(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記囲み壁部の内側に蓋窪部が形成され、前記蓋窪部の窪底面部は前記蓋面部の蓋面板部よりも前記容器本体部の容器内部側に掘り下げられている請求項3または4に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
【背景技術】
【0002】
調理済み食品をコンビニエンスストア等の小売店にて販売する際の加熱調理または持ち帰った後の加熱調理に際し、これらの食品を包装する容器は容器本体部と蓋体部の組み合わせからなる。特に、陳列、販売等の1回のみの使用に用いられる使い切り容器であることから、極力簡素化した構造である。そのため、現状、合成樹脂シートの成形品が容器の主流である。
【0003】
食品の加熱調理や温め直しには、通常電子レンジ(マイクロ波照射)が使用される。そこで、食品容器ごと電子レンジ内に入れられそのまま加熱された後に提供される。実際に販売される食品に着目すると、スープ類のように水分量の多い食品から、炒め物等のように重量当たりの水分量の少ない食品まで存在し、食品の種類は実に多用である。ここで問題となることは、電子レンジによる食品の加熱調理の際、容器内の食品から水蒸気が発生することである。
【0004】
容器本体と蓋体の嵌合を緩くすれば内部発生の水蒸気の排気は容易である。しかし、蓋体側の嵌合が緩い場合、製造、出荷、陳列の中間段階で蓋体が外れやすい等の問題から異物混入が懸念される。このため、食品の購入者からの評判は思わしくない。そこで、内部発生の水蒸気を容器外部に排気するための穴部を形成した蓋体が提案されている(特許文献1、2等参照)。特許文献1、2に代表される容器の蓋体によると、U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部が蓋体に形成されている。水蒸気はこの舌片状の開口部を通過して容器外部に放出される。
【0005】
U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部の排気効率は良好である。ところが、水蒸気の排気が良好ということは、それだけ、舌片状の開口部からの異物侵入のおそれも増す。そのために、この場合、舌片状の開口部を塞ぐ封止テープが貼付されることがある。さらには、舌片状の開口部を被覆するためのフィルム部材も別途必要により被せられる。例えば、フィルム部材を被せる場合、舌片状の開口部の周りを取り囲む壁部が蓋体側に設けられ、舌片状の開口部の周りに隙間が形成される。そして、この壁部にも水蒸気の通り道が形成される等、構造が複雑となっていた。また、切れ込みによる舌片が折れて容器内部に落下すると、それ自体が異物混入となる問題も内包している。
【0006】
上述のように、既存の水蒸気を排気する構造を採用した容器では本来の食品包装にのみ必要な資材以外も必要となり、コスト上昇が否めない。加えて、切れ込みによる舌片状の開口部の形状は一律であり、周辺構造の制約も多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一連の経緯から、発明者は、U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を模索してきた。その中で容器の蓋体部に微細な長孔を設けた構造が有効であることを見出した。しかも、微細な長孔であることから、破損や異物混入への耐性も良好であることが判明した。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、その位置にも鋭意検討を重ねることにより、封止性能改善、異物混入抑制を実現し、資材コストの軽減にも有利であり、より良好な水蒸気排気を可能とする電子レンジ加熱食品用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、請求項1の発明は、容器本体部と、前記容器本体部の開口部と嵌合する蓋体部とを備え、前記容器本体部内に食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、前記蓋体部の蓋面部に前記蓋面部から上方に隆起した蓋突条部が備えられていて、前記蓋突条部に、電子レンジ加熱に際し前記容器本体部内に収容された食品から発生する水蒸気を外部に排気する、レーザー光線照射により前記蓋突条部を幅方向に跨ぐように穿設された幅を0.15〜1mmとする排気長孔が備えられていることを特徴とする電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0011】
