特許第6496614号(P6496614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496614
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/04 20060101AFI20190325BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20190325BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20190325BHJP
   F16F 9/54 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   F16C17/04 Z
   F16C23/04 E
   F16C23/04 D
   F16C33/10 Z
   F16F9/54
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-117873(P2015-117873)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-3006(P2017-3006A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】関根 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】森重 晃一
(72)【発明者】
【氏名】今川 圭介
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−92255(JP,A)
【文献】 特開2008−232304(JP,A)
【文献】 特開2005−337389(JP,A)
【文献】 特開平6−17825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 23/04
F16C 17/04
F16C 19/50
F16C 19/54
F16F 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持対象の荷重を支持する滑り軸受であって、
前記支持対象の荷重を受けるアッパーケースと、
前記アッパーケースに回動自在に組み合わされるロワーケースと、
前記アッパーケースおよび前記ロワーケース間に配された円柱状の複数の軸受ピースと、を備え、
前記アッパーケースは、環状の荷重伝達面を有し、
前記ロワーケースは、前記アッパーケースの前記荷重伝達面との対向面に環状に配された、前記軸受ピースの外径より大きな穴径の複数の装着穴を有し、
前記軸受ピースは、前記ロワーケースの前記装着穴に装着されており、一方の端面が前記アッパーケースの前記荷重伝達面と摺動し、他方の端面が前記ロワーケースの前記装着穴の底面と摺動し、
前記ロワーケースの前記装着穴の底面および当該底面と摺動する前記軸受ピースの他方の端面は、球面形状を有している
ことを特徴とする滑り軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の滑り軸受であって、
前記軸受ピースの他方の端面は、当該端面と摺動する前記ロワーケースの前記装着穴の底面より小径の球面形状を有している
ことを特徴とする滑り軸受。
【請求項3】
請求項1または2に記載の滑り軸受であって、
前記アッパーケースの前記荷重伝達面と摺動する前記軸受ピースの一方の端面は、球面形状を有している
ことを特徴とする滑り軸受。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の滑り軸受であって、
前記滑り軸受は、軸部材の回動を許容しつつ、当該軸部材に加わる前記支持対象の荷重を支持するものであり、
前記アッパーケースは、前記軸部材が挿入された状態で当該軸部材の前記支持対象への取付機構に取り付けられ、
前記ロワーケースは、前記軸部材が挿入された状態で前記軸部材に組み合わせられたコイルスプリングを支持する
