(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の方向における前記位置調整器の回転が、前記クッションを前記フレームに向けて移動させるように、第2の方向における前記位置調整器の回転が、前記クッションを前記フレームから離すように移動させるように、前記位置調整器が前記プレートに対して回転可能である、請求項1に記載の圧迫装置。
前記ストラップの前記第1の端セクションが、前記ストラップの前記第1の端セクションを前記フレームに取り付けるために前記フレームのスロットを通って巻かれる、請求項1に記載の圧迫装置。
前記ストラップの前記第1の端セクションと前記第2の端セクションとの間の前記ストラップの前記長さを調整するように、前記フレームの前記スロットを通って巻かれ、前記ストラップの量を変化させることができる、請求項8に記載の圧迫装置。
前記ストラップの前記第2の端セクションが、前記ストラップの前記第2の端セクションを前記フレームに固着させるための留め具に取り付けられる、請求項1に記載の圧迫装置。
前記ストラップの前記第2の端セクションが、前記ストラップの前記第2の端セクションを前記留め具に取り付けるために前記留め具のスロットを通って巻き付けられる、請求項11に記載の圧迫装置。
【背景技術】
【0004】
肺及び気道への胃内容物の誤嚥並びに咽頭及び喉頭への腹部内容物の逆流は、来院及び入院の著しい数の理由である。この病気の羅漢は、体系的に評価されていないが、死亡の著しい割合は、胃内容物の誤嚥(誤嚥性肺炎を伴う患者の30〜70%)が起因となっている。加えて、外来患者通院の相当数は、食道を越えた構造への胃内容物の進入により誘発される、各種の愁訴及び不調をもたらす。これらは、例えば、肺炎、肺臓炎、気管支炎、喉頭炎、咽頭炎、中耳炎、喉頭癌、歯牙侵食、及び喘息を含む。これらの病気は、慢性咳(幾つかの調査では、原因の29%が逆流である。)、頻繁な咳払い、咽喉頭異常感(玉)、過剰痰、嗄声、耳痛、発熱、及び肺炎の場合の湿咳等の症状を生じさせる。
【0005】
最も有害な逆流事象及び誤嚥は、臥位中及び睡眠中に起きる。例えば、夜間の酸逆流を患っている人は、しばしば食道炎及び狭窄症、食道、呼吸器の腺癌、及び耳、鼻及び喉の不調、並びに睡眠障害及び生活の質の低下に立ち向かっている。睡眠中のこれらの合併症は、慢性咳、頻繁な咳払い、又は他の症状の日中における症状をさらに悪化させる。
【0006】
酸抑制療法は、胃食道及び胃食道咽頭逆流の治療方針として使用されてきた。しかし、プロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗剤を使用する効果的な酸抑制の調査は、適当に設計されたランダム化臨床試験により挑戦されてきた適度な改善を報告しているにすぎない。幾つかの事例では、薬理療法は、ベッドの枕元の持上げ又は就寝前3〜4時間の摂食の回避と組み合わされてきたが、これらの方法は、著しい改善をもたらしていない。
【0007】
これらの療法の管理の外科的調査は、一部の患者の成功を報告している。しかし、これらの外科的処置は、コストが高く、幾らかの死亡率を有し、著しい羅漢は、嚥下障害、ガス膨張症候群、下痢、体重減少等を含む。これらの合併症は、手術のやり直し又は修正を頻繁に必要とする。加えて、これらの処置は、恒常的に続かず、それらの効果を7〜10年以内に失う。
【0008】
逆流により引き起こされる上部食道合併症及び誤嚥のために利用可能な上述した医薬及び外科的療法の社会経済的影響は、著しく、何十億を医療負担に加える。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0090573号は、胃食道及び胃食道咽頭逆流治療療法の上述した制約を克服する装置及び方法を記述している。具体的に、米国特許出願公開第2013/0090573号は、咽頭、喉頭、又は肺への胃内容物の進入を防止するために、人又は動物等の患者の上部食道括約筋(UES)内の腔内圧を増加させるように使用される非薬理学的装置を開示している。装置は、輪状軟骨と頸椎の間のUESを圧迫することにより、外圧を使用してUES内の腔内圧を引き起こし、それにより胃食道及び胃食道咽頭逆流を防止する。しかし、引き起こされた腔内圧は、全ての生理学的事象下では食道を塞がない。
【0010】
米国特許出願公開第2013/0090573号により提供される、胃食道−咽頭逆流療法の進化を考慮して、この胃食道及び胃食道咽頭逆流治療技術に対するさらなる改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、対象の咽頭逆流を低減させるための圧迫装置を提供する。圧迫装置は、フレームと、ストラップであり、フレームに取り付けられる第1の端セクション及びフレームに取り付けられる反対の第2の端セクションを有し、第1の端セクションと第2の端セクションの間のストラップの長さが調整可能である、ストラップと、フレーム上に配置されるクッションとを含む。ストラップ及びフレームは、他の生理学的事象のために対象の上部食道括約筋を開くことを対象に可能にさせながら対象の咽頭逆流を低減させるために、対象の輪状部の上にクッションを配置するように、かつ、所定量の圧力を輪状部に付加するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
圧迫装置は、クッションをフレームに向けて又はフレームから離すように移動させるための調整機構を含んでもよい。調整機構は、クッションをフレームに向けて又はフレームから離すように移動させるときにフレームの曲率を変化させることができる。調整機構は、フレームの中央に位置することができる。調整機構は、プレート及びプレートに移動可能に取り付けられる位置調整器を含んでもよい。位置調整器は、フレームの第1の側に位置し、プレートは、第1の表面及び反対の第2の表面を有する。プレートの第1の表面をクッションに取り付けることができ、プレートの第2の表面をフレームの第2の表面と接触させることができる。プレートの第2の表面は、フレームの第2の側と接触し互いに離間して外側に延びる壁を含むことができる。クッションは、ファスナ材料を使用してプレートの第1の表面に取外し可能に取り付けられてもよい。
