特許第6496769号(P6496769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496769
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】吸音パネル
(51)【国際特許分類】
   B64D 33/00 20060101AFI20190325BHJP
   B64C 1/40 20060101ALI20190325BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20190325BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20190325BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B64D33/00 B
   B64C1/40
   B64C1/00 Z
   G10K11/16 130
   G10K11/16 100
   G10K11/172
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-80846(P2017-80846)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-177042(P2018-177042A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232645
【氏名又は名称】日本飛行機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】永原 勇
(72)【発明者】
【氏名】下澤 雄太
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03481427(US,A)
【文献】 米国特許第03948346(US,A)
【文献】 実開昭59−153598(JP,U)
【文献】 特開2012−241435(JP,A)
【文献】 米国特許第05923003(US,A)
【文献】 特表2000−500211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0027629(US,A1)
【文献】 特開平08−068018(JP,A)
【文献】 特開2001−003322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 33/00
B64C 1/40
G10K 11/00−13/00
F02C 7/045
E01F 3/00− 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々に相互に同心的に一体的に形成され、複数の隔室の夫々の内部空間に相互に離間して相互に異なる深さに突出し、内周壁パネルの複数の細孔に連通している複数の中空の有底筒状部材と;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【請求項2】
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて、内周壁パネルの複数の細孔に向かい拡径された拡径部及び前記複数の細孔とは反対側に位置する小径部を有し、前記小径部が夫々の隔室の内側面に向かい曲げられている漏斗状断面部材と;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の吸音パネル;請求項2に記載の吸音パネル;そして、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し相互に隔離されている複数の隔室と、複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと、を備えることを特徴とする吸音パネル;の中の少なくとも2つの吸音パネルが組み合わされていることを特徴とする吸音パネル。
【請求項4】
前記高さ方向仕切りの前記細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の吸音パネル。
【請求項5】
請求項1に記載の吸音パネル及び請求項2に記載の吸音パネルの中の少なくとも1つと;そして、
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有した複数の隔室を備えていて、複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している、ことを特徴とする吸音パネル、及び、
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し相互に隔離されている複数の隔室と、複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記複数の細孔から前記複数の隔室の夫々に侵入した音波により振動する高さ方向振動膜と、を備えることを特徴とする吸音パネル、
の中の少なくとも1つの吸音パネルと、
が組み合わされている、ことを特徴とする吸音パネル。
【請求項6】
前記側壁の前記複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の吸音パネル。
【請求項7】
前記内周壁パネルの複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の吸音パネル。
【請求項8】
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであり、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し相互に隔離されている複数の隔室と、複数の隔室の夫々に相互に同心的に一体的に形成され複数の隔室の夫々の内部空間に相互に離間して相互に異なる深さに突出し内周壁パネルの複数の細孔に連通している複数の中空の有底筒状部材と、を備えている吸音パネルにおいて;
前記複数の隔室の夫々に、
夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り複数の細孔が形成されている高さ方向仕切り、
前記複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定している側壁であって隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している側壁、そして、
前記複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ内周壁パネルの前記複数の細孔から前記複数の隔室の夫々に侵入した音波により振動する高さ方向振動膜、
の少なくとも1つがさらに設けられている、
ことを特徴とする吸音パネル。
【請求項9】
前記高さ方向仕切りの前記複数の細孔及び前記側壁の前記複数の細孔の少なくとも何れか一方が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の吸音パネル。
【請求項10】
前記内周壁パネルの複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の吸音パネル。
【請求項11】
航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであり、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し相互に隔離されている複数の隔室と、複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて内周壁パネルの複数の細孔に向かい拡径された拡径部及び前記複数の細孔とは反対側に位置する小径部を有し前記小径部が夫々の隔室の内側面に向かい曲げられている漏斗状断面部材と、を備えている吸音パネルにおいて、
前記複数の隔室の夫々に、
夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り複数の細孔が形成されている高さ方向仕切り、
前記複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定している側壁であって隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している側壁、そして、
前記複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ内周壁パネルの前記複数の細孔から前記複数の隔室の夫々に侵入した音波により振動する高さ方向振動膜、
の少なくとも1つがさらに設けられている、
ことを特徴とする吸音パネル。
【請求項12】
前記高さ方向仕切りの前記複数の細孔及び前記側壁の前記複数の細孔の少なくとも何れか一方が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の吸音パネル。
【請求項13】
前記内周壁パネルの複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の吸音パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、航空機において使用される吸音パネルに関係している。
【背景技術】
【0002】
航空機はエンジンの運転に伴いエンジンから大きな音を発生し、通常この大きなエンジン音は航空機が飛行場から離陸する間に最大となる。そして一般には飛行場の周辺区域に騒音規制が設定されている。
【0003】
上記騒音規制に適合する為に、航空機、特に複数のジェットエンジンを使用した大型の民間用航空機、においては、航空機のエンジンが発する音を低減させる為にエンジンポッドに吸音パネルが広く使用されている。航空機において使用される吸音パネルは、航空機の部品として要求されている所定の強度を有しているとともに可能な限り軽量であることが求められているし、設置場所における高さの制限もある。
【0004】
