(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、
図1に概念的、概略的に示すように、第1の実施形態に係る冷却水供給装置1Aは、レーザ加工装置(図示省略)に備えたレーザ加工ヘッド3に接続した冷却水供給路5を備えている。この冷却水供給路5には、水を供給するための水供給路7が接続してあると共に、防錆剤を供給するために防錆剤供給路9が接続してある。
【0031】
前記水供給路7には定量ポンプ11が備えられている。この定量ポンプ11は、貯水タンク13内の水(純水、精製水)を吸引して前記冷却水供給路5へ送水する送水手段を構成するものである。この定量ポンプ(送水手段)11は、エア源15から供給されるエア圧を原動源とするポンプである。この定量ポンプ11は、エア回路に配置した電磁開閉弁17の開閉動作を繰り返すことにより、前記貯水タンク13内の水を吸収して冷却水供給路5へ送出する動作を繰り返す機能を有するものである。
【0032】
前記定量ポンプ11は、例えばダイヤフラム式ポンプから構成してある。したがって、前記電磁開閉弁17の単位時間当たりの開閉動作(ソレノイドのON、OFF動作)の速度を調整することにより、定量ポンプ11による単位時間当たりの送水量を調節できるものである。前記水供給路7には、水の送出量を調節自在な、例えばニードル弁などのごとき絞り弁19が備えられていると共に、水の流れを検出する流量センサ21が備えられている。この流量センサ21は、水供給路7内の水の流れを検出できればよいものであり、一種の流体センサを構成するものである。
【0033】
したがって、水供給路7から前記冷却水供給路5へ送出する水量、すなわち単位時間当たりの送水量を絞り弁19によって調節できるものである。また、前記流量センサ(流体センサ)21によって、貯水タンク13内の水が無くなったことを検出することができる。この場合、貯水タンク13に対して新たに水を追加補給すればよいものである。
【0034】
ところで、前記貯水タンク13内の水の量を検出するための、例えばフロートスイッチ等のごとき適宜の貯水量検出手段(図示省略)を備えた構成とすることもできる。そして、前記貯水量検出手段が、貯水タンク13内の水が予め設定した所定量に減少したことを検出したときに、貯水タンク13内に水を補給する構成とすることも可能である。この場合、人為的に、又は補給用のポンプを駆動して自動的に補給する構成とすることができる。
【0035】
前記防錆剤供給路9には、防錆剤を送出する防錆剤送出手段の一例としての定量ポンプ23が備えられている。この定量ポンプ(防錆剤送出手段)23は、防錆剤タンク25内の防錆剤を吸引して前記防錆剤供給路9へ送出する作用をなすものである。この定量ポンプ23は、エア回路に配置した電磁開閉弁27の開閉動作を繰り返すことにより、前記防錆剤タンク25内の防錆剤を吸引して前記防錆剤供給路9へ送出する動作を繰り返す機能を有するものであって、本実施形態においては、次のように構成してある。
【0036】
すなわち、定量ポンプ23は、大径のシリンダ29Aと小径のシリンダ29Bとを連接した構成のシリンダ本体29を備えている。そして、前記大径シリンダ29A、小径シリンダ29B内に亘って備えたピストンロッド31Aの一端部には、前記大径シリンダ29A内に往復動自在に嵌入した大径ピストン31Bが一体的に備えられている。そして、前記小径シリンダ29B内のピストンロッド31Aの他端部には、前記小径シリンダ29B内に摺動自在に嵌入した小径ピストン31Cが一体的に備えられている。
【0037】
前記ピストンロッド31A、大小のピストン31B、31Cを往復動するために、前記大径ピストン31Bと大径シリンダ29の底部との間には、リターンスプリング33が弾装してある。そして、小径シリンダ29Bの部分はピストンポンプ室35に構成してある。すなわち、ピストンポンプ室35には防錆剤内に没入したフィルタ37及びピストンポンプ室35内への防錆剤の流入を許容する逆止弁39が接続してある。また、前記ピストンポンプ室35には、ピストンポンプ室35への逆流を防止する逆止弁41を介して前記防錆剤供給路9に接続してある。そして、この防錆剤供給路9には、前記流量センサ21と同様の流量センサ43が配置してある。
【0038】
上記構成により、前記電磁開閉弁27のON、OFFを繰り返すことにより、定量ポンプ23における大小のピストン31B、31Cが往復動される。したがって、防錆剤タンク25内の防錆剤をピストンポンプ室35内に吸引し、その後に防錆剤供給路9へ防錆剤を吐出(送出)することが繰り返される。よって、前記電磁開閉弁27の開閉動作の速度を調節することにより、定量ポンプ23によって単位時間当たりに送出される防錆剤の送出量が調節される。そして、防錆剤タンク25内の防錆剤が無くなると、流量センサ43によって検出されるものである。
【0039】
ところで、前記防錆剤タンク25内の防錆剤の残量を、例えばフロートスイッチ等のごとき適宜の残量検出手段によって検出する構成とする。そして、防錆剤タンク25内の防錆剤の残量が少なくなったことを検出したときに、人為的に、又は補給用のポンプを使用して自動的に補給する構成とすることも可能である。
【0040】
前記水供給路7から供給される水と、防錆剤供給路9から供給される防錆剤は、前記冷却水供給路5へ供給して合流することにより、冷却水供給路5内において撹拌混合されて、前記レーザ加工ヘッド3へ送給されるものである。したがって、前記冷却水供給路5は、水と防錆剤とを混合した混合溶液をレーザ加工ヘッド3へ供給する作用をなすものである。よって、冷却水供給路5は、混合液供給路と称することもできるものである。
