(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496798
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】文脈的心拍数監視
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0245 20060101AFI20190401BHJP
A61B 5/0452 20060101ALI20190401BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20190401BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
A61B5/0245 100T
A61B5/0245 200
A61B5/04 312U
A61B5/11 200
A61B5/00 102A
A61B5/0245ZDM
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-211913(P2017-211913)
(22)【出願日】2017年11月1日
(62)【分割の表示】特願2016-502979(P2016-502979)の分割
【原出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-47253(P2018-47253A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】13/842,842
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515058422
【氏名又は名称】ヴァイタル コネクト,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vital Connect,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】フェルドシ,ニマ
(72)【発明者】
【氏名】ナラシマーン,ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,アレクサンダー
【審査官】
高松 大
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−178804(JP,A)
【文献】
特開2009−027638(JP,A)
【文献】
特開2010−057678(JP,A)
【文献】
特表2011−514831(JP,A)
【文献】
特表2004−502478(JP,A)
【文献】
特開2002−253538(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0156386(US,A1)
【文献】
特開2011−172903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0245
A61B 5/00
A61B 5/0452
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部でユーザに結合される、少なくとも電極を有するパッチフォームファクタの無線センサ装置を用いたECG信号を検知する工程と、
前記ECG信号を用いて心拍数を判断する工程と、
活動レベルを検知する工程と、
前記心拍数と前記活動レベルとに基づいて1つ以上の警告を発生する工程と、
を含み、
前記1つ以上の警告は、
前記心拍数が第1の閾値を超え、かつ、前記活動レベルが第4の閾値未満であるときに発生される第1の警告と、
前記心拍数が第2の閾値未満であり、かつ、前記活動レベルが第3の閾値を超えるときに発生される第2の警告と、を含み、
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値および前記第4の閾値は、心拍数リザーブに対して測定された活動により定義され、
前記心拍数リザーブは、(心拍数(HR)−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)として定義される、
文脈的心拍数監視方法。
【請求項2】
前記心拍数は、所定期間にわたって計算され、
前記活動レベルは、前記所定期間にわたって検知される、
請求項1に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項3】
前記第1の閾値は、高心拍数閾値であり、
前記第2の閾値は、低心拍数閾値であり、
前記第3の閾値は、高活動レベル閾値であり、
前記第4の閾値は、低活動レベル閾値である、
請求項1に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項4】
前記活動レベルが前記第4の閾値を超えると、運動が検知される、
請求項1に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項5】
