特許第6496715号(P6496715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496715
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ポリマー−キレーター複合体
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20190325BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20190325BHJP
   A61K 33/38 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20190325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190325BHJP
   C08H 1/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A61K47/54
   A61K47/46
   A61K35/50
   A61K33/38
   A61K33/34
   A61K33/24
   A61P35/00
   C08H1/00
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-516633(P2016-516633)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-530217(P2016-530217A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2013067620
(87)【国際公開番号】WO2014193468
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】13/903,878
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514156585
【氏名又は名称】ミメディクス グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】コオブ,トーマス ジェイ.
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516898(JP,A)
【文献】 特表2007−532543(JP,A)
【文献】 特表2009−539378(JP,A)
【文献】 J. AM. CHEM. SOC., 2004, Vol.126, 15030-15031
【文献】 肩関節、1998、Vol.12、p.78−80
【文献】 Biomaterials, 2002, Vol.23, 203-212
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/54
A61K 33/24
A61K 33/34
A61K 33/38
A61K 35/50
A61K 47/46
A61P 35/00
C08H 1/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に適合可能な生体材料と1つまたは複数のキレート部分とを含む、生物学的に適合可能な生体材料−キレーター複合体であって、各々のキレート部分が、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ドーパミン、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、
【化1】
からなる群から選択される前駆体化合物の一部であり、
式中、Xが、前記生体材料に前記キレート部分を共有結合する相補性(complimentary)反応性官能基であり、前記キレート化した生体材料が、前記キレート部分によって実質的に架橋しておらず、
前記複合体が、銀イオン、銅イオン、および白金イオンからなる群から選択される薬理学的に活性の金属イオンでキレート化され、
前記生体材料が羊膜または絨毛膜である、
複合体。
【請求項2】
前記生体材料が絨毛膜を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記生体材料が羊膜を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記生体材料が、処置される体の一部に幹細胞を動員するために十分な質量を有する、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記白金イオンがPt2+である、請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記イオン化した白金がシスプラチンに含まれる白金である、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
医療構築物を製造する方法であって、
生物学的に適合可能な生体材料を提供することと、
前記生物学的に適合可能な生体材料をキレート部分と接触させて、前記生物学的に適合可能な非架橋生体材料に前記キレート部分を化学結合させて、生体材料−キレーター複合体を提供することであって、各々のキレート部分が、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ドーパミン、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、
【化2】
からなる群から選択される前駆体化合物の一部であり、式中Xが、前記生体材料に前記キレート部分を共有結合する相補性反応性官能基であり、前記キレート化生体材料が、前記キレート部分によって実質的に架橋していない、提供することと、
銀イオン、銅イオン、および白金イオンからなる群から選択される薬理学的に活性の金属イオンで前記ポリマー−キレーター複合体をキレート化することにより、薬理学的に活性の金属イオンが組み込まれた医療構築物を生成することと
を含み、
前記生物学的に適合可能な生体材料が羊膜または絨毛膜を含む、
方法。
【請求項8】
前記薬理学的に活性の金属イオンが、シスプラチンに含まれる白金イオンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
シスプラチンによる処置に反応する癌を処置するための複合物であって、前記複合物が、請求項6に記載の複合体を含む、複合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に適合可能なポリマーおよびこのポリマーと共有結合した生物学的に適合可能なキレーター部分を含む生体適合性ポリマー複合体に関する。さらに本発明は、複合体と可逆的に結合する薬理学的に活性の金属イオンを有する複合体を含む。一実施形態では、生物学的に適合可能なポリマーはコラーゲンである。
【0002】
最新技術
Koobらは、様々な生物医学的応用のために、場合によっては天然の腱と類似する引っ張り強度(たとえば約91MPa)を伴うノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)重合および架橋コラーゲン線維を生成する方法を説明している。たとえば、Koob and Hernandez, Material properties of polymerized NDGA−collagen composite fibers: development of biologically based tendon constructs, Biomaterials, 2002 Jan; 23 (1): 203−12;および米国特許第6,565,960号を参照されたい。これら文献の内容は、本明細書中に完全に引用されるものとして、本明細書中参照として援用される。
【0003】
コラーゲンなどの架橋ポリマーは、非架橋ポリマーと比較して、実質的により長いインビボでの滞留時間を含む異なる特性を有する。一部の場合、治療的金属イオンを放出するポリマーにとってはクレアランス時間が短いほうが好ましいため、インビボでの滞留時間が長くなることは望ましくない。一部の場合、架橋ポリマーおよび非架橋ポリマーの混合物は、特性が適合可能に混合している混合物を提供する。関連する態様では、本発明は、新規真空脱水装置およびその使用を目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、生物学的に適合可能なポリマーと1つまたは複数のキレート部分とを含む生物学的に適合可能なポリマー−キレーター複合体であって、上記キレート部分が、ポリマーと共有結合しているが、ポリマーは、それ以外ではキレート部分により実質的に架橋されていない、複合体を提供する。すなわち、キレート剤は、ポリマーの架橋への関与が最小限であるか、またはポリマーの架橋に関与しない。好ましくは、このような複合体のキレート部分の少なくとも80%はポリマーと架橋しない。より好ましくは、キレーター部分の少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%は、ポリマーと架橋しない。一実施形態では、キレート部分は、内部重合型または外部重合型の架橋のいずれも提供しない。しかしながら、使用されるポリマーは、非キレート架橋剤と任意に架橋していることが理解される。
【0005】
キレート部分は、生物学的に適合可能で薬理学的に活性の金属イオンと可逆的に合するのに適している、ペンダント官能基を有する任意の部分であり得る。このような生物学的に適合可能で薬理学的に活性の金属イオンの例として、限定するものではないが、銀、銅のイオン、または金属イオン性の抗腫瘍剤が挙げられる。好ましくは、抗腫瘍剤はイオン化した白金である。
