【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の主題の特徴による発明によって達成される。本発明の有利な実施形態が、請求項2〜10において特定されている。
【0010】
従って、本発明により、少なくとも一つのコアを備えるケーブルを回路基板に接続するプラグ接続デバイスが提供される。当該プラグ接続デバイスは、当該ケーブルの当該コアに接続可能なコネクターと、当該回路基板に接続可能なベースストリップと、を備え、当該ベースストリップが、当該コネクターを当該ベースストリップ上に配置することにより、プラグ差込み領域において当該ケーブルの当該コアに電気的に接続可能な少なくとも一つの半田付けピンであって、導電接続を形成するために、接触区域中の半田付け領域において当該回路基板に半田付け可能な半田付けピンを備え、当該半田付けピンの当該半田付け領域は、当該ベースストリップが、各接触区域に対応する複数の異なる向きで当該回路基板に接続可能なように、複数の接触区域を含むことを特徴とする。
【0011】
本解決方法の利点は、ベースストリップが複数の異なる向きでベースストリップに接続可能であるため、プラグ接続デバイスの開閉を(ベースストリップの各向きに応じて)異なる作動方向において行うことが可能になる、という点にある。これにより、当該プラグ接続デバイスの利用分野が広がる。これは、プラグ接続デバイスの種類の幅を抑えることができるということを意味する。
【0012】
原理的には、各接触区域を互いに対してどのような向きとするかについては、選択肢が多数存在する。しかしながら、有利には、当該半田付けピンの当該接触区域は、当該ベースストリップが互いに直角をなす二つの向きで当該回路基板に接続可能なように、互いに直角をなすように配置される。この場合、半田付けピンの接触区域とは、半田付けピンが回路基板と接触可能な表面と理解される。
【0013】
例えばSMD(surface mounted device)、又はTHT(through−hole technology)及びTHR(through−hole reflow)等、使用する組立て技術に応じて、当該接触区域は、好ましくは、半田付けピンを部分的に包む平坦な支持面又は円筒状の周面から成る。
【0014】
半田付けピンが回路基板と接触可能な各面の面ベクトルが直角をなす場合に、当該接触区域は互いに直角をなす。この種の実施形態では、二つの作動方向、即ち、回路基板に対して垂直(perpendicular)又は鉛直(vertical)な方向が許容される。これは、実際上しばしば見られるものである。
【0015】
有利には、当該半田付けピンは「J」字型に設計することができ、当該「J」字型半田付けピンの弓状底部が第1接触区域を形成しており、当該「J」字型半田付けピンの短シャフト部が第2接触区域を形成しているものとすることができる。また有利には、当該半田付けピンの当該プラグ差込み領域は、当該「J」字型半田付けピンの長シャフト部により形成される。
【0016】
この種の設計により、ベースストリップを簡単且つ小型に製造することが可能になる。この場合、半田付けピンは、1本のワイヤから形成することができ、プラグ差込み領域においてコネクターと直接接触できるように、且つ、半田付け領域においてベースストリップの表面上の凹部に係合するように、ベースストリップに嵌合する。
【0017】
半田付けピンの半田付け領域がベースストリップの凹部に係合することにより、半田付けピンは接触可能なまま保たれ、同時に、半田付けピンとベースストリップとの間の同一面によりベースストリップの大きな支持面が回路基板に対して形成され、機械的負荷の伝送能力が向上する。
【0018】
この種の実施形態は、好ましくはSMD組立て技術に適するものである。
【0019】
別の有利な実施形態では、当該半田付けピンは「T」字型に設計されており、当該「T」字型半田付けピンの第1脚部は第1接触区域を形成しており、当該「T」字型半田付けピンの第2脚部は第2接触区域を形成している。更に有利には、この場合、「T」字型半田付けピンの第3脚部は、半田付けピンのプラグ差込み領域を形成している。
【0020】
この実施形態により、簡単且つ小型設計のベースストリップを得ることもできる。第1製造ステップにおいて、ワイヤの折曲げ又はプレス加工により「T」字型半田付けピンを作ることが可能であり、第2製造ステップにおいて、ベースストリップを製造するために、プラスチック材料で「T」字型半田付けピンをコートすることが可能である。
【0021】
この実施形態でも、「T」字型半田付けピンの脚部は、プラグ差込み領域においてコネクターと直接接触できるように、ベースストリップに嵌合することができる。半田付けピンの他の二つの脚部は、ベースストリップの側方に突出しており、これにより、ベースストリップを異なる向きで回路基板上に装着することができる。この工程においては、各半田付けピンは、後面で半田付けすることができるように、コンタクトホールを介して、回路基板を貫通して押し進められる。
