(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496735
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ガスタービン海上設備
(51)【国際特許分類】
F02C 7/20 20060101AFI20190325BHJP
F02C 7/143 20060101ALI20190325BHJP
F02C 3/04 20060101ALI20190325BHJP
F02C 3/107 20060101ALI20190325BHJP
F02C 9/18 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
F02C7/20 A
F02C7/143
F02C3/04
F02C3/107
F02C9/18
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-536846(P2016-536846)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公表番号】特表2017-502192(P2017-502192A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014076761
(87)【国際公開番号】WO2015086464
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月27日
(31)【優先権主張番号】FI2013A000297
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513243790
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NUOVO PIGNONE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マルクッチ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カルミナーニ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】キャパーニ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ケイ,イアン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ビアンチ,パオロ
【審査官】
小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0254281(US,A1)
【文献】
特開2010−168217(JP,A)
【文献】
特開2013−117226(JP,A)
【文献】
特開昭58−010124(JP,A)
【文献】
Michael J. Reals,GE Energy: New High Efficiency Simple Cycle Gas Turbine - GE's LMS100,米国,General Electric Company,2004年,URL,https://www.ge.com/content/dam/gepower-pgdp/global/en_US/documents/technical/ger/ger-4222a-new-high-efficiency-simple-cycle-gas-turbine-lms100.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00−15/12、23/00−25/36
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデッキ(25)を有する浮体構造体と、前記デッキ(25)上に取り付けられたベースプレート(31)とを備える海上ガスタービンシステムであって、
前記ベースプレート(31)は、
低圧コンプレッサ(3)と、高圧コンプレッサ(5)と、燃焼器(7)と、高圧タービン(9)と、中圧タービン(11)と、低圧タービン(13)とを有するガスタービン(1)であって、前記低圧コンプレッサ(3)は前記中圧タービン(11)によって回転するように駆動され、前記高圧コンプレッサ(5)は前記高圧タービン(9)によって駆動され、前記低圧タービン(13)はロードカップリング(21)を有する、ガスタービン(1)と、
前記低圧タービン(13)の前記ロードカップリング(21)に機械的に接続されるとともに前記低圧タービン(13)によって回転するように駆動される少なくとも1つの従動機器と、
を支持し、
前記低圧コンプレッサ(3)と前記高圧コンプレッサ(5)との間に中間クーラー(19)が設けられ、前記低圧コンプレッサ(3)から送出された第1圧力値の空気は、前記高圧コンプレッサ(5)に送出される前に前記中間クーラー(19)を流れ、
前記ベースプレート(31)は、前記中間クーラー(19)とは別に前記デッキ(25)上に支持され、前記中間クーラー(19)は、前記低圧コンプレッサ(3)の出口ディフューザスクロールケース(33)と、前記高圧コンプレッサ(5)の入口コレクタースクロールケース(35)とにそれぞれ、変位耐性の流体接続部(37、39)を介して接続され、