【0041】
前記水供給路7から供給される水の量と、前記防錆剤供給路9から供給される防錆剤の量との割合は、常に一定であることが望ましい。すなわち、混合した後の冷却水の濃度、導電率を、常にほぼ一定に維持することが望ましい。
【0042】
前記水供給路7と前記防錆剤供給路9との合流点の下流側において前記冷却水供給路5にはフィルタ45が配置してある。そして、このフィルタ45の下流側には定流量弁47が配置してあり、この流量弁47の下流側には流量計49が配置してある。さらに、上記流量計47の下流側には、前記レーザ加工ヘッド3への冷却水の供給、停止を行う電磁開閉弁51が配置してある。
【0043】
ところで、前記レーザ加工ヘッド3へ供給する冷却水は、水と防錆剤とを混合し撹拌した流体であって、防錆剤の濃度は約2%である。したがって、水供給路7から送給される水量と防錆剤供給路9から送給される防錆剤の流量との割合は、約49:1である。すなわち、水供給路7から送水される水量に対して、防錆剤供給路9から送給される防錆剤の送給量は約1/50の少量である。したがって、送水手段としての定量ポンプ11の送水容量よりも防錆剤送出手段としての定量ポンプ23の送出量を小さくでき、構成の小型、簡素化を図ることができる。
【0044】
前記構成より明らかなように、単位時間当りに、レーザ加工ヘッド3へ送給される冷却水は、定流量弁47によって、予め設定した流量に保持される。したがって、常に安定した流量に保持されるものである。また、流量計49によって、レーザ加工ヘッド3へ送出された冷却水量(流量)を測定することができる。すなわち、単位時間当りの冷却水量及び積算水量を測定することが可能である。
【0045】
前記構成において、流量センサ21、43によって、貯水タンク13内の水が無くなったこと、及び防錆剤タンク25内の防錆剤がなくなったことを検出したときには、水を貯水タンク13に補給し、防錆剤タンク25に防錆剤を補給すればよいものである。
【0046】
ところで、流量計49を備えているので、レーザ加工ヘッド3に対する冷却水の供給量を知ることができる。したがって、貯水タンク13内に貯留した当初の水量及び防錆剤タンク25内に貯留した当初の防錆剤量を予め知得しておくことにより、流量計49によって測定した冷却水の流量に基づいて、貯水タンク13内の水の残量及び防錆剤タンク25内の防錆剤の残量を演算によって求めることができる。
【0047】
換言すれば、流量計49の測定値に基づいて、貯水タンク13内の水の残量及び防錆剤タンク25内の防錆剤の残量を予測することが可能である。したがって、流量計49の測定値が予め設定した範囲の値になった場合に、水及び防錆剤の補給を行うことができるものである。この場合、削費した水量、防錆剤量に相当する量の補給を行うものである。
【0048】
既に理解されるように、前記構成においては、貯水タンク13内の水の残量が少なくなったときに水を補充し、防錆剤タンク25内の防錆剤の残量が少なくなったときに防錆剤を補充することができる。したがって、レーザ加工ヘッド3に対する冷却水の供給を連続的に行うことができる。
【0049】
また、冷却水を製造するに際して、水と防錆剤との混合は、定量ポンプ11によって送水された水量と、定量ポンプ23によって送出された防錆剤の送出量とを混合する。したがって、水量と防錆剤の送出量とを一定の割合に保持して混合することができる。よって、防錆剤の濃度を常にほぼ一定濃度に保持すべく、水と防錆剤とを混合して冷却水を製造することができる。この際、前記定量ポンプ11,23を自動的に駆動することが可能であり、冷却水を自動的に製造することができる。すなわち、防錆剤の濃度をほぼ一定濃度に保持して冷却水の製造を行い得るものである。
【0050】
ところで、前記説明においては、水供給路7から送水された水と防錆剤供給路9から送出された防錆剤とを、冷却水供給路5内において混合する旨説明した。しかし、前記水供給路7と防錆剤供給路9との合流個所に、冷却水供給路5の一部として混合タンク(図示省略)を備え、この混合タンク内において水と防錆剤とを混合する構成とすることも可能である。この場合、前記冷却水供給路5には、前記混合タンク内の冷却水を供給(送給)する構成とすればよいものである。
【0051】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る冷却水供給装置1Bの構成を概念的、概略的に示すものである。この構成において、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0052】
前記第1実施形態においては、貯水タンク13内に水(純水、精製水)を貯留し、レーザ加工ヘッド3へ冷却水を供給する冷却水供給路5内において、水と防錆剤とを混合する場合について説明した。この第2実施形態においては、前記冷却水供給路5の一部として冷却水タンク53を備え、この冷却水タンク53内において水と防錆剤とを混合する構成としたものである。したがって、冷却水タンク53を、混合タンクと称することもできるものである。また、冷却水タンク53は、冷却水を貯留する機能を奏するものであるから、冷却水貯留タンクと称することもできるものである。なお、冷却水供給路5において、冷却水タンク53からレーザ加工ヘッド3に至る冷却水供給路は符号5Aで示すこととする。