前記運動が停止すると、回復心拍数を計算する工程をさらに含む、
請求項4に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項6】
前記回復心拍数を計算する工程は、前記運動が停止した後、所定期間、他の心拍数を計算する工程をさらに含み、
前記回復心拍数は、前記運動が停止するときの心拍数と、前記運動が停止した後、所定期間における前記他の心拍数との間の差分である、
請求項5に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項7】
心血管性疾患を判断するために所定期間にわたって前記回復心拍数を追跡する工程をさらに含む、
請求項5に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項8】
年齢情報とプリセット値とを用いて前記第2の閾値と前記第1の閾値とを判断する工程をさらに含む、
請求項1に記載の文脈的心拍数監視方法。
【請求項9】
外部でユーザに結合されるパッチフォームファクタの無線センサ装置を有し、
前記無線センサ装置は、
少なくとも1つの電極と、
前記ユーザのECG信号を検知するセンサと、
前記センサに結合されるプロセッサと、
前記プロセッサに結合されるメモリ装置と、を有し、
前記メモリ装置は、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、前記ECG信号と用いて心拍数を判断させる処理と、活動レベルを検知させる処理と、前記心拍数と前記活動レベルとに基づいて1つ以上の警告を発生させる処理とを実行させるアプリケーションを格納し、
前記1つ以上の警告は、
前記心拍数が第1の閾値を超え、かつ、前記活動レベルが第4の閾値未満であるときに発生される第1の警告と、
前記心拍数が第2の閾値未満であり、かつ、前記活動レベルが第3の閾値を超えるときに発生される第2の警告と、を含み、
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値および前記第4の閾値は、心拍数リザーブに対して測定された活動により定義され、
前記心拍数リザーブは、(心拍数(HR)−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)として定義される、
文脈的心拍数監視システム。
【請求項10】
前記心拍数は、所定期間にわたって計算され、
前記活動レベルは、前記所定期間にわたって検知される、
請求項9に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項11】
前記第1の閾値は、高心拍数閾値であり、
前記第2の閾値は、低心拍数閾値であり、
前記第3の閾値は、高活動レベル閾値であり、
前記第4の閾値は、低活動レベル閾値である、
請求項9に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項12】
前記活動レベルが前記第4の閾値を超えると、運動が検知される、
請求項9に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項13】
前記アプリケーションはさらに、前記運動が停止すると、前記プロセッサに回復心拍数を計算させる処理を実行させる処理を実行させる、
請求項12に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項14】
前記回復心拍数を計算させる処理は、前記運動が停止した後、所定期間、他の心拍数を計算させる処理をさらに含み、
前記回復心拍数は、前記運動が停止するときの心拍数と、前記運動が停止した後、所定期間における前記他の心拍数との間の差分である、
請求項13に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項15】
前記アプリケーションは、心血管性疾患を判断するために他の所定期間にわたって前記回復心拍数を前記プロセッサに追跡させる処理をさらに実行させる、
請求項13に記載の文脈的心拍数監視システム。
【請求項16】
前記アプリケーションは、年齢情報とプリセット値とを用いて前記第2の閾値と前記第1の閾値とを前記プロセッサに判断させる処理をさらに実行させる、
請求項9に記載の文脈的心拍数監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関し、より具体的には文脈的(contextual)心拍数監視に利用されるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサ装置は、ユーザの皮膚へ取り付けられる電極を通して心電図(ECG:electrocardiogram)信号を感知するためにユーザの上半身(例えば、胸領域)上に配置され得る。ECG信号はユーザの心拍数を含むユーザの多種多様な健康関連特徴を測定するために使用される。センサ装置はまた、埋込み型マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS:microelectromechanical system)センサを通してユーザの運動を検知し得る。MEMSセンサにより検知されたデータはユーザの活動レベルを測定するために使用される。
