【文献】
Miljkovic-Licina, Marijana et al.,Molecular Cancer Therapeutics,Vol.11, No.12(2012),pp.2588-2599
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項4(i)に記載の抗体であって、46A9BOのVHドメイン(配列番号1)と同一であるVHドメイン、及び46A9BOのVLドメイン(配列番号2)と同一であるVLドメインを含む抗体、または
請求項4(ii)に記載の抗体であって、9F8BOのVHドメイン(配列番号19)と同一であるVHドメイン、及び9F8BOのVLドメイン(配列番号20)と同一であるVLドメインを含む抗体
である、抗体。
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頚部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌 脳癌、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、または皮膚癌である、請求項13または14に記載の組成物。
【発明の概要】
【0009】
本開示のある特定の態様によると、血管形成においてOlfml−3に結合し、Olfml−3の活性を阻害するモノクローナル抗体またはその断片が提供される。よって、いくつかの実施形態では、Olfml−3ポリペプチドに特異的に結合する、単離された、または組換えのモノクローナル抗体が提供される。ある特定の態様では、抗体は、Olfml−3ポリペプチドの結合に関して、46A9BO、9F8BO、またはZ14A7モノクローナル抗体と競合する。好ましい抗体は、Olfml−3ポリペプチドの結合に関して、46A9BOモノクローナル抗体と競合する。ある特定の態様では、抗体は、46A9BO、9F8BO、またはZ14A7モノクローナル抗体の重鎖可変領域及び/もしくは軽鎖可変領域の全て、またはその一部を含み得る。さらなる態様では、抗体は、本発明の実施形態のモノクローナル抗体の軽鎖可変鎖及び/もしくは重鎖可変鎖からの第1、第2、及び/または第3の相補性決定領域(CDR)に対応するアミノ酸配列を含み得る。
【0010】
よって、ある特定の態様では、実施形態の単離されたまたは組換え抗体は、46A9BO、9F8BO、またはZ14A7重鎖及び軽鎖アミノ酸配列のCDR領域と少なくとも80%、90%、または95%同一であるCDR配列を含む。さらなる態様では、抗体は、CDRのうちの1つ、2つ、3つ以上での1つまたは2つのアミノ酸の置換、欠失、または挿入を除き、46A9BO、9F8BO、またはZ14A7 CDRと同一のCDR領域を含む。例えば、抗体は、CDR配列が46A9BO、9F8BO、またはZ14A7モノクローナル抗体のCDRに対して、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/またはVL CDR3において1つまたは2つのアミノ酸置換を含むCDRを含み得る。よって、いくつかの特定の態様では、実施形態の抗体は、(a)46A9BOのVH CDR1(配列番号7)またはZ14A7のVH CDR1(配列番号13)と少なくとも80%同一の第1のVH CDR、(b)46A9BOのVH CDR2(配列番号8)またはZ14A7のVH CDR2(配列番号14)と少なくとも80%同一の第2のVH CDR、(c)46A9BOのVH CDR3(配列番号9)またはZ14A7のVH CDR3(配列番号15)と少なくとも80%同一の第3のVH CDR、(d)46A9BOのVL CDR1(配列番号10)またはZ14A7のVL CDR1(配列番号16)と少なくとも80%同一の第1のVL CDR、(e)46A9BOのVL CDR2(配列番号11)またはZ14A7のVL CDR2(配列番号17)と少なくとも80%同一の第2のVL CDR、及び(f)46A9BOのVL CDR3(配列番号12)またはZ14A7のVL CDR3(配列番号18)と少なくとも80%同一の第3のVL CDRを含む。さらなる態様では、実施形態の抗体は、(a)9F8BOのVH CDR1(配列番号21)と少なくとも80%同一の第1のVH CDR、(b)9F8BOのVH CDR2(配列番号22)と少なくとも80%同一の第2のVH CDR、(c)9F8BOのVH CDR3(配列番号23)と少なくとも80%同一の第3のVH CDR、(d)9F8BOのVL CDR1(配列番号24)と少なくとも80%同一の第1のVL CDR、(e)9F8BOのVL CDR2(配列番号25と少なくとも80%同一の第2のVL CDR、及び(f)9F8BOのVL CDR3(配列番号26)と少なくとも80%同一の第3のVL CDRを含む。
【0011】
さらなる態様では、単離されたまたは組換え抗体は、それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、及び12によって表されるモノクローナル抗体46A9BOの対応するCDR配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一の第1のVH、第2のVH、第3のVH、第1のVL、第2のVL、及び第3のVL CDR配列を含む。一態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体46A9BOのCDR配列と同一であるCDR配列を含む。さらなる態様では、抗体はIgG2b抗体である。
【0012】
別の態様では、単離された抗体は、46A9BOのVHドメイン(配列番号1)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVHドメイン、及び46A9BOのVLドメイン(配列番号2)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVLドメインを含む。さらなる態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体46A9BOのものと同一のVH及びVLドメインを含む。
【0013】
またさらなる態様では、単離されたまたは組換え抗体は、それぞれ、配列番号21、22、23、24、25、及び26によって表されるモノクローナル抗体9F8BOの対応するCDR配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一の第1のVH、第2のVH、第3のVH、第1のVL、第2のVL、及び第3のVL CDR配列を含む。一態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体9F8BOのCDR配列と同一であるCDR配列を含む。さらなる態様では、抗体はIgG2b抗体である。
【0014】
さらに別の態様では、単離された抗体は、9F8BOのVHドメイン(配列番号19)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVHドメイン、及び9F8BOのVLドメイン(配列番号20)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVLドメインを含む。さらなる態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体9F8BOのものと同一のVH及びVLドメインを含む。
【0015】
またさらなる態様では、単離されたまたは組換え抗体は、それぞれ、配列番号13、14、15、16、17、及び18によって表されるモノクローナル抗体Z14A7の対応するCDR配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一の第1のVH、第2のVH、第3のVH、第1のVL、第2のVL、及び第3のVL CDR配列を含む。一態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体Z14A7のCDR配列と同一であるCDR配列を含む。さらなる態様では、抗体はIgG2c抗体である。
【0016】
別の態様では、単離された抗体は、Z14A7のVHドメイン(配列番号3)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVHドメイン、及びZ14A7のVLドメイン(配列番号4)と少なくとも約80%、85%、90%、または95%同一のVLドメインを含む。いくつかの態様では、単離された抗体は、モノクローナル抗体Z14A7のものと同一のVH及びVLドメインを含む。
【0017】
いくつかの態様では、実施形態の抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、IgM、IgA、またはこれらの抗原結合断片であってよい。さらなる態様では、抗体は、Fab′、F(ab′)2 F(ab′)3、一価のscFv、二価のscFv、または単一ドメイン抗体であってよい。いくつかの場合では、抗体は、ヒト、ヒト化、または脱免疫化抗体であってよい。さらなる態様では、単離された抗体は、Z14A7、9F8BO、または46A9BO抗体である。
【0018】
ある特定の態様では、実施形態の抗体(またはその断片)は、グリコシル化抗体(例えば、哺乳類のグリコシル化パターンを有する)である。いくつかの態様では、抗体は、脱グリコシル化抗体(例えば、酵素的に処理された抗体、または細菌において生成された抗体)であるか、または非哺乳類のグリコシル化(例えば、酵母または昆虫細胞において生成された抗体)を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体または抗体のV
HもしくはV
Lドメインを含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子が提供される。
【0020】
さらなる実施形態では、実施形態のモノクローナル抗体または組換えポリペプチドを生成する宿主細胞が提供される。いくつかの態様では、宿主細胞は、哺乳類細胞、酵母細胞、細菌細胞、繊毛虫細胞、または昆虫細胞である。ある特定の態様では、宿主細胞は、ハイブリドーマ細胞である。
【0021】
またさらなる実施形態では、細胞において本明細書に開示される抗体のV
LまたはV
H鎖をコードする1つ以上のポリヌクレオチド分子を発現し、細胞から抗体を精製することを含む、本発明の実施形態の抗体を製造する方法が提供される。
【0022】
さらなる実施形態では、本明細書に論じられる抗体または抗体断片を含む薬学的組成物が提供される。そのような組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含み、追加の活性成分を含んでも、含まなくてもよい。
【0023】
よって、いくつかの態様では(例えば、医療または臨床用途に関して)、抗体または断片は、Olfml−3発現細胞を標的とする薬剤に結合され得る。薬剤は、細胞毒性剤、サイトカイン、抗血管形成剤、化学療法剤、診断剤、造影剤、放射性同位体、アポトーシス促進剤、酵素、ホルモン、成長因子、ペプチド、タンパク質、抗生物質、抗体、抗体のFab断片、造影剤、抗原、生存因子、抗アポトーシス剤、ホルモン拮抗薬、ウイルス、バクテリオファージ、細菌、リポソーム、微小粒子、磁気ビーズ、マイクロデバイス、細胞、核酸、または発現ベクターであってよい。
【0024】
薬学的に許容される担体において上述される抗体または断片のうちの1つ以上を含む薬学的組成物、例えば、抗体または断片及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物も提供され得る。
【0025】
上述の本発明のOlfml−3抗体もしくは断片または組成物は、血管形成が役割を果たす、一般に血管形成関連状態と称されるあらゆる疾患または障害の治療に使用され得ることが想定される。本発明は、ヒトまたは動物におけるあらゆるそのような障害において適用性を見出すことが想定される。例示的な血管形成関連状態は、癌、眼血管新生、動静脈奇形、冠状動脈再狭窄、末梢血管再狭窄、糸球体腎炎、関節リウマチ、虚血性心血管病態、慢性炎症性疾患などを含む。
【0026】
癌の場合では、例示的な血管形成癌は、血管形成乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、脳癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、骨癌、食道癌、膀胱癌、子宮癌、リンパ系癌、胃癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、または白血病を含む。眼血管新生障害は、黄斑変性症(例えば、年齢関連性黄斑変性症(AMD)、角膜移植片拒絶反応、角膜血管新生、早産児の網膜症(ROP)、及び糖尿病性網膜症を含む。
【0027】
