(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496741
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】トラック搭載型コンクリートポンプ
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20190325BHJP
B60P 3/16 20060101ALI20190325BHJP
B66C 23/88 20060101ALI20190325BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
E04G21/04
B60P3/16 Z
B66C23/88 L
F15B20/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-545931(P2016-545931)
(86)(22)【出願日】2015年1月12日
(65)【公表番号】特表2017-506296(P2017-506296A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2015050397
(87)【国際公開番号】WO2015104410
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】102014200396.2
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスターマン カール
(72)【発明者】
【氏名】カステン クヌート
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−006469(JP,A)
【文献】
実開昭52−045964(JP,U)
【文献】
特開平09−151081(JP,A)
【文献】
実開昭57−165688(JP,U)
【文献】
特表2007−527963(JP,A)
【文献】
実開昭61−133649(JP,U)
【文献】
特開2008−056373(JP,A)
【文献】
米国特許第05460301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
B66C 23/88
B66C 23/62
B60P 3/16
F15B 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(12)と、前記車両上に配置されるコンクリート分配ブーム(16)とを有するトラック搭載型コンクリートポンプであって、
前記車両に固定されるブーム停止ユニット(14)上に、アーム部品(24)として格納される多数のブームアーム(22)と、
前記アーム部品(24)を格納し、広げるために具現化されるブーム油圧システムと、を有し、
前記ブーム油圧システムは、格納動作で、前記ブーム停止ユニット(14)に対して、前記アーム部品(24)を移動する少なくとも1つの油圧シリンダ(30)を有するトラック搭載型コンクリートポンプにおいて、
前記油圧シリンダ(30)に連結され、前記格納動作を終わらせる保護回路(20)が設けられ、
前記保護回路は、前記アーム部品(24)の荷重の下で作動可能な切換ユニット(32)を有し、
前記切換ユニット(32)は、前記ブーム停止ユニット(14)上に配置された要素であって、前記アーム部品(24)を格納するときに弾性的な方法で変形される荷重受要素(36)を有し、
前記アーム部品(24)は、前記荷重受要素(36)だけを介して前記ブーム停止ユニット(14)に支持されることを特徴とするトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項2】
前記荷重受要素(36)は、少なくとも1kNの力を弾性的な方法で受け止めるように設計されることを特徴とする、請求項1に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項3】
前記荷重受要素(36)は、10kN以上の力を弾性的な方法で受け止めるように設計されることを特徴とする、請求項2に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項4】
前記荷重受要素(36)は、前記アーム部品(24)によって圧縮される弾性要素装置(38)を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項5】
前記弾性要素装置(38)は皿バネ部品を含むことを特徴とする、請求項4に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項6】
前記切換ユニット(32)は、前記格納動作の終わりで始動させるリミットスイッチ(42)を含み、
前記リミットスイッチは、前記格納動作を自動的に終わらせることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項7】
前記保護回路(20)は、前記油圧シリンダ(30)に接続される油圧調整部材(34)を含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項8】
前記油圧調整部材(34)は、方向制御弁であることを特徴とする、請求項7に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項9】
前記リミットスイッチ(42)は、前記方向制御弁のコントローラコネクタを、制御ユニット(46)から外すことを特徴とする、請求項8に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項10】
前記油圧シリンダ(30)は、前記アーム部品(24)の第1ブームアーム(22’)に連結され、
前記保護回路(20)は、前記格納動作を終わらせるために、前記アーム部品(24)の少なくとも1つの油圧シリンダ(30)の圧油供給を中断することを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項11】