【0003】
従来の装置は、ユーザの活動レベルの文脈(context)無しに心拍数だけを測定してユーザの健康を評価する。例えば、高心拍数(120+毎分心拍数すなわちbpm)は休憩中の心血管状態を伝え得るが、運動中は正常である。低心拍数(<60bpm)は激しい運動中に検知されれば心血管状態を伝え得るが、休憩中は正常である。しかし、従来の装置は心拍数測定を行う際にユーザの活動を意識していない。したがって、上記課題を克服する費用効率が高い解決策の強い要求がある。本発明はこのような要求に対処する。
【発明の概要】
【0004】
文脈的心拍数を監視するための方法およびシステムを開示する。第1の態様では、本方法は、検知ECG信号を使用して心拍数を計算する工程と、活動レベルを検知する工程とを含む。
【0005】
第2の態様では、本システムは、少なくとも1つの電極を介しユーザに結合される無線センサ装置であって、プロセッサを含む無線センサ装置と、プロセッサに結合されるメモリ装置であって、プロセッサにより実行されるとプロセッサに、検知ECG信号を使用して心拍数を計算させるとともに活動レベルを検知させるアプリケーションを格納する、メモリ装置とを含む。
【0006】
添付図は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、本明細書と共に本発明の原理を説明することに役立つ。図に示された実施形態は単に例示的であって本発明の範囲を限定するように意図されていないことを当業者は認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態による無線センサ装置を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による、活動/HRR面にHRRと活動レベルとをプロットしたグラフを示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による、無線センサ装置により心拍数を測定するためのフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、無線センサ装置により活動レベルを測定するためのフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による、無線センサ装置により警告を発生するためのフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による、回復心拍数を測定するためのフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による、文脈的心拍数監視方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、センサに関し、より具体的には文脈的心拍数監視に利用されるセンサ装置に関する。以下の説明は、当業者が本発明をなし得るようにそして使用できるようにするために提示され、特許出願およびその要件に関連して提供される。本明細書に記載の好適な実施形態ならびに一般的原理および特徴に対する様々な修正形態は当業者にとって容易に明らかとなる。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されるように意図されていないが、本明細書に記載の原理および特徴に整合する最も広い範囲を与えられるものとする。
【0009】
様々な文脈内のユーザの心拍数を正確に検知することは様々な心血管性疾患の診断のために重要である。回復心拍数は、ユーザが活動(例えば、運動)を停止した後の一定期間に測定される心拍数である。回復心拍数は通常、1分の時間基準期間にわたって測定される。時間基準期間中の活動後の心拍数の大きな低下は良好な状態の心臓を示す。ユーザの活動レベルを測定することなく回復心拍数を自動的に測定することは不可能である。
【0010】
本発明による方法およびシステムは、少なくとも1つのECG信号とユーザの活動レベルとを検知するためにユーザに取り付けられた無線センサ装置を利用する。無線センサ装置は、これらに限定しないがユーザの心拍数が休憩中に所与の閾値より高い場合とユーザの心拍数が身体活動中に所与の閾値未満のままである場合を含む多種多様な状況において警告を発生するためにユーザの過去および現在の心拍数と活動レベル測定結果との組み合わせを利用する。無線センサ装置はまた、ユーザの回復心拍数を自動的に測定および追跡する。一実施形態では、所定期間値(例えば、T1、T2、T3、T4、T5など)と閾値(閾値1、閾値2、閾値3、閾値4、閾値5など)はユーザにより設定される。別の実施形態では、所定の時間値および閾値は無線センサ装置または別の外部遠隔システムにより設定される。
【0011】
