特許第6496774号(P6496774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6496774半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496774
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20190325BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20190325BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20190325BHJP
   C08G 59/30 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20190325BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20190325BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20190325BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190325BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20190325BHJP
   H01L 33/44 20100101ALI20190325BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20190325BHJP
   B01J 13/14 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C08L83/04
   C08K3/00
   C08G77/04
   C08G59/30
   C08F290/00
   H01L23/30 F
   C09K11/06 690
   H01L33/56
   H01L33/44
   C08J5/18
   B01J13/14
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-98271(P2017-98271)
(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-206696(P2017-206696A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2017年5月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0061019
(32)【優先日】2016年5月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】裴 ▲ビョン▼ 水
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ファ▼ 潤
(72)【発明者】
【氏名】崔 廣 ▲文▼
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−206019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/04
C08F 290/00
C08G 59/30
C08G 77/04
C08K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ結晶の表面上に網目構造のシロキサン複合体樹脂が分散および結合してカプセル化されている複合体樹脂を含み、
前記網目構造のシロキサン複合体樹脂は、半導体ナノ結晶の表面をカプセル形態に囲むための不規則な網目構造のマトリックスを含むシロキサン樹脂を含み、前記シロキサン樹脂は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールからなる群から選ばれた1種以上のシラン系化合物に由来した加水または非加水の縮合反応物を含み、
外部でカプセル化した網目構造のシロキサン複合体樹脂と半導体ナノ結晶は1:0.0001ないし0.1の重量比率で含まれる、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物。
【請求項2】
前記有機アルコキシシランは、下記化学式1で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物:
[化学式1]
Si(OR4−n
前記化学式1において、
は、それぞれ独立して(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記Rは、アクリル基、(メタ)アクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エポキシ基、ビニル基、水素基、メチル基、フェニル基、およびイソシアネート基の中から選ばれた1種以上の官能基を有し得、
は、それぞれ独立して直鎖または分枝鎖C〜Cのアルキル基であり、
nは、0ないし3の整数である。
【請求項3】
前記有機アルコキシシランは、
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N−(アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、およびクロロプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機シランジオールは、下記化学式2で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物:
[化学式2]
Si(OH)
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立してまたは同時に(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記RおよびRは、アクリル基、メタクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、(C〜C20)アルコキシ基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、エポキシ基、オキセタン基、およびフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有し得、
mおよびkは、それぞれである。
【請求項5】
前記有機シランジオールは、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物。
【請求項6】
前記半導体ナノ結晶は、金属基盤のコア−シェル構造を有し、表面に1種以上のリガンドを含む、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物。
【請求項7】
前記シロキサン複合体樹脂組成物は、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーをさらに含む、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物。
【請求項8】
a)半導体ナノ結晶と、下記化学式1で表される有機アルコキシシランおよび下記化学式2で表される有機シランジオールからなる群より選ばれた1種以上のシラン系化合物を含有する組成物を製造する段階と、
b)半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物を攪拌しながら縮合反応を行い、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物を製造する段階
とを含み、
前記段階b)は、前記半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物の縮合反応により網目構造のシロキサン樹脂を形成すると同時に前記シロキサン樹脂内に半導体ナノ結晶を分散させて半導体ナノ結晶の表面をシロキサン樹脂でカプセル化し、外部でカプセル化した網目構造のシロキサン複合体樹脂と半導体ナノ結晶を1:0.0001ないし0.1の重量比率で含むようにする段階を含み、
前記段階b)の縮合反応は、加水縮合反応、または非加水縮合反応を含み、
前記非加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールを1:0.2ないし5.0のモル比で含む混合物の非加水縮合反応を含む、請求項1に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法:
[化学式1]
Si(OR4−n
前記化学式1において、
は、それぞれ独立して(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記Rは、アクリル基、(メタ)アクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エポキシ基、ビニル基、水素基、メチル基、フェニル基、およびイソシアネート基の中から選ばれた1種以上の官能基を有し得、
は、それぞれ独立して直鎖または分枝鎖C〜Cのアルキル基であり、
nは、0ないし3の整数であり、
[化学式2]
Si(OH)
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立してまたは同時に(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記RおよびRは、アクリル基、メタクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、(C〜C20)アルコキシ基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、エポキシ基、オキセタン基、およびフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有し得、
mおよびkは、それぞれである。
【請求項9】
前記半導体ナノ結晶は、縮合反応により形成される全シロキサン複合樹脂100重量部に対して0.01ないし10重量部を用いる、請求項8に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび水を1:0.5ないし5のモル比で含む混合物の加水縮合反応を含む、請求項8に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記段階b)以降に、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に硬化触媒を添加する段階をさらに含む、請求項8に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
前記段階b)の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に、
全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーを添加する段階をさらに含む、請求項8または11に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1による半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の光硬化または熱硬化により得られた、半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物。
【請求項14】
フィルム、フレーク、シートまたはLEDチップに封止された形態を含む、請求項13に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物。
【請求項15】
請求項13に記載の半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物を含む素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温および高い湿度環境で蛍光安定性が向上し、半導体ナノ結晶の固有の特性を維持することができ、信頼性向上により多様な素子に応用可能な半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物、ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ナノ結晶は(quantum dot、量子点)数百から数千個の原子で構成されている。したがって、半導体ナノ結晶は、単位体積当たりの表面積が広く、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)によりバルク半導体とは異なる光物理的特性を示す。半導体ナノ結晶の単なる大きさを変化させる方法で半導体ナノ結晶の光物理的特性を変化させることができ、優れた物理的、化学的、および電気的特性に起因して多様な光学素子に適用するための研究開発が盛んに行っている。
【0003】
半導体ナノ結晶は、多様な光学素子に適用するために高分子樹脂などに分散させてフレーク化して用いることが一般的な方法である。一般に半導体ナノ結晶のフレーク化に用いられる高分子樹脂としては、透明性に優れたアクリル系またはシロキサン系樹脂が用いられている。シロキサン系の樹脂中の主鎖がシロキサン構造からなるPDMS系樹脂は、主鎖が炭素からなる炭化水素系樹脂に比べて熱、紫外線領域の電磁波に対して安定しているため、光学材料の応用に有用である。しかし、半導体ナノ結晶を高分子樹脂に分散させる場合、半導体ナノ結晶の高い表面エネルギーと半導体ナノ結晶の合成時に用いられる炭化水素系リガンドと互換性が良くなく、凝集が起きやすいため、半導体ナノ結晶の表面のリガンド交換または分散剤なしでは分散が不可能である。また前記リガンド交換または分散剤を添加するとしても長時間の間の貯蔵安定性は低い。また金属からなる半導体ナノ結晶は熱および水分に非常にぜい弱であり、酸化しやすいため、固有の特性を失うという問題点がある。
【0004】
前記の高分子樹脂内の半導体ナノ結晶の分散と、熱および水分にぜい弱な問題を解決するために、先行の研究が行われてきた。
【0005】
例えば、シロキサン系高分子樹脂に半導体ナノ結晶を分散するために半導体ナノ結晶の表面に存在する従来のリガンドをシロキサン系に交換する方法(特許文献1ないし4)、半導体ナノ結晶をシロキサン系化合物でカプセル化する方法(特許文献5)、シロキサン系樹脂および炭化水素系樹脂に分散剤を添加する方法(特許文献6ないし7)等が提案されている。
【0006】
しかし、前記提案されている方法は依然として次のような問題を有している。
【0007】
第一に、一般に半導体ナノ結晶の表面のリガンドを交換したり、カプセル化コーティングしたりする方法は、半導体ナノ結晶の固有の特性を変化させ、特に最も多く用いられるリガンド交換方法は量子効率の深刻な低下をもたらす(参考文献1ないし4)。つまり、参考文献1ないし4によれば、半導体ナノ結晶の表面のリガンドの交換は、半導体ナノ結晶の重要な蛍光特性の顕著な減少をもたらす。したがって、半導体ナノ結晶の特性を維持するためにはリガンド交換の過程なしに初期に合成された半導体ナノ結晶を用いなければならない。
【0008】
具体的には、前記特許文献1ないし3には、半導体ナノ結晶を商用化されたシロキサン系樹脂に分散させるために半導体ナノ結晶の表面のリガンドを線状のシロキサン構造のリガンドに交換して均一な分散を達成し、商用のシロキサン系の樹脂と複合化する方法が開示されている。また、特許文献4では、半導体ナノ結晶を商用化されたシロキサンおよび炭化水素系の樹脂に分散させるために半導体ナノ結晶の表面のリガンドを交換して均一な分散を達成しようとした。しかし、特許文献1ないし4の方法は、新たな高分子樹脂を開発することでなく、従来の商用高分子樹脂に半導体ナノ結晶を均一に分散させるために半導体ナノ結晶の表面のリガンドを変化させることに限られている。
【0009】
また、特許文献5では、半導体ナノ結晶の表面のリガンド交換は行わず半導体ナノ結晶を商用のシロキサン系樹脂に分散させるために商用化された線状のシロキサン系化合物でカプセル化して複合体を製作してUV安定性と耐熱性を評価した。しかし、前記の特許文献も同様に新たな高分子樹脂の開発に関するものでなく、産業界において求められている信頼性の試験時間(1000時間)の1/4にも至らない240時間だけ評価を行い、また湿度に対する信頼性評価は行われていない。さらに評価時間の間に発光効率が14%減少した。
【0010】
第二に、特許文献6および7では、半導体ナノ結晶の高分子樹脂内の分散のために分散剤を添加した。しかし、分散剤の添加は、昇温時の半導体ナノ結晶高分子複合体の安定性を低下させ、複合体内の半導体ナノ結晶の特性の低下を招く。
【0011】
したがって、半導体ナノ結晶の有機リガンド交換および分散剤の添加なしでも、半導体ナノ結晶がシロキサン系の高分子樹脂に凝集なしに均一な分散を達成することができ、また応用素子の信頼性向上のために半導体ナノ結晶を熱または湿気の外部環境から効果的に保護することができる、新たな半導体ナノ結晶の高分子複合樹脂の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際出願第PCT/US2010/001283号