請求項2の発明は、前記排気長孔が前記蓋突条部に櫛歯状に配置されている請求項1に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0012】
請求項3の発明は、前記蓋突条部により囲み壁部が形成されている請求項1または2に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0013】
請求項4の発明は、前記囲み壁部に凹溝部が備えられている請求項3に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0014】
請求項5の発明は、前記囲み壁部の内側に蓋窪部が形成され、前記蓋窪部の窪底面部は前記蓋面部の蓋面板部よりも前記容器本体部の容器内部側に掘り下げられている請求項3または4に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0015】
請求項6の発明は、前記排気長孔の近傍の前記蓋面部に上方へ突出する蓋凸部が備えられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【0016】
請求項7の発明は、前記蓋体部が合成樹脂シートから形成されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、容器本体部と、前記容器本体部の開口部と嵌合する蓋体部とを備え、前記容器本体部内に食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、前記蓋体部の蓋面部に前記蓋面部から上方に隆起した蓋突条部が備えられていて、前記蓋突条部に、電子レンジ加熱に際し前記容器本体部内に収容された食品から発生する水蒸気を外部に排気する、レーザー光線照射により前記蓋突条部を幅方向に跨ぐように穿設された幅を0.15〜1mmとする排気長孔が備えられているため、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、その位置にも鋭意検討を重ねることにより、封止性能改善、異物混入抑制を実現し、資材コストの軽減にも有利であり、しかも、簡便かつ迅速に排気長孔を穿設することができる。
【0018】
請求項2の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1の発明において、前記排気長孔が前記蓋突条部に櫛歯状に配置されているため、加熱時の水蒸気圧力を受けて蓋突条部は柔軟性を伴って変形可能となる。
【0019】
請求項3の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1または2の発明において、前記蓋突条部により囲み壁部が形成されているため、排気長孔から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際に水滴を留めておくことができる。
【0020】
請求項4の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項3の発明において、前記囲み壁部に凹溝部が備えられているため、囲み壁部の内部に滞留する水蒸気は凹溝部を通じて外部に抜け出やすくなる。
【0021】
請求項5の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項3または4の発明において、前記囲み壁部の内側に蓋窪部が形成され、前記蓋窪部の窪底面部は前記蓋面部の蓋面板部よりも前記容器本体部の容器内部側に掘り下げられているため、蓋面板部と窪底面部の間の段差により蓋窪部の直下の具材を押さえる部位となる。
【0022】
請求項6の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記排気長孔の近傍の前記蓋面部に上方へ突出する蓋凸部が備えられているため、蓋突条部の突条上面部の上方が開放され、排気長孔から噴出した水蒸気の外部拡散が容易となる。