【0006】
関連する態様では、本発明は、組織への最小限の損傷、エンボスメントの質の改善、乾燥時間の著しい短縮、ならびに脱水した生体材料および組織の生成に関連する費用の削減などの改善した特性を有する、組織を脱水するための革新的な真空脱水装置を目的とする。脱水装置は、乾燥チャンバーを画定し、流入および流出の開口部を画定する乾燥ハウジングと、乾燥チャンバー内部の真空テーブルの上部に配置した多孔性乾燥ボードとを備える。乾燥ボードは、脱水される組織移植片または生体材料などの物体を受ける第1の表面と、第1の表面とは反対側で真空テーブルに取り付けられた第2の表面とを有する。一部の実施形態では、乾燥ボードの第1の表面は、表面の1つまたは複数の特徴を介して脱水した組織にエンボスメントを与えることができる。さらなる別の態様では、本発明は、この脱水装置における真空圧力下での脱水による組織の変性に関する。
【0007】
1つの実施形態に関して説明される本発明の態様は、これに関連して具体的に記載がない場合でも、異なる実施形態に組み込まれ得ることに留意されたい。すなわち、すべての実施形態、および/またはいずれかの実施形態の特性は、任意の方法および/または組み合わせで組み込むことができる。本発明のうちこれらおよび他の対象および/または態様は、以下に記載される明細書で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、以下に記載されるいくつかの態様を例示する。
図1図1および2は、異なるキレート部分を使用した、実質的に非架橋のポリマー−キレート剤複合体の混合物を含む組成物から金属イオンの異なる2成分放出パターンを例示する。図1では、異なる非架橋のキレート剤(部分)を含むポリマー−キレート剤複合体からの金属イオンの放出速度が例示される。これら2つの異なるキレート剤からの放出速度は、経時的な金属イオンの持続放出を提供するために重複するよう選択される。
図2】類似する2つの複合体からの金属イオンの放出速度を例示する。この場合、複合体のキレート部分は、これら金属イオンの放出速度が重複しないように選択される。これは、金属イオンの第1のボーラスの放出、次いで金属イオンの第2のボーラスの放出をもたらす。
図3】実施例4に記載される幹細胞の遊走アッセイに関する細胞培養インサートを模式的に示す。
図4】様々な量のEpiFix(登録商標)が存在下で培養したヒト間葉系幹細胞(MSC)における%細胞遊走の棒グラフを示す。詳細を実施例4で説明する。
図5図5Aは、移植から3、7、14、および28日後での、正常な皮膚、偽インプラント、無細胞性皮膚基質、およびEpiFix(登録商標)における%生存/Linマウス造血幹細胞の棒グラフを示す。値を平均値±標準偏差で示す(n=4検体)。※※は、一元配置ANOVAにより正常な皮膚および偽インプラントと、EpiFix(登録商標)または対照のADMを比較する場合のp<0.05を表す。††は、両側t検定により対照のADMとEpiFix(登録商標)を比較する場合のp<0.05を表す。図5Bは、移植から3、7、14、および28日後での、正常な皮膚、偽インプラント、無細胞性皮膚基質、およびEpiFix(登録商標)における%生存/Lin間葉系細胞の棒グラフである。値を、平均値±標準偏差で示す(n=4検体)。※※は、一元配置ANOVAにより、正常な皮膚および偽インプラントと、EpiFix(登録商標)または対照のADMを比較する場合のp<0.05を表す。詳細を実施例5で説明する。
図6A図6Aは、CD45およびSca−1のフローサイトメトリーおよび蛍光検出を使用して検出した細胞の代表的なFACSドットプロットを示す。
図6B図6Bは、細胞体を染色するDAPI、および造血幹細胞マーカーであるCD34で染色した真皮組織の顕微鏡写真を示す。詳細を実施例6で説明する。
図7】真空源が、循環濾過熱風サイクルの際に組織および乾燥ボードを下に保持する吸引を提供する脱水装置の概念図を示す。
図8】真空テーブルが、脱水チャンバーに取り付けられた例示的な真空乾燥装置を示す。
図9】シリコーンにより全体を囲まれた1/4インチの厚さのポリカーボネートインサートで構成される、ポリカーボネート-シリコーン複合体の乾燥ボードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、実質的に非架橋のポリマー-キレーター複合体に関する。本発明の様々な実施形態を以下に記載する。
【0010】
定義
たとえば、それぞれの数値表示の範囲を含むpH、温度、時間、濃度、および重量といった、すべての数値表示は、概して、必要に応じて0.1、1.0、または10.0の(+)または(−)の増分変動し得る近似値である。すべての数値表示は、用語「約」が前に記載されるものと理解され得る。
【0011】
本明細書中で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、特段文脈に明確に記載がない限り、複数形を含むものと意図される。
【0012】
たとえばある範囲を含む温度、時間、量、および濃度といった数値表示の前で使用される用語「約」は、±10%、±5%、または±1%変動し得る近似値を表す。
【0013】
用語「含む(comprising)」は、列挙されるいずれかの要素が必ず含まれ、かつ他の要素が任意に含まれてもよいことを意味する。「本質的に〜からなる」は、列挙されるいずれかの要素が必ず含まれ、列挙される要素の基本的かつ新規の特徴に著しく影響を与える要素は排除され、かつ他の要素は任意に含んでもよいことを意味する。「からなる」は、記載の要素以外の全ての要素が排除されることを意味する。これら用語それぞれにより定義される実施形態は本発明の範囲内にある。
【0014】
ある基の前に置かれる「C」は、m個の炭素原子を含む基を指す。
【0015】
「アルキル」は、ヒドロカルビルラジカル、好ましくは、1〜12個の炭素原子を含む1価のヒドロカルビルラジカルを指す。アルキルの非限定的な例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル(tertiary butyl)などが挙げられる。
【0016】
「シクロアルキル」は、環状ヒドロカルビルラジカル、好ましくは、3〜10個の炭素原子を含む1価の環状ヒドロカルビルラジカルを指し、二環ラジカルを含む。シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0017】
「アリール」は、芳香族ヒドロカルビルの単環、二環、または三環を指す。
【0018】
ヘテロアリール(Heteroayl)は、窒素、酸素、硫黄、およびそれらの適切な酸化形態(oxxideized form)から選択される1〜5個の環ヘテロ原子を含むアリール環を指す。
【0019】
「アルデヒド」は、式O=C(H)−Rの化合物であって、式中Rが、任意でリンカー部分を介してアルデヒドと結合するキレート部分を構成する基から選択される、化合物を指す。リンカーを使用する場合、アルデヒドは、式R−L−アルデヒドにより表され、Lはリンカーである。
【0020】
「イソシアナート」は、式O=N=C−L−Rの化合物であって、式中Rが上述で定義される通りであり、Lが結合部分またはリンカー部分である、化合物を指す。
【0021】
「ジ‐α‐ジアゾ−ピルベート」は、式R−L−C(O)C(O)Nの化合物であって、式中、RおよびLが上述に定義される通りである、化合物を指す。
【0022】
本明細書中で使用される用語「対象」または「患者」は、限定するものではないが、ヒト、家畜、家庭用ペットなどの哺乳類の対象を含むいずれかの脊椎生物を指す。
【0023】
本明細書中で使用される用語「羊膜」は、中間組織層が無処置であるか、実質的に除去されている羊膜を含む。
【0024】
本明細書中で使用される用語「生体適合性」は、対象への植え込みまたは注入に適した材料を指す。様々な態様では、生体適合性物質は、対象に一旦植え込まれると毒性作用または有害作用を引き起こすものではない。
【0025】
用語「変性した生体材料または組織」は、組織を洗浄、消毒、かつ/または分割することにより変性された生体材料全体または組織を含む生体材料または組織のあらゆる成分、ならびに羊膜、絨毛膜、臍帯などの生体材料または組織の個別の成分を指す。変性した組織は、上皮層および/または線維層などの細胞層を維持し得る。変性した生体材料または組織は、生体材料または組織の1つまたは複数の層の積層化、生体材料または組織の微粒子化、小分子、タンパク質(たとえば増殖因子、抗体)、核酸(たとえばアプタマー)、もしくは他の物質の化学吸着または物理吸着などのさらなる変性を含み得る。
【0026】
用語「十分な量」は、インビボまたはインビトロのいずれかで、変性した生体材料もしくは組織の近くまたはこの生体材料もしくは組織への経時的な幹細胞の動員を誘発するために十分である、変性した生体材料または組織の量を指す。「十分な量」の変性した生体材料または組織は、限定するものではないが、使用する生体材料または組織のタイプおよび/または量、処置することが意図される臓器および/または体の一部のタイプおよび/または大きさ、処置される臓器および/または体の一部に対する疾患または損傷の重症度、ならびに投与経路などの様々な要因に応じて変動する。「十分な量」の決定は、本明細書に提供される開示に基づき当業者が行うことができる。
【0027】