ある特定の実施形態は、Olfml−3に特異的に結合する単離された及び/または組換え抗体もしくはポリペプチドを含む抗体または組換えポリペプチド組成物を対象とする。ある特定の態様では、抗体またはポリペプチドは、本明細書に提供されるいずれのモノクローナル抗体の全てまたは一部と80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一である、少なくとも、または最大で80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一(またはその中で導き出せる任意の範囲)である配列を有する。またさらなる態様では、単離された及び/もしくは組換え抗体またはポリペプチドは、本明細書に提供される配列のいずれか(例えば、配列番号1、2、3、4、19、または20)、またはそのようは配列の組み合わせからの10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の隣接しているアミノ酸を有する、少なくとも、または最大で10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の隣接しているアミノ酸を有する。
【0028】
またさらなる態様では、実施形態の抗体またはポリペプチドは、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかの1つ以上のアミノ酸セグメントを含む。例えば、抗体またはポリペプチドは、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかと少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一である、その間の全ての値及び範囲を含む、長さが約、少なくとも、または最大で5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25〜25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個のアミノ酸を含む1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のアミノ酸セグメントを含み得る。ある特定の態様では、アミノセグメント(複数可)は、表1に提供されるOlfml−3結合抗体のアミノ酸配列のうちの1つ(例えば、配列番号1、2、3、4、19、または20)から選択される。
【0029】
またさらなる態様では、実施形態の抗体またはポリペプチドは、Olfml−3結合抗体のV、VJ、VDJ、D、DJ、J、またはCDRドメイン(表1に提供される)と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一である(またはその中で導き出せる任意の範囲)アミノ酸セグメントを含む。例えば、ポリペプチドは、表1に提供されるCDR1、2、及び/または3 Olfml−3結合抗体と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一である(またはその中で導き出せる任意の範囲)1つ、2つ、または3つのアミノ酸セグメントを含み得る。
【0030】
本明細書で使用される、「一つの(a)」または「一つの(an)」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で使用されるように、請求項(複数可)において、用語「一つの(a)」または「一つの(an)」は、用語「含む」と共に使用される場合、1つまたは2つ以上を意味し得る。
【0031】
請求項における用語「または」の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「及び/または」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/または」を指す定義を支持する。本明細書で使用される、「別の」は、少なくとも2つ目以降を意味し得る。
【0032】
本願を通して、用語「約」は、値が、デバイスの誤差の固有の変化、値を決定するために採用された方法、または研究対象内に存在する変化を含むことを示すために使用される。
【0033】
[本発明1001]
(a)46A9BO(配列番号7)、9F8BO(配列番号21)、またはZ14A7(配列番号13)のVH CDR1と少なくとも80%同一である第1のVH CDRと、
(b)46A9BO(配列番号8)、9F8BO(配列番号22)、またはZ14A7(配列番号14)のVH CDR2と少なくとも80%同一である第2のVH CDRと、
(c)46A9BO(配列番号9)、9F8BO(配列番号23)、またはZ14A7(配列番号15)のVH CDR3と少なくとも80%同一である第3のVH CDRと、
(d)46A9BO(配列番号10)、9F8BO(配列番号24)、またはZ14A7(配列番号16)のVL CDR1と少なくとも80%同一である第1のVL CDRと、
(e)46A9BO(配列番号11)、9F8BO(配列番号25)、またはZ14A7(配列番号17)のVL CDR2と少なくとも80%同一である第2のVL CDRと、
(f)46A9BO(配列番号12)、9F8BO(配列番号26)、またはZ14A7(配列番号18)のVL CDR3と少なくとも80%同一である第3のVL CDRと
を含む、単離されたモノクローナル抗体。
[本発明1002]
(a)配列番号7と少なくとも80%同一である第1のVH CDRと、
(b)配列番号8と少なくとも80%同一である第2のVH CDRと、
(c)配列番号9と少なくとも80%同一である第3のVH CDRと、
(d)配列番号10と少なくとも80%同一である第1のVL CDRと、
(e)配列番号11と少なくとも80%同一である第2のVL CDRと、
(f)配列番号12と少なくとも80%同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1001の単離された抗体。
[本発明1003]
(a)配列番号7と同一である第1のVH CDRと、
(b)配列番号8と同一である第2のVH CDRと、
(c)配列番号9と同一である第3のVH CDRと、
(d)配列番号10と同一である第1のVL CDRと、
(e)配列番号11と同一である第2のVL CDRと、
(f)配列番号12と同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1002の単離された抗体。
[本発明1004]
(a)9F8BO(配列番号21)のVH CDR1と少なくとも80%同一である第1のVH CDRと、
(b)9F8BO(配列番号22)のVH CDR2と少なくとも80%同一である第2のVH CDRと、
(c)9F8BO(配列番号23)のVH CDR3と少なくとも80%同一である第3のVH CDRと、
(d)9F8BO(配列番号24)のVL CDR1と少なくとも80%同一である第1のVL CDRと、
(e)9F8BO(配列番号25)のVL CDR2と少なくとも80%同一である第2のVL CDRと、
(f)9F8BO(配列番号26)のVL CDR3と少なくとも80%同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1001の抗体。
[本発明1005]
(a)配列番号21と同一である第1のVH CDRと、
(b)配列番号22と同一である第2のVH CDRと、
(c)配列番号23と同一である第3のVH CDRと、
(d)配列番号24と同一である第1のVL CDRと、
(e)配列番号25と同一である第2のVL CDRと、
(f)配列番号26と同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1004の単離された抗体。
[本発明1006]
(a)配列番号13と少なくとも80%同一である第1のVH CDRと、
(b)配列番号14と少なくとも80%同一である第2のVH CDRと、
(c)配列番号15と少なくとも80%同一である第3のVH CDRと、
(d)配列番号16と少なくとも80%同一である第1のVL CDRと、
(e)配列番号17と少なくとも80%同一である第2のVL CDRと、
(f)配列番号18と少なくとも80%同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1001の単離された抗体。
[本発明1007]
(a)配列番号13と同一である第1のVH CDRと、
(b)配列番号14と同一である第2のVH CDRと、
(c)配列番号15と同一である第3のVH CDRと、
(d)配列番号16と同一である第1のVL CDRと、
(e)配列番号17と同一である第2のVL CDRと、
(f)配列番号18と同一である第3のVL CDRと
を含む、本発明1006の単離された抗体。
[本発明1008]
(i)46A9BOのVHドメイン(配列番号1)と少なくとも約80%同一であるVHドメイン、及び46A9BOのVLドメイン(配列番号2)と少なくとも約80%同一であるVLドメイン、
(i)9F8BOのVHドメイン(配列番号19)と少なくとも約80%同一であるVHドメイン、及び9F8BOのVLドメイン(配列番号20)と少なくとも約80%同一であるVLドメイン、または
(iii)Z14A7のVHドメイン(配列番号3)と少なくとも約80%同一であるVHドメイン、及びZ14A7のVLドメイン(配列番号4)と少なくとも約80%同一であるVLドメイン
を含む、本発明1001の抗体。
[本発明1009]
46A9BOのVHドメイン(配列番号1)と同一であるVHドメイン、及び46A9BOのVLドメイン(配列番号2)と同一であるVLドメインを含む、本発明1008の抗体。
[本発明1010]
9F8BOのVHドメイン(配列番号19)と同一であるVHドメイン、及び9F8BOのVLドメイン(配列番号20)と同一であるVLドメインを含む、本発明1008の抗体。
[本発明1011]
Z14A7のVHドメイン(配列番号3)と同一であるVHドメイン、及びZ14A7のVLドメイン(配列番号4)と同一であるVLドメインを含む、本発明1008の抗体。
[本発明1012]
46A9BO、9F8BO、またはZ14A7抗体である、本発明1008の抗体。
[本発明1013]
組換え体である、本発明1001〜1012のいずれかの抗体。
[本発明1014]
IgG、IgM、IgA、またはこれらの抗原結合断片である、本発明1001〜1007のいずれかの抗体。
[本発明1015]
Fab'、F(ab')2、F(ab')3、一価のscFv、二価のscFv、または単一ドメイン抗体である、本発明1001〜1007のいずれかの抗体。
[本発明1016]
ヒト、ヒト化抗体、または脱免疫化(de−immunized)抗体である、本発明1001〜1012のいずれかの抗体。
[本発明1017]
造影剤、化学療法剤、毒素、または放射性核種と結合した、本発明1001〜1012のいずれかの抗体。
[本発明1018]
薬学的に許容される担体中に本発明1001〜1017のいずれかの抗体を含む、組成物。
[本発明1019]
本発明1001〜1016のいずれかの抗体をコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子。
[本発明1020]
46A9BOのVHドメイン(配列番号7、8、及び9)のCDR1〜3、9F8BOのVHドメイン(配列番号21、22、及び23)のCDR1〜3、またはZ14A7のVHドメイン(配列番号13、14及び15)のCDR1〜3を含む抗体VHドメインを含む、組換えポリペプチド。
[本発明1021]
46A9BOのVLドメイン(配列番号10、11、及び12)のCDR1〜3、9F8BOのVLドメイン(配列番号24、25、及び26)のCDR1〜3、またはZ14A7のVLドメイン(配列番号16、5、及び6)のCDR1〜3を含む抗体VLドメインを含む、組換えポリペプチド。
[本発明1022]
本発明1020または1021のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子。
[本発明1023]
本発明1001〜1012のいずれかの抗体、または本発明1020もしくは1021の組換えポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド分子を含む、宿主細胞。
[本発明1024]
哺乳類細胞、酵母細胞、細菌細胞、繊毛虫細胞、または昆虫細胞である、本発明1023の宿主細胞。
[本発明1025]
(a)細胞において、本発明1001〜1012のいずれかの抗体のVL及びVH鎖をコードする1つ以上のポリヌクレオチド分子を発現させる段階と、
(b)前記細胞から前記抗体を精製する段階と
を含む、抗体の製造方法。
[本発明1026]
血管形成関連状態を治療するのに有効である量の本発明1001〜1017のいずれかの抗体を、対象に投与する段階
を含む、対象の血管形成関連状態の治療方法。
[本発明1027]
前記血管形成関連状態が、癌を含む、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記癌が、固形腫瘍、転移性腫瘍、または非転移性腫瘍である、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頚部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌 脳癌、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、または皮膚癌である、本発明1027の方法。
[本発明1030]
前記抗体が、全身投与される、本発明1026の方法。
