特許第6496782号(P6496782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496782
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】プラグ接続デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20190325BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20190325BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20190325BHJP
   H01R 12/57 20110101ALI20190325BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R12/71
   H01R12/58
   H01R12/57
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-148947(P2017-148947)
(22)【出願日】2017年8月1日
(62)【分割の表示】特願2016-505832(P2016-505832)の分割
【原出願日】2014年4月3日
(65)【公開番号】特開2017-195202(P2017-195202A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年8月2日
(31)【優先権主張番号】102013103446.2
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ゲスケ
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−192282(JP,U)
【文献】 実開昭61−023283(JP,U)
【文献】 実開昭60−092480(JP,U)
【文献】 実開昭62−020481(JP,U)
【文献】 特開2001−160431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
H01R 12/00 − 12/91
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ接続デバイスであって、コネクター(1)及びベースストリップ(2)であって、プラグ接続により、所定のプラグ差込み方向(15)において、機械的及び電気的に互いに接触可能なコネクター(1)及びベースストリップ(2)と、
互いに掛止可能なラッチタブ(14)及びラッチラグ(12)であって、前記プラグ接続デバイスをプラグが差し込まれた状態に機械的に固定するために設けられたラッチタブ(14)及びラッチラグ(12)と、
を備え、
前記ラッチタブ(14)が一側のみに取り付けられており、これにより前記一側に形成される曲げ軸(13)の、前記プラグ差込み方向(15)に対する角度が45°未満であり、
開口部が、前記ラッチタブ(14)の後方に配置されており、前記ラッチラグ(12)を前記ラッチタブ(14)に掛止するために設けられており、かつ、前記ラッチタブ(14)の反らされる端部の方へ開口していることを特徴とする、プラグ接続デバイス。
【請求項2】
前記曲げ軸(13)が前記プラグ差込み方向(15)と平行に延在することを特徴とする、請求項1に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項3】
前記ラッチラグ(12)は、プラグ挿入工程中に、前記ラッチタブ(14)の自由端の縁部でのみ前記ラッチタブ(14)と接触するように配置構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項4】
前記開口部の端部であって前記開口している側の端部と反対側の端部が、少なくとも前記ラッチタブ(14)の前記方向において、少なくとも部分的に丸みを帯びていることを特徴とする、請求項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項5】
前記ベースストリップ(2)は、前記コネクター(1)を前記ベースストリップ(2)上に配置することにより、プラグ差込み領域(4)においてケーブルのコアに電気的に接続可能な半田付けピン(3)であって、導電接続を形成するために、半田付け領域(5)において回路基板(8)に半田付け可能な半田付けピン(3)を備え、