【0014】
圧迫装置の一変形では、第1の方向における位置調整器の回転が、クッションをフレームに向けて移動させるように、第2の方向における位置調整器の回転が、クッションをフレームから離すように移動させるように、位置調整器がプレートに対して回転可能である。位置調整器及びプレートの一方は雌ねじ孔を含むことができ、位置調整器及びプレートの他方は雄ねじ柱を含むことができ、プレートに対する位置調整器の並進のために雌ねじ孔が雄ねじ柱に係合する。
【0015】
圧迫装置の一変形では、ストラップの第1の端セクションが、ストラップの第1の端セクションをフレームに取り付けるためにフレームのスロットを通って巻かれる。ストラップの第1の端セクションと第2の端セクションとの間のストラップの長さを調整するように、フレームのスロットを通って巻かれるストラップの量を変化させることができる。フレームのスロットを通って巻かれるストラップの量を、ストラップに取外し可能に係合できるファスナ材料を使用して変化させることができる。ストラップの第2の端セクションを、ストラップの第2の端セクションをフレームに固着させるための留め具に取り付けることができる。ストラップの第2の端セクションを、ストラップの第2の端セクションを留め具に取り付けるために留め具のスロットを通って巻き付けることができる。ストラップの第1の端セクションとストラップの第2の端セクションとが、フレームに取外し可能に取り付けられてもよい。
【0016】
本発明は、圧迫装置の設定を個々の患者にとって適切に決定するための、圧迫装置とともに使用することができる圧力検知装置も提供する。圧力検知装置は、間隔インサート及び流体を収容する内部空間を規定するパウチと、パウチの内部空間と流体連通している第1の端を有する導管と、導管の第2の端と流体連通している圧力センサであって、圧力センサ及びパウチ及び導管が流体密閉鎖容積を規定する、圧力センサとを含む。圧力センサは、検知層及び検知層と接触している検知要素を含んでもよく、流体が検知層に圧力を付加するときに、検知要素が圧力信号を発生させる。圧力検知装置は、表示装置、並びに圧力センサ及び表示装置と電気通信しているコントローラも含む。記憶されたプログラムを実行して、(i)圧力センサから圧力信号を受信し、(ii)圧力信号をパウチに付加された圧力と相関させ、(iii)付加された圧力を表示装置に表示するコントローラ。
【0017】
圧力検知装置の一変形では、検知層がシリコンダイヤフラムを備える。検知層は、第1の側及び反対の第2の側を有してもよく、第1の側が流体の圧力を検知し、第2の側が周辺大気圧を検知する。圧力信号が出力電圧であるように、検知要素を歪みゲージとすることができる。
【0018】
圧力検知装置の一変形では、パウチが、0.001〜0.020インチの範囲の厚さを有するポリマ膜の2つの部品を備え、パウチが、約1〜約10平方インチの表面積を有し、パウチの内部空間が、約0.01立方インチ〜約1立方インチの容積を有する。パウチと導管は、一緒に加熱シールすることができ、使い捨て式であってもよく、包装内に提供することができる。インサートは、パウチの外周と同様な形状の外周を有することができる。
【0019】
圧力検知装置は、ハウジングを備えてもよく、ハウジングが圧力センサ及びコントローラを収容し、ハウジングが表示装置を支持する。ルアーテーパ接続を使用して導管をハウジングに取外し可能に接続することができる。
【0020】
圧力検知装置では、圧力測定を行うために流体が使用される。パウチ、導管及び圧力センサは、1つのシールされたパウチ、導管及び圧力センサが内部にある単体である。シールされたパウチは、支持されておらず、2つの表面の間に漂う。シールされたパウチの表面は、柔らかく、シールされたパウチの変形は、圧力測定の一部を成さない。圧力検知装置は、携帯式であり、小さく、軽量であり、片手操作で自己完結し、オンボタンを押した後に自動動作する。
【0021】
本発明は、クッションを含む圧迫装置と、圧力検知装置であって、圧力検知装置がクッションと対象の首との間に配置されるときに、クッションと対象の首との間の圧力を測定するように構成される圧力検知装置とを備える食道括約筋圧迫キットも提供する。圧迫装置は、本開示による圧迫装置であってもよい。圧力検知装置は、本開示による圧力検知装置であってもよい。圧力検知装置のシールされたパウチは、キットを使用するときに正確に解剖学的肢位(例えば輪状軟骨上)に置かれる。圧力検知装置バッグのシールされたパウチは、圧迫装置の所望の用途(例えば、対象の咽頭逆流の低減)に特有の所定容量を有する。
【0022】
本発明は、対象の上部食道括約筋の腔内圧を増加させることにより対象の上部食道括約筋の上の逆流を低減させるための方法も提供する。方法では、圧力検知装置が対象の輪状部の上で対象の首に配置される。圧迫装置は、圧力が所定範囲内であることを圧力センサが表すまで、外圧を圧力検知装置に付加するように使用される。表された圧力は、圧迫装置の指標の値と関連付けられる。圧力検知装置及び圧迫装置は、対象から取り外され、圧迫装置は、クッションが対象の輪状部に圧力を付加するように、値に応じて対象の首の周りに再適用される。値は、圧迫装置の調整可能ストラップ上の2つの基準線の位置合わせを示してもよい。圧力の所定範囲を10〜70mmHg、好ましくは20〜30mmHgとすることができる。圧力の所定範囲は、他の生理学的事象のために上部食道括約筋を開くことを対象に可能にさせながら対象の咽頭逆流を低減させる、輪状部に対する圧力量に相関する。圧力の所定範囲は、他の生理学的事象のために上部食道括約筋を開くことを対象に可能にさせながら対象の咽頭逆流を低減させる、輪状部に対する圧力量に凡そ1:1に相関する。方法では、圧迫装置が、本開示による圧迫装置であってもよく、圧力検知装置が、本開示による圧力検知装置であってもよい。