前記ガスタービン(1)は、前記ベースプレート(31)に束縛されたガスタービンプラットフォーム(29)によって支持されている、
海上ガスタービンシステム。
【請求項2】
前記低圧コンプレッサ(3)の前記出口ディフューザスクロールケース(33)と前記中間クーラー(19)との間、又は、前記中間クーラー(19)自体の上に可変の抽気バルブシステム(46)が配置され、前記可変の抽気バルブシステム(46)は、前記ベースプレート(31)とは別に前記デッキ(25)上に支持されるスタック(45)及び消音装置を備える、請求項1記載のガスタービンシステム。
【請求項3】
前記ベースプレート(31)は、実質的に均衡した接続部で前記デッキ(25)に接続されている、請求項1又は2記載のガスタービンシステム。
【請求項4】
前記ベースプレート(31)は、3点接続部で前記デッキ(25)に接続されている、請求項1、2又は3記載のガスタービンシステム。
【請求項5】
前記3点接続部は、前記ベースプレート(31)の下で前記ベースプレート(31)と前記浮体構造体の前記デッキ(25)との間に配置された3つのジョイント(32A、32B、32C)を備え、好ましくは、実質的に二等辺三角形の頂点に位置する、請求項4記載のガスタービンシステム。
【請求項6】
前記3点接続部は、第1ジョイント(32A)と、第2ジョイント(32B)と、第3ジョイント(32C)とを備え、前記第1ジョイント(32A)は、前記ガスタービン(1)の下に、おおよそ前記ガスタービン(1)の中心線に沿って、前記ガスタービン(1)と前記中間クーラー(19)との間の流れ接続部に配置され、前記第2ジョイント(32B)及び前記第3ジョイント(32C)は前記従動機器の下に配置されている、請求項4記載のガスタービンシステム。
【請求項7】
前記従動機器は少なくとも1つのコンプレッサを備える、請求項1乃至6のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンプレッサは、ギアボックス(62)を介して前記低圧タービン(13)の前記ロードカップリング(21)に接続されている、請求項7記載のガスタービンシステム。
【請求項9】
前記従動機器は、直列に配置された第1コンプレッサ(57)及び第2コンプレッサ(59)を少なくとも備え、前記ガスタービン(1)と前記第1コンプレッサ(57)との間にギアボックス(62)が配置されている、請求項7記載のガスタービンシステム。
【請求項10】
前記従動機器は、直列に配置された第1コンプレッサ(57)及び第2コンプレッサ(59)を少なくとも備え、前記第1コンプレッサ(57)と前記第2コンプレッサ(59)との間にギアボックス(62)が配置されている、請求項7記載のガスタービンシステム。
【請求項11】
前記従動機器は、前記ベースプレート(31)に束縛された負荷プラットフォーム(63)によって支持されている、請求項1乃至10のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【請求項12】
前記従動機器は、第1コンプレッサ(57)及び第2コンプレッサ(59)を備え、前記第1コンプレッサ(57)及び前記第2コンプレッサ(59)はそれぞれ、第1コンプレッサプラットフォーム(63A)及び第2コンプレッサプラットフォーム(63B)によって支持され、前記第1コンプレッサプラットフォーム(63A)及び前記第2コンプレッサプラットフォーム(63B)は前記ベースプレート(31)に接続されている、請求項1乃至11のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【請求項13】
前記ベースプレート(31)及び前記中間クーラー(19)は両方とも、前記少なくとも1つのデッキ(25)上に置かれている、請求項1乃至12のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【請求項14】
前記中間クーラー(19)は、前記少なくとも1つのデッキ(25)とは高さの異なる第2デッキ上に置かれている、請求項1乃至13のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【請求項15】
前記第2デッキは前記少なくとも1つのデッキ(25)の下に位置している、請求項14記載のガスタービンシステム。
【請求項16】
前記ベースプレート(31)及び前記中間クーラー(19)は、少なくとも部分的に鉛直方向に重なる、請求項1乃至12のいずれか1項記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン設備及びシステムに関し、より具体的には、例えば発電又は機械的駆動用途用の海上ガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、特に航空機転用型ガスタービンは多くの場合、発電及び機械的駆動用途用の海上設備の原動機として使用される。
【0003】
ガスタービンによって発生した機械的動力は、海上システムに電力を供給する発電機を駆動するために、及び/又はターボコンプレッサのような他の回転機器を駆動するために使用される。オイル及びガス用途では、ガスタービンは、LNGシステムのコンプレッサを駆動するための海上設備で使用され、後続の輸送のために天然ガスを液化するために使用される。
【0004】