前記半田付けピン(3)の前記半田付け領域(5)は、前記ベースストリップ(2)が複数の異なる向きで前記回路基板(8)に接続可能なように、複数の接触区域(6、7)を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項6】
前記接触区域(6、7)は、前記ベースストリップ(2)が互いに直角をなす二つの向きで前記回路基板(8)に接続可能なように、互いに直角をなすように配置されていることを特徴とする、請求項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項7】
前記半田付けピン(3)が「J」字型に設計されており、前記「J」字型の半田付けピン(3)の弓状底部が第1接触区域(6)を形成しており、前記「J」字型の半田付けピン(3)の短シャフト部が第2接触区域(7)を形成していることを特徴とする、請求項又はに記載のプラグ接続デバイス。
【請求項8】
前記「J」字型の半田付けピン(3)の長シャフト部が前記プラグ差込み領域(4)を形成していることを特徴とする、請求項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項9】
前記半田付けピン(3)が「T」字型に設計されており、前記「T」字型の半田付けピン(3)の第1脚部が第1接触区域(6)を形成しており、前記「T」字型の半田付けピン(3)の第2脚部が第2接触区域(7)を形成していることを特徴とする、請求項又はに記載のプラグ接続デバイス。
【請求項10】
前記「T」字型の半田付けピン(3)の第3脚部が前記プラグ差込み領域(4)を形成していることを特徴とする、請求項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項11】
前記半田付けピン(3)の前記プラグ差込み領域(4)が、前記ベースストリップ(2)を貫通して突出しており、前記コネクター(1)を用いて前記ケーブルの前記コアに接続可能であることを特徴とする、請求項10のいずれか一項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項12】
前記ベースストリップ(2)が、半田付けアンカー(9、10)を用いて前記回路基板(8)に接続可能であることを特徴とする、請求項11のいずれか一項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項13】
前記ベースストリップ(2)が、前記半田付けアンカー(9、10)を装着するための受け手段(11)を設けており、前記受け手段(11)は、前記半田付けアンカー(9、10)が複数の異なる向きで前記ベースストリップ(2)に接続可能なように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項14】
半田付けアンカー(9、10)を用いて前記回路基板(8)に接続することができるように、前記ベースストリップ(2)は、前記半田付けアンカー(9、10)を装着するための受け手段(11)として機能することができる、鉛直方向の貫通開口部及び水平方向の貫通開口部の両方を備えることを特徴とする、請求項13のいずれか一項に記載のプラグ接続デバイス。
【請求項15】
導電体接続用の電気的接続デバイス、特に請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラグ接続デバイスであって、
ハウジング(17)と、
前記導電体と電気的に接触させるために前記ハウジング(17)中に設けられた接続バネと、
ツール(18)を用いて作動させることができる、前記接続バネを開放するためのバネ式ブレイク接点部(16)と、
前記導電体を前記接続バネの方向に挿入するためのケーブル挿入用漏斗部(19)と、を備え、
前記バネ式ブレイク接点部(16)及び前記ケーブル挿入用漏斗部(19)が互いに隣接しており、
前記バネ式ブレイク接点部(16)が、U字型壁部(21)に取り囲まれている、前記ツール(18)用の作動表面(20)を備えることを特徴とする、電気的接続デバイス。
【請求項16】
前記U字型壁部(21)の開口部が、前記ケーブル挿入用漏斗部(19)と反対側に向かうように形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の電気的接続デバイス。
【請求項17】
