特許第6496698号(P6496698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6496698医用画像処理装置、その制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496698
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   A61B6/03 360J
   A61B6/03 360D
   A61B6/03 360T
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-199458(P2016-199458)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-80398(P2017-80398A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-215286(P2015-215286)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503313373
【氏名又は名称】株式会社AZE
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 剛
(72)【発明者】
【氏名】今杉 祐介
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−054428(JP,A)
【文献】 特開2007−275258(JP,A)
【文献】 特開2014−061072(JP,A)
【文献】 特開2015−066311(JP,A)
【文献】 特開2001−283191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器に含まれる複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかの臓器情報を記憶する記憶手段と、
医用画像データを取得する取得手段と、
前記臓器の細線化処理を行う指示を受け付ける指示受付手段と、
前記指示受付手段による指示に応じて、前記医用画像データに含まれる臓器の複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかを、前記記憶手段で記憶された前記臓器情報に基づいて決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された臓器の管状構造物の医用画像データに対して細線化処理を行い、細線化表面形状データを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
臓器に対応する複数の解析機能を管理する管理手段
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記管理手段で管理される解析機能の種類に対応付けて、前記臓器情報を記憶すること
を特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記細線化表面形状データによる画像を、前記生成手段で細線化処理が行われない管状構造物の画像とともに表示されるように制御する表示制御手段
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記決定手段で決定された臓器の管状構造物以外の管状構造物に対しては、当該管状構造物の医用画像データから表面形状データを生成し、
前記表示制御手段は、前記細線化表面形状データの画像を、前記管状構造物の表面形状データの画像とともに表示するように制御することを特徴とする請求項4に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記複数の管状構造物ごとに、表示する際の色情報を記憶しており、
前記表示制御手段は、前記細線化された管状構造物を前記記憶手段に記憶された前記色情報が示す色で表示されるように制御することを特徴とする請求項4または5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記臓器の臓器実質を、複数の領域に区分する区分手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記区分手段による複数の領域ごとに表示する際の色情報も記憶しており、
前記表示制御手段は、前記区分手段で前記臓器実質が区分けされている場合には、前記細線化表面形状データを、前記臓器実質の前記複数の領域に対応するように区分けし、当該区分けされた細線化表面形状データを対応する領域の前記記憶手段で記憶された色情報を用いて表示するよう制御すること
を特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記管状構造物が、前記臓器情報で細線化処理する管状構造物として前記記憶手段で記憶されている場合に、細線化処理する管状構造物として決定すること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記細線化表面形状データとは、前記管状構造物の芯線と直交する方向に一定幅拡張させて得られるデータであること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記細線化表面形状データとは、前記管状構造物の径に応じて芯線の幅を拡張させて得られるデータであること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記臓器情報は、臓器実質と、静脈、動脈、及び門脈のうち少なくともつの管状構造物とを含み