【特許文献2】国際出願第PCT/US2013/045244号
【特許文献3】国際出願第PCT/IB2013/059577号
【特許文献4】国際出願第PCT/US2011/000724号
【特許文献5】大韓民国公開特許第10−2014−0006310号
【特許文献6】大韓民国特許登録第10−1249078号
【特許文献7】大韓民国公開特許第10−2015−0041581号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】KIM, Sungjee; BAWENDI, Moungi G. Oligomeric ligands for luminescent and stable nanocrystal quantum dots. Journal of the American Chemical Society, 2003, 125.48: 14652-14653
【非特許文献2】WANG, Xiao-Song, et al. Surface passivation of luminescent colloidal quantum dots with poly (dimethylaminoethyl methacrylate) through a ligand exchange process. Journal of the American Chemical Society, 2004, 126.25: 7784-7785
【非特許文献3】DUBOIS, Fabien, et al. A versatile strategy for quantum dot ligand exchange. Journal of the American Chemical Society, 2007, 129.3: 482-483
【非特許文献4】PONG, Boon-Kin; TROUT, Bernhardt L.; LEE, Jim-Yang. Modified ligand-exchange for efficient solubilization of CdSe/ZnS quantum dots in water: A procedure guided by computational studies. Langmuir, 2008, 24.10: 5270-5276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来技術の問題点を解決するために、本発明は、緻密な無機網目構造のシロキサン樹脂内に半導体ナノ結晶の表面のリガンドの交換なしでも均一な分散を達成することができる半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物、ならびにその製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記樹脂組成物の紫外線硬化および/または熱硬化により硬化物を製作することによって、シロキサン網目構造内の半導体ナノ結晶がシロキサン構造によって安定的にカプセル化(encapsulation)され、外部環境から保護されて優れた信頼性を有する半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物とこれを採用した素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態は、半導体ナノ結晶の表面が網目構造のシロキサン複合体樹脂によって分散および結合してカプセル化されている複合体樹脂を含み、
前記網目構造のシロキサン複合体樹脂が半導体ナノ結晶を含む有機アルコキシシランおよび有機シランジオールからなる群から選ばれた1種以上のシラン系化合物に由来した加水または非加水の縮合反応物を含む、
半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物を提供する。
【0017】
また、本発明の好ましい一実施形態は、半導体ナノ結晶の表面が網目構造のシロキサン複合体樹脂によって分散および結合されてカプセル化されている複合体樹脂を含み、
前記網目構造を有するシロキサン複合体樹脂は、半導体ナノ結晶を囲み、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールからなる群より選択された1種以上に由来した加水分解縮合反応物または非加水分解縮合反応物を含む、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物を提供する。
【0018】
前記有機アルコキシシランは、下記化学式1で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる。
【0019】
[化学式1]
Si(OR4−n
前記化学式1において、
は、それぞれ独立して(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記Rは、アクリル基、(メタ)アクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エポキシ基、ビニル基、水素基、メチル基、フェニル基、およびイソシアネート基の中から選ばれた1種以上の官能基を有し得、
は、それぞれ独立して直鎖または分枝鎖C〜Cのアルキル基であり、
nは、0ないし3の整数である。
【0020】
前記有機アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N−(アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、およびクロロプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0021】
前記有機シランジオールは、下記化学式2で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる。
【0022】
[化学式2]
Si(OH)4−m−k
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立してまたは同時に(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記RおよびRは、アクリル基、メタクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、(C〜C20)アルコキシ基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、エポキシ基、オキセタン基、およびフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有し得、
mおよびkは、それぞれ0ないし3の整数であり得る。
【0023】
前記有機シランジオールは、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0024】
前記半導体ナノ結晶は、金属基盤のコア−シェル構造を有し、表面に1種以上のリガンドを含み得る。
【0025】
前記シロキサン複合体樹脂組成物は、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーをさらに含み得る。
【0026】
また、本発明の別の実施形態は、a)半導体ナノ結晶と、前記化学式1で表される有機アルコキシシランおよび前記化学式2で表される有機シランジオールからなる群より選ばれた1種以上のシラン系化合物を含有する組成物を製造する段階と、
b)半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物を攪拌しながら縮合反応を行い、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物を製造する段階
とを含み、
前記段階b)は、前記半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物の縮合反応により、網目構造のシロキサン樹脂を形成すると同時に前記シロキサン樹脂内に半導体ナノ結晶を分散させて半導体ナノ結晶の表面をシロキサン樹脂でカプセル化する段階を含む、
上述した半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0027】
ここで、前記半導体ナノ結晶は、縮合反応により形成される全シロキサン複合樹脂100重量部に対して0.01ないし10重量部を用い得る。
【0028】
前記段階b)の縮合反応は、加水縮合反応、または非加水縮合反応を含み得る。
【0029】