【0023】
請求項7の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記蓋体部が合成樹脂シートから形成されているため、安価かつ簡便に量産して製造でき、使い切り容器とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る食品用容器1は、
図1の分離状態の全体縦断面図のとおり、容器本体部100と、この容器本体部100の開口部101と嵌合する蓋体部10の組み合わせから構成される。容器本体部100の容器内部103に食品Cが収容され、蓋体部10が被せられた状態のまま電子レンジのマイクロ波照射により加熱または加温される(加熱調理)。それゆえ、食品用容器1は「電子レンジ加熱食品用容器」である。
【0026】
食品用容器1(容器本体部100と蓋体部10の組み合わせ)は、主に、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、飲食店、惣菜専門店(デリカテッセン)、喫茶店、サービスエリア等の店舗にて販売される弁当、惣菜、麺料理類、スープ料理、さらにはコーヒー、ココア、紅茶、緑茶、薬草茶等の各種飲料類を包含する食品の包装にも使用され、電子レンジによる加熱調理を想定した容器である。食品用容器1は、主にワンウェイ(one−way)やディスポーザブル(disposable)等と称される1回のみの使用のための使い切り容器(使い捨て容器)である。使い切り容器とすることにより、食品の衛生管理に都合よい。
【0027】
使い切り容器としての利用であるため、食品用容器1の蓋体部10は安価かつ簡便に量産して製造できる合成樹脂シート(プラスチック樹脂シート)から形成される。具体的には、蓋体部10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂のシート(合成樹脂シート)、さらにはポリ乳酸等の生分解性の熱可塑性樹脂のシートである。合成樹脂シートの厚さは適宜ではあるものの、概ね1mm以下の厚さであり、通常、200ないし700μmの厚さである。そして、合成樹脂シートは真空成形により成形される。合成樹脂シートを原料とした際、その成形時の量産性、加工精度等を考慮すると真空成形が簡便かつ最適である。また、後述するように、レーザー光線照射による加工も考慮されるためである。
【0028】
容器本体部100と蓋体部10の組み合わせにおいて、合成樹脂シートの原料樹脂を同一種類としても異なる種類としてもよい。特に、食品用容器1は電子レンジによる加熱に対応するため、熱伝導を考慮して容器本体部側を発泡ポリスチレン製や紙製とすることもできる。使用する樹脂の種類は用途、内容物、包装対象により適宜選択される。続く
図2等に開示の実施形態では、蓋体部10はポリスチレン製とし、容器本体部100は発泡ポリスチレン製とする。
【0029】
容器本体部100では、上方から開口部101、胴部104、底部105により構成され、食品の量に十分対応した内容量の鉢状または椀状の容器となる。容器本体部100の開口部101では、外縁フランジ部107、開口周壁部106、その下端に嵌着凹部109が形成される。そして、蓋体部10の断面視U字の周壁部15は、蓋密着壁部16、周溝底部17、及び内側壁部18から形成され、蓋密着壁部16に嵌着凸部19が形成される。周壁部15の外縁には蓋フランジ部14が形成される。容器本体部100と蓋体部10の横断面形状は適宜であり図示の実施形態では円形としている。多角形や楕円形等の断面形状とすることも可能である。
【0030】
図示の容器本体部100と蓋体部10の嵌合は、内嵌合と称される形態であり、蓋体部10の周囲が容器本体部100の開口部101に嵌り込む形態である。蓋体部10の周囲には、容器本体部100の開口部101と内嵌合するための断面視U字の周壁部15が設けられている。蓋体部10の周壁部15は、容器本体部100の開口部101の内側へ受け入れられ嵌合可能となる。図示を省略するものの、嵌合時、開口周壁部106に蓋密着壁部16は密着することにより、容器本体部100と蓋体部10の相互の密着が強固となる。また、蓋体部10の嵌着凸部19と容器本体部100の嵌着凹部109の密着も伴う。よって、蓋体部10は安易に容器本体部100から脱離し難くなる。なお、嵌合形態は図示の内嵌合の他に、例えば蓋体部の縁が容器本体部の開口部に対して外側から被さる外嵌合とすることもできる。
