(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図15を参照して、避難用管構造物の一例であるシェルタ、避難通路、および、メガフロートを備える避難システムの一実施の形態を説明する。
[避難システムの概要]
【0014】
図1に示すように、避難システム1が設けられる地域は、例えば沿岸部の都市等であって、一般には利便性の高い沿岸線に沿った沿岸部や低地に居住地域3が設けられている。居住地域3には、具体的に、病院、学校等の公共施設、住人が居住するマンション、アパートといった集合住宅3aや一戸建て家屋3bが設けられている。また、居住地域3から離れた場所には、工場施設が集積した工場地帯4が設けられている。一方、沿岸部から離れた高台には、一時避難場所、広域避難場所等の避難場所5が設けられている。
【0015】
避難システム1では、沿岸線沿いの居住地域3や工場地帯4と高台の避難場所5との間を避難通路システム10で接続し、津波や高潮等の被害で沿岸部や低地が浸水した際にも、住人を、安全に避難させることができるようにしている。避難通路システム10は、複数の避難通路11と、避難通路11の入口構造物12と出口構造物13とを有している。避難通路11は、沿岸部の居住地域3や工場地帯4と高台の避難所とを結ぶ埋設型の地下道であって、居住地域3や工場地帯4に入口構造物12が設けられ、高台の避難場所5やその近くに出口構造物13が設けられている。避難通路11は、地下道となっており、津波によって押し流された倒壊家屋等によっても影響を受けないようになっている。また、入口構造物12は、例えば、2階又は3階建て以上の強度の高い20m程度若しくはそれ以上の高さのコンクリート構造物となっており、その屋上や高層階は、公共施設とともに一時避難場所としても機能する。
【0016】
また、公共施設や入口構造物12といった低地の一時避難所には、浮上型シェルタ30が設置されており、一時避難所に避難した住人が浮上型のシェルタ30にも一時避難できるようになっている。
【0017】
更に、沿岸には、被災者を救助するヘリコプタが離着陸するヘリポートが設けられている。ヘリポートは、海に浮上されるメガフロート50で構成されている。メガフロート50は、平常時、分割され、一時避難所等に指定されている建築物に、収納されており、被災時に、容易に組み立てることができる構造とすることもできる。
【0018】
以上のような避難システム1にあっては、避難通路システム10、シェルタ30、メガフロート50のいずれにあっても、その主たる構成要素を、熱可塑性樹脂で形成されて管体としているため、振動に対する耐性が高められる。また、避難通路システム10、シェルタ30、メガフロート50のいずれを製造するに際しても、施工が容易で、更に、軽量であることから、運搬等も容易に行うことができる。
[避難通路システムの説明]
【0019】
図2に示すように、避難通路システム10は、避難者が通行する複数の避難通路11と、避難通路11の入口構造物12と出口構造物13とを有している。更に、避難通路システム10は、避難通路11と対をなす予備管路14と、避難通路11と予備管路14とを連結する連結管15とを備えている。予備管路14は、避難通路11の排水管となる。避難通路11に滲出又は浸入した水は、連結管15を介して予備管路14に排水される。
【0020】
避難通路11は、
図3に示すように、熱可塑性樹脂の一つである高密度ポリエチレンの複数の管体16を備え、第2管体の一例である複数の管体16の各々の軸線が一致するように、複数の管体16が連結されてなる管構造物によって構成されている。ここで、避難通路11を構成する管体16には、直径が数m、ここでは3m又はそれ以上の避難者がゆとりもって通行できる太さのものが用いられている。また、計画の避難通路11の長さまで連結された管体16は、その一方の端部が入口構造物12と接続される出入口12aとなり、他方の端部が出口構造物13と接続される出入口13aとなる。
【0021】
管体16を構成する高密度ポリエチレンは、柔軟性や耐衝撃性に優れており、従って、管体16は、地盤沈下や地震等の鉛直方向や水平方向の変位に対しても追従することができる。また、耐薬品性や耐食性に優れており、鋳鉄管等の場合のように腐食することがなく、地中に埋設した場合にも耐久性に優れたものとなっている。また、高密度ポリエチレンは、熱可塑性樹脂であり、加工性が良く、計画経路に合わせて管体16を容易に曲げ加工することができる。更に、管体16は、ポリエチレン溶接によって、容易に接続することができる。なお、管構造物である予備管路14や連結管15についても、ここでは、高密度ポリエチレンによって形成されている。
