【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、アンテナであって、
内部導体と、該内部導体を同軸状に取り囲むシース導体とを有する細長2極導体構造体(例えば、従来の「同軸ケーブル」)と、
前記導体構造体の長手方向端部に配置された端子構造体と、
を備え、
前記端子構造体は、
上側部及び下側部を有する電気絶縁キャリアプレートと、
前記キャリアプレートの前記上側部上において前記キャリアプレートの第1の領域にわたって延在し、前記シース導体に接続されている導電性シース導体接続面と、
前記キャリアプレートの前記上側部上において、前記キャリアプレートの前記第1の領域から離間した前記キャリアプレートの第2の領域にわたって延在し、前記内部導体に接続されている導電性内部導体接続面と、
前記キャリアプレートの前記下側部上において、前記キャリアプレートの第3の領域にわたって延在する導電性結合導体面であって、前記第3の領域は、前記キャリアプレートの前記第1の領域及び前記第2の領域の少なくとも一部分にそれぞれ重なっている、導電性結合導体面と、
前記キャリアプレートの前記上側部上の前記内部導体接続面を前記キャリアプレートの前記下側部上の前記結合導体面に接続する少なくとも1つのスループレーティングと、を備える、アンテナによって達成される。
【0005】
高周波数技術の分野では、内部導体と、この内部導体を同軸状に取り囲むシース導体とを有する細長2極導体構造体が、(例えば、従来の「同軸ケーブル」の形で)高周波数信号の伝送のための従来技術からよく知られている。
【0006】
そのような既知の同軸導体構造体は、終端インピーダンス(例えば、50Ω抵抗)が、それぞれの長手方向端部において、一方ではシース導体に接続され、他方では内部導体に接続されるといった方法で「正しく終端され」、このようにして形成された従来の端子構造体は、同軸構造体が妨害されず、シース導体(「ファラデー箱」)のシールド効果が末端部においても保持されるようにシース導体によって周囲を囲まれた領域内に存在する。高周波数(HF)信号(内部導体とシース導体との間に印加される)が、この導体構造体の反対側の長手方向端部に入力された場合、HF交流が、第1の端部、すなわち「接続端
部」から第2の端部、すなわち「末端部」に流れ、内部導体電流の大きさ(magnitude:振幅)と一致する大きさを有する電流がシース導体に印加されるが、反対方向に流れる。表皮効果に起因して、この「戻り電流」は、シース導体内に小さな侵入深さしか有さず、シース導体によって形成された導電性シールドに起因してどの地点においても外方に広がらない。
【0007】
しかしながら、この状況は、上述した導電性面と少なくとも1つのスループレーティングとを有するキャリアプレートによる同軸導体構造体の本発明の終端においては非常に異なる。
【0008】
この設計に起因して、同軸構造体の第2の端部(末端部)は遮断される(これは、従来技術から知られている同軸線路では常に回避されている)。シース導体の内側部に対して印加される戻り電流のための追加の戻り電流パスが、「シースをオープンする」ことによってシース導体の外側部に沿って実現される。この時、表皮効果によって、両方の電流がシース導体に完全に侵入することなく(シース導体の内側部及び外側部に)流れることが可能になる。シース導体上の「外部電流」は、この時、意外にも、内部導体内の元の「信号電流」と同相で実現することができる。これは、或る意味で、信号電流がシース導体の外側部に直接接続されているようなものである。2つの電流(内部導体内及びシース導体の外側部)は同相であるので、これは、コモンモード結合と呼ばれる場合もある。本発明の端子構造体は、位相平衡に加えて少なくともほぼ一致する大きさも理論上は達成されるように、シース導体の外側部の電流が最大にされる動作モードを実現することを有利に可能にする。アンテナの送信モードでは、「シース導体の外側部に方向転換されたHF交流」が、表面波又はシース波の形で第2の端部又は末端部から第1の端部の方向に戻って同軸構造体に沿って伝播することができ、特に、シース導体の周囲に集中した比較的強い電磁場を形成することができ、エネルギー及び/又は情報の無線送信に有利に用いることができる。いわゆる「結合モード」は、基本的に、シース導体からの電磁波の分離がこの動作モードにおいて起こらない場合に実現される。