ガスタービンを海上で使用する際の主な関心ごとの1つは、狭い有効スペース内に高い比出力を集約する必要があることである。ガスタービン設備の設置面積は、海上ガスタービンシステムの重要な側面となる。
【0005】
ガスタービンシステムの効率を向上させることと、ガスタービン設備の全体的な寸法及び設置面積を同時に減らすシステムによって送出される比出力を高めることに、絶え間ない努力がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0254281号明細書
【発明の概要】
【0007】
1つの側面によれば、本開示は、ある構造体、特に浮体構造体、例えば、少なくとも1つのデッキ及びデッキに取り付けられたベースプレートを有するベッセル又は海上プラットフォームを備える海上ガスタービンシステムに関する。ベースプレートはガスタービンを支持する。ガスタービンは、低圧コンプレッサと、高圧コンプレッサと、燃焼器と、高圧タービンと、中圧タービンと、低圧タービンとを備える。低圧コンプレッサは、中圧タービンによって回転するように駆動され、高圧コンプレッサは、高圧タービンによって駆動され、低圧タービンはロードカップリングを有する。ベースプレートはさらに、低圧タービンのロードカップリングに機械的に接続されるとともに前記低圧タービンによって回転するように駆動される少なくとも1つの従動機器を支持する。
【0008】
さらに、中間クーラーが、低圧コンプレッサと高圧コンプレッサとの間に設けられる。低圧コンプレッサによって送出される第1圧力値での空気は、高圧コンプレッサに送出される前に中間クーラーを流れる。ベースプレートは、中間クーラーから別々にデッキ上で支持され、すなわち、中間クーラーは、ベースプレート上に配置されないが、直接あるいは異なるベースプレート又は構造体を介在させてデッキ上に配置される。他の実施形態では、中間クーラーは、異なるデッキ、例えばより低いデッキ上に配置され、ベースプレート及びガスタービンが位置するデッキの下に配置される。さらに、中間クーラーは、低圧コンプレッサの出口ディフューザスクロールケースと、高圧コンプレッサの入口コレクタースクロールケースとにそれぞれ、変位耐性の流体接続部を介して接続される。
【0009】
本記述の必須部分を構成する特徴及び実施形態が本明細書で以下に開示され、さらに添付の特許請求の範囲で明らかにされる。上記簡単な記述は、後続する詳細な説明をより良く理解することができるとともに当該技術への本貢献をより良く評価できるように、本発明の様々な実施形態の特徴を明らかにする。当然のことながら、後述するとともに添付の特許請求の範囲で明らかにされる発明の他の特徴がある。これに関し、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の様々な実施形態は、それらの用途において、後続する記述又は図面における図解で明らかにされる構造の詳細と、構成要素の配置とに限定されるものではないことが理解されよう。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行できる。本明細書で使用される表現及び用語は説明のためであって限定とみなすべきではないことも理解されるべきである。
【0010】
本開示が基づく着想が、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、及び/又はシステムを設計する根拠として容易に利用され得ることは、当業者に理解されるであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、均等な構造を含むものとみなすことが重要である。
【0011】
本発明の開示された実施形態及び本発明の付随する利点の多くをより完全に評価することは、添付の図面と共に考慮する際に後続する詳細な説明を参照することによってより良く理解されるので、容易に達成されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ガスタービン構成要素の機能上の模式図である。
【
図2】1つの実施形態におけるガスタービンシステムの平面図である。
【
図2A】
図2のIIA−IIA線による部分側面図である。
【
図3】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図4】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図5】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図6】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図7】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図8】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図9】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図10】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図11】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図12】ガスタービン及びガスタービンによって駆動される関連した回転機器の異なるレイアウトを模式的に示す図である。
