(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コポリマー(C)を製造するのに使用される少なくとも1種のポリウレタン樹脂が重合性炭素二重結合としてアリルエーテル基を有し、コポリマー(C)がヒドロキシル基を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂と、カルボン酸を含有するポリエステル(e1)ならびに/または、好ましくは、モノマージオール、トリオール、四価のアルコールもしくはポリエステルジオールのような多価の有機ポリオール、ジカルボン酸のような多塩基性の有機カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸の無水物のようなポリカルボン酸の無水物、ならびにまた、任意に、モノカルボン酸および単純アルコールからなる群から選択される化合物(e2)との反応により製造することができる少なくとも1種のエポキシ樹脂エステル(E)が存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【背景技術】
【0002】
金属性の包装容器、例えば飲料缶および保存缶のような缶、管、キャニスター、バケツ、などは、一般に、例えば装飾設計、腐食防止および包装容器の機械的曝露からの保護に役立つコーティング系をその外面上にもっている。
【0003】
装飾担体としてベースワニスまたはスタンピングワニス、印刷用インクコーティング、および銀ラッカーとよばれる透明なトップコートを含む従来の多重コート系に加えて、最終的な透明なトップコートを必要としないコーティング系が常に最も注目されている。生産プロセスの付随する簡略化、および材料に関する節約がこれらの種類のコーティング系の開発の充分な理由である。従って、「非ワニス外塗り」ともいわれるこれらのコーティング組成物は、着色のような装飾特性に関する一定の要件を示し、かつ印刷用インクによる高い印刷適性を示すことが必要とされるばかりでなく、さらに加えて理想的には実際の銀ラッカーの機能である機能を実現することも必要とされる。実際、これらの特殊な外塗りは、それ自体が、トップコート、言い換えるとコーティング系の最外層を構成する。その後このトップコートに対して任意に塗布されるものは、証印などを付けるための印刷用インクのみである。達成されるべき機能に関する限り、高い耐摩耗性が特に言及する価値がある。すなわち、より特定的には缶のような包装容器は、例えば、貯蔵および輸送との関連で、またかかる輸送および貯蔵中に避けることができないお互いの摩擦との関連で、高い機械的荷重に曝されるからである。その他の特性は、良好な印刷適性、また平滑な表面構造、より特定的にはポップマークのような仕上げ欠陥の回避、および高い光沢である。
【0004】
金属性の包装材料の外面にかかるワニス塗膜を生産することに関連して生じる別の重要な課題は、ワニス系、またはワニスに使用されるコーティング組成物が、既に述べた特性に加えて、生産手順中の、場合によっては大きな、応力にも耐えるように選択しなければならないということである。
【0005】
ワニスを塗り、印刷された、例えば飲料缶のような金属性の包装容器を生産する工業プロセスにおいて、一般的な方法は、既に賦形された後の包装容器にワニスを塗ること、殊に後まで完全には賦形されないまだ平面状の金属基材または金属コイルにはワニスを塗らないことである。ワニスを塗る操作の後、残っている操作は細かく賦形することだけである。この後の操作において、賦形された本体は、例えば、安定性を増大させ、および/または材料を節約する目的でビーディングおよび/またはネッキングに付される。こうして、例えば、内部および外部のワニス塗装は、容器の外面への印刷用インクの塗布と並行して個々に行うことができる。
【0006】
ここで手順は、多くの場合、最初に上記のように「非ワニス外塗り」を設け、このコーティングをオーブン内で、特に今までのところ十分に硬化された塗膜が生産されないような条件にのみ曝すことである。従って、最初のオーブン相における温度および/または時間は、コーティングの完全な硬化および/または最終的な架橋には充分でない。
【0007】
これの理由は、例えば、その後塗布される印刷用インクがこのようにしてワニス系により有効に接着することができることである。実際、不完全な硬化の場合、従ってワニス系の部分の上で今までのところ極めて高くはない架橋密度の場合、印刷用インクは第一にまだこのワニス皮膜内に移行することができる。第二に、印刷用インクが同様に架橋のための官能基を有する、やはり以下に記載される典型的なポリマーを含むならば、これらの基はワニス皮膜内の今までのところ架橋してない補完的な官能基と反応することが可能である。従ってこれらのプロセスでは明らかに印刷用インクの改良された接着力が得られる。
【0008】
外塗りの不完全な分離硬化の別の理由は生産プロセスの現今ますます増大する重要なエネルギーバランスにある。印刷インク膜および内部ワニス系のような硬化を必要とするさらなる膜は外側のワニス系が生産された後に設けられるので、とにかくこれらの膜、硬化、また外側のワニス系のために必要とされるエネルギーを利用することは当然ある利点である。
【0009】
しかし、ここで、最初のオーブン相における不完全な硬化、従って外側のワニスの部分上の低いだけの架橋密度は一般に当該ワニス系の部分上の極めて低い耐摩耗性を伴うだけであることを心に留めなければならない。そこで問題は、工業プロセス体制の場合、第1のオーブンから印刷ステーションへ、また内部塗装ステーションへと前進通過する際、缶がお互いに一定の機械的応力、より特定的には摩擦を受けるのが避けられないということである。これは、外側のワニス系に対する容認できない損傷を伴うことがある。
【0010】
ドイツ国特許出願公開第19637970号明細書は包装容器の被覆用のコーティング材料を開示しており、ここでコーティング材料は単一コートの外側ワニス系を前記容器上に築き上げる。コーティング材料はヒドロキシ官能性ポリエステルと水で薄められる変性エポキシ樹脂エステルとの組合せを含んでいる。完全に硬化したワニス系で達成される、例えば流れ、印刷適性、および耐摩耗性に関する科学技術特性は容認できる。完全に硬化してない外側のワニス系の耐摩耗性は改良の必要があり、その基礎をなす問題は対処されてなく、認識されていなかった。
【0011】
国際公開第91/15528号パンフレットは自動車の車体に多重コート塗料系を構築するための水性ベースコート材料を開示しており、前記系はベースコートと、このベースコートに対して適用されるクリアコート上塗りとを含む。ベースコートの主要なバインダーは重合性炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂の存在下でのエチレン性不飽和モノマーの共重合によって得ることができるポリマーである。このベースコート材料の特徴の一例は、ほんの短い時間の後、ベースコート膜を崩壊することなく、ウェットオンウェットプロセスで水性または従来のクリアコート材料を再被覆することができるということである。包装容器の被覆の技術分野への言及はない。
【0012】
有利な点は、従来技術の欠点をもはやもたないが、その代わりに包装容器のワニス塗装のための外側のワニスまたはトップコートワニスとして理想的に使用することができ、かつこの外側のワニス材料の不完全な別のベーキングまたは硬化操作にもかかわらず、特に当該ワニス系の増大した耐摩耗性が得られるコーティング組成物であろう。これに関連して、当然、耐摩耗性は、現に完全に硬化したワニス系と同じ程度である必要はない。その代わりに、重要なことは、従来技術の不完全に硬化したワニス系の非常に低い耐摩耗性と比べて耐摩耗性がかなり改良されることであり、これにより、過度ではないが、それでも存在する上記した生産作業中の機械的要件を満たすことが可能である。同時に、コーティング材料は、コーティング材料の環境プロファイルに関する今日の要件を正確に評するために、性格上水性であるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のコーティング組成物は少なくとも1種のポリマー(A)をバインダーとして含む。
【0021】
バインダーとして適切なポリマー(A)は、例えば、エチレン性不飽和モノマーの(コ)ポリマー、またはランダム、交互および/もしくはブロック状の構造であり、線状および/もしくは分岐および/または櫛形構造である重付加樹脂ならびに/または重縮合樹脂である。これらの用語に関しては、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1998の457頁、「polyaddition」および「polyaddition resins(polyadducts)」、ならびにまた463および464頁、「polycondensates」、「polycondensation」、および「polycondensation resins」、ならびにまた73および74頁、「binders」が補足参照される。
【0022】
適切な(コ)ポリマーの例は(メタ)アクリレート(コ)ポリマーまたは部分的に加水分解されたポリビニルエステル、より特定的には(メタ)アクリレートコポリマーである。適切な重付加樹脂および/または重縮合樹脂の例はポリエステル、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂−アミン付加物、ポリ尿素、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、またはポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタンである。
【0023】