前記バネ式ブレイク接点部(16)の作動方向と前記ケーブル挿入用漏斗部(19)の挿入方向とが、互いに平行に延在することを特徴とする、請求項15又は16に記載の電気的接続デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを回路基板に接続するプラグ接続デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの回路基板への接続は、電気システムを設置する際、電子デバイスを組み立てる際、又は電子回路をセンサー等の外付け部品に接続する際にしばしば問題となるものである。
【0003】
この課題は、通常、プラグ接続デバイスを使用して解決される。異なる用途に応じて、いくつかの異なるプラグ接続デバイスが知られている。
【0004】
プラグ接続デバイスの改良にあたっては、接点の数、電気的負荷の伝送能力(電流、電圧)、機械的負荷の伝送能力、プラグクリアランス(plug clearance)量、IP保護クラス、絶縁性等といった多数のパラメータの他、構造的な大きさ、及び回路基板に対するプラグ接続の開閉方向もまた重要である。
【0005】
小型の電子デバイスを構築する場合等、空間的な制約があると、多くの場合、機械的自由度は僅かしか許容されない。従って、プラグ接続デバイスを作動させる方向は、予め定められていることが多い。
【0006】
このため、従来技術において、これまでは、プラグ接続デバイスは、異なるプラグ差込み方向に応じて異なる種類のもの(different variants)が提供されてきた。しかし、これらは、プラグ差込み方向以外の点ではほぼ同一の構成であった。
【0007】
設計者は、設置状況に応じて、様々なプラグ接続デバイスを入手することができる。例えば、回路基板に対して水平方向に作動させるためのもの及び鉛直方向に作動させるためのもののいずれか一方を入手することができる。必要とされる作動方向に応じて、設計者は、異なる状況において別々の製品を必要とし、これに従って製造業者は別々の製品を用意することになる。複数の種類の部品を使用する場合、普遍的に利用可能な部品を使用する場合と比べて、製造から使用までの連鎖の中で著しく費用が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、幅広い分野での利用が可能なプラグ接続デバイスを提供することである。これは、プラグ接続デバイスの種類の幅を抑えることができるということを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の主題の特徴による発明によって達成される。本発明の有利な実施形態が、請求項2〜10において特定されている。
【0010】
従って、本発明により、少なくとも一つのコアを備えるケーブルを回路基板に接続するプラグ接続デバイスが提供される。当該プラグ接続デバイスは、当該ケーブルの当該コアに接続可能なコネクターと、当該回路基板に接続可能なベースストリップと、を備え、当該ベースストリップが、当該コネクターを当該ベースストリップ上に配置することにより、プラグ差込み領域において当該ケーブルの当該コアに電気的に接続可能な少なくとも一つの半田付けピンであって、導電接続を形成するために、接触区域中の半田付け領域において当該回路基板に半田付け可能な半田付けピンを備え、当該半田付けピンの当該半田付け領域は、当該ベースストリップが、各接触区域に対応する複数の異なる向きで当該回路基板に接続可能なように、複数の接触区域を含むことを特徴とする。
【0011】
本解決方法の利点は、ベースストリップが複数の異なる向きでベースストリップに接続可能であるため、プラグ接続デバイスの開閉を(ベースストリップの各向きに応じて)異なる作動方向において行うことが可能になる、という点にある。これにより、当該プラグ接続デバイスの利用分野が広がる。これは、プラグ接続デバイスの種類の幅を抑えることができるということを意味する。
【0012】
原理的には、各接触区域を互いに対してどのような向きとするかについては、選択肢が多数存在する。しかしながら、有利には、当該半田付けピンの当該接触区域は、当該ベースストリップが互いに直角をなす二つの向きで当該回路基板に接続可能なように、互いに直角をなすように配置される。この場合、半田付けピンの接触区域とは、半田付けピンが回路基板と接触可能な表面と理解される。
【0013】
例えばSMD(surface mounted device)、又はTHT(through−hole technology)及びTHR(through−hole reflow)等、使用する組立て技術に応じて、当該接触区域は、好ましくは、半田付けピンを部分的に包む平坦な支持面又は円筒状の周面から成る。
【0014】