【0022】
ここで、高密度ポリエチレン管として一例を挙げれば、高密度ポリエチレン樹脂は、JIS K 6899−1:2000にPE−HDとして定義され、旧JIS K 6748:1995では密度942kg/m
3以上に分類されるポリエチレン樹脂である。また、高密度ポリエチレン樹脂は、例えば、比重0.92〜0.96で荷重たわみ温度が130℃以下のものである。
【0023】
図3に示すように、管体16を樹脂溶接によって連結して構成された避難通路11は、避難者が歩行し易くするため、平坦な歩道17が設けられている。管体16は、断面円形状であるため、設置時下側に位置する曲面に砂等で路床を整正しコンクリートを打設して、歩道17を設けるようにしている。
【0024】
また、歩道17に対して垂直な側壁には、換気設備として通気用の吸気管18aと排気管18bとが設けられている。また、側壁には、避難者用の手摺19が設けられている。入口構造物12や出口構造物13の近傍は、傾斜面となるため、階段21が設けられている。
【0025】
避難通路11には、その他、照明設備や昇降機や換気設備や排水設備等が設けられている。これら設備の電源は、避難場所5やその近くの出口構造物13等の高台の安全な場所に設けられ、ここから各設備に電源を供給するようにしている。避難通路11内の配線は、電気ケーブルを筒状のケーシング等に挿通され保護された状態で、天井等の歩行に妨げにならない場所に配設され、照明等の電気設備と接続される。
【0026】
以上のような構成を有する避難通路11は、例えば内径が3mの管体16を用いることによって、歩道17の幅員を2.2mとし、高さを2.5mとして、十分に避難者が歩行することができる空間を確保することができる。
【0027】
避難通路11は、歩道17の下側で、連結管15を介して予備管路14と連結されている。この予備管路14や管体16を軸線を一致させて樹脂溶接等で結合し、管構造物として構成されている。予備管路14は、排水用であり、避難通路11に滲出した水が連結管15から供給される。予備管路14は、避難通路11と同じ太さであってもよいし、排水用としているため、人が通行できるほど太いものでなくてもよい。予備管路14に貯留された排水は、予備管路14に接続された排水ポンプによって排水される。なお、予備管路14の排水は、地中に滲出させるようにしてもよい。
【0028】
ところで、
図4に示すように、管体16は、具体的に構成することができる。
図4(a)では、側壁の外面にも内面にも凹凸のない肉厚が均一な管体16aを示している。この管体16aでは、例えば側壁の厚さを最大で120mmとすることができ、用途に応じて厚さを適宜設定することができる。勿論、側壁の厚さは、120mm以上であってもよい。
【0029】
図4(b)に示す管体16bでは、内部に中空部16cが複数設けられ、軽量化が図られている。ここでは、中空部16cが一列に形成されている。また、管体16bは、中空部16cが多数設けられることで、断熱効果が高められている。
図4(c)の管体16dは、
図4(b)より肉厚にし、各中空部16cより大きい中空部16eを設け、更に断熱性を高めたものとなっている。
図4(d)に示す管体16fは、大きい中空部16eを二列設け、更に断熱性を高めたものとなっている。なお、中空部16c,16eの数は、これに限定されるものではない。例えば、
図4(d)に示す中空部16eは、側壁を厚くすることで3列以上にしてもよいし、中空部16eを小さくして、更に列数を増やしてもよい。また、中空部16c,16eは、側壁内、整列して設けられているのではなく、離散的に設けられていてもよい。
【0030】
図4(e)に示す管体16gは、外周面に環状又は螺旋状のリブ16hを設け、リブ16h内に、中空部16iを設けている。この管体16gは、側壁の肉厚を薄くすることで軽量化を図りつつリブ16hを設けることで外圧に対する強度を高めている。また、管体16gは、リブ16hに、中空部16iを設けることで、軽量化が図られている。
図4(f)に示す管体16jは、
図4(e)の管体16gより側壁の肉厚を厚くし、リブ16hだけでなく、管にも中空部16iを設けるようにし、強度を高めながら軽量化と断熱性を高めるようにしている。