[本発明1031]
前記抗体が、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所投与される、本発明1026の方法。
[本発明1032]
前記対象に少なくとも第2の抗癌療法を施す段階をさらに含む、本発明1026の方法。
[本発明1033]
前記第2の抗癌療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、寒冷療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である、本発明1032の方法。
[本発明1034]
前記血管形成関連状態が、眼血管新生、動静脈奇形、冠状動脈再狭窄、末梢血管再狭窄、糸球体腎炎、関節リウマチ、膵炎、腸疾患、虚血性心血管病態、または慢性炎症性疾患である、本発明1026の方法。
[本発明1035]
前記対象が、ヒト対象である、本発明1026の方法。
[本発明1036]
対象の血管形成関連状態を治療するのに使用するための、本発明1001〜1017のいずれかの抗体を含む、組成物。
[本発明1037]
前記血管形成関連状態が、癌を含む、本発明1036の組成物。
[本発明1038]
前記癌が、固形腫瘍、転移性腫瘍、または非転移性腫瘍である、本発明1037の組成物。
[本発明1039]
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頚部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌 脳癌、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、または皮膚癌である、本発明1037の組成物。
[本発明1040]
前記組成物が、全身投与用である、本発明1036の組成物。
[本発明1041]
前記組成物が、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所投与されるように製剤化される、本発明1036の組成物。
[本発明1042]
少なくとも第2の抗癌剤をさらに含む、本発明1036の組成物。
[本発明1043]
前記血管形成関連状態が、眼血管新生、動静脈奇形、冠状動脈再狭窄、末梢血管再狭窄、糸球体腎炎、関節リウマチ、膵炎、腸疾患、虚血性心血管病態、または慢性炎症性疾患である、本発明1036の組成物。
[本発明1044]
前記対象が、ヒト対象である、本発明1036の組成物。
[本発明1045]
血管形成関連状態を治療するための薬剤の製造における、本発明1001〜1017のいずれかの抗体の使用。
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかとなろう。しかしながら、発明を実施するための形態及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正がこの発明を実施するための形態から当業者に明らかであるため、単に図示の目的のためであることを理解するべきである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示的な実施形態の説明
本発明の実施形態は、一部、血管形成調節因子としてのOlfml−3の役割に基づく。本発明の実施形態の態様は、Olfml−3媒介血管形成に関連する疾患もしくは障害を阻止または治療するために使用することができる。Olfml−3の機能は、モノクローナル抗Olfml−3抗体により減少させることができる。ある特定の態様では、本発明の実施形態は、癌などの血管形成関連疾患を治療するための、Olfml−3に特異的なモノクローナル抗体の組成物、及びその送達方法を提供する。本発明のさらなる実施形態及び利点は、以下に説明される。
【0037】
I.Olfml−3
オルファクトメジン様タンパク質3(Olfml−3)は、ヒトにおいて、OLFML3遺伝子によってコードされるタンパク質である。以前に、発明者は、差次的に発現され、血管形成に関連する新規分子を特定するために、t.End.1V
高血管形成及びt.End.1V
低休止細胞系を使用した。特定された血管形成関連遺伝子の中で、マウスOlfml−3遺伝子(オルファクトメジン様3)(同義語:mONT3、HNOEL−イソ、hOLF44)を特定した。
【0038】
一部のオルファクトメジンファミリーメンバーは、それらがティアリン(tiarin)(Tsuda et al.,2002)、pDP4(Rosenbauer et al.,2004)、及びノエリン(noelin)(Moreno and Bronner−Fraser,2005、Barembaum et al.,2000)などの調節的な役割を果たす発達プロセスと関連付けられる。機能獲得試験は、ツメガエル胚において過剰発現される場合、ティアリンに関して示されるように、Olfml−3(mONT3)が背側化作用を呈することを示し(Ikeya et al.,2005)、ツメガエル外胚葉パターン形成におけるその活性を示唆する。近年、ツメガエルONT1が、それがコーディンのB1TP媒介分解の分泌された足場として作用するコーディン/骨形成タンパク質(BMP)系を微調整するための主要分子であることが示された(Harland,2008、Inomata et al.,2008、Sakuragi et al.,2006)。これは、Olfml−3が異なる酵素及び基質の足場として作用することを示唆する(Tomarev and Nakaya,2009)。疾患状態から発達事象までのこれら全てのデータは、オルファクトメジンドメイン含有タンパク質の機能を理解する重要性を強調する。
【0039】
ヒトhOLF44遺伝子は、オルファクトメジン/ノエリン/ティアリンファミリーに属する分泌された糖タンパク質をコードすることが、系統発生分析によって特定された。mONT2(オルファクトメジン様1)及びニワトリcONT1と共に、ヒトOlfml−3遺伝子は、mONT3、rONT3、hONT3、cONT1、mONT2、rONT2、及びhONT2を含む、分泌分子の新規の未特定オルファクトメジン様(ONT)サブファミリー(Ikeya et al.,2005)に属する。この分泌糖タンパク質は、N末端に推定シグナルペプチド、配列の中間にコイルドコイルドメイン、及びC末端にオルファクトメジン様(OLF)ドメインを含む(Zeng et al.,2004)。この分子は、嗅覚神経細胞の周囲の細胞外マトリックス(ECM)の形成に関与し(Snyder et al.,1991、Yokoe and Anholt,1993)、脊椎動物の神経発達において調節的な役割を有する(Barembaum et al.,2000、Tsuda et al.,2002)。
【0040】
高レベルのヒトOlfml−3(hOLF44)mRNA発現が胎盤において見られたが、発現レベルは低いが肝臓及び心臓においても見られた(Zeng et al.,2004)。内因性hOLF44は、ヒト妊娠末期胎盤の胎児側の栄養膜合胞体層細胞の周囲の細胞外空間において見られ、分子が分泌されたことを示唆する(Zeng et al.,2004)。タグ付けされた組換えhOLF44タンパク質は、COS−7細胞の核周辺領域、おそらく小胞体に富化され、古典的な分泌経路を取る可能性がある証拠を提供する(Zeng et al.,2004)。これらの知見は、細胞外マトリックス(ECM)に関連する構成成分としてのヒトOlfml−3の役割がマトリックス関連胎盤及び胚の発達または類似するプロセスに関与する可能性を示唆する(Zeng et al.,2004)。
【0041】
ヒトOlfml−3のラット相同分子種(ラットHNOEL−イソ)遺伝子は、虹彩、強膜、網膜の線維柱帯、及び視覚神経において発現されることが分かった(Ahmed et al.,2004)。ヒトOlfml−3(mONT3)遺伝子のマウス対応物の発現は、胚形成中非常に早くに検出された:最初に、尿膜(alantois)の近位領域、続いて、推定側方中胚葉板、次いで、胎生期E8.5のCNS及び心臓(Ikeya et al.,2005)。mONT−3ノックアウトマウス(雄及び雌)は、生存可能であり、正常かつ繁殖性であることが分かり、mONT3が正常な胚形成に不要であり、他のファミリーメンバーによって補われることを示唆する(Ikeya et al.,2005)。さらに、機能獲得試験は、ツメガエル胚において過剰発現される場合、mONT3が背側化作用を呈することを示し(Ikeya et al.,2005)、胚パターン形成における役割を示唆する。
【0042】
II.治療用抗体
ある特定の実施形態では、Olfml−3タンパク質の少なくとも一部分に結合し、血管形成においてOlfml−3活性を阻害する抗体またはその断片、及び疾患の治療におけるそれらの関連する使用が想定される。本明細書で使用される、用語「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEなどの任意の免疫結合剤、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドを広く指すことが意図される。抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体からなる群から選択され得る。好ましくは、抗Olfml−3抗体はヒト化抗体である。既知の手段により、及び本明細書に記載されるように、Olfml−3タンパク質、そのそれぞれのエピトープのうちの1つ以上、または前述のいずれかの結合体に特異的であるポリクローナルまたはモノクローナル抗体、抗体断片、ならびに結合ドメイン及びCDR(前述のいずれかの操作された形態を含む)は、そのような抗原もしくはエピトープが天然源から単離されるか、または天然化合物の合成誘導体もしくは変異体であるかにかかわらず、作製することができる。
【0043】
一実施形態では、抗体は、キメラ抗体、例えば、異種非ヒト、ヒト、またはヒト化配列(例えば、フレームワーク及び/または定常ドメイン配列)に移植された非ヒトドナーからの抗原結合配列を含む抗体である。一実施形態では、非ヒトドナーはラットである。一実施形態では、抗原結合配列は、合成であり、例えば、変異誘発(例えば、ファージ提示スクリーニング等)によって得られる。一実施形態では、本発明のキメラ抗体は、マウスV領域及びヒトC領域を有する。一実施形態では、マウス軽鎖V領域は、ヒトカッパ軽鎖に融合される。一実施形態では、マウス重鎖V領域は、ヒトIgG1 C領域に融合される。
【0044】
本発明に好適な抗体断片の例としては、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VH及びCH1ドメインからなる「Fd」断片、(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなる「Fv」断片、(iv)VHドメインからなる「dAb」断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの連結されたFab断片を含む二価の断片であるF(ab')2断片、(vii)単鎖Fv分子(「scFv」)、ここで、VHドメイン及びVLドメインは、2つのドメインが会合して結合ドメインを形成することができるペプチドリンカーによって連結される、(viii)2重特異性単鎖Fvダイマー(米国特許第5,091,513号を参照)、及び(ix)遺伝子融合によって構築されたダイアボディ、多価、もしくは多選択性断片(米国特許出願公開第20050214860号)が挙げられるが、これらに限定されない。Fv、scFv、またはダイアボディ分子は、VH及びVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みにより安定化され得る。CH3ドメインに接合されたscFvを含むミニボディも作製することができる(Hu et al.,1996)。
【0045】
抗体様結合ペプチド摸倣物も実施形態に想定される。Liuら(2003)は、縮小された抗体として作用し、長い血清半減期ならびに合成方法があまり面倒でないというある特定の利点を有するペプチドである「抗体様結合ペプチド摸倣物」(ABiP)を説明する。
【0046】
動物は、Olfml−3タンパク質またはペプチドに特異的な抗体を生成するために、Olfml−3タンパク質またはペプチドなどの抗原を接種され得る。頻繁に、抗原は別の分子と結合(bind)または結合(conjugate)され、免疫応答を増強する。本明細書で使用される、結合体は、動物において免疫応答を誘発するために使用される抗原に結合される任意のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または非タンパク質性物質である。抗原接種に応答して動物において生成された抗体は、Bリンパ球を生成する様々な個々の抗体から作製された様々な異なる分子(ポリクローナル抗体)を含む。ポリクローナル抗体は、抗体種の混合集団であり、その各々は、同一抗原上で異なるエピトープを認識することができる。動物においてポリクローナル抗体を生成するための適当な条件を与えると、動物の血清中の抗体の大半は、動物が免疫化された抗原性化合物上に集団エピトープを認識する。この特異性は、関心の抗原またはエピトープを認識するそれらの抗体のみを選択するように、親和性精製によってさらに増強される。