ポリマー(A)はバインダーとして好ましくはチオ、ヒドロキシル、N−メチロールアミノ−N−アルコキシメチルアミノ、イミノ、カルバメート、アロファネートおよび/またはカルボキシル基、好ましくはヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含む。これらの官能基、より特定的にはヒドロキシルおよびカルボキシル基によって、例えば、好ましくは無水物、カルボキシル、エポキシ、ブロックイソシアネート、ウレタン、メチロール、メチロールエーテル、シロキサン、カーボネート、アミノ、ヒドロキシルおよび/またはベータ−ヒドロキシアルキルアミド基のようなさらなる官能基を含む成分と架橋を起こすことが可能である。
【0024】
特に好ましくは、コーティング組成物はバインダーとしてヒドロキシ官能性ポリマー(A)、より好ましくはヒドロキシ官能性ポリエステルを含む。殊に好ましいのは、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含有するポリエステルである。従って、コーティング組成物は、必ずしも限られるわけではないが、いずれにせよかかるポリエステル(A)をバインダーとして含むのである。
【0025】
ここで、少なくとも1種のポリマー(A)が、バインダーとして、官能基を介して、より特定的には上記の官能基、好ましくはヒドロキシル基、非常に好ましくはヒドロキシルおよびカルボキシル基により、やはり以下に記載される、対応する補完的官能基を含む少なくとも1種の架橋剤(B)、例えばメラミン樹脂との架橋に参入することができるのが殊に好ましく、その結果として硬化した塗膜が形成される。
【0026】
従って、これは、本発明のコーティング組成物が特に熱的に硬化可能であることを意味する。すなわち、上記の反応性官能基の化学反応により、架橋が起こること(塗膜の形成)が可能であり、この化学反応のエネルギー活性化は熱エネルギーによって可能である。これに関連して好ましくは外的架橋であり、すなわちお互いに補完的な反応性官能基がいろいろな成分、より特定的にはバインダーとしてのポリマーおよび架橋剤中に存在することを意味する。
【0027】
本発明の目的で、用語「バインダー」および「架橋剤」は、より良好に理解され、および/またはより識別し易くするように使用される。両方の用語は当業者に公知であり、それ故その性格は明らかである。原則として、コーティング組成物の外的に架橋する熱的硬化の場合、バインダーとしてのポリマーの官能基とそれに対して補完的な架橋剤の官能基との間で架橋する。バインダーとしてのポリマーと架橋剤の典型的な組合せは、例えば、バインダーとしてヒドロキシおよび/またはカルボキシ官能性ポリマーと、架橋剤としてポリイソシアネートおよび/またはアミノ樹脂、より特定的にはメラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂、従って言い換えるとメチロール基および/またはメチロールエーテル基を含有する付加物、またはポリカルボジイミドである。
【0028】
もちろん、例えば、コーティング材料が按分に自己架橋すること、すなわち、補完的な反応性官能基がバインダーとして使用される1つの同じポリマー内および/または使用される架橋剤内に既に存在することも、上記によって除外されない。かかる釣り合い自己架橋はまた、メチロール基、メチロールエーテル基および/またはN−アルコキシメチルアミノ基を含む成分の場合、すなわち、例えば、以下でより詳細に記載されるメラミン樹脂の場合にも起こる。
【0029】
例えば、比例物理硬化(すなわち、コーティング組成物からの溶媒の損失を介した膜形成によるコーティング組成物の層の硬化、この際ポリマー分子のループ形成によってコーティング内で結合が起こる)のような他の硬化機構も、もちろん除外されない。
【0030】
それにもかかわらず、コーティング組成物は、いずれにしても、以下に記載される架橋剤に加えて、ヒドロキシ官能性ポリマー(A)、殊に好ましくはヒドロキシおよびカルボキシ官能性ポリマー、好ましくは対応するポリエステルをバインダーとして使用することによって外的に架橋するのが好ましい。
【0031】
ポリマー(A)として優先的に適しており、本発明との関連で好ましいポリエステルは飽和または不飽和、より特定的には飽和でよい。ポリエステルおよびその製造、ならびにまたかかる製造に使用することができる成分は、当業者に公知である。
【0032】
問題のポリマーはより特定的に、多価の有機ポリオールと多塩基性の有機カルボン酸を用いて製造されるポリマーである。これらのポリオールおよびポリカルボン酸はエステル化により、従って言い換えると縮合反応によりお互いに結合する。従って、ポリエステルは一般に、重縮合樹脂の群に割り当てられる。使用される出発成分の種類、機能性、ならびに分率および割合に応じて、得られる生成物は、例えば線状または分岐である。本来二官能性の出発成分(ジオール、ジカルボン酸)を使用すると線状生成物が形成されるが、例えばより高い官能性(OH官能性、言い換えると分子当たりのOH基の数が2より大きい)のアルコールを使用すると分岐が生成する。もちろん、製造には、単官能性成分、例えばモノカルボン酸の比例使用も可能である。公知のように、ポリエステルを製造するには、対応する有機カルボン酸ではなく、またはそれに加えてカルボン酸の無水物、より特定的にはジカルボン酸の無水物を使用することも可能である。同様に、ヒドロキシカルボン酸または分子内エステル化によりヒドロキシカルボン酸から誘導されるラクトンを使用する製造が可能である。
【0033】
適切なジオールの例は、グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、およびその他のジオール、例えば1,4−ジメチロールシクロヘキサンまたは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである。より高い官能性(2より大きいOH官能性)を有する適切なアルコールは、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、およびペンタエリトリトールである。
【0034】
ポリエステルの酸成分は一般に分子内に2〜44個、好ましくは4〜36個の炭素原子を有するジカルボン酸またはその無水物を含む。適切な酸の例は、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロロヘプタンジカルボン酸、テトラクロロフタル酸および/または二量体化した脂肪酸である。これらの酸に代わって、存在する場合はそれらの無水物を使用することも可能である。3個以上のカルボキシル基を有するより高い官能性のカルボン酸(および/または対応する無水物)、例えばトリメリト酸無水物を使用することもできる。また、比例して、しばしば、例えば不飽和脂肪酸のようなモノカルボン酸を使用してもよい。
【0035】
使用することができるヒドロキシカルボン酸の例はヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸および/または12−ヒドロキシステアリン酸である。使用することができるラクトンの例はそれ自体公知のベータ−、ガンマ−、デルタ−、およびイプシロン−ラクトン、より特定的にはイプシロン−カプロンラクトンである。
【0036】
上記モノマー性化合物に加えて、例えばジオールとして、既にポリマー性の出発生成物、例えばそれ自体公知でありラクトンと二価アルコールの反応により得られるポリエステルジオールを使用することも可能である。
【0037】
バインダーとしてのポリマー(A)、より特定的にはポリエステルは、好ましくは50〜250mgKOH/g、より好ましくは70〜200mgKOH/g、より特定的には90〜150mKOH/gのOH数を有する。本発明との関連で、OH数はDIN 53240に従って測定される。本発明との関連で公式の規格を参照する場合、当然出願日に有効であった規格の版またはその時点で有効な版がなかったならば最新の有効な版を参照する。
【0038】
本発明のコーティング組成物は水性である(「水性」の説明に関しては、下記参照)。従って、バインダーとしてのポリマー(A)、より特定的にはポリエステルは、好ましくは水に分散性または可溶性のポリマーである。当業者は知っているように、これは、ポリマーが、少なくとも比例して水性の媒体中で不溶性の凝集体として沈殿することはないが、その代わりに溶液または微細分散液を形成することを意味する。このために、一般に、公知のように、潜在的にイオン性の基、より特定的には潜在的にアニオン性の基、好ましくはカルボキシル基を導入することが有利であり、またはさらには必要である。かかる基は、より特定的には製造中に使用される対応するモノマーを通して、ポリマー中に取り込まれ、そうして完成したポリマーはこれらの基を含む。この手順は、公知のように、アニオンを形成することができる基、より特定的にはカルボキシル基の具体的な中和を通して、さらにより効果的にすることができる。従って、これは、これらの基が、例えば、ポリマーの製造中および/またはコーティング組成物の製造中に、中和剤、好ましくはアンモニア、アミンおよび/または、特に、アミノアルコールで中和されることを意味する。中和には、例として、ジ−およびトリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、モルホリンおよび/またはN−アルキルモルホリンが使用される。
【0039】
細部「水への分散性または可溶性」とは、それぞれのポリマー(A)もまた、本発明のコーティング組成物中において、水溶液または水性分散液中に存在する形態で使用されなければならないことを意味しない。例えば、ポリマーはまた、有機溶媒中で製造し、または有機溶媒中の分散液として商業的に取得し、このようにして本発明のコーティング組成物中に使用することもできる。そして、その後のコーティング組成物のさらなる構成成分との混合の際に水も加えられ、以下により詳細に記載される水性特性が生成する。
【0040】