図4(g)の管体16jは、側壁の肉厚を厚くし、中空部16iを二列設け、更に断熱性を高めたものとなっている。
【0031】
更に、管体16の側壁は、単層の他、
図5(a)に示すように、二層構造としてもよいし、
図5(b)に示すように、三層構造としてもよいし、更に4層構造以上としてもよい。例えば、最内層は、人が居住又は通行する空間であり、明色とすることで、人に対して圧迫感を感じさせない空間とすることができる。内壁等の着色は、樹脂に顔料を分散させたり塗料を塗付で行うことができる。また、中間層は、中空部を設けることで、断熱性能を高めることができる。更に、最外層は、着色等によって視認性を高めたり、難燃性樹脂を用いることで難燃性を付与することに用いることができる。なお、管体16の構成は、
図4及び
図5の構成に限定されるものではない。
以上のような避難通路システム10の実施形態によれば、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0032】
(1)避難通路システム10では、管構造物である避難通路11や予備管路14や連結管15を、熱可塑性樹脂、ここでは高密度ポリエチレンの管体16を用いている。したがって、管体16は、軽量であり、設置作業が簡単なものとなる。また、管体16は、熱可塑性樹脂であるため、加工性が良く、計画経路に合わせて管体16を容易に曲げ加工することができる。そして、容易に避難通路11を多く設けることができる。
【0033】
(2)また、管体16は、地中に埋設される。管体16は、地盤沈下や地震等の振動に対しても鉛直方向や水平方向の変位に対しても追従することができる。
【0034】
(3)更に、耐薬品性や耐食性に優れており、長期間に亘って設備を維持することができる。
【0035】
(4)避難通路11は、埋設管によって構成されるので、地下道となり、津波、高潮等によって押し流された倒壊家屋等によっても破損することを防止することができる。避難者は、安全かつ迅速に低地の入口構造物12から容易に避難通路11を通り高所の避難場所5に避難することができる。
【0036】
(5)また、沿岸部の低地にある入口構造物12は、当該地域で想定される津波の水位以上の高さとし、強固なコンクリート構造物とすることで、一時避難所として機能させることができる。
【0037】
なお、以上のような避難通路システム10の実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0038】
・避難通路11や予備管路14や連結管15の材料としては、熱可塑性樹脂であればよく、高密度ポリエチレン以外に、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等を用いてもよい。このように、避難通路11や予備管路14や連結管15の材料としては、熱可塑性樹脂を用いることで、管体16に柔軟性に優れるようになり、熱硬化型樹脂を用いた場合より埋設管として優れたものとなる。
【0039】
・歩道17の下側は、空間部を設けるようにしてもよい。この場合、この空間部は、換気設備の一部である吸気管18aや排気管18bの代わりとすることもできる。この空間部には、照明設備や昇降機や換気設備や排水設備等への電源供給や制御のための配線を挿通することもできる。これにより、避難通路11の配管等を減らすことができる。
【0040】
・歩道17は、単に足場板を連結して敷設するようにしてもよい。これにより、歩道17を管体16内に容易に設けることができる。
[シェルタ]
【0041】
図6に示すように、低地の一時避難場所に設定されている集合住宅3aや避難通路システム10の入口構造物12の屋上には、避難者のシェルタ30が設置されている。このシェルタ30は、津波等による浸水で屋上の一時避難場所に避難した避難者や一時避難所に指定されていない建物の屋上に避難した避難者が一時的に避難し救助を待つために用いられる。このシェルタ30は、浮遊型であり、屋上より水位が高くなったときにも、浮いているため、安全に救助されるまで待機することができる。勿論、シェルタ30の設置場所は、このような場所に限定されるものではなく、例えば、災害時に、被災者救助のため、救助ヘリコプタや海難救助船等から水上に下ろすようにしてもよい。
【0042】
図7及び