従来のこのような吸音パネルは、エンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定している複数の内周壁パネルと組み合わされて使用されている。詳細には、吸音パネルと組み合わされて使用される内周壁パネルには多数の細孔が形成されていて、このような内周壁パネルの裏面に吸音パネルが公知の固定手段により固定されている。吸音パネルは、内周壁パネルの多数の細孔に連通した多数の隔室を有したハニカム構造をしている。そして、多数の隔室の夫々には、エンジンから発せられ内周壁パネルの多数の細孔を通ってきた音波をヘルムホルツ共鳴型吸音器の原理を利用して減衰させる為の構造が形成されている。
【0005】
多数の細孔を内周壁パネルに形成するのは、どのような方法を採用するにしろ、大変な手間と時間がかかるので、内周壁パネルの製造コストを高価にしている。さらに、このような内周壁パネルと組み合わされているハニカム構造の吸音パネルには、航空機の運航に伴い内周壁パネルの多数の細孔を介し水が浸入しやすく、内周壁パネル内側の金属構造部品が腐食する原因となっており、このことは航空機の整備時間、即ち整備コスト、を上昇させている。また、ハニカム構造の吸音パネルの設計において、隔室の体積や内周壁パネルの細孔の数および孔径に依存する開口面積などを変化させることで減衰させたい周波数を制御するが、一般的な傾向として、低い周波数帯域の音波を減衰させるには隔室の体積を広くする必要があり、高い周波数帯域の音波を減衰させるには隔室の体積を狭くする必要がある。従って、従来の航空機において高音から低音に至るまでの幅広い周波数の音波を減衰させるには、隔室の高さや開口面積が異なる複数種類の吸音パネルを個別に準備し、減衰させたい周波数帯域に適した種類の吸音パネルを複数組み合わせる必要がある。複数種類の吸音パネルを個別に準備したり、必要に応じて複数種類の吸音パネルを組み合わせる作業は時間と労力がかかり、このことは航空機の製造コストを上昇させる。
【0006】
航空機のエンジンの回転数は航空機の使用状況に応じて幅広く変化し、その間にエンジンから発生する音の周波数も幅広く変化する。しかしながら、上記事情から航空機用の従来の吸音パネルは、航空機の使用状況に応じて幅広く変化するエンジン音の周波数の一部しか効果的に減衰することができていない。
【0007】
そして、航空機において使用されている吸音パネルに対しては、安い製造コストで製造することが出来るばかりでなく、エンジンから発生する幅広い周波数の音を従来より効率よく減衰出来ることが常に求められている。
【0008】
さらに、航空機の内周壁パネルと組み合された吸音パネルは、この組み合わせの整備コストを低減化させることが出来ることも常に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、安い製造コストで製造することが出来るばかりでなく、航空機のエンジンから発生する幅広い周波数の音を従来より効率よく減衰出来る吸音パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する為の、この発明の第1の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この実施形態の吸音パネルは:内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;そして、複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて、内周壁パネルの複数の細孔に連通している中空の有底筒状部材と;を備えることを特徴としている。
【0011】
上述した目的を達成する為の、この発明の第2の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この実施形態の吸音パネルは:内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;そして、複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと;を備えることを特徴としている。
【0012】
上述した目的を達成する為の、この発明の第3の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この実施形態の吸音パネルは:内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;そして、複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて、内周壁パネルの複数の細孔に向かい拡径された拡径部及び前記複数の細孔とは反対側に位置する小径部を有し、前記小径部が夫々の隔室の内側面に向かい曲げられている漏斗状断面部材と;を備えることを特徴としている。
【0013】
上述した目的を達成する為の、この発明の第4の実施形態に従った吸音パネルは、前述した第1の実施形態に従った吸音パネル,前述した第2の実施形態に従った吸音パネル,そして前述した第3の実施形態に従った吸音パネルの中の少なくとも2つが組み合わされていることを特徴としている。
【0014】
上述した目的を達成する為の、この発明の第5の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この吸音パネルは、内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有した複数の隔室を備えていて、複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している、ことを特徴としている。
【0015】
上述した目的を達成する為の、この発明の第6の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されている内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この吸音パネルは:内周壁パネルの複数の細孔に連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;そして、複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記複数の細孔から前記複数の隔室の夫々に侵入した音波により振動する高さ方向振動膜と;を備えることを特徴としている。
【0016】
上述した目的を達成する為の、この発明の第7の実施形態に従った吸音パネルは、前記第5の実施形態に従った吸音パネルと前記第6の実施形態に従った吸音パネルとが組み合わされていることを特徴としている。
【0017】
上述した目的を達成する為の、この発明の第8の実施形態に従った吸音パネルは、前記第1の実施形態に従った吸音パネル,前記第2の実施形態に従った吸音パネル,そして前記第3の実施形態に従った吸音パネルの中の少なくとも1つと、前記第5の実施形態に従った吸音パネル及び前記第6の実施形態に従った吸音パネルの中の少なくとも1つと、が組み合わされていることを特徴とする。
【0018】
上述した目的を達成する為の、この発明の第9の実施形態に従った吸音パネルは、第2の実施形態又は第5の実施形態に従った吸音パネルにおいて、前記高さ方向仕切りの複数の細孔又は前記隔室の複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする。
【0019】
上述した目的を達成する為の、この発明の第10の実施形態に従った吸音パネルは、前記第1の実施形態に従った吸音パネル乃至前記第9の実施形態に従った吸音パネルの何れか1つにおいて、前記内周壁パネルの複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする。
【0020】
上述した目的を達成する為の、この発明の第11の実施形態に従った吸音パネルは、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定している内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そして、この吸音パネルは:内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切り、及び複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、前記内周壁パネルから前記複数の隔室の夫々の内部空間に伝達された音波により振動する高さ方向振動膜の少なくとも何れか一方と、を備えることを特徴とする。
【0021】
上述した目的を達成する為の、この発明の第12の実施形態に従った吸音パネルは、前記第11の実施形態に従った吸音パネルにおいて、前記高さ方向仕切りの複数の細孔が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする。
【0022】
上述した目的を達成する為の、この発明の第13の実施形態に従った吸音パネルは:航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルである。そしてこの吸音パネルは、複数の第1の実施形態の吸音パネルの組み合わせ,複数の第3の実施形態の吸音パネルの組み合わせ,そして第1の実施形態の吸音パネルと第3の実施形態の吸音パネルとの組み合わせを除く、第1〜第8の実施形態の少なくとも何れか2つ以上を備えた吸音パネルであり、ここにおいて第1,第2,そして第5の実施形態の夫々の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面しており、ここにおいて第3の実施形態の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面していて、漏斗状断面部材の拡径部が内周壁パネルの裏面に向かい拡径されているとともに小径部が上記裏面とは反対側に位置しており、そして、ここにおいて第6の実施形態の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面していて、高さ方向振動膜が、エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記内周壁パネルから前記複数の隔室の夫々に伝達された音波により振動する、ことを特徴とする。
【0023】
