特許第6496845号(P6496845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496845
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20190401BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H05K7/20 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-565337(P2017-565337)
(86)(22)【出願日】2017年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2017005157
(87)【国際公開番号】WO2018146816
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】湧口 純弥
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−275170(JP,A)
【文献】 特開2015−126168(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/067383(WO,A1)
【文献】 特開2008−042124(JP,A)
【文献】 特開2016−115782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34 − 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた導体層と、前記導体層に設けられた電子素子と、前記絶縁性基板の前記電子素子と反対側に設けられた放熱層と、有する電子モジュールと、
前記放熱層と当接する冷却体と、
を備え、
前記冷却体は、前記放熱層と当接する部分に設けられ、複数の領域に分割された分割部を有し、
前記電子素子はスイッチング素子を含み、
前記分割部は複数の分割ユニットを有し、
前記分割ユニットの間に平坦面が設けられ、
前記分割ユニット側から見たときに前記分割ユニットに前記スイッチング素子が設けられ、前記平坦面には前記スイッチング素子が設けられていないことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた導体層と、前記導体層に設けられた電子素子と、前記絶縁性基板の前記電子素子と反対側に設けられた放熱層と、有する電子モジュールと、
前記放熱層と当接する冷却体と、
を備え、
前記冷却体は、前記放熱層と当接する部分に設けられ、複数の領域に分割された分割部を有し、
前記電子素子はスイッチング素子を含み、
前記分割部は複数の分割ユニットを有し、
前記分割ユニットの間に平坦面が設けられ、
前記分割ユニット側から見たときに前記平坦面に前記スイッチング素子が設けられ、前記分割ユニットには前記スイッチング素子が設けられていないことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記分割ユニットは、前記放熱層と当接する当接部と、前記当接部の間に設けられた複数の溝部とを有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子機器。
【請求項4】
前記分割ユニットは、前記冷却体側から見たときに、前記電子素子の全体を覆うようになっていることを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記分割ユニットは、格子形状となっていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記分割ユニットに冷却流体が流されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記分割ユニットに潤滑剤が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記絶縁性基板は第一絶縁性基板及び第二絶縁性基板を有し、
前記電子素子は第一電子素子及び第二電子素子を有し、
前記放熱層は第一放熱層及び第二放熱層を有し、
前記第一絶縁性基板の一方側に第一電子素子が設けられ、
前記第一絶縁性基板の他方側に設けられた第一放熱層が設けられ、
前記第一電子素子の一方側に第二電子素子が設けられ、
前記第二電子素子の一方側に第二絶縁性基板が設けられ、
前記第二絶縁性基板の一方側に第二放熱層が設けられ、
前記第一電子素子及び前記第二電子素子のうちの少なくともいずれか一方はスイッチング素子であり、前記第一電子素子がスイッチング素子である場合には、前記分割部は前記第一放熱層と当接する部分に設けられ、前記第二電子素子がスイッチング素子である場合には、前記分割部は前記第二放熱層と当接する部分に設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール及び冷却体を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランスファーパワーモジュールといった電子モジュールは内蔵された電子素子等を冷却するために、電子モジュールの裏面に銅等からなる放熱板(放熱層)が設けられている(例えば特開2015−211524号参照)。このように放熱層が設けられると、導体層、絶縁性基板及び放熱層によってコンデンサとしての役割を果たすことがある(コンデンサ機能が形成されることがある)。このようにコンデンサ機能が形成されると、電子モジュール内の電子素子によるノイズが放熱層を介して電子モジュールの外部に放出されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような点に鑑み、本発明は、ノイズを低減できる電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様による電子機器は、