半田付けピンが回路基板と接触可能な各面の面ベクトルが直角をなす場合に、当該接触区域は互いに直角をなす。この種の実施形態では、二つの作動方向、即ち、回路基板に対して垂直(perpendicular)又は鉛直(vertical)な方向が許容される。これは、実際上しばしば見られるものである。
【0015】
有利には、当該半田付けピンは「J」字型に設計することができ、当該「J」字型半田付けピンの弓状底部が第1接触区域を形成しており、当該「J」字型半田付けピンの短シャフト部が第2接触区域を形成しているものとすることができる。また有利には、当該半田付けピンの当該プラグ差込み領域は、当該「J」字型半田付けピンの長シャフト部により形成される。
【0016】
この種の設計により、ベースストリップを簡単且つ小型に製造することが可能になる。この場合、半田付けピンは、1本のワイヤから形成することができ、プラグ差込み領域においてコネクターと直接接触できるように、且つ、半田付け領域においてベースストリップの表面上の凹部に係合するように、ベースストリップに嵌合する。
【0017】
半田付けピンの半田付け領域がベースストリップの凹部に係合することにより、半田付けピンは接触可能なまま保たれ、同時に、半田付けピンとベースストリップとの間の同一面によりベースストリップの大きな支持面が回路基板に対して形成され、機械的負荷の伝送能力が向上する。
【0018】
この種の実施形態は、好ましくはSMD組立て技術に適するものである。
【0019】
別の有利な実施形態では、当該半田付けピンは「T」字型に設計されており、当該「T」字型半田付けピンの第1脚部は第1接触区域を形成しており、当該「T」字型半田付けピンの第2脚部は第2接触区域を形成している。更に有利には、この場合、「T」字型半田付けピンの第3脚部は、半田付けピンのプラグ差込み領域を形成している。
【0020】
この実施形態により、簡単且つ小型設計のベースストリップを得ることもできる。第1製造ステップにおいて、ワイヤの折曲げ又はプレス加工により「T」字型半田付けピンを作ることが可能であり、第2製造ステップにおいて、ベースストリップを製造するために、プラスチック材料で「T」字型半田付けピンをコートすることが可能である。
【0021】
この実施形態でも、「T」字型半田付けピンの脚部は、プラグ差込み領域においてコネクターと直接接触できるように、ベースストリップに嵌合することができる。半田付けピンの他の二つの脚部は、ベースストリップの側方に突出しており、これにより、ベースストリップを異なる向きで回路基板上に装着することができる。この工程においては、各半田付けピンは、後面で半田付けすることができるように、コンタクトホールを介して、回路基板を貫通して押し進められる。
【0022】
この種の実施形態は、好ましくはTHT又はTHR組立て技術に適するものである。
【0023】
「T」字型半田付けピンであるか「J」字型半田付けピンであるかとは無関係に、半田付けピンのプラグ差込み領域は、有利には、コネクターを用いてケーブルのコアに接続できるように、ベースストリップを貫通して突出する。その結果、半田付けピンは、ベースストリップの一側では接点素子の機能を、ベースストリップの他方の側ではプラグ素子の機能を、両方とも果たすことができる。
【0024】
更に有利には、当該ベースストリップは、半田付けアンカーを用いて当該回路基板に接続することができる。
【0025】
プラグ接続を作動させると、ベースストリップと回路基板との間の接続部に作用する機械的な力が生じ得る。好ましくないケースでは、この力により、ベースストリップが回路基板から切断されることになるおそれがある。SMD組立て技術を使用する場合、ベースストリップは、回路基板の表面上に存在する導電体トラックに半田付けされる。力がベースストリップと回路基板との間の当該接続部に強く作用すると、導電体トラックが回路基板から切断される可能性がある。
【0026】
従って、ベースストリップと回路基板との間の接続部を機械的に補強するために、ベースストリップは、一つ以上の半田付けアンカーを用いて回路基板に接続することができる。当該半田付けアンカーは、例えばベースストリップの両面に装着することができる。この種の半田付けアンカーは、好ましくは、後面で半田付けすることができるように、孔部又は貫通開口部を介して回路基板を貫通する。
【0027】
有利には、当該ベースストリップは、半田付けアンカーを装着するための少なくとも一つの受け手段を設けており、当該受け手段は、当該半田付けアンカーが複数の異なる向きで当該ベースストリップに接続可能なように構成されている。