当業者は、本発明の趣旨および範囲に入るであろう、パッチフォームファクタ(patch form factor)の埋め込み回路を有するポータブル無線センサ装置を含む多種多様な無線センサ装置が、ECG信号と活動レベルとを測定するために利用され得ることを容易に認識するであろう。
【0012】
本発明の特徴をさらに詳細に説明するために、次に添付図と併せて以下の記載に言及する。
【0013】
図1は一実施形態による無線センサ装置100を示す。無線センサ装置100は、センサ102、センサ102に結合されるプロセッサ104、プロセッサ104に結合されるメモリ106、メモリ106に結合されるアプリケーション108、アプリケーション108に結合される送信器110を含む。センサ102はユーザからデータ(例えば、ECG信号と活動レベル)を取得し、データをアプリケーション108へ、次にメモリ106へ送信する。プロセッサ104はユーザのECG信号と活動レベル情報を処理するためにアプリケーション108を実行する。この情報は、送信器110へ送信され、次に別のユーザまたは装置へ中継される。
【0014】
一実施形態では、センサ102は、ECG信号を測定するための2つの電極と身体活動レベルを記録するためのMEMSデバイス(例えば、加速度計)とを含み、プロセッサ104はマイクロプロセッサを含む。当業者は、本発明の趣旨および範囲に入るであろう多種多様な装置がプロセッサ104、メモリ106、アプリケーション108、送信器110に利用され得ることを容易に認識する。
【0015】
一実施形態では、無線センサ装置100はユーザの心拍数リザーブ(HRR:heart rate reserve)と活動レベルを測定する。HRRは、測定または予測された人の最大心拍数と安静時心拍数との差であり、次式により定義される。HRR=(心拍数(HR)−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)。最大心拍数は次式により定義される。最大心拍数=208−0.7×ユーザ年齢。
【0016】
HRRデータと活動レベルデータを測定した後、無線センサ装置100は所定の時間窓(T_WINDOW)にわたってデータを格納する。警告が無線センサ装置100により発生されるためには、HRRと活動レベルデータとの組み合わせはT_WINDOW秒に対する所定の時間百分率(P)より長い期間、活動/HRR面のある領域内に留まらなくてはならない。一実施形態では、Pは90%でありT_WINDOWは300秒である。
【0017】
図2は、一実施形態による、活動/HRR面にHRRと活動レベルとをプロットしたグラフを示す。
図2において、警告を発生する高心拍数/低活動レベル領域は202により示され、警告を発生する低心拍数/高活動レベル領域は204により示される。HRRの高閾値と低閾値はユーザの年齢に基づき判断され、心拍数の高閾値と低閾値はユーザにより設定される。閾値3は高活動レベル閾値を示し、閾値4は低活動レベル閾値を示す。
【0018】
一実施形態では、無線センサ装置100は検知ECG信号に基づき低心拍数と高心拍数を計算する。
図3は、一実施形態による、無線センサ装置により心拍数を測定するためのフローチャート300を示す。
図3では、無線センサ装置へ取り付けられたユーザの心拍数が測定され(工程302)、ユーザの心拍数履歴は心拍数リザーブ(HRR)を計算するために解析され格納される(工程304)。所定期間(T2秒)にわたる心拍数値が格納され、低心拍数と高心拍数を判断するために使用される。
【0019】
図3では、HRRが時間の所定百分率(P)(所定期間T2内のT1秒)より長い期間閾値(閾値1)より大きいかどうかが判断される(工程306)。イエス(Pにわたって、HRR>閾値1)であれば、High_hr_flagは高心拍数が検知されたことを示す1に設定され(工程308)、処理はユーザのさらなる心拍数を測定する工程302へ戻る。ノーであれば、High_hr_flagは0に設定される(工程310)。HRRが時間の所定百分率(P)(所定期間T2内のT1秒)より長い期間別の閾値(閾値2)より大きいかどうかが判断される(工程312)。
【0020】
イエス(Pにわたって、HRR>閾値2)であれば、Low_hr_flagは低心拍数が検知されたことを示す1に設定され(工程314)、処理はユーザのさらなる心拍数を測定する工程302へ戻る。ノーであれば、Low_hr_flagは0に設定され(工程316)、処理はユーザのさらなる心拍数を測定する工程302へ戻る。一実施形態では、閾値1は120bpm、閾値2は60bpm、T2秒は300秒、Pは90%である。
【0021】
一実施形態では、無線センサ装置100は埋め込みMEMSセンサを使用して低活動レベルと高活動レベルを計算する。活動レベルは、これらに限定しないが、(1)MEMS加速度計により測定されるような加速度のバンドパスフィルタ処理されたx,y,z成分の絶対値の和の移動平均と、(2)MEMS加速度計により測定されるような加速度ベクトルのノルムの移動平均とを含む様々な方法論を使用して計算され得る。一実施形態では、1秒移動平均が、分母係数ベクトルA=[1024,−992,32]、分子係数ベクトルB=[496,0,−496]、サンプリング速度fs=62.5Hzを有する帯域フィルタと共に使用される。別の実施形態では、1秒移動平均は加速度ベクトルのノルムへ適用される。