従って、少なくとも1種のポリマー(A)、好ましくはポリエステルは、好ましくは、10〜100mg KOH/g、好ましくは20〜60mg KOH/gの酸価を有する。本発明との関連で酸価はDIN EN ISO 3682に従って測定される。本発明のコーティング組成物の塗布後、好ましくは存在するカルボン酸基も、もちろん、架橋剤、より特定的にはメラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂との架橋に役立つことができ、従って架橋した塗膜の形成に寄与し得る。
【0041】
バインダーとして適切なポリマー(A)、より特定的にはポリエステルは、例えば、500〜5000g/mol、好ましくは600〜2000g/molの数平均分子量を有する。質量平均分子量は、例えば、1000〜10000g/mol、好ましくは1500〜5000g/molの範囲に位置する。本発明の目的で、分子量は、スチレン−ジビニルベンゼンカラム組合せ上で溶離液としてTHF(+0.1%酢酸)(1ml/min)を用いるGPC分析によって決定される。較正はポリスチレン標準を用いて行う。
【0042】
バインダーとしてのポリマー(A)の量は、各々の場合に本発明のコーティング組成物の総量に対して、好ましくは5〜35wt%、殊に好ましくは7〜33wt%、非常に好ましくは10〜30wt%、そして1つの特定の実施形態において15〜25wt%である。本発明との関連で、バインダーとしての上記のポリエステル(A)、好ましくはヒドロキシおよびカルボキシ官能性のポリエステルが、バインダーとして使用されるポリマー(A)の少なくとも80wt%、より特定的には85〜95wt%を構成するのが好ましい。
【0043】
ポリマー(A)または特定のポリマー(A)の分率は以下のように決定される:コーティング組成物に加えられるポリマー(A)のバインダー分散液の固形分含量を確認する。バインダー分散液の固形分含量およびコーティング組成物中に使用される分散液の量を考慮すると、ポリマー(A)の分率を組成物全体の割合として決定または特定することが可能である。
【0044】
本発明の目的で、他に示さない限り、固形分含量は、DIN EN ISO 3251に従って、初期質量1.0gのサンプル、例えば1.0gの本発明のコーティング材料を用いて、実験時間60分、温度125℃で決定される。
【0045】
本発明のコーティング組成物は少なくとも1種の架橋剤(B)を含む。
【0046】
架橋剤およびそのコーティング組成物中での使用は当業者に公知である。これらは、原則として、例えば、ポリマー(A)或いは、例えば以下に記載するポリマー(C)のようなバインダーとして使用されるポリマーの反応性官能基に対して補完的な反応性官能基を有し、従って化学的架橋をすることができる成分である。
【0047】
本発明との関連で優先的に使用されるのは、ポリイソシアネート、アミノ樹脂、より特定的にはメラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂、ならびにまたポリカルボジイミドからなる群から選択される架橋剤である。
【0048】
かかる架橋剤は、さらなる成分の反応性官能基、より特定的にはバインダーとしての少なくとも1種のポリマー(A)、好ましくはヒドロキシおよびカルボキシを含有するポリマー(A)と上記のように架橋することができる反応性官能基としてイソシアネート基および/またはメチロール、メチロールエーテルおよび/またはN−アルコキシメチルアミノ基、またカルボジイミド基を含む。
【0049】
使用することができるポリイソシアネートは、特に、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−または1,3−または1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、2,4−または2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、Henkelにより商品名DDI 1410で販売されている種類の二量体脂肪酸から誘導されたジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,7−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルヘプタン、または1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピル)シクロヘキサン、またはテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、またはこれらのポリイソシアネートの混合物のような、これに関連して当業者に知られているポリイソシアネートである。ここで、それ自体知られている所定のポリイソシアネートの二量体および/または三量体、すなわち、より特定的には、それ自体知られており、市販もされている上述のポリイソシアネート、殊に上述のジイソシアネートのウレトジオンおよびイソシアヌレートを使用することが好ましい。
【0050】
本発明の目的では、アミノ樹脂、中でも好ましくはメラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂、またポリカルボジイミドを架橋剤として使用するのが特に好ましい。
【0051】
アミノ樹脂とは、それ自体当業者には公知の、有機カルボニル化合物、より特定的にはホルムアルデヒドと1,3,5−トリアジンまたは尿素のアミノ誘導体との重縮合物を意味する。一般的にいえば、この縮合中に形成されるメチロール基はさらにメタノールまたはブタノールのようなアルコールにより比例してまたは完全にエーテル化される。
【0052】
好ましいメラミン樹脂は、メラミン(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)と、メラミン1モルに付き最高6モルのホルムアルデヒドとの重縮合樹脂である。得られるメチロール基は、好ましくはメタノールおよび/またはブタノールのような1つまたは様々な種類のアルコールで全体的または部分的にエーテル化されてもよい。メラミン樹脂はいろいろなメチロール化度およびいろいろなエーテル化度を有し得、これらのパラメーターは特に樹脂の反応性、言い換えると、より特定的には、例えば、ヒドロキシル基を含有するバインダーとしてのポリマー(A)のような成分との反応によって有効な架橋が続いて起こる温度を規定する。
【0053】
メラミン樹脂のメチロール化度は、メラミンの可能なメチロール化部位の幾つがメチロール化されているか、言い換えると、メラミン(すなわち、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)の第一級アミノ基の全部で6個の水素原子のうちの幾つがメチロール基により置換されているかを記載する。従って、完全にメチロール化された単環式メラミン樹脂は、例えばヘキサメチロールメラミンのように、トリアジン環当たり6個のメチロール基を有する。メチロール基はお互いに独立してエーテル化された形態で存在することができる。
【0054】
メラミン樹脂のエーテル化度とは、メラミン樹脂中の、アルコールでエーテル化されているメチロール基の割合をいう。完全にエーテル化されたメラミン樹脂の場合、存在するメチロール基の全てが、遊離ではなくアルコールでエーテル化されている。エーテル化に適したアルコールは一価または多価である。エーテル化には一価のアルコールが優先的に使用される。例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、或いはヘキサノールをエーテル化に使用することができる。また、例えばメタノールとn−ブタノールの混合物のような異なるアルコールの混合物の使用も可能である。
【0055】
メラミン樹脂はモノマー性(単環式)またはオリゴマー性(多環式)でよい。記述子「単環式」または「多環式」は、メラミン樹脂1分子当たりのトリアジン環の数を指す。単環式の、完全にメチロール化された、および完全にブタノールでエーテル化されたメラミン樹脂の一例はヘキサメトキシブチルメラミンである。
【0056】
同様に優先的に使用されるのはベンゾグアナミン樹脂である。メラミン樹脂についての記載はこれらの樹脂にも当て嵌まるが、ベンゾグアナミンはメラミンの代わりにベンゾグアナミンが使用される点でそのメラミン対応物と異なる。対応してトリアジン環上にアミノ基と引き換えに存在するフェニル環の結果として、樹脂の反応性が低下し、顔料親和性が増大するが、これは必要な場合には利点となることがある。このようにして、硬化されたコーティングを撥水性にすることができる。
【0057】
例えば、Resimene(登録商標)747、Resimene(登録商標)755、Luwipal 066、およびCymel 1123のようなCymel(登録商標)、Resimene(登録商標)、Maprenal(登録商標)、およびLuwipal(登録商標)という名称で市販されている製品を使用できる。
【0058】
同様に架橋剤として優先的に使用されるのはポリカルボジイミドである。これらは、それ自体公知であり、式[−R−N=C=N]
n(式中、基Rは互いに独立して例えば芳香族基のような有機基である)のジイミド基を含有する繰り返し単位を含有する付加物である。それらは、例えば、それ自体公知の触媒を用いて、対応するジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネートの重合によって製造することができる。例えば、Desmodur XP 2802(Bayer)またはPicassian XL−702(Picassian Polymers)のような市販されている製品を使用できる。
【0059】
本発明のコーティング組成物中の架橋剤、より特定的にはポリイソシアネート、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂および/またはポリカルボジイミドの量は、各々の場合に本発明のコーティング組成物の総量に対して、好ましくは0.5〜10wt%、殊に好ましくは1〜8wt%、非常に好ましくは1.5〜6wt%、1つの特別な実施形態において2〜5wt%である。