前記加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび水を1:0.5ないし4のモル比で含む混合物の加水縮合反応を含み得る。
【0030】
前記非加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールを1:0.2ないし4.0のモル比で含む混合物の非加水縮合反応を含み得る。
【0031】
前記加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび水を1:0.5ないし5のモル比で含む混合物の加水縮合反応を含み得る。
【0032】
前記非加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールを1:0.2ないし5.0のモル比で含む混合物の非加水縮合反応を含み得る。
【0033】
前記段階b)以降に、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に硬化触媒を添加する段階をさらに含み得る。
【0034】
また、前記段階b)の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーを添加する段階をさらに含み得る。
【0035】
一方、本発明のさらに別の実施形態は、上述した半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の光硬化または熱硬化により得られた硬化物を含む半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物を提供する。
【0036】
この時、前記硬化物は、フィルム、フレーク、シートまたはLEDチップに封止された形態を含み得る。
【0037】
また、本発明のさらにまた別の実施形態は、半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物を含む素子を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本発明により製造された半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶の有機リガンド交換、また分散剤の添加なしで、半導体ナノ結晶がシロキサン樹脂と物理化学的相互作用により均一な分散およびカプセル化(encapsulation)を達成することができる。特に、前記樹脂組成物の硬化により製造される硬化物は、網目構造のシロキサンが硬化物内の半導体ナノ結晶を外部環境から保護するので、優れた熱および水分に対する安定性を有するという高い信頼性を実現することができる。したがって、本発明は、応用素子の信頼性を向上させることにより、前記複合体樹脂を光学およびディスプレイなどの分野に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂を形成するための概略的な反応過程を示す図である。
図2図2は、図1で得られた半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂の硬化過程と、得られた硬化物の構造を簡略に示す図である
図3図3は、本発明の半導体ナノ結晶シロキサン樹脂の構造的な特徴を示す29Si−NMRスペクトルの分析結果を示す図である。
図4図4は、比較例1および本発明の実施例1の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の分散安定性の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明についてより具体的に説明する。また、本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るため、特定の実施例を例示し、以下で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするためでなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0041】
また、本発明の明細書において用いられる「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、かつ他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0042】
以下、本発明の好ましい半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物およびその製造方法についてより詳細に説明する。
【0043】
半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物
まず、発明の好ましい一実施形態により、半導体ナノ結晶の表面が網目構造のシロキサン複合体樹脂によって分散および結合してカプセル化されている複合体樹脂を含み、前記網目構造のシロキサン複合体樹脂が有機アルコキシシランおよび有機シランジオールからなる群から選ばれた1種以上のシラン系化合物に由来した加水または非加水の縮合反応物を含む半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物が提供される。
【0044】
つまり、本発明は、半導体ナノ結晶が1種以上の有機アルコキシシランまたは有機シランジオールの混合物の縮合反応により合成されるシロキサン複合体樹脂に分散および結合された半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂および硬化物を提供するためのものである。特に、本発明の場合、シロキサン複合体樹脂を製造するための縮合反応工程中、半導体ナノ結晶を含む1種以上の有機アルコキシシランまたは有機シランジオールを用いるので、不規則な網目構造のマトリックスを含むシロキサン樹脂が生成されると同時に、半導体ナノ結晶が複合体樹脂内に安定的に分散されてシロキサン構造によってカプセル化され得る。
【0045】
したがって、本発明は複合体樹脂内の半導体ナノ結晶がシロキサン構造によるカプセル化(encapsulation)により、外部環境から安定的に保護されて複合体内の半導体ナノ結晶の固有特性を維持し、かつ応用素子の信頼性が向上する。
【0046】
この時、本発明において、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物は、硬化を経る前の状態であって、シロキサン複合体樹脂によって半導体ナノ結晶がカプセル化されており、またシロキサン複合体樹脂に分散された状態である。そして、前記樹脂組成物は溶媒も含み得る。また、半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物は、前記樹脂組成物に対して紫外線および/または熱硬化工程を経た後の状態であり、複合体樹脂になり得るものである。
【0047】
以下、図面を参照して本発明について具体的に説明する。
【0048】
図1は、本発明の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂を形成するための概略的な反応過程を示す図である。
【0049】
図2は、図1で得られた半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂の硬化過程と、得られた硬化物の構造とを簡略に示す図である。
【0050】
具体的には、本発明は、物理化学的相互作用(好ましくは疎水性相互作用(hydrophobic interaction))により半導体ナノ結晶とシロキサン複合体樹脂とを結合させる。この時、前記疎水性相互作用(hydrophobic interaction)のためにシロキサン複合体樹脂をゾル−ゲル縮合反応させる過程を行い、半導体ナノ結晶がシロキサン樹脂内に存在すると同時に前記ゾル−ゲル縮合反応は行われるため、半導体ナノ結晶の表面にシロキサン樹脂の官能基が簡単に相互作用可能なので、シロキサン複合体樹脂内に半導体ナノ結晶が分散され得る。したがって、図1に示すように、半導体ナノ結晶は、1種以上の有機アルコキシシランまたは有機シランジオールの混合物の加水または非加水ゾル−ゲル縮合反応により合成されるシロキサン複合体樹脂に分散されることによって、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂が製造され得る。
【0051】
したがって、本発明の方法により製造された樹脂は、半導体ナノ結晶のリガンド交換、そして分散剤を添加しなくても物理化学的相互作用(疎水性相互作用(hydrophobic interaction))によって半導体ナノ結晶がシロキサン構造内に均一に分散されて長時間の間の半導体ナノ結晶の凝集現象が起こらない。
