(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フットコントローラーは外殻を構成する筺体を備え、前記調圧手段のエアの放出口は、前記筺体の内部に向けられていることと特徴とする請求項1に記載の医療機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示す医療機器100は、ハンドピース10とフットコントローラー20を有する。
ハンドピース10は、使用者が手で握り操作して、患部を切除する作業を行う器具である。また、フットコントローラー20は、足元に設置して、使用者の踏み加減でハンドピース10の動作を調整するものである。
ハンドピース10とフットコントローラー20は、フットコントローラー20からハンドピースに向けてエアが流れるチューブ11により接続している。また、フットコントローラー20は、接続チューブTを介して、医療機器100の外部のエア供給源Aと接続する。
【0011】
(ハンドピース)
図1〜
図2を参照して、ハンドピース10を説明する。
ハンドピース10は、内部にエアの流路が形成されているハンドル体12と、エアの流速を調整するバルブ(以下、ハンド側エアバルブ13)と、ハンドスイッチ14と、エアモータ15と、先端に患部を切除する切削刃が形成された切削ツール16を有する。
ハンドル体12は、ハンドピース10の外殻を構成する筒状の部位であり、後端に接続するチューブ11から内部に流入するエアの流路(以下、ハンド側流路H)が形成されている。また、ハンドル体12は、使用者が作業時に手で握る把持部となる。ハンド側エアバルブ13は、ハンド側流路Hの内部に設けられ、エアモータ15を流れるエアの流速・流量を調整するものである。
【0012】
ハンドスイッチ14は、ハンド側エアバルブ13と接続した状態で筺体に取り付けられ、ハンド側エアバルブ13を操作するものである。つまり、ハンドスイッチ14を操作することで、ハンド側流路Hの内部を流れるエアの流速を調整することができる。
エアモータ15は、ハンド側流路Hの内部に設けられ、内部を流れるエアにより回転駆動する。ここで、エアモータ15の回転速度やトルクは、ハンド側流路Hを流れるエアの流速に依存する。つまり、ハンドスイッチ14を操作することで、エアモータ15の回転速度やトルクを調整することができる。
そして、切削ツール16は、先端部分がハンドル体12の先端から突出した状態で、エアモータ15の回転軸に対して、ブラケットを介して取り付けられている。つまり、切削ツール16は、エアモータ15が回転に応じて、先端の切削刃が回転する。
【0013】
このようにハンドピース10は構成されているので、ハンド側流路Hにエアが供給されている状態において、使用者は、ハンドスイッチ14を操作することで、ハンド側流路Hを流れるエアの流速を調整することができる。これにより、エアモータ15の動作を操作して、切削ツール16の回転速度やトルクなどの動作を調整することができる。
後述するフットコントローラー20に設けられた切替スイッチ63aで、常時一定圧力のエアを、フットコントローラー20からハンドピースに供給するように設定(ハンドコントロールモード)することで、切削ツール16の動作の調整をハンドスイッチ14のみで行うことができる。
【0014】
(フットコントローラー)
次に、フットコントローラー20を説明する。
図3〜
図7を参照すると、フットコントローラー20は、外殻を構成する筺体30と、筺体30の前部に設けられたペダル40と、筺体30の後部に設けられたハンドル50と、筺体30の内部に設けられたエア回路60を有する。
【0015】
筺体30は、底面を構成するベースプレート31と ベースプレート31の上方を覆い内部に空間を形成するカバー35を有する。
ベースプレート31は、フットコントローラー20の土台となる部分であり、ベース部32と、このベース部32から前方に突出したペダル受部33を有する。
【0016】
ベース部32は、エア回路60等が設けられる部分であり、概ね矩形状をなしている。また、ペダル受部33は、前方に掛けて窄む台形状となる部分を有する。ペダル受部33は、ペダル40で操作を行うときに、踏み込まれたペダル40を受けて、フットコントローラー20が、前方に向けて傾くことを防止するための部位となる。
