【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月20日 2018年度大会(東北)学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集(日本建築学会)(DVD−ROM及び書籍)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の下弦部材がジョイント部で接合された下弦と、複数の上弦部材がジョイント部で接合された上弦と、前記ジョイント部を介して前記下弦と前記上弦とを接合する複数の斜材と、を有し、すくなとも一部が支持部によって支持されるとともに前記支持部から離間された位置に自由端が形成された片持ちトラスを有する立体トラス構造であって、
前記片持ちトラスには、前記下弦と前記上弦との間隔で示されるデプスが前記支持部側から前記自由端側に向かって次第に小さくなるように設定されたデプス変位部が形成され、
前記デプス変位部を構成し前記支持部側と前記自由端側で互いに隣接配置された前記下弦部材同士と、前記上弦部材同士と、前記斜材同士のうち少なくともいずれかは、前記自由端側の部材断面積が前記支持部側の部材断面積よりも小さく設定された断面積変位部を備えていることを特徴とする立体トラス構造。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る立体トラス構造について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体トラス構造を適用した建築物の一例の概略構成を説明する斜視図である。また、
図2は第1実施形態に係る立体トラス構造の概略構成を説明する上方から見た斜視図であり、
図3は側面から見た概略構成図であり、
図4は平面図である。また、
図5は、立体トラス構造を構成するボールジョイントの一例を説明する概略構成図である。
【0019】
図において、符号100は建築物を、符号10は立体トラス(立体トラス構造)を、符号11は下弦を、符号110は下弦部材を、符号12は上弦を、符号120は上弦部材を、符号13は斜材を、符号14はボールジョイント(ジョイント部)を示している。また、符号Dはデプスを、符号10Fは片持ちトラスを、符号12Fはデプス設定領域を、符号12Eはデプス変位部を示している。
【0020】
第1実施形態に係る建築物100は、
図1に示すように、例えば、複数(例えば、4本)の前方支持柱(支持部)101と、複数(例えば、4本)の後方支持柱102と、天井部材103と、複数(例えば、4組)の立体トラス(立体トラス構造)10と、横部材10Jと、を備えている。
ここで、前方支持柱(支持部)101、後方支持柱102、立体トラス(立体トラス構造)10の数については、任意の数(単数又は複数)に設定することが可能である。
【0021】
また、この実施形態において、立体トラス(立体トラス構造)10は、図示していないが、建築物100の左側Aから右側Bにわたって前方支持柱(支持部)101、後方支持柱102と対応して配置されていて、天井部材103を上方から保持する構成とされている。
【0022】
前方支持柱(支持部)101は、天井部材103の前方側Fと後方側Rの中間位置において、天井部材103の左側Aの端部近傍と右側Bの端部近傍、及び両端部近傍の前方支持柱101の間に間隔(例えば、等間隔)をあけて配置され、立体トラス10を下方から支持している。
【0023】
後方支持柱102は、天井部材103の後方側Rの端部において、天井部材103の左側Aの端部近傍と右側Bの端部近傍、及び両端部近傍の後方支持柱102の間に間隔(例えば、等間隔)をあけて配置され、立体トラス10を下方から支持している。
【0024】
立体トラス(立体トラス構造)10は、前側支持柱101を支持部とし、前方側Fの先端部が自由端とされた片持ちトラス10Fとされている。
また、それぞれの立体トラス(立体トラス構造)10は、左側Aから右側Bに向かって間隔をあけて隣接配置されている。なお、隣接する立体トラス(立体トラス構造)10の間に間隔をあけるかどうかは任意に設定することが可能である。
【0025】
立体トラス(立体トラス構造)10は、
図2〜
図4に示すように、例えば、下弦11と、上弦12と、複数の斜材13と、複数のボールジョイント(ジョイント部)14と、複数の横部材10Mと、を備えている。
【0026】
下弦11は、
図2、
図4に示すように、左右に並行して配置され前後方向(前方側Fから後方側Rに向かう方向)に延在する二つの下弦部材列と、横部材10Mと、を備えている。
また、下弦11は、例えば、同一平面状に形成され、後方側Rに対して前方側Fがわずかに上方に位置されている。
【0027】
下弦部材列は、前後方向に配列された複数の下弦部材110がボールジョイント(ジョイント部)14によって接合された構成とされている。
また、二つの下弦部材列は、前後方向における対応する位置で、横部材10Mによって接合されている。
【0028】
下弦部材110は、例えば、STK400、STK490、STKN400、STKN49により形成され、断面が中空円形に形成された円筒状の軸部材とされていて、軸方向における両端には、先端側が縮径されるコーン部が形成されている。(例えば、