用語「幹細胞動員因子」は、幹細胞を動員でき、このような因子の供給源に向けて幹細胞を遊走させることのできるあらゆる因子を指す。幹細胞動員因子の非限定的な例は、1つまたは複数のCCケモカイン、CXCケモカイン、Cケモカイン、またはCXCケモカインであり得る。
【0028】
用語「幹細胞の動員」は、変性された生体材料または組織への幹細胞の直接的または間接的な走化性を指す。この動員は、直接的であってもよく、この場合、変性した生体材料または組織中の幹細胞動員因子(たとえば細胞走化性を誘導するケモカイン)は、生体材料または組織から放出され、生体材料または組織に向かって遊走するように幹細胞を誘導する。一態様では、この動員は間接的であってもよく、この場合、変性した生体材料または組織中の幹細胞動員因子が生体材料または組織から放出され、これが近くの細胞を誘導し、生体材料または組織に向かって遊走するよう幹細胞を誘導する因子(たとえばケモカイン)を放出させる。さらに、幹細胞の動員に、直接的な因子および間接的な因子の両方を使用してもよい。
【0029】
一実施形態では、生体材料または組織は、羊膜および絨毛膜の洗浄、分離、上皮細胞層の除去または維持、汚染除去、ならびに脱水を含む、米国仮特許出願第61/683,698号に記載されるように変性され得る。脱水は、米国仮特許出願第61/683,698号に記載される乾燥装置を使用して達成され得る。これら出願は、参照として全体が本明細書中に援用される。この工程の各態様は、単独または併用して使用するかどうかに関わらず、本発明の目的のために変性した生体材料または組織を生成する。しかしながら、変性した生体材料または組織は、少なくとも洗浄および汚染除去のステップを含むことが好ましい。このように、変性した生体材料または組織は、好ましくは、洗浄かつ汚染除去した生体材料または組織を含み、同様に、羊膜および絨毛の分離、上皮細胞層の除去、ならびに脱水のうちの1つまたは複数を行った生体材料または組織を含む。
【0030】
本技術の一部の実施形態では、変性した生体材料または組織は、羊膜、絨毛膜、または羊膜および絨毛膜の両方から選択される。好ましい実施形態では、変性した生体材料または組織は、臍帯を含まない。
【0031】
また、変性した生体材料または組織を層状に形成することができ、別々に乾燥してまとめて積層化してもよく、またはまとめて乾燥して多層積層物を形成してもよい。また、変性した生体材料または組織は、様々な大きさの粒子へと微粒子化され得る。微粒子化した生体材料または組織を、多層積層物の1つもしくは複数の層の間にはさんでもよく、または積層物の上に載せてもよい。また、微粒子化した生体材料または組織は、単層の変性した生体材料または組織に添加され得る。たとえば、米国仮特許出願第61/543,995号を参照されたい。この文献は、全体が参照として本明細書中に援用される。
【0032】
ポリマー
適切なポリマーは、当技術分野において公知で、本明細書に記載されるキレーター複合体を形成できるポリマーを含む。本発明に有益な好ましい生体適合性ポリマーは、生分解性ポリマーを含む。
【0033】
適切なポリマーとして、限定するものではないが、天然に存在するポリマー、合成ポリマー、またはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ポリマーは、コラーゲン、またはたとえば、コラーゲンを含む羊膜もしくは絨毛膜といった生体材料もしくは組織を含む。天然に存在する生体適合性ポリマーの他の例として、限定するものではないが、ヒアルロン酸(hylauronic acid)、フィブリン、線維状タンパク質または球状タンパク質、複合糖質、グリコサミノグリカン、またはそれらの混合物などが挙げられる。よって、一実施形態では、ポリマーは、すべてのタイプのコラーゲン、エラスチン、ラミニン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デスミン、バーシカン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アルブミンなどを含み得る。例示的な合成生体適合性ポリマーとして、限定するものではないが、ポリオキシアルキレン(たとえば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンおよびオキシプロピレンのコポリマーなど)、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カプロラクトン、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、Nusil MED−6215または植え込みに適した他のシリコーンなどのシリコーン、ポリ(ε−カプロラクトン)ジメチルアクリラート、ポリスルホン、(ポリ)メチルメタクリレート(PMMA)、可溶性Teflon−AF、ポリエチレンテレフタラート(PET、Dacron)、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ヒドロキシアパタイトなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。このようなポリマーは、好ましくは、少なくとも約10,000、より好ましくは約10,000〜約1,000,000の数平均分子量を有する。一部の実施形態では、これらのポリマーは、少なくとも約10,000、より好ましくは約10,000〜約100,000の重量平均分子量を有する。本明細書中に記載されるポリマーは、非キレート剤との架橋型であり得る、または非架橋型であり得る。一般的な非キレート架橋剤として、カルボジイミド(carbodimides)、ジイソチオシアナート、ジカルボン酸、ジアミンなどが挙げられる。
【0034】
一部の実施形態では、生体適合性ポリマーは、水溶性ポリマーであり、場合によっては親水性ポリマーと呼ばれる。水溶性は、水溶液中で水素結合を形成するために利用可能な、十分な数の酸素(またはより頻度は低いが窒素)原子を組み込むことで達成できる。親水性ポリマーとして、限定するものではないが、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリビニルピロリドン、またはそれらの誘導体が挙げられる。ポリマーは、好ましくは、直鎖またはわずかに分枝状(すなわち、わずか約2〜10個の有効自由端を有する)であり、実質的に架橋していない。他の適切なポリマーとして、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0035】
エチレンジアミン核を有する(このため4つの末端を有する)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーもまた利用可能であり、本発明の実施に使用され得る。親水性ポリマーはまた、タンパク質(たとえば限定するものではないがコラーゲン)、デンプン、セルロースなどの天然に存在するポリマーを含むことができる。
【0036】
すべての適切なポリマーは生体適合性であり、好ましくはインビボで投与した場合に非毒性または非炎症性であり、より好ましくは、少なくとも数か月の分解時間を伴ってインビボで分解可能である。
【0037】
本発明のポリマーは、前駆体キレーター化合物に関する反応官能性に相補的な、少なくとも1つ、好ましくは最大1000の反応官能性を有する。概して、相補的な反応官能性は、コラーゲン、ヒアルロン酸などに見出される反応官能性のようにポリマーに存在するか、または当業者に周知の従来の化学合成技術によりポリマー上に導入できる。例示的な官能性として、限定するものではないが、アミン、カルボン酸、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、イソシアナート、イソチオシアナート、アルコキシアミン、アルデヒド、エポキシ、ニトリル、マレイミド、ハロ、ヒドロキシル、チオール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、反応性官能基は、アミンまたはカルボン酸から選択される。相補的な官能性は、互いに反応して共有結合を形成するものを含む。例として、アミンおよびヒドロキシル基と反応して尿素またはカルバメート結合を形成するイソシアナート、アミドを形成するカルボン酸およびアミンなどが挙げられる。以下の表は、1つが前駆体キレート部分(第1の反応官能性)および他方がポリマー上の他の基(第2の官能性)にあるいくつかの一般的な相補性反応基を例示した。
【表1】
【0038】
本発明のポリマーは、たとえば、ペンダント基としてまたは末端のいずれかに、アミン官能性モノマーをポリマーに導入することにより官能基化できる。ペンダントアミン官能性をポリマーに与えるための適切な方法は、ペンダントアミン官能性を含むモノマーを使用することである。ペンダントアミン官能性を含む適切なモノマーとして、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリラート、2−アミノエチルアクリルアミド、2‐アミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリル、アミノプロピル(メ)アクリルアミドなどが挙げられる。ペンダントアミン官能性を含むモノマーが使用される場合、結果として得られるポリマーは、1つまたは複数のペンダントアミン基を含み得る。好ましくは、ポリマーに与えられるペンダントアミン官能性は、末端のペンダントアミン官能性である。末端のペンダントアミン官能性は、それらが連鎖移動剤として機能する場合、ペンダントアミン基を有する1つまたは複数の化合物を使用することにより、ポリマーに与えることができる。末端アミン官能性を与える好ましい化合物は、アミン−チオール、たとえばN−ブチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオール、およびそれらの塩である。