この様に各部を構成されたベースプレート31は、左右方向の中心線MLを基準に、対称となる形状である。
【0017】
また、ベースプレート31の下面には、脚34が設けられている。脚34は、フットコントローラー20を使用する際に床面においたとき、床面とベースプレート31との間に隙間を形成した状態で、フットコントローラー20を支えるためのものである。この脚34は、ベース部32及びペダル受部33のいずれの部位にも設けられている。
【0018】
カバー35は、前面35a、後面35b、右面35c、左面35d、上面35eを有し、下方向に向けて開口する形状をなしている。カバー35の前面35aには、前方向に向けて突出する凸部36が形成されている。凸部36には、前方に向けて開口する前開口37が形成されている。前開口37は、カバー35の左右中心の位置に開口する。
【0019】
凸部36には、ペダル40が取り付けられている。ペダル40は、使用者が足で踏み加減を調整することで、後述するスピード調整部64を操作してエアの速度を調整して、エアモータ15の動作をコントロールする為の部位である。つまり、ペダル40は、スピード調整部64を操作する部位となる。
【0020】
ペダル40には、足で踏まれる部分となるペダル面41の左側及び右側の外側の部分を、右端及び左端が下方向に向くようにそれぞれ折り曲げて、リブ部42が形成されている。つまり、ペダル40は、前方から見るとアーチ形状をなしている。このリブ部42は、ペダル40の強度を向上させるためのものである。
【0021】
また、ペダル40には、左側及び右側のリブ部42が、ペダル面41より後方に突出して、取り付け部43が形成されている。この取り付け部43には、対向する取り付け部43に向けて突出する軸が設けられている。
そして、ペダル40は、カバー35の凸部36を左側の取り付け部43と右側の取り付け部43で挟み込み、凸部36に取り付けられる。ペダル40が凸部36に取り付けられた状態において、取り付け部43の軸により、ペダル40は軸支される。
この様にペダル40が凸部36に軸支されて取り付けられることで、取り付け部43を中心に、ペダル40の前端が上下方向に回動する。
【0022】
次に、
図3〜
図5を参照すると、カバー35には、上面35eから後面35bに掛けて凹んだ部分を形成することにより、段部38が形成されている。段部38の上を向く面には、第1開口38aと第2開口38bが開口している。段部38の後方を向く面には、第3開口38cが開口している。第3開口38cは、左右方向に長い形状をなしている。
更に、カバー35の後面の下端には、部分的に開口する切り欠き39が形成されている。
【0023】
次に、
図7〜
図8を参照すると、ベースプレート31の上には、エア回路60が設けられる。エア回路60は、医療機器100の外部から得たエアを、ハンドピース10に対して、患部の切除作業に適した流量や流速となるように、調整して供給するエアの回路である。
エア回路60は、ジョイント61と、リリーフバルブ62と、流路切替部63と、スピード調整部64と、流路合流部65と、カプラー66と、これらの各部位をつなぎエアの流路となるエア配管67を有する。
【0024】
次に、ジョイント61は、外部のエア供給源Aと接続するエア配管のカプラと接続し、フットコントローラー20の内部へとエアを取り込む部位である。ジョイント61は、ベースプレート31の後方に突出した状態で、ベースプレート31に取り付けられる。
ジョイント61のベースプレート31における搭載位置は、ベースプレート31の左右方向の中心線MLより右側である。そして、ジョイント61は、エア配管67により、リリーフバルブ62と接続する。
【0025】
次に、リリーフバルブ62は、エア回路60の内部に取り込むエアの圧力が規定値以上の場合に、バルブを開放してエア回路60の外部にエアを放出して、内部の圧力を規定値以下に保つ調圧手段である。この規定値は、エア回路60が耐えることができるエアの圧力を基準に設定される。
【0026】
つまり、リリーフバルブ62は、外部のエア供給源Aから規定より高い圧力のエアが供給された場合に、エアの圧力によるエア回路60内の機能部位の故障を防ぐためのものである。