【
図13】2つのガスタービンシステムが配置された、ベッセルの模式的な平面図である。
【
図14】本開示によるガスタービンの配置のさらなるレイアウトを示す図である。
【
図15】本開示によるガスタービンの配置のさらなるレイアウトを示す図である。
【
図16】本開示によるガスタービンの配置のさらなるレイアウトを示す図である。
【
図17】本開示によるガスタービンの配置のさらなるレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な実施形態の後続する詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同一又は同様の要素と同一視する。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、後続する詳細な説明は本発明を限定しない。その代わり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0014】
本明細書を通しての「1つの実施形態」又は「ある実施形態」又は「いくつかの実施形態」についての言及は、ある実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造、又は特性が、開示された主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な個所で現れるフレーズ「1つの実施形態において」又は「ある実施形態において」又は「いくつかの実施形態において」は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において適当な方法で組み合わせてもよい。
【0015】
図1は、本開示によるシステムのガスタービンの主要な構成要素を模式的に図示している。ガスタービンは全体として1で指定されている。いくつかの実施形態では、ガスタービン1は、低圧コンプレッサ3と、高圧コンプレッサ5と、燃焼器7と、高圧タービン9と、中圧タービン11と、低圧タービンすなわち出力タービン13とを備えている。低圧コンプレッサ3は、中圧タービン11によって回転するように駆動される。低圧コンプレッサ3のロータと、中圧タービン11のロータとは、第1シャフト15によって接続されている。高圧コンプレッサ5は、高圧タービン9によって回転するように駆動される。高圧コンプレッサ5のロータは、第2シャフト17によって高圧タービン9のロータに接続されており、第2シャフト17は、中空であり、低圧コンプレッサを中圧タービンに接続するために第1シャフト15が第2シャフト17を通って延びている。
【0016】
低圧コンプレッサ3と高圧コンプレッサ5との間に、中間クーラー19が設けられている。低圧コンプレッサ3によって送出された燃焼空気は、高圧コンプレッサ5に送出される前に、例えば水又は空気に対する熱交換によって中間クーラー19内で冷却されて、空気の密度を高め、したがって、最終的な燃焼空気圧力を達成するために高圧コンプレッサ5に要求される仕事の量を減らす。
【0017】
ロードカップリング21を、ガスタービン1の高温側、すなわち、低圧タービンすなわち出力タービン13が配置される側に設けることができる。ロードカップリング21は、低圧タービンすなわち出力タービン13によって回転するように駆動される。
【0018】
これまで記述したガスタービン1は、次のように動作する。周囲の空気は、低圧コンプレッサ3によって吸い込まれ、第1圧力レベルまで圧縮される。ある程度圧縮された空気は、高圧コンプレッサ5に送出される前に中間クーラー19を通して送出される。そのため、空気流の温度は低下し、空気の密度は増加し、それにより、高圧コンプレッサ5によるさらなる圧縮に要求される動力は低減される。
【0019】
ある程度圧縮され冷却された空気は次に、高圧コンプレッサ5の吸引側に送出され、最終圧力に圧縮されるとともに燃焼器7に送出される。燃料Fが空気に添加され、空気/燃料の混合物は点火されて、高温の圧縮ガスを発生する。続いて、燃焼ガスは高圧タービン9、中圧タービン11、及び低圧タービンすなわち出力タービン13内で膨張される。各タービン内では、ここを通って膨張するガスのエネルギーの一部が、有用な機械的エネルギーに変換され、それぞれのシャフトで利用可能となる。
【0020】
高圧タービン9によって発生した機械的動力は、もっぱら高圧コンプレッサ5を駆動するために利用され、一方で、中圧タービン11によって発生した機械的動力は、もっぱら低圧コンプレッサ3を駆動するために使用される。
【0021】
低圧タービンすなわち出力タービン13によって発生した機械的動力は、
図1に図示されていない従動機器を駆動するためのロードカップリング21で利用可能となる。いくつかの実施形態では、従動機器は発電機を備えている。他の実施形態では、従動機器は1つ又は複数のコンプレッサを備えている。従動機器は、動作すべき機械的動力を要求する他の任意の機器を含むことができる。同一のガスタービンが、1つより多い回転機械、例えば1つ又は複数のコンプレッサ及び/又は1つ又は複数の発電機を駆動することができる。1つ又は複数の速度操作装置、例えばギアボックスを、出力タービン13を従動機器に接続する軸線上において、ガスタービンと従動機器との間、及び/又は、同一のガスタービンによって駆動される連続して配置された回転機械間に設けることができ、それにより、様々な回転機械の速度が異なるようにすることができる。