【0023】
本発明は、対象の食道括約筋を強化するための方法も提供する。方法は、(i)フレーム、(ii)フレームに取り付けられる第1の端セクション及びフレームに取り付けられる反対の第2の端セクションを有するストラップ、及び(iii)フレーム上に配置されるクッションを含む、圧迫装置を使用する。圧迫装置は、対象の食道括約筋に伝達される圧力をクッションが首に付加するように、対象の首の周りに配置される。複数回に亘って、圧迫装置は、対象から取り外され、対象の食道括約筋に伝達される圧力をクッションが首に付加するように、対象の首の周りに再配置される。圧迫装置のこの周期的使用の結果として、対象の食道括約筋が強化される。圧迫装置は、対象が睡眠中に、対象の首の周りに配置されてもよい。方法では、圧迫装置が、本開示による圧迫装置であってもよい。圧迫装置は、夜に最も頻繁に装着されるが、特定の施術者は、対象が圧迫装置を日中に必要とするものであり、日中に装着するものであると考える場合もある。特定の医師は、対象の最大40%が圧迫装置を日中に装着するものであると言う場合もある。よって、圧迫装置は主に夜間装置であるが、圧迫装置を日中に使用/装着することができ、圧迫装置は日中に使用/装着されるものである。
【0024】
対象の食道括約筋を強化するための方法では、方法は、電極を対象の首と接触状態にするステップ、電気パルス発生器を電極と電気通信状態にするステップ、及び一連の電気パルスが対象の食道括約筋を電気的に刺激するように、電気パルス発生器を作動させて一連の電気パルスを電極から発生させるステップも含む。電極は、クッションに取り付けられてもよい。
【0025】
対象の食道括約筋を強化するための方法では、方法は、食道括約筋に隣接して1つ又は複数の電極を置くステップ、電気パルス発生器を各電極と電気通信状態にするステップ、並びに一連の電気パルスが対象の食道括約筋を電気的に刺激するように、電気パルス発生器を作動させて一連の電気パルスを1つ又は複数の電極から発生させるステップも含む。
【0026】
対象の食道括約筋を強化するための方法では、方法は、食道括約筋内に1つ又は複数の電極を置くステップ、電気パルス発生器を1つ又は複数の電極と電気通信状態にするステップ、並びに一連の電気パルスが対象の食道括約筋を電気的に刺激するように、電気パルス発生器を作動させて一連の電気パルスを1つ又は複数の電極から発生させるステップも含む。
【0027】
本発明は、対象の上部食道括約筋を強化するための方法も提供する。方法は、対象の上部食道括約筋の近くに1つ又は複数の電極を置くステップ、電気パルス発生器を各電極と電気通信状態にするステップ、並びに一連の電気パルスが対象の上部食道括約筋を電気的に刺激するように、電気パルス発生器を作動させて一連の電気パルスを1つ又は複数の電極から発生させるステップを含む。方法では、1つ又は複数の電極を対象の首と接触状態にすることができる。方法では、1つ又は複数の電極を対象の食道上に置くことができる。方法では、1つ又は複数の電極を対象の上部食道括約筋内に置くことができる。
【0028】
本発明は、対象の食道逆流疾患を治癒するための方法も提供する。方法は、(i)フレーム、(ii)フレームに取り付けられる第1の端セクション及びフレームに取り付けられる反対の第2の端セクションを有するストラップ、及び(iii)フレーム上に配置されるクッションを含む、圧迫装置を使用する。圧迫装置は、クッションが対象の輪状部に圧力を付加するように、対象の首の周りに配置される。複数回に亘って、圧迫装置は、対象から取り外され、クッションが対象の輪状部に圧力を付加するように、対象の首の周りに再適用される。圧迫装置のこの周期的使用の結果として、対象の食道逆流疾病が治癒される。圧迫装置は、対象が睡眠中に、対象の首の周りに配置されてもよい。方法では、圧迫装置が、本開示による圧迫装置であってもよい。
【0029】
本発明は、対象の声機能を改善するための方法も提供する。方法では、圧迫装置が対象の首の喉頭領域に圧力を付加するように、圧迫装置のクッションが対象の首の喉頭領域の上に配置される。方法では、圧迫装置が、本開示による圧迫装置であってもよい。
【0030】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の詳細な説明、図面及び添付の特許請求の範囲を考慮する際に、より理解されることになるであろう。
【0031】
図面の以下の説明では、同様の参照数字は、図を通じて同様の部分を参照するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
咽頭、喉頭、又は肺への胃内容物の進入を防止するために、人又は動物等の患者の上部食道括約筋(UES)の腔内圧を増加させるように非薬理学的装置が使用される。装置は、輪状軟骨と頸椎の間のUESを圧迫することにより、外圧を使用してUESの腔内圧を引き起こし、胃食道及び胃食道咽頭逆流を防止する。しかし、引き起こされた腔内圧は、全ての生理学的事象下では食道を塞がない。圧迫装置は、患者の腔内圧を所定範囲内に維持するように使用され、ある期間UESの適格性を連続的に元に戻す。特定の実施では、UES腔内圧は、患者の中間組織を通してUESに向けて圧迫力を伝達する外圧を患者の輪状部に付加することにより引き起こされ、その腔内圧を増加させる。
【0034】
特定の実施では、UES腔内圧力は、患者が睡眠している間に所定範囲内に保たれる。UESの通常静止圧力は、大人で約40mmHgであり、子供で約70mmHgである。逆流事象の大半の衝動圧力は20mmHg未満である。睡眠中、UES腔内圧力は、凡そ10mmHgまで低下し、潜在的に、誤嚥に対するバリヤを維持するためにUESを不適格にする。ここで、圧迫装置は、例えば、睡眠中に約10〜70mmHg、約20〜40mmHg等の範囲内に留めるように腔内圧を引き起こすために使用され得る。したがって、引き起こされた腔内圧は、睡眠中に胃食道逆流が咽頭に進入し、その後に喉頭及び肺に進入することを効果的に防止する。用語「UES圧力」、「腔内圧」、及び「UES腔内圧力」は、本明細書では互換可能に使用される。