【0022】
この種の実施形態は、好ましくはTHT又はTHR組立て技術に適するものである。
【0023】
「T」字型半田付けピンであるか「J」字型半田付けピンであるかとは無関係に、半田付けピンのプラグ差込み領域は、有利には、コネクターを用いてケーブルのコアに接続できるように、ベースストリップを貫通して突出する。その結果、半田付けピンは、ベースストリップの一側では接点素子の機能を、ベースストリップの他方の側ではプラグ素子の機能を、両方とも果たすことができる。
【0024】
更に有利には、当該ベースストリップは、半田付けアンカーを用いて当該回路基板に接続することができる。
【0025】
プラグ接続を作動させると、ベースストリップと回路基板との間の接続部に作用する機械的な力が生じ得る。好ましくないケースでは、この力により、ベースストリップが回路基板から切断されることになるおそれがある。SMD組立て技術を使用する場合、ベースストリップは、回路基板の表面上に存在する導電体トラックに半田付けされる。力がベースストリップと回路基板との間の当該接続部に強く作用すると、導電体トラックが回路基板から切断される可能性がある。
【0026】
従って、ベースストリップと回路基板との間の接続部を機械的に補強するために、ベースストリップは、一つ以上の半田付けアンカーを用いて回路基板に接続することができる。当該半田付けアンカーは、例えばベースストリップの両面に装着することができる。この種の半田付けアンカーは、好ましくは、後面で半田付けすることができるように、孔部又は貫通開口部を介して回路基板を貫通する。
【0027】
有利には、当該ベースストリップは、半田付けアンカーを装着するための少なくとも一つの受け手段を設けており、当該受け手段は、当該半田付けアンカーが複数の異なる向きで当該ベースストリップに接続可能なように構成されている。
【0028】
この場合、当該受け手段は、ベースストリップの構成部品(integral component)であってもよく、ベースストリップに対して動かすことができるように設計された別途の部品であってもよい。従って、ベースストリップは、その端部に受け手段を備えることができる。これは、当該ベースストリップが回転可能に設計され、また必要に応じて、当該ベースストリップを異なる配置で方向付けることができるように、当該ベースストリップが異なる配置においてロック可能に設計されることを意味する。
【0029】
半田付けアンカーを用いて回路基板に接続することができるように、当該ベースストリップは、有利には、当該半田付けアンカーを装着するための受け手段として機能することができる、鉛直方向の貫通開口部及び水平方向の貫通開口部の両方を備えることができる。また、ベースストリップは、更に別の配置を可能にするために、例えば45°に傾いた、更なる貫通開口部を備えることもできる。この場合、ベースストリップを小型に設計できるようにするためには、当該開口部が交差していると、更に有利である。
【0030】
更に、本発明の目的は、当該デバイスの材料に関係なく、コネクター及びベースストリップをプラグが差し込まれた状態にしっかり固定することができるプラグ接続デバイスを開示することである。
【0031】
この目的は、請求項11の主題の特徴による発明によって達成される。当該発明の有利な実施形態は、請求項12〜16において特定されている。
【0032】
従って、本発明により、プラグ接続デバイスであって、コネクター及びベースストリップであって、プラグ接続により、所定のプラグ差込み方向において、機械的及び電気的に互いに接触可能なコネクター及びベースストリップと、互いに掛止(latched)可能なラッチタブ及びラッチラグであって、当該プラグ接続デバイスをプラグが差し込まれた状態に機械的に固定するために設けられたラッチタブ及びラッチラグと、を備え、当該ラッチタブが一側のみに取り付けられており、これにより当該一側に形成される曲げ軸の、当該プラグ差込み方向に対する角度が45°未満の角度であることを特徴とする、プラグ接続デバイスが提供される。
【0033】
プラグ差込み方向と曲げ軸との間の角度がほんの小さな角度であること、具体的には、どんな場合でも45°未満の角度であることが、当該発明には不可欠である。この場合、曲げ軸とは、ラッチタブと接触するラッチラグにより、プラグ挿入工程中に、当該軸の周りでラッチタブが外側へ曲がる仮想の軸を意味する。実際には、直線状の曲げ軸にはならないことが実際上多く、むしろラッチタブは特定の延長部分にわたって曲がることが多い。しかしながら、簡単のため、本発明を説明するにあたっては、曲げ軸を参照することとする。この場合、向き(orientation)も正確に定義されるため、曲げ軸と所定のプラグ差込み方向との間の角度に言及することができる。
【0034】