前記保護回路(20)が作動するときに、信号が、前記コンクリート分配ブーム(16)の操作者のために、出力されることを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と前記車両上に配置されるコンクリート拡散ブームとを有するトラック搭載型コンクリートポンプであって、前記コンクリート拡散ブームは、車両に固定されるブーム停止ユニット(boom resting unit)上にアーム部品として格納される多数のブームアームと、アーム部品を格納し、広げるために具現化されるブーム油圧システムと、を含み、前記ブーム油圧システムは、ブーム停止ユニットに対して、格納動作で、アーム部品を移動する第1油圧シリンダを有するトラック搭載型コンクリートポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような可動性コンクリートポンプの場合、コンクリート供給ラインを案内する分配ブーム(distributor boom)は、搬送のために折り畳まれ、ブーム停止ユニット又はブーム台上に、第1ブームアームのための回転継手から離間する部分上に格納され、そのため、例えば、でこぼこ道上を走行するときのブーム動作、又は走行状態における横動作は、できるだけ回避される。油圧システムを使用する場合、アーム部品を非常に極度に下方に押すので、道路上を移動する場合でさえ、改良された固定装置が、構造に対してアーム部品を補強することによって達成されることは可能である。しかしながら、操作者の誤りが生じた場合、構造の望まない塑性変形
や車体への損害
が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づいて、本発明の目的は、従来技術から公知であるトラック搭載型コンクリートポンプをさらに改良し、自ら招いた損害に対する保護のためのできるだけ単純な手段を
保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に開示された特徴の組み合わせは、この目的を達成するために提案される。本発明の有利な実施形態及びさらなる発展は、従属請求項で明らかである。
【0005】
本発明は、力感知要素を、走行状態におけるアーム部品のために、荷重経路に組み入れるという原則に基づく。そのため、本発明によれば、
ブームを駆動する油圧シリンダに連結され、好ましくは格納動作を自動的に終わらせる保護回路
が提案され
る。前記回路
はまた、アーム部品の荷重のもと作動可能
な切換ユニッ
ト又はセンサユニット
、つまり
、アーム部品の荷重を受け止め、
閾値荷重に達したときにトリガするユニットを含む。ブー
ムの(垂直)荷重
(その自重)は言い換えれば、ブーム停止ユニットを介し
て車両に移動
され、センサユニットは、アーム部品とブーム停止ユニットとの間に
取り付けられ、前記センサユニット
は、バイパス(bypass)なし
でアーム部品の全体の荷重を支持す
る。この
ようにして、計測値を再計算することは必要としないで、停止力(resting force)
を許容範囲内
に制限することが可能である。従来の機械
バリエーション(machine variant)の
改良も、したがって、問題のない方法
で可能である。損害に対する対抗手段としての構造の強化は、走行時の荷重
が付加的に増加されないという事実の
ためにもはや必要ではない。
【0006】
有利には、切換ユニットは、ブーム停止ユニット上に配置され
た要素であって、アーム部品を格納するとき
に弾性的な方法
で変形され
る荷重受要素を含む。この
ようにして、荷重
を変形の単純な計測によって確認
すること
が可能であり、変形は
、所定の変形状態を達成する場合
の機械的トリガを同時に可能とする。
【0007】
これに関連して、荷重受要素が、車両上に、アーム部品の重量を分配するために、荷重経路の部分を形成する場合も有利である。
【0008】
さらなる有利な実施形態は、アーム部品が、荷重受要素
だけを介し
てブーム停止ユニット上
に支持され、そのた
め荷重経路が明確に定義される、ということを提供する。
【0009】
生じる荷重を支持可能とするために、荷重受要素が、弾力的な方法で、少なくとも1kN、好ましくは、10kN以上の力を、受け止めるように、設計される場合に有利である。
【0010】
構造上の利点、達成され得るコンパクトな実施形態は、荷重受要素が、弾性要素部品、特に、アーム部品によって圧縮され得る皿バネ部品を含むことを提供する。
【0011】
自動保護作用のため、切換ユニットが、格納動作の終わりに始動させるリミットスイッチを含み、リミットスイッチが、格納動作を自動的に終わらせる場合に有利である。単純な方法で、油圧システムを自動的に解除することは、そのような切換手段によって可能である。
【0012】
保護回路が、油圧シリンダに接続される油圧調整部材、特に、方向制御弁、を含む場合にも有利である。
【0013】
高速反応停止(rapid reaction shut down)は、リミットスイッチが、操作装置から方向制御弁のコントローラ接続(controller connection)を外す、という事実の理由で、可能となる。
【0014】
有利な実施形態において、油圧シリンダは、連結式の方法で、特に、ロッド側上で、アーム部品の第1ブームアームに接続され、保護回路は、特に、油圧シリンダのロッド側圧油供給(pressure oil supply)を中断し、格納動作を終わらせる。
【0015】
使用の場合における、さらなる改良は、保護回路が作動されるときに、信号が、コンクリート分配ブーム(concrete distributor boom)の使用者のために出力されるということを提供する。
【0016】
本発明の目的は、ブームの格納力(stowing force)を制限するためのトラック搭載型コンクリートポンプのための統合システムとしての保護回路でもある。
【0017】
本発明は、さらに、図面に概略的に示される例示的な実施形態に符号を付して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ブーム台上に格納されるコンクリート分配ブームの搬送位置で
のトラック搭載型コンクリートポンプの側面図を示す。
【
図2】
ブーム台へのブームの格納力