【0060】
架橋剤(B)の分率はバインダーとしてのポリマー(A)について上に記載したのと類似の方法によって、言い換えると固形分含量に基づいて決定される。
【0061】
本発明のコーティング組成物は少なくとも1種の特定のポリマー(C)をバインダーとして含む。
【0062】
第2のバインダーとしてのポリマー(C)は、定義により当然、バインダーとしてのポリマー(A)および架橋剤(B)と異なる成分である。少なくとも1種のポリマー(C)は、重合性の炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂の存在下でのエチレン性不飽和モノマーの共重合により得ることができるコポリマーである。第2のバインダー(C)として使用することができるコポリマーは、例えば国際公開第91/15528号パンフレットから公知であり、従って当業者は容易に製造することができる。
【0063】
バインダーとして使用されるポリマー(C)は好ましくは2000〜100000g/mol、より好ましくは5000〜80000g/mol、極めて好ましくは15000〜60000g/mol、より特定的には30000〜55000g/molまたは35000〜50000g/molの質量平均分子量を有する。
【0064】
ポリマー(C)は好ましくは100〜50000g/mol、より好ましくは1000〜40000g/mol、極めて好ましくは2500〜25000g/mol、より特定的には3000〜20000g/molまたは4000〜15000の数平均分子量を有する。
【0065】
ポリマー(C)は好ましくはバインダー(C)1g当たり5〜200、より好ましくは10〜150、極めて好ましくは15〜100、より特定的には20〜50または25〜40mgのKOHの酸価を有する。
【0066】
ポリマー(C)は好ましくはヒドロキシル基を有し、特にバインダー(C)1g当たり5〜100、より好ましくは10〜90、極めて好ましくは20〜80、より特定的には30〜70または40〜60mgのKOHのOH数(ヒドロキシル数)を有する。
【0067】
ポリマー(C)を製造するための重合性炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂は好ましくは分子当たり平均して0.05〜1.1、好ましくは0.2〜0.9、より好ましくは0.3〜0.7の重合性炭素二重結合を有する。使用されるポリウレタン樹脂が、ポリウレタン樹脂1g当たり0〜2mgのKOHの酸価を有するのが好ましい。当業者はかかるポリウレタン樹脂をいかに製造することができるか精通しており、またこれは、例えば国際公開第91/15528号パンフレットに記載されている。
【0068】
ポリマー(C)を製造するための重合性炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂は、好ましくは少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオール、より好ましくは少なくとも1種のポリエステルポリオールとの反応によって得ることができる。
【0069】
ここで、ポリイソシアネート成分として、架橋剤(B)の説明において上で特定したポリイソシアネートを使用することが可能である。しかし、特に好ましくは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が、ポリマー(C)の基となるポリウレタン樹脂を製造するためのポリイソシアネート成分として使用する。
【0070】
ポリオール成分、より特定的にはポリエステルポリオール成分として、例えば、ポリマー(A)の記載の一部として上で特定されたポリオール(ポリエステル(A)を製造する際に使用された成分)およびまたポリエステルまたはポリエステルポリオール自身(すなわち、例えば、遊離のヒドロキシル基、言い換えると0より大きいOH数を有するポリエステル(A))をここで使用することが可能である。
【0071】
少なくとも1種のポリエステルポリオールとしてさらに特に優先的に使用されるのは、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、およびこれらの混合物、より特定的には1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも1種のジオールおよび/またはトリオール、ならびにアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルト−フタル酸、ジメチロールプロピオン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジカルボン酸(または、例えば対応する無水物のような少なくとも1種のジカルボン酸誘導体)、より特定的にはアジピン酸に由来するものである。
【0072】
好ましくは、少なくとも1種のかかるポリエステルポリオールが少なくとも1種のポリイソシアネート、より特定的にはIPDIと共に、ポリマー(C)の基となるポリウレタン樹脂を製造するのに使用される。
【0073】
ポリマー(C)を製造するのに使用される少なくとも1種のポリウレタン樹脂は架橋反応を可能にする反応性官能基として重合性炭素二重結合を有する。これらの反応性官能基は好ましくはアリール基および(メタ)アクリレート基ならびにまたこれらの混合物のようなビニル基からなる群から選択される。特に好ましいのはビニル基、好ましくはアリル基、より特定的にはアリルエーテル基である。
【0074】
ポリマー(C)を製造する際に使用される少なくとも1種のポリウレタン樹脂を製造するときに重合性炭素二重結合を反応性官能基としてポリウレタン樹脂中に導入するために、ポリウレタン樹脂は、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび好ましくは少なくとも1種のポリエステルポリオールのような少なくとも1種のポリオールのみではなく、少なくとも1つの重合性炭素二重結合を反応性官能基として有し、さらにNCO基に対して反応性の基、具体的にはヒドロキシル基を有する少なくとも1種のモノマー性ジオールのような少なくとも1種のさらなるポリオールも用いて製造される。反応性官能基、より好ましくはアリル基、アリルエーテル基、および(メタ)アクリレート基、ならびにまたこれらの混合物のようなビニル基からなる群から選択される反応性官能基として、やはり少なくとも1つの重合性炭素二重結合を有するモノマーとして少なくとも1種のジオールが優先的に使用される。特に好ましいのはビニル基、より特定的にはアリルエーテル基である。優先的に使用される1つのかかるモノマーはトリメチロールプロパンモノアリルエーテルである。また、グリセロールモノアリルエーテル、ペンタエリトリトールモノアリルエーテルおよびペンタエリトリトールジアリルエーテル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のポリオールを使用することも可能である。しかしながら、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルが殊に好ましい。
【0075】
得られたポリウレタンセグメント中にまだ存在するNCO基は任意に、トリメチロールプロパンのような少なくとも1種のポリオールとの反応によりイソシアネート基がもはや検出されなくなるまで変換してもよい。
【0076】
コポリマー(C)のポリウレタンセグメントは任意に、ジブチルスズジラウレートのような少なくとも1種の触媒の添加により製造してもよい。コポリマー(C)のポリウレタンセグメントの製造は好ましくは、例えばメチルエチルケトン(MEK)のような有機溶媒中で行われる。
【0077】
コポリマー(C)を製造するために、このようにして得られた重合性炭素二重結合を有する少なくとも1種のポリウレタン樹脂をエチレン性不飽和モノマーの存在下で共重合する。
【0078】
ポリマー(C)を製造するためにエチレン性不飽和モノマーとして使用されるモノマーは、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸の脂肪族および脂環式エステル((メタ)アクリレート)、分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー、好ましくは分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0079】
特に好ましくは、エチレン性不飽和モノマーは、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびラウリル(メタ)アクリレート、もしくはこれらのモノマーの混合物のようなアルキル基内に20個までの炭素原子を有するアルキルアクリレートならびにアルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのようなアクリル酸ならびに/またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸、エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ならびにアリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0080】
ポリマー(C)を製造するのに特に好ましいエチレン性不飽和モノマーは、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0081】
共重合を開始するために、例えばtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートのような少なくとも1種の開始剤を使用することが可能である。
【0082】