【0028】
この場合、当該受け手段は、ベースストリップの構成部品(integral component)であってもよく、ベースストリップに対して動かすことができるように設計された別途の部品であってもよい。従って、ベースストリップは、その端部に受け手段を備えることができる。これは、当該ベースストリップが回転可能に設計され、また必要に応じて、当該ベースストリップを異なる配置で方向付けることができるように、当該ベースストリップが異なる配置においてロック可能に設計されることを意味する。
【0029】
半田付けアンカーを用いて回路基板に接続することができるように、当該ベースストリップは、有利には、当該半田付けアンカーを装着するための受け手段として機能することができる、鉛直方向の貫通開口部及び水平方向の貫通開口部の両方を備えることができる。また、ベースストリップは、更に別の配置を可能にするために、例えば45°に傾いた、更なる貫通開口部を備えることもできる。この場合、ベースストリップを小型に設計できるようにするためには、当該開口部が交差していると、更に有利である。
【0030】
更に、本発明の目的は、当該デバイスの材料に関係なく、コネクター及びベースストリップをプラグが差し込まれた状態にしっかり固定することができるプラグ接続デバイスを開示することである。
【0031】
この目的は、請求項11の主題の特徴による発明によって達成される。当該発明の有利な実施形態は、請求項12〜16において特定されている。
【0032】
従って、本発明により、プラグ接続デバイスであって、コネクター及びベースストリップであって、プラグ接続により、所定のプラグ差込み方向において、機械的及び電気的に互いに接触可能なコネクター及びベースストリップと、互いに掛止(latched)可能なラッチタブ及びラッチラグであって、当該プラグ接続デバイスをプラグが差し込まれた状態に機械的に固定するために設けられたラッチタブ及びラッチラグと、を備え、当該ラッチタブが一側のみに取り付けられており、これにより当該一側に形成される曲げ軸の、当該プラグ差込み方向に対する角度が45°未満の角度であることを特徴とする、プラグ接続デバイスが提供される。
【0033】
プラグ差込み方向と曲げ軸との間の角度がほんの小さな角度であること、具体的には、どんな場合でも45°未満の角度であることが、当該発明には不可欠である。この場合、曲げ軸とは、ラッチタブと接触するラッチラグにより、プラグ挿入工程中に、当該軸の周りでラッチタブが外側へ曲がる仮想の軸を意味する。実際には、直線状の曲げ軸にはならないことが実際上多く、むしろラッチタブは特定の延長部分にわたって曲がることが多い。しかしながら、簡単のため、本発明を説明するにあたっては、曲げ軸を参照することとする。この場合、向き(orientation)も正確に定義されるため、曲げ軸と所定のプラグ差込み方向との間の角度に言及することができる。
【0034】
上述のように、本発明によると、この角度は小さなものでなければならない。原則として、45°未満の角度が適切である。しかしながら、本発明の好ましい改良例によると、この角度は更に小さく、好ましくは10°未満であり、特に好ましくは角度0°とされる。これは、曲げ軸がプラグ差込み方向と平行に延在することを意味する。
【0035】
この文脈において、更に好ましくは、当該ラッチラグは、当該プラグ挿入工程中に、当該ラッチタブの自由端の縁部でのみ当該ラッチタブと接触するように配置構成されている。本発明によると、当該ラッチラグは原則として、ラッチタブと掛止する(latches)ものである限り、好きなように配置することができるが、この好ましい実施形態には以下の利点がある。
【0036】
ラッチラグがラッチタブの縁部でのみ、即ちラッチタブの自由端でのみラッチタブと接触し、当該接触点において当該ラッチタブを外側へ押しやるものである場合、ラッチタブの曲がりもラッチラグの高さ等によってのみ決定される。従来技術では、当該挿入方向が曲げ軸に対して垂直に延在しているのが通常であり、この種の小さな反り(deflection)を生じさせることは不可能である。具体的には、従来技術では、ラッチラグがラッチタブのより奥側へ(far into)案内され、その結果ラッチタブは実質的により大きく曲がる、即ちラッチタブは更に大きく上方へ曲がることになる。従って、本発明の当該好ましい実施形態によると、プラグ接続デバイス用、特にラッチタブ用に、ガラスファイバー含有量が30%のLCPといった、比較的脆い材料を使用することも可能である。
【0037】