前記記憶手段は、前記複数の管状構造物のうちいずれかの管状構造物を細線化処理すべき管状構造物として記憶することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記指示受付手段は、前記細線化処理を前記管状構造物の径に依拠した処理とする第1の指示と、前記管状構造物の径に依拠しない第2の指示のいずれかを受け付けることが可能であり、
前記生成手段は、前記細線化処理として、前記指示受付手段で前記第1の指示を受け付けた場合に前記管状構造物から特定される芯線に対して当該管状構造物の径に依拠した幅を拡張する処理を行い、前記細線化処理として、前記指示受付手段で前記第2の指示を受け付けた場合に前記管状構造物から特定される芯線を一定幅拡張する処理を行うことを特徴とする請求項11に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、前記静脈と前記門脈とを細線化すべき管状構造物として記憶していることを特徴とする請求項11または12に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記管状構造物の起始部を特定する起始部特定手段を更に備え、
前記生成手段は、前記起始部特定手段で特定された前記起始部からの距離に応じて前記起始部から端部に至るまで徐々に前記管状構造物の径を小さくする処理を行った細線化表面形状データを生成すること
を特徴する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
臓器に含まれる複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかの臓器情報を記憶する記憶手段を備える医用画像処理装置の制御方法であって、
医用画像データを取得する取得ステップと、
前記臓器の細線化処理を行う指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップによる指示に応じて、前記医用画像データに含まれる臓器の複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかを、前記記憶手段で記憶された前記臓器情報に基づいて決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された臓器の管状構造物の医用画像データに対して細線化処理を行い、細線化表面形状データを生成する生成ステップと
を含むことを特徴とする医用画像処理装置の制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の医用画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
医用画像処理装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
臓器にがんが発見されると、がんの進行度に応じてさまざまな治療計画が立てられる。
【0003】
例えば、肝臓がんに対する外科的アプローチとして代表的なものに肝臓部分切除術がある。また肝臓がんによって機能不全に陥る患者へ健康な肝臓を移植するという生体肝移植術も挙げられる。両手技とも肝臓の体積を操作するが、肝臓はおよそ40%異常の容積を急激に損なうと肝不全を起こす確率が大幅に上がるため、事前に手術範囲を計画し、治療後の患者の状態を予測しておくことが不可欠とされている。現在では3D−CT(Computed Tomography)を用いて肝臓の領域のピクセル数から容積を推定する技術が登場し広く用いられるようになり、その有効性が知られている。
【0004】
下記の特許文献1には、切断面近傍における血管の走行状態の観察に適した画像を提供する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−18619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
肝臓部分切除および生体肝移植術では血管走行を基に肝臓の領域を推定し手術を進行する。例えば肝臓など、複雑に複数の血管が入り組んだ構造を持つ臓器の手術の場合、事前に血管走行を知っておくことが不可欠であり、肝臓であればコンピュータ上で再現された門脈および肝静脈の走行をあらゆる角度から観察することで確認を行う。
【0007】
肝臓の外科処置において最も重要なのは各血管の中枢部の構造であるが、コンピュータ上で再現される血管構造は当然中枢部血管の太さをそのまま再現するため、おのおのの血管構造が重なり合って、血管の走行状態を詳細に把握することが困難である。このため血管の中心構造を捉えた表示方法で確認できることが好ましい。
【0008】
本発明の目的は、細線化して表示させたい部位を容易に細線化して表示させることの可能な仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の医用画像処理装置は、臓器に含まれる複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかの臓器情報を記憶する記憶手段と、医用画像データを取得する取得手段と、前記臓器の細線化処理を行う指示を受け付ける指示受付手段と、前記指示受付手段による指示に応じて、前記医用画像データに含まれる臓器の複数の管状構造物のうちいずれの管状構造物を細線化処理するかを、前記記憶手段で記憶された前記臓器情報に基づいて決定する決定手段と、前記決定手段で決定された臓器の管状構造物の医用画像データに対して細線化処理を行い、細線化表面形状データを生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、細線化して表示させたい部位を容易に細線化して表示させることの可能な仕組みを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における医用画像処理装置100のハードウェア構成を説明する図である。