図8に示すように、浮上型のシェルタ30は、上述した避難通路11等に用いられた管体16と同様な、管体31が用いた管構造物である。シェルタ30において、管体31は、一本であってもよいし、用途に応じて、複数本を、管軸を一致させて、樹脂溶接等で接続したものであってもよい。このような管体31は、その両側面の開口が閉塞板32で溶接等で閉塞され、内部の空間部33に水が浸入しないようになっている。この密閉された管体31は、例えば、外径が3.3mで長さが10mの断面円形状の管が用いられている。管体31は、上述の管体16と同様、熱可塑性樹脂、ここでは高密度ポリエチレンが用いられ、上述した
図4や
図5の各図に示した構造のものが用いられる。高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でも、比重が水より小さいものを選択することで、水に浮くものとなり、また、軽量であることから、持ち運びも便利となる。更に、この中でも、管体31は、水面で浮遊するシェルタであることから、中空部16c,16eを有する断熱性に優れた管体が好ましい。
【0043】
このシェルタ30は、横型で、管軸が水平方向となるように使用される。複数の避難者が一時的に居留する空間部33は、横長となり、その底部には、平坦となるように、床34が設けられている。床34は、例えば、足場板を連結して設けている。なお、床34には、敷物等を敷いてもよい。床下35は、空間部となり、配線や種々の設備の部品や備品等が収納される空間となる。また、床下35は、水面に浮遊している際に、姿勢が安定するように、バランスウェイトが配設されていてもよい。
【0044】
床34には、座席36が側壁に沿って複数設置されている。各座席36は、シェルタ30の浮遊時に波等の影響を受けて傾いても設置位置がずれないように、ねじ等の固定部材で固定されている。また、各座席36は、避難者が着座した際に、室内が揺れても姿勢が安定するように、シートベルト36aが設けられている。また、空間部33の長手方向の一方の側には、隔壁37aで隔離されたトイレ37が設けられている。
【0045】
以上のような空間部33には、避難者が空間部33に出入りするための出入口38が一又は複数設けられている。出入口38は、ハッチが設けられた昇降口であり、水密性に優れたハッチが用いられている。避難者は、はしご38aによって昇降する。また、管体31には、換気口39が設けられている。換気口39は、例えば、濾過装置や冷暖房装置等を備えた換気システムが取り付けられている。
以上のようなシェルタ30の実施形態によれば、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0046】
(1)シェルタ30は、熱可塑性樹脂、ここでは高密度ポリエチレンで形成されていることから、浮上型とすることができる。また、管体31は、熱可塑性樹脂であるため、加工性が良く、容易に密閉された空間部33を有する管体31を製造することができる。また、シェルタ30は、軽量であり、運搬や設置作業を容易に行うことができる。
【0047】
(2)また、管体31は、柔軟性や耐衝撃性に優れており、浮遊しているときに、障害物に衝突しても、又は、浮遊物が衝突したとしても、そのときに発生する振動によって破損又は損傷することが防止できる。
【0048】
(3)更に、シェルタ30は、耐薬品性や耐食性に優れており、長期間に亘って、保管することができる。
なお、以上のようなシェルタ30の実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0049】
・この管体31は、蓄光性を有しているとよい。また、光反射機能を有しているとよい。例えば、管体31は、外面に蓄光性および光反射性の少なくとも一方を有する塗料が塗布されることで、夜間にシェルタ30が発光することになり、夜間の救助活動を容易に行うことができる。勿論、管体31は、蓄光性顔料や反射材が分散されているものであってもよい。
【0050】
また、管体31は、その材料の熱可塑性樹脂よりも高い難燃性を有するとよい。津波等の場合には、火災の発生した家屋等の浮遊物が漂流していることもある。シェルタ30は、管体31が難燃性樹脂で形成されている、又は、難燃性樹脂が表面に塗布されていることで、管体31に火が燃え移ることを防止することができる。
【0051】