【0031】
図1の縦断面図に加えて
図2の蓋体部の平面図にから理解されるように、蓋体部10には、その蓋面部11から上方に隆起した蓋突条部20が備えられる。図示の実施形態では、蓋突条部20の組み合わせにより偏平した六角形状の囲み壁部21が形成されている。そして、蓋突条部20において、その幅方向(突条上面部22)を跨ぐようにして排気長孔40が形成されている。図示の排気長孔40は、蓋突条部20の幅方向となる突条上面部22に直線状に形成されているのみならず、蓋突条部20の上下方向にも入り込んで形成される。具体的には、排気長孔40は縦断面視「Π」字状の立体的なスリット溝である(
図3,4参照)。加えて、排気長孔40は蓋突条部20に「櫛歯状」に複数個配置されている。櫛歯状とは、排気長孔が均等間隔に複数個、同方向に並んだ配置をいう。
【0032】
排気長孔40は、当該食品用容器1ごと内容物の食品を電子レンジにより加熱する場合、容器本体部100内(容器内部103)に収容された食品C(
図1参照)から発生する水蒸気を食品用容器1の外部に排気するための部位である。前述の説明にあるとおり、食品用容器1における容器本体部100と蓋体部10の組み合わせの内嵌合の構造においては、開口部101における相互の嵌合と密着は強固である。そのため、内部発生の水蒸気は開口部101から外部に抜け出ることはほぼ無く、何らの水蒸気を排気する部位を備えなければ、電子レンジ加熱時に不用意に蓋体部10が外れてしまうおそれがある。そこで、蓋体部10側に排気長孔40が設けられていることにより、内部発生の水蒸気は効率良く排気可能となる。
【0033】
排気長孔40の形成方法としては、蓋突条部20(囲み壁部21)に対しレーザー光線が照射される。そこで、細いスリット状の排気長孔40が蓋突条部20に穿設される。排気長孔40の形成に際し、例えば、針刺しやドリル、カッター等の物理的な加工方法の場合、時間を多く要することに加え、十分な加工精度が得られない等の点が挙げられる。また、孔形成に際し、微粉末の発生の問題も払拭できず、事後の洗浄の手間も必要となる。そこで、簡便かつ迅速に蓋突条部20に排気長孔を穿設可能な点から、レーザー光線の照射が用いられる。特に、レーザー光線の照射は、排気長孔40を蓋突条部20に櫛歯状に複数個穿設する上で加工精度が良くしかも加工時間も短縮できるため好ましい。
【0034】
レーザー光線は加工出力、加工精度等を得ることができる種類であれば、特段限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等の各種レーザーとそれらの照射装置が使用される。前述のように、蓋体部の材質が合成樹脂のシートから形成されている場合、排気長孔はレーザー光線照射により簡単かつ短時間で穿設される。特に量産性に優れる。
【0035】
個々の排気長孔40の幅(長方形形状と見立てたときの短辺側の長さ)は0.15ないし1mmである。より好ましい排気長孔40の幅は0.3ないし0.5mmである。排気長孔40の幅の下限は、電子レンジ加熱時に発生した水蒸気の排気に十分な開口量を得るためである。幅の下限の0.15mmはおおよそ現状の加工技術を考慮した値である。排気長孔40の幅が0.15mmを下回る場合、排気長孔は狭くなりすぎであり排気長孔40からの水蒸気の排気効率は低下すると考えられる。結果、容器本体部100に嵌合した蓋体部10が内部圧力により外れやすくなる。また、レーザー光線の照射装置の精度上の下限とも考えられる。
【0036】
加えて、合成樹脂シートから形成された蓋体部10にレーザー光線を照射すると、当該照射部位において樹脂シートが溶解して孔が開く。しかし、設定の幅が狭すぎる場合、レーザー光線照射の熱により溶解した樹脂が冷却して固化する時点で互いに接合するおそれがある。そうすると、照射部位に所望の適切な排気長孔が形成されず、十分な水蒸気排気が損なわれてしまう。そのため、不用意な再接合を生じにくくさせる便宜から、幅の下限は0.15mm、好ましくは0.3mmとしている。
【0037】