【0009】
逆に、電磁HF信号は、本発明のアンテナを用いて受信することもでき、これらの信号は、アンテナ受信信号が同軸導体構造体の第1の端部において利用可能となるように、シース導体の外側部上に表面波を引き起こす。したがって、本発明のアンテナの動作に関する一実施の形態によれば、導体構造体の第1の端部が、アンテナを用いて送信されるアンテナ信号又はアンテナによって受信されるアンテナ信号のための送信機及び/又は受信機を接続する接続端部の形で実現され、端子構造体は、第1の端部の反対側にある導体構造体の第2の端部に接続されることが提案される。
【0010】
比較的単純な本発明の設計は、特に、短距離用途のための広帯域同軸進行波アンテナを実現することを有利に可能にする。
【0011】
本発明に関して、「進行波」という用語は、電磁波が、例えば、送信中に、同軸導体構造体の第2の端部からこの導体構造体の第1の端部に向かう方向に導体構造体に沿って進む、アンテナの前述の好ましい動作モードを指す。
【0012】
このように機能するアンテナの送信モードにおいて、すなわち、高周波数送信信号が接続端部(第1の端部)内に入力されたとき、内部導体とシース導体との間の導体構造体の第1の端部に印加された送信信号は、基本的に、従来の「同軸線路」と同様に、同軸導体構造体に沿ってその第2の端部に送信される。端子構造体によるシース導体への内部導体端部の結合に伴って第2の端部によって作成される導体構造体の不連続性によって、電磁表面波は、上述したように、(シース導体の外側部上を)導体構造体に沿って導体構造体の第1の端部の方向に戻って進む。
【0013】
この状況では、アンテナが、或る程度、それ自体の周囲に集中した電磁場(進行波)を生成するが、(電磁波を「分離する」ことに起因して)電磁エネルギーを非常に僅かしか放出しないか又は全く放出しないならば、すなわち、アンテナが前述の「結合モード」で動作されているならば、多くの興味深い用途にとって有利である。
【0014】
本発明のアンテナの「結合モード」動作の一実施の形態によれば、例えば、信号入力に起因して導体構造体の第2の端部に到達するエネルギーの50%よりも多くが、送信モードにおいて、「導体構造体にバインドされる」進行波の形で第2の端部から(第1の端部の方向に戻って)進むことが提案される。その結果、この場合には、第2の端部に到達するエネルギーの50%未満が、電磁波の形でアンテナによって放出される。
【0015】
本発明のアンテナの「結合モード」動作では、これに代えて又はこれに加えて、例えば、導体構造体の第1の端部(接続端部)における送信信号の入力に起因して入力されているエネルギーの40%よりも多くが、送信モードにおいて、導体構造体にバインドされる進行波の形で第2の端部から(第1の端部の方向に戻って)進むことが提案される。
【0016】
本発明のアンテナは細長導体構造体を有する。この導体構造体は、剛性であってもよいし、柔軟であってもよい。導体構造体は、少なくとも1つの剛性セクションと少なくとも1つの柔軟セクションとから構成されることも可能である。例えば、細長導体構造体の長さは、この導体構造体の(最大)断面寸法(例えば、直径)よりも約10倍〜約50000倍大きい場合がある。
【0017】
細長導体構造体の長さは、例えば、少なくとも0.05m、特に、少なくとも0.1mに等しくてもよい。実際には、この長さは、特に興味深い用途ではかなり大きい。ただし、用途の大部分については、この長さは、せいぜい200m、特にせいぜい100mもあれば十分である。
【0018】
一実施の形態では、細長導体構造体の長さ(又は以下で更に説明する信号送信/受信セクションの長さ)は、前述の進行波の意図した動作波長の少なくとも2倍、特に少なくとも5倍に等しいことが提案される。