【0047】
モノクローナル抗体は、全ての抗体生成細胞が単一のBリンパ球細胞系に由来するため、全ての抗体分子が同じエピトープを認識する、単一種の抗体である。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は、一般に、ポリクローナル抗体を調製するのと同じ系に沿って始まる。いくつかの実施形態では、マウス及びラットなどのゲッ齒類は、モノクローナル抗体を生成するのに使用される。いくつかの実施形態では、ウサギ、ヒツジ、またはカエル細胞がモノクローナル抗体を生成するのに使用される。ラットの使用は周知であり、ある特定の利点を提供し得る。マウス(例えば、BALB/cマウス)は日常的に使用され、一般に、高率の安定した融合をもたらす。
【0048】
ハイブリドーマ技術は、Olfml−3抗原で以前に免疫化されたマウスの単一Bリンパ球と不死骨髄腫細胞(通常、マウスの骨髄腫)の融合を伴う。この技術は、同じ抗原またはエピトープ特異性を有する無制限量の構造的に同一の抗体(モノクローナル抗体)が生成され得るような、無数の世代に単一抗体生成細胞を伝播するための方法を提供する。
【0049】
モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖定常ドメインをヒト起源の類似ドメインと交換し、外来性抗体の可変領域を無傷のままにしておくための方法が開発された。別の方法としては、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックマウスにおいて、「完全ヒト」モノクローナル抗体が生成される。ゲッ齒類及びヒトアミノ酸配列の両方を有する抗体ドメインを組換えにより構築することにより、モノクローナル抗体の可変ドメインをよりヒト形態に変換するための方法も開発された。「ヒト化」モノクローナル抗体において、超可変CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワーク領域は、ヒトアミノ酸配列に由来する。ゲッ齒類の特性である抗体のアミノ酸配列を、ヒト抗体の対応する位置で見出されるアミノ酸配列と交換することにより、治療的使用中の有害な免疫反応の可能性が減少すると考えられる。抗体を生成するハイブリドーマまたは他の細胞は、ハイブリドーマによって生成された抗体の結合特異性を変更してもしなくてもよい遺伝的変異または他の変化を受けることもできる。
【0050】
本来の抗体の抗原またはエピトープ特異性を保持する他の抗体またはキメラ分子、すなわち、結合ドメインを有する分子を生成するために、モノクローナル及び他の抗体ならびに組換えDNA技術を使用して、操作された抗体を作製することが可能である。そのような技法は、抗体の免疫グロブリン可変領域またはCDRをコードするDNAを、異なる抗体のフレームワーク領域、定常領域、または定常領域とフレームワーク領域の遺伝子材料に導入することを伴い得る。例えば、米国特許第5,091,513号及び同第6,881,557号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照。
【0051】
本明細書に記載される既知の手段により、Olfml−3タンパク質、そのそれぞれのエピトープのうちの1つ以上、または前述のいずれかの結合体に特異的であるポリクローナルまたはモノクローナル抗体、抗体断片、ならびに結合ドメイン及びCDR(前述のいずれかの操作された形態を含む)は、そのような抗原もしくはエピトープが天然源から単離されるか、または天然化合物の合成誘導体もしくは変異体であるかにかかわらず、作製することができる。
【0052】
抗体は、鳥類及び哺乳類を含むあらゆる動物源から生成され得る。好ましくは、抗体は、ヒツジ、マウス(例えば、マウス及びラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。加えて、新しい技術は、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリからのヒト抗体の開発及びそのためのスクリーニングを可能にする。例えば、米国特許第6,946,546号に記載されるように(参照により本明細書に組み込まれる)、バクテリオファージ抗体発現技術により、特定の抗体を動物免疫化の不在下で生成させることができる。これらの技法は、Marks(1992)、Stemmer(1994)、Gramら(1992)、Barbasら(1994)、及びSchierら(1996)にさらに記載されている。
【0053】
様々な動物種においてポリクローナル抗体を生成するための、ならびにヒト化、キメラ、及び完全ヒトを含む様々な種類のモノクローナル抗体を生成するための方法は、当該技術分野において周知であり、十分予想可能である。これらの抗体を生成するための方法も周知であり、予想可能である。例えば、以下の米国特許及び特許出願は、そのような方法の実施可能な説明を提供し、参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願第2004/0126828号及び同第2002/0172677号、ならびに米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,196,265号、同第4,275,149号、同第4,277,437号、同第4,366,241号、同第4,469,797号、同第4,472,509号、同第4,606,855号、同第4,703,003号、同第4,742,159号、同第4,767,720号、同第4,816,567号、同第4,867,973号、同第4,938,948号、同第4,946,778号、同第5,021,236号、同第5,164,296号、同第5,196,066号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,420,253号、同第5,565,332号、同第5,571,698号、同第5,627,052号、同第5,656,434号、同第5,770,376号、同第5,789,208号、同第5,821,337号、同第5,844,091号、同第5,858,657号、同第5,861,155号、同第5,871,907号、同第5,969,108号、同第6,054,297号、同第6,165,464号、第6,365,157号、同第6,406,867号、同第6,709,659号、同第6,709,873号、同第6,753,407号、同第6,814,965号、同第6,849,259号、同第6,861,572号、同第6,875,434号、及び同第6,891,024号。本明細書及びその中に引用される全ての特許、特許出願公開、及び他の刊行物は、本願に参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
動物種、モノクローナル細胞系、または他の抗体の供給源にかかわらず、Olfml−3に対する抗体がOlfml−3の作用を中和または相殺する能力を有することが十分に予想される。ある特定の動物種は、抗体の「Fc」部分を通した補体系の活性によりアレルギー反応を引き起こす可能性が高い場合があるため、治療用抗体を生成するのにあまり好ましくない場合がある。しかしながら、全抗体は、「Fc」(補体結合)断片に、及び結合ドメインまたはCDRを有する抗体断片に酵素により消化され得る。Fc部分の除去は、抗体断片が望ましくない免疫応答を誘発する可能性を減少させ、よって、Fcを含まない抗体は、予防的または治療上の処置に優先的であり得る。上述のように、抗体は、他の種において生成された、または他の種からの配列を有する抗体を動物に投与することによる有害な免疫結果を減少または排除するために、キメラ、部分的、または完全にヒトであるようにも構築され得る。
【0055】
置換型変異体は、典型的には、タンパク質内の1つ以上の部位で1つのアミノ酸を別のアミノ酸と交換することを含み、他の機能または性質の損失を伴って、または伴わずにポリペプチドの1つ以上の性質を調節するように設計され得る。置換は、保存的であってよい、つまり、1つのアミノ酸が類似する形状及び電荷のうちの1つと交換される。保存的置換は、当該技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリン、アルギニンからリジン、アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン、アスパラギン酸塩からグルタミン酸塩、システインからセリン、グルタミンからアスパラギン、グルタミン酸塩からアスパラギン酸塩、グリシンからプロリン、ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン、イソロイシンからロイシンまたはバリン、ロイシンからバリンまたはイソロイシン、リジンからアルギニン、メチオニンからロイシンまたはイソロイシン、フェニルアラニンからチロシン、ロイシン、またはメチオニン、セリンからスレオニン、スレオニンからセリン、トリプトファンからチロシン、チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン、及びバリンからイソロイシンまたはロイシンの変化を含む。別の方法としては、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるような非保存的であってよい。非保存的変化は、典型的には、極性または帯電しているアミノ酸などの化学的に異なるものを有する残基が非極性または無電荷のアミノ酸を置換することを伴い、逆もまた同様である。
【0056】
タンパク質は、組換えであるか、またはインビトロで合成され得る。別の方法としては、非組換えまたは組換えタンパク質は、細菌から単離され得る。そのような変異体を含む細菌が組成物及び方法に導入され得ることも想定される。したがって、タンパク質は単離される必要はない。
【0057】
組成物中、1ml当たり約0.001mg〜約10mgの合計ポリペプチド、ペプチド、及び/またはタンパク質が存在することが想定される。よって、組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約、または最大約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml以上(またはその中で導き出せる任意の範囲)であってよい。この約、少なくとも約、または最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%がOlfml−3に結合する抗体であってよい。
【0058】
抗体または好ましくは抗体の免疫部分は、他のタンパク質を有する融合タンパク質と化学的に結合されるか、またはそれとして発現され得る。本明細書の目的及び添付の請求項に関して、全てのそのような融合タンパク質は、抗体または抗体の免疫部分の定義に含まれる。
【0059】
実施形態は、少なくとも1つの薬剤に連結されて、抗体結合体またはペイロードを形成するOlfml−3、ポリペプチド、及びペプチドに対する抗体及び抗体様分子を提供する。診断剤または治療剤としての抗体分子の有効性を増加させるために、少なくとも1つの所望の分子または部分を連結または共有結合または複合するのが慣習である。そのような分子または部分は、少なくとも1つのエフェクターまたはレポーター分子であってよいが、これらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば、細胞毒性活性を有する分子を含む。抗体に結合されたエフェクター分子の非限定的な例としては、毒素、治療用酵素、抗生物質、放射標識されたヌクレオチドなどが挙げられる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出することができる任意の部分として定義される。抗体に結合されるレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射標識、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子、またはビオチンなどのリガンドが挙げられる。
【0060】
抗体をその結合部分に結合(attachment)または結合(conjugation)するためのいくつかの方法が当該技術分野において既知である。一部の結合方法は、例えば、抗体に結合されるそのようなジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)、エチレントリアミン四酢酸、N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド、及び/またはテトラクロロ−3−6α−ジフェニルグリコリル−3の有機キレート剤を採用する金属キレート錯体の使用を伴う。モノクローナル抗体は、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸などのカップリング剤の存在下で酵素と反応することもできる。フルオレセインマーカーとの結合体は、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応により調製される。
【0061】
III.疾患の治療