図5に示す上弦部材120と同様の構成とされている。)
【0029】
横部材10Mは、前後方向に間隔をあけて配置され、前後方向において互いに対応する位置で左右の下弦部材列を構成するボールジョイント14同士を接合するように構成されている。なお、横部材10Mは、例えば、STK400、STK490、STKN400、STKN49により形成されている。
【0030】
上弦12は、
図2〜
図4に示すように、前後方向に配列された複数の上弦部材120がボールジョイント(ジョイント部)14によって接合された構成とされている。
【0031】
上弦部材120は、例えば、STK400、STK490、STKN400、STKN49により形成され、
図5に示すように、断面が中空円形に形成された円筒状の軸部材とされていて、軸方向における両端部には、先端側が縮径されるコーン部が形成されている。
【0032】
また、上弦12は、前側支持柱101の後方側Rにおける最初のボールジョイント(ジョイント部)14までの片持ちトラス10Fでは、前方側Fから後方側Rに向かって次第に高くなり、片持ちトラス10Fの後方側Rでは、後方側Rに向かうにしたがってしだいに低くなる構成とされている。
また、上弦12は、
図2、
図4に示すように、例えば、平面視して左右二つの下弦部材列の中央に配置されている。
【0033】
斜材13は、例えば、STK400、STK490、STKN400、STKN49により形成され、
図5に示すように、断面が中空円形に形成された円筒状の軸部材とされていて、軸方向における両端部には、先端側が縮径されるコーン部が形成されている。
また、斜材13は、例えば、ボールジョイント14を介して、下弦部材110と上弦部材120とを接合している。
なお、
図2〜
図4に示す符号13Fは、片持ちトラスの先端(最も前方側F)に位置されて、片持ちトラス10Fの先端部を構成する斜材13を示している。
【0034】
ボールジョイント(ジョイント部)14は、
図5に示すように、例えば、球形に形成されていて、球面には内方に向かって略U字形にくぼむ凹部14Uが形成されている。
また、ボールジョイント14には、球面から凹部14Uに貫通する複数のねじ穴14Tが形成されている。
【0035】
そして、例えば、上弦部材120のコーン部に軸方向に沿って配置されスプリング15Sによって押圧、保持されたボルト15Aや、斜材13のコーン部に軸方向に沿って配置、保持されたボルト15Bが、ねじ穴14Tに螺合される構成とされている。
その結果、上弦部材120や斜材13とボールジョイント14とを接合するとともに、ボールジョイント14を介して上弦部材120と斜材13とを接合するようになっている。
【0036】
なお、上弦部材120、斜材13に、ボルト15A及びスプリング15S、ボルト15Bのいずれを適用するかは任意に設定することが可能である。また、下弦部材110に対して上記構成を適用してもよい。
【0037】
この実施形態に係る立体トラス10において、先端部の斜材13Fを除いて、平面視して下弦11と上弦12が重なる部分はデプス設定領域12Fとされている。
この実施形態において、デプスDとは、デプス設定領域12Fにおける下弦11と上弦の鉛直方向における間隔をいう。
【0038】
そして、立体トラス(立体トラス構造)10は、例えば、片持ちトラス10Fのうち、デプス設定領域12FにおけるデプスDが、後方側(支持部側)Rから前方側(自由端側)Fに向かって次第に小さくなるように設定されたデプス変位部12Eとされている。
この実施形態において、デプス変位部12Eは、片持ちトラス10Fのデプス設定領域12Fの前方支持柱(支持部)101側から前方側(自由端側)Fに向かって全長にわたって形成されている。
また、この実施形態では、デプス変位部12EにおけるデプスDは、例えば、支持柱101からの距離(曲げモーメントの大きさ)に応じて一次関数的に変位するように構成されている。
【0039】
横部材10Jは、例えば、横部材10Mと同様の構成とされていて、立体トラス10の前後方向における任意の位置で、隣接する立体トラス10の下弦11を構成するボールジョイント(ジョイント部)14同士、及び上弦12を構成するボールジョイント(ジョイント部)14同士を左右方向で接合(必要に応じて斜材を用いてもよい)して、隣接する立体トラス10の間にトラス構造を構成している。なお、横部材10Jを配置する位置及び数については適宜設定することが可能である。
【0040】
第1実施形態に係る立体トラス10によれば、片持ちトラス10Fに、デプス変位部12Eが形成されているので、デプス変位部12Eの支持柱101側と自由端側において、下弦部材(トラス部材)110、上弦部材(トラス部材)120、斜材(トラス部材)110、120、13に作用する応力に差が生じるのが抑制され、片持ちトラス10Fの位置によってトラス部材に断面差を設定する必要性が軽減されるので、片持ちトラス10Fを構成するトラス部材の部材断面を小さくすることができる。
その結果、立体トラス(立体トラス構造)10によって、片持ちトラス10Fを有するトラス構造を構成する際に、重量の増大及び建設コストが増加するのを抑制することができる。
【0041】