【0019】
一実施の形態では、細長導体構造体の長さは、1GHzまでの意図した動作信号周波数においては、対応する波長の500倍以下、特に300倍以下に等しいことが提案される。一実施の形態によれば、この長さは、1GHzよりも高い動作周波数については、進行波の対応する動作波長の1000倍以下、特に500倍以下に等しいことが提案される。
【0020】
本発明のアンテナは、好ましくは、400MHz〜6GHzの範囲の動作周波数(送信モードにおけるアンテナ信号のキャリア周波数)とともに用いられる。一実施の形態では、この動作周波数は、例えば、860MHz〜960MHzの範囲にある(これは、多くのRFID用途の通常の動作周波数範囲である)。別の実施の形態では、用いられる動作周波数は、1GHz〜3GHzの範囲にあり、例えば、2.4GHzである。
【0021】
内部導体及びシース導体は、導電性を有する(例えば、金属製である)。最も単純な場合、内部導体は円形の断面を有し、シース導体は環状の断面を有する。
【0022】
内部導体及び/又はシース導体は、例えば、矩形、正方形又は長円形等の非円形の断面輪郭を有してもよい。
【0023】
内部導体は、中実で実現することもできるし、中空導体の形で実現することもできる。
【0024】
最も単純な場合、内部導体及び/又はシース導体は、導体構造体の長さにわたって一貫した断面を有する。
【0025】
電気絶縁体又は誘電体(例えば、空気を含む)が、内部導体とシース導体との間に径方向に配置されてもよい。以下では外側層又は「絶縁シース」と呼ばれる電気絶縁体(例えば、プラスチックからなる)が、好ましくは、内部導体と同様に好ましくは金属材料から作製されるシース導体の外側部に径方向に設けられる。
【0026】
端子構造体は、導体構造体の第2の端部上に配置されて、上述した形式で(「内部導体接続面」及び「シース導体接続面」によって)内部導体及びシース導体に電気的に接続される構造体である。アンテナの送信モードでは、端子構造体は、(シース導体の外側部に戻り表面波(returning surface waves)を生成するために)内部導体からエネルギーを「結合解除」し、このエネルギーをシース導体に「結合」するのに役立つ。
【0027】
端子構造体の設計に関して有利な実施の形態を以下に説明する。
【0028】
一実施の形態では、キャリアプレートは、細長形状、例えば矩形形状を有することが提案される。キャリアプレートの長さは、キャリアプレートの幅よりも大きくすることができ、例えば、少なくとも2倍又は3倍にすることができる。キャリアプレート(誘電体として機能する非導電領域)の厚さは、例えば、0.3mm〜2mmの範囲とすることができる。
【0029】
細長キャリアプレートの長手方向は、例えば、導体構造体端部の領域においては、導体構造体の長手方向と平行に又は連続して延在することができる。
【0030】
一実施の形態では、第1の領域(したがって、シース導体接続面)は、少なくとも部分的に、キャリアプレートの第1の長手方向端部に隣接して配置され、キャリアプレートのこの第1の長手方向端部は、好ましくは、導体構造体の前述の「第2の端部」の領域内に又は導体構造体のこの第2の端部に隣接して配置されるのに対して、第1の長手方向端部の反対側にあるキャリアプレートの第2の長手方向端部は、導体構造体の第2の端部からより遠く(正:farther)に配置されることが提案される。第1の領域は、好ましくは、キャリアプレートの長手方向を基準としてキャリアプレートの中心よりも遠くには延在しない。
【0031】
一実施の形態では、第2の領域(したがって、内部導体接続面)は、少なくとも部分的に、(第1の長手方向端部の反対側にある)キャリアプレートの第2の長手方向端部に隣接して配置されることが提案される。
【0032】