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた導体層と、前記導体層に設けられた電子素子と、前記絶縁性基板の前記電子素子と反対側に設けられた放熱層と、有する電子モジュールと、
前記放熱層と当接する冷却体と、
を備え、
前記冷却体は、前記放熱層と当接する部分に設けられ、複数の領域に分割された分割部を有してもよい。
【0005】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部は、前記放熱層と当接する当接部と、前記当接部の間に設けられた溝部とを有してもよい。
【0006】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部は複数の分割ユニットを有してもよい。
【0007】
本発明の一態様による電子機器において、
前記電子素子はスイッチング素子を含んでもよい。
【0008】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部は、前記冷却体側から見たときに、前記電子素子の全体を覆うようになっていてもよい。
【0009】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部は、格子形状となっていてもよい。
【0010】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部に冷却流体が流されてもよい。
【0011】
本発明の一態様による電子機器において、
前記分割部に潤滑剤が設けられていてもよい。
【0012】
本発明の一態様による電子機器において、
前記絶縁性基板は第一絶縁性基板及び第二絶縁性基板を有し、
前記電子素子は第一電子素子及び第二電子素子を有し、
前記放熱層は第一放熱層及び第二放熱層を有し、
前記第一絶縁性基板の一方側に第一電子素子が設けられ、
前記第一絶縁性基板の他方側に設けられた第一放熱層が設けられ、
前記第一電子素子の一方側に第二電子素子が設けられ、
前記第二電子素子の一方側に第二絶縁性基板が設けられ、
前記第二絶縁性基板の一方側に第二放熱層が設けられ、
前記第一電子素子及び前記第二電子素子のうちの少なくともいずれか一方はスイッチング素子であり、前記第一電子素子がスイッチング素子である場合には、前記分割部は前記第一放熱層と当接する部分に設けられ、前記第二電子素子がスイッチング素子である場合には、前記分割部は前記第二放熱層と当接する部分に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、冷却体が放熱層と当接する部分に設けられて複数の領域に分割された分割部を有している。このため、冷却体と放熱層との間の接触面積を小さくすることができ、放熱層と冷却体との間に形成される抵抗を大きくすることができる。この結果、電子機器から放出されるノイズを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器を示した縦断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態において冷却体が分割ユニットを有する態様を示した縦断面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態における冷却体の分割部を示した平面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態における冷却体が分割ユニットを有する態様を示した平面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態における電子素子及び導体層と分割ユニットとの位置関係を示した平面図であり、電子素子及び導体層を破線で示した平面図である。
図6図6は、図5に対応する平面図であって、図5とは異なる態様を示した平面図である。
図7図7は、図5に対応する平面図であって、図5及び図6とは異なる態様を示した平面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態における当接部と溝部の変形例を示した拡大平面図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる分割ユニットの態様の複数の例を示した平面図である。
図10図10は、図2に対応する縦断面図であって、図2とは異なる態様を示した縦断面図である。
図11図11は、本発明の第2の実施の形態における冷却体を示した平面図である。
図12図12は、本発明の第2の実施の形態の別の態様における冷却体を示した平面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施の形態による電子機器を示した縦断面図である。
図14図14は、本発明の第3の実施の形態の変形例1による電子機器を示した縦断面図である。
図15図15は、本発明の第3の実施の形態の変形例2による電子機器を示した縦断面図である。