従って、本実施の形態において、リリーフバルブ62は、後述するエア回路60を構成する機能部位より、エアの流れに対して上流の位置に設けられている。機能部位とは、エア回路60を流れるエアに作用して、流れる流路や速度(流量)などを変化させる部位である。
【0027】
これにより、ジョイント61から医療機器100の内部に取り込まれたエアが、規定値以上の高圧状態であっても、リリーフバルブ62より下流に位置する機能部位に影響が及ばない。ここでいう、機能部位とは、流路切替部63、スピード調整部64、ハンドル側エアバルブ13、エアの流路を形成する部位等である。
【0028】
また、導入したエアの圧力が、規定の圧力以上となりエアを放出するリリーフバルブ62の放出口は、筺体30の内部に向けられている。つまり、リリーフバルブ62から放出されるエアは、筺体30の内部へと流れる。
この様なリリーフバルブ62のベースプレート31の搭載位置は、ベースプレート31の左右方向の中心線MLより右側である。そして、リリーフバルブ62は、エア配管67により、流路切替部63と接続する。
【0029】
次に、流路切替部63は、分岐する2つの流路のいずれかに、エアの流れる流路を切り替える部位である。流路切替部63には、上流側から1つの流路が接続し、下流側に2つの流路が接続する。
つまり、流路切替部63は、上流側から流れるエアを、下流側の2つの流路のいずれかに流れるように切り替える切替手段である。
【0030】
流路切替部63は、内部に流路を切り替えるバルブと、このバルブを動作させる切替スイッチ63aが設けられている。切替スイッチ63aは、後方に向けて伸びるレバー形状の部位である。
使用者は、切替スイッチ63aを右方向又は左方向に動かすことで、流路を切り替えることができる。尚、流路切替部63の搭載位置は、ベースプレート31の左右方向の中心線MLより右側である。
【0031】
ここで、流路切替部63から分岐する2つのエアの流路を説明する。
流路切替部63から流路合流部65に至る間には、2つのエアの流路が形成されている。
第1の流路F1は、流路切替部63から伸びるエア配管57が流路合流部65に接続することで形成されている。つまり、第1の流路F1は、流路切替部63から流路合流部65に直接エアが流れる流路である。
【0032】
第2の流路F2は、流路切替部63から伸びるエア配管67がスピード調整部64に接続し、更に、スピード調整部64から伸びるエア配管67が流路合流部65に接続することで形成される。
スピード調整部64は、内部にフット側バルブ64aを有し、フット側バルブ64aを通過するエアの量を調整することで、エアの流速を調整する調整手段である。スピード調整部64に設けられたフット側バルブ64aは、リンク機構64bを介してペダル40と接続している。
【0033】
使用者は、ペダル40の踏み加減でフット側バルブ64aの動きを調整して、スピード調整部64を通過するエアの流速を調整する。つまり、第2の流路F2は、流路切替部63から出たエアが、スピード調整部64を経由して流路合流部65に流れる流路である。
尚、スピード調整部64は、ベースプレート31の左右方向の中心線MLに沿って設けられている。また、ペダル40の動きにリンクして動くフット側バルブ64aは、前後方向に動く。
【0034】
次に、流路合流部65から伸びるエア配管67は、カプラー66に接続する。
流路合流部65は、第1の流路F1及び第2の流路F2が接続しており、2つの流路が合流してを1つの流路となる部位である。カプラー66は、エア回路60の終端であり、チューブ11に設けられたジョイントと接続する。
このように、カプラー66とチューブ11のジョイントが接続することで、エア回路60とハンド側流路Hが接続し、エア回路60を流れるエアをハンドピース10側に流すことが可能となる。
【0035】
この流路合流部65からカプラー66に至るエア回路60の部分は、流量を変えることなくエアを流す部位である。従って、ハンドピース11側に流すエアの流量は、第1の流路F1又は第2の流路F2のいずれの流路を流れてくるかにより変る。
【0036】
つまり、切替スイッチ63aを第1の流路F1に設定した場合は、リリーフバルブ62より下流のエア回路60において、エアは流量を調整されることなくカプラー66に至り、ハンドピース11のハンド側流路H内にエアが流れ込む。つまり、第1の流路F1は、エアがスピード調整部64を経由しない流路である。