【0053】
より詳細には、前記冷却水タンク53は、開閉可能な蓋部材55を備えた構成であって、常態においては密閉してある。前記冷却水タンク53へ水を供給する水供給路7Aは、水道水を供給する水供給路であって、例えば電磁弁などのごとき開閉弁57を介して水道に接続してある。そして、この水供給路7Aには、例えば鉄錆などを除去するフィルタ59及び塩素除去フィルタ61などの複数のフィルタが備えられている。さらに、前記水供給路7Aには、例えばイオン交換樹脂等を利用した純水器63が備えられている。
【0054】
したがって、水道水は、純水器63によって純水化処理した後に、冷却水タンク53へ供給されるものである。さらに、前記水供給路7Aには、微粒子の除去を行うフィルタ65が備えられていると共に、流量調整弁67が備えられている。そして、逆流防止弁69を介して冷却水タンク53に接続してある。
【0055】
上記構成により、流量調整弁67の調節を行うことにより、冷却水タンク53へ供給する水の、単位時間当たりの水量を調節することができる。したがって、前記定量ポンプ23によって冷却水タンク53へ送給される防錆剤の供給量と、前記水供給路7Aから冷却水タンク53へ送水される水量との割合を常に一定の割合に保持することができる。よって、前記冷却水タンク53内において水と防錆剤とを混合した冷却水をレーザ加工ヘッド3へ供給する際、防錆剤の濃度をほぼ一定に保持して供給できるものである。すなわち、混合した後の冷却水における導電率を常にほぼ一定に維持することができる。
【0056】
前記冷却水タンク53には、冷却水タンク53内にエア圧を付与するために、エア源15に接続したエア回路が接続してある。そして、このエア回路には、例えば電磁弁などのごとき開閉弁70が配置してある。したがって、開閉弁70のソレノイドをON動作すると、予めエア圧を一定に調整したエア源15から冷却水タンク53内にエア圧が付与される。そして、開閉弁70のソレノイドをOFF動作すると、開閉弁70が開かれて、冷却水タンク53内のエア圧は大気圧となる。すなわち、予め調整したエア圧でもって、冷却水タンク53内を大気圧よりも高圧のほぼ一定圧に維持可能なものである。
【0057】
既に理解されるように、開閉弁70のソレノイドをON状態に保持することにより、前記冷却水タンク53内には常にほぼ一定のエア圧が作用しているものである。したがって、前記冷却水供給路5Aに備えた開閉弁51をON作動(開作動)すると、冷却水タンク53内の冷却水は、内圧によって冷却水供給路5Aに送出される。この際、冷却水タンク53内の圧力が変化した場合であっても、定流量弁47の作用によってレーザ加工ヘッド3へ供給される冷却水の単位時間当りの水量は常に設定した一定流量に保持され、安定した流量となるものである。また、冷却水供給路5A内を流れる水量は、流量計49によって計測される。よって、レーザ加工時におけるレーザ加工位置の冷却は、予め設定した単位時間当り一定量の冷却水によって安定した状態に行われ得るものである。
【0058】
前述のごとく、冷却水タンク53内の冷却水を冷却水供給路5Aへ送出すると、冷却水タンク55内の冷却水は次第に減少する。したがって、前記冷却水タンク53には、冷却水の水量を検出する水量検出手段71が備えられている。上記水量検出手段71としては、例えば、前述したフロートスイッチ等のごとき構成とすることも可能である。
【0059】
上記水量検出手段71は、本実施形態においては、冷却水タンク53内の水面を検出する構成としてある。上記水量検出手段71の構成として、本実施形態においては、理解を容易にするために、水面の上限を検出する上限センサ73Aと、水面の下限を検出する下限センサ73Bとを備えた構成である場合について説明する。しかし、水量検出手段71としては、冷却水タンク53内の水量(水面高さ)を検出する機能を備えればよいものである。したがって、水量検出手段71の構成としては、種々の構成を採用することができるものである。
【0060】
上記構成において、冷却水タンク53内の冷却水が減少し、下限センサ73Bが水面を検出すると、開閉弁70が開作動されて、冷却タンク53内は大気圧が保持される。したがって、レーザ加工ヘッド3に対する冷却水の供給は停止状態となる。また、前記冷却水タンク53内が大気圧になると、水供給路7Aにおける開閉弁57が開作動され、冷却水タンク53に対する水の供給が行われる。また、定量ポンプ23が作動されて、防錆剤の供給が行われる。
【0061】
この際、水の供給量の調節は流量調整弁67によって行われ、防錆剤の供給量の調節は、定量ポンプ23によって行われる。そして、冷却水タンク53に対する水の供給量と防錆剤の供給量との割合は、常にほぼ一定の割合に保持されるものである。したがって、冷却水タンク53内において水と防錆剤とを混合した場合、防錆剤の濃度は、常に設定した許容濃度に維持されるものある。換言すれば、冷却水の導電率は、常にほぼ一定に維持されている。
【0062】
前述のごとく、水と防錆剤とを冷却水タンク53に供給すると、冷却水タンク53内の水面が次第に上昇する。そして、上限センサ73Aが水面を検出すると、冷却水タンク53に対する水及び防錆剤の供給が停止される。そして、開閉弁70がON作動して、冷却水タンク53内に予め設定した所定圧のエア圧が付与される。したがって、レーザ加工ヘッド3に対して冷却水を供給可能な初期の状態に復帰することになる。
【0063】