また、上述した目的を達成する為の、この発明の第14の実施形態に従った吸音パネルは、第13の実施形態に従った吸音パネルが、第2の実施形態にあるように複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りを有している場合や、第5の実施形態にあるように複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している場合、これら高さ方向仕切りの複数の細孔及び隔室の側壁の複数の細孔の少なくとも何れか一方が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことが出来る。
【発明の効果】
【0024】
前述した如く構成されている、この発明の第1乃至第14の実施形態に従った吸音パネルのいずれもが、安い製造コストで製造することが出来るばかりでなく、航空機のエンジンから発生する幅広い周波数の音を従来より効率よく減衰出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1の(A)は、この発明の第1の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図であり;そして、図1の(B)は、図1の(A)の吸音パネルの複数の隔室のみを備えた比較対象としての単純な構成の従来の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布と図1の(A)の吸音パネルにより達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布とを概略的に示す表である。
図2図2の(A)は、この発明の第2の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図であり;そして、図2の(B)は、図2の(A)の吸音パネルの複数の隔室のみを備えた比較対象としての単純な構成の従来の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布と図2の(A)の吸音パネルにより達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布とを概略的に示す表である。
図3図3の(A)は、この発明の第3の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図であり;図3の(B)は、図3の(A)の吸音パネルの一部の概略的な縦断面図であり;そして、図3の(C)は、図3の(A)の吸音パネルの複数の隔室のみを備えた比較対象としての単純な構成の従来の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布と図3の(A)の吸音パネルにより達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布とを概略的に示す表である。
図4図4は、図1の(A)の吸音パネル、図2の(A)の吸音パネル、そして図3の(A)の吸音パネルが組み合わされた、この発明の第4の実施形態に従った吸音パネルの一実施例により達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布と図1の(A)の吸音パネルの複数の隔室のみを備えた比較対象としての単純な構成の従来の吸音パネルにより達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布とを概略的に示す表である。
図5図5は、この発明の第5の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図である。
図6図6は、この発明の第6の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図である。
図7図7は、この発明の第10の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された断面図である。
図8図8は、この発明の第11の実施形態に従った吸音パネルの一実施例の一部の拡大された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、この発明の第1乃至第14の実施形態に従った吸音パネルの夫々の一実施例について説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1の(A)には、この発明の第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例の一部の斜視図が拡大されて概略的に示されている。図1の(A)において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0028】
この吸音パネル10は、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用される。
【0029】
吸音パネル10は、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室14を備えている。この一実施例において夫々の隔室14は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0030】
吸音パネル10はまた、複数の隔室14の夫々に一体的に形成されて複数の隔室14の夫々の内部空間に突出していて、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している中空の有底筒状部材16を備えている。この一実施例において夫々の有底筒状部材16は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が有底筒状部材16の内部空間を規定している。そして、有底筒状部材16の上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0031】
有底筒状部材16の側壁及び底壁は、対応する隔室14の側壁及び底壁から離間している。そして有底筒状部材16は、その側壁から対応する隔室14の側壁に向かい突出した橋状部16aにより対応する隔室14の側壁に固定されている。
【0032】
この一実施例の吸音パネル10はさらに、有底筒状部材16に一体的に形成されていて有底筒状部材16の内部空間に突出している中空の二次有底筒状部材18を備えている。そして二次有底筒状部材18の内部空間もまた、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。この一実施例において夫々の二次有底筒状部材18は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が二次有底筒状部材18の内部空間を規定している。そして、二次有底筒状部材18の上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0033】
二次有底筒状部材18において二次有底筒状部材18の内部空間を規定している側壁及び底壁は、対応する有底筒状部材16において対応する有底筒状部材16の内部空間を規定している側壁及び底壁から離間している。そして二次有底筒状部材16は、その側壁から対応する有底筒状部材16の側壁に向かい突出した橋状部18aにより対応する有底筒状部材16の側壁に固定されている。
【0034】
複数の隔室14の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面と、有底筒状部材16の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面と、二次有底筒状部材18の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面と、は面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル10が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、隔室14の内部空間,この隔室14に対応する有底筒状部材16の内部空間,そしてこの有底筒状部材16に対応する二次有底筒状部材18の内部空間を相互に分離している。
【0035】
このような一実施例の吸音パネル10は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0036】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、吸音パネル10が内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aから吸音パネル10の複数の隔室14の内部空間を含めその内側にさらに設定されている幾つかの内部空間中に侵入した水を、外部に排出する為の水抜き孔を吸音パネル10中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0037】
この吸音パネル10においては、内周壁パネル12の複数の細孔12aを介し複数の隔室14中に入ってきた所定の波長帯域の音波が複数の細孔12aを通過し、種々の高さの
隔室14の内部空間,この隔室14に対応する有底筒状部材16の内部空間,そしてこの有底筒状部材16に対応する二次有底筒状部材18の内部空間に達することにより減衰(吸音)される。
【0038】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図1の(A)の吸音パネル10は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0039】
吸音パネル10は、吸音パネル10が使用される航空機の部分に要求される高さや強度や耐久性を満たす限り、複数の隔室14の夫々、複数の有底筒状部材16の夫々,そして複数の二次有底筒状部材14の夫々の寸法や組み合わせを、所望の周波数帯域の音波を弱める(即ち、吸音する)よう設定することが出来る。また、1つの吸音パネル10の中に、複数の隔室14のみの区域があっても良いし、複数の隔室14と複数の有底筒状部材16とのみの組み合わせのみの区域があっても良いし、複数の隔室14と複数の二次有底筒状部材18とのみの組み合わせの区域があっても良いし、複数の隔室14と複数の有底筒状部材16と複数の二次有底筒状部材18の組み合わせの区域があっても良い。
【0040】