共重合は好ましくは、例えばメチルエチルケトン(MEK)のような有機溶媒中で行う。得られたコポリマー(C)は好ましくは水に溶解され、任意に既に上で特定された中和剤、より特定的にはジメチルエタノールアミンのような少なくとも1種の中和剤で中和される。例えばMEKのような有機溶媒は、好ましくはコポリマー(C)の製造後、例えば減圧下での留去によって再び除去される。このようにして得られた分散液は、コポリマー(C)を製造するときに使用されたMEKの分率、すなわち各々の場合に分散液の総質量に対して多くても0.2〜1.5wt%、好ましくは0.2〜1.0wt%または0.2〜0.6wt%の範囲を保持し得る。
【0083】
以上のことから、少なくとも1種のポリマー(C)も好ましくは水に分散性または可溶性のポリマーであるということになる。上記の解明によってこのために好ましく、または必要ですらある潜在的にイオン性の基、好ましくはアニオン性の基、より好ましくはカルボン酸基は、製造に使用される出発化合物により、好ましくは製造に使用されるエチレン性不飽和モノマーによりポリマー中に導入され得る。例えば、カルボン酸基は好ましくは、エチレン性不飽和モノマーの存在下で重合性炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂を共重合するときアクリル酸の比例使用によってコポリマー(C)中に取り込まれる。
【0084】
本発明のコーティング組成物中の第2のバインダーとしての少なくとも1種のポリマー(C)の量は好ましくは各々の場合に本発明のコーティング組成物の総量に対して0.1〜8.0wt%、殊に好ましくは0.1〜7.5wt%、極めて好ましくは0.5〜6.0wt%、1つの特定の実施形態において0.8〜5.0wt%、さらにより好ましくはこの範囲内で1.0〜4.0wt%である。
【0085】
少なくとも1種のポリマー(C)の分率の決定は、バインダーとしてのポリマー(A)および架橋剤(B)について上に記載した方法と同様に、言い換えると固形分含量に基づいて行われる。
【0086】
本発明では、バインダーとしての少なくとも1種のポリマー(A)と第2のバインダーとしての少なくとも1種のポリマー(C)との質量分率を、ポリマー(A)のポリマー(C)に対する質量比が3.0より大きく、好ましくは5.0より大きく、極めて好ましくは7.5より大きく、より特定的には8.5より大きくなるように、お互いに調和させることが必須である。より好ましくは、質量比は3.0より大きく30まで、好ましくは、この範囲内で、5.0より大きく25まで、より特定的には7.5〜20、極めて好ましくは8.5〜15である。質量比は本発明のコーティング組成物の総量に対する2種のポリマー(A)および(C)のそれぞれの量または分率に基づいて決定される。本発明のコーティング組成物の総量に対するポリマー(A)および(C)の分率は、上に示したように固形分含量によって決定される。
【0087】
ポリマー(A)および(C)のこれらの量は、それぞれ、好ましくは上に示した好ましい分率範囲から選択され、そこで操作が本発明の比率範囲、好ましくは好ましい比率範囲内で確実に行われるように注意する。
【0088】
上記のことから、より特定的には、コーティング組成物は常にポリマー(C)に対して大幅に過剰なポリマー(A)を含み、さらに、好ましくは過度の量ではなく、殊に好ましくは4.0wt%以下の添加量のみでポリマーを含むということになる。
【0089】
従って、これは、本発明の目的でバインダー(A)は基本的に主要なバインダーとして使用されるが、ポリマー(C)は追加の成分として、または少量のみで使用されるバインダーとして考えられることを意味する。
【0090】
ポリマー(A)および(C)の量の上記の調和の結果として、より特定的には包装容器の被覆セクターにおけるトップコート被覆のための組成物の基本的な要件を満たし、さらにこの種のトップコート膜が完全には硬化していないとき従来技術と比較して大幅に改良された耐摩耗性を保証するコーティング組成物を調合することが可能である。
【0091】
本発明のコーティング組成物は水性である。「水性コーティング組成物」という表現は当業者に公知である。原則として、専ら有機溶媒をベースとしないコーティング組成物を指す。実際、有機溶媒をベースとする種類のコーティング組成物は、専ら有機溶媒を含み、さらなる成分を溶解および/または分散させるための水を全く含まないか、または水を明白に添加することなく製造された組成物であり、水はその代わりに不純物、大気中の湿気および/または任意に使用される特定の添加剤のための溶媒の形態でのみ組成物中に入る。かかる組成物は水性組成物と対照的に溶媒をベースとする、または「有機溶媒をベースとする」とよばれるであろう。
【0092】
本発明の目的で、「水性」は、好ましくは、当該コーティング組成物が各々の場合に存在する溶媒(すなわち、水および有機溶媒)の総量に対して少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも25wt%、極めて好ましくは少なくとも30wt%の分率の水を有することを意味するものとする。次に好ましくは、水の分率は各々の場合に存在する溶媒の総量に対して20〜70wt%、より特定的には25〜60wt%、極めて好ましくは30〜50wt%である。従って、コーティング組成物は実際有機溶媒を含んでもよいが、この分率は慣用の溶媒をベースとする系と比較して大幅に低く、組成物はいずれにせよ水を含む。
【0093】
本発明のコーティング組成物は好ましくはさらに少なくとも1種の顔料(D)も含む。
【0094】
この種の顔料は好ましくは有機および無機、着色および体質顔料ならびにまたナノ粒子からなる群から選択される。適切な無機着色顔料の例は、二酸化チタン、亜鉛白、硫化亜鉛、またはリトポンのような白色顔料;カーボンブラック、鉄マンガンブラックまたはスピネルブラックのような黒色顔料;酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーン、またはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、またはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットまたはコバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、硫セレン化カドミウム、モリブデンレッドまたはウルトラマリンレッドのような有彩顔料;褐色酸化鉄、混合ブラウン、スピネル相、およびコランダム相、またはクロムオレンジ;または鉄黄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、カドミウム亜鉛硫化物、クロムイエロー、またはバナジウム酸ビスマスである。適切な有機着色顔料の例はモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、またはアニリンブラックである。適切な体質顔料または充填剤の例は、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクもしくはカオリンのようなケイ酸塩、シリカ、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウムのような酸化物、または織物繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維、またはポリマー粉末のような有機充填剤であり;さらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,1998,pages 250 ff.,「Fillers」を参照されたい。ナノ粒子の例は主族および遷移族の金属ならびにそれらの化合物からなる群から選択され、すなわち、ナノ粒子はこれらの元素および/または化合物からなることを意味する。元素の周期表の主族3〜5、遷移族3〜6、および遷移族1および2の主族および遷移族金属、ならびにまたランタニドが好ましい。ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、ヒ素、アンチモン、銀、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、およびセリウム、より特定的にはアルミニウム、ケイ素、銀、セリウム、チタン、およびジルコニウムを使用するのが特に好ましい。金属の化合物は好ましくは酸化物、酸化物水和物、硫酸塩、またはリン酸塩である。銀、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、およびこれらの混合物を使用するのが好ましく、銀、酸化セリウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム水和物、およびこれらの混合物を使用するのが特に好ましく、酸化アルミニウム水和物、より特定的にはベーマイトを使用するのが特に極めて好ましい。ナノ粒子は好ましくは<50nm、より好ましくは5〜50nm、より特定的には10〜30nmの一次粒径を有する。一次粒径を決定する方法は当業者に公知である。一次粒径は好ましくは透過型電子顕微鏡(TEM)によって決定される。少なくとも1種の顔料(D)として特に好ましい顔料は二酸化チタンおよび/または亜鉛白、硫化亜鉛および/またはリトポンである。殊に好ましいのは二酸化チタンの使用である。
【0095】