ところで、前述したように、冷却水タンク53に水及び防錆剤を供給(補充)するときには、レーザ加工ヘッド3への冷却水の供給は停止することになる。そこで、前記上限センサ73Aと下限センサ73Bとの間の中間高さ位置の水面を検出する構成とする。すなわち、上限センサ73Aと下限センサ73Bとの間の中間高さ位置に、例えば中間センサ73Cを備えた構成とする。
【0064】
そして、前記中間センサ73Cが水面を検出した後は、レーザ加工装置によるレーザ加工の休止時、又は冷却水を必要としないレーザ加工時に、冷却水タンク53に対する水の補充と防錆剤の補充を行う構成とすることも可能である。この構成によれば、例えばレーザ加工装置に対するワークの搬出入時に冷却水の製造が行われることになる。したがって、複数のワークのレーザ加工を繰り返すような場合であっても、前記冷却水タンク53の小型化を図ることができるものである。
【0065】
ところで、前述したように、冷却水タンク53内において水と防錆剤との混合を行う構成であるから、冷却水タンク53に、モータ(図示省略)によって回転される撹拌翼75を備えることが望ましいものである。このように、冷却水タンク53に撹拌翼75を備えることにより、水と防錆剤との混合撹拌を能率よく行うことができる。また、冷却水タンク53内において、水と防錆剤とが分離する傾向にある場合であっても、水と防錆剤との分離を防止することができるものである。
【0066】
ところで、前記説明においては、水量検出手段71の下限センサ73Bが冷却水タンク53内の水面を検出したときに、冷却水タンク53に対して水、防錆剤を供給(補充)する旨説明した。しかし、上記水量検出手段71としては、冷却水タンク53内の水面位置を検出する構成、例えば、水面に浮いたフロートの位置(水平の高さ位置)を検出する構成とすることも可能である。
【0067】
上述のように、水量検出手段71の構成を、水面の高さ位置を検出する構成とすることにより、冷却水タンク53内の水量を常に検出可能である。したがって、冷却水タンク53内の冷却水が、予め設定した水面高さに減少したことを検出したときに、冷却水タンク53に対して水及び防錆剤の供給を開始する構成とすることも可能である。この場合、水及び防錆剤の供給停止は、前記水量検出手段71が予め設定した増加量、すなわち、予め設定した水面高さを検出したとき、又は水及び防錆剤の供給を開始してから予め設定した設定時間が通過したときに停止する。
【0068】
また、前記冷却水供給路5Aには流量計49が備えられているから、この流量計49による計測値が予め設定した設定値に達したときに、換言すれば、冷却水タンク53から予め設定した所定量の冷却水が供給されたことを検出したときに、冷却水タンク53に対して水、防錆剤の供給(補充)を開始する構成とすることも可能である。
【0069】
ところで、レーザ加工装置においてレーザ加工を行う場合、レーザ加工ヘッドに備えたノズルとワークとの間の間隙は常に一定に保持されるものである。そして、前記間隙は、レーザ加工ヘッドに備えた静電容量式倣いセンサシステムによって一定に制御されている。ここで、前記冷却水の導電率が予め設定した所定の範囲からずれると、前記静電容量式倣いセンサシステムの動作が不安定になることがある。
【0070】
前記説明においては、冷却水タンク53に対して水と防錆剤とを一定の割合で供給し混合する場合について説明した。すなわち、冷却水の導電率と防錆剤濃度は一般的には比例関係にあるので、防錆剤濃度を許容範囲に保持していれば何等の問題もないものである。したがって、水と防錆剤とを混合して冷却水を製造するに際しては、冷却水の導電率を測定して、導電率が予め設定した許容範囲の導電率となるように、水及び防錆剤の供給量をそれぞれ調節(調整)して冷却水を製造することも可能である。
【0071】
すなわち、前記冷却水タンク53に、導電率計77を備えた構成とする。そして、導電率計77の測定値が予め設定した許容値よりも小さい場合には、定量ポンプ23によって防錆剤を補給する。導電率が許容値よりも大きい場合には、冷却水タンク53内に水を補給する。すなわち、冷却水タンク53に対する水及び防錆剤の供給量を個別に調整(調節)して、冷却水の導電率が予め設定した許容値の範囲内になるように調整するものである。
【0072】
上述のように、冷却水の導電率を予め設定した導電率の範囲に保持することにより、レーザ加工ヘッドに備えた静電容量式倣いセンサシステムの動作を常に安定状態に保持することができ、常に良好なレーザ加工を行い得るものである。
【0073】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る冷却水供給装置1Cの構成を概念的、概略的に示すものである。この構成において、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0074】
図2に示した第2の実施形態に係る構成においては、冷却水タンク53内において水と防錆剤とを混合する旨説明した。この第3の実施形態に係る構成においては、前記冷却水タンク53に対して水と防錆剤の供給を行う冷却水供給路5内において、水と防錆剤との混合を行う構成である。
【0075】
すなわち、前記冷却水供給路5には、水と防錆剤との混合を行うミキシングバルブ79が備えられている。そして、このミキシングバルブ79には、水を供給する水供給路7と防錆剤の供給を行う防錆剤供給路9とが接続してある。上記水供給路7は、水道水を純水化処理して供給するもので、この水供給路7には、フィルタ61、純水器63が備えられている。さらに、前記水供給路7には、送水手段の一例としての定量ポンプ81が備えられている。