本発明の好ましい改良例によると、開口部が、当該ラッチラグを当該ラッチタブに掛止するために更に設けられており、当該開口部は、当該ラッチタブの後方に配置されている。この場合、当該開口部は、好ましくは、当該ラッチタブの当該反らされる端部の方へ開口している。また、当該開口部の端部であって当該開口している側の端部と反対側の端部が、少なくとも当該ラッチタブの当該方向において、当該開口している側の端部と反対側の当該端部で、少なくとも部分的に丸みを帯びていることが好ましい。これにより、ラッチタブは機械的に真っすぐにされ、ラッチタブの切断を防ぐことができる。
【0038】
最後に、ラッチタブは原則としてコネクターに設けられ得るため、ラッチラグは原則としてベースストリップに設けられ得るということに留意すべきである。しかしながら、本発明の好ましい改良例によると、ラッチタブがベースストリップに設けられ、ラッチラグがコネクターに設けられる。
【0039】
更に、本発明の目的は、導電体接続用の電気的接続デバイスのケース、特に上述のプラグ接続デバイスのケース中の導電体の接続を簡単且つしっかりしたものにすることである。
【0040】
この目的は、請求項17の主題の特徴による発明によって達成される。当該発明の有利な実施形態は、請求項18及び19において特定されている。
【0041】
従って、本発明によると、導電体接続用の電気的接続デバイス、特に上述のプラグ接続デバイスであって、ハウジングと、当該導電体と電気的に接触させるために当該ハウジング中に設けられた接続バネと、ツールを用いて作動させることができる、当該バネを開放するためのバネ式ブレイク接点部(spring break contact)と、当該導電体を当該接続バネの方向に挿入するためのケーブル挿入用漏斗部と、を備え、当該バネ式ブレイク接点部及び当該ケーブル挿入用漏斗部が互いに隣接しており、当該バネ式ブレイク接点部が、U字型壁部に取り囲まれている、当該ツール用の作動表面を備える、電気的接続デバイスが提供される。
【0042】
U字型壁部により、ツール用の停止部が三方に形成されるため、このようにしてツール、例えばネジ回しを、バネ式ブレイク接点部にしっかり保持することが可能になる。この場合、バネ式ブレイク接点部とケーブル挿入用漏斗部とが互いに隣接するということは、これら二つの器具は互いに隣接するが、互いに直接接触する必要はないということを意味する。最後に、バネ式ブレイク接点部は、導電体挿入用漏斗部に挿入される導電体と接触すべきバネを開放するために設けられているため、ケーブル挿入用漏斗部の周辺に設けられるのが通常である。
【0043】
本発明の好ましい改良例によると、U字型壁部の開口部は、ケーブル挿入用漏斗部と反対側に向かうように形成される。この構成により、ツールがスリップしないようにすることが可能になるため、当該ツールがケーブル挿入用漏斗部の上方のケーブル挿入用領域を覆わないようにすることが可能になる。従って、この領域には常時自由にアクセスできるようになるため、ケーブル接続工程中であって、ツールを干渉させることができなくても、当該領域へのアクセスが可能である。
【0044】
この場合、更に好ましい実施形態によると、当該バネ式ブレイク接点部の作動方向と当該ケーブル挿入用漏斗部の挿入方向とは、互いに平行に延在する。
【0045】
本発明について、好ましい実施形態及び図面を参照して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップの一実施形態の斜視図である。
図2】回路基板に接続して鉛直方向の向きとした、図1の実施形態を示す。
図3】回路基板に接続して水平方向の向きとした、図1の実施形態を示す。
図4図2の実施形態の、プラグ差込み方向に平行な側断面図である。
図5図3の実施形態の、プラグ差込み方向に平行な側断面図である。
図6】プラグ差込み方向に平行な側断面図であって、鉛直方向の向きで組み立てた状態の、本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップの第2実施形態の側断面図である。
図7】水平方向の向きで組み立てた場合の、図6の実施形態を示す。
図8】水平方向の向きとした状態で、プラグ差込み方向から見た、本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップの一実施形態を示す。
図9】開配置における、本発明に係るプラグ接続デバイスの一実施形態を示す。
図10】閉配置における図9の実施形態を示す。
図11】プラグが差し込まれていない状態の図9の実施形態を示しており、ラッチラグ及びラッチタブについて、より詳細に示す。