図2】本発明の実施形態における医用画像処理装置100における機能構成を説明する図である。
図3】本発明の実施形態における詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
図4】本発明の実施形態における解析機能の選択を受け付けることの可能な画面例である。
図5】本発明の実施形態における解析機能テーブル500の一例を示すデータテーブルである。
図6】本発明の実施形態における詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】本発明の実施形態において静脈が選択され、静脈が表示された画面例である。
図8】本発明の実施形態において複数のパーツが選択され、複数のパーツが表示された画面例である。
図9】本発明の実施形態において、複数のパーツが選択され、所定のパーツの芯線を所定幅拡張させた形状データ(表面形状データ)が表示される画面例である。
図10】本発明の実施形態において、複数のパーツが選択され、所定のパーツの芯線を血管の径に応じて拡張させた形状データが表示される画面例である。
図11】本発明の実施形態において、臓器を所定の領域に分け、それぞれの領域を識別可能に表示した画面例である。
図12】本発明に実施形態において、血管の位置する領域の色で血管を表示する画面例である。
図13】第2の実施形態における詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
図14】第2の実施形態におけるパーツの例である門脈の模式図である。
図15】第2の実施形態における指示受付画面1400の一例を示す模式図である。
図16】第2の実施形態におけるルートの説明で用いる模式図である。
図17】起始部からの距離に応じた径で細線化した門脈の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
まず、図1を用いて、本発明の実施形態における医用画像処理装置100のハードウェア構成を説明する。尚、図1の医用画像処理装置100のハードウェアの構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例がある。
【0014】
医用画像処理装置100は、CPU201、RAM202、ROM203、システムバス204、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208、入力デバイス209、ディスプレイ210、外部メモリ211等を備える。
【0015】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0016】
RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM202にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0017】
ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムや、各種装置の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0018】
入力コントローラ205は、キーボードやマウス等のポインティングデバイス(入力デバイス209)からの入力を制御する。
【0019】
ビデオコントローラ206はディスプレイ210等の表示装置の表示を制御する。ディスプレイ210(表示部)は例えばCRTや液晶ディスプレイである。
【0020】
メモリコントローラ207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウェア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、各種データ等を記憶するハードディスクやフレキシブルディスク或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0021】
尚、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0022】
本発明の医用画像処理装置100が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等はそれぞれ外部メモリ211に記憶されており、必要に応じてRAM202にロードされることにより、CPU201によって実行されるものである。さらに、本発明に係るプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブル、医用画像等は外部メモリ211に格納されている。尚、医用画像は外部サーバ等に記憶されており、医用画像処理装置100が外部サーバから医用画像を取得するような構成としてもよい。
【0023】
以上で、図1に示す医用画像処理装置100のハードウェア構成の説明を終了する。
【0024】
次に、図2を用いて医用画像処理装置100の機能構成図の説明を始める。
【0025】
医用画像処理装置100は、機能部として、管理部2001、記憶部2002、取得部2003、特定部2004、指示受付部2005、決定分2006、生成部2007、表示制御部2008とを備える。
【0026】