【0035】
図1を参照すると、患者の鼻、口、咽頭、喉頭、及び食道の矢状断面100を描写している概略図。輪状軟骨は、気管112の直上の半円状軟骨である。輪状部後部106は、食道108のUESの直前に位置し、典型的に、首の甲状腺軟骨102(喉仏)の直下に座する輪状部前部104よりも幅広である。UESの主要構成である咽頭筋(不図示)は、甲状腺軟骨102の直末端にある輪状部の後葉に取り付く「C」クランプ形状筋である。咽頭筋の後ろは、頸椎110である。したがって、UESの主要構成であり、気道への逆流及び誤嚥に対する主バリヤである、咽頭筋は、脊椎と輪状軟骨の間に位置し、輪状軟骨への圧力の外部付加によりUES腔内圧を増加させる機会を生じさせる。
【0036】
一実施では、非侵襲的UES圧迫装置は、特定の患者に対して所定範囲内で使用されるべき外圧を決定するための外圧検知装置と併せて(集合的に「キット」)使用される。非侵襲的UES圧迫装置を患者の腔内圧を所定範囲で変化させる外圧を付加するために使用することができる。
【0037】
図2を参照すると、概略図は、患者の首204に適用されたUES圧迫装置202のある例の横断面200を描写している。
図2のUES圧迫装置202は、膨張性カフ208、ゲージ210、及び膨張性カフ208内へ加圧空気を手動挿入するためのバルブ212を有するように示されている。膨張性カフ208をバルブ212を搾ることにより膨張させることができる。カフ208により生じた圧力を、次いでゲージ210を使用して読むことができる。ゲージ210は、患者がゲージ210を読むことができるように、十分長いチューブを介してカフ208に接続され得る。他の実施では、バルブ212は、膨張性カフ208内へ加圧空気を自動的に挿入するための、空気ポンプ等の手段により置き換えられてもよい。膨張性カフ208は、患者の首の周りに巻き付けられるときに膨張性カフの2つの端を一緒に連結するための連結手段214を有し得る。連結手段214の例は、例えば、面ファスナ、雌コネクタ及び対応する雄コネクタを伴うファスナ、或いは機械的固着装置を含む。
【0038】
図3a及び
図3bを参照すると、UES圧迫装置400の別の例を描写している。UES圧迫装置400は、クッション402及びバンド404を含む。ここで、UES圧迫装置400は、バンド404の第1の端406と第2の端408とを一緒に連結するためにフック及びループ手段(例えばベルクロ(登録商標)ファスナ)を利用する。
図3aには、第1の端406が面ファスナのループ端として示され、第2の端408がフック端として示されている。連結されると、UES圧迫装置400の、バンド404の長軸沿いの長さは、腔内圧に直接関連付けられる。代わりに又は組み合わせて、長さは、より小さな外圧を付加することにより所望の腔内圧を得るように変化させられる。特定の実施では、クッション402の長軸沿いのクッション402の長さ及びクッション402の厚さは、頸動脈又は頸静脈等、首内の血管構造に最小外圧を付加するように設定される。例えば、クッション402の厚さは、血管構造に接近して圧迫装置400と首の間の空気ギャップを可能にする。ここで、バンド404は、頸動脈及び頸静脈を乗り越え、それらの重要な器官の圧迫を避ける。上述した乗越えは、クッションと胸鎖乳突筋の間である。
【0039】
開示する実施は非限定的なものである。他の実施も企図される。例えば、
図3a及び
図3bの実施は、ベルトバックルの留め具に似た異なるタイプの連結手段を有してもよく、UES圧迫装置400の材料は、伸縮自在でもよい。また、各種の実施の特徴は、一実施の締付手段を別の実施に使用する等、一緒にされ調和されてもよい。
【0040】
図4及び
図5は、UES圧迫装置200又は400とともに利用され得るクッション500のある実施を示している。
図4は、クッション500の斜視図であり、
図5は側面図である。クッション500は、クッション500の中間504部分を窪ませる窪み502を有する。クッション500が患者の首の前部の上に置かれるときに、窪み502は、患者の首の気管軟骨(「喉仏」)の上に配置され、窪み502の直下のエリアは、輪状部の上に配置される。このようにして、窪み502は、アンカーとして作用し、睡眠中のクッションの変位を防止することができる。このことは、輪状部に対する圧力を所定範囲内に維持することを支援することができる。
【0041】
つぎに
図6〜
図9に移ると、圧迫装置600のさらに別の例を示している。圧迫装置600は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレンその他のポリマ材料を含むことができるフレーム610を有する。フレーム610は、中央開口613を伴う中央セクション612を有する。フレーム610の第1のセクション616は、中央セクション612から横方向に延びる。第1のセクション616は、垂直スロット619を伴う外端618を有し、第1のセクション616は、弧状凹部622を伴う内端621を有する。第1のセクション616のうち凹部622とは反対側には、装着スロット623がある。フレーム610の第2のセクション626は、中央セクション612から横方向に延びる。第2のセクション626は、垂直スロット629を伴う外端628を有し、第2のセクション626は、弧状凹部632を伴う内端631を有する。第2のセクション626のうち凹部632とは反対側には、装着スロット633がある。
【0042】
なお
図6〜
図9を参照すると、圧迫装置600は、中央雌ねじ孔655を伴う雄ねじ柱654を有する調整プレート652を有する。調整プレート652は、突起659を伴う第1の壁658と、突起662を伴う横方向に離間した第2の壁661とを有する。圧迫装置600は、穴665を伴うスペーサ664も有し、雌ねじ貫通孔668を伴うダイヤル667を有する。圧迫装置600は、スクリュ670及びワッシャ671、並びに調整ノブ673を有する。