さらに、エフェクト顔料を、水性コーティング組成物中に存在する任意の顔料(D)として使用してもよい。当業者はエフェクト顔料の概念に通じている。エフェクト顔料は、より特定的には、視覚効果または色彩および視覚効果、より特定的には視覚効果を付与する顔料である。顔料の対応する分類はDIN 55944に従って行うことができる。エフェクト顔料は、好ましくは、有機および無機視覚効果ならびに色彩および視覚効果エフェクト顔料からなる群から選択される。より好ましくは、有機および無機視覚効果または色彩および視覚効果エフェクト顔料からなる群から選択される。有機および無機視覚効果ならびに色彩および視覚効果エフェクト顔料は、より特定的には、任意に被覆された金属エフェクト顔料、任意に被覆された金属酸化物エフェクト顔料、金属および非金属からなる任意に被覆されたエフェクト顔料、ならびに任意に被覆された非金属エフェクト顔料からなる群から選択される。例えばケイ酸塩で被覆された金属エフェクト顔料のような任意に被覆された金属エフェクト顔料は、より特定的にはアルミニウムエフェクト顔料、鉄エフェクト顔料、または銅エフェクト顔料である。殊に好ましいのは、例えばケイ酸塩で被覆されたというような任意に被覆されたアルミニウムエフェクト顔料、より特定的には、Stapa(登録商標)Hydrolac、Stapa(登録商標)Hydroxal、Stapa(登録商標)HydroluxおよびStapa(登録商標)Hydrolan、最も好ましくは、Stapa(登録商標)HydroluxおよびStapa(登録商標)HydrolanのようなEckartから市販されている製品である。本発明に従って使用されるエフェクト顔料、より特定的には、例えばケイ酸塩で被覆されたというような任意に被覆されたアルミニウムエフェクト顔料は、例えば、小葉形態および/または小板形態のような当業者に公知のあらゆる慣用の形態で、より特定的には、(コーン)フレーク形態または1ドル硬貨形態で存在し得る。金属および非金属からなるエフェクト顔料は、より特定的には、例えば、欧州特許出願公開第0562329号明細書に記載されている種類の酸化鉄で被覆された小板形状のアルミニウム顔料;金属、より特定的にはアルミニウムで被覆されたガラス小葉;または金属、より特定的にはアルミニウムで作成された反射層を含み、色彩の急変を示す干渉顔料である。非金属エフェクト顔料は、より特定的には、真珠光沢顔料、殊に雲母顔料;金属酸化物で被覆された小板形状の黒鉛顔料;金属反射層を含まず、色彩の急変を有する干渉顔料;酸化鉄をベースとし、ピンク〜紅褐色の色合いを有する小板形状のエフェクト顔料;または有機液晶エフェクト顔料である。本発明に従って使用することができるエフェクト顔料のさらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,1998の176頁、「Effect pigments」、ならびに380および381頁、「Metal oxide−mica pigments」から「Metal pigments」を参照されたい。
【0096】
本発明に従って使用される水性コーティング組成物中の顔料(D)の顔料含量は意図される用途ならびに顔料およびナノ粒子の種類に応じて極めて広範に変化し得る。本発明の水性コーティング組成物に対する顔料含量は、好ましくは、1.0〜50wt%の範囲、より好ましくは5.0〜45wt%の範囲、極めて好ましくは7.5〜40wt%の範囲、殊に好ましくは12.5〜35wt%の範囲、より特定的には15〜30wt%の範囲である。
【0097】
本発明のコーティング組成物は好ましくは少なくとも1種の特定のエポキシ樹脂エステル(E)を含む。以下により詳細に記載されるこのエポキシ樹脂エステルの添加は、さらに、本発明の好ましい実施形態において、殊に包装容器の場合の基本的な要件である滅菌および/または殺菌との関連で、接着性の改良、および本発明のコーティング組成物を用いて生産されたトップコート層の膨潤挙動の最小化に至り得る。
【0098】
特定のエポキシ樹脂エステルは初めにエポキシ樹脂を用いて製造されるポリマーである。
【0099】
エポキシ樹脂は当業者に公知である。それらは親分子内にエポキシド基を含有するそれ自体公知の重縮合樹脂である。好ましくはそれらは、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFをエピクロロヒドリンと共に縮合することにより製造されるエポキシ樹脂、より特定的にはビスフェノールA/エピクロロヒドリン樹脂である。例えば、これらの化合物は、鎖に沿ってヒドロキシル基を含有し、両端にエポキシド基を含有する。従って、言い換えると、分子当たり正確に2個のエポキシド基を含有する。もちろん、エピクロロヒドリンとの一方だけの反応が起こることも可能であり、これは最終的に分子内に1個だけのエポキシド基があることを意味する。エポキシ樹脂の鎖長(すなわち、縮合の程度)に応じて、エポキシド基および/またはヒドロキシル基を介する架橋の容量が変化する。鎖長またはモル質量が増大すると共に、エポキシド基による架橋の容量は落ちるが、ヒドロキシル基を介する架橋容量は鎖長が伸びるにつれて上昇する。その理由は、分子当たりのエポキシド基の数は同じままであるかまたは最高2である(2個の末端エポキシド基)のに対して、各々の縮合反応はさらなるヒドロキシル基を生成するからである。エポキシド基の量は、一般に、そしてやはり本発明との関連で、エポキシド当量(EEW)、すなわち1モルのエポキシド基を含有する樹脂の量(グラム)によって規定される。従って、縮合の程度が高ければそれだけEEWも高い。EEWを決定するには、樹脂中のエポキシド基の質量分率を(DIN EN ISO 3001に従って)確認し、それに応じてエポキシド基の公知のモル質量(44g/mol)を用いて変換する。縮合の程度、従ってEEWは、公知のように、使用する成分、すなわち、特に、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFならびにまたエピクロロヒドリンの化学量論によって制御することができる。モル比1:2(ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールF対エピクロロヒドリン)ではこのクラスの樹脂の最小の典型例が得られる(例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル)が、1:1に傾く傾向がある混合比の場合、対応して高いEEWを有する非常に長鎖の樹脂になる傾向がある。
【0100】
本発明の目的では、500未満のEEWを有するエポキシ樹脂、好ましくはビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂を使用するのが好ましい。これらは、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンから得ることができ、そこでヒドロキシ官能性でもあるビスフェノールAジグリシジルエーテルおよび/またはそれより少しだけ長い鎖のエポキシ樹脂である。「少し長い鎖」という表現は、エポキシ樹脂の数平均分子量が好ましくは1000g/molの値を超えないように、分子量に対して上限を課するものと理解されるべきである。鎖の両端にエポキシド基を含有するエポキシ樹脂であるジエポキシ樹脂が好ましい。かかるエポキシ樹脂は、例えばCytec社から商品名Beckopoxで、またはMomentive社から商品名Epikoteで、例えば有機溶媒または水中の溶液または分散液の形態で得ることができる。
【0101】
エポキシ樹脂エステル(E)の製造には、少なくとも1種のエポキシ樹脂、より特定的には上記のエポキシ樹脂を、少なくとも1種のさらなる成分と反応させてエステル結合を形成する。これの意味するところはより特定的には以下の通りである。
【0102】
例えば、好ましく使用されるエポキシ樹脂エステルは、例えばポリエステル−エポキシ樹脂(定義については以下を参照)を製造するときにアルコール成分の一部としてエポキシ樹脂を用いることによって製造することができる。実際、既に上に記載したように、エポキシ樹脂は、一般に末端のエポキシド基だけでなくヒドロキシル基も含んでおり、従ってポリエステルの製造中にアルコール成分の一部に取って代わることができる。その後、ポリエステル−エポキシ樹脂を製造する際に使用されるカルボン酸がこれらのヒドロキシル基と反応し、最終的にポリエステル−エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂エステル(E)を形成する。従って、本発明の目的でポリエステル−エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂を用いて製造される特定のポリエステルである。
【0103】
同様に、最初にカルボキシル基を含有するポリエステルを製造し、その後、エポキシ樹脂をエポキシ/カルボキシエステル化反応で、また任意にヒドロキシル/カルボキシルエステル化反応でポリエステルと反応させることが可能である。
【0104】
もちろん、エポキシ樹脂を、カルボキシルを含有するポリエステルと、さらにバインダー(A)の説明のために既に言及した典型的なモノマー性ポリオールおよびポリカルボン酸のような他のモノマー性および/またはポリマー性のポリエステル反応物質と、また予備重合したポリエステルジオールと反応させることも可能である。従って、この場合、エポキシ樹脂エステル(E)はモノマー性の出発化合物およびポリマー性の出発化合物の両方を用いて製造される。
【0105】
成分(E)を製造するのに使用することができるポリエステルは、使用するべき反応物質および使用するべき製造条件の点で、ポリエステル(A)の製造に関して掲げた説明、すなわち、より特定的にはまたポリオールおよびポリカルボン酸のような対応する反応物質とのポリエステル化反応に関してとにかく当業者には公知の条件に従う。従って、細部および適切な合成成分の例については、成分(A)の上記説明を参照することができる。そこでの開示はここに記載されたポリエステルに同等に当て嵌まる。
【0106】
もちろん、多価の有機モノマー性ポリオールおよび多塩基性の有機モノマー性カルボン酸、ならびにポリエステル−エポキシ樹脂の製造のためのエポキシ樹脂と共に使用される予備重合したポリエステルジオールにも同じことが当て嵌まる。
【0107】
従って、エポキシ樹脂エステル(E)は、好ましくは、エポキシ樹脂、好ましくはヒドロキシ官能性エポキシ樹脂と、カルボン酸を含有するポリエステル(e1)ならびに/またはモノマー性ジオール、トリオール、四価のアルコールのような多価の有機ポリオール、もしくはポリエステルジオール、ジカルボン酸のような多塩基性の有機カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸の無水物のようなポリカルボン酸の無水物、およびまた、任意に、モノカルボン酸および単純アルコールからなる群から選択される化合物(e2)との反応によって製造される。