さらに、内周壁パネル12の裏面に沿った、隔室14,有底筒状部材16,そして二次有底筒状部材18の夫々の横断面は、図1の(A)中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、対応する隔室14,有底筒状部材16,そして二次有底筒状部材18の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0041】
また更に、二次有底筒状部材18の夫々の内部空間に、有底筒状部材16や二次有底筒状部材18の如く、入れ子式に三次以下の他の有底筒状部材を追加することも出来る。
【0042】
図1の(B)には、図1の(A)の吸音パネル10の複数の隔室14のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が実線S1で概略的に示されているとともに、図1の(A)の吸音パネル10により達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が2点鎖線D1で概略的に示されている。図1の(B)からは、実線S1に比べて2点鎖線D1の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が広がっていることが分かる。
【0043】
[第2の実施形態]
図2の(A)には、この発明の第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例の一部の斜視図が拡大されて概略的に示されている。図2の(A)において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0044】
この吸音パネル20もまた、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用される。
【0045】
吸音パネル20は、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室22を備えている。この一実施例において夫々の隔室22は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0046】
吸音パネル20はまた、複数の隔室22の夫々において夫々の隔室22の高さ方向における中途位置で夫々の隔室22に一体的に形成され、夫々の隔室22の内部空間を前記高さ方向に仕切った少なくとも1枚の高さ方向仕切り24を備えている。高さ方向仕切り24には複数の細孔24aが形成されている。図2の(A)では、夫々の隔室22の内部空間を前記高さ方向を複数、具体的には4つ、に仕切った複数、具体的には3枚、の高さ方向仕切り24が示されている。
【0047】
複数の隔室22の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル20が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室22の内部空間を相互に分離している。
【0048】
このような一実施例の吸音パネル20は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0049】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、吸音パネル20が内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aから吸音パネル20の複数の隔室22の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル20中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0050】
この吸音パネル20においては、内周壁パネル12の複数の細孔12aを介し複数の隔室22中に入ってきた所定の波長帯域の音波が、複数の細孔12aを通過することにより減衰(吸音)され、さらに高さ方向仕切り24の複数の細孔24aを通過することによりさらに減衰(吸音)される。
【0051】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図2の(A)の吸音パネル20は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0052】
吸音パネル20は、吸音パネル20が使用される航空機の部分に要求される高さや強度や耐久性を満たす限り、複数の隔室22の夫々の寸法や、夫々の隔室22に配置される高さ方向仕切り24の高さ方向位置や個数や夫々の高さ方向仕切り24の厚さ(即ち、夫々の高さ方向仕切り24における複数の細孔24aの深さ)や複数の細孔24aの開口寸法や夫々の高さ方向仕切り24における複数の細孔24aの配列パターンなどを、所望の周波数帯域の音波を減衰(即ち、吸音)するよう設定することが出来る。
【0053】
さらに、夫々の高さ方向仕切り24の厚さは1枚の高さ方向仕切り24の中で均一でなくとも良い。また、1つの吸音パネル20の中に、複数の隔室22のみの区域があっても良いし、複数の隔室22と少なくとも1枚の高さ方向仕切り24との組み合わせの区域があっても良いし、相互に異なった枚数や高さ方向位置や相互に異なった厚さや開口寸法が相互に異なっている複数の細孔24aや配列パターンが相互に異なっている複数の細孔24aを伴った高さ方向仕切り24を含む複数の隔室22が組み合わされている区域があっても良い。さらに、1つの吸音パネル20の中に、複数の隔室22のみの区域と前述した如く異なっている複数の隔室22が組み合わされている区域とが混在している区域があっても良い。
【0054】
さらに、内周壁パネル12の裏面に沿った、複数の隔室22の夫々の横断面は、図2の(A)中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、複数の隔室22の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0055】
図2の(B)には、図2の(A)の吸音パネル20の複数の隔室22のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が実線S2で概略的に示されているとともに、図2の(A)の吸音パネル20により達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が2点鎖線D2で概略的に示されている。図2の(B)からは、実線S2に比べて2点鎖線D2の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が周波数の高い方に、図1の(B)中に示されていた2点鎖線D1よりも、より広がっていることが分かる。
【0056】
[第3の実施形態]
図3の(A)には、この発明の第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例の一部の斜視図が拡大されて概略的に示されている。図3の(A)において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0057】
この吸音パネル30もまた、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用される。
【0058】
吸音パネル30は、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室32を備えている。この一実施例において夫々の隔室32は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0059】
吸音パネル30はさらに、複数の隔室32の夫々に一体的に形成されて複数の隔室32の夫々の内部空間に突出していて、内周壁パネル12の複数の細孔12aに向かい拡径された拡径部34a及び前記複数の細孔12aとは反対側に位置する小径部34bを有した漏斗状断面部材34を備えている。漏斗状断面部材34の小径部34bは、夫々の隔室32の内側面に向かい曲げられている。
【0060】
図3の(A)の一部の拡大された縦断面図である図3の(B)から明らかなように、小径部34bは内周壁パネル12の裏面から遠い拡径部34aの頂部から延出しており、小径部34bには上記頂部に開口した一端と自身の延出端に開口した他端とを有した貫通孔34cが形成されている。
【0061】
複数の隔室32の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル30が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室32の内部空間を相互に分離している。
【0062】
このような一実施例の吸音パネル30は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0063】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、吸音パネル30が内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aから吸音パネル30の複数の隔室32の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル30中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0064】
この吸音パネル30においては、内周壁パネル12の複数の細孔12aを介し複数の隔室32中に入ってきた所定の波長帯域の音波が、複数の細孔12aを通過することにより減衰(吸音)され、さらに漏斗状断面部材34の小径部34bの貫通孔34cを通過することによりさらに減衰(吸音)される。
【0065】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図3の(A)及び(B)の吸音パネル30は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0066】
吸音パネル30は、吸音パネル30が使用される航空機の部分に要求される高さや強度や耐久性を満たす限り、複数の隔室32の夫々の寸法や、夫々の隔室32に配置される漏斗状断面部材34の小径部34bの長さや小径部34bの貫通孔34cの径などを、所望の周波数帯域の音波を弱める(即ち、吸音する)よう設定することが出来る。