・以上のようなシェルタ30は、横型であって、円柱状をなすものであるから、集合住宅3aや入口構造物12の屋上に設置されている非使用時に姿勢が安定しない。すなわち、管体31の軸線を中心に回転してしまう。そこで、管体31には、非使用時の姿勢が安定するように、管体31の曲面で構成された側面に支持脚を設けるようにしてもよい。例えば、支持脚は、管体の軸線に対して略垂直な方向、すなわち円弧上の側面に対して法線方向に突出したものとする。支持脚としては、棒状の部材、例えば樹脂管で、管体31の軸線に対して略垂直な方向に突設させて構成することができる。支持脚は、2本以上設けることで、管体31の軸線を中心とした回転を規制することができる。また、支持脚は、3本以上、好ましくは4本以上設けることで、管体31が設置面から離間し持ち上がった状態、または、当接した状態で、シェルタ30の姿勢を安定させることができる。また、支持脚としては、長尺な棒状の部材、例えば樹脂管を、軸線と略平行に2本設けて構成してもよい。これによっても、管体の軸線を中心とした回転を規制することができる。
【0052】
・更に、シェルタ30は、専用の設置台によって保管するようにしてもよい。例えば、設置台は、円柱状の管体31の円弧面で構成された側面に合った凹曲面を有する支持部を複数有し、複数の支持部に、横置きで管体31が係合支持される。シェルタ30は、非使用時、このような設置台に支持されることで、安全な状態で保管されることになる。なお、設置台の構成は、これに限定されるものではない。
【0053】
・このシェルタ30において、管体31の側面を閉塞する閉塞板32は、管体31の先端を流線形等の曲面で構成するため、平板ではなく、曲板で構成するようにしてもよい。これにより、浮遊時に、浮遊物が衝突したとしても、衝突時の衝撃を緩和することができる。また、救助の際には、シェルタ30を円滑に曳航することができる。
【0054】
・また、
図9及び
図10に示すように、複数の管体31を連結機構41によって連結したシェルタ40であってもよい。横型の管体31の場合、浮遊しているとき、波等によって管軸を中心に傾きやすく、姿勢が安定しない。シェルタ40では、横型の管体31が管軸が平行となるように連結機構41で連結しているので、全体が平板状になる。したがって、このシェルタ40では、波等によっても、管軸方向に傾きにくくなり姿勢が安定することになる。また、全体が大型化するので、一つのシェルタだけが孤立することを防止することができ、漂流した際にも発見しやすくなる。
【0055】
連結機構41には、アラミド繊維等の高強度の紐部材42を用いることができる。紐部材42を用いた場合には、管体31を軸線が互いに平行となるように並べ、隣接する管体31を紐部材42で結ぶようにすればよい。この場合、隣接する管体31の間の谷部には、位置決め部材43等を配設するようにしてもよい。
【0056】
・更に、以上のシェルタでは、横型について説明したが、管体は縦型であってもよい。
図11及び
図12に示すように、縦型のシェルタ44は、管体31の管軸が鉛直方向となっており、平坦な一方の円形の面が底面となっている。この管体31の空間部33には、平坦な底面に床45が設けられている。床45は、例えば、足場板を連結して設けている。なお、床45には、敷物等を敷いてもよい。この床下は、水面に浮遊している際に、姿勢が安定するように、バランスウェイト47が配設されている。
【0057】
この管体31には、上述のように、座席36やトイレ37が設けられている。また、空間部33の天井、すなわち管体31の一方の閉塞板32には、出入口38や換気口39が設けられている。更に、この縦型のシェルタ44についても、管軸が平行となるように並べて連結機構41で連結してもよい。
このシェルタ44では、底面が平坦な面であることから、横型のシェルタ30より浮遊時の姿勢が安定したものとなる。
【0058】
・
図13には、埋設型のシェルタを示す。このシェルタ48は、地中に埋設されるものであり、竜巻災害等に有効である。横型のシェルタ30の場合も縦型のシェルタ44のいずれも場合も、出入口38と換気口39を地表に露出させるように埋設される。
【0059】
・また、
図9に示す複数の管体31を連結した場合において、互いに隣接する管体31は、連結管を介して空間部33,33が連通するようにして、空間部33,33内の避難者が管体31,31間を移動できるようにしてもよい。