【0076】
前記定量ポンプ81は、本実施形態においては、シリンダ81Aから構成してあり、このシリンダ81A内にはピストン81Bが往復動自在に嵌入してある。そして、シリンダ81A内は、前記ピストン81Bによってポンプ室81Cと、復帰用スプリング81Sを弾装したスプリング室81Dに区画してある、上記スプリング室81Dは大気圧に開放してある。
【0077】
前記定量ポンプ81における前記ポンプ室81Cの流入側であって、前記純水器63との間には開閉弁83Aが配置してある。そして、上記ポンプ室81Cと前記ミキシングバルブ79との間には、開閉弁83B及び逆流防止弁85が配置してある。
【0078】
したがって、開閉弁83Bを閉じた状態に保持し、開閉弁83Aを開動作すると、純水器63によって純水化処理された水道水が、定量ポンプ81におけるポンプ室81C内に流入する。この際、ピストン81Bは、水圧によってスプリング81Sの付勢力に抗して摺動(上昇)される。上記ピストン81Bのストロークは一定に保持されているので、ピストン81Bはストロークエンドで停止する。その後、開閉弁83Aを閉作動し、開閉弁83Bを開作動すると、定量ポンプ81におけるポンプ室81C内の水は、スプリング81Sの付勢力に起因して、ポンプ室81C内からミキシングバルブ79へ送水される。
【0079】
既に理解されるように、開閉弁83A,83Bの開閉動作を適宜間隔でもって交互に繰り返すことにより、定量ポンプ81におけるピストン81Bを往復動することができる。換言すれば、定量ポンプ81から送水される単位時間当たりの水量を調節することができるものである。
【0080】
前記防錆剤供給路9には、防錆剤送出手段の1例としての定量ポンプ87が備えられている。この定量ポンプ87は、前述した定量ポンプ23と同様の構成であって、シリンダ87Aを備えている。このシリンダ87Aは、内部に区画壁87Bを備えることにより、エア作動室87Cとポンプ作動室87Dに区画してある。そして、前記区画壁87Bを貫通したピストンロッド87Eの、前記エア作動室87C内の端部にはピストン87Fが備えられている。また、前記ポンプ作動室87D内の端部にはピストン87Gが備えられている。
【0081】
前記エア作動室87Cは、前記ピストン87Fによって第1室87Hと第2室87Iとに区画してある。そして、前記第1室87Hには、開閉弁89Aを介してエア源15が接続してある。また、第2室87Iには開閉弁89Bを介してエア源15が接続してある。したがって、開閉弁89A,89Bの開閉を交互に行うことにより、第1室87Hへエア圧を供給し、第2室87Iからエアを排出することと、第2室87Iへエア圧を供給し、第1室87Hからエアを排出することとを、交互に行うことができる。すなわち、ピストンロッド87Eを往復動することができる。
【0082】
前記ポンプ作動室87Dは、前記ピストン87Gによってポンプ室87Jと大気圧に開放した開放室87Kとに区画してある。そして、前記ポンプ室87Jの入口側には、チェック弁91Aを介して、防錆タンク25に接した流入路93Aが接続してある。そして、前記ポンプ室87Jの出口側は、チェック弁91Bを介して前記ミキシングバルブ79に接続してある。
【0083】
したがって、前述したように、開閉弁89A、89Bの開閉動作によってピストンロッド87Eが往復動(上下動)するとき、ピストン87Gも一体的に上下動する。この際、ピストン87Gが上昇するときには、防錆剤タンク25からポンプ室87Jへの防錆剤の吸引が行われる。そして、前記ピストン87Gが下降するときには、ポンプ室87Jから防錆剤供給路9を経て、ミキシングバルブ79への防錆剤の送出が行われる。
【0084】
ここで、前記定量ポンプ87におけるピストン87Gのストロークは一定に保持されているので、ピストン87Gの1往復によって送出される防錆剤の量は一定量に制限されるものである。なお、前記ピストン87Gのストローク数を調節することにより、定量ポンプ87から送水される防錆剤の送出量を調節することができる。
【0085】
前記定量ポンプ87から送出された防錆剤と、前記定量ポンプ81から送出された水は、前記ミキシングバルブ79において混合され、その後に冷却水タンク53に貯水される。前記定量ポンプ81からの送水量と前記定量ポンプ87から送出される防錆剤の送出量の比率は、冷却水における導電率、濃度がほぼ一定になるように予め設定してある。したがって、冷却水供給路5から冷却水タンク53内に流入する冷却水の導電率、濃度は、常にほぼ一定に保持される。
【0086】
ところで、導電率計77によって検出した導電率が、予め設定した所定の範囲からずれた場合には、定量ポンプ81のみを駆動して水のみを補給すること、又は定量ポンプ87のみを駆動して防錆剤のみを補給することにより、冷却水タンク53内の冷却水における導電率をほぼ一定に保持することができる。
【0087】
なお、第3の実施形態において、前述した第2の実施形態と同様の構成においては、第2の実施形態の場合と同様の作用、効果を奏し得るものである。
【0088】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る冷却水供給装置1Dの構成を概念的、概略的に示すものである。この構成において、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複する説明は省略する。