図12】プラグ差込み工程中の図11の実施形態を示す。
図13】プラグが差し込まれた状態の図11及び12の実施形態を示す。
図14】既に図示したコネクターを、ツールを用いて作動させることができる、当該コネクターのバネ式ブレイク接点部と共に示した斜視図である。
図15図14のコネクターの側面図である。
図16図14及び15のコネクターの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップ2の一実施形態の斜視図である。当該実施形態は、半田付けピン3(断面を示す)、プラグ差込み領域4、及び接触領域5を備える。プラグ差込み領域4は開口しており、コネクターを接触させることができる。半田付けピン3は、「J」字の形状に設計される。半田付けピン3の接触領域5において、断面で示した半田付けピン3は、二つの接触区域6及び7を含む。これらの接触区域6及び7は、互いに直角をなすようにベースストリップ2の異なる面に位置しており、各ケース端部において、ベースストリップ2の外側面と同一面をなす。四つの半田付けピン3の接触表面7が、図1の実施形態に示されている。各ケース中にある一つの半田付けピン3は、多芯ケーブルの各コアに対して設けられている。
【0048】
図2は、回路基板に接続して鉛直方向の向きとした、図1の実施形態を示す。ベースストリップ2の凹部は、回路基板8上で鉛直方向の向きとしたときに平坦なベース部が形成されるように、半田付けピン3を受ける。半田付けピン3は、当該ピンが、SMD組立て技術を使用して、回路基板8の導電体トラック(図示せず)と電気的に接触するように接触区域6において接続され得るような形で、接触区域6において回路基板8と接触する。
【0049】
図3は、回路基板8に接続して水平方向の向きとした、図1及び図2の実施形態を示す。ベースストリップ2の凹部は、回路基板8上で水平方向の向きとしたときにも平坦なベース部が形成されるように、半田付けピン3を受ける。この向きとした場合、半田付けピン3は、当該ピンが、SMD組立て技術を使用して、回路基板8の導電体トラック(図示せず)と電気的に接触するように接触区域7において接続され得るような形で、接触区域7において回路基板と接触する。
【0050】
図4は、図2の実施形態の、プラグ差込み方向に平行な側断面図であり、半田付けアンカーのアンカーシャンク9の先端が更に示されている。当該アンカーシャンクは、ベースストリップ2を回路基板8に機械的に固定するものであり、回路基板8の孔部を通して案内される。
【0051】
図5は、図3の実施形態の、プラグ差込み方向と平行な側断面図であり、ここでも半田付けアンカーのアンカーシャンク9の先端が示されている。
【0052】
図6は、本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップ2の第2実施形態の、プラグ差込み方向に平行な側断面図であって、鉛直方向の向きとなるように組み立てられたものを示す。当該実施形態は、プラグ差込み領域4及び接触領域5を備える半田付けピン3(断面を示す)を備える。プラグ差込み領域4は開口しており、コネクターを接触させることができる。半田付けピン3は「T」字の形状であり、半田付けピン3の接触領域5は、「L」字の形状に設計される。この接触領域5において、断面を示した半田付けピン3は、二つの接触区域6及び7を含む。これらの区域はいずれも「L」字型の接触領域の一部であり、各区域において、半田付けピン3は、ベースストリップ2が当該区域に対応する向きとされた状態で、回路基板8と接触することになる。図6の向きでは、半田付けピン3は、接触区域6において回路基板8と接触する。接触区域6及び7は、互いに直角をなすようにベースストリップ2の異なる面に位置しており、回路基板8を貫通させて押し進めることができる。
【0053】
図7は、水平方向の向きで組み立てた場合の、図6の実施形態を示す。半田付けピン3が、図7の向きで接触区域7において回路基板8と接触している。また、ここでは半田付けアンカーのアンカーシャンク9の先端が示されている。当該シャンクは、図6の配置で見ると、半田付けピン3で隠れている。
【0054】