図16図16は、本発明の第3の実施の形態の変形例3による電子機器を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の実施の形態
《構成》
本実施の形態の電子機器は、電子モジュールと、放熱フィン等からなり、後述する電子モジュールの放熱層10と当接する冷却体100とを有してもよい。
【0016】
図1に示すように、電子モジュールは、絶縁性基板60と、絶縁性基板60のおもて面側(図1の上側)に設けられた導体層20と、導体層20に設けられた電子素子40と、絶縁性基板60の裏面側(電子素子40と反対側)に設けられた放熱層10と、を有してもよい。放熱層10としては、銅等の金属からなる放熱板を用いることもできる。
【0017】
冷却体100は、放熱層10と当接する部分に設けられ、複数の領域に分割された分割部110を有してもよい。このように複数の領域に分割された分割部110は、図3に示すように、放熱層10と当接する当接部115と、当接部115の間に設けられた溝部116とを有してもよい。
【0018】
本実施の形態では、電子モジュールの一例としては半導体モジュールを挙げることができ、電子素子40の一例として半導体素子を挙げることができる。しかしながら、これに限られるものではなく、必ずしも「半導体」を用いる必要はない。
【0019】
図1に示すように、絶縁性基板60、導体層20及び電子素子40は封止樹脂等からなる封止部90で覆われてもよい。図1に示すように、封止部90の裏面は絶縁性基板60の裏面と同じ高さ位置となっていてもよい。図1では、放熱層10が絶縁性基板60の裏面に設けられ、放熱層10が封止部90の裏面から突出している態様となっているが、これに限られることはなく、絶縁性基板60が封止部90内に埋設され、放熱層10の裏面が封止部90の裏面と同じ高さ位置となっていてもよい。
【0020】
電子素子40はスイッチング素子を含んでもよい。スイッチング素子としては、例えば、MOSFET等のFET、バイポーラトランジスタ、IGBT等を挙げることができ、典型例を挙げるとするとMOSFETを挙げることができる。
【0021】
導体層20は絶縁性基板60上でパターニングされることで回路が形成されてもよい。放熱層10は金属板であってもよい。導体層20及び放熱層10は例えば銅からなっていてもよい。
【0022】
分割部110は、冷却体100側から見たときに(図1の下側から見たときに)、一つ又は複数の電子素子40の全体を覆うようになっていてもよい。
【0023】
図2及び図4に示すように、分割部110は、複数の分割ユニット120を有してもよい。図5及び図6に示すように、複数の分割ユニット120のうちの少なくとも一部は、冷却体100側から見たときに、一つ又は複数の電子素子40の全体を覆うようになっていてもよい。
【0024】
分割部110が設けられていない領域は平坦面150となっていてもよい。このように平坦面150となっている場合で、当該平坦面150に放熱層10が位置するときには、平坦面150と放熱層10とが当接することになる。分割ユニット120が設けられている場合には、分割ユニット120の間に平坦面150が設けられ、この平坦面150が放熱層10と当接してもよい。他方、図10に示すように、分割ユニット120の間は凹部130となっていてもよい。このように凹部130となっている場合には、分割ユニット120の間において、放熱層10と冷却体100とは接触しないようになっている。
【0025】
図3及び図4に示すように、分割部110は格子形状となっていてもよい。分割部110が格子形状となっているときには、当接部115の間の溝部116が直交する方向で設けられることになる。
【0026】
分割ユニット120は、導体層20が配置されている箇所の全体を含むようにして設けられてもよい。一例としては、図5の左上及び左下の分割ユニット120は、分割ユニット120側から見たときに、導体層20及び電子素子40が配置されている箇所の全体を覆うようになっている。
【0027】
分割ユニット120は、電子素子40が配置されている箇所の全体を含むようにして設けられてもよい。一例としては、図5の左上、左下及び右上の分割ユニット120は、分割ユニット120側から見たときに、電子素子40が配置されている箇所の全体を覆うようになっている。
【0028】
当接部115は電子素子40及び導体層20の位置とは全く無関係に設けられてもよい。つまり、予め定まったパターンで当接部115が設けられ、分割部110が電子素子40又は導体層20を覆うような位置に位置づけられているか関係なく配置されてもよい。このような態様を採用する場合には、分割部110を簡易に設けることができる点で有益である。
【0029】
また、分割ユニット120の形状は各々異なっていてもよいし、同じ形状となっていてもよい。図4及び図5に示すように、分割ユニット120は矩形状であってもよいし、図6に示すように、複数の分割ユニット120のうちの少なくとも一つはL字形状となっていてもよい。なお、図5及び図6では分割ユニット120の構成を示していないが、図5及び図6における分割ユニット120は図4で示すような格子形状であってもよい。
【0030】
分割部110又は分割ユニット120は格子形状である必要はなく、例えば図8に示すように矩形の当接部115とL字形状の当接部115とが混在していてもよく、その他の形状であってもよい。例えば、図9の左上及び右上の分割ユニット120で示すように、溝部116が直線状に設けられており溝部116が公差しないようになっていてもよいし、図9の左下の分割ユニット120で示すように溝部116が異なる間隔で配置されていてもよいし、図9の右下の分割ユニット120で示すように溝部116が傾斜するようにして設けられてもよい。