【0022】
図2は、浮体構造体のデッキ25上に位置する、ガスタービン装置及びガスタービン装置によって駆動される関連する負荷の平面図を模式的に図示している。浮体構造体は海上プラットフォームとすることができる。他の実施形態では、浮体構造体はベッセル又は船とすることができる。
図2に示されるガスタービン1の主要な構成要素は、
図1で用いられる同じ参照番号を付されている。
【0023】
ガスタービン1は、デッキ25上にも支持される囲い27内に収納することができる。いくつかの実施形態では、ガスタービン1及び関連する囲い27はガスタービンプラットフォーム29によって支持されている。ガスタービンプラットフォーム29はベースプレート31によって支持することもできる。いくつかの実施形態では、ガスタービンプラットフォーム29及びベースプレート31は単一構造とすることができる。
【0024】
図2では、低圧コンプレッサ3の出口ディフューザスクロールケース33と、高圧コンプレッサ5の入口コレクタースクロールケース35とが示されている。出口ディフューザスクロールケース33は、ダクト32及びダクト32に沿って配置されたフレキシブルジョイント37を介して中間クーラー19に接続され、ある程度圧縮された空気が中間クーラー19の内部を流れる。
【0025】
入口コレクタースクロールケース35は、ダクト34及びダクト34に沿って配置されたフレキシブルジョイント39を介して中間クーラー19に接続されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、中間クーラー19は、41で模式的に示される別個の中間クーラー構造体によってデッキ25上に支持されている。フレキシブルジョイント37及び39はそれぞれ、中間クーラー19とガスタービン1の出口ディフューザスクロールケース33並びに入口コレクタースクロールケース35との間で起こり得る取り付け不良又はずれを補正する。当該取り付け不良及び/又はずれは、デッキ25の曲げ変形によって起こる可能性があり、海の動きやガスタービンによってかけられる動作負荷によって促進される。したがって、フレキシブルジョイント37及び39は、ガスタービン1をベースプレート31上に取り付けさせ、ベースプレート31は、中間クーラー19が支持されるベースプレート、プラットフォーム、又は構造体41とは別のものである。
【0027】
いくつかの実施形態では、ベースプレート31は多点接続システムでデッキ25上に支持することができる。他の実施形態では、実質的に均衡した接続システム、例えば、3点支持システムが好適に使用され、これによりベースプレート31は3つのジョイントによってデッキ25に接続される。ジョイントは、ジンバルとも名づけられる球形ジョイント、又は、AVMとも名づけられる防振取付具とすることができる。この種の接続部は、局所的なデッキの変形によって引き起こされるベースプレートの変形のないデッキへの接続を保証する。各ジョイントは、いくつかの並進変位のみを可能にしてベースプレートとデッキとの間を接続するように構成及び配置される。
【0028】
いくつかの実施形態では、二等辺三角形の頂点に3つのジョイントが配置されている。
図2及び
図2Aには、3つのジョイント32A、32B、32Cの好ましい配置が示されている。第1ジョイント32Aは、おおよそガスタービン1の中心線に配置されている。第2ジョイント32B及び第3ジョイント32Cは好ましくは、負荷の下で、好ましくは負荷の軸方向の展開線に沿った中間の位置で、さらに好ましくは負荷の重心のおおよそ下で、センターラインに関して対称な位置に配置される。
【0029】
特に有利な実施形態では、第1のジョイント32Aは、ガスタービン1の下で出口ディフューザスクロールケース33と入口コレクタースクロールケース35との間に、すなわち、ガスタービン1と中間クーラー19との間の接続と一直線となるように位置している。
【0030】
図2には、ガスタービンシステムのさらなる附属品又は構成要素が示されている。さらに具体的には、ガスタービン1には、出口ディフューザスクロールケース33を中間クーラー19に接続するダクト32上に設けられた抽気システム43を設けることができる。他の実施形態では、抽気システム43は中間クーラーの本体に直接接続されている。抽気システム43は、ある動作条件下で低圧コンプレッサ3から部分的に圧縮された空気を流出するために設けられている。抽気システム43には、消音装置を含むことができる抽気スタック45を設けることができる。抽気スタック45、及び、消音装置のような関連する附属品は、デッキ25上に、又は、ガスタービン1を支持する、ベースプレート31とは別のプラットフォーム又はベースプレート(図示せず)上に直接支持することができる。さらなるフレキシブルジョイント38を、出口ディフューザスクロールケース33を中間クーラー19に接続するダクト上で抽気システム43とガスタービン1との間に設けることができる。可変の抽気バルブ46を、抽気量を調節するために設けることができる。
【0031】