管理部2001は臓器に対応する解析機能を複数管理する。記憶部2002は管理される解析機能の種類に対応付けて、臓器に含まれる複数の部位のうちいずれの部位を細線化処理するかの情報である臓器情報を記憶する。取得部2003は医用画像データを取得する。特定部2004は、医用画像データに含まれる臓器の複数の部位を特定する。指示受付部2005は、臓器の細線化処理を行う指示を受け付ける。決定分2006は、医用画像データで特定された臓器の複数の部位のうちいずれの部位を細線化処理するかを、記憶部で記憶される臓器情報とユーザに指定された解析機能の種類とに基づいて決定する。生成部2007は、決定部で決定された臓器の部位に対して細線化処理を行い、細線化形状データを生成する機能部である。表示制御部2008は、臓器の複数の部位のうち、生成部で生成された細線化形状データによる画像を、細線化処理されない部位の画像とともに表示されるよう制御する。
【0027】
以上で図2に示す医用画像処理装置100の機能構成の説明を終了する。
【0028】
[第1の実施形態]
次に図3に示すフローチャートを用いて、本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
ステップS301では、医用画像処理装置100のCPU201が、ユーザからの指示により、医用画像データの指定を受け付ける。本実施形態では、医用画像データとは被検体のCT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置といったモダリティ装置で撮影され得られたボリュームデータである。
【0030】
ステップS302では、医用画像処理装置100のCPU201が、ユーザから解析機能の選択を受け付ける。例えば、図4に示す選択画面にアイコンの選択を受け付けることにより、アイコンに対応する解析機能の選択を受け付ける。本実施形態では、肝臓解析アイコン401が押下された場合の処理について説明するが、心臓解析など他の部位の解析機能の選択を受け付けても構わない。
【0031】
ステップS303では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS302で選択を受け付けた解析機能に対応する設定を外部メモリ211から取得する。解析機能に対応する設定とは、具体的には図7に示す画面を構成するための情報や解析対象の臓器を解析するための情報などである。画面上に配置されるボタンなどが解析機能ごとに異なっており、ユーザによりボタンが押下されることにより、解析機能の設定に基づいてステップS301で選択された医用画像データを用いた設定が取得される。本実施形態では、ステップS302で選択された肝臓解析に対応する設定を取得する。肝臓解析に対応する設定には、肝臓に含まれるパーツ(部位)である、肝臓実質、下大静脈、動脈、門脈、静脈のパーツ情報が含まれている。
【0032】
ステップS304では、医用画像処理装置100のCPU201が、肝臓実質、下大静脈、動脈、門脈、静脈のパーツ情報のそれぞれに対応するように、医用画像データから抽出された領域の指定を受け付ける。
ステップS305では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS304で指定を受け付けた医用画像データ領域をパーツ情報に対応付けて記憶しておく。
【0033】
このような医用画像データからの領域の抽出およびパーツ情報への紐づけは、ユーザがパーツ情報を特定した状態で手動抽出させることで行ってもよいし、予め解析機能に紐づけて記憶された抽出条件をもとに自動抽出し、パーツ情報に紐づけて記憶してもよい。
【0034】
ステップS306では、医用画像処理装置100のCPU201が、臓器のパーツ情報に対応するパーツボタンのうち、いずれのパーツボタンが選択状態にあるか受け付ける。パーツボタンとはパーツ情報ごとに設けられたボタンであり、例えば図7に示す静脈ボタン701である。
【0035】
ステップS307では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS306で選択状態にあるパーツボタンに対応するパーツを表示画面上に表示する。例えば静脈ボタン701の選択を受け付けた場合には図7に示すように静脈702を表示させる。
【0036】
以上で図3に示すフローチャートの説明を終了する。図3に示す処理を行うことで、ステップS301で指定を受け付けた医用画像データに含まれる臓器のパーツに対応する領域を記憶させるとともに、選択されたパーツ情報のパーツを表示部に表示することが可能となる。
【0037】
なお、このようにパーツが表示されている状態で、パーツボタンのON/OFFが行われた場合には、ONのパーツボタンに対応するパーツが表示され、OFFのパーツボタンに対応するパーツが表示されないように切り替えることができる。つまり、例えば図8に示すように肝臓実質と下大静脈と門脈と静脈のパーツボタンが押下されている場合には、表示部に肝臓実質803と下大静脈804と門脈802と静脈801の画像が表示される。
【0038】
そして、このように臓器のパーツに対応する領域が記憶された後に、図6に示すフローチャートに示すパーツの細線化処理が行えるようになる。
【0039】
図6に示すフローチャートの説明を行う。
【0040】
ステップS601では、医用画像処理装置100のCPU201が、ユーザによって選択されているパーツを特定する。具体的には、いずれのパーツボタンが押下状態にあるかを判断することによって、ユーザによって選択されたパーツを特定する。
【0041】
ステップS603では、医用画像処理装置100のCPU201が、臓器に対する細線化表示指示を受け付けたか否かを判定する。具体的には図9に示す細線化するか否かのチェックボックス910にユーザからチェックされた状態で、サーフェス作成ボタン912の押下を受け付けると、細線化表示指示を受け付けたと判定する。
【0042】
ステップS604では、医用画像処理装置100のCPU201が、サーフェス作成ボタン912の押下を受け付けた際に、血管径に依拠のチェックボックス911にチェックが入っているか(ユーザによりチャックボックスの選択がなされているか)を判定する。血管径に依拠のチェックボックス911にチェックが入っているかと判定された場合には処理をステップS610に進め、そうでない場合には処理をステップS605に処理を進める。