本発明の実施形態のある特定の態様は、Olfml−3媒介血管形成に関連する疾患もしくは障害を阻止または治療するために使用することができる。Olfml−3の機能は、血管形成を阻止するための任意の好適な物質によって減少させることができる。そのような例示的な物質は、モノクローナル抗Olfml−3抗体であり得る。
【0062】
「治療」及び「治療する」は、疾患または健康に関連する状態の治療利益を得る目的のために、対象に治療剤を投与もしくは適用する、または対象に手順もしくは物理療法を行うことを指す。例えば、治療は、結腸直腸癌などの腫瘍の成長または浸潤を最小限に抑える目的のために、Olfml−3の機能を阻害する治療有効量の抗体の投与を含み得る。
【0063】
「対象」は、霊長類、哺乳類、及び脊椎動物などのヒトまたは非ヒトのいずれかを指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0064】
本明細書を通して使用される、用語「治療利益」または「治療的に有効」は、この状態の医学的治療に関して対象の健康を促進または増強するあらゆるものを指す。これは、疾患の兆候もしくは症状の頻度または重篤度の減少を含むが、これらに限定されない。例えば、癌の治療は、例えば、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の侵襲性の減少、癌の成長率の減少、または転移の阻止を伴い得る。癌の治療は、癌を有する対象の長期生存も指す場合がある。
【0065】
本発明のある特定の態様は、Olfml−3の増加した発現に関連する任意の状態または疾患を治療するために使用され得る。例えば、疾患は、血管形成関連状態または疾患であり得る。血管形成関連状態または疾患は、不均衡な血管形成プロセスの結果であり、過剰な量の新しい血管を生じさせる。
【0066】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、非病原性である血管形成、すなわち、対象における正常なプロセスから生じる血管形成を阻害するために使用され得る。非病原性血管形成の例としては、子宮内膜血管新生、及び脂肪組織またはコレステロールの生成に関与するプロセスが挙げられる。よって、本発明は、非病原性血管形成を阻害するため、例えば、体重を制御する、もしくは脂肪損失を促進するため、コレステロールレベルを減少させるため、または堕胎薬としての方法を提供する。
【0067】
本発明の方法は、血管形成疾患、すなわち、病原性が、不適切なまたは未制御の血管形成に関連する疾患に関連する血管形成を、阻害することもできる。例えば、最も癌性の固形腫瘍は、腫瘍部位及びその周囲に血管形成を誘発することにより自身で十分な血液供給をもたらす。この腫瘍誘発血管形成は、多くの場合、腫瘍成長に必要であり、転移性細胞が血流に侵入することも可能にする。
【0068】
他の血管形成疾患は、糖尿病性網膜症、年齢関連性黄斑変性症(ARMD)、乾癬、関節リウマチ、及び他の炎症性疾患を含む。これらの疾患は、血管新生の領域に新しく形成された血管による正常な組織の破壊を特徴とする。例えば、ARMDにおいて、脈絡膜が浸潤され、毛管により破壊される。ARMDにおける脈絡膜の血管形成による破壊は、最終的に、部分的または完全な盲目につながる。血管形成関連状態は、眼血管新生、動静脈奇形、冠状動脈再狭窄、末梢血管再狭窄、糸球体腎炎、関節リウマチ、虚血性心血管病態、または慢性炎症性疾患も含む。
【0069】
治療または阻止される例示的な眼の血管形成疾患は、年齢関連性黄斑変性症、眼ヒストプラスマ症、病的近視、及び網膜色素線条症を含むがこれらに限定されない任意の原因による脈絡膜血管新生(CNV)も含む。これは、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、及び早産児の網膜症を含むがこれらに限定されない任意の原因の網膜血管新生にも当てはまる。これは、任意の原因の虹彩血管新生及び角膜血管新生にも当てはまる。
【0070】
血管新生はまた、眼の創傷に関連する血管新生であってもよい。例えば、創傷は、角膜裂傷などの眼球に対する外傷性障害の結果であり得る。あるいは、創傷は、眼科手術の結果であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、網膜硝子体手術後の増殖性硝子体網膜症のリスクを阻止もしくは減少させる、角膜手術(角膜移植及びレーザー手術など)後の角膜混濁を阻止する、線維柱帯切除術の閉塞を阻止する、翼状片(pterygii)の再発を阻止または実質的に遅らせるために適用され得る。
【0071】
血管新生は、対象の眼の上またはその内のいずれかに位置し得る。例えば、血管新生は、角膜血管新生(角膜上皮上または角膜の内皮表面上のいずれかに位置する)、虹彩血管新生、硝子体腔内の血管新生、網膜血管新生、または脈絡膜血管新生であってよい。血管新生はまた、結膜疾患に関連する血管新生であってもよい。
【0072】
Olfml−3に結合する抗体は、癌を治療するために投与され得る。癌は、固形腫瘍、転移性癌、または非転移性癌であり得る。ある特定の実施形態では、癌は、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、十二指腸、小腸、大腸、結腸、直腸、肛門、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、上咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮で生じ得る。
【0073】
癌は、具体的には、以下の組織学的分類のものであり得るが、これらに限定されない:新生物(悪性)、癌、癌(未分化)、巨細胞癌及び紡錘細胞癌、小細胞癌、乳頭癌、扁平上皮細胞癌、リンパ上皮癌、基底細胞癌、毛母癌(pilomatrix carcinoma)、移行上皮癌、乳頭状移行細胞癌、腺癌、ガストリノーマ(悪性)、胆管細胞癌、肝細胞癌、肝細胞癌及び胆管細胞癌の複合、線維柱帯腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫性ポリープにおける腺癌、腺癌(家族性ポリポーシス)、固形癌、カルチノイド腫瘍(悪性)、細気管支肺胞腺癌、乳頭状腺癌、嫌色素性癌、好酸性癌、好酸性腺癌、塩基好性癌、明細胞腺癌、顆粒細胞癌、濾胞性腺癌、乳頭状及び濾胞性腺癌、非被包性硬化性癌、副腎皮質細胞癌、類内膜癌、皮膚付属器癌、アポクリン腺癌、皮脂性腺癌、耳垢腺癌、粘表皮癌、嚢胞腺癌、乳頭状嚢腺癌、乳頭状漿液嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、粘液性腺癌、印環細胞癌、浸潤性乳管癌、髄様癌、小葉癌、炎症性癌、パジェット病(乳腺)、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮化生を伴う腺癌、胸腺腫(悪性)、卵巣間質腫(悪性)、莢膜細胞腫(悪性)、顆粒膜細胞腫(悪性)、細胞腫(悪性)、セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫(悪性)、脂質細胞腫(悪性)、傍神経節腫(悪性)、乳房外傍神経節腫(悪性)、褐色細胞腫、血管球血管肉腫、悪性黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、表在拡大型黒色腫、巨大色素性母斑における悪性黒色腫、類上皮細胞黒色腫、青色母斑(悪性)、肉腫、線維肉腫、線維性組織球腫(悪性)、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胎児性横紋筋肉腫、胞巣状横紋筋肉腫、間質性肉腫、混合腫瘍(悪性)、ミュラー管混合腫瘍、腎芽腫、肝芽腫、癌肉腫、間葉腫(悪性)、ブレンナー腫瘍(悪性)、葉状腫瘍(悪性)、滑膜肉腫、中皮腫(悪性)、未分化胚細胞腫、胚性癌、奇形腫(悪性)、卵巣甲状腺腫(悪性)、絨毛癌、中腎腫(悪性)、血管肉腫、血管内皮腫(悪性)、カポジ肉腫、血管外皮腫(悪性)、リンパ管肉腫、骨肉腫、傍骨性骨肉腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫(悪性)、間葉性軟骨肉腫、骨の巨細胞腫、ユーイング肉腫、歯原性腫瘍(悪性)、エナメル芽細胞歯牙肉腫、エナメル上皮腫(悪性)、エナメル芽細胞線維肉腫、松果体腫(悪性)、脊索腫、膠腫(悪性)、上衣腫、星状細胞腫、原形質性星状細胞腫、線維性星状細胞腫、星状芽細胞腫、膠芽腫、乏突起神経膠腫、乏突起膠芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳肉腫、神経節芽細胞腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、嗅神経腫瘍、髄膜腫(悪性)、神経線維肉腫、神経鞘腫(悪性)、顆粒細胞腫(悪性)、悪性リンパ腫、ホジキン病、ホジキン、側肉芽腫(hodgkin's;paragranuloma)、悪性リンパ腫(小リンパ球性)、悪性リンパ腫(大細胞型、拡散)、悪性リンパ腫(濾胞性)、菌状息肉症、他の特定の非ホジキンリンパ腫、悪性組織球増殖症、多発性骨髄腫、マスト細胞肉腫、免疫増殖性小腸疾患、白血病、リンパ性白血病、形質細胞性白血病、赤白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、骨髄性白血病、好塩基球性白血病、好酸球性白血病、単球性白血病、マスト細胞白血病、巨核芽球性白血病、骨髄肉腫、ならびに有毛細胞白血病。
【0074】
IV.薬学的調製物
モノクローナル抗体を含む組成物の臨床適用が実施される場合、意図される適用に適切な薬学的組成物を調製することが一般的に有益である。これは、典型的には、発熱物質、ならびにヒトまたは動物に有害であり得る任意の他の不純物を本質的に含まない薬学的組成物を調製することを伴う。錯体に安定性を付与し、標的細胞が取り込むことができる適切な緩衝剤を採用することもできる。
【0075】
句「薬学的または薬理学的に許容される」は、必要に応じて、ヒトなどの動物に投与される場合、有害、アレルギー、または他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。阻害性核酸または追加の活性成分を含む薬学的組成物の調製は、Remington(2005)により例示されるように(参照により本明細書に組み込まれる)、本開示を考慮すれば、当業者には既知である。さらに、動物(例えば、ヒト)投与に関して、FDA生物学的基準室(Office of Biological Standards)によって要求される無菌性、発熱性、安全性全般、及び純度の基準を満たすべきであることを理解する。
【0076】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される担体」は、当業者に既知であろう任意の及び全ての溶媒、分散培地、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、風味剤、染料、そのような同様の材料、及びこれらの組み合わせを含む。薬学的に許容される担体は、特に、ヒトに投与するために製剤化されるが、ある特定の実施形態では、非ヒト動物に投与するために製剤化されるが、ヒトへの投与には認められないであろう(例えば、政府の規制により)薬学的に許容される担体を使用することが望ましい場合がある。任意の従来の担体が活性成分と不適合である限りを除き、治療用または薬学的組成物におけるその使用が想定される。
【0077】
患者または対象に投与される本発明の組成物の実際の投薬量は、体重、状態の重篤度、治療される疾患の種類、以前のまたは同時治療介入、患者の特発性疾患、及び投与経路などの物理的及び生理学的要因により決定され得る。投与を担当する実施者が、いかなる場合においても、組成物中の活性成分(複数可)の濃度、及び個々の対象に適切な用量(複数可)を決定する。
【0078】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含み得る。他の実施形態では、活性化合物は、単位の重量の約2%〜約75%、または例えば、約25%〜約60%、及びその中で導き出せる任意の範囲を含み得る。他の非限定的な例において、用量は、投与当たり約1〜約1000mg/kg/体重(このそのような範囲は間の用量を含む)以上、及びその中で導き出せる任意の範囲も含み得る。本明細書に列記される数字から導き出せる範囲の非限定的な例において、約5μg/kg/体重〜約100mg/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重〜約500ミリグラム/kg/体重等の範囲が投与され得る。各用量は、1、10、50、100、200、500、1000以上のμlもしくはml、または前述の間にある任意の数字の体積であってよい。
【0079】
治療用組成物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液もグリセロール、液体ポリエチレングリコール、これらの混合物中、及び油中で調製され得る。一般的な貯蔵及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を阻止するために防腐剤を含む。
【0080】