【0108】
ポリエステルの合成に適切な所定の化合物(e2)は、好ましくは、モノマー性ジオール、トリオール、四価のアルコール、およびポリエステルジオール、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸の無水物、ならびにまた、任意にモノカルボン酸および単純アルコールからなる群から選択される。ポリエステル(e1)は好ましくは化合物(e2)の反応により、殊に好ましくは好ましい化合物(e2)の反応により製造される。
【0109】
本発明の別の好ましい実施形態において、エポキシ樹脂エステルは、o−フタル酸、イソフタル酸、安息香酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、二量体脂肪酸、ポリプロピレングリコール、ならびにパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリシノール酸のようなC
12〜C
24脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種の成分(e2a)を用いて製造される。
【0110】
従って、上述の説明によると、上述の成分(e2a)は、好ましくは、エポキシ樹脂と、カルボン酸を含有するポリエステル(e1)ならびに/またはモノマー性ジオールもしくはポリエステルジオールのような多価の有機ポリオール、ジカルボン酸のような多塩基性の有機カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸の無水物のようなポリカルボン酸の無水物、およびまた、任意に、モノカルボン酸および単純アルコールからなる群から選択される化合物(e2)との反応中に製造プロセスまたは反応プロセスに組み込まれる。従って、これは、カルボン酸を含有するポリエステル(e1)が好ましくは上述の成分(e2a)の少なくとも比例した使用により製造されること、および/またはエポキシ樹脂エステル(E)を製造するためにエポキシ樹脂との反応に好ましく使用される上述の化合物(e2)が成分(e2a)の群から少なくとも比例して選択されることを意味する。
【0111】
さらに、エポキシ樹脂エステル(E)がリンを含有するのが好ましい。リンを含有するエポキシ樹脂エステル(E)、より特定的には上記のようにエポキシ樹脂とポリエステル(e1)および/またはポリエステル合成に適切な化合物(e2)との反応により製造されるものは、対応するトップコート膜の接着力および膨潤挙動の最小化の点で特に良好な性質をもたらす。
【0112】
このリンは好ましくはホスフェート基の形態でエポキシ樹脂エステル中に取り込まれる。特に、ホスフェート基は、エポキシ樹脂エステル(E)を製造する際に使用されるエポキシ樹脂とリン酸との反応、および対応するエステル化により導入される。従って、それ自体公知のこの反応において、エポキシ樹脂のエポキシド基はリン酸と反応してリン酸エステルを形成する。このようにしてホスフェートで変性したエポキシ樹脂を次に上記のように反応させてエポキシ樹脂エステル(E)を形成する。
【0113】
従って、ホスフェート変性エポキシ樹脂および/またはホスフェート基を含有するエポキシ樹脂を用いて製造されるエポキシ樹脂エステル(E)が好ましい。
【0114】
優先的に使用されるエポキシ樹脂エステル(E)は、好ましくは、上記のエポキシ樹脂および任意のホスフェート変性エポキシ樹脂の分率であるエポキシ樹脂分率が40〜90wt%、好ましくは50〜75wt%である。分率は上記のように固形分含量を介して決定される。これは、上記のように、使用されるエポキシ樹脂(および/またはエポキシ樹脂分散液)、およびさらなる出発生成物、より特定的には成分(e1)および(e2)の固形分含量を確認し、その後使用した量を考慮して逆計算によりエポキシ樹脂エステル(E)の分率を確認するということを意味する。
【0115】
エポキシ樹脂エステルのリン含量は好ましくは0.5〜3wt%、より好ましくは1〜2.5wt%である。この量は、例えば、リンを導入するときに使用される出発物質、言い換えると、より特定的には、定量的変換の仮定の下にエポキシ樹脂およびリン酸の量を考慮に入れて算術的に決定することができる。
【0116】
エポキシ樹脂エステル(E)は通例、1000〜3000g/mol、好ましくは1500〜2500g/molの数平均分子量、および30〜90mgKOH/g、好ましくは35〜50mgKOH/gの酸価を有する。OH数は通例100〜260mgKOH/g、好ましくは160〜200mgKOH/gである。
【0117】
本発明のコーティング組成物中の少なくとも1種のエポキシ樹脂エステル(E)の量は、各々の場合に本発明のコーティング組成物の総量に対して、好ましくは0.5〜8.0wt%、殊に好ましくは0.8〜7.0wt%、極めて好ましくは1.0〜6.0wt%、1つの特定の実施形態において1.5〜5.0wt%、次により好ましくは2.0〜4.0wt%である。この量は固形分含量について上記したように決定される。
【0118】
本発明に従って使用されるコーティング組成物は、所望の用途に応じて、上記の成分(A)〜(E)とは異なる1種以上の通例使用される添加剤を成分(G)として含むことができる。これらの添加剤(G)は、好ましくは、ワックス、酸化防止剤、帯電防止剤、湿潤および分散剤、乳化剤、流動調節助剤、可溶化剤、消泡剤、湿潤剤、安定化剤、好ましくは熱安定剤ならびに/または熱的安定剤、工程内安定剤ならびにUV安定剤ならびに/または光安定剤、光保護剤、脱気剤、抑制剤、触媒、軟化剤、難燃剤、例えばブチルグリコールおよび/またはブチルグリコールアセテートのような有機溶媒、反応性希釈剤、撥水剤、親水化剤、増粘剤、チキソトロピー剤、耐衝撃性改良剤、増量剤、加工助剤、可塑剤、繊維状固体、ならびに上述の添加剤の混合物からなる群から選択される。本発明のコーティング組成物中の添加剤(G)の量は意図される用途に応じて極めて広範に変化し得る。本発明に従って使用されるコーティング組成物の総質量に対する量は好ましくは0.01〜25.0wt%、より好ましくは0.05〜15.0wt%、極めて好ましくは0.1〜10.0wt%である。
【0119】
本発明のコーティング組成物の固形分含量は好ましくは10〜85wt%、より好ましくは15〜80wt%、極めて好ましくは20〜75wt%、より好ましくは40〜70wt%である。本発明のコーティング組成物の固形分含量は上記のように決定される。
【0120】
本発明のコーティング組成物は、高速攪拌機、攪拌槽、掻き混ぜミル、溶解機、コンパウンダー、またはインライン溶解機を用いて、上に記載されたコーティング組成物のそれぞれの成分を混合および分散および/または溶解することによって製造することができる。
【0121】
さらに、本発明により、任意にプライミング処理された金属性基材上に本発明のコーティング組成物を塗布し、その後硬化させることを含む、本発明のコーティング組成物を用いて金属性基材上でトップコートを生産する方法が提供される。
【0122】
最終的に考えられる金属性基材としては、これに関連して当業者に公知のあらゆる金属または基材が包含される。しかし、より特定的には、パッケージコーティングセクターに使用される金属性基材、言い換えると、好ましくは、ブリキシート、クロム鋼シート、およびアルミニウムが使用される。
【0123】
これらの基材は本来任意の所望の形態をとり得る。例えば、これらは、例えば被覆後三次元構造に賦形することができる金属性基材プレートでよい。しかしながら、本発明の方法との関連で、既に十分に成形された形状の構造体の被覆が同様に可能である。予備成形された円筒形態にある三次元形状の構造体を被覆することが等しく可能であり、これらの構造体はその後、被覆後飲料缶または保存缶のような缶により詳細に成形されるものである。特に、予備成形された後被覆された形状の構造体がその後、例えば上述のネッキングによりディテール成形にかけられる後者の変形は、パッケージコーティングセクターで遭遇することが多く、従って好ましい。従って、特に好ましい基材は包装系、より特定的には包装容器、好ましくは食品包装である。
【0124】
トップコートを生産する目的で本発明のコーティング組成物を塗布し硬化させる前に、金属性基材を、公知の確立された技術に従って、例えば、典型的なスタンピングコートまたはプライミングワニスで前処理および/またはプライミング処理および/または被覆(すなわち、例えばスタンピングコートまたはプライミングワニスの塗布および硬化)してもよい。スタンピングワニスとは、公知のように、従ってまた本発明との関連で、色付きまたは白色に、好ましくは白色に着色されたコーティング材料をいい、従って対応する顔料を含む。それは下にある基材を隠蔽し、すなわち隠し、またより特定的には装飾特性の役に立ち、印刷用インクによる印刷適性、さらにまたトップコートに対する接着力の促進を可能にする。プライミングワニスは、公知のように、従ってまた本発明の目的でも、顔料を全く含まないか、または専らもしくは主として透明な顔料を含み、従ってスタンピングワニスのようには基材を隠さないコーティング材料をいう。しかしながら、その他の点では、プライミングワニスはまた、スタンピングワニスによる機能、すなわち、特に、接着力の促進および印刷適性の仲立ちも実現する。プライミング組成物およびプライミングコートおよび/またはスタンピングワニス系は当業者に公知であり、問題なく選択することができる。上述のことから、基材を、例えば着色されたこの種のコーティング材料を塗布し硬化させた後に、印刷用インクにより、例えば証印などの形態で印刷することが同様に可能であるということになる。そこでその後、本発明のコーティング組成物を、トップコートを生産する目的で以下に記載されるように塗布し硬化させることができる。