【0043】
ステップS605からステップS609までは、ステップS601で特定されたパーツにすべて対して行うルーチンフローである。
【0044】
ステップS605では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS601で選択されたパーツに細線化フラグ503が立っているか否かを判定する。
【0045】
具体的には、まず外部メモリ211に記憶されている図5に示すような解析機能テーブル500を取得する。この解析機能テーブル500には、解析機能の種類を示す解析機能501と、解析機能に対応する臓器の部位を示すパーツ502と、パーツ502を細線化するか否かを示すフラグである細線化フラグ503とが対応付けて記憶されている。そして解析機能テーブル500からステップS302でユーザに選択された解析機能に対応するパーツの細線化フラグ503をもとに、選択されたパーツについてのフラグ情報を取得する。そして、取得されたフラグ情報が立っている(1が入力されている)場合には処理をステップS607に進め、そうでない場合には処理をステップS606に進めるように判定を行う。
【0046】
本実施形態であれば選択された解析機能は肝臓解析であるので、解析機能テーブル500から門脈と静脈のパーツのみが細線化されるように設定されているため、選択されているパーツが門脈若しくは静脈の場合にはS607に進み、選択されているパーツが肝臓実質、下大動脈、動脈の場合にはS606に進む。また、選択された解析機能が心臓解析であれば、右冠状動脈と左冠状動脈のみがS607に進み、細線化処理が行われる。
【0047】
ステップS606では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS605で細線化フラグ503が立っていない(細線化フラグ503に0が入力されている)と判定されたパーツの表面形状データを生成する。表面形状データとは、例えばパーツに対応する医用画像データをもとに、既知の技術であるマーチングキューブ方法等で作成されるポリゴンデータである。
【0048】
ステップS607では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS605で判定されたパーツの芯線を特定する処理を行う。芯線の特定方法については二次元の細線化手法、例えばHilditchのアルゴリズムを三次元に拡張する手法を用いたり、三次元的な薄面化処理を拡張した細線化手法を用いてもよい。
【0049】
ステップS608では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS607で特定された芯線を、芯線と直交する方向に一定幅拡張させた表面形状データ(細線化表面形状データ)を生成する処理を行う。
【0050】
ステップS609では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS606またはステップS608で生成された表面形状データを外部メモリ211に保存する。
【0051】
ステップS601で選択されたパーツすべてに対してステップS605乃至609の処理が終了した場合にステップS615に処理を進める。
【0052】
ステップS610では、医用画像処理装置100のCPU201が、解析機能テーブル500をもとに、S605と同様に選択されたパーツの細線化フラグ503が立っているか否かを判定する。細線化フラグ503が立っていると判定された場合は処理をステップS612に進め、そうでない場合には処理をステップS611に進める。
【0053】
ステップS611では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS610で細線化フラグ503が立っていないと判定されたパーツの形状のデータである表面形状データを生成する。表面形状データとは、例えばパーツに対応する医用画像データをもとに、既知の技術であるマーチングキューブ方法等で作成されるポリゴンデータである。
【0054】
ステップS612では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS610で細線化フラグ503が立っていると判定されたパーツの芯線を特定する処理を行う。芯線の特定方法については上述した方法で行う。
【0055】
ステップS613では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS612で特定された芯線を血管(管状構造物)の径に比例するように、芯線と直交する方向に拡張させた表面形状データを生成する処理を行う。血管の径の算出方法は既知の方法を用い、求められた血管の径に応じて、芯線の幅を拡張させる。つまり、実際の血管の径に比べてやや細い径の表面形状データを生成する。
【0056】
ステップS614では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS611またはステップS613で生成された表面形状データを外部メモリ211に保存する。
【0057】
ステップS601で選択されたパーツすべてに対してステップS610乃至614の処理が終了した場合にステップS615に処理を進める。
【0058】
ステップS615では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS601で選択されたパーツの表面形状データを表示する。すなわち、細線化処理された表面形状データによる画像を、細線化処理が行われない部位の表面形状データの画像とともに表示する。
【0059】