【0043】
調整プレート652、スペーサ664、ダイヤル667、スクリュ670、ワッシャ671、及び調整ノブ673を、以下のようにフレーム610用の曲率調整機構に組み立てることができる。フレーム610の一側では、調整プレート652の突起659及び突起662が、装着スロット623の1つ及び装着スロット633の1つにそれぞれ配置される。スペーサ664は、フレーム610の反対側にフレーム610の中央セクション612と接触して配置される。ダイヤル667は、フレーム610の弧状凹部622と弧状凹部632の間にスペーサ664と接触して配置される。スクリュ670は、ワッシャ671内に組み付けられ、スクリュ670は、ダイヤル667の貫通孔668を通り、スペーサ664の穴665を通り、フレーム610の開口613を通り、調整プレート652のねじ孔655内を通過する。調整ノブ673をダイヤル667にスナップ留めすることができる。
【0044】
フレーム610用の調整機構は、以下のように機能する。フレーム610の中央セクション612は、フレーム610の第1のセクション616及び第2のセクション626の前後厚さに比べて低減した前後厚さを有する。結果として、フレーム610の第1のセクション616及び第2のセクション626は、フレーム610の中央セクション612に対して、
図8に示すように方向A及びBに撓むことができる。調整ノブ673が
図7の方向Rの一方に回転されるとき、柱654のねじと貫通孔668との係合によるダイヤル667の雌ねじ貫通孔668内における調整プレート652の雄ねじ柱654の移動は、調整プレート652及びダイヤル667を一緒に移動させる。調整ノブ673が
図7の方向Rの反対方向に回転されるとき、ダイヤル667の雌ねじ貫通孔668内における調整プレート652の雄ねじ柱654の移動は、調整プレート652とダイヤル667を離間するように移動させる。
【0045】
上で詳しく述べたように、調整プレート652の突起659及び突起662は、第1のセクション616の装着スロット623の1つ及び装着スロット633の1つに配置される。このことは、調整プレート652の第1の壁658とフレーム610の第1のセクション616との接触を生じさせ、調整プレート652の第2の壁661とフレーム610の第2のセクション626との接触を生じさせる。調整プレート652とダイヤル667が一緒に移動するとき、調整プレート652の第1の壁658は、フレーム610の第1のセクション616をフレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Aに移動させ、調整プレート652の第2の壁661は、フレーム610の第2のセクション626とともにフレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Aに移動する。フレーム610の中央セクション612の伸縮自在特性によって、調整プレート652とダイヤル667が離間するように移動するとき、フレーム610の第1のセクション616は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Bに移動し、フレーム610の第2のセクション626は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Bに移動する。調整プレート652の雄ねじ柱654及びダイヤル667の雌ねじ貫通孔668に対する左巻き又は右巻きねじの選択は、
図7の方向Rの時計回り方向の調整ノブ673の回転が、フレーム610の第1のセクション616及び第2のセクション626に方向A又は方向Bの移動を生じさせるかを決定する。
【0046】
圧迫装置600は、ベルクロ(登録商標)ファスナのフック又はループ固定材料等のファスナ材料678を有する。圧迫装置600は、ファスナ材料678により調整プレート652に固定され得るクッション680を有する。固定材料678のフック部及びループ部をそれぞれ接着又は他の適切な手段により調整プレート652及びクッション680に固着させることができる。
【0047】
図6及び
図7を見ると、圧迫装置600は、それぞれベルクロ(登録商標)ファスナのフック及びループ固定材料を含み得る、第1のファスナ686及び第2のファスナ688を含むストラップ684を有する。ストラップ684には、第1の基準線690及び複数の追加基準線692も設けられる。圧迫装置600は固定留め具694も有する。ストラップ684の第1の端696は、留め具694のスロット698に挿通され、第1のファスナ686によりストラップ684に固着される。ストラップ684の第2の端697は、フレーム610のスロット629に挿通され、第2のファスナ688によりストラップ684に固着される。留め具694の端699は、フレーム610のスロット619内に固定される。
【0048】
クッション680の長軸沿いのクッション680の長さ及びクッション680の厚さは、頸動脈又は頸静脈等、首内の血管構造に最小外圧を付加するように設定される。例えば、クッション680の厚さは、血管構造に接近して圧迫装置600と首の間の空気ギャップを可能にする。ここで、フレーム610及びストラップ684は、頸動脈及び頸静脈を乗り越え、それらの重要な器官の圧迫を避ける。上述した乗越えは、クッション680と胸鎖乳突筋の間である。
【0049】
つぎに
図10〜
図13に移ると、圧迫装置200、400、600のいずれかを、特定の患者に対して所定範囲内で使用されるべき外圧を決定するための圧力検知装置700と併せて使用することができる。圧力検知装置700は、スクリュ707により一緒に保持される上セクション704及び下セクション705を含むハウジング702を有する。ハウジング702の内側には、印刷回路アセンブリ713と電気通信しているバッテリクリップ711内にバッテリ709が保持される。デジタルディスプレイ715は、印刷回路アセンブリ713と電気通信している。接点717は、印刷回路アセンブリ713と電気通信しており、オンボタン719は、デジタルディスプレイ715をオン又はオフするために接点717を移動させる。