【0067】
さらに、夫々の小径部34bの長さや小径部34bの貫通孔34cの径は、複数の漏斗状断面部材34の中で均一でなくとも良い。また、1つの吸音パネル30の中に、複数の隔室32のみの区域があっても良いし、夫々の小径部34bの長さや小径部34bの貫通孔34cの径が同じである複数の漏斗状断面部材34を含む複数の隔室32のみの区域があっても良いし、夫々の小径部34bの長さや小径部34bの貫通孔34cの径が相互に異なる複数の漏斗状断面部材34を含む複数の隔室32の区域があっても良い。さらに、1つの吸音パネル30の中に、これらの区域の少なくとも2つが混在している区域があっても良い。
【0068】
さらに、内周壁パネル12の裏面に沿った、複数の隔室32の夫々の横断面は、図3の(A)中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、複数の隔室32の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0069】
図3の(C)には、図3の(A)の吸音パネル30の複数の隔室32のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が実線S3で概略的に示されているとともに、図3の(A)の吸音パネル30により達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が2点鎖線D3で概略的に示されている。図3の(C)からは、実線S3に比べて2点鎖線D3の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が周波数の低い方に移動していることが分かる。
【0070】
なお、図3の(A)及び(B)中に示されている吸音パネル30は、複数の隔室32の複数の漏斗状断面部材34の小径部34bが前述した如く曲げられているので、小径部34bが曲げられておらず、拡径部34aの頂部から対応している隔室32の底壁に向かい直線状に延出している場合に比べると、同じ周波数領域の音波の吸音率が同じであるとしたならば、上記頂部から対応している隔室32の底壁に向かい直線状に延出している距離は当然短くなることに注目すべきである。即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対し、図3の(A)の吸音パネル30は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0071】
図3の(C)には、図3の(A)及び(B)の吸音パネル30の複数の隔室32のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が実線S3で概略的に示されているとともに、図3の(A)及び(B)の吸音パネル30により達成された上記所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が2点鎖線D3で概略的に示されている。図3の(C)からは、実線S3に比べて2点鎖線D3の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が周波数の低い方に移動していることが分かる。
【0072】
[第4の実施形態]
この発明の第4の実施形態に従った吸音パネルの一実施例は、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例と、図2の(A)中に示されている第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例と、そして図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例と、を組み合わせることにより作成されていて、図示はされていない。
【0073】
このようにして作成された第4の実施形態に従った吸音パネルの一実施例では、図1の(B),図2の(B),そして図3の(C)中の夫々に示されている周波数と吸音率の関係を組み合わせた、周波数と吸音率との関係を得ることが出来る。
【0074】
そして、第4の実施形態に従った吸音パネルの一実施例において得ることが出来た周波数と吸音率との関係が、図4中に概略的に示されている。
【0075】
図4には、図1の(A)の吸音パネル10の複数の隔室14,図2の(A)の吸音パネル20の複数の隔室22,そして図3の(A)及び(B)の複数の隔室32の夫々の寸法が相互に同じであり、図1の(A)の吸音パネル10の複数の隔室14のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネル,図2の(A)の吸音パネル20の複数の隔室22のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネル,そして図3の(A)及び(B)の複数の隔室32のみを備えた比較対象としての単純な構成の吸音パネルを組み合わせた単純な構成の吸音パネルにより達成された所定の周波数帯域内の音波の吸音率の分布が実線S4で概略的に示されている。
【0076】
図4からは、実線S4に比べて2点鎖線D4の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が、図1の(A)の吸音パネル10により得られた周波数と吸音率との関係に加えて、図2の(A)の吸音パネル20により得られた周波数と吸音率との関係の如く、周波数の高い方により広がっていることが分かる。さらに、実線S4に比べて2点鎖線D4の方が、上記所定の周波数帯域内で音波の吸音率が高い領域が、図1の(A)の吸音パネル10により得られた周波数と吸音率との関係に加えて、図3の(A)及び(B)の吸音パネル30により得られた周波数と吸音率との関係の如く、周波数の低い方により移動していることが分かる。
【0077】
なお、この発明の第4の実施形態の吸音パネルの概念に従えば、第4の実施形態の吸音パネルは、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例と、図2の(A)中に示されている第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例と、そして図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例と、の中の少なくとも2つを組み合わせることにより作成されていれば良い。
【0078】
このようにして組み合わせられたこの発明の第4の実施形態の吸音パネルにより得られる周波数と吸音率との関係は、組み合わせられた少なくとも2つの吸音パネルの夫々の周波数と吸音率との関係を組み合わせたものになる。
【0079】
このような第4の実施形態に従った一実施例の吸音パネルも当然のことながら、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0080】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネルが内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aからこの一実施例の吸音パネルの複数の隔室32の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル30中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0081】
[第5の実施形態]
図5には、この発明の第5の実施形態に従った吸音パネル50の一実施例の一部の斜視図が拡大されて概略的に示されている。図5において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0082】
この吸音パネル50もまた、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用される。
【0083】
吸音パネル50は、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室52を備えている。この一実施例において夫々の隔室52は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0084】
複数の隔室52の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル50が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室52の内部空間を相互に分離している。
【0085】
吸音パネル50はさらに、複数の隔室52の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室52の前記内部空間と連通する複数の細孔52aを有している。
【0086】
この実施例の吸音パネル50に於いては、内周壁パネル12の複数の細孔12aを通り複数の隔室52の夫々の内部空間に入ることにより減衰(吸音)された音波が、さらに夫々の隔室52の側壁の複数の細孔52aを通過することにより、さらに減衰(吸音)される。
【0087】
このことは、内周壁パネル12と組み合わされた複数の隔室52の夫々の側壁に複数の細孔52aがある吸音パネル50と、同じ内周壁パネル12と組み合わされた複数の隔室52の夫々の側壁に複数の細孔52aが無い吸音パネルとを比べると、後者の吸音パネルにおいて減衰(吸音)された音波の吸音率よりも前者の吸音パネル50において減衰(吸音)された音波の吸音率の方が高くなることを意味している。
【0088】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図5の吸音パネル50は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0089】
なお、この実施例の吸音パネル50に於いては、複数の隔室52の夫々の全ての側壁の中に複数の細孔52aが形成されていない側壁が含まれていても良い。また、夫々に複数の細孔52aが形成されている複数の側壁において、夫々の側壁に形成される細孔52aの数は相互に同じでなくとも良い。しかしながら、夫々の側壁に形成される細孔52aの数が増加すれば、上記側壁が対応している隔室52に入ってきた音波の吸音率が高まる。
