッパ部129cを有する。
【0024】
図7に示すように、ストッパ部129cは、フック形状をしており、移動部材125の第1の弾性部材131側の端部から中空部にスナップインにより挿入される。これにより、回転カム129が、第1のラチェット係合部125aと第2のラチェット係合部129aとが離間および当接する方向に移動自在、且つ回転自在に移動部材125の段差面125dに引っ掛けられる。
【0025】
回転カム129の第2のラチェット係合部129aは、押圧操作部121に押圧操作力が加えられていない状態では、図6に示すように、移動部材125の第1のラチェット係合部125aと離間している。また、この状態で、回転カム129と第1の弾性部材131とは離間している。
【0026】
図8に示すように、移動部材125の係合部125bには第2の弾性部材123の一端部が取り付けられている。また、第2の弾性部材123の他端部はハウジング127に支持されている。
移動部材125は、係合部125bに加えられる第2の弾性部材123の付勢力により、押圧操作部121に向けて付勢された状態になっている。押圧操作部121は、フックにより移動部材125に一体に保持されており、移動部材125とは一体となって移動する。
なお、移動部材125は回転カム129によって上方向の移動が規制されている。図9に示すように、回転カム129はロック状態ではスライド溝127cの両側部127eで係止され、非ロック状態ではスライド溝127cの上終端部に当接して上方向の動きが規制される。
【0027】
移動部材125は、押圧操作部121に押圧操作力が加えられると、第2の弾性部材123の弾性力に抗して回転カム129と一体となって第1の弾性部材131に向けて移動可能である。
回転カム129は、押圧操作部121が押圧操作されると、前述したように、その第2のラチェット係合部129aと、移動部材125の第1のラチェット係合部125aとの間のラチェット結合により、仮想軸57を中心に回転し、第1の回転姿勢と第2の回転姿勢とを交互に切り換える。
【0028】
ここで、第1の回転姿勢は、図9に示すように、回転カム129のストッパ部129bとハウジング127のスライド溝127cとが対向して位置する姿勢であり、回転カム129がハウジング127内をスライド溝127cに沿って仮想軸57方向(押圧操作が行われていない位置)に移動可能な状態(非ロック状態)である。この状態では、押圧操作部121への押圧操作力が解除されると、回転カム129が移動部材125と一体となって、第2の弾性部材123の付勢力に応じて、第1の弾性部材131から離れる向きに移動する。
【0029】
一方、第2の回転姿勢は、回転カム129のストッパ部129bがハウジング127のスライド溝127cに対向していなく、スライド溝127cの両側で係止された状態(ロック状態)である。当該状態では、押圧操作部121への押圧操作力が解除された場合に、ストッパ部129bがスライド溝127cの両側部127eで係止されるので、回転カム129および移動部材125の移動が規制されたロック位置に保持される。
【0030】
図6に示すように、図3に示す基板137上の第1の弾性部材131が配置された位置には、プッシュスイッチ85が設けられている。また、プッシュスイッチ85の周辺には、LED等の発光部87が設けられている。
押圧操作装置23では、例えば、回転カム129は透明であり、発光部87からの光が回転カム129、移動部材125の中空部を通じて押圧操作部121の位置まで達する。
【0031】
また、図4に示すように、ハウジング127の底部127dには電極133が設けられており、基板137上に形成された電極パターン139と電極133との位置関係により、押圧操作部121の回転位置が検出される。
押圧操作装置23は、例えば、押圧操作部121が押圧操作されていない状態で、押圧操作部121が仮想軸57を中心として回転操作されると、押圧操作部121とハウジング127とが一体となって回転し、その回転位置が検出され、当該検出された回転位置に応じた入力処理が行われる。
【0032】
以下、押圧操作装置23の動作を説明する。
押圧操作部121に押圧操作力が加えられると、第2の弾性部材123の弾性力に抗して移動部材125が回転カム129と一体となって第1の弾性部材131に向けて移動する。
このとき、回転カム129は、図9に示す第1の回転姿勢であり、回転カム129がハウジング127内を仮想軸57に沿って移動可能な状態(非ロック状態)である。
【0033】
そして、回転カム129の下面が第1の弾性部材131に当接すると、第1の弾性部材131によって回転カム129が支持されると共に、移動部材125が回転カム129に向けて移動し、第1のラチェット係合部125aが第2のラチェット係合部129aに係合する。このとき、第1のラチェット係合部125aの下向きの凸部が第2のラチェット係合部129aの傾斜面を押圧して回転カム129に仮想軸57を中心とした回転力が生じる。
【0034】
当該回転力により、回転カム129が回転して第1の回転姿勢から第2の回転姿勢になり、第1のラチェット係合部125aの凸部と第2のラチェット係合部129aの凹部とが結合し、回転カム129が移動部材125と一体となって第1の弾性部材131を押圧する。
当該第2の回転姿勢において、回転カム129のストッパ部129cがハウジング127のスライド溝127cの両側で係止されたロック状態になる。
【0035】
その後、押圧操作部121への押圧操作力が解除された場合に、上述したように回転カム129のストッパ部129bがスライド溝127cの両側部127eで係止されているので、移動部材125および回転カム129はロック状態となり、第2の弾性部材123の弾性力に抗して押圧された位置に保持される。