【0050】
圧力センサ721は、印刷回路アセンブリ713と電気通信しており、圧力センサ721はチューブ状入口722を有する。導管724は、圧力センサ721の入口722をハウジング702の上セクション704と下セクション705の間に配置される雄取付具726のチューブ状出口727と流体連通状態にする。
図12Aを見ると、圧力センサ721は、カバー773を有するケース772を含む。圧力センサ721は、シリコンダイヤフラム774の形をとる検知層を含む。検知層は、第1の側791及び反対の第2の側792を有する。ダイヤフラム774の第1の側791は、ゲル化ダイコート778に接触し、ダイヤフラム774の第2の側792は、ケース772の穴782に面する。歪みゲージの形をとる検知要素775は、ダイヤフラム774に接続される。電気導線776は、ワイヤ777を介して検知要素775と電気通信している。
【0051】
雌取付具729は、チューブ731の長尺部を圧力センサ721と流体連通状態にするように雄取付具726に接続する。非限定的な一例では、チューブ731は、透明ポリウレタンを含み、12インチの長さを有し、0.094インチの内径を有する。パウチ733は、流体密シールでチューブ731の末端に固着され、連泡性発泡材インサート735は、パウチ733の内部空間に配置される。パウチ733の内部空間は、チューブ731と流体連通している。非限定的な一例では、パウチ733は、約0.006インチの厚さを有するポリウレタン膜の2つの部品の外周の周りをRF加熱シールすることにより形成される。ポリウレタン膜の上部品734が
図10に示されており、ポリウレタン膜の下部品(不図示)は、上部品734と実質的に同じ外周を有する。
図10に示す非限定的な例では、パウチ733は、主要セクション737を有し、チューブ731との流体密シール(例えば加熱シール)を容易にする接続セクション738を有する。非限定的な一例では、パウチ733の上部品734の主要セクション737は、約1平方インチの表面積を有する。非限定的な一例では、発泡材インサート735は、パウチ733の主要セクション737の外周形状と同様な外周形状を有する0.125インチ厚のポリウレタン連泡性発泡材セクションを含む。非限定的な一例では、パウチ733の主要セクション737は、約0.125立方インチの容積を有する。
【0052】
圧力検知装置700の動作は、以下のように進行する。雌取付具729を伴うチューブ731及び付属のパウチ733は、好ましくは包装内の使い捨て式アイテムとして提供される。雌取付具729は、雄取付具726に接続される。非限定的な一例では、雌取付具729及び雄取付具726はルアーテーパ接続を使用する。接続は、圧力センサ721とパウチ733の間に流体(例えば空気)密径路を作成する。接続は、チューブ731内及びパウチ733内の圧力が凡そ大気圧であるように周辺大気圧で作成される。
【0053】
オンボタン719は、印刷回路アセンブリ713の電源を投入し、デジタルディスプレイ715をオンするために押下される。印刷回路アセンブリ713上のコントローラを、オンボタン719が2回目に押下されるまで、圧力の連続読出値をデジタルディスプレイ715に提供するようにプログラムすることができる。代わりに、印刷回路アセンブリ713上のコントローラを自動電源オフ前の設定時間に圧力の連続読出値をデジタルディスプレイ715に提供するようにプログラムすることができる。非限定的な一例では、自動電源オフは、オンボタン719が押下された2分後に起きる。圧力検知装置700のパウチ733は、次いで2つの表面の間に配置され、表面が一緒に移動して接触し、パウチ733を圧迫することにより圧力を付加するときに、パウチ733内の容積は減少し、それによりパウチ733内及び付属のチューブ731内の圧力を増加させる。圧力センサ721は、圧力増加を検知し、印刷回路アセンブリ713上のコントローラは、記憶されたプログラムを実行して、パウチ733に付加された圧力の読出値をデジタルディスプレイ715にmmHgで提供する。圧力センサ721は、固定時間間隔(例えば毎秒16回)で圧力を検知し得る。
【0054】
図12及び
図12Aを見ると、チューブ731は、圧力センサ721のケース772の穴781と流体連通している。ダイヤフラム774の第1の側791は、ゲル化ダイコート778を介してパウチ733内及び付属のチューブ731内の流体の圧力を検知する。ダイヤフラム774の第2の側792は、穴782を介して周辺大気圧を検知する。ダイヤフラム774の第1の側791に付加された圧力が周辺大気圧に対して測定される、出力電圧としての差圧測定値が得られる。具体的に、ダイヤフラム774への圧力の付加は、歪みゲージ検知要素775内の抵抗変化をもたらし、ダイヤフラム774に付加された圧力に正比例する出力電圧変化を生じさせる。
【0055】
つぎに
図14を見ると、患者の首204と
図6〜
図9の圧迫装置600のクッション680との間に配置された、圧力検知装置700のパウチ733を示している。パウチ733は、輪状部の上で患者の首204の前部と接触状態に置かれる。圧迫装置600のフレーム610は、クッション680がパウチ733に接触するように配置される。ストラップ684は、首204の周りに置かれ、ストラップ684上の留め具は、圧迫装置600を首204の周りに固着させるようにフレーム610のスロット619に固定される。非限定的な一例では、パウチ733の上部品734の主要セクション737と、クッション680の接触面682とは、凡そ同じ表面積(例えば約1平方インチ)を有する。パウチ733及び輪状部に及ぼされる圧力は、第1の端696をストラップ684から外し、留め具694のスロット698を通してストラップ684を移動させ、次いで第1のファスナ686を用いて第1の端696をストラップ684に再固定することにより変化させられる。第1の基準線690及び複数の追加基準線692は、ストラップ684の緊張の視覚的な指標を提供する。例えば、第1の基準線690と留め具694に最も近い基準線692とが位置合わせされるとき、第1の基準線690と留め具694から最も遠い基準線692とが位置合わせされるときに比べて、ストラップ684のより低い緊張及びパウチ733及び輪状部のより低い圧力が呈される。