一変形形態では、第1の領域は、第1の長手方向端部に隣接して配置され、第2の領域は、キャリアプレートの第2の長手方向端部に隣接して配置され、これらの2つの領域間の隙間は、比較的大きく、例えば、キャリアプレート長の少なくとも50%に等しい。この変形形態では、内部導体は、前述の隙間を橋絡するために、すなわち、一体的に(すなわち、この領域において「シース導体を除去する」ことによって)又は内部導体の端部に別個に取り付けられた導電性「内部導体延長部」によって、導体構造体の第2の端部においてシース導体端部から延びて、第2の領域まで延在させることができる。
【0033】
別の変形形態では、第1の領域は、キャリアプレートの第1の長手方向端部に隣接して配置され、第2の領域は、部分的にのみ、キャリアプレートの第2の長手方向端部に隣接して配置され、比較的小さな隙間、例えば、キャリアプレート長の10%未満に等しい隙
間しか第1の領域と第2の領域との間に残らないように、第2の領域は、キャリアプレートの長手方向に比較的遠くまで延在する。
【0034】
上記変形形態も考慮に入れた一実施の形態では、第2の領域は、ストリップ形状でキャリアプレートの長手方向に延在する少なくとも1つのストリップセクションを備えることが提案される。このストリップセクションの長さは、好ましくは、キャリアプレート長の少なくとも50%に等しい。
【0035】
一実施の形態では、第3の領域(したがって、結合導体面)は、ストリップ形状でキャリアプレートの長手方向に延在する少なくとも1つのストリップセクションを備えることが提案される。
【0036】
最も単純な場合、前述のストリップセクションのそれぞれは、キャリアプレートの長手方向において一貫した幅を有することができる。例えば、対応するストリップセクションは、この場合に矩形に実現することができる。別の実施の形態では、少なくとも1つのストリップセクションは、キャリアプレートの長手方向において一貫していない幅を有することが提案される。一拡張形態では、ストリップセクション幅は、キャリアプレートの長手方向においてそれぞれ単調に増加するか又は単調に減少する。
【0037】
少なくとも1つのストリップセクションを有する実施の形態の別の拡張形態では、少なくとも1つのストリップセクションは、キャリアプレートの横方向において一貫していない長さを有することが提案される。
【0038】
これは、第3の領域(結合導体面)のストリップセクションに特に有利である。なぜならば、それによって、第3の領域と第1の領域との間の重なりの「一貫していない重なりの長さ」をキャリアプレートの横方向に実現することができるからであり、これは、通常、アンテナの動作中に送信及び受信されるHFアンテナ信号の使用可能な帯域幅を増加させるからである。
【0039】
結合導体面の一貫していない長さに代えて又はこれに加えて、一貫していない重なりの長さを達成するために、一貫していない長さを有するシース導体接続面を実現することも考えられる。
【0040】
一実施の形態では、(導体表面を結合する)第3の領域は、第2の領域(内部導体接続面)の少なくとも大部分に重なることが提案される。
【0041】
第3の領域は、第2の領域に完全に重なり、好ましくは、第2の領域を越えてかなり突出することさえも特に提案される。
【0042】
第2の領域及び第3の領域が、(少なくとも)1つのストリップセクションによってそれぞれ形成されている場合、第3の領域は、好ましくは、第2の領域の全長にわたって横方向において第2の領域を越えて突出する。
【0043】
一実施の形態では、シース導体は、その長手方向に細長くされた接触エリアによってシース導体接続面に接続(例えば、半田付け又は溶接)されることが提案される。
【0044】
この実施の形態の一拡張形態では、シース導体の長手方向に対して横方向(すなわち、キャリアプレートの長手方向に対して横方向)のシース導体接続面の寸法は、接触エリアでは、シース導体の対応する寸法よりも大きいことが提案される。このように、より大きな許容範囲が、製造プロセスにおいて、端子構造体への導体構造体の接続中に有利に達成
される。
【0045】