【0039】
このように、本発明のポリマーは、たとえば、カルボン酸−官能性モノマーを導入することにより官能基化できる。好ましい酸モノマーは、限定するものではないが、モノ飽和型モノカルボン酸、モノ不飽和型ジカルボン酸、無水物、またはアルコール誘導型モノもしくはジエステルを含む、カルボン酸またはその誘導体である。たとえばポリオレフィンといったポリマーと反応すると、モノ不飽和型カルボキシル反応物のモノ不飽和が飽和型となる。例示的なモノ不飽和型カルボキシル反応物として、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロロマレイン酸、無水クロロマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ならびにマレイン酸メチル、フマル酸エチル、およびフマル酸メチルなどの低級アルキル酸エステルが挙げられる。他の実施形態では、無水物またはエステルの官能性を含むポリマーは、周知の加水分解法により酸に変換できる。
【0040】
キレーター
銅、銀、および白金のイオンなどの様々な薬理学的に活性の金属イオンと結合することが周知である様々なキレーターが有益であり、好ましくはこのようなキレーターは生体適合性である。
【0041】
適切なキレーターは、好ましくは、少なくとも2つの隣接する(または1、2置換)ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、チオアルキル基で置換された、1つまたは複数のC−C10アルキルもしくはヘテロアルキル、C−C10アリールC−C10ヘテロアリール、またはC−C10シクロアルキル基を含み、アルキルまたはヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキル基は、リンカーまたは結合および官能性結合基を介して生体適合ポリマーに結合する。
【0042】
用語「キレーター前駆体化合物」は、ポリマーと反応する前のキレーターを指す。前駆体化合物は、ポリマー上の相補性官能性と反応して共有結合を形成する反応官能性を含む。結果として得られるキレート部分は「キレーター」と呼ばれ、上述に定義されている。キレーター前駆体化合物上の反応性官能基は、ポリマー上の相補性反応官能基と結合すると、安定な共有結合を形成する。このような安定な共有結合には、例として、エステル、エーテル、アミド(−CONH−、−NHCO−、−N(アルキル)CO−またはCO−N(アルキル)−)、カルバメート、尿素、カルボネート、チオカーボネート、チオ尿素、カルバメート、およびウレタン結合、ならびに他の任意の周知の共有結合が挙げられる。キレート前駆体化合物またはポリマーのいずれかの反応性官能基として、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、およびカルボン酸、カルボン酸エステル、イソシアナート、および本明細書中で利用されるポリマー上の相補性反応官能基に対して当技術分野において公知の方法により化学結合できる他の周知の官能基などが挙げられる。キレーター前駆体化合物上の基Xは、Hまたは相補性反応官能基からなる群から選択される。Xが、相補性官能基である場合、化合物上の他の官能基は、従来の方法および保護基を使用して遮断または保護される必要があり得ることを理解されたい。
【0043】
一実施形態では、キレート剤は、1,2−ベンゾキノンおよび/または1,2−ジヒドロキシフェニル部分を含む。別の実施形態では、キレート部分は、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ドーパミン、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、および3,4−ジヒドロキシ安息香酸からなる群から選択される前駆体化合物に由来する。
【0044】
一実施形態では、キレート剤は、コラーゲンと反応し、コラーゲンと共有結合を形成し、かつ抗菌性金属イオンと可逆的に結合できる前駆体化合物に由来する。好ましくは、前駆体化合物は、
【化1】

からなる群から選択され、
式中、Xが相補性反応官能基である場合、分子上の他の官能基が保護されるように、XはHまたは相補性反応官能基である。
【0045】
一実施形態では、前駆体化合物は、
【化2】

であって、式中、
X’は、分子上のヒドロキシル基が任意に保護されるように、相補性反応官能基である。
【0046】
使用される好ましいキレート剤は、ドーパミンおよびL-ドーパなどの天然に存在する化合物に由来する。
【0047】
反応の後、キレーターは、場合によりキレート剤またはキレート部分と呼ばれる。
【0048】
薬理学的に活性の金属イオン
適切な薬理学的に活性の金属は当業者に知られている。一実施形態では、薬理学的に活性の金属イオンは抗菌剤である。抗菌性の金属として、限定するものではないが、銀、金、白金、およびパラジウムが挙げられる。一実施形態では、金属イオンは銀である。別の実施形態では、銀は、銀(I)および/または銀(II)からなる群から選択されるイオン化した銀を含む。他の実施形態では、イオン化した銀は、2つ以上の窒素原子、および/または硫黄原子、および/または酸素原子と結合し得る。別の実施形態では、イオン化した銀は、塩化銀、リン酸銀、硫酸銀、酢酸銀、硝酸銀、フッ化銀、ヨウ化銀、乳酸銀、安息香酸銀、臭化銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ラウリン酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、銀イミダゾラート、アルグラエス(Arglaes)、コロイド銀、銀ナノ結晶などの銀結晶、銀めっき、および/または銀のスルファジアジンなどの銀のスルホンアミドの解離生成物である。本発明の特定の実施形態では、抗菌剤は、コラーゲン構築物の約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、またはこれら範囲の中の他のいずかの範囲の量で存在する。
【0049】
一実施形態では、薬理学的に活性の金属イオンは抗真菌剤である。抗真菌性の金属として、限定するものではないが、銅、鉄、マンガン、および亜鉛が挙げられる。一実施形態では、金属イオンはイオン化した銅である。別の実施形態では、構築物に組み込まれたイオン化した銅は、2つ以上の窒素原子、および/または硫黄原子、および/または酸素原子と結合する。このようなキレーターとして、コラーゲン構築物に存在するキノン基および/またはカテコール基を含むことができる。本発明のさらなる別の実施形態では、構築物に組み込まれたイオン化した銅は、塩基性窒素原子、その非限定的な例にはアミノ、またはモノもしくはジアルキル化アミノ、およびイミダゾールが挙げられる、塩基性窒素原子と結合する。他の実施形態では、銅は、2つ以上の窒素原子、および/または硫黄原子、および/または酸素原子と結合し得る。特定の態様では、イオン化した銅は、塩化銅、リン酸銅、硫酸銅、酢酸銅、硝酸銅、フッ化銅、ヨウ化銅、乳酸銅、安息香酸銅、臭化銅、炭酸銅、クエン酸銅、ヨウ素酸銅、ラウリン酸銅、酸化銅、パルミチン酸銅、銅タンパク質、銅タンパク質化合物、銅イミダゾレート、コロイド銅、銅合金、銅のナノ結晶を含む銅結晶、銅めっき、および/または銅のスルホンアミドからなる群から選択される。
【0050】
本発明の銅および銀のキレートは、銅および銀の酢酸塩などの、水溶性で水に安定性の銅および銀の塩と、ポリマー構築物を反応させることにより調製できる。他の金属のキレートを作製する方法は、本開示を読むことによって当業者に明らかとなるものである。一実施形態では、コラーゲン構築物を、たとえば水中で、薬理学的に活性な金属の適切な塩とインキュベートして、薬理学的に活性な金属を含む本発明のコラーゲン構築物を提供することができる。たとえば、水性媒体中のポリマー構築物を、酢酸銀などの銀の塩と反応させて、銀−ポリマー構築物を沈殿させる。
【0051】
一実施形態では、ジアミン塩などの金属塩は、金属がポリマー構築物と共有結合するように、カルボン酸官能基化ポリマーなどの官能基化ポリマーと反応する。
【0052】
一実施形態では、薬理学的に活性の金属は抗癌剤である、抗癌性の金属として、限定するものではないが、白金、ルテニウム、オスミウム、およびコバルトが挙げられる。一実施形態では、金属イオンはイオン化した白金である。一実施形態では、白金は、白金(II)および/または白金(IV)を含む。別の実施形態では、白金は、シスプラチン、
【化3】

からなる群から選択される化合物を含み、式中、
【化4】
は、キレーターとの結合を表す。
【0053】
本発明のキレート化したポリマー−Pt構築物は、本発明の官能基化ポリマーと、Pt塩、好ましくはPt(II)塩を接触させることにより調製する。好ましくは、Pt塩は、シスジアミノPt(II)ジクロロ、またはさらにより好ましくは、シスジアミノPt(II)ジアクア塩である。例示的かつ非限定的な例を以下に示す。
【化5】
【0054】
本発明のポリマーと結合しない過剰なPt塩は、Chelexなどの樹脂と錯体を形成させることにより除去できる。ポリマー−Pt(II)構築物は、たとえばHとの酸化により対応するPt(IV)構築物に変換できる。図1および2は、複合体の放出速度が金属イオンの連続した放出を提供するために重複する(図1)方法での異なる複合体の使用を例示しており、図2は、放出速度が、金属イオンの2つの別々の放出(ボーラス)を提供するために重複しない方法での異なる複合体の使用を例示する。