【0022】
図4は、一実施形態による、無線センサ装置により活動レベルを測定するためのフローチャート400を示す。
図4では、無線センサ装置に取り付けられたユーザの活動レベル(AL:activity level)が測定され(工程402)、ユーザの活動レベル履歴が解析および格納される(工程404)。所定期間(T2秒)にわたる活動レベル値が格納され、低活動レベルと高活動レベルを判断するために使用される。
【0023】
図4では、ALが時間の所定百分率(P)(所定期間T2内のT1秒)より長い期間、閾値(閾値3)より大きいかどうかが判断される(工程406)。イエス(Pにわたって、AL>閾値3)であれば、High_sma_flagは高活動レベルが検知されたことを示す1に設定され(工程408)、処理はユーザのさらなる活動レベルを測定する工程402に戻る。ノーであれば、High_sma_flagは0に設定される(工程410)。次に、ALが時間の所定百分率(P)(所定期間T2内のT1秒)より長い期間、所定の閾値(閾値4)より低いかどうかが判断される(工程412)。
【0024】
イエス(Pにわたって、AL<閾値4)であれば、Low_sma_flagは低活動レベルが検知されたことを示す1に設定され(工程414)、処理はユーザのさらなる活動レベルを測定する工程402に戻る。ノーであれば、Low_sma_flagは0に設定され(工程416)、処理はユーザのさらなる心拍数を測定する工程402へ戻る。一実施形態では、閾値3は2×重力加速度(g;ここでg=9.81m/s2)、閾値24は0.3g、T2秒は300秒、Pは90%である。
【0025】
一実施形態では、警告を発生するために、ユーザの計算された心拍数および活動レベルが無線センサ装置により利用される。一実施形態では、警告は、ユーザの活動レベルが高いと判断された期間中に低心拍数が検知されれば発生される。別の実施形態では、警告は、ユーザの活動レベルが低いと判断された期間中に高心拍数が検知されれば発生される。
図5は、一実施形態による、無線センサ装置により警告を発生するためのフローチャート500を示す。
【0026】
図5では、検知された心拍数および活動レベル値と関連フラグが無線センサ装置により受信されている。次に、Low_sma_flag=1かどうかとHigh_hr_flag=1かどうかとが判断される(工程502)。イエスであれば(Low_sma_flagとHigh_hr_flagの両方は、ユーザが低活動の期間にわたって高心拍数を有する(異常である可能性がある)ことを示す1に設定される)、Low_sma_high_hr警告が発生される(工程504)。ノーであれば、High_sma_flag=1かどうかと、Low_hr_flag=1かどうかとが判断される(工程506)。イエスであれば(High_sma_flagとLow_hr_flagの両方は、ユーザが高活動の期間にわたって低心拍数を有する(異常である可能性がある)ことを示す1に設定される)、Low_hr_high_sma警告が発生される(工程508)。
【0027】
一実施形態では、ユーザの計算された心拍数および活動レベルが、回復心拍数を測定するために無線センサ装置により利用される。回復心拍数は活動を停止した後の固定(または基準)期間に測定される心拍数である。基準期間中の運動後の心拍数の大きな低下は通常、良好に調節された心臓を示す。
図6は、一実施形態による、回復心拍数を測定するためのフローチャート600を示す。
【0028】
図6では、無線センサ装置に取り付けられたユーザの活動レベル(AL)が測定され(工程602)、ユーザの活動レベル履歴が解析および格納される(工程604)。ユーザの回復心拍数を自動的に測定および追跡するために、ユーザの活動レベル履歴が所定期間(T4秒)にわって格納される。ユーザの活動レベル履歴はまた、複数の変化する所定期間にわたって格納され得る。ALが時間の所定百分率(P)(所定期間T4内のT3秒)より長い期間、閾値(閾値4)より大きいかどうかが判断される(工程606)。
【0029】
イエス(Pにわたって、AL>閾値4)であれば、Exercise_flagはユーザが長期間運動していることを示す1に設定される(工程608)。一実施形態では、閾値4は4g、T4は900秒、Pは70%である。ノー(Pにわたって、AL>閾値4でない)であれば、ALが閾値未満(閾値5)でありかつ所定期間(T5秒)の間閾値5未満であるかどうかが判断される(工程610)。イエス(T5秒間、AL<閾値5)であれば、Exercise_flagはユーザが運動していないことを示す0に設定される(工程612)。一実施形態では、閾値5は0.6g、T5は10秒である。
【0030】