従って、ハンド側流路H内には、フットコントローラー20から一定の流量のエア供給されることになり、この場合、切削ツール16の回転速度等を変化させる場合は、ハンドスイッチ14のみで操作することが可能となる。
【0037】
言い換えると、切替スイッチ63aにより第1の流路F1を選んだ場合、ペダル40によるエアの流量のコントロール機能を停止したことになる。この場合、ハンドスイッチ14のみでの切削ツール16の速度コントロールが可能な設定(ハンドコントロールモード)をしたことになる。
尚、上カバー35において、切替スイッチ63aの位置の近傍に、その旨を示す「手」の形状のマークが設けられている。
【0038】
また、切替スイッチ63aを第2の流路F2に設定した場合は、リリーフバルブ62より下流のエア回路60において、エアは、スピード調整部64で流量が調整されてカプラー66に至り、ハンドピース11のハンド側流路H内にエアが流れ込む。つまり、第2の流路F2は、エアがスピード調整部64を経由する流路である。
【0039】
従って、ハンド側流路H内には、フットコントローラー20から、使用者がペダル40を操作して速度を調整したエアが供給されることになる。
これにより、使用者は、ハンドスイッチ14を用いなくてもエアモータ15の回転をコントロールして、切削ツール16の回転速度を変化させることができる。つまり、使用者は、ハンドピース10を握る手の動きを、患部の切除作業に集中することができる。
【0040】
言い換えると、切替スイッチ63aにより第2の流路F2を選んだ場合、ペダル40によるエアの流量コントロール機能が使用可能な状態となる。つまり、ペダル40による切削ツール16の速度コントロールが可能な設定(フットコントロールモード)をしたことになる。
尚、上カバー35において、切替スイッチ63aの位置の近傍に、その旨を示す「足」の形状のマークが設けられている。
【0041】
以上、切替手段である流路切替部63の切替スイッチ63aを操作することにより、スピード調整部64を機能させてフットコントローラー20側でエアの流量コントロールすることができる機能が使用可能な状態と、スピード調整部64を機能させずにフットコントローラー20側でエアの流量コントロールをすることができなくする状態を切り替えることができる。
【0042】
尚、選択した流路がいずれの場合であっても、ジョイント61より入ったエアの圧力が規定より高くリリーフバルブ62において、圧力の調整がなされた場合は、調整された圧力によるエアの流速が上限となる。
また、以上の説明において、スピード調整部64でエアの流量を調整する点について説明したが、エアは流量が増えれば流速が速くなる。従って、流量を増やすことは、流速を早くすることとなる。つまり、流量を調整することは、流速を調整することと同じことになる。
【0043】
ここで、切替スイッチ63aのロック部70について説明する。
図5、
図7を参照すると、切替スイッチ63aの近傍には、ロック部70が設けられている。ロック部70は、切替スイッチ63aの動きを規制するものである。つまり、使用者が設定した切替スイッチ63aの状態が、不意に切り替わることが無いようにするためのものである。
ロック部70は、ベースプレート31に固定される基部71と、この基部71に対して上方向に出没自在なスイッチ72を有する。スイッチ72は、通常の状態において、バネ等の弾性部材により付勢された状態で、基部71に対して上方向に突出している。
【0044】
そして、ロック部70が切替スイッチ63aの近傍に設けられた状態において、スイッチ72は、切替スイッチ63aの可動範囲内に位置する。つまり、スイッチ72は、切替スイッチ63aの動きを規制した状態となる。
従って、使用者が切替スイッチ63aを操作する場合、スイッチ72を押して切替スイッチ63aの動きを規制を解除することで、切替スイッチ63aを左右方向に動かすことが可能となる。これにより、使用者は、流路切替部63において流路を切り替え、ペダル40を用いた機能の選択を行うことができる。
【0045】
以上のように各部が設けられたペースプレート31には、上方を覆い内部に空間を形成するカバー35が設けられる。
図5を参照すると、カバー35がベースプレート31に固定された状態において、段部38に形成された第1開口38aには、カプラー66がカバー35の内部から突出して位置している。カプラー66には、チューブ11に設けられたジョイントが接続可能である。