【0052】
特に、本発明のシロキサン複合体樹脂には、従来のように単に線状構造のみが含まれるのでなく、不規則な網目構造もまた含まれる。
【0053】
具体的には、上述した特許文献1では半導体ナノ結晶のリガンドとマトリックス物質が線状構造と化学構造が同じであるものを用いて製作され、上述したその他の先行技術文献のマトリックスは商用の線状構造の炭化水素およびシロキサン樹脂からなる。
【0054】
しかし、本発明のシロキサン樹脂は、線状構造だけでなく不規則的なシロキサン網目構造のマトリックスを提供するという特徴を有する。したがって、本発明のシロキサン複合体樹脂は、規則的な線状構造と不規則的な網目構造とを共に含むため、従来の樹脂よりも均一に半導体ナノ結晶を樹脂内に均等に分散させ得る。一例として、図3は本発明の半導体ナノ結晶シロキサン樹脂の構造的な特徴を示す29Si−NMRスペクトル分析結果を示す図である。図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態によるシロキサン複合体樹脂は、シロキサン網目構造(T種の存在(existence))を形成することが分かる。
【0055】
また、本発明の組成物では網目構造のシロキサン複合体樹脂に半導体ナノ結晶が分散されているので、安定したカプセル化が可能である。このような本発明の複合体樹脂において、外部でカプセル化した網目構造のシロキサン複合体樹脂と半導体ナノ結晶は1:0.0001ないし0.1の重量比率で含まれ得る。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物は、硬化触媒をさらに含み得る。
【0057】
前記硬化触媒は、後に紫外線硬化および/または熱硬化に用いられる触媒であり得るが、その種類はこれらに限定されず、一般に半導体ナノ結晶複合体樹脂の硬化に用いられるものであれば、いずれも使用可能である。
【0058】
また、本発明において、前記シロキサン複合体樹脂組成物は、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーをさらに含み得る。前記反応性モノマーまたはオリゴマーを含むことにより、最終半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂の粘度、自由体積などを制御して加工性を容易にすることができる。前記反応性モノマーまたはオリゴマーは、例えば、3−エチル−3[[[3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ]メチル]オキセタン、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシレートジ(メタ)アクリレートなどがあるが、これらに限定されない。
【0059】
また、本発明は図1の構造を有する半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂を含む組成物に対する紫外線硬化および/または熱硬化を行い、硬化物を製造し得る(図2)。このように製造される硬化物の場合、構造内の半導体ナノ結晶がシロキサン構造によってカプセル化(encapsulation)された状態を維持し、シロキサン複合体樹脂間の結合力に優れ、外部環境から半導体ナノ結晶を保護し得る。したがって、本発明の複合体樹脂は、優れた熱安定性および水分安定性を有し、これを多様な素子に適用するとき、信頼性を向上させることができる。
【0060】
一方、本発明において、シロキサン複合体樹脂を得るために用いられる各成分について説明する。
【0061】
前記シラン系化合物の中、有機アルコキシシランは下記化学式1で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる。
【0062】
[化学式1]
Si(OR4−n
前記化学式1において、
は、それぞれ独立して(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記Rは、アクリル基、(メタ)アクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エポキシ基、ビニル基、水素基、メチル基、フェニル基およびイソシアネート基の中から選ばれた1種以上の官能基を有し得、
は、それぞれ独立して直鎖または分枝鎖C〜Cのアルキル基であり、
nは、0ないし3の整数である。
【0063】
したがって、前記有機アルコキシシランは下記構造式のうちいずれか一つ以上を用い得る。
【0064】
【化1】
(上記の式において、RおよびRは、それぞれ前記で定義したとおりである。)
より具体的には、前記有機アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N−(アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシランおよびからなる群より選ばれる1種以上を用い得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0065】
前記シラン系化合物の中、有機シランジオールは官能基が置換または非置換された有機鎖および2個の水酸化基が結合されたシラン系化合物を含有する。好ましくは、下記化学式2で表される化合物またはその2種以上の混合物から選ばれる。
【0066】
[化学式2]
Si(OH)4−m−k
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立してまたは同時に(C〜C20)アルキル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル基で置換された(C〜C20)アルキル基、(C〜C20)アルケニル基、(C〜C20)アルキニル基、または(C〜C20)アリール基であり、この時、前記RおよびRは、アクリル基、メタクリル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、(C〜C20)アルコキシ基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、エポキシ基、オキセタン基およびフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有し得、
mおよびkは、それぞれ0ないし3の整数である。
【0067】
より具体的には、前記有機シランジオールは、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオールおよびこれらの組み合わせからなる群から選んで用い得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0068】
本発明の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物および硬化物内の半導体ナノ結晶の種類は、特に限定されず、この分野によく知られているすべてものを利用可能である。
【0069】
例えば、前記半導体ナノ結晶は、II−VI族半導体化合物、II−V族半導体化合物、III−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、II−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、これらの合金およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものであり得る。
【0070】
前記II族元素としては、Zn、Cd、Hg、またはこれらの組み合わせが用いられ得、前記III族元素としては、Al、Ga、In、Ti、またはこれらの組み合わせが用いられ得、前記IV族元素としては、Si、Ge、Sn、Pb、またはこれらの組み合わせが用いられ得る。前記V族元素としては、P、As、Sb、Bi、またはこれらの組み合わせが用いられ得、前記VI族元素としては、O、S、Se、Te、またはこれらの組み合わせが用いられ得る。
【0071】
II−VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTeなどの二元素化合物;またはCdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSeなどの三元素化合物;またはCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeなどの四元素化合物からなる群より選ばれ得る。
【0072】
