【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、クォーツ時計の設定方法であって、当該クォーツ時計は、光センサ及びこの光センサにより生成された電気信号を受信するように構成されたマイクロコントローラを備えると共に、当該時計のマイクロコントローラにより制御される点光源を更に備えたクォーツ時計であって、設定方法は、点光源及びこの点光源を制御するように構成されたマイクロコントローラを備えた可搬型電子機器であって当該電子機器のマイクロコントローラに電気信号を供給するように設計された光センサを更に備えた可搬型電子機器によって遂行される設定方法であって、以下のステップ:
電子機器の点光源に面して時計の光センサを配置するステップ、
電子機器のマイクロコントローラの命令で、設定パラメータの符号化に対応する光パルスシーケンスを形成するように電子機器の点光源を点滅させるステップであって、シーケンスは時計の光センサによりその後受信される、ステップ、
設定パラメータを回収するために、時計のマイクロコントローラによって受信した光パルスシーケンスを復号化するステップ、
時計のマイクロコントローラの命令で、設定パラメータに従って時計を設定するステップ、
時計の点光源に面して電子機器の光センサを配置するステップ、
時計のマイクロコントローラの命令で、時計の現在の設定の状態データ特性の符号化に対応する光パルスシーケンスを形成するように時計の点光源を点滅させるステップであって、シーケンスは電子機器の光センサによりその後受信される、ステップ、
状態データを回収するために電子機器のマイクロコントローラによって受信した光パルスシーケンスを復号化するステップ、及び
状態データを設定パラメータと比較するステップ
を含む、
設定方法に関する。
【0006】
用語「設定パラメータ」は、時計を少なくとも部分的に設定可能にする任意のパラメータを意味するように理解される。このパラメータには例えば、時間帯、国名コード、アラーム、地理的位置、日付、潮汐、太陽または月相、協定世界時等に関する情報が含まれる。
【0007】
用語「点光源」は、そのサイズが微小で点とみなし得る光源を意味するように理解される。そのような点光源は例えば発光ダイオードである。
【0008】
用語「面して」は、光センサが点光源により発出された光信号を直接受信及び取込み可能であるように、点光源及び光センサが互いに、かつ距離を置いて位置付けられることを意味するように理解される。
【0009】
用語「可搬型電子機器」は、ユーザによる携帯及び持運びが可能であって、持運ばれているときに動作可能である、ユーザ端末とも呼ばれる電子機器を意味するように理解される。このことは例えばスマートフォンに該当する。当然ながら、例えばデスクトップコンピュータ用の主電源を要する機器は、この定義から除外される。機器組立体、例えばセンサが無線または有線リンクを介して接続される可搬型コンピュータ等、もこの定義から除外される。
【0010】
電子機器は時計への設定パラメータの送信に使用される。送信は光符号化または変調によって遂行されるが、変調は電子機器の点光源の点滅により生起される。点光源は2つの状態、即ちオンまたはオフを有する。ゆえに、送信中、時計の光センサは光パルスシーケンスを受信する。復号化動作により時計のマイクロコントローラは設定パラメータを回収し得る。例えば、光パルスは値「1」のビットを表し、光パルスの不存在は値「0」のビットを表す。設定パラメータは、一旦回収されるとその後時計の正確な設定を可能にする。
【0011】
この方法は、例えば龍頭、押釦、またはタッチ釦を介した複雑な設定をユーザが遂行する必要なく、ほぼ自動的に実施し得るという利点を有する。当然、本方法は開始される必要があるが、この開始は、押釦の押圧により手動で、あるいは例えばデフォルトでは待機状態にあるが特定の光パルスシーケンスの受信をもって活動化する系統を介して自動的に遂行され得る。
【0012】
この方法はまた、ハードウェアをほとんど要さないという利点を有する。好適なモバイルアプリケーションを有するスマートフォン型可搬型機器は、この方法の実施に十分である。本方法はコンピュータに接続されるセンサ等の専用ハードウェアの使用を要さず、嵩張るハードウェアの使用も要さない。好適なアプリケーションを有するスマートフォンを有する者は誰であっても(例えば時計製造業者)本方法を実施可能である。
【0013】
最後に、この方法は、時計と電子機器との間の光通信系統が発光ダイオード型点光源及びフォトトランジスタ型光センサのみで形成されるため、時計または電子機器への通信アンテナ(高価で嵩張り、場合によっては金属製の外装ケースに非対応である)の組入れを要さないという利点を有する。
【0014】