【0089】
この実施形態においては、冷却水タンク53内における水供給路7の噴出口と防錆剤供給路9における噴出口は互いに交差する方向に指向してある。したがって、水供給路7から噴出された水と、防錆剤供給路9から噴出された防錆剤は、冷却水タンク53内において衝突して混合するものである。よって、水と防錆剤との混合を効果的に行い得るものである。
【0090】
なお、この実施形態においても、前述した実施形態と同様の作用、効果を奏し得るものである。
【0091】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る冷却水供給装置1Eの構成を概念的、概略的に示したものである。この構成において、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0092】
この実施形態においては、貯水タンク13から冷却水タンク53へ送水するためのエア回路と、防錆剤タンク25から防錆剤を送出するためのエア回路とを同一構成として、構成の簡素化を図ったものである。
図5において、貯水タンク13から水を吸引して冷却水タンク53へ送水するために、シリンダポンプ95が備えられている。
【0093】
上記シリンダポンプ95は、仕切板97によって流体作動室99とポンプ室101とに区画してある。前記流体作動室99内にはピストン99Pが摺動自在に嵌入してあって、第1作動室99Aと第2作動室99Bとに区画してある。前記ポンプ室101内にはピストン101Pが摺動自在に嵌入してあって、ポンプ室101Aと大気圧に開放した大気圧室101Bとに区画してある。上記ピストン99Pとピストン101Pは、仕切板97を摺動自在に貫通したピストンロッド101Rによって一体的に連結してある。そして、前記第1作動室99Aに接続したエア回路103Aと第2作動室99Bに接続したエア回路103Bは、電磁切換弁106Aを介してエア源15に接続遮断自在に備えられている。
【0094】
前記ポンプ室101Aには、前記貯水タンク13から水を吸引するための吸引回路105Aが接続してある。この吸引回路105Aには、エアーパイロット式の開閉弁107Aが配置してあると共に、チェック弁109Aが備えられている。また、前記ポンプ室101Aには、前記冷却タンク53に接続した水供給路7が接続してある。この水供給路7には、チェック弁109Bが配置してあると共に、エアーパイロット式の開閉弁107Bが配置してある。
【0095】
なお、防錆剤タンク25から防錆剤供給路9を介して、冷却水タンク53へ防錆剤を供給する構成は、同一構成であるから、同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0096】
前記構成において、
図5に示す状態は、水供給用及び防錆剤供給用のシリンダポンプ95は、水を送水し、また防錆剤を送出した状態である。この状態において、電磁切換弁106A,106BをそれぞれON作動すると、シリンダポンプ95における第2作動室99B内へエアが供給されてピストン99P,101Pが上昇される。そして、開閉弁107Aは、開状態となり、開閉弁107Bは閉状態となる。
【0097】
したがって、貯水タンク13内の水、及び防錆剤のタンク25内の防錆剤は、それぞれのシリンダポンプ95におけるポンプ室101A内にそれぞれ吸引される。その後、電磁切換弁106A,106Bを切換動作すると、すなわち、
図5に示す状態に切換えると、シリンダポンプ95における第1作動室99Aにエアが供給されて、ピストン99P,101Pが下降される。そして、開閉弁107Aは、
図5に示すように、閉状態となる他方、開閉弁107Bは開状態に切換えられる。
【0098】
すなわち、各シリンダポンプ95に吸引された水、防錆剤は、それぞれ冷却水タンク53へ供給される。そして、水と防錆剤は冷却タンク53内において衝突されて混合されるものである。
【0099】
上記構成においては、電磁切換弁106A,106Bをそれぞれ個別に動作することにより、水のみの供給、又は、防錆剤のみの供給を行うことができる。すなわち、冷却水タンク53内における冷却水の導電率を所望の導電率に調節することができる。
【0100】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る冷却水供給装置1Fの構成を概念的、概略的に示すものである。この実施形態においては、貯水タンク13から冷却水タンク53へ水を供給する冷却水供給路5にエジェクタポンプ111を備えている。そして、エジェクタポンプ111によって、防錆剤タンク25から防錆剤を吸引する構成としたものである。
【0101】
この実施形態においても、前述した実施形態と同様の効果を奏し得るものである。
【0102】
以上のごとき実施形態の説明から理解されるように、本実施形態においては、送水手段及び防錆剤送出手段の一例としての定量ポンプによって水及び防錆剤の供給を自動的に行うものである。したがって、水の送水量と防錆剤の送出量とを常に一定の割合に保持して混合することができる。すなわち、冷却水における防錆剤の濃度を常にほぼ一定に保持して、換言すれば、冷却水の導電率を常にほぼ一定に調節して冷却水を自動的に製造して、連続的に供給することができる。
【0103】
ところで、既に理解されるように、定量ポンプの構成としては、種々の構成を採用することができるものである。また、水と防錆剤とを混合する場合の混合手段の構成としても種々の構成を採用することができるものである。この場合、水量と防錆剤の量とを一定の割合に保持して混合すればよいものである。したがって、例えば、計量バルブによって水量及び防錆剤量を個別に計量して混合する構成とすることも可能である。