・また、以上説明したシェルタ30,40,44,48は、避難用として説明したが、避難用の備蓄庫として用いることもできる。
[メガフロート]
【0060】
図14及び
図15に示すように、メガフロート50は、複数の管体51を、管軸が平行となるように連結してなる管構造物である。管体51は、上述した避難通路11等に用いられた管体16やシェルタ30,40,44に用いられた管体31と同様なものが用いられている。管体51は、管軸が鉛直となる縦型として用いられ、連結機構52によって連結されている。この管体51は、シェルタ30,40,44のように、内部に居住空間が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。また、管体51は、熱可塑性樹脂であり、浮遊するものであるから、両端が閉塞されていてもよい、一方が閉塞されているだけでもよいし、両端が開口された筒状であってもよい。
【0061】
管体51を連結する連結機構52は、アラミド繊維等の高強度の紐部材53を用いることができる。紐部材53を用いた場合には、管体51を軸線が互いに平行となるように並べ、隣接する管体51を紐部材53で結ぶようにすればよい。この場合、隣接する管体51の間の谷部には、
図9等に示した位置決め部材43等を配設してもよい。
【0062】
各管体51には、その底面に、水面に浮遊している際に、姿勢が安定するように、バランスウェイト54が配設されている。また、連結機構52で連結された複数の管体51は、水面に臨む天面に、平坦な板体55が配設される。この板体55は、金属板であってもよいし、樹脂板であってもよいが、十分な強度を確保できるのであれば軽量の樹脂板が好ましい。板体55は、縦型の管体51の平坦な天面に取り付けられることで、管体51の連結体に安定して取り付けることができる。この板体55は、ヘリコプタの発着部となり、災害時など緊急の場合のみに利用される緊急離着陸場となる。板体55には、「マル・H、「Rescue point」」の識別標識56が設けられている。勿論、板体55には、「マル・R、「Rescue point」」の識別標識が設け、ホバリングスペースとしてもよい。
【0063】
例えば、メガフロート50をヘリポートとして用いる場合は、一辺が20〜30m程度の広さする。また、ヘリコプタは、数トン程度である。メガフロート50は、ヘリコプタと避難者を十分に支持できる程度の浮力を有するように設計される。また、ホバリングスペースとして用いる場合は、これより小さく、一辺が10m程度でもよい。
上記実施の形態によれば、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0064】
(1)メガフロート50は、高密度ポリエチレンで形成された管体51を連結して構成されているので、管体51が軽量で加工性に優れ、容易に製造することができる。すなわち、海上に、容易に広面積の広場を設けることができ、この広場を、ヘリポートとすることができる。
【0065】
(2)また、管体51は、柔軟性や耐衝撃性に優れており、浮遊しているときに、障害物に衝突しても、又は、浮遊物が衝突したとしても、そのときに発生する振動によって破損又は損傷することが防止できる。また、ヘリコプタの離着陸時等には、メガフロート50に大きな振動が加わることになるが、このような振動によっても、メガフロート50が破損又は損傷することが防止できる。
【0066】
(3)更に、メガフロート50は、耐薬品性や耐食性に優れており、長期間に亘って、保管することができる。
なお、以上のようなメガフロート50の実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0067】
・
図11及び
図12に示すように、メガフロート50を構成する各管体51は、救助用のシェルタとして用いてもよい。
図11及び
図12に示すシェルタ44は、縦型であり、メガフロート50の管体51も縦型である。この場合には、シェルタ44を連結機構52で連結して、天面に板体55を配設する。これにより、メガフロート50は、ヘリポートとして機能する他に、シェルタとして機能することもできる。勿論、メガフロート50の構成する管体51は、シェルタとしてではなく、備蓄庫として機能させてもよい。この場合、備蓄庫には、非常食等の防災備品が格納されることになる。
【0068】