ステップS601で選択されたパーツすべてに対してステップS605乃至609の処理が終了してステップS615にて表示される表面形状データから生成される画像の画面例が、図9に示す画面例である。
【0060】
図9に示す画面例では、解析機能テーブル500で細線化フラグ503が立っていた、門脈902と静脈901のみが芯線に対して所定の幅だけ拡張された細線化処理が実行され、当該形状が表示されている。一方で、肝臓実質903(臓器実質)と下大静脈904については、細線化されることなく、もとの形状を保った状態で表示されている。このようにユーザが細線化指示を行うだけで、細線化されるべきパーツのみが細線化されて表示され、ユーザが都度細線化すべきパーツを選択する手間を軽減することができる。
【0061】
更に図9に示す画面例では、パーツごとに色情報を設定することが可能であり、パーツごとに色情報設定ボタン(921〜925)が設けられている。色情報設定ボタンの選択を受け付けると、色をRGBで設定することのできる色設定画面が表示され、ユーザにより色の指定を受け付ける。ここで設定された色が、色情報設定ボタンに対応するパーツの色として表示される。例えば色情報設定ボタン921で設定された色がピンクであれば、肝臓実質903がピンクで表示される。このようにして、複雑に肝臓実質903を走行する門脈902と静脈901とに異なる色を設定することで、肝臓実質903の血管の走行状態についてわかりやすい表示をすることができる。このような色情報は、予めボリュームデータから抽出されたパーツに対応して予め設定しておくこともでき、このような場合には細線化処理をされた後にも細線化パーツに対応する色情報として引き継がれ、細線化された表面形状データに対応する画像が対応する色で表示される。
【0062】
また、ステップS601で選択されたパーツすべてに対してステップS610乃至613の処理が終了してステップS615にて表示される表面形状データの画面例が、図10に示す画面例である。
【0063】
図10に示す画面例では、解析機能テーブル500で細線化フラグ503が立っていた、門脈1002と静脈1001のみが血管の径に応じて拡張された細線化処理が実行されている。一方で、肝臓実質1003と下大静脈1004については、細線化されることなく、もとの形状を保った状態で表示されている。図10においてもこのようにユーザが細線化指示を行うだけで、細線化されるべきパーツのみが細線化されて表示され、ユーザが都度細線化すべきパーツを選択する手間を軽減することができる。更に、図9に比べて血管の径に応じて芯線が拡張されているため、実際の血管に近い状態でありながら血管の走行状態を確認しやすい形状でパーツを表示することができるという効果がある。
【0064】
図10においても図9と同様に、パーツごとに色情報を設定することが可能であり色情報設定ボタンの選択を受け付けると、色をRGBで設定することのできる色設定画面が表示され、ユーザにより色の指定を受け付ける。ここで設定された色が、色情報設定ボタンに対応するパーツの色として表示されるようになっている。これにより、例えば複雑に肝臓実質903を走行する門脈902と静脈901とに異なる色を設定することで、肝臓実質903の血管の走行状態についてわかりやすい表示をすることができる。
【0065】
更に、図11に示すように分割ボタン1110の選択(区分指示)を受け付けた場合には、例えば肝臓実質903を静脈の走行に基づいて肝臓実質903の領域を分類される「左肝静脈灌流域1103」、「中肝静脈灌流域1102」、「右肝静脈灌流域1101」といった複数の領域に分割する指定を受け付けることができる。領域の指定はユーザが手動で指定することもできるが、既知の技術を用いて区分指定することもできる。ユーザは分類された領域に対して色情報設定ボタン1111〜1113の選択を受け付けることで、色をRGBで設定することのできる色設定画面が表示され、色の設定を行うことができる。色情報設定ボタンで設定された色が上記3つの分類に適用されて表示される。色情報設定ボタン1111で設定された色が「左肝静脈灌流域1103」、色情報設定ボタン1112で設定された色が「中肝静脈灌流域1102」、色情報設定ボタン1113で設定された色が「右肝静脈灌流域1101」に反映される。
【0066】
この色情報が適用された状態で、細線化のチェックボックス1114と血管径に依拠のチェックボックス1115が選択された状態でサーフェス作成ボタン1116が押下された場合に図12に示すような画面に遷移する。図12に示す画面例では、「左肝静脈灌流域1103」に位置する血管1203が色情報設定ボタン1111で設定された色で、「中肝静脈灌流域1102」に位置する血管1202が色情報設定ボタン1112で設定された色で、「右肝静脈灌流域1101」に位置する血管1201が色情報設定ボタン1113で設定された色で表示される。なお、図12に示す血管は静脈であるがこれに限定されない。門脈等でも構わない。また、領域によって色で識別するように表示したが、ユーザに領域が異なることを通知することができれば色に限定されない。
【0067】
このように血管を細線化処理して得られた表面形状データも、肝臓の領域に応じた表示態様で識別可能に表示させることで、肝臓の領域に対応する血管の走行状態を容易に判別することができる。そして例えば生体肝移植の際に、ドナー(臓器の渡し手)の残肝において肝臓の領域の肝流域を考慮した手術計画を検討する際の補助をすることができる。
【0068】
なお、細線化のチェックボックス1114と血管径に依拠のチェックボックス1115とが選択された状態の場合を例として説明したが、細線化のチェックボックス1114のみが選択された状態で血管を色分けして表示しても構わない。
以上で第1の実施形態の説明を終了する。