【0055】
抗菌剤は、本発明のコラーゲン構築物の中および/または表面上に組み込むことができる。本明細書中で使用される「組み込む」およびこの文法上の変化形は、抗菌剤が本発明のコラーゲン構築物に存在することを指す。用語「組み込む」およびこの文法上の変化形は、抗菌剤が、コラーゲン構築物の1つまたは複数の表面に存在するか、かつ/またはコラーゲン構築物の1つまたは複数の層に存在する実施形態を含むと意図される。「組み込む」は、抗菌剤が、特異的なかつ/または非特異的な種類の結合などを介してコラーゲン構築物と結合する実施形態を含むと意図される。抗菌剤がコラーゲン構築物に結合できる例示的な種類の化学結合として、限定するものではないが、共有結合、非共有結合、イオン結合、金属結合、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。本発明の一部の実施形態では、抗菌剤は、本発明のコラーゲン構築物中のコラーゲンおよび/もしくは他の材料もしくは化合物と結合でき、ならびに/またはコラーゲンおよび/もしくは他の材料もしくは化合物と複合体を形成できる。特定の実施形態では、抗菌剤は、コラーゲン構築物と非特異的に結合して、コラーゲン構築物から抗菌剤の即時ボーラス放出を提供でき、かつ、コラーゲン構築物と特異的に結合して、コラーゲン構築物からの抗菌剤の持続放出を提供できる。他の実施形態では、コラーゲン構築物からの抗菌剤の放出は、コラーゲン構築物に対する抗菌剤の特異的かつ非特異的な結合の組み合わせによるものとすることができる。
【0056】
ポリマー複合体
本発明のポリマー構築物は、例示的なポリマーとしてコラーゲンを使用して以下のように説明される。しかしながら、本明細書に記載されるポリマーなどのコラーゲン以外のポリマーをコラーゲンに代わって利用できることを理解されたい。したがって、例示的な生体適合性コラーゲン複合体は、たとえば、創面パッチ、筋肉もしくは臓器パッチ、心臓パッチ、ヘルニアパッチ、皮膚パッチ、熱傷処置パッチ、および皮膚/組織修復パッチなどのパッチ;カフ;血管(動脈、静脈など)修復材料;弁置換材料または弁修復材料;自己移植材料:羊膜および絨毛膜などの同種異系移植材料;異種移植片物質;神経ガイド;チューブ;癒着を予防または阻害するための修復中の腱周囲に存在し得るスリーブなどの腱スリーブ;抗菌剤を送達するための留置チューブ;リンパ管、肝管、すい管、および胆嚢管などの管;尿管および尿道管などの管;コラーゲン線維;コラーゲンゲル;縫合糸;コード;ねじり状コード;靭帯および/もしくは腱の人工器官;ケーブル;組紐;リボン;ステープル;リベット;スポンジなどの形状で形成できる。装置のさらなる例および説明は、米国特許第7,901,455号;米国特許出願公開公報第2008/0161917号、第2008/018893号、第2008/0200992号、第2009/0216233号、第2009/0287308号、第2010/0094318号、および第2010/0094404号;米国仮特許出願第13/153,665号、および第13/105,353号;および米国仮特許出願第61/450,179号に記載されており、これらは参照として本明細書中に援用される。
【0057】
本発明の複合体を、乾燥するか、または部分的に水和できる。本明細書中で使用される用語「乾燥する」は、構築物の約5重量%未満の含水量を構築物が有することを意味する。本明細書中に使用される用語「部分的に水和する」は、構築物が、周囲条件の生理食塩水浴で24時間後にエクスビボで測定した場合に、完全な水和時の含水量の約50%未満、典型的に約75%未満の含水量を有することを意味する。よって構築物は、構築物の約15重量%未満などの、構築物の約25重量%未満の含水量を有することができる。特定の実施形態では、構築物は、パッチ、医療機器などの装置周囲に巻かれる植え込み可能なパッチなどのインプラントなどの形態とすることができる少なくとも1つの乾燥人工コラーゲン線維を含む。
【0058】
用語「パッチ」は、標的部位を処置、保護、修復、および/または補強するために、標的の解剖学的構造、典型的に軟組織に配置かつ/または貼付できる生体材料の一部または部分を指す。パッチは、任意の幾何学的な形状とすることができるが、典型的に実質的に平面状であり、正しい位置でその下の組織、またはその上の組織の形状に一致し得る。
【0059】
用語「植え込み可能な」およびこの派生語は、装置が対象の内部または表面上に挿入され、埋め込まれ、移植されるか、またはそうでなければ急性的もしくは慢性的に付着もしくは配置できることを意味する。
【0060】
用語「巻く(winding)」および「巻かれた(wound)」、ならびにそれらの派生語は、少なくとも1回、典型的に、たとえば、一連の円運動で回転するように反復して対象または中心の周りを巻くことを意味する。一部の実施形態では、少なくとも1つのコラーゲン線維(複数の線維、1つまたは複数の線維束)は、中心線または長手軸を中心としてその周囲の位置を回るか、または回転する。巻くことは、チューブもしくはシリンダー状の少なくとも1つの層の長さの周囲に典型的に規則的なパターン(ではあるが、不規則なパターンも使用し得る)でコアおよび/またはチューブの周囲に何回転も線維をコイル状(たとえば一連のつながった、典型的に実質的に同心状の環またはらせん)に、織り込んで、および/または組み込んで配置することを定義し得る。
【0061】
本発明は、医学的な用途および動物試験において有用である。用語「医学的な」は、ヒトおよび獣医学的な用途の両方を含む。本発明の適切な対象は、限定するものではないが、トリおよび哺乳類を含む。
【0062】
特定の実施形態では、対象は、本発明の方法を「必要としており」、たとえば対象は、人工器官または他の装置などの本発明のコラーゲン構築物を植え込む外科手法から恩典を得る場合がある。特定の実施形態では、植え込み後、本発明のコラーゲン構築物は、疾患および/または臨床上の症状を予防し、本発明の方法を使用しない場合に起こり得る疾患および関連する臨床的な症状の重症度と比較してこれらの重症度を低減し、かつ/または疾患および/もしくは臨床上の症状の発症および/もしくは進行を遅延するなどの治療上および/または予防上の作用を対象に与えることができる。本発明の方法は、完全および/または部分的な処置および/または保護を提供できる。特定の実施形態では、対象への植え込み後、本発明のコラーゲン構築物は、対象の微生物感染症を処置する、および/または阻害する、および/または微生物感染症から保護する。
【0063】
方法
一部の実施形態では、医療構築物を製造する方法を提供する。本方法は、キレート部分と生物学的に適合可能なポリマーを接触させて、生物学的に適合可能なポリマーにキレート部分を化学結合させて、ポリマー‐キレーター複合体を提供することと、薬理学的に活性の金属イオンでポリマー−キレーター複合体をキレートすることにより、薬理学的に活性の金属イオンが組み込まれた医療構築物を生成することとを含む。適切な生物学的に適合可能なポリマー、キレート部分、および薬理学的に活性の金属イオンは、本明細書に記載される通りである。
【0064】
本発明の複合体は、生物学的に活性の金属イオンの局在化および持続放出により、幅広い範囲の治療上の特性を有する。銀イオンの場合、このような生物学的に活性の金属イオンを使用して、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症などの抗生剤耐性細菌を含む細菌により感染しているか、または感染するリスクがある創傷を処置できる。治療用の銅イオンは、真菌の感染症に感染しているか、または感染するリスクのある患者の処置に有益である。治療用の白金イオンは、癌、特に固形癌の処置に有益である。
【0065】
真空乾燥装置
特定の実施形態では、本明細中に記載される変性した組織は、米国特許出願第13/744,332号に記載されるように、一体型の真空源に接触する機能的な乾燥ボードを含めることによって乾燥装置を改変した革新的な脱水装置を使用して脱水する。この文献は全体が参照により本明細書中に援用される。より具体的には、脱水装置は、(i)乾燥チャンバーを画定し、流入および流出の開口部を画定する乾燥ハウジング、ならびに(ii)乾燥チャンバーの内部の真空テーブルの上部に配置された多孔性乾燥ボードを備える。多孔性乾燥ボードは、脱水される組織を受ける第1の表面と、第1の表面と反対側で、真空テーブルに直接的又は間接的に接触する第2の表面とを備える。このような構成では、脱水装置による真空吸引が、脱水工程の間乾燥ボードの表面に配置した組織をその場に保持することが可能となる。
【0066】
特定の実施形態では、乾燥ボードは、組織が脱水工程の間にしっかりと保持または伸長されて、組織の移動および/または収縮を防止するように、表面に組織をちょうど十分に接着することが可能である材料から作製される。他方で、過度に接着する物質は、脱水した組織を表面から除去することが困難であり、これにより、脱水組織に対する望ましくない裂傷又は損傷を引き起こす場合がある。好ましくは、乾燥ボード用の材料は、疎水性の表面および望ましい弾性を有する。一実施形態では、乾燥ボード用の材料は、シリコーンまたはポリカーボネートである。好ましくは、乾燥ボードは、望ましい剛性および疎水性の特性を提供するために、シリコーンにより全体的におおわれているポリカーボネートインサートを含む。より好ましくは、乾燥ボードは、望ましい剛性を提供するために、少なくとも1/8インチ、少なくとも1/4インチ、少なくとも3/8インチ、少なくとも1/2インチ、少なくとも5/8インチ、少なくとも3/4インチ、少なくとも7/8インチ、または少なくとも1インチの厚さを有することにより、真空乾燥の間、屈曲/湾曲を防止する。乾燥ボードのために適切な剛性の材料を選択することは、当業者の範囲内にある。たとえば、ステンレス鋼の乾燥ボードを使用してもよい。このような物質を使用する場合、特定の表面処置または表面コーティングを乾燥ボードに適用することで、湿潤組織の操作および脱水組織の分離が容易となり、損傷を回避する。このようなコーティング材料には、限定するものではないが、ポリカーボネートおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。さらなるコーティング材料は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)などのハイドロゲルとすることができ、これは、温度をたとえば約32℃に変化させると、親水性から疎水性へと表面特性を変化させることができる。このようにして、乾燥ボードへの組織の接着の制御を、温度を調節することにより達成できる。