ことを特徴とする滑り軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持対象の荷重を支持する滑り軸受に関し、特に、軸部材の回動を許容しつつ、軸部材に加わる荷重を支持する滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前輪に用いられるストラット式サスペンション(マクファーソンストラット)は、ピストンロッドおよび油圧式ショックアブソーバを備えたストラットアッセンブリに、コイルスプリングを組み合わせた構造を有しており、ステアリング操作によってストラットアッセンブリがコイルスプリングと共に回動する。このため、ストラットアッセンブリの円滑な回動を許容するべく、通常、車体へのストラットアッセンブリの取付機構であるアッパーマウントとコイルスプリング上端部のばね座であるアッパースプリングシートとの間に、軸受が配置されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ストラット式サスペンション用の軸受として、合成樹脂製の滑り軸受が開示されている。この滑り軸受は、アッパーマウント側に取り付けられる合成樹脂製のアッパーケースと、アッパースプリングシート側に取り付けられ、アッパーケースに回動自在に組み合わされる合成樹脂製のロワーケースと、アッパーケースおよびロワーケースを組み合わせることにより形成される環状空間に配置され、アッパーケースおよびロワーケース間の円滑な回動を実現する合成樹脂製の環状のセンタープレートと、を備えている。ここで、センタープレートの表面には、軸受面が形成されている。また、アッパーケースは、センタープレートの表面に形成された軸受面と摺動する環状の荷重伝達面を有する。
【0004】
上記構成の滑り軸受は、アッパーケースの荷重伝達面とセンタープレートの軸受面とが摺動することにより、アッパーケースおよびロワーケース間の円滑な回動を実現する。また、ストラット式サスペンションに加わる荷重を、アッパーケースの荷重伝達面を介してセンタープレートの軸受面で支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−257516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、自動車の前輪に用いられるストラット式サスペンションは、ストラット軸とキングピン軸(荷重入力軸)とがずれており、これによってストラット式サスペンションに回転モーメントが発生する。この回転モーメントは、アッパーマウントとアッパースプリングシートとの間に配置される軸受に作用する。特許文献1に記載の滑り軸受においては、この回転モーメントにより、アッパーケースの荷重伝達面の軸心とセンタープレートの軸受面の軸心との間にずれが生じて、センタープレートの軸受面に加わる荷重が軸受面の位置により異なってくるため、センタープレートの軸受面が部分的に偏摩耗する。したがって、特許文献1に記載の滑り軸受では、長期間に亘って摺動性能を良好に維持することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期に亘り良好な摺動特性を実現可能な滑り軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の滑り軸受では、環状の荷重伝達面をアッパーケースに形成し、環状に配された複数の装着穴をロワーケースに形成して、各装着穴に、一方の端面が荷重伝達面と摺動し、他方の端面が装着穴の底面と摺動する円柱状の軸受ピースを装着した。そして、装着穴の穴径を軸受ピースの外径より大径とし、かつ装着穴の底面およびこの底面と摺動する軸受ピースの他方の端面を球面形状とすることにより、荷重伝達面と摺動する軸受ピースの一方の端面を、荷重伝達面に合わせて調心できるようにした。
【0009】
例えば、本発明は、支持対象の荷重を支持する滑り軸受であって、
前記支持対象の荷重を受けるアッパーケースと、
前記アッパーケースに回動自在に組み合わされるロワーケースと、
前記アッパーケースおよび前記ロワーケース間に配された円柱状の複数の軸受ピースと、を備え、
前記アッパーケースは、環状の荷重伝達面を有し、
前記ロワーケースは、前記アッパーケースの前記荷重伝達面との対向面に環状に配された、前記軸受ピースの外径より大きな穴径の複数の装着穴を有し、
前記軸受ピースは、前記ロワーケースの前記装着穴に装着されており、一方の端面が前記アッパーケースの前記荷重伝達面と摺動し、他方の端面が前記ロワーケースの前記装着穴の底面と摺動し、
前記ロワーケースの前記装着穴の底面および当該底面と摺動する前記軸受ピースの他方の端面は、球面形状を有している。
【0010】
ここで、前記滑り軸受は、軸部材の回動を許容しつつ、当該軸部材に加わる前記支持対象の荷重を支持するものであり、
前記アッパーケースは、前記軸部材が挿入された状態で当該軸部材の前記支持対象への取付機構に取り付けられ、