ジョイント61は、カバー35の切り欠き39bの部分を通って、カバー35の後方に位置している。
【0046】
また、カバー35の第2開口38bには、ロック部70がスイッチ72がカバー35の内部から突出して位置している。スイッチ72は、バネ等により上方向に向かって付勢されている。スイッチ72を押すことで、カバー35の内部にスイッチ72が入り込む。スイッチ72は、第2開口38bに出没自在に設けられている。
【0047】
更に、
図9を参照すると、第3開口38cには、切替スイッチ63aががカバー35の内部から突出して位置している。切替スイッチ63aは、第3開口38cから後方に向けて伸びており、端に形成されたつまみ部63bをつまんで、左右方向に動かすことができる。
図9(a)の状態は、ペダル40でエアモータ15の速度調整を行うことが可能な状態を示している。
図9(c)は、ハンドスイッチ14の操作のみでエアモータ15の速度調整を行うことが可能な状態を示している。
図9(b)は、
図9(a)の状態から
図9(b)の状態に切り替える過程を示している。
【0048】
これらのスイッチ72と切替スイッチ63aは、凹部38に位置している。つまり、このスイッチ72と切替スイッチ63aは、カバー35の上面35eより下側で、後面35bより前側となる窪んだ部分に設けられている。
また、カバー35の上面35eであって、第3開口38の上側の近傍には、切替スイッチ63aの位置で、ペダル40でエアモータ15の速度調整を行えるか、ハンドスイッチ14のみでエアモータ15の速度調整が行えるかを示すマークが設けられている。
【0049】
ペダル40でエアモータ15の速度調整を行えることを示すマークは、足型のマーク35fである。ハンドスイッチ14のみでエアモータの速度調整を行えることを示すマークは、手型のマーク35gである。
図5で切替スイッチ63aが示すのは、足型のマーク35fであることから、ペダル40でエアモータ15の速度調整を行える状態である。
【0050】
次に、
図3〜
図6を参照すると、筺体30には、ハンドル50が設けられている。ハンドル50は、左右一対のアーム51と、使用者がフットコントローラー20を持ち運ぶ際に握る部分となる把持部52を有する。アーム51と把持部52は、金属からなる棒状の部材で構成されている。
一対のアーム51は、ベースプレート31の後端側であって、それぞれ右側と左側に、一端側が固定されている。そして、アーム51は、ベースプレート31の固定位置から後方に伸び、切り欠き39aを通って、カバー35の後方に至り、そこから、前方に湾曲しながらカバー35の上方に至る形状をなしている。
【0051】
把持部52は、中央部分が前方に向けて凸となる湾曲した形状(曲線形状)に構成されている。そして、把持部52の一端は右側のアーム51の先端と接続し、他端は左側のアーム51の先端と接続している。
中央部分が前方に向けて凸となる湾曲した把持部52は、筺体30の上方向に位置する。また、ハンドル50を後方から見ると、切替スイッチ63aやロック部70は、右のアーム51と左のアーム51の間の領域に位置する。
【0052】
次に、
図7、
図10(b)を参照すると、ベースプレート31にカバー35が取り付けられた状態において、スピード調整部64のリンク機構64bは、前開口37からカバー35の外側に出た状態となっている。そして、ペダル40の下面において、リンク機構64bが接続する。
この様に構成されているので、使用者がペダル40を踏むことによりペダルが40が下方向に動き、この動きがリンク機構64bを介して、スピード調整部64のフット側バルブ64aを後方に動く力となり伝わる。
【0053】
フット側バルブ64aは、この動きに伴い動作することで、スピード調整部64を流れるエアの量を変え、エア回路60(第2の流路F2)内を流れるエアのスピードを調節することができる。 これにより、フットコントローラー20からハンドピース10へと供給されるエアの速度を調整することができ、切削ツール16の回転速度等を調整可能となる。
【0054】
このように、ベースプレート31にカバー35が取り付けられた状態において、ベースプレート31のペダル受部33は、ペダル40の下方向に位置する。