【0067】
乾燥ボードは、他の望ましい特性を有するためにさらに改善され得る。たとえば、乾燥ボードは、組織の上にエンボスメントを作製するために、凹部、凸部、またはその両方を含み得る。乾燥ボードは、エンボスメントが乾燥工程の最中に組織に作製されるように陽性または陰性のエンボスメントを有する。例示的なエンボスメントとして、限定するものではないが、文字、記号、デザイン、ロゴ、写真、パターンなどが挙げられる。好ましくは、組織に作製されたエンボスメントは、たとえば一方の面から見た場合に、他方の面から見た場合とは異なるように見える非対称性の特性により、エンドユーザーが脱水組織の一方の面を他方の面と肉眼で容易に区別できる。
【0068】
一部の実施形態では、乾燥ボードは、半透明または不透明であり得る。好ましくは、乾燥ボードは、ボード上に配置される際に組織の天然の色を対比させ、かつ組織の視覚的観察を容易にする、ミントグリーンまたはメディカルブルー(medical blue)色などの色を有する。一部の実施形態では、乾燥ボードは平滑な表面を有する。他の実施形態では、乾燥ボードは、型押し表面を有する。さらなる他の実施形態では、乾燥ボードが、脱水組織に「透かし」を入れるように、乾燥ボードは、平滑表面の領域と型押し表面の領域の組み合わせを有する。当業者は、望ましい型押し模様を有する脱水組織を得るために、組織と接触する乾燥ボードの表面の型押し模様を変えることができる。
【0069】
一実施形態では、乾燥ボードは多孔性であり、乾燥ボードの領域全体に広がる穴または穿孔を有することにより、真空圧力の適用を可能にする。組織を乾燥ボードの表面に配置した後、真空吸引が適用されて、組織はボードの乾燥表面上に組織を押し付けられる。組織およびボードの湾曲、屈曲、および/または収縮を防ぎつつ、組織の上にエンボスメントが明確に作製されるように真空の圧力を調節する。
【0070】
穴の数および大きさは、望ましい結果を得るために変動することができる。一部の実施形態では、穴は、望ましいパターンで配置されてもよい。好ましくは、穴は、均一で一定した真空圧力を提供するために全ての穴が組織により被覆されるように、ボードの表面全体に均一に広がる。穴のパターンは、対称的なデザインであってもなくてもよい。好ましくは、穴は、四角形の形状の対称的なパターンに配置される。より具体的には、穴の幾何学的形状は、記号および/または他のデザインまたはアートワークを含み得る。またこの穴は、乾燥ボードの厚さを介して変更された幾何学的形状を有することができる。たとえば、直径5mmおよび深さ1mmを有する穴は、組織へのエンボスメントが、穴の深さおよび大きさを制御することによる特定のデザインを有するように、直径1mmおよび深さ0.1mmを有する穴のすぐ隣にあってもよい。望ましいデザインだけでなく、一定の望ましい真空圧力を達成するために、穴の数、直径、および深さを変動する必要性のバランスを保つことは当業者の範囲内にある。
【0071】
一実施形態では、100cm、約150cm、約200cm、約250cm、約300cm、約350cm、約400cm、約450cm、または約500cmの面積にわたり、約50、約100、約150、約200、約250、約300の穴が存在する。別の実施形態では、穴の大きさは、直径0.1mm〜10mmの範囲、たとえば、0.1mm未満、0.5mm未満、1mm未満、2mm未満、3mm未満、4mm未満、5mm未満、6mm未満、7mm未満、8mm未満、9mm未満、または10mm未満の直径であり得る。好ましくは、穴の大きさは、直径4mm〜8mmである。乾燥ボード上の穴は、同一の大きさであってもなくてもよい。穴の数および穴の寸法は、望ましい結果を得るために変動し得る。たとえば、穴の数は、50未満または300超とすることができ、穴の直径は、0、1mm未満、または10mm超であり得る。一般的な原則として、穴の数が多くなると、穴の大きさは小さくなる。穴の数および大きさは、本発明の開示に従ってルーチンの実験により決定することができる。
【0072】
真空源は、乾燥チャンバーの中に配置される真空テーブルに減圧を供給する。真空テーブルならびに同じく乾燥ボードおよび組織は次いで、真空源からの可変かつ制御可能な量の減圧に曝され、組織に機械的に力を掛けることにより所定の位置に組織を保持する。組織への損傷を回避するために、組織に最小限の圧力が適用されるが、真空圧力が、乾燥工程の最中に組織が移動かつ/または収縮するのを防止し、かつ組織に明確なエンボスメントを押し付けるために十分となるように、真空圧力を調節することは、当業者の範囲内にある。
【0073】
非常に高い真空圧で脱水が実施される場合、「バブル」の形成など、平らではない表面を有する組織が生成され、非常に低い真空圧力で脱水が実施される場合、工程の間組織が十分に安定せず、結果として、組織は収縮し、しわがより、かつ/またはエンボスメントがぼやける場合がある。
【0074】
よって、当業者は、脱水装置が、チャンバープレナムを介して循環する気流のわずかな正圧と、乾燥備品の内部チャネルにより移植片に適用される真空由来のわずかな負圧との間の差異から生じる差圧勾配により制御されることを理解するであろう。この勾配は、以下の式によって計算することができ、この真空乾燥装置の設計の特徴を介して乾燥を促進するよう操作できる。これは、少なくとも4つのパラメータ、すなわちボードの表面上の接触する穴の数、穴の大きさまたは直径、真空圧力、および乾燥ボードの総表面積の制御により達成される。上記式は、
【数1】
であって、式中、
Fは、保持圧力であり、Pvは真空圧力であり、Ahは組織との境界面(ボード全体)の穴の表面積の合計であり、およびAbは、ボードの表面積である。円形の断面を有する穴が同一の大きさを有する場合、以下の式
【数2】
を使用してもよく、式中、Pは真空圧力であり、Rは穴の二乗半径であり、Nは、ボード全体の穴の数である。
【0075】
適切な真空テーブルの選択は、当業者の範囲内にある。商業的に入手可能な多くの真空テーブルが、本発明の目的に適している。たとえば、Werner Machine, Incから購入したWerner Machine真空テーブルを使用してもよい。あるいは、真空テーブルは、Systematic Automationsから入手してもよい。
【0076】
一部の実施形態では、乾燥ボードは、乾燥工程を加速させるためには十分に高く、しかし組織に損傷を与えるほどには高くはない温度まで加熱される。あるいは、乾燥チャンバーでプレナムを介して流れる空気は、20℃〜45℃の一定の温度まで加熱される。好ましくは、空気もしくはボード、またはその両方の温度は、乾燥チャンバー内の含水量を減少させて乾燥工程の速度を速めるために45℃で一定に保持される。加熱された空気を濾過し、乾燥チャンバー全体にわたり循環させて、組織およびチャンバー内部の空気から水分を除去する。さらなる他の実施形態では、気流の流入ラインおよび流出ラインの1つまたは両方に直列に、さらにはチャンバーの外部に乾燥剤を配置することにより水分が気流から除去される。乾燥剤を介して加熱した空気を再度循環することによりさらに費用が低下し、乾燥工程が加速する。好ましくは、加熱した気流は、組織の表面に対して45℃の角度にある。
【0077】
他の態様では、脱水装置において1つより多くの組織試料を同時に乾燥させるために、複数の組織の試料を乾燥ボード上に配置することができる。脱水装置は、本明細書中に記載される組織の脱水に有益ではあるが、他の物体を脱水するために使用することができる。
【0078】
実施例
実施例1‐コラーゲン‐複合体の調製
(A)商業的に入手可能な2,3−ジヒドロキシ安息香酸(10mmol)を、従来の方法により対応するカルボン酸メチルに変換する。メチル2,3−ジヒドロキシベンゾエートのヒドロキシル基は、生成した酸を除去する過剰量の炭酸カリウムの存在下で、アセトンまたはN,N−ジメチルホルムアミド中で少なくとも2当量のベンジルブロミドとの反応により、対応するベンジルエーテルに変換することにより保護される。結果として得られるメチル2,3−ジベンジルオキシベンゾエートを、加水分解し、この場合従来の技術を使用したペンタフルオロフェニルである対応する活性化エステルに変換する。
【0079】
上述の活性エステルの少なくとも30個の等価物を、従来のアミド形成条件下でコラーゲンと混合して、コラーゲンに結合する保護された複数のキレート部分を提供する。水素付加により、2,3−ジヒドロキシフェニル部分を得る。ヒドロキシル基は、キレート化する特性を有する。
【0080】
生物学的に活性の金属イオンのキレート化は、硝酸銀、酢酸銀、酢酸銅、シスプラチンなどの適切な金属塩の従来通りの添加により得られる。コラーゲン上のキレート部分の実質的なキレート化をもたらすために十分量の塩を添加する。