一実施形態では、時計は永久暦機構を含む。そのような時計は、設定機構として、時刻表示針及び永久暦機構のアナログ表示要素を回す一つ以上のステップモータを作動させるクォーツ発振子を有する。これらの表示要素は、種々の月及び閏年の長さを自動的に考慮に入れることにより、日付、曜日、月、及び場合によっては月相の指示を可能にする。そのような表示要素は例えば、時計の文字盤に刻印された日付、曜日、月、または月相表示を指示可能にする針、あるいは日付、曜日、月、または月相の表示が上に刻印された円盤であり、これらの表示のうちの一つが文字盤中の開口に面する。この場合、本方法は当該機構を設定するように意図され得る。本発明は次に、クォーツ時計の永久暦機構の設定方法から成り、時計は、当該機構の要素を位置付ける位置付け手段、光センサ、及び当該位置付け手段を制御すると共に光センサにより生成された電気信号を受信するように構成されたマイクロコントローラを備え、本設定方法は点光源及びこの点光源を制御するように構成されたマイクロコントローラを備える可搬型電子機器によって遂行され、本設定方法は以下のステップ:
時計の光センサを電子機器の点光源に面して配置するステップ、
電子機器のマイクロコントローラの命令で、永久暦機構に対する設定パラメータの符号化に対応する光パルスシーケンスを形成するように電子機器の点光源を点滅させるステップであって、光パルスシーケンスはその後時計の光センサにより受信される、ステップ、
設定パラメータを回収するために、時計のマイクロコントローラによって受診した光パルスシーケンスを復号化するステップ、
時計のマイクロコントローラの命令で、永久暦機構の要素を設定パラメータに対応する位置に位置付けるように、当該要素の位置付け手段を作動させるステップ(これは設定ステップである)
を含む。
【0015】
用語「永久暦機構に対する設定パラメータ」は、現在の日付、曜日、月、及び年に関する情報(及び永久暦機構が月相を表示する要素を備えるときには現在の月相に関するデータも含み得、これらのデータは例えば即ち地理的位置、半球、国名コード等に関するデータである)を意味するように理解される。このような情報は、時計の永久暦機構、特にこの機構の表示要素の位置を正確に設定するのに十分である。
【0016】
加えて、時計は時刻表示針及び当該針の回転手段を備え、電子機器は、当該電子機器のマイクロコントローラにより制御されるカメラ及び光認識ソフトウェアを備え、本方法は設定ステップに続けて遂行されるステップであって、時計のマイクロコントローラの命令で、時計の現在の設定の状態データ特性項目の符号化に対する位置に針を配置するように時刻表示針を回転させるための回転手段を作動させる、ステップ、を備える。
【0017】
用語「時刻表示針」は、時針、分針、及び秒針を意味するように理解される。
【0018】
用語「状態データ項目」は、時計の少なくとも部分的な設定状態の表現を可能にするデータ項目を意味するように理解される。この項目には例えば、時計に設定される時間帯、国名コード、アラーム、地理的位置、日付、潮汐、太陽または月相、UTC時間等が含まれる。本方法が永久暦機構を設定するように意図される場合、状態データ項目は現在の日付、曜日、月、または年に関し得る(もしくは、永久暦機構が月相を表示する要素を備えるときには、例えば地理的位置、半球、国名コード等に関するデータなど、現在の月相に関するデータでも有り得る)。状態データ項目は、永久暦機構の現在の設定状態、例えば当該機構の表示要素の位置を表す。
【0019】
本発明による方法は、以下の特徴のうちの1つまたは技術的に可能な組合せを含む。
【0020】
一非限定的実施形態では、時計の光センサは底板側で時計のムーブメント上に位置し、本方法は、電子機器の点光源に面して時計の光センサを位置付けるステップの前に遂行されるステップであって、時計の光センサを露出させるように時計ケースの底板を取外す、ステップを含む。
【0021】
一非限定的実施形態では、本方法は、時刻表示針を回転させるための回転手段を作動させるステップに続けて遂行される、以下のステップ:
時計の文字盤及び電子機器のカメラを互いに面して配置するステップ、
電子機器のカメラ及び光認識ソフトウェアによって時刻表示針の位置を検出するステップ、及び
状態データ項目を回収するために時刻表示針の検出位置を変換するステップ
を含む。
【0022】
一非限定的実施形態では、電子機器は電子機器のカメラにより取込まれた画像の表示を可能にする画面を備え、本方法は、時刻表示針の検出位置を変換するステップに続けて遂行されるステップであって、以下のステップ:
状態データ項目を示す仮想オブジェクトを電子機器の画面に表示された文字盤上に重畳させる、ステップ
を含む。
【0023】
一非限定的実施形態では、本方法は、以下の最終ステップ:
状態データ項目を設定パラメータのうちの一つと比較する、ステップ
を含む。
【0024】
一非限定的実施形態では、時計は永久暦機構、及び当該機構の要素を位置付けるための位置付け手段を含み、時計のマイクロコントローラは当該位置付け手段を制御するように構成され、設定ステップは、永久暦機構の要素を、当該要素が設定パラメータに対応する位置に位置付けられるように位置付ける、位置付け手段の作動を含む。
【0025】
一非限定的実施形態では、時計の光センサはフォトトランジスタである。
【0026】
一非限定的実施形態では、電子機器はスマートフォンである。
【0027】
本発明の目的、利点、及び特徴は、非限定的な実施例としてのみ提示され、添付の図面により示される、以下の本発明の少なくとも1つの実施形態の詳細な説明で、より一層明らかになるであろう。