【0031】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものについて説明する。「作用・効果」で記載するあらゆる構成も採用することができる。
【0032】
図1に示すように、冷却体100が放熱層10と当接する部分に設けられて複数の領域に分割された分割部110を有している態様を採用した場合には、冷却体100と放熱層10との接触面積を小さくすることができ、放熱層10と冷却体100との間に形成される抵抗を大きくすることができる。この結果、電子機器から放出されるノイズを抑制できる。
【0033】
特に電子素子40がスイッチング素子を有する場合には、スイッチング素子から発生したノイズは、放熱層10と冷却体100との間に形成される抵抗を大きくすることで、電子機器から放出され難くすることができる。なお、本明細書において、「電子素子40」(後述する「第一電子素子41」及び「第二電子素子42」を含む。)という文言は、一つ又は複数の電子素子40を総称したものである。このため、「電子素子40がスイッチング素子を有する」というのは、電子素子40のうちの少なくとも一つがスイッチング素子であることを意味している。なお、スイッチング素子はノイズの原因になるだけではなく、高い熱を発する。このため、スイッチング素子から発生する熱を効率よく逃がすことも重要な課題となる。
【0034】
冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が電子素子40の配置されている箇所の全体を含むようにして設ける態様を採用した場合には(図5の左上、左下及び右上の分割ユニット120参照)、ノイズの発生する電子素子40に対応した位置(当該電子素子40と冷却体100との間)で放熱層10と冷却体100との間の抵抗を大きくすることができ、電子機器からノイズが放出され難くすることができる。また、電子素子40がスイッチング素子を有する場合には、冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が少なくともスイッチング素子の配置されている箇所の全体を含むようにして設けるようにしてもよい。このような態様を採用する場合には、ノイズの問題が発生しやすいスイッチング素子に対応した位置での抵抗を大きくすることができ、ひいてはより確実に電子機器からノイズが放出され難くすることができる。
【0035】
冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が導体層20の配置されている箇所の全体を含むようにして設ける態様を採用した場合には(図5の左上及び左下の分割ユニット120参照)、電子素子40からのノイズを伝達する導体層20に対応した位置(当該導体層20と冷却体100との間)で放熱層10と冷却体100との間の抵抗を直接的に大きくすることができ、電子機器からノイズが放出され難くすることができる。また、電子素子40がスイッチング素子を有する場合には、冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が少なくともスイッチング素子の設けられた導体層20が配置されている箇所の全体を含むようにして設けるようにしてもよい。このような態様を採用する場合には、ノイズの問題が発生しやすいスイッチング素子に対応した位置での抵抗を大きくすることができ、ひいてはより確実に電子機器からノイズが放出され難くすることができる。
【0036】
また、図7の左上、左下及び右上に示すように、冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が電子素子40の配置されている箇所に設けられておらず、電子素子40の配置されている箇所では平坦面150となって、放熱層10と冷却体100とが当接するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、電子素子40によるノイズは間接的にしか抑制できないが、電子素子40による発熱を効率よく逃がすことができる点で有益である。
【0037】
また、図7の左上及び左下に示すように、冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が電子素子40の設けられた導体層20の配置されている箇所に設けられておらず、当該導体層20の配置されている箇所では平坦面150となって、放熱層10と冷却体100とが当接するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、電子素子40によるノイズは間接的にしか抑制できないが、電子素子40による発熱を効率よく逃がすことができる点で有益である。
【0038】
図7の右下に示すように、冷却体100側から見たときに、分割部110又は分割ユニット120が特定の電子素子40(例えばスイッチング素子)の配置されている箇所に設けられるようにしてもよい。このような態様を採用することで、ノイズを発生しやすい特定の電子素子40(例えばスイッチング素子)に対応させて放熱層10と冷却体100との間の抵抗を大きくし、電子機器からノイズが放出され難くすることができる。
【0039】