本発明の治療用組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能な組成物の形態で有利に投与され、注射前の液体中の溶液または懸濁液に適した固形形態も調製され得る。これらの調製物は乳化することもできる。そのような目的のための典型的な組成物は、薬学的に許容される担体を含む。例えば、組成物は、リン酸緩衝生理食塩水の1ミリリットル当たり10mg、25mg、50mgまたは最大約100mgのヒト血清アルブミンを含み得る。他の薬学的に許容される担体は、水溶液、非毒性賦形剤を含み、塩、防腐剤、緩衝液などを含む。
【0081】
非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体は、水、アルコール/水溶液、生理食塩水溶液、塩化ナトリウムなどの非経口ビヒクル、リンゲルデキストロース等を含む。静脈内ビヒクルは、流体及び栄養補充物を含む。防腐剤は、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスを含む。様々な構成成分薬学的組成物(the various components the pharmaceutical composition)のpH及び正確な濃度は、周知のパラメータにより調節される。
【0082】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、哺乳類の眼に適用するのに適している。例えば、製剤は、溶液、懸濁液、またはゲルであってよい。いくつかの実施形態では、組成物は、硝子体内インプラントなどの生分解性インプラント、または結膜の表面に対して設置するために設計された眼球インサートなどの眼球インサートを介して投与される。いくつかの実施形態では、治療剤は、医療用装置または埋込型装置をコーティングする。
【0083】
好ましい態様では、本発明の製剤は、液滴の形態の水溶液で眼に適用される。これらの液滴は、単回投与アンプルから送達することができ、これは、好ましくは、無菌であってよく、よって、製剤の静菌性構成成分が不要である。別の方法としては、液滴は、多回投与ボトルから送達することができ、これは、好ましくは、送達されるときに製剤から防腐剤を抽出する装置を備えてよく、そのような装置は当該技術分野において既知である。
【0084】
他の態様では、本発明の構成成分は、瞼の下に設置される溶解性インサートを形成する濃縮されたゲルまたは類似するビヒクルとして眼に送達され得る。
【0085】
さらなる製剤は、経口投与に適している。経口製剤は、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど、そのような典型的な賦形剤を含む。組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続放出性製剤、または粉末の形態を取る。
【0086】
本発明の治療用組成物は、古典的な薬学的調製物を含み得る。本発明による治療用組成物の投与は、標的組織がその経路を介して得られる限り、任意の一般的な経路を介する。これは、経口、鼻、頬側、直腸、膣、または局所を含む。局所投与は、化学療法誘発脱毛症または他の皮膚過剰増殖障害を阻止するための皮膚癌の治療に特に有利であり得る。別の方法としては、投与は、同所、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射であってよい。そのような組成物は、通常、生理学的に許容される担体、緩衝液、または他の賦形剤を含む薬学的に許容される組成物として投与されるだろう。肺または気道の状態の治療用に、エアロゾル送達が使用され得る。エアロゾルの体積は、約0.01ml〜0.5mlである。
【0087】
治療用組成物の有効量は、意図される目標に基づき決定される。例えば、当業者は、対象の大きさ及び体重、血管新生または疾患浸透の程度、対象の年齢、健康状態、及び性別、投与経路、ならびに投与が局所または全身であるかなどの要因を考慮することにより、所与の対象に投与される本発明の抗体の有効量を容易に決定することができる。用語「単位用量」または「投薬量」は、対象に使用するのに適している物理的に別個の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち、適切な経路及び治療レジメンに関連して上記に論じられる所望の応答をもたらすように計算された既定の量の治療用組成物を含む。治療及び単位用量の数の両方による、投与される量は、所望の保護または作用による。
【0088】
治療用組成物の正確な量は、実施者の判断にもより、特に各個人による。用量に影響を及ぼす要因は、患者の身体的及び臨床状態、投与経路、治療の意図される目標(例えば、症状の軽減対治癒)、及び特定の治療物質の効力、安定性、及び毒性を含む。
【0089】
V.組み合わせ治療
ある特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、第2のまたは追加の療法と併用して、血管形成におけるOlfml−3の活性を阻害するために、それに対する抗体または抗体断片を伴う。そのような療法は、Olfml−3の増加した発現または活性に関連する任意の疾患の治療に適用することができる。例えば、疾患は、血管形成関連疾患であり得る。
【0090】
組み合わせ療法を含む方法及び組成物は、治療もしくは保護作用を増強し、かつ/または別の抗血管形成、抗癌、もしくは抗過剰増殖療法の治療作用を増加させる。治療的及び予防的方法ならびに組成物は、癌細胞の死滅及び/または細胞過剰増殖の阻害などの所望の作用を達成するのに有効な併用量で提供され得る。このプロセスは、細胞を抗体及び第2の療法の両方と接触させることを伴い得る。組織、腫瘍、または細胞は、薬剤(すなわち、抗体または抗癌剤)のうちの1つ以上を含む1つ以上の組成物または薬理学的製剤と、または組織、腫瘍、及び/もしくは細胞を2つ以上の別個の組成物または製剤と接触させることにより接触され得、1つの組成物は、1)阻害抗体、2)抗癌剤、または3)阻害抗体及び抗癌剤の両方を提供する。また、そのような併用療法は、化学療法、放射線療法、外科療法、または免疫療法と併用して使用され得ることが想定される。
【0091】
用語「接触される」及び「曝露される」は、細胞に適用される場合、本明細書において、治療用抗体及び化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達される、または標的細胞と直接並んで置かれるプロセスを説明するために使用される。細胞死滅を達成するために、例えば、両薬剤は、細胞を死滅させるのに、または細胞が分裂するのを阻止するのに有効な併用量で細胞に送達される。
【0092】
阻害抗体は、抗癌治療前、治療中、治療後、または治療に対して様々な組み合わせで投与され得る。投与は、同時、数分、数日から数週間の範囲の間隔であってよい。遺伝子発現の阻害が抗癌剤とは別に患者に提供される実施形態では、大幅な時間期間が、2つの化合物が患者に対して有利に併用作用をもたらすことができるように、各送達時の間で消滅しないことを一般的に確実にする。そのような場合において、互いに約12〜24または72時間以内、より具体的には、互いに約6〜12時間以内に抗体及び抗癌療法が患者に提供され得ることが想定される。いくつかの場合では、それぞれの投与間で数日(2、3、4、5、6、または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する、治療の時間期間を大幅に延長することが望ましい場合がある。
【0093】
ある特定の実施形態では、治療過程は、1〜90日以上続く(このそのような範囲は介在する日を含む)。1つの薬剤が1日目から90日目のいずれかの日に(このそのような範囲は介在する日を含む)またはこれらのいずれかの組み合わせで与えられ、別の薬剤が1日目から90日目のいずれかの日に(このそのような範囲は介在する日を含む)またはこれらのいずれかの組み合わせで与えられることが想定される。1日以内(24時間の間)に、1つまたは複数の薬剤の投与が患者に与えられ得る。さらに、治療過程後、抗癌治療が施されない時間期間があることが想定される。この時間期間は、患者の予後、体力、健康状態などの患者の状態により、1〜7日、及び/または1〜5週間、及び/または1〜12ヶ月以上(このそのような範囲は介在する日を含む)続く場合がある。治療周期は、必要に応じて繰り返されるだろうことが予想される。
【0094】
様々な組み合わせが採用され得る。以下の例において、阻害抗体療法は「A」であり、抗癌療法は「B」である。
【0095】
本発明の任意の化合物または療法の患者への投与は、存在する場合、薬剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与についての一般的なプロトコルに従う。したがって、いくつかの実施形態では、組み合わせ療法に起因する毒性を監視するステップが存在する。
【0096】
特定の態様では、標準的な療法は、抗血管形成療法、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科療法、または遺伝子療法を含み、本明細書に記載される、阻害抗体、抗癌療法、または阻害抗体と抗癌療法の両方との組み合わせで採用され得ることが想定される。
【0097】
A.抗血管形成療法
当業者は、追加の抗血管形成療法が本発明の方法と組み合わせて、または併用して使用され得ることを理解する。例えば、追加の抗血管形成療法は、VEGF及び/またはFGFシグナル伝達経路を拮抗し得る。よって、いくつかの場合では、及び追加の療法は、VEGF、VEGF受容体、FGF、またはFGF受容体に結合する抗体の投与を含み得る。ある特定の態様では、本発明の方法及び組成物は、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、MACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム)、または抗炎症薬と併用して使用され得る。よって、ある特定の場合では、薬学的に許容される担体中に抗Olfml−3組成物及びベバシズマブまたはペガプタニブナトリウムを含む治療用組成物が提供される。
【0098】
またさらなる態様では、血管形成を調節する遺伝子は、本発明の方法と併用して送達され得る。例えば、いくつかの態様では、血管形成を調節する遺伝子は、メタロプロテイナーゼ、エンドスタチン、アンギオスタチン、エンドスタチンXVIII、エンドスタチンXV、クリングル1〜5、PEX、マトリックスメタロプロテアーゼ−2のC末端ヘモペキシンドメイン、ヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメイン、エンドスタチン及びアンギオスタチンの融合タンパク質、ヒトプラスミノーゲンのエンドスタチン及びクリングル5ドメインの融合タンパク質、インターフェロン−γによるモノカイン誘発(Mig)(monokine−induced by interferon−gamma)、インターフェロン−α誘発タンパク質10(IP10)、Mig及びIP10の融合タンパク質、可溶性FLT−1(フィン様チロシンキナーゼ1受容体)、及びキナーゼインサートドメイン受容体(KDR)遺伝子の組織阻害剤であってよい。ある特定の態様では、そのような血管形成調節遺伝子は、米国特許第7,122,181号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターにおいて送達され得る。
【0099】
B.化学療法
本発明によると、多種多様の化学療法剤が使用され得る。用語「化学療法」は、癌を治療するための薬剤の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の治療において投与される化合物または組成物を意味するように使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内のそれらの活性様態、例えば、それらが細胞周期に影響を及ぼすか、及びそれらがどの段階で細胞周期に影響を及ぼすかにより分類される。別の方法としては、薬剤は、DNAを直接架橋する、DNA内に介入する、または核酸合成に影響を及ぼすことにより、染色体及び有糸分裂異常を誘発するその能力に基づき特徴付けされ得る。大半の化学療法剤は、以下の分類に入る:アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、及びニトロソ尿素。
【0100】