図2には、ガスタービンの低温側において、ガスタービン1をフィルターハウス49に接続する入口プレナム47がさらに示されている。フィルターハウス49は、コンプレッサ3によって吸い込まれる燃焼空気並びにガスタービンの囲い27を冷却するための通風空気を濾過するフィルター装置を含んでいる。
【0032】
いくつかの実施形態では、フィルターハウス49は、デッキ25上で直接支持されている。
【0033】
接続部51が、フィルターハウス49とガスタービンの囲い27との間に配置されている。いくつかの実施形態では、ガスタービン1が支持される、デッキ25の起こり得る曲げ変形及びベースプレート31に関するフィルターハウス49の必然的な取り付け不良又はずれを補償するために、接続部51は十分フレキシブルである。他の実施形態では、システムが変形又はずれにより耐えられるように、フレキシブルジョイントがフィルターハウス49とガスタービンの囲い27との間に配置されている。
【0034】
図2には、ガスタービン1の高温側に排出プレナム53が示されている。排出プレナム53は排出スタック55に接続されており、排出スタック55は、デッキ25上に直接、あるいは図示しないベースプレート又はプラットフォームを介して支持することができる。流れ接続部57が、排出プレナム53と排出スタック55との間に設けられている。接続部57は、デッキ25の曲げ変形によって起こり得るずれ又は取り付け不良を補償する。
【0035】
図2の実施形態では、ガスタービン1は、直列に配置されるとともに共通の軸線61を介して互いに接続される第1コンプレッサ57及び第2コンプレッサ59を備えた従動機器又は負荷を回転するように駆動する。軸線61は、ガスタービン1のロードカップリング21に接続されている。軸線61とロードカップリング21との間の機械的な接続は、負荷の接続のいくつかの可能な実施形態を参照して後により詳細に開示するように、中間ギアボックスを有するか又は有さないフレキシブルジョイントを介することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、コンプレッサ57及び59のような従動機器は、ベースプレート31上にも支持される従動機器プラットフォーム63上に支持することができる。
【0037】
図2の実施形態では、2つの従動機器プラットフォーム63A、63Bが設けられている。他の実施形態では、図示されていないが、1つの従動機器プラットフォームを設けることができ、その上に2つ以上の回転機械、例えば遠心コンプレッサが配置される。
【0038】
図3〜12は、ベースプレート31上に配置された機械の様々な可能な配置、すなわち、互いに機械的に接続されたガスタービン1及び従動機器を模式的に図示している。
【0039】
図3は、
図2により詳細に示された配置に相当する配置を図示している。同じ又は対応する構成要素、部分、又は要素には同じ参照番号を付している。
【0040】
図4は、ガスタービン1のロードカップリング21と第1コンプレッサ57との間にギアボックス62が配置された実施形態を図示している。
図4に示される実施形態では、2つのコンプレッサ57及び59が別々のプラットフォーム63A及び63Bによって支持され、第1プラットフォーム63Aはギアボックス62も支持している。他の実施形態では、3つの機械62、57及び59をベースプレート31上に取り付けられた1つのプラットフォームによって支持することができる。さらなる実施形態では、コンプレッサを支持するプラットフォームとは別のプラットフォーム上にギアボックス62を支持することができる。
【0041】
図5は、
図4の実施形態と同様の変形した実施形態を図示しているが、
図4とは異なり、ギアボックス62は第1コンプレッサ57と第2コンプレッサ59との間に配置されている。ギアボックス62は、コンプレッサ59が位置するプラットフォーム63Bによって支持することができる。他の実施形態では、ギアボックス62は、第1コンプレッサ57が配置される第1プラットフォーム63Aによって支持することができる。さらなる実施形態では、2つのコンプレッサ57、59並びに中間ギアボックス62を支持する1つのプラットフォームを設けることができる。
【0042】
図6には、ガスタービン1のロードカップリング21に直接接続された発電機64をガスタービン1が駆動する実施形態が示されている。発電機64は、プラットフォーム63によって支持することができ、ベースプレート31上にも支持することができる。
【0043】
図7は、
図6の実施形態と同様のさらなる実施形態を図示しているが、ギアボックス73は、ガスタービン1のロードカップリング21と発電機64との間に配置されている。ギアボックス73は、発電機64を支持する同一のプラットフォーム63によって支持することができる。
【0044】
これまでに記載した実施形態では、ガスタービン1及び従動機器を含む機械は、1つ又は複数の中間プラットフォーム21、63、63A、63Bを介在させて、ベースプレート31上に間接的に支持されている。さらなる実施形態では、ベースプレート31上に直接回転機械を支持することができる。
図8では、例えば、
図3と同じ機械がベースプレート31上に直接支持されている。この例示的な実施形態では、ガスタービン1は再び、ロードカップリング21を介して、直列に配置された2つのコンプレッサ57及び59を駆動する。
【0045】
図9では、
図4と同じ機械、すなわち、ガスタービン1と、2つのコンプレッサ57、59と、ギアボックス62とが、ベースプレート31上に直接取り付けられている。