【0069】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、臓器の部位を示すパーツごとに細線化を行うか否かを示すフラグ情報を記憶部が記憶し、細線化をすべきパーツを自動的に特定し、当該パーツを細線化させた。そして、第1の実施形態においては細線化の方法として、血管の芯線と直交する方向に一定幅拡張させて血管を細線化する方法と、血管の径に応じて芯線の幅を拡張させることで血管を細線化する方法を説明した。第2の実施形態では、血管の起始部から端部に進むにつれて血管の径を徐々に細くさせて表示することで血管を細線化する方法を説明する。
【0070】
第2の実施形態では、システム構成、ハードウェア構成、機能構成、画面例、データテーブル等は第1の実施形態とは下記の変更点を除き同様とする。変更点としては、図6図13に変更された点である。第2の実施形態では、第1の実施形態と処理が異なる部分についてのみ説明を行う。
【0071】
図13は、第2の実施形態における詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
【0072】
ステップS601からステップS602までの処理は図6に示すフローチャートと同様であるため説明を省略する。
【0073】
ステップS1301では、医用画像処理装置100のCPU201が、臓器に対する細線化表示指示を受け付けたか否かを判定する。具体的には図14に示す指示受付画面1400をディスプレイ210に表示させ、徐々に細くボタン1401又は細線化ボタン1402のいずれかのボタンが選択された状態でサーフェス作成ボタン1403が押下された場合に、臓器に対する細線化表示指示を受け付けたと判定することができる。通常ボタンを選択された状態でサーフェス作成ボタン1403が押下された場合には、臓器に対する細線化表示指示ではなく単なるサーフェス作成指示として、ボリュームデータに基づいてサーフェスデータの作成を行う。
【0074】
ステップS1302では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS1301でサーフェス作成ボタン1403が押下された際に、徐々に細くボタン1401が選択されているか否かを判定する。徐々に細くボタン1401が選択されていると判定された場合には処理をステップS609に進め、そうでない場合には処理をステップS604に進める。
【0075】
ステップS604乃至ステップS611までの処理は第1の実施形態と処理の内容が同様であるため、説明を省略する。
【0076】
ステップS1303では、医用画像処理装置100のCPU201が、ステップS609で細線化フラグが立っていると判定されたパーツの起始部1601の位置を特定する(起始部特定手段に相当する)。起始部1601とは、管状構造物であるパーツのツリー構造の始点(根)の部分であり、例えば肝臓の門脈であれば図15に示す1501の部分である。起始部1601の位置の特定方法は、ユーザからマウスなどのポインティングデバイスによる入力を受け付ける方法でもよいし、門脈のようにツリー構造となっている管状構造物の起始部1601の位置を自動的に抽出する公知の技術により起始部1601の位置を特定する方法(例えば特開2012−22839)であっても構わない。
【0077】
ステップS1304では、ステップS609で細線化フラグがあると判定されたパーツ(ツリー構造物)から、起始部1601からの距離に応じて決まる径の太さからなる形状データを生成する処理を行う。
【0078】
具体的に処理の内容を説明する。ステップS1303で特定されたパーツの起始部1601の位置に基づいてパーツのツリー構造を医用画像処理装置100のCPU201が、抽出する。ツリー構造の抽出方法を説明する。ステップS611で特定された芯線に対応するボクセルをCPU201が抽出し、抽出されたボクセルのうちステップS1303で特定された起始部1601の位置に対応するボクセルを開始点として、連なるボクセルを走査する。図16の模式図を用いて説明する。起始部1601に連なるボクセルをCPU201が特定し、連なるボクセルが1つまたは2つの場合には同一の線状構造要素のボクセルとして特定する。これを繰り返し、連なるボクセルが3つ以上となっているボクセル1602がCPU201により特定された場合には、連なる3つ以上となっているボクセル1602を節点としてCPU201が特定する。この処理を繰り返すことで、図16に示す節点1602と節点1603とをCPU201が特定することができる。起始部1601から節点1602までのボクセルを線状構造要素1611、節点1602から節点1603までのボクセルを線状構造要素1612、節点1602から端点1604までのボクセルを線状構造要素1613、節点1603から端点1606までのボクセルを線状構造要素1614、節点1603から端点1605までのボクセルを線状構造要素1615としてCPU201が抽出する。
【0079】
ツリー構造の抽出方法はヘッセ行列を用いた手法を用いるなど他の方法であってもよい。具体的には、まず、3次元医用画像に対してCPU201が多重解像度変換を行った後、各解像度の画像に対してヘッセ行列の固有値解析を行い、線状構造要素を抽出する。つぎに、CPU201が各解像度の画像における解析結果を統合することによって3次元医用画像中の様々なサイズの線状構造要素を抽出する。そして、CPU201が最小全域木アルゴリズム等を用いて、抽出された各線状構造要素を連結することにより、3次元医用画像中の管状構造を表すデータが得られる。(特開2012−223338号公報)
【0080】
次に、抽出されたパーツのツリー構造の起始部1601から末端部に至るまでのルート(経路)をCPU201が複数特定する。図16に示すルートAは起始部1601を始点として節点1602を経由し、端点1604まで至るルートである。ルートBは、起始部1601を始点として節点1602、節点1603を経由し、端点1605まで至るルートである。ルートCは、起始部1601を始点として節点1602、節点1603を経由し、端点1606まで至るルートである。図16の模式図では上記3つのルートをCPU201が特定できる。