冷却体100側から見たときに、分割ユニット120は電子素子40の設けられた導体層20又はスイッチング素子の設けられた導体層20と同じ形状となり、分割ユニット120の各々が対応する導体層20と対向するようにして設けられてもよい。このような態様を採用した場合には、導体層20が設けられた領域において電子素子40と冷却体100との間の抵抗を直接的に小さくすることができる。
【0040】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同じ又は同様の部材等については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
本実施の形態では、分割部110に冷却水等の冷却流体が流されるようになってもよい。より具体的には、図11及び図12に示すように、分割部110又は分割ユニット120の溝部116内を冷却流体が流れるようになってもよい。このように冷却流体が流れる態様を採用することで、当接部115からなる領域と比較して抵抗値を大きくして電子装置によるノイズの発生を抑制しつつ、冷却流体によって放熱性をある程度維持できる点で有益である。
【0042】
また、図12に示すように、分割部110に放熱グリス等の潤滑剤が設けられてもよい。より具体的には、分割部110の溝部116内に放熱グリス等の潤滑剤が設けられてもよい。このように潤滑剤を設ける態様を採用することで、当接部115からなる領域と比較して抵抗値を大きくして電子装置によるノイズの発生を抑制しつつ、潤滑剤によって放熱性をある程度維持できる点で有益である。
【0043】
また、冷却流体と潤滑剤とを併用してもよい。より具体的には、図12に示すように、溝部116のうちの一部に冷却流体を流し、別の一部に潤滑剤を設ける態様を採用してもよい。この場合には、当接部115からなる領域と比較して抵抗値を大きくして電子装置によるノイズの発生を抑制しつつ、冷却流体又は潤滑剤によって放熱性をある程度維持できる点で有益である。また、冷却流体が流れる溝部116と潤滑剤が設けられた溝部116とが連通されておらず、冷却流体が潤滑剤の設けられた溝部116内に流れ込まないようにすればよい。一例としては、図12の左上及び右下の分割ユニット120の溝部116と、図12の右上及び左下の分割ユニット120の溝部116とは連通していない。
【0044】
なお、冷却流体と潤滑剤とでは、抵抗値及び冷却効果が異なることから、これらを適宜選択して用いてもよい。例えば、冷却体100側から見て電子素子40が設けられている領域を含む箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち抵抗値の大きな方を選択し、冷却体100側から見て電子素子40が設けられている領域を含まない箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち抵抗値の小さな方を選択することで、ノイズの発生を効率的に抑制するようにしてもよい。また、冷却体100側から見てスイッチング素子が設けられている領域を含む箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち抵抗値の大きな方を選択し、冷却体100側から見てスイッチング素子が設けられている領域を含まない箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち抵抗値の小さな方を選択することで、ノイズの発生を効率的に抑制するようにしてもよい。
【0045】
また、冷却体100側から見て電子素子40が設けられている領域を含む箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち放熱性の大きな方を選択し、冷却体100側から見て電子素子40が設けられている領域を含まない箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち放熱性の小さな方を選択することで、放熱効率を高めるようにしてもよい。また、冷却体100側から見てスイッチング素子が設けられている領域を含む箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち放熱性の大きな方を選択し、冷却体100側から見てスイッチング素子が設けられている領域を含まない箇所では冷却流体及び潤滑剤のうち放熱性の小さな方を選択することで、放熱効率を高めるようにしてもよい。
【0046】
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したあらゆる構成(変形例を含む。)を採用することができる。
【0047】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態において、第1の実施の形態又は第2の実施の形態と同じ又は同様の部材等については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
第3の実施の形態では、電子素子40が積層されて配置されており、スタック構造となっている。より具体的には、図13に示すように、絶縁性基板60は第一絶縁性基板61及び第二絶縁性基板62を有し、電子素子40は第一電子素子41及び第二電子素子42を有し、放熱層10は第一放熱層11及び第二放熱層12を有してもよい。第一絶縁性基板61の一方側(図13の上側)に第一電子素子41が設けられ、第一絶縁性基板61の他方側(図13の下側)に第一放熱層11が設けられてもよい。第一電子素子41の一方側に第二電子素子42が設けられ、第二電子素子42の一方側に第二絶縁性基板62が設けられ、第二絶縁性基板62の一方側に第二放熱層12が設けられてもよい。また、導体層20は、第一導体層21及び第二導体層22を有し、第一導体層21の一方側に第一電子素子41が設けられ、第二導体層22の一方側に第二電子素子42が設けられてもよい。