図8は、水平方向の向きとした状態で、プラグ差込み方向から見た、本発明に係るプラグ接続デバイスのベースストリップ2の一実施形態を示す。図8は、一例として、多芯ケーブルを回路基板8に接続するためのベースストリップ2を示す。図8の実施形態では、4芯ケーブルと接触させるための四つの半田付けピン3の先端が示されている。プラグ差込み方向に対して横方向外側の両端において、ベースストリップ2は、半田付けアンカーを受けるための受け手段11を備える。半田付けアンカーのアンカーシャンク9は、長方形の断面を有し、長方形の貫通開口部11に挿入するか、又は当該貫通開口部11を通して案内することができる。ベースストリップ2の二つの側面はそれぞれ、これらの開口部を二つ備えており、一方はベースストリップ2の鉛直方向の向きであり、一方はベースストリップ2の水平方向の向きである。鉛直方向用のフリーの開口部のみが図8に明示されている。水平方向用の開口部は、この視点から見ると隠れており、また各開口部は、半田付けアンカー9のアンカーシャンクで塞がれている。各ケースのシャンクは、ベースストリップ2の開口部及び回路基板8の両方を貫通する。半田付けアンカーのアンカーヘッド10の腕部により、ベースストリップ2が回路基板8に保持される。
【0055】
図9は、開配置における、本発明に係るプラグ接続デバイスの一実施形態を示す。また、両側に装着された、半田付けアンカーのアンカーシャンク9及びアンカーヘッド10が、当該斜視図に示されている。
【0056】
図10は、閉配置における図9の実施形態であって、回路基板8上で水平方向の向きで組み立てたものを示す。
【0057】
最後に、図11、12、及び13は、どのようにしてコネクター1及びベースストリップ2が互いに機械的に固定されるかを示す。この目的のために、コネクター1は、少なくとも一側、好ましくは両側に、ベースストリップ2に固定されたラッチタブ14の後方に位置する開口部に掛止させることができるラッチラグ12を備える。このラッチ接続は、図12に点線で示す曲げ軸13であって、当該曲げ軸13の周りでラッチタブ14が外側に曲がる曲げ軸13が、同図に示すプラグ差込み方向15と平行に延在している点で特徴的である。上記で詳細に記載したように、これは、ラッチタブが僅かに上方へ曲がりさえすればよいということを意味しており、その結果として、コネクター1及びベースストリップ2、特にラッチタブ14は、比較的脆い材料から製造することもでき、材料が破損するおそれもない。
【0058】
最後に、図14、15、及び16は、コネクター1に設けられたバネ式ブレイク接点部16が、本発明の好ましい実施形態により、どのように構成されているかを詳細に示す。
【0059】
コネクター1は、ハウジング17と、導電体と電気的に接触させるための接続バネと、を備える。当該接続バネはハウジング17中に設けられており、これ以上図示しない。バネ式ブレイク接点部16は、各接続バネを開放するために、ツール18により、この場合はネジ回しにより作動させることができる。一つの導電体を各ケースのケーブル挿入用漏斗部19に挿入することができ、これにより、当該導電体を各接続バネに案内することができる。各バネ式ブレイク接点部16の作動方向と、これに関連するケーブル挿入用漏斗部19の挿入方向とは、互いに平行に延在する。
【0060】
特に図14に示すように、バネ式ブレイク接点部16と、これに関連するケーブル挿入用漏斗部19とは、互いに隣接する。バネ式ブレイク接点部16はそれぞれ、ツール用の作動表面20を備えており、特に図16に示すように、当該作動表面20は「U」字型壁部21に取り囲まれている。当該バネを開放するための圧力は、作動表面20を介してバネ式ブレイク接点部16に加えることができ、「U」字型壁部21により、ツール18用の停止部が三方に形成されるため、ツール18をバネ式ブレイク接点部16にしっかり保持することができるようになる。
【0061】
図14、15、及び16に示すように、「U」字型壁部21の開口部は、更に、ケーブル挿入用漏斗部19と反対側に向かうように形成される。この構成により、スリップが起こった場合でも、ツール18がケーブル挿入用漏斗部19の上方のケーブル挿入用領域を覆わないようにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 コネクター
2 ベースストリップ
3 半田付けピン
4 半田付けピンのプラグ差込み領域
5 半田付けピンの半田付け領域
6 第1接触区域
7 第2接触区域
8 回路基板
9 半田付けアンカー、アンカーシャンク
10 半田付けアンカー、アンカーヘッド
11 受け手段
12 ラッチラグ
13 曲げ軸
14 ラッチタブ
15 プラグ差込み方向
16 バネ式ブレイク接点部
17 ハウジング
18 ツール
19 ケーブル挿入用漏斗部
20 作動表面
21 「U」字型壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16