化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロスホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)、などのアジリジン類;アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチルアメラミン類;アセトゲニン類(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン類(cryptophycins)(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(その合成類似体であるKW−2189及びCB1−TM1を含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素類;抗生物質、例えば、エネジイン(enediyne)抗生物質(例えばカリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1;ダイネマイシン(dynemicin)、ダイネマイシンAを含む;クロドロネートなどのビスホスホネート類;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authrarnycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン類(mitomycins)(マイトマイシンCなど)、マイコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン類(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬(anti−adrenals);フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン(elformithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサミトシン(ansamitocins)などのマイタンシノイド類;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン(triaziquone);2,2',2''−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(trichothecenes)、(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール(mitobronitol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(arabinoside)(「Ara−C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどのプラチナ配位錯体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ(xeloda);イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス型プラチナ(transplatinum)、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0101】
抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)などの腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤もこの定義に含まれ、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、及びトレミフェン;副腎においてエストロゲン生成を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、メゲストロールアセテート、エキセメスタン、フォルメスタニ(formestanie)、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、及びアナストロゾール;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、接着細胞増殖に関連するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−α、Ralf及びH−Ras;VEGF発現阻害剤及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子療法ワクチンなどのワクチン、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。
【0102】
C.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広範に使用されてきた他の要因は、γ線、X線、及び/または放射性同位体の腫瘍細胞への指向送達として一般的に知られるものを含む。マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号及び同第4,870,287号)、及びUV照射などのDNA損傷要因の他の形態も想定される。これらの要因の全てがDNA、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、ならびに染色体の組み立て及び維持に対する広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が高い。X線の線量範囲は、長期間(3〜4週間)に関して、50〜200レントゲンの日用量から2000〜6000レントゲンの単回線量の範囲である。放射性同位体の線量範囲は広く変動し、同位体の半減期、放射された放射線の強度及び種類、ならびに腫瘍細胞による取り込みによる。
【0103】
用語「接触される」及び「曝露される」は、細胞に適用される場合、本明細書において、治療用構築物及び化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達される、または標的細胞と直接並んで設置されるプロセスを説明するために使用される。細胞死滅を達成するために、例えば、両薬剤は、細胞を死滅させる、または細胞が分裂するのを阻止するのに有効な併用量で細胞に送達される。
【0104】
D.免疫療法
癌治療の文脈において、免疫療法は、一般に、癌細胞を標的とし、破壊するために、免疫エフェクター細胞及び分子の使用に依存する。トラスツズマブ(ハーセプチン(商標))は、そのような例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のあるマーカーに対して抗体特異的であってよい。抗体単独では、療法のエフェクターとして機能するか、または抗体は、細胞死滅に実際に影響を及ぼす他の細胞を動員し得る。抗体は、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素等)に結合されてもよく、単に標的剤として機能する。別の方法としては、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のいずれかで相互作用する表面分子を保有するリンパ球であってよい。様々なエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞及びNK細胞を含む。治療法の組み合わせ、すなわち、直接細胞毒性活性及びErbB2の阻害または減少は、ErbB2過剰発現癌の治療に治療上の利益をもたらすだろう。
【0105】
別の免疫療法は、上に論じられる遺伝子サイレンシング療法との併用療法の一部として使用することもできる。免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的の影響を受けやすい、すなわち、大部分の他の細胞に存在しないあるマーカーを保有しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれかが本発明の文脈における標的に好適であり得る。一般的な腫瘍マーカーは、癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb B及びp155を含む。免疫療法の別の態様は、抗癌作用と免疫刺激作用とを組み合わせることである。IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、及びγ−IFNなどのサイトカイン、MIP−1、MCP−1、及びIL−8などのケモカイン、ならびにFLT3リガンドなどの成長因子を含む免疫刺激分子も存在する。タンパク質として、または腫瘍抑制因子と組み合わせた遺伝子送達を使用するいずれかで免疫刺激分子を組み合わせることにより、抗腫瘍作用を増強することが示された(Ju et al.,2000)。さらに、これらの化合物のいずれかに対する抗体は、本明細書に論じられる抗癌剤を標的とするために使用することができる。
【0106】
現在検証されている、または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、ウシ結核菌、熱帯熱マラリア原虫、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(米国特許第5,801,005号及び同第5,739,169号、Hui and Hashimoto,1998、Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、及びγ;IL−1、GM−CSF、及びTNF(Bukowski et al.,1998、Davidson et al.,1998、Hellstrand et al.,1998)遺伝子療法、例えば、TNF、IL−1、IL−2、p53(Qin et al.,1998、Austin−Ward and Villaseca,1998、米国特許第5,830,880号、同第5,846,945号)、及びモノクローナル抗体、例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER−2、抗p185(Pietras et al.,1998、Hanibuchi et al.,1998、米国特許第5,824,311号)である。1つ以上の抗癌療法が本明細書に記載される遺伝子サイレンシング療法と共に採用され得ることが想定される。
【0107】
活性物質免疫療法では、一般に、異なる細菌性アジュバントと共に、抗原性ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質、または自家性もしくは同種間腫瘍細胞組成物または「ワクチン」が投与される(Ravindranath and Morton,1991、Morton et al.,1992、Mitchell et al.,1990、Mitchell et al.,1993)。
【0108】
養子免疫療法では、患者の循環リンパ球、または腫瘍浸潤リンパ球がインビトロで単離される、IL−2などのリンホカインにより活性化される、または腫瘍壊死のために遺伝子を形質導入され、再投与される(Rosenberg et al.,1988;1989)。
【0109】
E.外科手術
癌を有する約60%の個人は、ある種の手術を受け、これには、予防、診断、または段階判定、治癒、及び緩和手術が含まれる。治癒手術は、本発明の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/または代替療法などの他の療法と併用して使用され得る癌治療である。
【0110】
治癒手術は、癌性組織の全てまたは一部が物理的に除去される、切り取られる、及び/または破壊される切除を含む。腫瘍切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡的に制御された手術(モース手術)を含む。本発明のある特定の態様は、表在性癌、前癌、または偶発量の正常組織の除去と共に使用され得ることがさらに想定される。
【0111】
癌性細胞、組織、または腫瘍の一部または全てを切り取るときに、身体に空洞が形成される場合がある。治療は、追加の抗癌療法と共に、領域の灌流、直接注射、または局所適用により達成することができる。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日毎、または1、2、3、4、及び5週間毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月毎に繰り返すことができる。これらの治療は、様々な投薬量のものであってもよい。
【0112】
F.他の薬剤
他の薬剤が治療の治療有効性を改善するために本発明のある特定の態様と組み合わせて使用され得ることが想定される。これらの追加の薬剤は、免疫調節剤、細胞表面受容体及びGAP接合部の下方調節に影響を及ぼす薬剤、細胞分裂阻害剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘発物質に対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる薬剤、または他の生物学的薬剤を含む。免疫調節剤は、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、β、及びγ、IL−2及び他のサイトカイン、F42K及び他のサイトカイン類似体、またはMIP−1、MIP−1β、MCP−1、RANTES、及び他のケモカインを含む。細胞表面受容体またはFas/Fasリガンド、DR4またはDR5/TRAIL(Apo−2リガンド)などのそれらのリガンドの上方調節は、過剰増殖細胞に対する自己分泌またはパラ分泌作用の確立により本発明のアポトーシス誘発能力を増強させるだろうことがさらに想定される。GAP接合部の数の上昇による細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖作用を増加させるだろう。他の実施形態では、細胞分裂阻害剤及び分化剤は、治療の抗過剰増殖の有効性を改善するために、本発明のある特定の態様と組み合わせて使用され得る。細胞接着の阻害剤は、本発明の有効性を改善することが想定される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。治療有効性を改善するために、抗体c225などのアポトーシスに対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる他の薬剤が本発明のある特定の態様と組み合わせて使用され得ることがさらに想定される。