【0056】
つぎに
図15を参照すると、フロー図は、患者の上部食道括約筋を圧迫して睡眠中の胃食道及び胃食道咽頭逆流を低減させるための方法800を要約している。ステップ802にて、圧力検知装置700のパウチ733を輪状部の上で患者の首204の前部に取り付ける。クッション680(包装から取り外され得る)を圧迫装置600のフレーム610の調整プレート652に固着させる。次いで、クッション680がパウチ733に接触するように、圧迫装置600のフレーム610を配置する。ストラップ684を首204の周りに置き、ストラップ684上の留め具694をフレーム610のスロット619に固定して、圧迫装置600を首204の周りに固着させる。
【0057】
ステップ804にて、圧迫装置600を使用して患者の輪状部に外圧を付加する。外圧は、UESの圧力が約10〜70mmHg、好ましくは20〜30mmHgの間等、所定範囲内であることを圧力検知装置700のデジタルディスプレイ715が表すまで、第1の端696及び/又は第2の端697を外し様々な位置でストラップ684に再固定することにより変化させられる。この所定範囲は、理想的に、上部食道括約筋が開いてガスを発散させることが可能である範囲、又は曖気を可能にする範囲、又は嚥下若しくは高圧嘔吐を可能にする範囲である。調査は、圧力検知装置700のデジタルディスプレイ715に表示される圧力が特定の患者に対する腔内圧と凡そ1:1の関係を有することを確認した。この1:1の関係をコントローラ、例えば印刷回路アセンブリ713の適切なプログラミングで実現することができる。
【0058】
ステップ806にて、指標の値と付加された外圧とを関連させることができる。例えば、第1の基準線690とストラップ684の両側の複数の追加基準線692の1つとの位置合わせを指標とすることができる。
【0059】
ステップ810にて、外圧が取り除かれるように、圧迫装置600を患者の首から取り外す。ステップ812にて、指標の値が指定される。このようにして、腔内圧センサは、所定範囲内の腔内圧を引き起こすための適切な外圧が付加されているかどうかを決定することを必要とされない。
【0060】
留め具694は、ストラップ684をフレーム610から外し、次いでストラップ684を再固定して上部食道括約筋を指定圧力で、例えば睡眠中等の期間に圧迫することを患者に可能にさせる。患者又はその代理人は、フレーム610からストラップ684を(洗浄のため等に)取り外した後に、指標の値を使用してストラップ684をフレーム610及び留め具694に指定位置で再び取り付けることができる。
【0061】
施術者(例えば、看護師又は医師)は、
図15のステップ及びキット(例えば、圧迫装置600及び圧力検知装置700)を使用して、睡眠中の患者の胃食道及び胃食道咽頭逆流を低減させる指定値を決定し得る。施術者は、所望の腔内圧を生成するようにストラップ684が配置されるとき(ステップ806)に、圧迫装置600のストラップ684の複数の追加基準線692のうちのいずれがストラップ684の各側の第1の基準線690と位置合わせされるかに注意する。施術者は、UES圧迫装置600が、基準線の選択された位置合わせで患者により、睡眠中等の期間に断続的に装着されるべきであることを指定する(ステップ812)。指定は、数日(夜)、数週間、数ケ月、数年、又は生涯等の期間に患者がUES圧迫装置を使用することでもよい。
【0062】
幾つかの実施では、患者は、ステップ802から812を繰り返すように戻ってもよい。したがって、随時、指定が調整を必要としてもよく、及び/又は新たな指定が与えられるべきであることを必要としてもよい。しかし、上述したようなフレーム610用の調整機構は、快適さのため等、より小規模な圧力調整を容易に行うことを患者に可能にさせる。圧迫装置600を装着している患者が調整ノブ673を
図7の一方向R(例えば時計回り)に回転させるとき、フレーム610の第1のセクション616は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Aに移動し、フレーム610の第2のセクション626は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Aに移動する。このことは、輪状部の圧力増加をもたらす。圧迫装置600を装着している患者が調整ノブ673を
図7の反対方向R(例えば反時計回り)に回転させるとき、フレーム610の第1のセクション616は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Bに移動し、フレーム610の第2のセクション626は、フレーム610の中央セクション612に対して
図8の方向Bに移動する。このことは、輪状部の圧力減少をもたらす。よって、本発明の範囲を限定することを意図せずに、
図15の指定ステップを「マクロ圧力調整」と称することができ、圧迫装置600のフレーム610の調整機構の調整ノブ673の使用を「ミクロ圧力調整」と称することができる。ストラップ684により提供される「マクロ圧力調整」を患者により行うこともできる。調整ノブ673の回転数を一部の圧力調整と相関させることができる。例えば、調整ノブ673の全2回転は、フレーム610の2ミリメートルの移動及び対応する圧力変化を生じさせ得る。
【0063】