前記ロワーケースは、前記軸部材が挿入された状態で前記軸部材に組み合わせられたコイルスプリングを支持するものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、環状に配された複数の装着穴に、一方の端面が荷重伝達面と摺動し、他方の端面が装着穴の底面と摺動する円柱状の軸受ピースを装着するとともに、装着穴の穴径を軸受ピースの外径より大径とし、かつ装着穴の底面およびこの底面と摺動する軸受ピースの他方の端面を球面状に形成することにより、荷重伝達面と摺動する軸受ピースの一方の端面を、荷重伝達面に合わせて調心できるようにしている。このため、複数の軸受ピースに加わる荷重を均一に分散して、複数の軸受ピースの偏摩耗を防止することができる。したがって、本発明によれば、長期間に亘って摺動性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(A)、図1(B)および図1(C)は、本発明の一実施の形態に係る滑り軸受1の正面図、背面図および側面図であり、図1(D)は、図1(A)に示す滑り軸受1のA−A断面図である。
図2図2(A)は、図1(D)に示す滑り軸受1のB部拡大図であり、図2(B)は、図1(D)に示す滑り軸受1のC部拡大図である。
図3図3(A)、図3(B)および図3(C)は、アッパーケース2の正面図、背面図および側面図であり、図3(D)は、図3(A)に示すアッパーケース2のD−D断面図である。
図4図4(A)、図4(B)および図4(C)は、ロワーケース3の正面図、背面図および側面図であり、図4(D)は、図4(A)に示すロワーケース3のE−E断面図であり、図4(E)は、図4(D)に示すロワーケース3のF部拡大図である。
図5図5(A)および図5(B)は、軸受ピース4の正面図および上面図である。
図6図6(A)および図6(B)は、軸受ピース4の調心機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
図1(A)、図1(B)および図1(C)は、本実施の形態に係る滑り軸受1の正面図、背面図および側面図であり、図1(D)は、図1(A)に示す滑り軸受1のA−A断面図である。また、図2(A)は、図1(D)に示す滑り軸受1のB部拡大図であり、図2(B)は、図1(D)に示す滑り軸受1のC部拡大図である。
【0015】
本実施の形態に係る滑り軸受1は、ストラット式サスペンションのストラットアッセンブリ(不図示)を収容するための収容孔10を備え、この収容孔10に収容されたストラットアッセンブリの回動を許容しつつ、ストラット式サスペンションに加わる荷重を支持する。図示するように、滑り軸受1は、アッパーケース2と、アッパーケース2と回動自在に組み合わされて、アッパーケース2との間に環状空間5を形成するロワーケース3と、この環状空間5に環状に配置された複数の軸受ピース4と、図示していないが、環状空間5に充填された潤滑グリースと、を備えている。
【0016】
アッパーケース2は、必要に応じて潤滑油が含浸されたポリアセタール樹脂等の摺動特性に優れた熱可塑性樹脂で形成され、ストラット式サスペンションのストラットアッセンブリが挿入された状態でアッパーマウント(不図示)に取り付けられる。
【0017】
図3(A)、図3(B)および図3(C)は、アッパーケース2の正面図、背面図および側面図であり、図3(D)は、図3(A)に示すアッパーケース2のD−D断面図である。
【0018】
図示するように、アッパーケース2は、ストラットアッセンブリを挿入するための挿入孔20を備えた環状のアッパーケース本体21と、アッパーケース本体21の上面22に形成され、アッパーサポートに取り付けるための取付面23と、アッパーケース本体21の下面24に形成され、ロワーケース3と回動自在に組み合わされることにより環状空間5を形成するための、下面24側が開口し、上面22側が閉塞した環状溝25と、環状溝25の溝底26に形成され、軸受ピース4と摺動可能に接触する環状の荷重伝達面27と、を備える。
【0019】
環状溝25の溝底26において、荷重伝達面27の外周縁側には、溝底26から下面24側に突き出した環状の凸部28が形成されている。この凸部28は、環状空間5に環状に配置された複数の軸受ピース4の外周側を囲んでおり、ストラット型サスペンションに荷重が加わった場合に、環状空間5に充填された潤滑グリースが環状空間5の径方向外側へ押し出されるのを防止する役割を果たす。
【0020】