【0090】
さらに、内周壁パネル12の裏面に沿った、複数の隔室52の夫々の横断面は、図5中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、複数の隔室52の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0091】
このような一実施例の吸音パネル50も、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0092】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネル50が内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aからこの一実施例の吸音パネル50の複数の隔室52の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル50中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0093】
[第6の実施形態]
図6には、この発明の第6の実施形態に従った吸音パネル60の一実施例の一部の斜視図が拡大されて概略的に示されている。図6において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0094】
この吸音パネル60もまた、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用される。
【0095】
吸音パネル60は、内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室62を備えている。この一実施例において夫々の隔室62は、内周壁パネル12の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル12の裏面の側で上記側壁により囲われている開口において内周壁パネル12の複数の細孔12aに連通している。
【0096】
複数の隔室62の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル60が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室62の内部空間を相互に分離している。
【0097】
吸音パネル60はさらに、複数の隔室62の夫々において夫々の隔室62の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ内周壁パネル12の複数の細孔12aから複数の隔室62の夫々に侵入した音波により振動する高さ方向振動膜64を備える。図6では、夫々の隔室62の内部空間を前記高さ方向を複数、具体的には4つ、に仕切った複数、具体的には3枚、の高さ方向振動膜64が示されている。
【0098】
複数の隔室62の夫々の上記側壁において内周壁パネル12の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル60が内周壁パネル12の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室62の内部空間を相互に分離している。
【0099】
このような一実施例の吸音パネル60は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0100】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネル60が内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aからこの一実施例の吸音パネル60の複数の隔室62の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル60中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0101】
吸音パネル60は、吸音パネル60が使用される航空機の部分に要求される高さや強度や耐久性を満たす限り、複数の隔室62の夫々の寸法や、夫々の隔室62に配置される高さ方向振動膜64の高さ方向位置や個数や夫々の高さ方向仕切り64の厚さなどを、所望の周波数帯域の音波を弱める(即ち、吸音する)よう設定することが出来る。
【0102】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図6の吸音パネル60は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0103】
さらに、夫々の高さ方向振動膜64の厚さは1枚の高さ方向振動膜64の中で均一でなくとも良い。また、1つの吸音パネル60の中に、複数の隔室62のみの区域があっても良いし、複数の隔室62と少なくとも1枚の高さ方向仕切り64との組み合わせの区域があっても良いし、相互に異なった枚数や高さ方向位置や相互に異なった厚さを伴った高さ方向振動膜64を含む複数の隔室62が組み合わされている区域があっても良い。さらに、1つの吸音パネル60の中に、複数の隔室62のみの区域と前述した如く異なっている複数の隔室62が組み合わされている区域とが混在している区域があっても良い。
【0104】
さらに、内周壁パネル12の裏面に沿った、複数の隔室62の夫々の横断面は、図6中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、複数の隔室62の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0105】
この実施例の吸音パネル60に於いては、内周壁パネル12の複数の細孔12aを通り複数の隔室62の夫々の内部空間に入ることにより減衰(吸音)された音波が、さらに夫々の隔室62の側壁の少なくとも1枚の高さ方向振動膜64を振動させることにより、さらに減衰(吸音)される。
【0106】
このことは、内周壁パネル12と組み合わされた複数の隔室62の夫々の側壁に少なくとも1枚の高さ方向振動膜64がある吸音パネル60と、同じ内周壁パネル12と組み合わされた複数の隔室62の夫々の側壁に高さ方向振動膜64が無い吸音パネルとを比べると、後者の吸音パネルにおいて減衰(吸音)された音波の吸音率よりも前者の吸音パネル60において減衰(吸音)された音波の吸音率の方が高くなることを意味している。
【0107】
[第7の実施形態]
この発明の第7の実施形態に従った吸音パネルの一実施例は、図5中に示されている第5の実施形態に従った吸音パネル50の一実施例と、図6中に示されている第6の実施形態に従った吸音パネル60の一実施例と、を組み合わせることにより作成されていて、図示はされていない。
【0108】
このような第7の実施形態の一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0109】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネルが内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aからこの一実施例の吸音パネルの複数の隔室の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0110】
[第8の実施形態]
この発明の第8の実施形態に従った吸音パネルの一実施例は、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例と、図2の(A)中に示されている第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例と、そして図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例の中の少なくとも1つと、図5中に示されている第5の実施形態に従った吸音パネル50の一実施例及び図6中に示されている第6の実施形態に従った吸音パネル60の一実施例の中の少なくとも1つと、が組み合わされていて、図示はされていない。
【0111】
このような第8実施形態の一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0112】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネルが内周壁パネル12の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル12の複数の細孔12aからこの一実施例の吸音パネルの複数の隔室の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0113】
[第9の実施形態]
この発明の第9の実施形態に従った吸音パネルは、第2の実施形態の吸音パネル20又は第5の実施形態の吸音パネル50において、第2の実施形態の吸音パネル20の高さ方向仕切り24の複数の細孔24a又は第5の実施形態の吸音パネル50の隔室52の側壁の複数の細孔52aが、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含んでいる。そして第9の実施形態に従った吸音パネルは、図示されていない。
【0114】
このような第9実施形態の一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。その場合、全体を一体的に形成しない場合に比べると、製造コストを低減できる。
【0115】
[第10の実施形態]
図7には、この発明の第10の実施形態に従った吸音パネル90の一実施例の一部が拡大されて示されている。この実施形態の吸音パネル90は、図1の(A)中に示されている吸音パネル10,図2の(A)中に示されている吸音パネル20,図3の(A)及び(B)中に示されている吸音パネル30,図示されていないが前述した第4の実施形態に従った吸音パネル,図5中に示されている吸音パネル50,図6中に示されている吸音パネル60,図示されていないが前述した第7の実施形態に従った吸音パネル,図示されていないが前述した第8の実施形態に従った吸音パネル、そして図示されていないが前述した第9の実施形態に従った吸音パネルの何れかであることが出来る。
【0116】