【0081】
このようにして複数特定されたルートの長さをCPU201がそれぞれ求める。求められた長さにより、起始部から端点に至るまでの長さが最も長いルートをCPU201が特定する。本実施形態では、仮にルートAが最も長いルートであるとして説明する。パーツの半径であってステップS611で特定された芯線の直交断面のパーツの半径を、ルートAの起始部から端点までの間でCPU201が計算することにより求め、求められた半径のうち最も大きい半径(以下、最大半径とする)と最も小さい半径(以下、最小半径とする)をCPU201が特定する。
【0082】
特定された最大半径と最小半径とに基づいて、ルートAの距離に対する1ボクセルあたりの半径の減少率をCPU201が特定する。例えば、最大半径から最小半径を減じた値をルートAの距離で除することで、1ボクセル当たりの半径の減少率をCPU201が特定することができる。この1ボクセル当たりの減少率は最大半径と最小半径とルートAの距離から求められる率であり、必ずしも上述した求め方である必要はなく、あくまでも例である。本実施形態では半径で説明したが、当然直径で実現するようにしてもよい。
【0083】
次に、複数特定されたルートの長さのうち、最もルートの長さが短いルートから、芯線の半径をCPU201が求めていく。本実施形態では、最もルートの長さが短いルートをルートCであるとして説明する。
【0084】
ステップS1303で特定された起始部1601の位置のパーツの半径(以下、起始部半径とする)をCPU201が求め、この起始部半径と1ボクセル当たりの減少率により、ルートCを通る芯線の半径を起始部1601から末端部1606までのボクセルごとに、CPU201が計算により求める。これにより、線状構造要素1611、線状構造要素1612、線状構造要素1614の各要素の半径をCPU201が確定する。確定された半径は変更されることはない。
【0085】
次に、ルートCの次に長さが短いルートをCPU201が特定する。本実施形態では、ルートBが該当する。ルートBを構成する線状構造要素のうち、線状構造要素1611と線状構造要素1612については、すでにルートCでの計算により半径が確定されているため、線状構造要素1615の半径のみをCPU201が計算により求める。ルートCでの計算により求められた節点1603の半径と、1ボクセル当たりの減少率とに基づいて、CPU201が線状構造要素1615の半径を求める。
【0086】
次にルートBの次に長さが短いルートをCPU201が特定する。本実施形態では、ルートAが該当する。ルートAを構成する線状構造要素のうち、線状構造要素1611については既に半径が確定しているため、CPU201は、線状構造要素1613の半径を、上述した1ボクセル当たりの減少率と節点1602の半径とに基づいて計算により求める。CPU201は、ルートAの次に長いルートがあるか否かを判断する。本実施形態の図16にはルートAより長いルートが存在しないため、CPU201は処理を終了する。
【0087】
以上により、パーツの起始部からの距離に応じてパーツの半径を徐々に細くする細線化処理が完了する。パーツの起始部からの距離に応じてパーツの半径を徐々に細くする細線化処理を行った門脈の例が、図17に示す模式図である。起始部からの距離に応じて径を徐々に細くする細線化処理による効果としては、複雑に分岐するパーツであったとしても起始部からの距離が等しい部位同士の径、すなわち管状構造物の外周の長さが等しくなるよう表示されるため、外周の長さが等しければ直観的に起始部からの距離が等しいと判断できる。すなわち、ユーザは直観的に起始部からの位置関係を知覚できるという効果がある。
以上で第2の実施形態の説明を終了する。
【0088】
本発明によれば、細線化して表示させたい部位を容易に細線化して表示させることの可能な仕組みを提供することを可能とする。
【0089】
なお、本実施形態では、臓器を肝臓として説明を行ったが、心臓や脳や肺など管状構造物であれば他の臓器であっても本発明に含まれるものである。
【0090】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置の情報処理装置が前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
したがって、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するために、前記情報処理装置にインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行して情報処理装置にインストールさせて実現することも可能である。
また、情報処理装置が、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、情報処理装置上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、情報処理装置に挿入された機能拡張ボードや情報処理装置に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
100 医用画像処理装置
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 システムバス
205 入力コントローラ
206 ビデオコントローラ
207 メモリコントローラ
208 通信I/Fコントローラ
209 キーボード
210 CRTディスプレイ
211 外部メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17