【0125】
しかしながら、本発明の特別な利点は、スタンピングワニスまたはプライミングワニスのようなワニスで前もって被覆しなくても、好ましくは全くプライミング処理することなく、そしてスタンピングワニスまたはプライミングワニスのようなワニスを前もって塗ることなく、本発明のコーティング組成物を用いて、冒頭に述べた要件を満たす被覆された基材を生産することができるということである。特に注目すべきは、着色のような良好な装飾特性、および同時に良好な印刷適性、ならびにまた、特に、特にまだ完全には硬化してないときのコーティングの場合、対応するコーティングの部分での大幅に改良された耐摩耗性である。
【0126】
従って、本発明の方法との関連で、本発明のコーティング材料は、好ましくは、直接基材に塗布し、次いで硬化させる。このようにしてトップコート膜が生産される。従って、これは、本発明の方法の一部として単一コートのコーティングが好ましく生産されることを意味する。従って、本発明のコーティング組成物から生産されたコーティングはコーティングの唯一の塗膜である。以後このコーティングに対して設けられるものは全て、任意に、基材、例えば飲料缶に特別な装飾を付与するが本発明の意味でのコーティングを構成しない印刷用インクである。
【0127】
本発明のコーティング組成物の塗布は当業者に知られているやり方で行われ、例えば、ロール塗布、浸し塗り、ナイフコーティングにより、例えば圧縮空気吹き付け塗装によるような吹き付け塗装、エアレススプレー塗り、高速回転、任意に例えば高温空気(ホットスプレー)のようなホットスプレー塗布を伴う静電塗装(ESTA)により達成することができる。ロールプロセスが好ましい。
【0128】
塗布後、塗布したコーティング組成物を硬化させる。硬化、より正確には完全な硬化とは、当業者によく知られている術語上の意味を有する。従って、塗膜の硬化、より正確には完全な硬化は、かかる膜のすぐに使える状態への、言い換えると、従って、それぞれの塗膜を備えた基材を輸送し、貯蔵し、その意図される用途につかせることができる状態への変換であると理解される。その後、硬化させた塗膜は、特に、もはや軟らかくも粘着性でもないが、その代わりに硬い塗膜として条件付けられる。硬さ、基材への接着、または耐摩耗性のようなその特性は、以下に記載されるもののような硬化条件にさらに曝露しても、もはや改良されることはない。従って、この条件において、以下に記載される硬化条件にさらに曝露しても、塗膜の架橋構造はもはや増大することはできず、コーティングの強度は、バインダーとしてのポリマーおよび架橋剤のような成分内にまだ存在する反応性の補完的な官能基がもはや可動ではなく、従って、もはやさらなる硬化反応に利用可能ではないということを意味する。それどころか、実際は、以下に記載されるもののような硬化条件にさらに曝露すると網目構造の劣化が伴われることがあり、その結果としてコーティングの本来有利な性質が再び低下する可能性さえある。
【0129】
完全な硬化は好ましくは150〜450℃の温度で10〜1800秒の時間行うことができる。硬化温度と硬化時間の対応する組合せは当業者によく知られており、二、三の目的に合わせた実験により確認することができる。例えば、完全な硬化は400℃で60〜180秒または230℃で300〜600秒続行することができる。
【0130】
上述の温度は、各々の場合にオーブン温度であり、言い換えると被覆された基材が硬化させられる空間内の周囲温度と理解するべきである。
【0131】
しかしながら、本発明の極めて特別な利点は、本発明のコーティング組成物を用いて基材上に生産されたコーティングが、完全に硬化されなくても、従来技術と比較して大幅に改良された耐摩耗性を示すことである。これにより、冒頭に記載したように、生産プロセス中の被覆された基材の対応する機械的荷重にもかかわらず、前記生産中の最適のエネルギーバランスが可能になる。特に、コーティング組成物および印刷用インクの連続的な塗布ならびに(任意に各々の場合部分的な)硬化の目的の加熱を含むプロセスで生産される包装容器をこのようにして有利に生産することができる。また印刷適性もこのようにして改良することができる。
【0132】
従って、そこで、例えば、特定のコーティング組成物に関して、被覆された基材を、完全な硬化に必要とされるよりも低い温度および/または短い時間で処理する場合、部分的なだけの硬化が達成される。これらの状況もまた、当業者によって簡単な方法で手元の特定の場合に適合させることができる。例えば、部分的なだけの硬化は、400℃で2〜15秒または230℃で60〜240秒続行することができる。
【0133】
従って、この有利なエネルギーバランスおよび改良された印刷適性の意味で、本発明の方法は、1つの好ましい実施形態において、次の工程に関する。本発明のコーティング組成物の金属性基材への塗布および塗布されたコーティング組成物のその後の不完全な硬化、1つ以上のさらなるコーティング組成物および/または印刷用インクの基材および/または本発明のコーティング材料の完全には硬化してないコーティングへの連続的な塗布。被覆された基材は各々の塗布の後硬化条件に曝され、すなわち、例えば400℃で2〜15秒の時間処理される。ここで必然の連続的硬化条件は、被覆された基材の硬化条件への最後の曝露の後、塗布されたコーティング組成物および印刷用インクの全てが硬化するように選択される。従って、硬化条件への曝露は、その後に存在するコーティングが完全に硬化していることと必ずしも同義ではない。従って、特に、部分的に硬化したコーティングも得られ、さらなる硬化工程でのみ、言い換えると硬化条件へのさらなる曝露中にのみ完全に硬化させることが可能である。好ましくは、印刷用インクのみが本発明のコーティング組成物の塗布によって生産されたコーティングに塗布される。従って、さらなるコーティング組成物、より特定的にはワニスまたはプライマーは、好ましくは金属性基材にのみ塗布されるか、またはお互いに多重コート系の形態で設けられ、その場合これらの層の第1のものが基材上に配置される。従って、平面状の基材の場合、当該基材面は基材の第2の平坦面である。包装容器、より特定的には飲料缶の場合、本発明のコーティング材料は好ましくは外部コーティングを生産するのに使用される。従って、さらなるワニスおよび/またはプライマーは好ましくは基材の内部のみに塗布される。印刷用インクだけは本発明のトップコートの外側またはトップコート上に配置されるのが好ましい。
【0134】
本発明のワニス系、より特定的には単一コートワニス系の場合、本発明のコーティング組成物を用いて生産されるトップコートは一般に、好ましくは2〜12マイクロメートル、殊に好ましくは3〜10マイクロメートル、極めて好ましくは4〜8マイクロメートルの乾燥膜厚を有する。
【0135】
本発明はまた、本発明の方法によって生産されたトップコート、および本発明の方法に従って被覆された金属性基材にも関する。従って、本発明は、特に単一コートのコーティングで被覆された金属性基材も提供し、このコーティングは本発明のコーティング組成物を用いることによって生産される。
【実施例】
【0136】
a)コーティング組成物の製造
溶解機によって撹拌し混合しながら、表1により詳細に示すコーティング組成物C1(比較)およびI1(本発明)を各々生産した。この場合、表1に示す成分を表に示す方法および順序で組み合わせた。表1はまた成分の固形分含量(NVC)も示す(ここで、1=100%)。
【0137】
【表1】
【0138】
b)トップコートの生産およびコーティングの性能調査
a)で製造したコーティング組成物を、ロール塗布により280〜320mg/缶のコートアドオン(5〜6マイクロメートルの膜厚に対応する)で鉄缶(0.33リットル)に塗布した。
【0139】
被覆した基材を次に強制空気オーブン内で230℃の温度に3分曝露した。その後、こうして生産された部分的に硬化したトップコート(B−C1)および(B−I1)のいろいろな性能特性を検査した。
【0140】
耐摩耗性はDIN EN 13523−11 MEK試験によって検査した。一片の綿湿布(Art.No.1225221、Roemer Apotheke Rheinberg製)をMEKハンマーのヘッドに輪ゴムで固定し、その後MEK(メチルエチルケトン)を浸す。ハンマーは重さが1200gであり、配置面積2.5cm
2のハンドルを有する。ハンマーを同様に溶媒で満たすと、綿湿布中に連続的に流れ込む。これにより、湿布が試験の間中ずぶ濡れ状態であることが保証される。金属試験パネルを湿布で一回前後に擦る。このパネルは上で使用した試験パネルと類似である(=1DR、一回の二重摩擦)。ここで試験距離は9.5cmである。ここで1DRは1sで行われる。この手順中、追加の力がハンマーに加わることはない。金属試験パネルの端における反転の頂点および底点は評価しない。金属試験パネル上の塗膜全体を基材まで浸食するのに必要なDRの数をカウントする。
【0141】
必要とされる二重摩擦の数が多くなればなるほど、ハンマーによる機械的応力の影響に対する塗膜の安定性はそれだけ高く、ここでMEKはさらに特別に応力を増大させる。このようにして、機械的耐摩耗性に関連付けることができる評価が得られる。結果(DRの数)を表2に示す。
【0142】
光沢、ポッピングマークの発生に対する安定性、および部分的に硬化したトップコートの平準化も検査した。これらの調査は視覚的手段により行った。この視覚的調査は、表面品質の代表的な効果を与えるために、いろいろな視角からいろいろな光条件下で行った。表2に対応する結果を示す。
【0143】
【表2】
【0144】
結果は明らかに、本発明のコーティング組成物を用いて生産されたまだ硬化してないトップコートの耐摩耗性が従来技術の系に対して改良されていることを示している。同時に、存在する成分の量、より特定的にはポリマー(A)およびコポリマー(C)の量の慎重な調整によって、光沢、平準化、およびポッピングに対する安定性の点でコーティングの基本的に重要な性質が十分に保存されていた(sat.=十分)ことは明らかである。