上述のように、本発明によると、この角度は小さなものでなければならない。原則として、45°未満の角度が適切である。しかしながら、本発明の好ましい改良例によると、この角度は更に小さく、好ましくは10°未満であり、特に好ましくは角度0°とされる。これは、曲げ軸がプラグ差込み方向と平行に延在することを意味する。
【0035】
この文脈において、更に好ましくは、当該ラッチラグは、当該プラグ挿入工程中に、当該ラッチタブの自由端の縁部でのみ当該ラッチタブと接触するように配置構成されている。本発明によると、当該ラッチラグは原則として、ラッチタブと掛止する(latches)ものである限り、好きなように配置することができるが、この好ましい実施形態には以下の利点がある。
【0036】
ラッチラグがラッチタブの縁部でのみ、即ちラッチタブの自由端でのみラッチタブと接触し、当該接触点において当該ラッチタブを外側へ押しやるものである場合、ラッチタブの曲がりもラッチラグの高さ等によってのみ決定される。従来技術では、当該挿入方向が曲げ軸に対して垂直に延在しているのが通常であり、この種の小さな反り(deflection)を生じさせることは不可能である。具体的には、従来技術では、ラッチラグがラッチタブのより奥側へ(far into)案内され、その結果ラッチタブは実質的により大きく曲がる、即ちラッチタブは更に大きく上方へ曲がることになる。従って、本発明の当該好ましい実施形態によると、プラグ接続デバイス用、特にラッチタブ用に、ガラスファイバー含有量が30%のLCPといった、比較的脆い材料を使用することも可能である。
【0037】
本発明の好ましい改良例によると、開口部が、当該ラッチラグを当該ラッチタブに掛止するために更に設けられており、当該開口部は、当該ラッチタブの後方に配置されている。この場合、当該開口部は、好ましくは、当該ラッチタブの当該反らされる端部の方へ開口している。また、当該開口部の端部であって当該開口している側の端部と反対側の端部が、少なくとも当該ラッチタブの当該方向において、当該開口している側の端部と反対側の当該端部で、少なくとも部分的に丸みを帯びていることが好ましい。これにより、ラッチタブは機械的に真っすぐにされ、ラッチタブの切断を防ぐことができる。
【0038】
最後に、ラッチタブは原則としてコネクターに設けられ得るため、ラッチラグは原則としてベースストリップに設けられ得るということに留意すべきである。しかしながら、本発明の好ましい改良例によると、ラッチタブがベースストリップに設けられ、ラッチラグがコネクターに設けられる。
【0039】
更に、本発明の目的は、導電体接続用の電気的接続デバイスのケース、特に上述のプラグ接続デバイスのケース中の導電体の接続を簡単且つしっかりしたものにすることである。
【0040】
この目的は、請求項17の主題の特徴による発明によって達成される。当該発明の有利な実施形態は、請求項18及び19において特定されている。
【0041】
従って、本発明によると、導電体接続用の電気的接続デバイス、特に上述のプラグ接続デバイスであって、ハウジングと、当該導電体と電気的に接触させるために当該ハウジング中に設けられた接続バネと、ツールを用いて作動させることができる、当該バネを開放するためのバネ式ブレイク接点部(spring break contact)と、当該導電体を当該接続バネの方向に挿入するためのケーブル挿入用漏斗部と、を備え、当該バネ式ブレイク接点部及び当該ケーブル挿入用漏斗部が互いに隣接しており、当該バネ式ブレイク接点部が、U字型壁部に取り囲まれている、当該ツール用の作動表面を備える、電気的接続デバイスが提供される。
【0042】
U字型壁部により、ツール用の停止部が三方に形成されるため、このようにしてツール、例えばネジ回しを、バネ式ブレイク接点部にしっかり保持することが可能になる。この場合、バネ式ブレイク接点部とケーブル挿入用漏斗部とが互いに隣接するということは、これら二つの器具は互いに隣接するが、互いに直接接触する必要はないということを意味する。最後に、バネ式ブレイク接点部は、導電体挿入用漏斗部に挿入される導電体と接触すべきバネを開放するために設けられているため、ケーブル挿入用漏斗部の周辺に設けられるのが通常である。
【0043】
本発明の好ましい改良例によると、U字型壁部の開口部は、ケーブル挿入用漏斗部と反対側に向かうように形成される。この構成により、ツールがスリップしないようにすることが可能になるため、当該ツールがケーブル挿入用漏斗部の上方のケーブル挿入用領域を覆わないようにすることが可能になる。従って、この領域には常時自由にアクセスできるようになるため、ケーブル接続工程中であって、ツールを干渉させることができなくても、当該領域へのアクセスが可能である。
【0044】
この場合、更に好ましい実施形態によると、当該バネ式ブレイク接点部の作動方向と当該ケーブル挿入用漏斗部の挿入方向とは、互いに平行に延在する。
【0045】
本発明について、好ましい実施形態及び図面を参照して、以下でより詳細に説明する。