また、III−V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbなどの二元素化合物;またはGaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、AlGaN、AlGaP、AlGaAs、AlGaSb、InGaN、InGaP、InGaAs、InGaSb、AlInN、AlInP、AlInAs、AlInSbなどの三元素化合物;またはGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbなどの四元素化合物からなる群より選ばれ得る。IV−VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeなどの二元素化合物;またはSnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeなどの三元素化合物;またはSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeなどの四元素化合物からなる群より選ばれ得、前記IV族化合物は、Si、Geなどの単一元素化合物;またはSiC、SiGeなどの二元素化合物からなる群より選ばれ得る。
【0073】
前記半導体ナノ結晶はコア−シェル構造であり得る。前記シェルは、1つ以上の層を含み得る。また、前記シェルは、II−VI族半導体、III−V族半導体、IV−VI族半導体、またはこれらの組み合わせからなる。
【0074】
前記半導体ナノ結晶は、この分野においてよく知られている1種以上のリガンドを含み得る。
【0075】
また、前記半導体ナノ結晶は、二種類以上の物質から構成された多層構造であり得る。このような多層構造は、各層の間の界面に二種類以上の物質の合金層(alloy inter layer)を含み得、また、合金層が物質組成の勾配を有する合金層(gradient alloy)であり得る。
【0076】
半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法
一方、本発明の好ましい他の実施形態により、a)半導体ナノ結晶と、前記化学式1で表される有機アルコキシシランおよび前記化学式2で表される有機シランジオールからなる群より選ばれた1種以上のシラン系化合物を含有する組成物を製造する段階と、b)半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物を攪拌しながら縮合反応を行い、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物を製造する段階とを含み、前記段階b)は、前記半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物の縮合反応により網目構造のシロキサン樹脂を形成すると同時に前記シロキサン樹脂内に半導体ナノ結晶を分散させて半導体ナノ結晶の表面をシロキサン樹脂でカプセル化する段階を含む、上述した半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0077】
まず、本発明は、段階a)において、半導体ナノ結晶とシラン系化合物を共に混合し、半導体ナノ結晶とシラン系化合物を含有する組成物を製造する。この時、縮合反応が完了する時点において半導体ナノ結晶を添加する場合、高温および高温高湿の環境での蛍光強度の減少が、半導体ナノ結晶をシロキサン樹脂が形成されると同時に添加する場合と比較して大幅に多く発生するという問題点がある。
【0078】
そして、本発明は、前記段階b)を行うために、半導体ナノ結晶が物理化学的相互作用によりシロキサン複合樹脂に均一に分散されるようにするため、樹脂の製造時、半導体ナノ結晶の存在下でゾル−ゲルの加水または非加水の縮合反応を用いる。
【0079】
好ましくは、前記段階b)の縮合反応は、有機アルコキシシラン化合物および水の加水縮合反応、または有機アルコキシシランおよび有機シランジオールの非加水縮合反応を含み得る。
【0080】
より好ましくは、前記加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび水を1:0.5ないし4のモル比で含む混合物の加水縮合反応を含み得る。また、前記非加水縮合反応は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールを1:0.2ないし4.0のモル比で含む混合物の非加水縮合反応を含み得る。
【0081】
より具体的に説明すると、本発明のゾル−ゲル縮合反応は、下記反応式1および3のように1種以上の有機アルコキシシランおよび有機シランジオールの混合物を用いた非加水縮合反応を含み得る。また本発明のゾル−ゲル縮合反応は、下記反応式2のように1種以上の有機アルコキシシランまたは1種以上の有機シランジオールの加水縮合反応を含み得る。
【0082】
【化2】
(上記の式において、RないしRはそれぞれ前記で定義したとおりである。)
前記の反応式1ないし3から分かるように、有機アルコキシシランまたは有機シランジオールの非加水または加水ゾル−ゲル縮合反応を行うと、R’およびR”のような官能基を有する緻密な網目構造のシロキサンが形成される(例えば図1を参照)。また本発明のシロキサンは線状構造を含み得る。
【0083】
そして、本発明によれば、このような網目構造のシロキサンが形成されると同時に、半導体ナノ結晶を含む1種以上の有機アルコキシシラン、1種以上の有機シランジオール、またはこれらの混合物状態から半導体ナノ結晶を分散させる特徴がある。このようにすることによって、本発明は、半導体ナノ結晶の表面のリガンドと有機アルコキシシランまたは有機シランジオールの官能基を物理化学的相互作用(疎水性相互作用(hydrophobic interaction))により結合させ得、その結果、半導体ナノ結晶の周囲に前記のシラン系化合物が前記相互作用によって位置する。したがって、このような一連の過程により半導体ナノ結晶が網目構造のシロキサンに均一に分散およびカプセル化(encapsulation)されるシロキサン複合体樹脂組成物が製造される(図1参照)。
【0084】
また、本発明において、前記半導体ナノ結晶は、縮合反応により形成される全シロキサン複合樹脂100重量部に対して0.01ないし10重量部を用い得、反応に用いるときは半導体ナノ結晶を溶媒に分散させた状態で用い得る。この時、用いられる有機溶媒の種類は限定されないが、クロロホルム、トルエン、ヘキサンなどが用いられ得る。
【0085】
また、前記シラン系化合物を含有する組成物は、1種以上の有機アルコキシシラン、1種以上の有機シランジオール、またはこれらの混合物を用いることにおいて、混合物を用いる場合はその比率を調整して用い得る。
【0086】
好ましい実施形態により、反応式1および3のような非加水縮合反応を行う場合、上述したとおり、シラン系化合物は、有機アルコキシシランおよび有機シランジオールを1:0.2ないし5のモル比で含み得る。
【0087】
そして、他の好ましい実施形態により、反応式2のような加水縮合反応を行う場合、上述したとおり、シラン系化合物は、有機アルコキシシランおよび水を1:0.5ないし5のモル比で含み得る。この時、前記二つの物質のモル比の範囲を外れる1:0.5未満である場合、加水ゾル−ゲル縮合反応が十分に起きず、シロキサン構造の形成度が非常に低く、1:5超である場合は、有機アルコキシシランのアルコキシグループと水の加水分解反応に参加しない過量の水によって均一な半導体ナノ結晶樹脂組成物および硬化物を製作することができず、また半導体ナノ結晶が水によって酸化されて半導体ナノ結晶の固有の特性が低下することができる。
【0088】
一方、前記縮合反応は、反応温度、反応雰囲気および触媒の種類と量を調節して行うことが好ましい。
【0089】
例えば、前記縮合反応は0℃ないし120℃の温度で4時間ないし120時間行い得る。この時、前記縮合反応は、常温で4時間ないし120時間程度の攪拌でも十分であるが、反応速度の促進のために0℃〜120℃、好ましくは40℃ないし100℃で2ないし48時間行い得る。
【0090】
ここで、前記非加水縮合反応は、酸または塩基の触媒下で行い得る。使用可能な触媒としては、例えば、塩酸、フッ酸、酢酸、硝酸、硫酸、クロロスルホン酸、ピロリン酸、ヨード酸などの酸触媒;アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、イミダゾールなどの塩基触媒;およびAmberite IRA−67、IRA−400等があり、これらの触媒またはこれらの触媒の組み合わせからなる群より選択および組み合わせて用い得る。触媒の量は反応に用いられるシラン系化合物1モルに対して0.0001〜10mol%で添加し得るが、その量は特に限定されない。
【0091】