一実施の形態では、内部導体接続面は、内部導体に接続される接続セクションと、この接続セクションに隣接して配置される複数のストリップ形状ブランチセクションとを備え、これらのブランチセクションのそれぞれの端部は、それぞれ少なくとも1つのスループレーティングによって結合導体面に接続されることが提案される。
【0046】
この実施の形態の一拡張形態では、内部導体接続面は、2つのそのようなストリップ形状(例えば、それぞれ矩形)ブランチセクションを備え、それらのそれぞれの端部は、例えば、1つ以上のスループレーティングによって結合導体面に接続されている。代替の拡張形態では、内部導体接続面は、3つのストリップ形状ブランチセクションを備え、これらも、それぞれ、例えば矩形状に実現することもでき、1つ以上のスループレーティングによって結合導体面に接続することができる。
【0047】
複数のストリップ形状ブランチセクションが設けられる場合、これらのブランチセクションは、例えば、互いに平行に延在し、及び/又は互いに同一にそれぞれ成形されてもよい。
【0048】
一実施の形態では、結合導体面は、少なくとも1つのスループレーティングに接続された接続セクションと、この接続セクションに隣接して配置された複数のストリップ形状のブランチセクションとを備え、上記ブランチセクションは、シース導体接続面との重なり部分の分離した領域に延在することが提案される。
【0049】
この実施の形態の一拡張形態では、結合導体面は、2つのブランチセクションを備えることが提案される。別の拡張形態では、結合導体面は、3つのブランチセクションを備える。複数のブランチセクションは、例えば、互いに平行に延在し、及び/又は互いに同一にそれぞれ成形されてもよい。
【0050】
結合導体面が複数のブランチセクションを備える実施の形態の一拡張形態では、これらのブランチセクションは、個々のブランチセクションが第3の領域と第1の領域との間の重なりの「異なる重なりの長さ」を形成するように、異なる長さを有することが提案される。複数の更に接続されたブランチセクションを有する結合導体面の代わりに、端子構造体には、互いに分離した、隣接して延在する複数の結合導体面が設けられてもよい。
【0051】
好ましい実施の形態では、表面波減衰デバイスが、導体構造体の第2の端部からその長手方向において離間するように、例えば、(例えば、絶縁シースを取り囲む)シース導体の外周部上に配置される。
【0052】
そのような表面波減衰デバイスは、それによって、導体構造体に沿った前述の「戻り進行波」の領域を明確に画定して制限することができるので有利に設けられる。減衰デバイスは、到達する戻り進行波のエネルギーの少なくとも大部分を吸収するのに役立つ。一実施の形態では、減衰デバイスは、この目的で、シース導体の外周部を取り囲む少なくとも1つのフェライトリングを備える。特に、シース導体の外周部をそれぞれ取り囲む複数のフェライトリングを、導体構造体の長手方向に縦一列(相互の隙間の有無を問わない)に配置することも可能である。一拡張形態では、フェライトリング(又は複数のフェライトリングのうちの少なくとも1つ)は、導体構造体上に変位可能に配置される。
【0053】
シース導体を取り囲む少なくとも1つのフェライトリングに代えて又はこれに加えて、表面波減衰デバイスは、減衰ユニットも備えてもよい。この減衰ユニットは、細長2極同軸導体構造体内に挿入され、(容量素子及び/又は誘導素子及び/又は抵抗素子の)減衰
ネットワークを備える。
【0054】
一実施の形態では、表面波減衰デバイスは、シース導体の接地を備える。この接地は、例えば、シース導体の外周部上に配置された「接地カラー」によって実現することができる。そのような接地カラーは、例えば、分割された形式で実現することができ、当該接地カラーを取り付けるために互いに接続された(例えば、ネジ留めされた)2つのカラーハーフから構成することができる。
【0055】