を制限するための保護回路のブロック回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
トラック搭載型コンクリートポンプ10は、搬送車両12と、ブーム停止ユニット又はブーム台14を介して、前記車両上に支持可能なコンクリート分配ブーム16と、流動コンクリートを、折り畳まれたコンクリート分配ブーム16を介して車両から遠いコンクリート現場に搬送するためのポンプユニット18と、を含み、その折り畳み又は格納動作は、格納力閾値(stowing force threshold)を達成したときに、保護回路20によっ
てブーム台14上
の図示された搬送位置
で自動的に終わらせ
られる。
【0020】
コンクリート分配ブーム16は、相互に関して旋回され
るブームアームであって、折り畳まれたアーム部品24とし
て連結式の方法で
、第1ブームアームの車両側端の回転継手26を介して
回転ヘッド28に接続され
る多数のブームアーム22(22’,22’’,22’’’)を含む。回転ヘッド28は、回転の垂直軸の周りに回転可能なように、車両12上に取り付けられるが、回転継手26は、回転の水平軸を含む。アーム部品24を回転継手26の周りに旋回するために、第1油圧シリンダ30
が備えられ、前記油圧シリンダは、連結式の方法で、その端で、回転ヘッド28及び第1ブームアーム22’の連結場所
に接続される。図示されていないさらなる油圧シリンダは、コンクリート分配ブーム16に関する公知の方法で配置され、さらなるブームアームを広げる。
【0021】
図1に示される搬送又は走行位置において、第1ブームアーム22’は、水平に又はわずかにだけ傾斜し
て整列される。しかしながら、広げられた状態で
の特定のコンクリート任務を可能にするために、さらなる
傾斜が要求
でき、シリンダーストローク
は搬送位置に制限されない。この結果として、ブーム台14上に格納されるときに、アーム部品24
が油圧シリンダ30を介し
て非常に
強く下方に押されるので、ブーム台14が支持される車体又は構造フレームが損害を受けるという問題が生じる。これを回避するために、ブーム台14
へのアーム部品24の垂直力は、保護回路20によっ
て特徴となる方法で制限される。
【0022】
油圧回路の簡略化された図を有する
図2に示されるように、保護回路20は、ブーム台14上の荷重を探知する切換ユニット32と、第1油圧シリンダ30に連結される方向制御弁34の形態の油圧調整部材と、を含む。切換ユニット32は、アーム部品24を格納するとき
に弾性的な方法で変形可能な荷重受要素36を含む。これは、車両12上
にアーム部品24の重量を分配するための荷重経路37の一部を形成し、力の導入
は明確であり、アーム部品24
は荷重受要素36
だけを介してブーム台14上に支持され
る、ということ
が保証されるはずである。
【0023】
荷重受要素36は、力センサを形成し、それを介して、ブーム台1
4に作用する変形又は弾性変形を確認することを可能にする。便宜上、力閾値は、根本的に、アーム部品24の重量力(重力)より大きくない。この目的のため、荷重受要素36は、10〜20kNの最大弾性力のために設計される皿バネ部品38によって形成され得る。皿バネ部品38は、ブーム台14上の弾性要素ハウジング(図示せず)に組み入れられ、上方に突出する支柱40を介して、アーム部品24を格納するための支持場所を形成することができる。
【0024】
さらに、切換ユニット32は、
荷重受要素36の所定の変形経
路又は弾性経路の終わりに始動
して、格納動作を停止するリミットスイッチ42を含む。この目的のために、
荷重受要素36の変形方向にアーム部品24を通じて移動する切換
プランジャ(switching plunger)44
が設けられ、
前記切換
プランジャは、電気的なリミットスイッチ42
を所定の変形経路の終わり
に圧力要素として開く。
【0025】
調整部材34は、4/3方向制御弁として、第1油圧シリンダ30を、2つの能動的動作方向に、制御ユニット46によって、制御することを可能とする。方向制御弁34が、弾性要素によって中心に置かれる図示された中央位置にある場合、ポンプ48は、タンク50を通じて接続され、油圧シリンダ30は、事前に圧力を加えられて、自己保持の方法で、ベース側及びロッド側上に、圧力の下、とどまる。油圧シリンダ30は、アーム部品24を持ち上げるために、右手側切換位置に、拡張方向で、影響を受ける。左手側切換位置では、油圧シリンダ30は、圧油が供給され、そのため、アーム部品24が、重力の下、ブーム台14上に格納され、必要に応じて、油圧の方法で、追加的に、押される。力制限(force limitation)は、そのとき、リミットスイッチ42が、電磁コントローラコネクタ(electromagnetic controller connector)52を制御ユニット46から外すという事実の理由で、自動的に実施される。同時に、光信号又は音響信号は、信号ユニット54を介して、ユーザのために出力され得る。
【0026】
変更実施形態では、ゴム状弾性の荷重受要素を使用することも可能である。圧力センサは、リミットスイッチの代わりに使用されてもよい。あるいは、荷重受要素は、その弾性変形経路を介して、油圧弁上に直接的に作用し、油圧弁への油供給を中断してもよい。保護回路が、アーム部品とブーム台との間に、切換出力を有する直接力レシーバ(direct force receiver)を配置することも、実現可能である。さらなる可能性は、ひずみゲージによるアーム部品又はブーム台上の直接変形計測(direct deformation measurement)である。あるいは、油圧シリンダの中のベース側及びロッド側圧力レシーバを介して、アーム部品の荷重を、間接的に、決定することも可能であり、ブーム台との接触は、スイッチを介して、追加的に確認される。
【符号の説明】
【0027】
10 トラック搭載型コンクリートポンプ
12 車両
14 ブーム停止ユニット
16 コンクリート分配ブーム
20 保護回路
22 ブームアーム
24 アーム部品
30 油圧シリンダ
32 切換ユニット
34 油圧調整部材
36 荷重受要素
38 弾性要素装置
42 リミットスイッチ
46 制御ユニット