一実施形態では、様々な活動レベルにおけるユーザの心拍数を計算し、ユーザが運動しているかどうかを検知した後、無線センサ装置は検知された運動の期間中に計算された心拍数履歴を解析する。心拍数値の履歴は、運動が検知された期間中に格納される。回復心拍数は運動が停止した時間(例えば、Exercise_flagは1から0にリセットされる)と所定期間(T6秒)との間の心拍数差に基づき計算される。一実施形態では、T6は60秒である。
【0031】
図7は、一実施形態による、文脈的心拍数を監視するための方法700を示す。方法700は検知ECG信号を使用して心拍数を計算する工程(702)と活動レベルを検知する工程(704)とを含む。一実施形態では、ユーザの胸に取り付けられた無線センサ装置が、ECG信号と活動レベルを検知するために利用される。一実施形態では、心拍数は所定期間にわたって計算され、活動レベルは同所定期間にわたって同時に検知される。
【0032】
一実施形態では、方法700は心拍数と活動レベルの両方に基づき警告を発生する工程を含む。警告は、速い鼓動の心臓を示す第1の閾値を超えかつ活動レベルが非活動(例えば、運動の存在が検知されない)ユーザ活動レベルを表す第2の閾値未満であると、発生される。警告はまた、遅い鼓動の心臓を示す第1の閾値未満でありかつ活動レベルが活動(例えば、運動の存在が検知された)ユーザ活動レベルを示す第2の閾値を超えると、発生される。
【0033】
一実施形態では、方法700は、運動が停止したまたは無線センサ装置によりもはや検知されない場合に回復心拍数を自動的および連続的に計算する工程を含む。計算工程は、運動が停止した時間と最後の所定期間(例えば、運動が停止した後60秒)との間の心拍数差に関わる。一実施形態では、方法700は、様々な種類の心血管性疾患を判断するために回復心拍数を所定期間にわたって追跡する工程を含む。一実施形態では、方法700は、ユーザにより設定されるユーザの年齢情報と現在の心拍数値とを使用して心拍数の低閾値と高閾値とを判断する工程を含む。
【0034】
上に述べたように、本方法およびシステムは文脈的心拍数監視とユーザの回復心拍数の自動測定とを可能にする。ユーザの過去の心拍数値と現在の心拍数値の両方を計算するためにECG信号を検知することにより、および埋め込みMEMSセンサによってユーザの過去の活動レベルと現在の活動レベルを検知することにより、無線センサ装置は高活動(例えば、運動)の期間中に心拍数値を監視し格納する。運動が停止すると、無線センサ装置は活動の無いことを検知し、回復心拍数の計算を自動的に開始する。
【0035】
文脈的心拍数を監視するための方法およびシステムが開示された。本明細書に記載の実施形態は、完全にハードウェア実施、完全にソフトウェア実施、またはハードウェアとソフトウェア要素の両方を含む実施の形式を取り得る。実施形態は、限定しないがアプリケーションソフトウェア、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアで実施され得る。
【0036】
本明細書に記載の工程は、任意の好適な制御装置またはプロセッサと、任意の好適な格納場所またはコンピュータ可読媒体上に格納され得るソフトウェアプリケーションとを使用して実施され得る。ソフトウェアプリケーションは、本明細書に記載の機能をプロセッサが受信側に実行させることができる命令を提供する。
【0037】
さらに、実施形態は、コンピュータまたは任意の命令実行システムにより使用されるまたはそれに関連して使用されるプログラムコードまたはプログラム命令を提供するコンピュータ使用可能またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形式を取り得る。この説明の目的のためには、コンピュータ使用可能またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスにより使用されるまたはそれに関連して使用されるプログラムを含み得る、格納し得る、伝達し得る、広め得る、または搬送し得る任意の装置であり得る。
【0038】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、半導体システム(または装置またはデバイス)、または伝播媒体であり得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例としては、半導体または固体メモリ、磁気テープ、着脱可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、光ディスクが挙げられる。現在の光ディスクの例としては、DVD、コンパクトディスク読み取り専用(CD−ROM)、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD−R/W)が挙げられる。
【0039】
本発明は示された実施形態に従って説明されたが、当業者は、実施形態に対する変形形態があり得、これらの変形形態は本発明の趣旨および範囲内に入るであろうことを容易に認識するであろう。したがって、添付された請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの修正形態が当業者によりなされ得る。