【0081】
実施例2‐微粒子化した生体材料または組織の調製
微粒子化した粒子を生成するために本明細書中で使用される羊膜/絨毛膜組織移植片を、米国特許出願第2008/0046095号に記載される工程により作製した。この文献は全体が本明細書中参照として援用される。組織移植片(4cm×3cm)および2つの9.5mmのスチール研磨ボールを50mlのバイアルに入れて、その後バイアルを密封した。バイアルをクライオブロック(Cryo−block)に置き、クライオブロックをクライオラック(Cryo−rack)に入れた。クライオラックを、液体窒素の入ったデュワーフラスコの中に入れた。組織試料を、30〜60分ほどの間気相冷却に供した。クライオラックをデュワーフラスコから取り外し、クライオブロックをクライオラックから取り外した。クライオブロックをグラインダー(Grinder)(SPEX Sample Prep GenoGrinder 2010)の中に置き、1,500rpm、20分間に設定した。20分間経過した後、微粒子化を確実にするため組織を検査した。必要な場合、組織を再びデュワーフラスコの中に30〜60分間入れ直し、グラインダーにさらに20分間移して微粒子化を十分に確実なものとした。組織が十分に微粒子化された後、米国の規格のASTMふるいのシリーズを使用して分類した。このふるいを、以下の順序:355μm、300μm、250μm、150μm、および125μmで配置した。微粒子化した材料、50mlのバイアルから355μmのふるいに移動させた。微粒子化した粒子を完全に分離するために、各ふるいを個々に撹拌した。微粒子化した粒子が、ふるいを使用して効率的に分離された後、355μm、300μm、250μm、150μm、および125μmの大きさの粒子を有する微粒子化した粒子を、別々のバイアルに集めた。
【0082】
実施例3‐微粒子化した生体材料または組織を含む組織移植片の調製
本明細書に記載される化合物、組成物、および方法に、様々な改変および変形を行うことができる。本明細書に記載される化合物、組成物、および方法の他の態様は、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法の明細書および実施を考慮することから明らかである。本明細書および実施例は例示的なものと考えられると意図される。
【0083】
補強された生体材料または組織の移植片の詳細な説明は、「REINFORCED BIOMATERIAL OR TISSUE GRAFTS AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME」との表題の、2012年8月15日に出願の米国特許出願第61/683,699号に提供される。この出願は、その全体が参照として本明細書中に援用される。
【0084】
微粒子化した生体材料または組織およびそれらの抽出物を作製かつ使用する詳細な説明は、「MICRONIZED BIOMATERIAL OR TISSUE COMPOSITIONS AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME」との表題の、2012年8月15日に出願の米国特許出願第61/683,700号に提供されており、この出願は、その全体が参照として本明細書中に援用される。
【0085】
実施例4‐EpiFix(登録商標)の存在下での細胞の遊走
EpiFix(登録商標)がヒトのMSCの遊走を誘導するか否かを判定するために、ヒトの間葉系幹細胞(ヒトMSC)を、EpiFix(登録商標)試料の存在下で、細胞培養において評価した。EpiFix(登録商標)は、上皮層がインタクトである羊膜および絨毛膜の層である。
【0086】
材料および方法
標準的な遊走アッセイを、インサートの底部孔8μmのメンブレンフィルターを備える24ウェルの細胞培養インサートで実施した(図3参照、BD Biosciences)。実験を開始する24時間前に、ヒトのMSC(1つのドナー、3継代)を無血清培地中で培養して、PBS中、5μg/mlのフィブロネクチン300μlを、各細胞培養インサートの中に入れて、細胞培養インサートの表面へフィブロネクチンを一晩かけて吸着させた。
【0087】
実験日に、700μlの無血清培養培養培地をプレートのウェル底部に充填し、次いで、滅菌EpiFix(登録商標)の異なる大きさに調節した部分を添加した(低:直径1〜5mmのディスク;中:直径4mmのディスク;高:12×13mm平方、3〜4mm平方の断片に調節;n=6、試験したEpiFix(登録商標)組織のドナー人数)。1平方センチメートルのEpiFix(登録商標)は4mgの重量である。無血清培地および10%のウシ胎児血清を含む培地(n=6)を、それぞれ陰性対照および陽性対照とした。次いで、ヒトのMSC(300μl中、細胞40,000個)を、細胞培養インサートの中に充填し、24時間培養した。次いで、細胞培養インサートの両面をPBSですすぎ、インサート上面の非遊走細胞を、先端にコットンを付けたアプリケーターで除去した。インサート下面とメンブレンフィルター上の細胞を、10%ホルマリンで20分間固定した後、すすぎ、ヘマトキシリンで5分間染色した。メンブレンの中を遊走した細胞の数を、倒立顕微鏡(Nikon TE2000;SPOTソフトウェア4.6)を用いてメンブレン下面で計数した。
【0088】
データを、10%のFBSの陽性対照に対して正規化し、各試料のウェルについて、倍率100倍の顕微鏡写真の視野あたりの計数された遊走細胞の平均値±標準偏差として表す。統計学的な比較を、Box−Cox変換を使用して行い、データ分散を正規化し、次いで、テューキーのHSD事後検定を行う一元配置分散分析(ANOVA)を行った。
【0089】
結果
最小のEpiFix(登録商標)試料を含む低の群(直径1.5mmのディスク)は、無血清陰性対照と有意差がなかった(図4の棒グラフ参照)。中の群(直径4mmのディスク)および高の群(12×13mm平方、3〜4mm平方の断片に調節)はいずれも、無血清対照よりも統計学的に高く(対照と比較して約60%および75%遊走、図4参照)、EpiFix(登録商標)が細胞の遊走を刺激したことを示した。高の群は、中の群と有意差はなかった。この結果から、EpiFix(登録商標)製品は、ヒトの間葉系幹細胞を誘引する1つ以上の因子を含むことが示される。
【0090】
実施例5‐EpiFix(登録商標)インプラントを植え込まれたマウスでの幹細胞の動員
正常なマウスに植え込まれたEpiFix(登録商標)が、幹細胞/前駆細胞、主にマウスの造血幹細胞(HSC)およびマウスの間葉系幹細胞(マウスのMSC)の動員をもたらすか否かを決定するための試験を行った。
【0091】
材料および方法
6人のドナー由来のEpiFix(登録商標)製品を、正常なマウスに植え込むために使用した。5×5mm平方のEpiFix(登録商標)を、4ヶ月齢のFVB/NJマウス(約23.50g〜約30gの体重)の皮下に手術により植え込んだ。時点ごとに試料当たり4匹のマウスに植え込んだ。この時点は、3日目、7日目、14日目、および28日目であった。陰性対照は、正常な皮膚および偽手術を行ったマウス(外科的に切開したが植え込みは行わなかった)であった。脱細胞化した真皮基質(無細胞皮膚基質;ADM)を、比較インプラント(I型コラーゲン、サイトカインなし)として使用した。インプラントおよびその上の皮膚を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)のために収集した。
【0092】
インプラントおよびその上の皮膚を収集し、1mmの部分に切断し、0.15%のディスパーゼ/0.075%のコラゲナーゼ溶液中で、37℃で1時間インキュベートした。遠心分離した後、試料を以下に記載する細胞系列抗体カクテルで染色した。CD31抗体を添加し、次いでAlexa Fluor 647抗ラット二次抗体を添加した。フィコエリトリン−Cy7‐コンジュゲート抗CD45抗体を最後にインキュベートした、試料を調製し、以下に記載するように解析した。
【0093】
試料を、細胞系列陰性(lin)抗体カクテル(Ter119/CD4/CD8a/Gr−1/CD45R/CD11b)、次いでフィコエリトリン−Cy5抗ラット二次抗体と共にインキュベートした。間葉系幹細胞の解析では、CD45(フィコエリトリン−Cy7)およびSca−1(フルオレセインイソチオシアネート)に対するコンジュゲート抗体を添加した。造血幹細胞の解析では、CD−45(フィコエリトリン−Cy7)、c−Kit(フィコエリトリン)、およびSca−1(フルオレセインイソチオシアネート)に対するコンジュゲート抗体を添加した。試料を、抗体と共に30分間インキュベートし、次いで、2%のウシ胎児血清を含むリン酸緩衝生理食塩水(2mMのエチレンジアミン四酢酸を含む)を5回添加することにより洗浄した。細胞を遠心分離し、ヨウ化プロピジウムで、4℃で1分間、再度懸濁した。試料を、LSRフローサイトメーターを使用して解析した。CellQuestソフトウェアを使用して、間葉系幹細胞を定義する場合はlin‐/Sca−1/CD45‐に試料のゲートを設定し、造血幹細胞を定義する場合はlin‐/Sca−1/c−Kit/CD45にゲートを設定した。
【0094】
結果
マウスのHSCは、EpiFix(登録商標)植え込み後7、14、および28日目で陰性対照と比較して著しく増加した(図5A参照)。マウスのHSCは、ADMと比較して28日目でEpiFix(登録商標)試料において有意に増加したままであった。
【0095】
マウスのMSCは、EpiFix(登録商標)の移植後7日目では、陰性対照と比較して有意に増加した(図5B参照)。マウスのMSCの平均パーセンテージは、陰性対照と比較してすべての時点で増加した。