【0104】
図7は、本発明の第7の実施形態に係る冷却水供給装置の構成を概念的、概略的に示した構成説明図である。この構成において、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0105】
この実施形態において、貯水タンク13には、貯水タンク13に対して純水や精製水等の冷却水を補充する冷却水補充路121が接続してある。そして、前記貯水タンク13には、冷却水の貯水量を検水するための、例えばフロートスイッチなどのごとき水量検出手段123が備えられている。したがって、貯水タンク13に貯水されている冷却水量を検出することができるものである。なお、前記冷却水補充路121は、例えば電磁弁などのごとき開閉弁(図示省略)が配置してある。したがって、前記開閉弁によって、冷却水補充路121は連通遮断自在である。
【0106】
上記構成により、貯水タンク13内の冷却水が、予め設定された貯水量よりも少なくなった場合には、水量検出手段123によって水量の減少を検出する。そして、開閉弁を開作動して冷却水の補充を行うことができる。冷却水の補充によって、貯水量が設定量になったことが前記水量検出手段123によって検出されると、前記開閉弁が閉作動されて、冷却水の補充は停止される。
【0107】
前記貯水タンク13の底部には、貯水タンク13内の冷却水を排出する排出路125が接続してある。そして、この排出路125には、排出路125を連通遮断自在なソレノイド弁127が配置してある。したがって、例えば貯水タンク13内の冷却水が長時間使用されず、劣化したような場合に、ソレノイド弁127を開作動することにより、冷却水を排水することができる。換言すれば、貯水タンク13内の冷却水を新しい冷却水に交換することができるものである。
【0108】
この実施形態における防錆剤タンク25及び防錆剤タンク25内の防錆剤を送出する定量ポンプ23の構成は、前述した実施形態の構成とほぼ同様の構成である。しかし、防錆剤タンク25には、防錆剤タンク25内における防錆剤の量(残量)を検出するレベルスイッチ129が備えられている。したがって、防錆剤タンク25内の防錆剤の残量を検出でき、必要に応じて防錆剤を補充することができるものである。なお、防錆剤タンク25に対する防錆剤の補充は、人為的に行ってもよく、また、防錆剤の液面が予め設定した所定高さよりも低下したときに自動的に補充する構成としてもよいものである。
【0109】
この実施形態においては、水供給路7と防錆剤供給路9とが合流する合流位置131の上流側には、それぞれ逆流防止弁133,135が備えられている。したがって、冷却水が防錆剤供給路9内に流入することや、防錆剤が水供給路7内に流入するようなことはないものである。
【0110】
この実施形態において、冷却水タンク53に接続した冷却水供給路5Aには、冷却水タンク53から冷却水供給路5Aに供給される冷却水の導電率を検出する導電率計77が備えられている。したがって、冷却水供給路5Aに供給される冷却水の導電率を検出することができる。
【0111】
前記導電率計77の下流側には、冷却水供給路5Aを連通遮断自在かつ排出タンクTに接続自在なソレノイドバルブなどの切換弁137が備えられている。したがって、切換弁137を切換えて冷却水タンク53内の冷却水を排出タンクTへ排出するとき、導電率計77によって冷却水の導電率を検出することができる。よって、レーザ加工ヘッド3に対して冷却水を供給する際に、冷却水の導電率を事前に検出することができる。
【0112】
ところで、前記冷却水タンク53内の冷却水の貯水時間が長時間になった場合(冷却水を長時間使用しなかった場合)には、前記切換弁137を排出タンクTに接続することによって、冷却水タンク53内の冷却水を排出することができる。この際、貯水タンク13に接続したソレノイド弁127を開作動することにより、貯水タンク13内の冷却水をも排出することができる。
【0113】
すなわち、貯水タンク13内の冷却水及び冷却水タンク53内の冷却水を排出することができる。換言すれば、貯水タンク13内の、例えば純水などの冷却水を新しい冷却水に交換することができ、また、冷却水タンク53内の冷却水(水と防錆剤を混合した冷却水)を新しい冷却水に交換することができる。よって、冷却水タンク53内の冷却水の導電率を常にほぼ一定に維持できるものである。
【0114】
さて、以上のごとき構成において、冷却水タンク53内の冷却水が減少し、下限センサ73Bによって冷却水の残量が検出されると、例えばコンピュータから構成された制御装置(図示省略)の制御の下に、冷却水タンク53に冷却水が補充される。すなわち、
図8に示すように、前記下限センサ73Bが冷却水の残量が少なくなったことを検出すると(ステップS1)、送水手段としての定量ポンプ11及び防錆剤送出手段としての定量ポンプ23が駆動される(ステップS2)。したがって、定量ポンプ11から送出された水と、定量ポンプ23から送出された防錆剤とが一定の割合でもって混合されて、冷却水タンク53に補充される。そして、冷却水タンク53内の冷却水の水面が上限センサ73Aによって検出されると、冷却水タンク53が満水になったものとして、冷却水タンク53に対する冷却水の補充が停止される。
【0115】