【0049】
第一電子素子41及び第二電子素子42のうちの少なくともいずれか一方はスイッチング素子を有してもよい。そして、第一電子素子41がスイッチング素子を有する場合には、分割部110は、第一放熱層11側に設けられた第一冷却体101に設けられてもよい(図13参照)。この場合には、分割部110は、第一冷却体101のうち第一放熱層11と当接する部分に設けられることになる。第二電子素子42がスイッチング素子を有する場合には、分割部110は、第二放熱層12側に設けられた第二冷却体102に設けられてもよい(図14参照)。この場合には、分割部110は、第二冷却体102のうち第二放熱層12と当接する部分に設けられることになる。本実施の形態では、第一冷却体101に設けられた分割部110を第一分割部111といい、第二冷却体102に設けられた分割部110を第二分割部112という。
【0050】
図13及び図14に示す態様では、第一電子素子41の一方側(図13及び図14の上側)に導体柱29が設けられ、導体柱29の一方側(図13及び図14の上側)に第二導体層22が設けられている。
【0051】
前述したように、電子素子40がスイッチング素子を有する場合には、ノイズが大きくなる傾向にある。このため、少なくともスイッチング素子が設けられている側に分割部110が設けられている態様を採用することで、スイッチング素子に由来するノイズの発生を抑制できる。
【0052】
また、第一電子素子41及び第二電子素子42がスイッチング素子を有するかどうかに関係なく、分割部110が設けられる態様を採用してもよい。つまり、第一電子素子41がスイッチング素子を有するかどうかに関係なく、また、第二電子素子42がスイッチング素子を有するかどうかに関係なく、第一分割部111だけが設けられ第二分割部112は設けられなくてもよいし(図13参照)、第二分割部112だけが設けられ第一分割部111は設けられなくてもよいし(図14参照)、第一分割部111と第二分割部112の両方が設けられてもよい(図15参照)。図13乃至図15で示された分割部110は、第1の実施の形態で示したような複数の分割ユニット120を有してもよい。つまり、第一分割部111は複数の第一分割ユニットを有してもよいし、第二分割部112は複数の第二分割ユニットを有してもよいし、第一分割部111が複数の第一分割ユニットを有し、かつ、第二分割部112が複数の第二分割ユニットを有してもよい。
【0053】
また、スイッチング素子を一方側又は他方側に集め、スイッチン素子が集められた側に分割部110が設けられるようにしてもよい。より具体的には、第一電子素子41がスイッチン素子を有し第二電子素子42がスイッチング素子を有さない場合には、図13に示すように、第一分割部111だけが設けられ第二分割部112は設けられなくてもよい。この場合には、平坦面150が第二放熱層12と当接することになる。第二電子素子42がスイッチン素子を有し第一電子素子41がスイッチング素子を有さない場合には、図14に示すように、第二分割部112だけが設けられ第一分割部111は設けられなくてもよい。この場合には、平坦面150が第一放熱層11と当接することになる。
【0054】
放熱性を重視するのであれば、スイッチング素子を一方側又は他方側に集め、スイッチン素子が集められた側に分割部110が設けられないようにしてもよい。より具体的には、第一電子素子41がスイッチン素子を有し第二電子素子42がスイッチング素子を有さない場合には、図14に示すように、第二分割部112だけが設けられ第一分割部111は設けられなくてもよい。この場合には、平坦面150が第一放熱層11と当接することになる。第二電子素子42がスイッチン素子を有し第一電子素子41がスイッチング素子を有さない場合には、図13に示すように、第一分割部111だけが設けられ第二分割部112は設けられなくてもよい。この場合には、平坦面150が第二放熱層12と当接することになる。
【0055】
なお、図13乃至図15に示された態様とは異なり、図16に示すように、第一導体層21の一方側に第一電子素子41が設けられ、第一電子素子41の一方側に導体柱29が設けられ、導体柱29の一方側に第二電子素子42が設けられ、第二電子素子42の一方側に第二導体層22が設けられるようになってもよい。
【0056】
本実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したあらゆる構成(変形例を含む。)を採用することができる。
【0057】
上述した実施の形態の記載、変形例の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載、変形例の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 放熱層
11 第一放熱層
12 第二放熱層
20 導体層
40 電子素子
41 第一電子素子
42 第二電子素子
60 絶縁性基板
61 第一絶縁性基板
62 第二絶縁性基板
100 冷却体
110 分割部
115 当接部
116 溝部
120 分割ユニット
図1
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図16