表面波減衰デバイスが設けられる場合、同軸導体構造体の全長は、それによって、導体構造体の第1の端部と減衰デバイスとの間に延在する「信号線路セクション」と、減衰デバイスと導体構造体の第2の端部との間に延在する「信号送信/受信セクション」とに分割される。本発明の一拡張形態では、1つ以上の「不連続点」(進行波の実効インピーダンスのかなりの局所的な偏り)が信号送信/受信セクション内に設けられることが提案される。例えば、これらの不連続点のそれぞれも、上記で既述したようなフェライトリング又は同様のデバイスの形で実施することができる。この拡張形態の利点は、導体構造体に沿った進行波の伝播が、それによって、(例えば、「波形整形」について)所望の方法で影響を受ける可能性があるという点に見ることができる。
【0056】
比較的長い本発明のアンテナでは、表面波減衰デバイスの配置は、第2の導体構造体端部から第1の導体構造体端部に戻る進行波が、この場合に生じる不可避の強度損失に起因して第1の端部の近傍に達したときにもはや非常に高い強度を有しない限りにおいて不要とすることができる。ただし、アンテナに沿った1つ以上のロケーションにおいて、例えば、フェライトリング等の形で実施される上述した不連続点の配置は、この場合には、波伝播に意図的に影響を与えるために有利でもあり得る。
【0057】
上記で既述したように、本明細書において説明されるタイプのアンテナは、好ましくは、「結合モード」において進行波アンテナとして動作又は利用される。本発明のこの動作及び本発明のこの利用は、特に、例えば、アンテナの周囲に位置するトランスポンダー(例えば、RFIDトランスポンダー)との通信及び/又はアンテナの周囲に位置するコンピューターネットワークの構成要素との通信を実現することに役立つことができる。
【0058】
「結合モード」動作中、通信は、特に、最も厳密な意味での電磁放射によって実現されなくてもよく、代わりに、アンテナ範囲内に位置するシステム又はユニットと結合する波によって実現することができる。
【0059】
無線通信に代えて又はこれに加えて、そのようなシステム又はユニット(例えば、センサー、特に「インテリジェントセンサー」)の無線エネルギー供給も達成することができる。
【0060】
最も一般的な意味での本発明のアンテナの有利な利用は、例えば、短距離情報送信;短距離無線用途並びに建物及び車両内の無線用途、例えば、トンネル無線;列車、飛行機及び車両内のWLAN;RFID;短距離エネルギー送信、例えば、充電式電池の充電;無線センサー、スマートフォン等の無線エネルギー供給;電動自転車、電気自動車等の充電である。
【0061】
本発明の別の態様によれば、本明細書において説明されるタイプのアンテナは、より大きな技術デバイスに統合された通信構成要素として動作される。この技術デバイスは、例えば、キャビネット又はラック(特に、IT構成要素を有するキャビネット又はラック)からなるものであってもよいし、特に、ストックされる物品を格納する別の家具からなるものであってもよい。この技術デバイスは、更に、例えば、幾つかの特定の壁、ブレース
、ドア又はドアフレーム等の建物又は車両の部品からなるものであってもよい。この場合、このアンテナは、特に、アンテナの近接した周囲に位置するトランスポンダー(例えば、RFIDトランスポンダー)との通信に用いることができ、そのようなトランスポンダーは、例えば、対応する技術デバイスの領域に格納又は(技術デバイスの外部又は内部に)移動される物体上に配置される。このように、アンテナとそれぞれのトランスポンダーとの間の通信によって、特に、在庫表を作成すること、すなわち、トランスポンダーが設けられた物体(例えば、サーバー、スイッチ等のIT構成要素)を検出することが可能になる。本発明によれば、検出エラーは、好ましくはこの通信の短距離に起因して有利に防止される。
【0062】
「情報記憶」トランスポンダーに代えて又はこれに加えて、電池を備えず、アンテナ場を介して電気エネルギーを供給される1つ以上のセンサー(又は「センサー技術を備えた」トランスポンダー)もアンテナ上に配置することができる。このように、それぞれのセンサータイプに応じたアンテナに沿って、基本的に任意の物理パラメーターを検出することができる。