排気長孔40の幅の上限は、食品用容器1の内部への異物混入を有効に抑制するための大きさとするためである。例えば、一般に異物として認識される微小な昆虫等の場合、幅が1mmよりも狭くなると侵入は阻まれる。さらに幅が0.5mmよりも小さいと、容器内部への侵入阻止の効果が非常に高まる。そこで、幅の上限は1mmとし、より好ましい幅の上限は0.5mmとしている。従って、排気長孔40の幅は前述の範囲に規定される。
【0038】
排気長孔40の長さ(排気長孔を長方形形状と見立てたときの長辺側の長さと折れ曲がり部分の長さの合計)については、特段限定されないものの、概ね5mmないし20mmである。極端に短いようであれば、排気長孔40自体の開口面積を得ることはできず、所望の水蒸気排気に支障を来たす。また20mmを越えて長くなると、蓋突条部20における排気長孔40の穿設部分の強度も低下しやすくなり好ましくないためである。そのため、排気長孔40の長さは前述の範囲に規定される。
【0039】
蓋体部10の蓋面部11において、蓋突条部20の組み合わせにより構成される囲み壁部21の内側は蓋窪部25となる。この囲み壁部21は排気長孔40の穿設箇所を有するため排気囲み壁部26となる。蓋窪部25が備えられることにより、排気長孔40から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際、水滴は蓋窪部25に溜まり蓋面部11に広がらなくなる。そのため、蓋面部11の濡れる部位を少なくすることができる。
【0040】
また、
図2の実施形態から把握されるように、蓋面部11には他の蓋突条部20の組み合わせより構成される補助囲み壁部31も備えられる。補助囲み壁部31の内側は補助窪部35である。そこで、容器本体部100内の食品の調味のための香辛料や調味料等を収容した小袋等(図示せず)は必要により補助窪部35に載置される。加えて、補助囲み壁部31の一部の蓋突条部20には、補助凹溝部37が備えられる。後出の
図5のとおり、蓋体部10(蓋面部11)には包装用等の保護フィルムFが貼着される。この場合、排気囲み壁部26の排気長孔40から噴出した水蒸気が保護フィルムを伝い補助囲み壁部31側に流れ込む場合がある。そこで、水蒸気は補助凹溝部37を通じて補助窪部35内から外部に抜け出る。こうすると、補助窪部35に載置された小袋等の濡れを抑えることができる。
【0041】
さらに、排気長孔40の近傍の蓋面部11に、容器本体部100とは逆側へ突出する蓋凸部50が備えられる。特に実施形態の蓋体部10の蓋凸部50は、排気囲み壁部26を構成するとともに排気長孔40が穿設された蓋突条部20と、補助囲み壁部31の間に2個備えられる。蓋凸部50の作用については
図6にて説明する。また、実施形態の蓋面部11において、排気囲み壁部26の外周側及び補助囲み壁部31の外周側に蓋傾斜部60,60が備えられ、蓋面部11の外周側には取手部61,61も備えられる。蓋傾斜部60,60を介することにより、保護フィルムは蓋体部10(蓋面部11)へ貼着されやすくなる。食品用容器1は取手部61,61により持ちやすくなる。
【0042】
図3の模式図を用い、実施形態の蓋体部10における水蒸気排気の様子を説明する。電子レンジによる加熱前の蓋突条部20及び排気長孔40の平面図(
図3(a))及び側面図(同(b))である。排気長孔40は一定間隔の櫛歯状に蓋突条部20の突条上面部22に穿設され、かつ、穿設部位は蓋突条部20を幅方向に跨いでいるため、蓋突条部20の突条側面部23にも食い込んでいる。図示から理解されるように、排気長孔40の長孔側端部41は短い「I」字状の切れ込み部分である。
【0043】
電子レンジによる加熱時の様子は、蓋突条部20及び排気長孔40の平面図(
図3(c))及び側面図(同(d))である。加熱により容器本体部100内の内容物(食品)から発生した水蒸気に伴い食品用容器1の内部圧力は上昇する。すると、蓋体部10は水蒸気の圧力を受けて蓋突条部20も湾曲して撓る。このとき、突条上面部22も水蒸気の圧力により膨張する。すると、排気長孔40の形状は加熱前の平面視長方形状(同(b))から僅かに膨らんで紡錘形状(同(d))になる。
【0044】