【0113】
ホルモン療法も、本発明のある特定の態様と併用して、または前述の任意の他の癌療法と組み合わせて使用することができる。ホルモンの使用は、テストステロンまたはエストロゲンなどのある特定のホルモンのレベルを低下させる、またはその作用を阻害するために、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、または子宮頸癌などのある特定の癌の治療において採用され得る。この治療は、多くの場合、治療選択肢として、または転移のリスクを減少させるために、少なくとも1つの他の癌療法と組み合わせて使用される。
【0114】
VI.キット及び診断
本発明の様々な態様では、治療剤ならびに/または他の治療剤及び送達剤を含むキットが想定される。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の療法を調製する、及び/または投与するためのキットを想定する。キットは、本発明の薬学的組成物のいずれかを含む1つ以上の封止されたバイアルを含み得る。キットは、例えば、少なくとも1つのOlfml−3抗体、ならびに本発明の構成成分を調製、製剤化、及び/もしくは投与するための、または本発明の方法の1つ以上のステップを行うための試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、またはチューブなど、キットの構成成分と反応しない容器である、好適な容器手段も含み得る。容器は、プラスチックまたはガラスなどの減菌可能な材料で作製され得る。
【0115】
キットは、本明細書に記載される方法の手順ステップを概説する取扱説明書をさらに含み得、本明細書に記載される同様の手順に実質的に従うか、または当業者に既知である。取扱情報は、コンピュータを使用して実行される場合、薬学的有効量の治療剤を送達する実際のまたは仮想の手順を表示する機械可読取扱説明書を含むコンピュータ可読媒体であってよい。
【実施例】
【0116】
VII.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。実施例に開示される技法は、本発明の実践においてよく機能するよう本発明者によって発見された示される技法に従い、よって、その実践のための好ましい様態を構成すると考えられ得ることを当業者は理解するべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮すれば、開示される特定の実施形態において、多くの変更を行うことができ、尚も本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様のまたは類似する結果を得ることができることを理解するべきである。
【0117】
実施例1−モノクローナル抗体の生成
発明者は、組換えOlfml−3タンパク質に対する一連のモノクローナル抗体を生成した。ヒトOlfml3に対する3つの抗体は、標準的な技法を使用して、コイルドコイルにエピトープ
及び免疫原としてオルファクトメジン様ドメイン
を含む2つの14アミノ酸長のペプチドをラットに同時に注射することにより生成された(Aurrand−Lions et al.,1996)。簡潔に、雌のウィスターラットを免疫化するために、100μgのKLH担体タンパク質(キーホールリンペットヘモシアニン、Pierce)に結合され、アジュバントS6322(Sigma)と混合されたヒトOlfml3ペプチドA及びBが使用された。合計で3回の注射が9日毎に行われた。ヒトOlfml3ペプチドの最終皮下注射2日後、流入領域リンパ節からの芽細胞をSp2/0細胞に融合し、HAT含有培地(Life Technologies)においてハイブリドーマが選択された。ヒトOlfml3−FLAGを特異的に認識するモノクローナル抗体を生成するために、ELISAにより成長クローンがスクリーニングされた。陽性クローンをサブクローン化し、再スクリーニングし、さらに試験した。製造者の指示に従い、タンパク質Gセファロースカラム(GE HealthCare)で抗体を精製した。Olfml3結合抗体46A9BO及び9F8BOの2つが、IgG2bアイソタイプサブクラスのものであり、Z14A7の1つが、IgG2cアイソタイプサブクラスのものである。46A9BO及び9F8BOモノクローナル抗体は、インビボ腫瘍グラフトモデルに使用された。
【0118】
抗体46A9BO、9F8BO、及びZ14A7のVH及びVL鎖は、配列決定され、相補性決定領域(CDR)が決定された。総RNAは、ハイブリドーマ細胞ペレットから抽出され、cDNAは、オリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写によりRNAから作製された。モノクローナル抗体DNAのVH及びVL領域の両方を増幅するために、可変ドメインプライマーを使用してPCR反応が行われた。生成物を抽出し、ゲル精製し、次いで、Invitrogen配列決定ベクターpCR2.1中にクローン化し、陽性形質転換体用にTOP10に形質転換した。選択したコロニーを採取し、各抗体のコンセンサス配列が生成された配列決定により分析した(表1)。CDRは、IMGT番付システムにより決定された(Lefranc et al.,1999)。
【0119】
抗体46A9BOは、配列番号7、8、及び9に対応するVH CDR配列、ならびに配列番号10、11、及び12に対応するVL CDR配列を含む。抗体9F8BOは、配列番号21、22、及び23に対応するVH CDR配列、ならびに配列番号24、25、及び26に対応するVL CDR配列を含む。抗体Z14A7は、配列番号13、14、及び15に対応するVH CDR配列、ならびに配列番号16、5、及び6に対応するVL CDR配列を含む。
【0120】
46A9BO抗体のさらなる研究は、抗原認識が抗体のグリコシル化とはほとんど無関係であることを示した。ELISA研究は、抗体が脱グリコシル化されたか否かにかかわらず、組換え可溶性Olfml−3タンパク質が用量依存様式で46A9BO抗体に結合されたことを示したが(
図5を参照)、グリコシル化抗体がより効率的に抗原に結合した。グリコシル化及び脱グリコシル化46A9BOのOlfml−3ペプチドB配列への結合を試験したとき(ペプチドA配列への結合は両場合において観察されなかった)、同じ結果が達成された。
【0121】
実施例2−抗Olfml−3モノクローナル抗体46A9BO及び9F8BOはインビトロで腫瘍成長を減少させる
8〜10週齢の雌のC56BL6/Jマウスに、0.5×10
6のマウスルイス肺癌細胞(LLC1;European Collection of Cell Cultures,Salisbury,United Kingdomから得た)を皮下(s.c.)接種した。次いで、マウスに、以下のように抗体を腹腔内に注射した:1日目に50μg、5日目に50μg、及び8日目に50μgのモノクローナル抗体46A9BO、モノクローナル抗体9F8BO、またはアイソタイプ一致対照ラットIgG2B抗体。9日目に腫瘍を切り取り、分析した。腫瘍重量を測定した。
【0122】
腫瘍重量は、アイソタイプ一致対照抗体と比較して、46A9BOまたは9F8BOの抗Olfml−3抗体のいずれかで処置されたマウスにおいて有意に減少した(
図1)。LLC1腫瘍はOlfml−3を発現しないため、腫瘍成長における減少は、腫瘍血管形成に対する抗Olfml−3抗体の作用によった。
【0123】
治療及び用量作用を試験するために、さらなる研究が46A9抗体のインビボ腫瘍成長阻害活性を評価するために行われた。再度、マウスにLLC1細胞を皮下接種した。次いで、接種されたマウスは、接種5、7、及び9日後に、対照ラットIgG、または30、150、もしくは750μgの46A9で処置された。11日目に動物を屠殺した。腫瘍量は、研究の全過程にわたって測定された。結果は
図2のグラフに示され、これは、46A9抗体の全ての試験された用量が腫瘍量において統計的に有意な減少を達成したことを示す。
【0124】
11日目にマウスを屠殺した後、組織試料は、採取され、任意の毒性の可能性を評価するために組織学的分析を受けた。マウスからの肺、心臓、肝臓、及び腎臓の組織試料の詳細な分析は、最大試験投薬量である750μgの46A9においてさえも毒性の兆候を明らかにしなかった。したがって、抗Olfml−3療法は、試験された条件下で、本質的に非毒性であるように思われる。
【0125】
さらなるマウス研究が、9F8(mAb 1)及び46A9(mAb 2)モノクローナル抗体の抗腫瘍活性の可能性を評価するために行われた。本質的には、上に詳述されるように、研究を完了した。簡潔に、マウスにLLC1細胞を皮下接種し、続いて、接種5、7、及び9日後に対照ラットIgG、9F8、または46A9抗体(マウス当たり150μgの用量)を注射した。11日目に動物を屠殺した。研究の全過程にわたって腫瘍量を測定し、結果をグラフにした。
図3のグラフに示されるように、研究は、9F8及び46A9抗体の両方が対照抗体処置に対して腫瘍成長を有意に阻害することができたことを示す。
【0126】
腫瘍血管新生に対する9F8及び46A9抗体の作用を評価するために、さらなる研究を完了した。これらの研究に関して、9F8、46A9、または対照抗体に曝露された腫瘍から組織切片を採取した。血管新生のマーカーとしてのPECAM−1を検出するために、組織切片を標識した。PECAM陽性組織面積の比率は定量化され、結果は
図4Aのグラフに示される。同様に、腫瘍組織切片をDAPIで染色し、処置された腫瘍組織における周皮細胞被覆を決定するために、免疫蛍光により標識して、PECAM−1及びα−SMAを検出した。組織におけるα−SMA
+面積及びα−SMA
+周皮細胞被覆の比率をグラフにし、
図4Bに示す。よって、これらの研究は、両方の研究された抗Olfml−3抗体がPECAM−1発現及び周皮細胞被覆により測定される腫瘍組織血管新生を有意に減少させることができたことを示す。
【0127】
(表1)抗体配列
【0128】
実施例3−46A9BO抗Olfml−3モノクローナル抗体を用いた毒性研究
抗Olfml−3モノクローナル抗体の毒性の可能性を評価するために、マウスに高用量(750μg)の46A9BOまたは対照として総ラットIgGを注射した。処置後、マウスは屠殺され、病理学分析を受けた。染色された臓器組織切片は、なんらかの毒性の兆候を検出するために、顕微鏡検査を受けた。46A9BO処置動物と対照との間で肺、肝臓、心臓、または腎臓組織切片を比較した際、組織構造において相違は見られなかった。よって、高投薬量で投与されたときでさえも、抗Olfml−3モノクローナル抗体は、マウスモデル系において検出可能な毒性を示さなかった。
【0129】
実施例4−9F8BO及び46A9BO抗Olfml−3モノクローナル抗体を用いたヒト組織染色
ヒト組織の免疫蛍光(IF)染色に関する抗Olfml−3モノクローナル抗体の有効性がさらに研究された。凍結されたヒト組織切片は、抗Olfml−3モノクローナル抗体及びVE−カドヘリンに対する抗体を使用して、別個に、または組み合わせて可視化された。例えば、正常な乳房組織対転移性乳管癌(試料H14003743)のIF研究は、腫瘍組織において有意に増強された9F8標識を示し、これはVE発現と大幅に重複した。同様に、正常組織対子宮、上皮、及び平滑筋癌肉腫腫瘍(試料H14003537)のIF研究は、腫瘍組織において有意に増強された9F8標識を示し、再度、VE発現と大幅に重複した。46A9抗体を用いたさらなるIF研究は、ヒト結腸腺癌切片(試料H14002691)対正常組織において、有意に増加した46A9染色も示した。これらの組織における46A9は、VEカドヘリン染色と大幅に重複した。
【0130】
本明細書において開示され、主張される方法の全ては、本開示を考慮すれば、過度に実験を行うことなく作製され、実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されてきたが、変形が、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法、及び方法のステップまたはステップの順序に適用され得ることは、当業者に明らかであろう。より具体的には、同じまたは類似する結果が達成されるであろうが、化学的及び生理学的の両方に関連するある特定の薬剤が、本明細書に記載される薬剤を置換できることが明らかであろう。当業者に明らかである全てのそのような類似する置換及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨、範囲、及び概念内であると見なされる。
【0131】
参照文献
以下の参照文献は、それらが本明細書に記載されるものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する範囲内において、参照により具体的に本明細書に組み込まれる。