ロワーケース3は、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いた樹脂成形体に、補強材であるスチールプレート6が埋め込まれたインサート成形品であり、ストラット式サスペンションのストラットアッセンブリが挿入された状態でストラット式サスペンションのコイルスプリング(不図示)の上端部を支持する。
【0021】
図4(A)、図4(B)および図4(C)は、ロワーケース3の正面図、背面図および側面図であり、図4(D)は、図4(A)に示すロワーケース3のE−E断面図であり、図4(E)は、図4(D)に示すロワーケース3のF部拡大図である。
【0022】
図示するように、ロワーケース3は、ストラットアッセンブリを挿入するための挿入孔30を備えた筒状のロワーケース本体31と、ロワーケース本体31の上面32に形成され、ロワーケース3がアッパーケース2と回動自在に組み合わされた場合に、アッパーケース2のアッパーケース本体21の下面24に形成された環状溝25に挿入されて環状空間5を形成する、アッパーケース2側に突出した環状の凸部33と、凸部33に取り付けられ、ウレタン樹脂等の弾性体からなる環状のダストシール34と、ロワーケース本体31の側面35に設けられ、外方側に張り出したフランジ部36と、を備える。
【0023】
フランジ部36の下面360には、ストラット型サスペンションのストラットアッセンブリが挿入された状態でストラット型サスペンションのコイルスプリング(不図示)上端部のばね座であるアッパースプリングシート(不図示)が取り付けられる。
【0024】
環状の凸部33の上面330には、軸受ピース4を装着するための複数の装着穴331が環状に配置されて形成されている。装着穴331の底面332は、球面状に形成されている。
【0025】
ダストシール34は、塵埃等の異物が環状空間5に侵入するのを防止するためのものであり、図2(A)および図2(B)に示すように、ロワーケース3の凸部33がアッパーケース2のアッパーケース本体21の下面24に形成された環状溝25に挿入された場合に、凸部33の外周面333と環状溝25の外周側内壁250との隙間を塞ぐリップ340、および凸部33の内周面334と環状溝25の内周側内壁251との隙間を塞ぐリップ341を備えている。
【0026】
軸受ピース4は、必要に応じて潤滑油が含浸されたポリオレフィン樹脂等の摺動特性に優れた熱可塑性樹脂で形成される。また、軸受ピース4は、ロワーケース3の環状の凸部33の上面330に環状に配置された複数の装着穴331のそれぞれに装着されて、アッパーケース2のアッパーケース本体21の下面24に形成された環状溝25の溝底26の荷重伝達面27を支持する。
【0027】
図5(A)および図5(B)は、軸受ピース4の正面図および上面図である。ここでは、軸受ピース4の形状を判別し易くするために、図1に示す滑り軸受1とは異なる縮尺(拡大表示)で表示している。
【0028】
図示するように、軸受ピース4は、円柱状に形成されており、一方の端面(上面)40がアッパーケース2のアッパーケース本体21の下面23に形成された環状溝24の溝底26の荷重伝達面27と摺動し、他方の端面(下面)41がロワーケース3のロワーケース本体31の上面32に形成された環状の凸部33の上面330に環状に配置された装着穴331の底面332と摺動する。軸受ピース4の外径D2は、装着穴331の穴径D1より小さい。また、軸受ピース4の球面状に形成された他方の端面41の半径R2は、装着穴331の球面状に形成された底面332の半径R1より小さい。このため、図6(A)および図6(B)に示すように、荷重伝達面27と摺動する軸受ピース4の一方の端面40を、荷重伝達面27に合わせて調心することができる。
【0029】
上記構成を有する滑り軸受1において、複数の軸受ピース4は、ロワーケース本体31の上面32に形成された環状の凸部33の上面330に環状に配置された複数の装着穴331に装着され、各軸受ピース4の一方の端面40がアッパーケース2のアッパーケース本体21の下面23に形成された環状溝25の溝底26の荷重伝達面27と摺動する。これにより、アッパーケース2およびロワーケース3は、複数の軸受ピース4を介して互いに回動自在に組み合わされる。また、荷重伝達面27と摺動する軸受ピース4の一方の端面40を、荷重伝達面27に合わせて調心することができるので、荷重伝達面27を介して複数の軸受ピース4に加わる荷重を均一に分散して、複数の軸受ピース4の偏摩耗を防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、長期間に亘って滑り軸受1の摺動性能を良好に維持することができる。