この吸音パネル90は、前述した種々の吸音パネルと同様に、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔92aが形成されている内周壁パネル92の裏面に固定されて使用されるが、この内周壁パネル92の複数の細孔92aは、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含んでいる
このような複数の細孔92aの夫々では、従来の内周壁パネル12に形成されていて中心線に沿った両端の開口の径と前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径とが同じである従来の細孔12aに比べ、夫々の細孔92aを音波が通過する間に夫々の細孔92aの壁面により音波に生じる粘性抵抗が大きくなるとともに、夫々の細孔92aを音波が通過する間に生じる粘性抵抗が大きくなることで夫々の細孔92aを音波が通過する際に生じる空気の流れの乱れが夫々の細孔92aの周囲にも大きく広がり音波の圧力損失が大きくなるので、夫々の細孔92aを通過して対応する吸音パネル90の複数の隔室94の夫々に入る音波が夫々の細孔92aを通過するだけで減衰(吸音)されるエネルギー量が多くなる。
【0117】
従って、このような複数の細孔92aを有した内周壁パネル92と組み合わされた吸音パネル90では、前述した如き従来の複数の細孔12aを有した従来の内周壁パネル92と組み合わされた場合と比べ、同じ音源からの音波をより大きく減衰(吸音)させることが出来る。
【0118】
即ち、高さ制限により従来は高い吸音率を得ることが出来なかった周波数領域の音波に対しても、図7の内周壁パネル92と組み合わされて使用される吸音パネル90は高い吸音率を発揮することが出来る。
【0119】
このような第10実施形態の一実施例の吸音パネル90は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0120】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できるばかりでなく、この一実施例の吸音パネル90が内周壁パネル92の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機の運航に伴い内周壁パネル92の複数の細孔92aからこの一実施例の吸音パネル90の複数の隔室の内部空間中に侵入した水を外部に排出する為の水抜き孔を、吸音パネル中に容易に形成することが出来る。このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0121】
なお、この実施形態の内周壁パネル92の複数の細孔92aが含んでいる、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔は、前述した如く、図2の(A)中に示されている第2の実施形態の高さ方向仕切り24aの複数の細孔24aが含むことが出来るし、図5中に示されている隔室52の側壁の複数の細孔52aも含むことが出来る。
【0122】
[第11の実施形態]
図8には、この発明の第11の実施形態に従った吸音パネル100の一実施例の一部の斜視図が拡大されて示されている。図8において、上記一部は内部構造を示す為に切り欠かれている。
【0123】
この吸音パネル100は、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されておらず空気や水を含む流体が貫通しない、即ち流体無貫通の、内周壁パネル102の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用されることが出来る。複数の細孔が形成されていない内周壁パネル102は、前述した如く航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔12aが形成されている内周壁パネル12に比べ、少なくとも複数の細孔12aを形成するのに要する製造コスト分だけ安く調達することが出来る。
【0124】
吸音パネル100は、相互に隔離された内部空間を夫々が有している複数の隔室104を備えている。この一実施例において夫々の隔室104は、内周壁パネル102の裏面から立ち上がった側壁及び上記裏面から離れた位置で上記側壁に連続し上記裏面に対面している底壁を含み、上記側壁及び上記低壁が上記内部空間を規定している。そして、上記内部空間は、内周壁パネル102の裏面の側で上記側壁により囲われている開口が内周壁パネル102の裏面に対面し前記裏面により閉塞されている。
【0125】
吸音パネル100はまた、複数の隔室104の夫々において夫々の隔室104の高さ方向における中途位置で夫々の隔室104に一体的に形成され、夫々の隔室104の内部空間を前記高さ方向に仕切った少なくとも1枚の高さ方向仕切り106を備えている。高さ方向仕切り106には複数の細孔106aが形成されている。
【0126】
吸音パネル100はさらに、複数の隔室104の夫々において夫々の隔室104の高さ方向における中途位置で夫々の隔室104に一体的に形成され、夫々の隔室104の内部空間を前記高さ方向に仕切り、内周壁パネル102から複数の隔室104の夫々の内部空間に伝達された音波により振動する少なくとも1枚の高さ方向振動膜108を備えている。この実施例では、高さ方向仕切り106は1枚であり、高さ方向振動膜108は高さ方向仕切り106よりも内周壁パネル102に近い位置と高さ方向仕切り106よりも内周壁パネル102に遠い位置とに配置されている。
【0127】
複数の隔室104の夫々の上記側壁において内周壁パネル102の裏面に向き上記内部空間の開口を規定している外端面は、面一に配置されている。そして、これらの外端面は、吸音パネル100が内周壁パネル102の裏面に固定されている間に上記裏面に密着し、複数の隔室104の内部空間を相互に分離している。
【0128】
このような一実施例の吸音パネル100は、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0129】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できる。
【0130】
さらに、この一実施例の吸音パネル100が組み合わされる内周壁パネル102の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機が運航されても内周壁パネル102には複数の細孔が形成されていないので、航空機の運航に伴い内周壁パネル102からこの一実施例の吸音パネル100の複数の隔室の内部空間中には水が浸入しない。したがって、内周壁パネル内側の金属構造部品が腐食しにくくなっており、このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0131】
この吸音パネル100においては、複数の細孔が形成されていない内周壁パネル102を介し複数の隔室104の夫々の内部空間に伝達されてきた音波は、高さ方向振動膜108を振動させることにより減衰(吸音)されることに加え、高さ方向仕切り106の細孔106aを通過することによりさらに減衰(吸音)される。
【0132】
即ち、複数の細孔が形成されていない内周壁パネル102と組み合わされた場合でも、この吸音パネル100は高さを拡大させることなく高い吸音率を発揮することが出来る。
【0133】
吸音パネル100は、吸音パネル100が使用される航空機の部分に要求される高さや強度や耐久性を満たす限り、複数の隔室104の夫々の寸法や、夫々の隔室104に配置される高さ方向仕切り106や高さ方向振動膜108の夫々の高さ方向位置や個数や夫々の厚さ(即ち、高さ方向仕切り106では、そこに形成されている複数の細孔106aの深さ)や高さ方向仕切り106の複数の細孔106aの開口寸法や夫々の高さ方向仕切り106における複数の細孔106aの配列パターンなどを、所望の周波数帯域の音波を弱める(即ち、吸音する)よう設定することが出来る。
【0134】
さらに、高さ方向仕切り106の厚さは1枚の高さ方向仕切り106の中で均一でなくとも良い。また、1つの吸音パネル100の中に、複数の隔室104のみの区域があっても良いし、複数の隔室104と少なくとも1枚の高さ方向仕切り106と少なくとも1枚の高さ方向振動膜108との組み合わせの区域があっても良いし、高さ方向仕切り106や高さ方向振動膜108の枚数が相互に異なっていたり、これらの高さ方向位置や厚さが相互に異なっていたり開口寸法が相互に異なっている複数の細孔106aや配列パターンが相互に異なっている複数の細孔106aを伴った高さ方向仕切り106を含む複数の隔室104が組み合わされている区域があっても良い。さらに、1つの吸音パネル100の中に、複数の隔室104のみの区域と前述した如く異なっている複数の隔室104が組み合わされている区域とが混在している区域があっても良い。
【0135】
さらに、内周壁パネル102の裏面に沿った、複数の隔室104の夫々の横断面は、図8中に示されている四角形状以外の多角形や円形や楕円形やその他の形状であることが出来る。また、複数の隔室104の夫々の横断面は、相互に同じでなくとも良い。
【0136】
なお、第10の実施形態に従った吸音パネル100は、隔室104に少なくとも1枚の高さ方向仕切り106又は少なくとも1枚の高さ方向振動膜108しか備えていない場合も含む。
【0137】
[第12の実施形態]
この発明の第12の実施形態に従った吸音パネルの一実施例は、図8中に示されている第11の実施形態の吸音パネル100において、図7の第10の実施形態の内周壁パネル92の複数の細孔92aが含んでいる、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を、図8中に示されている第11の実施形態の高さ方向仕切り106の複数の細孔106aが含んでいる。そして第12の実施形態に従った吸音パネルは、図示されていない。
【0138】
このような第12の実施形態の一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。その場合、全体を一体的に形成しない場合に比べると、製造コストを低減できる。
【0139】
[第13の実施形態]