・この管体51は、蓄光性を有しているとよい。また、光反射機能を有しているとよい。例えば、管体51は、外面に蓄光性および光反射性の少なくとも一方の塗料が塗布されることで、夜間にも外部からヘリポートの位置を特定しやすくなる。また、管体51は、その材料の熱可塑性樹脂よりも難燃性を有するとよい。津波等の場合には、火災の発生した家屋等が漂流していることもある。メガフロート50は、管体51が難燃性樹脂で形成されている、又は、難燃性樹脂が表面に塗布されていることで、管体51に火が燃え移ることを防止することができる。
【0069】
・メガフロート50は、常設でもよいが、使用時に限って、複数の管体51を結合して一つのユニットを構成し、複数のユニットを連結して、広面積のヘリポートとしてもよい。この場合、平常時、メガフロート50は、ユニット単位に分割し、各ユニットを、沿岸部の備品庫や避難所に保管しておく。そして、災害に、各ユニットを沿岸に運搬し、ユニットを結合することによってヘリポートとする。メガフロート50を構築するときには、小型のユニットを運搬するだけでよく、容易に、沿岸までユニットを運ぶことができる。ユニットの連結は、上述の紐部材42やフック等を用いて隣接するユニットを連結する構成の簡素な連結機構を用いて行うことができる。連結機構としては、非常時に、ユニットを簡単な操作で連結できるものが好ましい。そして、各ユニットが集められると、各ユニットは、相互に連結されてメガフロート50となり、ヘリポートとなる。メガフロート50を構築するにあたって、管体51が熱可塑性樹脂で形成され、軽量であることから、運搬が容易で、更に、容易にメガフロート50を組み立てることができる。また、メガフロート50は、ユニット単位で分割できることで、ユニットを連結する数を調整することによって広さも調節することができる。
【0070】
・また、管体51を横型とし、
図9に示すような横型の管体の連結体の上に板体55を配設するようにしてもよい。
【0071】
・また、メガフロート50の用途は、ヘリポートに限定されるものではない。メガフロート50は、例えば、浮体式係船岸、コンテナふ頭、浮防波堤、石油備蓄基地、波力発電等の発電設備、展示場、避難所、滑走路等の設備に用いることもできる。
【0072】
・メガフロート50が備える管体51は出入口を備えていない構成であってもよい。こうした管体から構成されるメガフロート50においても上記(1)から(3)に記載の効果は得られる。
上記実施形態、および、その変形例によれば、更に、以下の技術的思想が導き出される。
(付記1)
【0073】
避難システムにおいて、避難通路システム、シェルタ、メガフロートの少なくとも一が熱可塑性樹脂で形成された管体を備える避難用管構造物である。避難通路システム、シェルタ、メガフロートの中の少なくとも一つに熱可塑性樹脂で形成された避難用管構造物を用いれば、この部分で、振動に対する耐性が高められる。また、低コストで短期に避難システムを構築することができる。
(付記2)
【0074】
前記付記1において、避難通路システムでは、避難通路に、換気システム、及び、電気設備の少なくとも1つの備える電気ケーブルが配設される。この避難通路の構成であれば、避難者が避難通路を安全に通行することができる。
(付記3)
【0075】
前記付記1において、シェルタは、複数の前記管体を備え、複数の前記管体の各々の管軸が同一平面に位置するように連結されている。付記3に記載の構成によれば、シェルタ全体を大型化することができる。
(付記4)
【0076】
前記付記1において、シェルタは、前記管体の有する1つの端面にバランスウェイトが配設されている。付記4に記載の構成によれば、管体の有する1つの端面にバランスウェイトが配設されることで、浮遊時の姿勢が安定する。
(付記5)
【0077】
前記付記1において、シェルタは、複数の前記管体を備え、複数の前記管体の各々の管軸が相互に平行となるように複数の前記管体が併設され連結されている。付記5に記載の構成によれば、シェルタ全体を大型化することができる。
(付記6)
【0078】
前記付記5において、シェルタは、前記管軸と直交する面に板体を配設する。付記6に記載の構成によれば、1つの避難用管構造体をシェルタ、および、メガフロートとして使用することができる。
(付記7)
【0079】
前記付記4において、シェルタは、前記管体の有する1つの端面に出入口と換気口が設けられている。付記7に記載の構成によれば、出入口を通じた外部との出入り、および、換気口を通じた換気ができる。