さらに、蓋突条部20の湾曲の変形を受けて排気長孔40の長孔側端部41は当初の「I」字状から「V」字状に突条上面部22側が拡張するように形状が変形する。つまり、長孔側端部41の縦方向の切れ込みの突条上面部22側ほど拡張量が増すためである。特に、排気長孔40は櫛歯状の配列であることから、蛇腹状(アコーディオン状)に蓋突条部20は膨張変形可能となる。蓋体部10の膨張と連動して蓋突条部20も柔軟に湾曲変形可能となるため、いっそうの排気長孔40の開孔面積の増加が実現する(同(d))。すなわち、蓋突条部20のみでは構造上の剛性から膨張時の変形量は少ないものの、蓋突条部20に櫛歯状に配列された立体的な排気長孔40が組み合わせられることにより、柔軟性を伴った変形が実現される。
【0045】
図4の部分斜視図は蓋突条部の変形例の開示である。
図4(a)は
図1ないし3に開示の蓋突条部20と排気長孔40の組み合わせの例であり、縦断面視Π字状(横倒しコ字状)の蓋突条部20に跨るようにして排気長孔40が穿設され、その両端に長孔側端部41が形成される。
図4(b)では蓋突条部20の形状は同(a)と同様である。しかしながら、排気長孔40bの片側のみに長孔側端部41が形成される。この場合であっても、蓋突条部20の片辺側における膨張変形は可能であり、前述と同様の効果が期待される。
【0046】
また、
図4(c)の蓋突条部20cは縦断面視Λ字状(入字状)としており、この蓋突条部20cに跨るようにして排気長孔40cが穿設される。
図4(d)の蓋突条部20dは縦断面視半円状としており、この蓋突条部20cの円弧部分に跨るようにして排気長孔40dが穿設される。蓋突条部20c及び20dであっても、それぞれの蓋突条部は膨張圧力を受けての変形が可能であり、本発明の所望する水蒸気の排気効率は高められる。図示から示されるように、蓋突条部と排気長孔の形状設計の自由度は高く意匠性も高められる。
【0047】
図5は排気囲み壁部26の平面図及び側面図となる。通常、この排気囲み壁部26の上部に蓋体部10(蓋面部11)を包装する保護フィルムFが貼着される。そこで、流通時において蓋突条部20と排気長孔40は保護される。食品用容器が電子レンジによる加熱時、内部発生の水蒸気はこれまでの説明にあるとおり排気長孔40を通じて十分に排気される。しかしながら、保護フィルムFの大きさや位置等の貼着状態いかんにより、排気囲み壁部26の排気長孔40周辺が保護フィルムFにより塞がれて排気効率が低下するおそれもある。この対処として、排気囲み壁部26(囲み壁部21)の一部に凹溝部27が備えられる。そこで、排気囲み壁部26(囲み壁部21)の内部の蓋窪部25に滞留する水蒸気は凹溝部27を通じて蓋窪部25内から外部に抜け出る。
【0048】
図6は蓋体部10の蓋凸部50付近の拡大断面図である。図示のとおり、蓋凸部50は蓋面部11の上方へ突出した部位である。例えば、保護フィルムFが蓋体部10に形成された排気囲み壁部26(囲み壁部21)に被着される場合、蓋突条部20の突条上面部22が当該保護フィルムFにより覆われることも想定される。排気長孔40の形状から把握されるように、蓋突条部20の突条側面部23からの水蒸気の排気は可能である。しかしながら、排気長孔の最も大きな開孔部分は突条上面部22であるため、保護フィルムFにより排気長孔40からの水蒸気の排気量は抑制されてしまう。このまま加熱が続くと、本来想定の水蒸気排気の能力が発揮されず、内部発生の水蒸気の圧力を受けて蓋体部10が容器本体部100から外れて電子レンジを汚損するおそれもある。
【0049】
そこで、
図6に示すように、蓋凸部50を形成しておくことにより、保護フィルムFの位置は蓋凸部50の頂部51によりかさ上げされ、排気囲み壁部26(囲み壁部21)側の蓋突条部20の突条上面部22は直に保護フィルムFと接触しなくなる。すると、突条上面部22と保護フィルムFの間に間隙部Hが生じ、排気長孔40から噴出した水蒸気(図中の矢印Vp)は間隙部Hを経由して外部に拡散可能となる。こうして、内部発生の水蒸気の通り道は確保され、円滑な排気が実現される。
【0050】
また、
図6からわかるように、実施形態の蓋体部10では、蓋突条部20の組み合わせにより構成される囲み壁部21の内側は蓋窪部25であり、同蓋窪部25の窪底面部28は蓋面部11の蓋面板部13よりも容器本体部100の容器内部103側に掘り下げられている。つまり、蓋窪部25は蓋面板部13よりも下方に位置する。
【0051】