この発明の第13の実施形態に従った吸音パネルの一実施例は、航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており複数の細孔が形成されておらず空気や水を含む流体が貫通しない、即ち流体無貫通の、図8中に示されている内周壁パネル102の裏面に公知の固定手段、例えば接着剤、により固定されて使用されることが出来る。この吸音パネルは、図2の(A)中に示されている第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例及び図5中に示されている第5の実施形態に従った吸音パネル50の一実施例の何れか1つ、又は、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例の複数、図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例の複数、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例と図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例との組わせのみを除く、図1の(A)中に示されている第1の実施形態に従った吸音パネル10の一実施例、図2の(A)中に示されている第2の実施形態に従った吸音パネル20の一実施例、図3の(A)及び(B)中に示されている第3の実施形態に従った吸音パネル30の一実施例、そして図5中に示されている第5の実施形態に従った吸音パネル50の一実施例の何れか2つを含む2つ以上の組み合わせであることが出来る。
【0140】
この場合:第1,第2,そして第5の実施形態の夫々の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面しており;第3の実施形態の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面していて、漏斗状断面部材の拡径部が内周壁パネルの裏面に向かい拡径されているとともに小径部が上記裏面とは反対側に位置しており;そして、第6の実施形態の吸音パネルは、夫々の隔室の内部空間が前記内周壁パネルの裏面に対面していて、高さ方向振動膜が、エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記内周壁パネルから前記複数の隔室の夫々に伝達された音波により振動する。
【0141】
そして、図8中に示されている内周壁パネル102と、上述した一実施例の何れか1つ、又は何れか2つを含む2つ以上の組み合わせである吸音パネルと、の組み合わせは図示されていない。
【0142】
このような一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。
【0143】
この場合、同じ構成を一体的に形成しない場合と比べ製造コストを低減できる。
【0144】
そして、この一実施例の吸音パネルが組み合わされる内周壁パネル102の裏面に固定されて航空機に使用された後に航空機が運航されても内周壁パネル102には複数の細孔が形成されていないので、航空機の運航に伴い内周壁パネル102からこの一実施例の吸音パネルの複数の隔室の内部空間中には水が浸入しない。したがって、内周壁パネル内側の金属構造部品が腐食しにくくなっており、このことは、航空機の整備コストを低減させる。
【0145】
[第14の実施形態]
この発明の第14の実施形態に従った吸音パネルは、前述した第13の実施形態に従った吸音パネルにおいて、第2の実施形態に記載の構成を備えた吸音パネル20の高さ方向仕切り24の複数の細孔24a及び第5の実施形態に記載の構成を備えた吸音パネル50の隔室52の複数の細孔52aの少なくとも何れか一方が、図7の第10の実施形態の内周壁パネル92の複数の細孔92aが含んでいる、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を、含むことを特徴としている。そして第14の実施形態に従った吸音パネルは、図示されていない。
【0146】
このような第14の実施形態の一実施例の吸音パネルは、例えば3Dプリンターの如き経時的連続成型手段によりその全体を一体的に形成することが出来る。その場合、全体を一体的に形成しない場合に比べると、製造コストを低減できる。

なお、第13の実施形態に従った吸音パネルは、以下の種々の例を含むことが出来る。
【0147】
[1]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【0148】
[2]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有した複数の隔室を備えていて、
複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している、
ことを特徴とする吸音パネル。
【0149】
[3]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと;
高さ方向仕切りに対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて、高さ方向仕切りの複数の細孔に連通している中空の有底筒状部材と;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【0150】
[4]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネル裏面に対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと;
複数の隔室の夫々に一体的に形成されて複数の隔室の夫々の内部空間に突出していて、高さ方向仕切りに向かい拡径された拡径部及び高さ方向仕切りとは反対側に位置する小径部を有し、前記小径部が夫々の隔室の内側面に向かい曲げられている漏斗状断面部材と;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【0151】
[5]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有した複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、複数の細孔が形成されている高さ方向仕切りと;
を備えていて、
複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している、
ことを特徴とする吸音パネル。
【0152】
[6]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記内周壁パネルから前記複数の隔室の夫々に伝達された音波により振動する高さ方向振動膜と;
を備えることを特徴とする吸音パネル。
【0153】
[7]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
内周壁パネルの裏面に対面した内部空間を夫々が有し、相互に隔離されている複数の隔室と;
複数の隔室の夫々において夫々の隔室の高さ方向における中途位置で夫々の隔室に一体的に形成され、夫々の隔室の内部空間を前記高さ方向に仕切り、前記エンジンポッドに格納されているエンジンから発せられ前記内周壁パネルから前記複数の隔室の夫々に伝達された音波により振動する高さ方向振動膜と;
を備えていて、
複数の隔室の夫々において前記内部空間を規定する側壁が隣接する隔室の前記内部空間と連通する複数の細孔を有している、
ことを特徴とする吸音パネル。
【0154】
[8]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
前記[1]に記載の吸音パネルの前記高さ方向仕切りと;
前記[6]に記載の吸音パネルの前記高さ方向振動膜と;
を備えていることを特徴とする吸音パネル。
【0155】
[9]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
前記[3]に記載の吸音パネルの前記高さ方向仕切り及び前記有底筒状部材と;
前記[2]に記載の吸音パネルの前記隔室の前記側壁と;
を備えていることを特徴とする吸音パネル。
【0156】
[10]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
前記[3]に記載の吸音パネルの前記高さ方向仕切り及び前記有底筒状部材と;
前記[6]に記載の吸音パネルの前記高さ方向振動膜と;
を備えていることを特徴とする吸音パネル。
【0157】
[11]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
前記[4]に記載の吸音パネルの前記高さ方向仕切り及び前記漏斗状断面部材と;
前記[2]に記載の吸音パネルの前記隔室の前記側壁と;
を備えていることを特徴とする吸音パネル。
【0158】
[12]. 航空機のエンジンポッドにおいて空気流れ通路を規定しており流体無貫通の内周壁パネルの裏面に固定されて使用される吸音パネルであって:
前記[4]に記載の吸音パネルの前記高さ方向仕切り及び前記漏斗状断面部材と;
前記[6]に記載の吸音パネルの前記高さ方向振動膜と;
を備えていることを特徴とする吸音パネル。
【0159】
[13].前記[1]乃至[5]に記載の吸音パネル及び前記[7]乃至[12]に記載の吸音パネルにおける前記高さ方向仕切りの複数の細孔及び前記隔室の前記側壁の複数の細孔の夫々が、その中心線に沿った両端の開口の径よりも前記中心線に沿った前記両端の間の位置の開口の径の方が小さく設定されている細孔を含む、ことを特徴とする吸音パネル。
【符号の説明】
【0160】
10…吸音パネル、12…内周壁パネル、12a…細孔、14…隔室、16…有底筒状部材、16a…橋状部、18…二次有底筒状部材、18a…橋状部;20…吸音パネル、22…隔室、24…高さ方向仕切り、24a…細孔;30…吸音パネル、32…隔室、34…漏斗状断面部材、34a…拡径部、34b…小径部、34c…貫通孔;50…吸音パネル、52…隔室、52a…細孔;60…吸音パネル、62…隔室、64…高さ方向振動膜;90…吸音パネル、92…内周壁パネル、92a…細孔;100…吸音パネル、102…内周壁パネル、104…隔室、106…高さ方向仕切り、106a…細孔、108…高さ方向振動膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8