図16を参照すると、グラフは、胃食道及び胃食道咽頭逆流を患っている患者の覚醒段階及び睡眠段階のUESの圧力変動を描写している。Y軸は腔内圧をmmHgで描写しており、X軸は時で測定される時間を描写している。2つのグラフ線は、UES圧迫装置を使用している患者の腔内圧(グラフ線902)及びUES圧迫装置を使用していない患者の腔内圧(グラフ線904)を示している。患者のための腔内圧の静止レベルは、圧力912で表され、典型的に約40mmHgである。UES圧迫装置を使用している患者の場合、圧迫装置は、グラフ線902上に示される時間908にて患者の輪状部に圧力を付加し始める。腔内圧は、指標の値が指定レベル910に成るまで増加する。時間906にて、患者は寝付き始める。UES圧迫装置を使用している患者の場合、患者が寝付くとき、腔内圧は、圧迫装置により引き起こされる所定レベルまで減少する。対照的に、UES圧迫装置を使用していない患者の場合、腔内圧は、凡そ10mmHg以下まで降下し、睡眠段階を通じて凡そ10mmHg以下に維持され(圧力レベル914のグラフ線904)、胃食道及び胃食道咽頭逆流の別のエピソードを受け易い状態に患者を留める。
図16のグラフ線902は、圧迫装置を使用している患者が寝付くときの腔内圧降下に凡そ等しい腔内圧上昇を示している。しかし、上昇及び降下は、様々な値(例えば、患者が圧迫装置を締め付けるときの30mmHgの上昇、患者が寝付くときの20mmHgの降下、又はその逆)を有し得る。特定の実施では、患者が睡眠している間に腔内圧を増加させ、例えば、腔内圧を凡そ10mmHgから凡そ40mmHgまで上昇させるようにUES圧迫装置が使用される。特定の実施では、UES圧迫装置が再使用可能である。他の実施では、UES圧迫装置が使い捨て式である。
【0064】
本発明は、上部食道括約筋の機能性異常の管理又は治療に限定されない。例えば、圧迫装置600は、対象の食道括約筋を強化するための手段を提供することができる。用語「対象」は、哺乳類、好ましくは人等の動物を意味する。対象の下部又は上部食道括約筋は、疾患又は老化により脆弱化し得る。このことは、食道括約筋が閉じた状態に留まることを困難にし得る。漏出性の下部及び/又は上部食道括約筋が結果として生じ得る。圧迫装置600を対象の食道括約筋を強化するための方法に使用することができる。方法では、対象の食道括約筋に伝達される圧力をクッション680が首に付加するように、圧迫装置600が対象の首の周りに配置される。圧迫装置600を配置するステップを、例えば、対象が睡眠する毎夜等、数回繰り返すことができる。圧迫装置600は、対象の食道括約筋を強化する等尺性筋運動に類似する方法で食道括約筋に作用する。上部食道括約筋を強化された対象は、圧迫装置の使用をもはや必要とし得ない。
【0065】
圧迫装置600を対象の食道括約筋を強化するための電気刺激と併せて使用することができる。例えば、1つ又は複数の電極を対象の首の輪状部領域と接触状態にすることができる。1つ又は複数の電極を圧迫装置600から分離することができ、1つ又は複数の電極をクッション680等、圧迫装置600の一部に取り付けることができる。電気パルス発生器が各電極と電気通信状態にされる。電気パルス発生器は、一連の電気パルスを各電極から発生させるように作動され、一連の電気パルスは、対象の食道括約筋を電気的に刺激し、それにより食道括約筋を強化する。よって、圧迫装置600をUESの筋機能を改善するようにUESを標的とする電気インパルスを周期間隔で作成するために使用することができるシステムの一部とすることができる。対象の食道括約筋を強化するために電気刺激を使用する別の変形では、1つ又は複数の電極が食道括約筋に隣接する食道の表面に埋め込まれる。対象の食道括約筋を強化するために電気刺激を使用するさらに別の変形では、1つ又は複数の電極が対象の上部食道括約筋内に置かれる。
【0066】
圧迫装置600は、対象の食道逆流疾患を治癒するための手段も提供する。方法では、対象の食道括約筋に伝達される圧力をクッション680が首に付加するように、圧迫装置600が対象の首の周りに配置される。圧迫装置600を配置するステップを、例えば、対象が睡眠する毎夜等、数回繰り返すことができる。圧迫装置600は、対象の食道括約筋を強化する等尺性筋運動に類似する方法で食道括約筋に作用する。理論により制限されることを意図せずに、食道括約筋のこの強化の結果として、対象の食道逆流疾患を治癒することができると仮定される。
【0067】
圧迫装置600は、対象の声機能を改善するための手段も提供する。咽頭摘出は、50,000〜100,000に達すると推定される。医療言語聴覚士は、声機能を回復又は改善するために、咽頭摘出を有する人を扱う仕事をする。医療言語聴覚士は、対象の声機能が改善される、首の喉頭領域の上の圧力スポットを見出すように仕事をすることができる。圧迫装置600は、次いで、クッション680が対象の首の喉頭領域の上のスポットに圧力を付加するように、対象の首の喉頭領域の上に配置される。対象の声機能は、それにより改善される。
【0068】
圧迫装置600は、以下の用途にも使用され得る:(1)UESの認知制御の無意識の欠如による肺誤嚥を管理するための人工呼吸中の支援、(2)負傷又は外傷の回復のための機械式支援装置の使用を通じた首内部解剖構造の配置又は安定化、(3)外科的回復のための機械式支援装置の使用を通じた首内部解剖構造の配置又は安定化、(4)セーリック法を使用した麻酔挿管中及び迅速導入のために輪状軟骨圧迫を適用するための支援、(5)放射線治療セッション中に対象の首を不動にするための、及びより標的化された重症治療につながる周辺組織への放射線過剰露出を避けるための配置又は安定化、(6)超音波処理中又は他のCT若しくはMRI画像処理中の最適な画像位置に内部解剖構造を操縦する一定圧力を付加するための配置又は安定化であって、このことは、例えば、首、頭、肩、腕、又は脚末端等、支援装置を周りに配置することができる首以外の他の解剖構造に適用し得る。
【0069】
特定の実施形態を参照して本発明を相当詳しく記述してきたが、当業者は、限定ではなく例示を目的として提示してきた記述の実施形態以外の実施形態により本発明を実践できることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。