【0030】
また、本実施の形態に係る滑り軸受1は、アッパーケース2の下面24に形成された環状溝25の溝底26に、アッパーケース2およびロワーケース3を組み合わせることにより形成される環状空間5に環状に配置された複数の軸受ピース4の外周側を囲むようにアッパーケース2の溝底26からロワーケース3側に突出した環状の凸部28を設けている。この凸部28により、ストラット型サスペンションに荷重が加わった場合に、環状空間5に充填された潤滑グリースが環状空間5の径方向外方に押し出されるのを防止することができ、したがって、荷重伝達面27と摺動する軸受ピース4の一方の端面40をより確実に潤滑グリース膜で覆うことができる。これにより、より長期に亘ってストラット型サスペンションのストラットアッセンブリの円滑な回動を許容しつつ、ストラット型サスペンションの荷重を支持することが可能となる。
【0031】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0032】
例えば、上記の実施の形態では、荷重伝達面27と摺動する軸受ピース4の一方の端面40を平坦に形成しているが、この端面40を、装着穴331の底面332と摺動する軸受ピース4の他方の端面41と同様に球面状に形成してもよい。このようにすることにより、荷重伝達面27を介して複数の軸受ピース4に加わる荷重をより均一に分散して、複数の軸受ピース4の偏摩耗を防止することができる。また、環状に配された複数の装着穴331に装着された複数の軸受ピース4のそれぞれについて、球面状の端面40が頂点(軸心O)からずれた位置で荷重伝達面27と点接触することにより、装着穴331内で軸心O周りに回転して(図6(A)および図6(B)参照)、アッパーケース2およびロワーケース3間の回動を円滑にすることができる。したがって、滑り軸受1の摺動性能を向上させることができる。
【0033】
また、上記の実施の形態では、アッパーケース2のアッパーケース本体21の上面22に形成された取付面23を、ストラット式サスペンションのストラット軸に対して垂直としている。しかし、本発明はこれに限定されない。ストラット式サスペンションのストラット軸に対するアッパーケース2の取付面23の角度は、車両に要求される性能に応じて適宜決めればよい。例えば、アッパーケース2の取付面23をストラット式サスペンションのストラット軸に対して傾斜させてもよい。
【0034】
また、上記の実施の形態では、ロワーケース3のフランジ部36の下面360に、ストラット型サスペンションのコイルスプリングの上端部を支持するアッパースプリングシートを取り付けているが、ロワーケース3のフランジ部36の下面360自体をアッパースプリングシートとして機能させてもよい。
【0035】
本発明は、支持対象の荷重を支持する滑り軸受、特に、ストラット式サスペンションを含む様々な機構において、軸部材の回動を許容しつつ、この軸部材に加わる荷重を支持する滑り軸受に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1:滑り軸受、 2:アッパーケース、 3:ロワーケース、 4:軸受ピース、 5:環状空間、 6:スチールプレート、 10:滑り軸受1の収容孔、 20:アッパーケース2の挿入孔、 21:アッパーケース本体、 22:アッパーケース本体の上面、 23:アッパーケース本体21の取付面、 24:アッパーケース本体21の下面、 25:アッパーケース本体21の環状溝、 26:環状溝25の溝底、 27:荷重伝達面、 28:環状溝25の環状の凸部、 30:ロワーケース3の挿入孔、 31:ロワーケース本体、 32:ロワーケース本体31の上面、 33:ロワーケース本体31の環状の凸部、 34:ダストシール、 35:ロワーケース本体31の側面、 36:ロワーケース本体31のフランジ部、 37:ロワーケース本体31の下面、 40、41:軸受ピース4の端面、 250:環状溝25の外周側内壁、 251:環状溝25の内周側内壁、 330:環状の凸部33の上面、 331:装着穴、 332:装着穴331の底面、 333:環状の凸部33の外周面、 334:環状の凸部33の内周面、 340、341:ダストシール34のリップ、 360:フランジ部36の裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6