例えば、内容物の食品がうどん等である場合、油揚げが具材Gとして載置されることがある。油揚げのような具材の特徴として、平らであるとともに面積が広い。このような具材を含む食品を加熱すると、内部発生の水蒸気により具材が盛り上がることがある。また、具材の油揚げ自体の膨張もあり得る。そうすると、排気長孔40の直下の蓋突条部20の蓋面部11は具材Gにより塞がれてしまう可能性がある。このため、内部発生の水蒸気は蓋突条部20に到達できず、排気長孔40からの排気は阻害されやすくなる。そこで、蓋面部11(蓋面板部13)と蓋窪部25(窪底面部28)の間の段差が利用され、蓋窪部25が具材Gの押さえ部位としても機能する。
【0052】
これまでの説明にあるように、本発明の食品用容器(電子レンジ加熱食品用容器)における排気長孔の幅を勘案すると、極めて微細であることから昆虫等の異物侵入を有効に抑制できる。従って、本発明の食品用容器は、電子レンジ加熱または加温時に舌片状の開口部を開封等の手間も必要なくなり、サービスや作業の簡素化が可能となる。特に、本発明の食品用容器は排気長孔については、形状選択や加工も容易である。そこで、本発明の食品用容器は多種類の食品から発生する水蒸気量にも対応可能な極めて好適な包装資材である。
【実施例】
【0053】
[電子レンジ加熱食品用容器の作製]
電子レンジ加熱食品用容器は、容器本体部と蓋体部の組み合わせからなる物品とした。当該「電子レンジ加熱食品用容器の作製」は量の多い食品の包装を想定した。蓋体部には、耐熱二軸延伸ポリスチレン(耐熱OPS)樹脂のシート材を使用した。これを真空成形により円盤状の蓋体部に加工した(
図7,8の写真参照)。蓋体部の最大直径は約175mm、蓋面部の最大直径は約135mmであった。蓋体部の材料厚みは0.3mmであった。実施例の蓋体部の成形形状は、比較例との性能対比の必要から写真のとおり、共通形状とした。
【0054】
蓋体部に組み合わせる容器本体部には、耐熱発泡ポリスチレン製のシート材(ポリプロピレンフィルム被着品)を使用した。これを真空成形により横断面円形の鉢状(椀状またはボウル状)の容器本体部に加工した。容器本体部の開口部直径(内径)は約160mm、深さは70mmとし、容器本体部の内容量(食品収容可能な容量)は約800mLとした。
【0055】
[排気長孔の形成]
排気長孔群の形成に際し、樹脂加工分野において一般に使用される公知の炭酸ガスレーザーの照射装置を用いた。実施例1(
図7の写真参照)では、蓋面部から隆起した蓋突状部をその幅方向に跨ぐように排気長孔を穿設し、蓋体部を作製した。なお、性能評価のため5個作製した。写真のとおり、排気長孔を備えた蓋突状部は2列であり、排気長孔は34個であり、排気長孔の幅は約0.35mm、長さは約10mmである。排気長孔の合計の開孔面積は約120mm
2となる。
図7の上段は全体斜視の写真、下段は排気長孔部分の拡大斜視の写真である。
【0056】
さらに、排気長孔の幅を変更した実施例2,3も作製した。実施例2は実施例1にて使用と同形、同寸法の蓋体部を使用し、実施例1の同位置に排気長孔を34個形成した。形成した排気長孔の幅は約0.7mm、長さは約10mmとした。実施例2の排気長孔の合計の開孔面積は約240mm
2となる。実施例3も実施例1にて使用と同形、同寸法の蓋体部を使用し、実施例1の同位置に排気長孔を34個形成した。形成した排気長孔の幅は約0.9mm、長さは約10mmとした。実施例3の排気長孔の合計の開孔面積は約310mm
2となる。
【0057】
これに対し比較例1では蓋突条部に囲まれた蓋窪部に排気長孔を縦横に並べて穿設した(
図8の写真参照)。比較例1の排気長孔は50個であり、排気長孔の幅は約0.4mm、長さは約3.3mmである。排気長孔の合計の開孔面積は約65mm
2となる。比較例2及び3は、いずれも比較例1と同じ大きさ・形状の排気長孔とし、その個数のみを増やした。比較例2の排気長孔は60個であり排気長孔の合計の開孔面積は約78mm
2となる。比較例3の排気長孔は70個であり排気長孔の合計の開孔面積は約95mm
2となる。比較例2,3についての写真は省略した。
図8の上段は全体斜視の写真、下段は排気長孔部分の拡大斜視の写真である。比較例1,2,3についても性能評価のため10個ずつ蓋体部を作製した。
【0058】