【0063】
アンテナ上へのそのようなセンサーの直接の配置に代えて又はこれに加えて、例えば、受動センサー(アンテナ場からそれらの電気エネルギーを受信する)をアンテナ範囲内の技術デバイス上又は技術デバイス内に配置することも可能である。そのようなセンサーを用いて取得された情報は、アンテナを介した通信によって容易に読み出すこともでき、その後、解析することもできる。
【0064】
例えば技術デバイスに統合されたアンテナの、例えば、導体構造体又は同軸導体構造体の信号送信/受信セクションは、直線状に延在してもよいし、少なくとも1つの角度を有するセクション及び/又は少なくとも1つの湾曲セクションを備えてもよい。例えば、全体的に蛇行形状の範囲が実現されてもよい。
【0065】
そのような複雑な範囲(例えば、2次元又は3次元)によって、通信及び/又はエネルギー送信が非常に短いアンテナ範囲を用いて行われるべきエリアの意図的なカバレッジが特に可能になる。複雑な範囲を有する非常に長いアンテナに関して、特に、アンテナは、複数のセグメントから(例えば、電気プラグタイプコネクターによって)組み立てられることが提案される。さらに、アンテナに沿った接合部を実現するのに、Tピースも用いることができる。このように、(本明細書において説明されるタイプの端子構造体がそれぞれ配置される端部における)2つ又は3つ以上の信号送信/受信セクションへの分岐は、例えば、信号線路セクションの端部において分散ピースによって実現することができる。
【0066】
本発明の一拡張形態では、アンテナは、特に、導体構造体の第1の端部(接続端部)と導体構造体の第2の端部(末端部)との間に1つ以上の電気接点(例えば、プラグタイプ接続及び/又はネジタイプ接続)を設けることによって実現することができる「モジュラー設計」を有し、したがって、上記電気接点は、アンテナを組み立てる個々の「モジュール」を画定することが提案される。
【0067】
対応する実施の形態では、上述したタイプの表面波減衰デバイスは、対応するコネクター(例えば、電気プラグ等)をその端部の一方又は双方に備えることが提案される。そのようなコネクターは、代替的に又は付加的に、キャリアプレートを備える端子構造体を接続するために、特に導体構造体の第2の端部上に配置することもできる。したがって、端子構造体は、(接合(mating))コネクターを備えてもよい。この(接合)コネクターは、例えば、シース導体接続面及び内部導体接続面上に半田付けされることによってキャリアプレートに電気的及び機械的に接続することができる。
【0068】
アンテナのそのようなモジュラー設計の重要な利点は、例えば、アンテナの一部分を構築するのに、例えば「同軸ケーブル」等の従来の構成要素及び市販の構成要素を用いることができ、本発明のアンテナを実現するには、それぞれ必要とされる追加のモジュールを用いて補完するだけでよいという点に見ることができる。従来の同軸ケーブルは、特に、本発明の導体構造体を形成するのに用いられてもよい。表面波減衰デバイスが設けられる場合、このデバイスは、2つの同軸ケーブルによって一方においてアンテナの信号線路セクションを形成し、他方においてアンテナの信号送信/受信セクションを形成するために、例えば、(例えば、従来の電気プラグ/ネジタイプ接続によって)双方の側部に従来の同軸ケーブルを用いて補完される対応する減衰モジュールによって形成されてもよい。
【0069】
一拡張形態によれば、導体構造体の第2の端部及び端子構造体の領域は、この領域からの電磁放射の放出を最小にするために、シールド構造体(例えば、導電性金属材料からなる)を用いてシールドされることが提案される。例えば、このシールド構造体は、或る種の「シールドポット」の形でアンテナ端部に取り付けて固定(例えば、接着)することができるように、一方の端部が閉鎖された中空円筒の形状を有することができる。
【0070】
本発明を、添付図面に示された例示的な実施形態を参照して以下でより詳細に説明する。