前述のごとく、冷却水タンク53に冷却水を補充するときには、定量ポンプ11からの送水が正常に行われているか否かが流量センサ21によって検出される(ステップS3)。そして、冷却水タンク53への冷却水の補充が行われる。
【0116】
ここで、前記貯水タンク13に接続した冷却水補充路121に備えた開閉弁を誤操作によって閉状態に保持すると、貯水タンク13に冷却水は補充されず、しまいには空になる。また、貯水タンク13と定量ポンプ11とを接続した接続路CLの配管を捻れた状態に保持する、又は外れた状態に保持すると、定量ポンプ11からの冷却水の吐出は停止する。さらには、保守点検時等に前記接続路CL内にエアが入り込んだ状態になると、定量ポンプ11からの冷却水の吐出が不可能になる。
【0117】
したがって、前記ステップS3において、流量センサ21がON作動しない場合には、ステップS4において、予め設定した設定時間T1が経過するまで待つ。そして、設定時間T1を経過したときには、定量ポンプ11及び定量ポンプ23の駆動を停止する(ステップS5)。そして、アラームを出力し、レーザ加工を停止する(ステップS6)。
【0118】
上述のように、定量ポンプ11,23を停止して、冷却水タンク53に対する冷却水の補充を停止した後に、開閉弁70を開作動して、冷却水タンク53を大気圧に開放し、冷却水タンク53に対して冷却水を流入し易くする(ステップS7)。冷却水タンク53を大気圧に開放した後、定量ポンプ11を始動する(ステップS8)。そして、流量センサ21によって定量ポンプ11の吐出を検出する(ステップS9)。この際、予め設定した時間内に吐出を検出できたか否かを監視する(ステップS10)。
【0119】
そして、前記流量センサ21によって定量ポンプ11の吐出が検出された場合には、定量ポンプ11を一時停止する(ステップS11)。その後、冷却水タンク53内の圧力を元の内圧に戻す(ステップS12)。そして、定量ポンプ23を駆動して防錆剤の送出を開始する(ステップS13)。防錆剤の流れを流量センサ43によって検出したときに、定量ポンプ11を再駆動する(ステップS15)。
【0120】
上述のように、定量ポンプ11,23が再駆動されると、冷却水タンク53に対して、水と防錆剤とを混合した冷却水の補充が行われる(ステップS16)。そして、冷却水タンク53の上限センサ73Aが液面を検出すると(ステップS17)、満タンとして、定量ポンプ11,23が停止される(ステップS18)。
【0121】
前記ステップS10において設定時間T2が経過した場合には、
図10に示すように、定量ポンプ11を間欠動作に切換える(ステップS19)。そして、流量センサ21のON,OFFを判別し(ステップS20)、ONの場合には定量ポンプ(防錆ポンプ)23を駆動する(ステップS21)。そして、流量センサ43によって防錆剤の流れを検出したとき(ステップS22)に、定量ポンプ(純水ポンプ)11を、間欠動作から通常の動作に切換える(ステップS23)。そして、冷却水タンク53に対する冷却水(混合水)の補充を行う。
【0122】
前記ステップS20においてNOの場合には、ステップS24に移行して、設定時間T3の経過を監視する。そして、NOの場合にはステップS20へ戻り、YESの場合には冷却水タンク53を再び大気圧に開放して、冷却水を流入し易くする(ステップS25)。そして、冷却水タンク53の開放、定量ポンプ11の間欠動作の繰り回し数(ステップS9,S10,S19,S20,S24,S25,S26(S9)を回るループの回数)がN回か否かを判別する(ステップS26)。ステップS26でNOの場合にはステップS9に移行する。ステップS26でYESの場合には、ステップS27に移行し、アラームを出力して作業者に異常を報知して終了する。
【0123】
ところで、冷却水タンク53からの冷却水供給回路5Aには、導電率計77が備えられている。したがって、レーザ加工ヘッド3へ供給する冷却水の導電率を検出することができる。したがって、導電率の検出値が適正値である場合には、定量ポンプ11,23の吐出量を一定に保持すればよいものである。
【0124】
そして、導電率が適正値以上の場合には、防錆剤用の定量ポンプ23の駆動を停止し、純水供給用の定量ポンプ11によって貯水タンク13内の水を冷却水タンク53に供給することにより、冷却水タンク53内の冷却水の導電率を適正値に保持することができる。逆に、導電率が適正値以下の場合には、定量ポンプ11を停止して、定量ポンプ23のみの駆動によって冷却水タンク53に対して防錆剤を供給する。したがって、冷却水タンク53内の冷却水の導電率を、常に適正値に維持できるものである。
【0125】
以上のごとき説明から理解されるように、例えば定量ポンプ11からの冷却水の供給に異常を検出した場合には、冷却水タンク53を大気圧に開放するものである。したがって、定量ポンプ11からの冷却水の吐出を円滑に再開することができる。そして、定量ポンプ11からの冷却水の吐出が確認されると、前記冷却水タンク53の内圧を初期の状態に復帰するものである。そして、定量ポンプ11を一時停止し、防錆剤用の定量ポンプ23を駆動する。防錆剤の供給が、流量センサ43によって確認されると、定量ポンプ11を再駆動して、通常の運転状態に復帰するものである。
【0126】
したがって、本実施形態によれば、冷却水タンク53内の冷却水が減少したときに自動的に補充することができる。また、貯水タンク13からの水の補充系統において、定量ポンプ11からの送水の異常を検出した場合には、正常状態に戻すことも可能なものである。