実施例及び比較例の排気長孔は両端部分が丸まった長尺の長方形状であった。特に実施例の排気長孔は蓋突状部を跨ぐ構造のため折れ曲がり部位の長孔側端部が存在する。これに対し、各比較例は平面である。開孔面積の算出に際し、両端部分の丸くなった部位形状を無視し、単純に長方形形状とみなして「最大幅」と「最大長さ」の積とした。また、実施例については長孔側端部も含めた長さとした。
【0059】
[嵌合強度の測定]
実際に販売される食品の種類は極めて多岐にわたる。そこで、発明者は、電子レンジによる加熱と水蒸気の発生を想定して実施例及び各比較例の蓋体部の容器本体部からの外れにくさ(嵌合強度)を評価することとした。具体的には、前出の容器本体部と形状等を似せて蓋体部と嵌合する開口部を備えた金属製容器を用意した。当該金属製容器に加圧ポンプ、空気圧計、流量計、配管類を接続して、同加圧ポンプを通じて空気を金属製容器内へ供給できるように加工した。そして、実施例及び各比較例の蓋体部を金属製容器の開口部に嵌合した。嵌合確認後、金属製容器内へ加圧空気を供給した。その後、加圧空気の供給(内部圧力の上昇)に伴って蓋体部が金属製容器から外れた時点の供給圧力(空気圧)(MPa)、供給流量(L/min)を読み取った。
【0060】
[嵌合強度の結果]
実施例1,2,3及び比較例1,2,3の蓋体部のそれぞれについて実施した加圧試験の結果は表1,2となった。表中、順に排気長孔の個数(孔数)(個)、開孔面積(mm
2)、供給圧力(MPa)とその標準偏差、供給流量(L/min)とその標準偏差を示す。ここで、実施例1,2,3の開孔面積及び供給流量は5個の単純平均とし、比較例1,2,3の開孔面積及び供給流量は10個の単純平均とした。ただし、実施例2,3については、供給流量を増加しても蓋体部は外れなかった。また、実験に供した装置の性能上、500L/minが限界であったため、同値以上として実験を終えた。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
[嵌合強度の考察]
供給圧力と供給流量が高いほど外れにくい(嵌合強度が高い)といえる。具体的には、比較例1,2,3の傾向から、開孔面積の増加に伴って外れにくさは向上した。排気長孔の個数と開孔面積は比例関係にあり、さらに供給圧力と供給流量も開孔面積に比例して増加した。比較例1と2の間では、開孔面積は約1.2倍となり(78mm
2÷65mm
2)、供給圧力は約1.3倍(0.13MPa÷0.01MPa)、供給流量は約1.25倍(214L/min÷171L/min)となった。同様に、比較例1と3の間では、開孔面積は約1.46倍となり(95mm
2÷65mm
2)、供給圧力は約1.4倍(0.14MPa÷0.01MPa)、供給流量は約1.3倍(225L/min÷171L/min)となった。
【0064】
次に、実施例の開孔面積と各比較例の開孔面積に着目した。例えば、比較例1の開孔面積は65mm
2であり、実施例1の開孔面積は120mm
2である。つまり、面積上、1.85倍増加している。前述の比較例における開孔面積の比例傾向を単純に当てはめると、実施例側の供給圧力は約0.18ないし0.19MPa、供給流量は約308ないし325L/minを予想値とすることができる。しかしながら、表1の実施例の結果のとおり、実測値の供給圧力は0.30MPa、供給圧力は401L/minであり、予想値の供給圧力の約1.6倍、供給圧力の約1.3倍に向上することが判明した。なお、実施例2,3は、実施例1よりもさらに排気長孔の幅を広げた例であり、いっそう排気効率が高まった。
【0065】
この供給圧力と供給流量の増加の結果は、開孔面積に比例した増大のみでは説明できない。さらに発明者は実施例の蓋体部における加圧空気の供給時を観察すると、前掲の
図3に示すように、蓋突条部自体が湾曲して膨張していることを確認した。つまり、実施例の排気長孔の開孔面積は、見かけ上の面積ではなく、蓋突条部の膨張に伴う湾曲変形を考慮して勘案する必要がある。そうすると、同
図3に示したように、蓋体部の嵌合当初から蓋体部の膨張時に至ると排気長孔の幅も拡張することが最も有力な理由といえる。加えて、実施例の排気長孔は櫛歯状の配置であり、かつ、その形状は蓋突条部の側面部に食い込んでいるため、蛇腹状(アコーディオン状)に蓋突条部が変形することを補助するといえる。このことからも排気長孔の開孔面積の円滑な増大を想定することができる。なお、実施例2,3は、実施例1よりもさらに排気長孔の幅を広げた例であり、いっそう排気効率が高まった。