ペダル受部33は、前方に掛けて窄む台形状である(
図10(a)、
図3、
図7)。これに対して、ペダル40は、上方向から見た形状が概ね前後方向に長い矩形状に構成されている(
図6(d))。また、ペダル受部33の先端部分の左右方向の幅W1は、ペダル40の先端部分の左右方向の幅W2より、小さく構成されている(W1<W2)。尚、
図7中の点線で示す部分は、ペダル40とペダル受部33の関係を示す為に、ペダル40を仮想的に示したものである。
【0055】
つまり、ペダル受部33は、ペダル40より幅が小さい部分が形成されている。本実施の形態の場合、ペダル受部33を先端部分に至るにつれて、幅を小さくしていくことで、ペダル40より小さくなるように構成されている。
そして、ペダル受部33とペダル40の位置関係は、ペダル受部33は踏み込まれて下方向に動いて手前方向に傾くと、ペダル受部33がペダル40を受ける、又は、ペダル受部33にペダル40が近接する状態となるように構成されている。
【0056】
このようにペダル受部33とペダル40が構成されているので、ペダル40に対してペダル受部33が上下に重ならない領域がある。
本実施の形態の構成の場合、ペダル受部33の形状が窄んだ形状(概ね台形状)であるので、先端に近づくにつれて、この上下に重ならない領域が大きくなる。つまり、ペダル40がペダル受部33に接触した状態、又は、近接した状態において、ペダル受部33の左右の部分には、ペダル40との隙間Δdが形成される(
図10(c))。
【0057】
(切替スイッチ63a)
以上のように、本実施の形態の医療機器100は、特に
図5、
図9に示すように、ハンドスイッチ14のみでの切削ツール16の速度コントロールが可能な設定(ハンドコントロールモード)と、ペダル40による切削ツール16の速度コントロールが可能な設定(フットコントロールモード)を切り替える切替スイッチ63aを有するので、これらのモードの切り替えを容易に切替を行うことができる。
【0058】
特に、切替スイッチ63aの動きを規制するロック部70を設け、ロック部70を操作して規制を解除しないと、上記のモードの切り替えを行えないように構成したので、切替スイッチ63aを不意に動かしてしまうことによる、予期せぬ切替を防止することができる。
つまり、不意に切替スイッチ63aに接触して操作してしまったり、切替スイッチ63aに予期せぬ接触(例えば、落下物が接触)することにより、上記のモードの切り替えが起きないようにすることができる。
更に、ハンドスイッチ14とロック部70を、フットコントローラー20のカバー35の上面から凹んだ段部38に設けたので、より切替スイッチ63aへの不意の操作を防ぐことができる。
【0059】
(リリーフバルブ62)
また、本実施の形態の医療機器100は、ハンドピース10の内部に設けられたエアモータ15の駆動であるエアを送るフットコントローラー20に設けられたエア回路60の内部に、リリーフバルブ62を備えているので、エア回路60を構成する機能部位に対して、規定以上の圧力が作用することを防止することができる。
これにより、医療機器100の外部からエアの供給を受ける際に、エアの供給元から規定以上の圧力のエアが供給されても、高圧状態による故障などを防ぐことができる。
【0060】
特に、エア回路60において、リリーフバルブ62を設ける位置を、外部のエア供給源と接続するジョイント61の下流であって、各機能部品の上流に設けることで、これら部品を不意の高圧状態から保護することができる。
【0061】
更に、リリープバルブ62のエアを放出する放出口は、筺体30の内部に向けられている。つまり、リリーフバルブ62から放出されるエアは、筺体30の内部となる。これにより、フットコントローラー20の筺体30の外部にエアを吹き出すことが無いので、吹き出したエリアにおいて埃などを吹き飛ばして舞い上がらせることが無い。
つまり、本実施の形態の医療機器100は、埃が舞い上がることを極力抑えたい医療の現場での使用に適している。
【0062】
(ハンドル50)
また、本実施の形態の医療機器100は、ハンドピース10の内部に設けられたエアモータ15の駆動であるエアを送るフットコントローラー20にハンドル50が設けられている。このハンドル50は、使用者が握る把持部52が、フットコントローラー20の上方に位置しており、中央部分が前方に向けて凸となる湾曲した形状(曲線形状)に構成されている。