【0096】
よって、上述のデータから、EpiFix(登録商標)インプラントは、正常なマウスにおいて、インビボでHSCおよびMSCの両方を効果的に動員することが示される。またこのデータから、EpiFix(登録商標)は、無細胞性皮膚基質(ADM)よりも長い期間HSCの動員をもたらすことが示され、EpiFix(登録商標)の効果をサイトカインが媒介するという仮説を支持する。
【0097】
実施例6−EpiFix(登録商標)インプラントを植え込んだマウスでの幹細胞の特徴付け
フローサイトメトリーおよび免疫組織化学的検査を使用して、マウスのEpiFix(登録商標)植え込み部位に動員される幹細胞を特徴付けるための試験を行った。
【0098】
材料および方法
滅菌のPurion(登録商標)で処理した5×5mm平方パッチのEpiFix(登録商標)を、16匹の4ヶ月齢のFVB/NJマウスの背部皮膚切開を介して皮下に植え込んだ。同一の皮膚切開を、対照処置(偽処置)として機能するように別の16匹のマウスに行った。コラーゲン足場と比較するために、脱細胞化したヒトの真皮(無細胞性皮膚基質、ADM)の5×5mm平方のパッチを、16匹のマウスの背部皮下に植え込んだ。手術を行わなかった(un−operated)マウスを、解析のため「正常な」背部皮膚の供給源として使用した。
【0099】
外科手術部位を、幹細胞の解析のために植え込みから3日後、7日後、14日後、および28日後に摘出した。各時点で1群4匹の動物を使用した。幹細胞を、2つの別々の方法(蛍光活性化セルソーティング(FACS)および免疫組織化学的検査(IHC))を用いて同定した。FACS解析では、全ての細胞を羊膜および関連する再生組織から単離した。細胞を、特異的幹細胞マーカーに対する抗体で蛍光標識した。各細胞の種類の同定およびその数を、フローサイトメーターを用いて決定した。
【0100】
免疫組織化学解析では、膜および関連する再生組織を固定し、スライド用に薄片化し、幹細胞に対して特異的な抗体で染色した。2つの抗体を、免疫組織化学検査で使用した。このうち抗‐CD34は、造血前駆細胞(HPC)を特異的に検出し、皮膚前駆細胞、内皮細胞、樹状細胞と反応し、抗‐CD31は内皮細胞を検出する。染色した組織切片を顕微鏡で観察し、特異的な幹細胞タイプの存在および数を測定した。実験的な解析では、各細胞タイプの相対数を計測した。この結果を、各細胞タイプのパーセンテージとして計算した(免疫染色された細胞数/細胞の総数)。2つの領域、すなわちインプラント周辺組織とインプラントそのものを、細胞動員のため免疫化学的に解析した。


【0101】
結果
FACS解析からの代表的なデータを図6Aに示す。左側のパネルは、試料中の総細胞数を示す。中央のパネルは、CD45陽性細胞数を示す(赤色のボックス中)。右側のパネルは、Sca−1陽性細胞の数を示す(赤色のボックス中)。CD45およびSca−1は、造血幹細胞の特異的マーカーである。
【0102】
図6Bは、例示的な免疫組織化学的検査の画像を示す。左下の灰色のバーは50μmを表す。この切片は、DAPI(青−すべての細胞を染色)および抗‐CD34(赤色)で染色した。組織を実験用マウスに植え込んだ場所を参照のために示す。
【0103】
造血性前駆細胞(HPC)のレベルは、陰性対照と比較して14日目および28日目にEpiFix(登録商標)インプラント周囲の組織で有意に上昇した。造血性前駆細胞は、コラーゲン足場ADM対照と比較して、14日目および28日目にEpiFix(登録商標)インプラント周囲の組織で有意に増加した。
【0104】
前駆細胞は、EpiFix(登録商標)インプラントの中に動員された。インプラント内部の造血性前駆細胞は、EpiFix(登録商標)インプラント内で14日目にピークを迎え、28日目では上昇したままであった。インプラント内部の造血性前駆細胞の平均値は、対照のADMと比較して、14日目および28日目のEpiFix(登録商標)において増加した。前駆細胞は、ADM対照インプラントの中に動員されなかった。
【0105】
EpiFix(登録商標)インプラントの血管新生は、14日目〜28日目まで着実に増加した。EpiFix(登録商標)インプラントにおける新規の血管形成の量は、28日目では、ADM対照と比較して有意に多かった。
【0106】
これらのデータから、EpiFix(登録商標)は、造血幹細胞および間葉系幹細胞の両方を損傷部位へと動員する1つまたは複数の因子を含むことが確立される。これらの幹細胞は、偽処置またはより重要なことに対照のコラーゲン足場より、EpiFix(登録商標)膜および関連する再生組織で多く見出された。EpiFix(登録商標)は、インプラント部位に定着させる前駆細胞の動員において、対照の脱細胞化コラーゲン足場よりも有意に有効であった。対照のコラーゲン足場よりもEpiFix(登録商標)膜により多く前駆細胞が存在した。
【0107】
EpiFix(登録商標)はまた、関連する再生組織およびEpiFix(登録商標)膜自体に新規の血管形成を誘導した。EpiFix(登録商標)膜の血管新生は、コラーゲン足場対照よりも有意に多かった。
【0108】
実施例7‐非架橋型組織−キレーター複合体の調製
上述の様々な生体材料または組織移植片を、従来のアミド形成条件下で、少なくとも30個のドーパミンの等価物と混合して、生体材料または組織と結合した複数の保護されたキレート部分を提供した。ドーパミンの窒素は、羊膜のコラーゲンの多くのカルボン酸基と反応してカルボジアミド結合を形成する。
【化6】
【0109】
実施例8−ポリマーキレーター複合体と生物学的に活性のイオンのキレート化
上述の乾燥した非架橋型組織‐キレーター複合体を、1%(w/v)シスジアミノPt(II)のジアクア塩の水溶液中で、室温で16時間インキュベートした。次いで移植片を脱イオン水で洗浄し、乾燥した。複合体中の白金含有量を、たとえば誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)により測定する。結果を、μg/gとして表し、これは、百万分の一(ppm)に相当する。
【0110】
複合体に白金を組み込むと、抗癌能を有する生体材料を生成することができる。このように、組織材料に白金を組み込む方法は、薬剤送達装置、好ましくは抗癌剤送達装置を提供できる。
【0111】
一部の実施形態では、本発明の複合体に利用される組織は、幹細胞の走化性および/または動員を高める1つまたは複数の幹細胞動員因子を組み込む。このような幹細胞を動員するための組成物は、2013年3月15日に出願の米国仮特許出願第13/815873号の表題「COMPOSITIONS AND METHODS FOR RECRUITING STEM CELLS」に記載されており、この文献は、全体が参照として本明細書中に援用される。生物学的に活性の金属と組み合わせたこれらの幹細胞動員因子は、癌様の細胞にとって忌諱される存在であり、腫瘍に関連する癌の再発に対抗して作用する。
【0112】
EpiFix(登録商標)羊膜の同種異系移植片が、羊膜への幹細胞の誘引またはその流入を増加させる能力を有していることが上述の実施例から明らかである。よって、羊膜は、幹細胞を誘引する生物由来のポリマーである。さらに、羊膜がキレーター部分およびたとえばシスプラチンなどの金属と複合体を形成する場合、ポリマー複合体を使用して、幹細胞、特に腫瘍細胞などの異常な幹細胞を殺すことができる。
【0113】
実施例9−真空乾燥装置
可変真空圧力および乾燥ボードの穴の大きさの試験
この試験は、望ましい組織の美観を得るための、真空圧力の作動および乾燥ボードの穴の大きさを例証するものである。
【0114】
脱水の最中に組織試料を下に保持するために必要とされるボードの面積当たりの圧力の最小量を決定するために、真空圧力およびボードの穴の大きさを変化させて試験した。最小の圧力を使用することは、システムの効率を増大させ、乾燥組織試料上の「バブル」の大きさを減少させる。一連の4つの実験にわたり、真空圧力を乾燥組織に適用し、組織が状態を維持しなくなるまで、およびその代わりに脱水により縮んでしわができるまで、真空圧力を水柱16インチから5インチまで徐々に減少させた。各実験では、同一の複合ボードを使用して、温度を一定して45℃に保持した。穴の大きさを、一連の試験にわたり、途中で直径6mmから4mmに変更した。以下の表は、記録された測定値およびボード面積当たりで得られる圧力の計算値を説明する。また、2進出力の「はい/いいえ」は、組織を保持する閾値を定義するために挿入された。
【表2】
【0115】
真空保持強度の実験から得たデータから、5.89Pa未満のいずれの圧力も、脱水工程の最中、乾燥ボード上の組織の試料を安定させるには不十分であったことが示される。各パラメータの閾値は、この実験により確立され得る。
【0116】
本出願にわたり、様々な公報を参照した。これら公報の開示は、本明細書に記載される化合物、組成物、および方法をより完全に説明するために、本願にこれら文献全体が参照として援用される。
【0117】
様々な修正および改変を、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法に対して行うことができる。本明細書に記載される化合物、組成物、および方法の他の態様は、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法の明細書および実施を考慮することから明らかとなる。本明細書および実施例は、例示的なものと考えられると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9