また、前記反応式1ないし3から分かるように、反応が起きると、副産物であるアルコールおよび水が生成されて樹脂内に存在し得るが、これを大気圧および減圧下で30分間ないし3時間約40℃ないし100℃条件を加えることにより除去することができる。また半導体ナノ結晶が分散された溶媒も前記の条件下で除去することができる。
【0092】
また、本発明の場合、前記段階b)以降に、半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に硬化触媒を添加する段階をさらに含み得る。
【0093】
そして、前記段階b)の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物に、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に1ないし50重量部のエポキシ基、アクリル基、またはオキセタン基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーを添加する段階をさらに含み得る。
【0094】
半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物
一方、発明の他の実施形態により、上述した半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の光硬化または熱硬化により得られた半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物を提供する。
【0095】
つまり、本発明によれば、半導体ナノ結晶をカプセル化したシロキサン複合体樹脂が、硬化可能な有機官能基を有しており、また安定的に半導体ナノ結晶を保護しているので、一般によく知られている紫外線硬化および/または熱硬化の段階により結合力に優れた硬化物を製作することができる。
【0096】
また、本発明の一実施形態において、前記半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂の粘度、自由体積などを制御し、加工性を容易にするために、上述したとおり紫外線硬化および/または熱硬化できる反応性モノマーまたはオリゴマーをさらに添加し得る。前記の反応性モノマーまたはオリゴマーの添加量は、特に限定されないが、前記全シロキサン複合体樹脂100重量部に対して約1ないし約50重量部を添加し得る。前記の反応性モノマーまたはオリゴマーは、エポキシ基、アクリル、メタクリル基、またはオキセタン基を有し得るが、その種類は大きく限定されない。
【0097】
また前記半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂の付随的な性能を制御するため、本発明の効果に影響を与えない範囲内で有機蛍光体、無機蛍光体、共役高分子、界面活性剤、光拡散制、酸化防止剤、活性酸素除去剤、シリカゾル、酸化物、または耐熱剤などを含み得るが、これらに限定されない。
【0098】
前記半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の硬化段階は、通常用いられる触媒下で行われ得る。硬化物は、硬化後に200℃以下、好ましくは50℃ないし180℃以下の温度で熱処理する段階が含まれ得るが、その条件は限定されない。
【0099】
本発明の一実施形態において、前記半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物は、コーティング、キャスティング、モールディング、3Dプリンティングなどの様々な成形段階を用いて硬化物に製造可能であるが、その成形方法はこれらに限定されない。また、本発明による硬化物は、フィルム、フレーク、シートまたはLEDチップに封止された形態を含み得る。
【0100】
また、本発明の場合、半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物を含む素子を提供することができる。
【0101】
前記素子は、ディスプレイまたは照明装置を含むが、大きく限定されない。つまり、本発明で提示した半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物およびこれを用いた硬化物は、光波長変換体、レーザ、カラーフィルタ、太陽電池、およびLED素子などのディスプレイまたは照明装置に全て応用することができる。
【0102】
以上のように、本発明による半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶の表面のリガンド交換なしに均一な分散を達成したシロキサン複合体樹脂を含んでいるので、従来の問題点である半導体リガンド交換時に必然的に発生するナノ結晶の特性の低下を避けることができ、長時間半導体ナノ結晶の均一な分散を維持して優れた貯蔵安定性を提供する長所がある。また、半導体ナノ結晶が緻密な無機網目構造のシロキサンによってカプセル化されて半導体ナノ結晶を外部環境(熱および水分)から保護して高温および高温高湿の環境への長時間露出にも蛍光特性が維持され、応用素子の高い信頼性を提供することができる。
【実施例】
【0103】
以下、発明の具体的な実施例により発明の効果についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は発明の例示として提示するものに過ぎず、これによって発明の権利範囲を限定しようとするものではない。
【0104】
下記の実施例に用いられた半導体ナノ結晶は、Cd基盤のコア−シェル構造であるNanodot−HE−620製品(商品名、Ecoflux社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶は、クロロホルム溶媒に分散された状態であり、シロキサン樹脂100重量部を基準に1重量部を添加した(溶媒の重量は除外)。
【0105】
[実施例1]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0106】
[実施例2]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0107】
[実施例3]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0108】
[実施例4]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0109】
[実施例5]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0110】
[実施例6]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0111】
[実施例7]
シロキサン複合体樹脂半導体ナノ結晶を含み、組成物は、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0112】
[実施例8]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0113】
[実施例9]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒であるアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート塩を2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0114】
[実施例10]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとジフェニルシランジオールをモル比1:1.25で250ml 2首フラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムを添加し、80℃で6時間攪拌して非加水縮合反応により製造した。この時、触媒は全シラン系化合物1モルに対して0.1mol%を添加した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に熱硬化触媒である2−エチル−4−メチルイミダゾールを2重量部添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0115】
[実施例11]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造した。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒であるアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート塩2重量部と、光重合が可能な反応性モノマーとして3−エチル−3[[[3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ]メチル]オキセタンを20重量部を添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0116】