【0063】
このようにハンドル50が湾曲した形状に構成されているので、
図11に示すように、フットコントローラー20が転倒して上下が逆さまになっても、湾曲した把持部52により回転して、横倒しの状態となりやすい。これにより、フットコントローラー20が上下が逆さまの状態のままになり、ペダル40が押された状態となるのと防ぐことができる。
【0064】
特に、フットコントローラー20の重心を左側又は右側のいずれかの片側方向に偏らせることにより、フットコントローラー20が逆さまの状態となっても、偏った重心方向に自ら回転し易く、横倒し状態へと動きやすい。
【0065】
本実施の形態の場合、エア回路60の機能部品の配置位置を右側に重心が位置するように構成することで実現している。具体的には、比較的重量が大きいジョイント61とリリーフバルブ62と流路切替部63の搭載位置を、ベースプレート31の左右方向の中心線MLより右側にしている。
つまり、エア回路60の機能部品の配置を、重量がフットコントローラー20の重心が右側に偏るように構成してある。このように、機能部品の配置によりコントローラーの重心を偏らせるので、重心を偏らせるために部材を追加する必要が無い。
【0066】
(ペダル40とペダル受部33の関係)
また、
図3、
図7、
図10に示すように、本実施の形態の医療機器100は、フットコントローラー20に設けられたペダル40と、このペダル40を下側で受けるペダル受部33において、ペダル受部33はペダル40より幅が小さい部分が形成されている。
このようにペダル受部33とペダル40が構成されているので、ペダル40に対してペダル受部33が上下に重ならない領域が形成される。
【0067】
本実施の形態の構成の場合、ペダル40が矩形状であり、ペダル受部33が窄んだ形状(概ね台形状)であるので、先端に近づくにつれて、この上下に重ならない領域が大きくなる。
つまり、ペダル40がペダル受部33に接触した状態、又は、近接した状態において、ペダル受部33の左右の部分には、ペダル40との隙間Δdが形成される。この隙間dは、チューブ11の直径より大きくなるように、ペダル40がペダル受部33の大きさ関係が設定されている。
【0068】
従って、使用時に、ペダル受部33とペダル40の間にチューブ11が挟まれた状態で、ペダル40を踏みこんでも、チューブ11が、隙間Δdを通って、ペダル40の外側に導出される構造となっている。
この状態において、 チューブ11の直径より大きな隙間Δdにチューブ11が通るので、チューブ11がペダル受部33とペダル40に挟まった時に、チューブ11がつぶされにくく、チューブ11の内部のエアの流れを妨げにくい。
言い換えると、チューブ11は、ペダル受部33の上を通った状態で、ペダル40のリブ部41により上方向から押されても、隙間Δdが形成されているので、十分に曲がることができ、チューブ11がペダル40によりつぶされて変形することを防ぐことができる。
【0069】
特に、ベースプレート31は、設置位置Sとなる床面から 脚34により高い位置となるので、ペダル40がペダル受部33に挟まれたチューブ11は、隙間dから下方向に導出されて、ペダル40の横方向に伸びていく。つまり、ペダル受部33とペダル40に挟まれることにより、急な角度に曲がった形状になることを防ぐことができる。
これにより、ペダル受部33とペダル40に挟まれても、チューブ11内部のエアの流れを妨げにくい。
【0070】
また、ペダル受部33の形状を、窄んだ形状(概ね台形状)にすることで、先端に近づくにつれて、ペダル40がペダル受部33がこの上下に重ならない領域(隙間Δd)を形成している。これは、ペダル受部33のベース部32と接続する部分の強度を保ちつつ、先端を窄ませることで、チューブ11が通る隙間Δdを形成することができる構成となっている。
【解決手段】課題を解決するには、切削ツールと、前記切削ツールを駆動するエアモータを有するハンドピースと、外部のエア供給源と接続して、エアモータにエアを供給するフットコントローラーと、を備え、フットコントローラーは、エア供給源から供給されたエアを流すエア回路を有し、エア回路には、エア回路の外部にエアを放出することで、エア回路内部の圧力を調整する調圧手段を備えるように医療機器を構成すれば良い。