このとき、移動部材125の第1のラチェット係合部125aと回転カム129の第2のラチェット係合部129aとは再び離間した状態になる。
【0036】
次に、押圧操作部121に押圧操作力が加えられ得ると、移動部材125が回転カム129に向けて移動し、第1のラチェット係合部125aと第2のラチェット係合部129aとが結合し、その回転力により回転カム129が回転して再び第2の回転姿勢から第1の回転姿勢に戻る。
【0037】
当該動作を詳細に説明する。
ストッパ部129bの上面129b1が斜面となっており、ハウジング127のスライド溝127cの両側部127eも斜面となっている。
非ロック状態にある押圧操作部121への押圧操作力によって回転カム129が第1の弾性部材131に近づく方向に移動しストッパ部129bがスライド溝127cから出ると、回転カム129は、第1のラチェット係合部125aと第2のラチェット係合部129aとが当接して、第1のラチェット係合部125aの凸部と第2のラチェット係合部129aの凹部とが結合する位置まで一旦回転し、ストッパ部129bはスライド溝127cの一方の両側部127eの斜面と対向する。
【0038】
次に、押圧操作部121への押圧操作力が解除されると、回転カム129は、第2の弾性部材123の付勢力によって第1の弾性部材131から離れる方向へ移動し、ストッパ部129bの上面129b1の斜面とハウジング127のスライド溝127cの一方の両側部127eの斜面が当接することで、回転カム129がさらに同じ方向へ回転し、一方の両側部127eの斜面の終端で止まってロック状態になる。
このとき第1のラチェット係合部125aの凸部と第2のラチェット係合部129aの凹部とがずれた位置で対向する。
この状態で再び押圧操作部121への押圧操作力が加わると、回転カム129が第1の弾性部材131に近づく方向に移動し、第1のラチェット係合部125aと第2のラチェット係合部129aとが当接して、第1のラチェット係合部125aの凸部と第2のラチェット係合部129aの凹部とが結合する位置まで回転カム129が一旦回転し、ストッパ部129bはスライド溝127cのもう一方の両側部127eの斜面と対向する。
【0039】
次に押圧操作部121への押圧操作力が解除されると、回転カム129は、第2の弾性部材123の付勢力によって第1の弾性部材131から離れる方向へ移動し、ストッパ部129bの上面129b1の斜面とハウジング127のスライド溝127cのもう一方の両端部127eの斜面が当接することで、回転カム129がさらに同じ方向へ回転し、ストッパ部129bがスライド溝127cと対向する位置まで回転する。そして第2の弾性部材123の付勢力によってストッパ部129bがスライド溝127c内に入り込んで溝内を上端部まで上昇し、非ロック状態になる。このとき第1のラチェット係合部125aの凸部と第2のラチェット係合部129aの凹部とがずれた位置で対向する。
その後、押圧操作部121への押圧操作力の有無に応じて上述した動作が繰り返される。
【0040】
また、押圧操作装置23によれば、押圧操作部121の押圧操作による移動部材125の移動に応じて、回転カム129が第1の弾性部材131に当接した後に回転をする。すなわち、回転カム129が第1の弾性部材131に当接する迄の間は、回転カム129は回転しない。そして、回転カム129が第1の弾性部材131に当接して、回転カム129が第1の弾性部材131から摩擦力を受けた状態で回転カム129が徐々に回転するため、急激な回転による回転カム129と移動部材125との間の衝突音を抑えることができる。
【0041】
また、押圧操作装置23によれば、ロック状態において、回転カム129のストッパ部129bがハウジング127の底部127dに係止されるため、係止による力が加わる方向が仮想軸57と一致し、安定した姿勢でロックができる。
【0042】
また、押圧操作装置23によれば、第1の弾性部材131として板バネを用いることで、第1の弾性部材131の高さ管理が容易になると共に、回転カム129の面で押圧でき、耐摩耗性が高く、高い耐久性を得ることができる。また、ねじりコイルバネのように回転に伴って捻じれるということがないので、弾性変形後の戻り時に異音が発生しない。
【0043】
また、押圧操作装置23によれば、図7に示すように、ストッパ部129cをフック形状にし、移動部材125の端部から中空部にスナップインにより挿入することで、回転カム129を移動部材125に容易に取り付けることができる。また、ストッパ部129cにより、回転カム129と移動部材125との間の離間および当接の機能を適切に発揮できる。
【0044】
また、押圧操作装置23によれば、回転カム129を透明にしたことで、回転カム129に対して基板137側に発光部87を設けた場合でも、発光部87からの光を押圧操作部121付近に導くことができる。
【0045】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、押圧操作装置23を構成する部材の形状等は一例であり、変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、車両の運転席周辺等に設けられる押圧操作装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…入力操作システム
3…入力操作ケース
5…正面パネル板
23…回転操作体
25…直線操作体
27…操作体
85…プッシュスイッチ
87…発光部
121…押圧操作部
123…第2の弾性部材
125…移動部材
127…ハウジング
127a…外周面
127c…スライド溝
127d…底部
129…回転カム
129a…第2のラチェット係合部
129c…ストッパ部
131…第1の弾性部材
133…電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9