[実施例12]
シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶を含み、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランと水をモル比1:1.5で250ml 2首フラスコに入れた後、80℃で6時間攪拌して加水縮合反応により製造された。前記過程により網目構造のシロキサン構造の形成と同時に、半導体ナノ結晶がシロキサン複合体樹脂によって分散およびカプセル化(encapsulation)された樹脂組成物を製造した。その後、全シロキサン複合体樹脂100重量部を基準に樹脂組成物に光硬化触媒である2−エチル−4−メチルイミダゾール2重量部と、熱重合が可能な反応性モノマーとして3−エチル−3[[[3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ]メチル]オキセタン20重量部を添加した。製造されたシロキサン複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0117】
本発明による半導体ナノ結晶が分散されたシロキサン複合体樹脂組成物および硬化物の特徴である緻密な網目構造のシロキサン構造が半導体ナノ結晶を外部環境から保護する効果を示すために、シロキサン構造を含まない下記の比較例を実施した。
【0118】
[比較例1]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有する(メタ)アクリル樹脂製品(Miramer M244(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0119】
[比較例2]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有する(メタ)アクリル樹脂製品(Miramer M244(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0120】
[比較例3]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有するアクリル樹脂製品(Miramer M244(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に光硬化触媒である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0121】
[比較例4]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有するアクリル樹脂製品(Miramer M244(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に熱硬化触媒であるベンゾイルパーオキサイドを全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0122】
[比較例5]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有するエポキシ樹脂製品(MiramerPE2120C(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に光硬化触媒であるアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート塩を全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、365nm波長の紫外線ランプに3分間露出して硬化物を製作した。
【0123】
[比較例6]
高分子樹脂は2価の官能基(difunctional group)を有するエポキシ樹脂製品(Miramer PE2120C(商品名)、味元化学社製、韓国)を用いた。半導体ナノ結晶を樹脂に入れて80℃で6時間攪拌をした後、半導体ナノ結晶が分散されている溶媒を除去して樹脂を製造した。その後、前記樹脂に熱硬化触媒である2−エチル−4−メチルイミダゾールを全高分子樹脂に対して2重量部添加した。製造された半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂組成物をPETの表面の上に100μm厚みでコーティングした後、60℃で60分間露出して硬化物を製作した。
【0124】
[実験例1]−分散安定性の評価
前記のように準備された実施例1ないし12および比較例1ないし6による樹脂組成物を常温で40日間保管した後、樹脂組成物内の半導体ナノ結晶の分散安定性を確認した。
【0125】
図4は比較例1および本発明の実施例1の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物の分散安定性の評価結果を示す図である。
【0126】
図4を参照すると、実施例1の半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂は、40日間常温で保管した時、半導体ナノ結晶の凝集なしに均一に分散を維持していた。しかし、同じ環境で比較例1の半導体ナノ結晶高分子複合体樹脂は、一日以内に樹脂内の半導体ナノ結晶が凝集して沈殿することが確認された。これにより、本発明による半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物が半導体ナノ結晶の有機リガンド交換なしで、また分散剤添加なしで、商用の高分子樹脂より優れた分散安定性を有することが確認された。
【0127】
[実験例2]−高温高湿の安定性の評価(60℃/90%湿度、85℃/85%湿度)
前記のように準備された実施例1ないし12および比較例1ないし6による硬化物を60℃/90%湿度、85℃/85%湿度の環境に40日間露出させた後、PSI社の蛍光分析器DARSA PRO 5100を用いて蛍光強度の変化量を測定した。
【0128】
表1は実施例と比較例の高温高湿の環境への露出前後の蛍光強度の変化量を示すものである。
【0129】
【表1】
表1を参照すると、実施例1ないし12による半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物の蛍光強度は、最大3%減少を有し、比較例1ないし6による半導体ナノ結晶高分子複合体の硬化物の蛍光強度は、最大35%減少を有することが分かる。これにより、本発明による半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物が高温高湿の環境で蛍光安定性に優れるので、光学素子に適用することができる。
【0130】
[実験例2]−高温安定性の評価(60℃、85℃)
前記のように準備された実施例1ないし12および比較例1ないし6による硬化物を60℃、85℃の環境に40日間露出させた後、PSI社の蛍光分析器DARSA PRO 5100を用いて蛍光強度の変化量を測定して結果を比較した。
【0131】
表2は実施例と比較例の高温の環境への露出前後の蛍光強度の変化量を比較して示すものである。
【0132】
【表2】
表2を参照すると、実施例1ないし10による半導体ナノ結晶シロキサン複合体の硬化物の蛍光強度は、最大4%減少を有し、反応性モノマーがシロキサン樹脂に対して20重量部を添加した実施例11ないし12の硬化物は、85℃の高温の環境で20%程度の蛍光強度が減少することが分かる。これは複合体の硬化物内のシロキサン構造を含まない反応性モノマーによるものと判断される。
【0133】
しかし、比較例1ないし6による半導体ナノ結晶高分子複合体の硬化物の蛍光強度は、最大45%減少を有することが分かる。これにより、本発明による半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂により製造された硬化物が高温の環境で蛍光安定性に優れて光学素子に適用することができる。
【0134】
前記の実験例1ないし3から、本発明により製造された半導体ナノ結晶シロキサン複合体樹脂組成物は、半導体ナノ結晶の表面の有機リガンドの交換なしでも、また分散剤を添加しなくても、長時間均一な優れた分散性を維持することがわかる。また、この樹脂組成物を硬化させた硬化物は、高温高湿、また高温の環境に長時間露出した後にも硬化物内の半導体ナノ結晶の蛍光特性が維持され、高い安定性により半導体ナノ結晶を適用するディスプレイ応用素子の信頼性を持たせるものである。
図1
図2
図3
図4