【0046】
図10は、
図5の実施形態と同様の変形した実施形態を図示しており、ガスタービン1と、第1コンプレッサ57と、第2コンプレッサ59と、中間ギアボックス62とは、ベースプレート31上に直接取り付けられている。
【0047】
図11に示されるさらなる実施形態によれば、ガスタービン1は、
図6の実施形態と同様に、発電機64を駆動する。しかし、
図11の実施形態では、ガスタービン1並びに発電機64は、中間プラットフォームなしにベースプレート31上に直接取り付けられている。
【0048】
最後に、
図12には、
図7と同様の配置が示されており、ガスタービン1のロードカップリング21と発電機64との間にギアボックス73が置かれている。ガスタービン1と、ギアボックス73と、発電機64とは、ベースプレート31上に直接取り付けられている。
【0049】
いくつかの実施形態では、異なる従動機器、例えば、1つのコンプレッサ、又は、2つよりも多いコンプレッサを備えるコンプレッサ列を設けることができる。さらなる実施形態では、図示されていないが、ガスタービンは、1つ又は複数のコンプレッサと、1つ又は複数の組み合わされた発電機とを駆動することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、コンプレッサは、遠心コンプレッサ、例えば、天然ガスを液化して海上プラットフォーム又はベッセルから汲み出すために使用されるLNGシステム用の冷媒コンプレッサとすることができ、そこでは、ガスタービン1及び関連する従動機器は、輸送の目的でLNGベッセル内に配置される。
【0051】
図13は、ベッセル71の模式的な平面図を図示しており、そこには、2つのガスタービンシステム及び上述した関連する従動機器が位置している。2つのガスタービン及び従動機器装置は、73A及び73Bで示されている。それらは、長さの向きに関して前後方向に配置することができる。
【0052】
図2及び
図2Aに関連して記載された実施形態では、中間クーラー19と、ガスタービン1と、従動機器57、59とは、浮体構造体の同一のデッキ25上に配置されている。しかし、異なる配置、例えば小型化を目的とした配置を提供することができる。
図14〜17は、5つの異なる代替的なレイアウトを模式的に図示しており、設備の全体的な設置面積を減らすために、中間クーラー19及びガスタービン1が浮体構造体の異なるデッキ上で異なる高さに位置している。全ての図面は、かなり模式的であり、正面図には設備の主要な構成要素を図示している。
【0053】
図14〜17では、ガスタービン1及びベースプレート31は上方デッキ25U上に配置されている。中間クーラー19は下方デッキ25L上に配置されている。関連するフレキシブルジョイント37、38、39が付いたダクト32、34は、上方高さに配置されたガスタービン1を下方高さに配置された中間クーラー19に接続するために、少なくとも部分的に鉛直方向に延びている。
【0054】
図14では、中間クーラー19及びベースプレート1が横方向にシフトされており、これにより中間クーラー19がガスタービン1の下に配置されないが、その横方向で下方高さに配置される。ダクト32、34は両方とも二重湾曲を有している。
【0055】
図15では、配置は
図14と同様であるが、ベースプレート31及びガスタービン1に対する中間クーラー19の横方向のシフトはより小さく、1つの湾曲のみが各ダクト32、34に沿って設けられている。
【0056】
図16及び17では、中間クーラー19は、ベースプレート31及びガスタービン1の下に配置されている。
図16では、中間クーラー19とガスタービン1との間に湾曲した接続部が設けられているのに対し、
図17の配置では、真っすぐで鉛直方向の接続部が設けられている。
【0057】
本明細書に記載された主題の開示された実施形態について図に示し、いくつかの例示的な実施形態と共に特別かつ詳細に完全に説明してきたが、本明細書に示された新規な教示、原理及び概念と、添付の特許請求の範囲に列挙された主題の利点とから著しく離れることなしに多くの修正、変更及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。したがって、開示されたイノベーションの適切な範囲は、そのような修正、変更及び省略の全てを包含するように、添付の特許請求の範囲を最も広く解釈することによってのみ決定すべきである。様々な実施形態の異なる特徴、構造及び手段を様々に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ガスタービン
3 低圧コンプレッサ
5 高圧コンプレッサ
7 燃焼器
9 高圧タービン
11 中圧タービン
13 低圧タービン
19 中間クーラー
21 ロードカップリング
25 デッキ
29 ガスタービンプラットフォーム
31 ベースプレート
32A 第1ジョイント
32B 第2ジョイント
32C 第3ジョイント
33 出口ディフューザスクロールケース
35 入口コレクタースクロールケース
37 フレキシブルジョイント
39 フレキシブルジョイント
45 抽気スタック
46 抽気バルブ
57 第1コンプレッサ
59 第2コンプレッサ
62 ギアボックス
63 従動機器プラットフォーム
63A 第1プラットフォーム
63B 第2プラットフォーム