また、立体トラス10によれば、片持ちトラス10Fのデプス設定領域12Fの前方支持柱(支持部)101側から前方側(自由端側)Fに向かって全長にわたってデプス変位部12Eが形成されているので、立体トラス10を構成する下弦部材(トラス部材)110、上弦部材(トラス部材)120、斜材(トラス部材)130に作用する応力を均等化する(均等に近づける)ことができる。
【0042】
また、立体トラス10によれば、設計自由度が向上するとともに、片持ちトラス10Fを軽量化することが可能となり、片持ちトラス10Fを曲面的に配置して立体トラスの意匠性を向上することができる。
【0043】
<変形例(第1実施形態)>
以下、
図6を参照して、第1実施形態の変形例に係るボールジョイントについて説明する。
図6は、第1実施形態に係る立体トラス構造を構成するボールジョイントの変形例を説明する概略構成図である。
図6において、符号140はボールジョイント(ジョイント部)を示している。
【0044】
ボールジョイント(ジョイント部)140は、
図6に示すように、例えば、球形に形成され、球面に内方に向かってくぼむとともに、内方が拡径された略C字形の凹部14Cが形成されている。
また、ボールジョイント140には、球面から凹部14Cに貫通する複数の貫通穴14Hが形成されている。
【0045】
そして、貫通穴14Hを通じて上弦部材120のコーン部端面に軸方向に沿って形成されたねじ穴12Tや、斜材13のコーン部端面に軸方向に沿って形成されたねじ穴13Tに、凹部14C内に配置したボルト16Aやボルト15Bを螺合させるように構成されている。
【0046】
かかる構成により、上弦部材120や斜材13とボールジョイント140とを接合するとともに、ボールジョイント140を介して上弦部材120と斜材13とを接合するようになっている。なお、下弦部材110に対して上記構成を適用してもよい。
また、ボールジョイント(ジョイント部)14、140以外の構成のボールジョイント(ジョイント部)を用いてもよい。
【0047】
<第2実施形態>
以下、
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る立体トラス構造の概略構成を説明する側面から見た概念図である。
図7において、符号20は立体トラス構造を、符号111〜113は下弦部材を、符号121〜123は上弦部材を、符号130F、131R、131F、132R、132Fは斜材を示している。なお、
図7は、立体トラス構造を部分的に示すものである。また、
図7において、下弦と上弦のデプスの変位(鉛直方向の寸法変化)は便宜上省略している。
【0048】
立体トラス(立体トラス構造)20は、
図7に示すように、例えば、下弦11と、上弦12と、複数の斜材13と、複数のボールジョイント(ジョイント部)14とを備えている。
【0049】
また、立体トラス20は、デプス変位部に形成された断面積変位部を備えている。
断面積変位部は、デプス変位部を構成する下弦部材、上弦部材、斜材13の少なくともいずれかが、支持部側Rの部材断面積に対して自由端側Fの部材断面積が小さく設定されている。
この実施形態においては、断面積変位部において、下弦部材、上弦部材、斜材のすべてが上記構成を満足している。以下、詳細を説明する。
【0050】
下弦11は、
図7に示すように、例えば、下弦部材111と、下弦部材112と、下弦部材113とを備え、支持部が位置される基端側Rから先端側Fに向かってこの順に配置されている。
また、下弦部材111と下弦部材112、下弦部材112と下弦部材113とは、ボールジョイント14によって接合されている。
また、下弦部材111、下弦部材112、下弦部材113は、例えば、長手方向(軸方向)に沿って見たときの断面が中空円形の軸部材とされている。
【0051】
また、下弦部材111、下弦部材112、下弦部材113は、この実施形態において、基端側(片持ちトラスの支持部側)が位置される後方側Rから先端側(自由端側)Fに向かって、部材断面積がしだいに小さくなる構成とされている。すなわち、下弦部材111の外径 > 下弦部材112の外径 > 下弦部材113の外径 となるように設定されている。
【0052】
上弦12は、例えば、上弦部材121と、上弦部材122と、上弦部材123とを備え、支持部が位置される基端側Rから先端側Fに向かってこの順に配置されている。
また、上弦部材121と上弦部材122、上弦部材122と上弦部材123とは、ボールジョイント14によって接合されている。
また、上弦部材121、上弦部材122、上弦部材123は、例えば、長手方向(軸方向)に沿って見たときの断面が中空円形の軸部材とされている。
【0053】
また、上弦部材121、上弦部材122、上弦部材123は、この実施形態において、基端側(片持ちトラスの支持部側)が位置される後方側Rから先端側(自由端側)Fに向かって、部材断面積がしだいに小さくなる構成とされている。すなわち、上弦部材121の外径 > 上弦部材122の外径 > 上弦部材123の外径 となるように設定されている。
【0054】
斜材13は、例えば、斜材130Fと、斜材131Rと、斜材131Fと、斜材132Rと、斜材132Fとを備え、支持部が位置される基端側Rから先端側Fに向かってこの順に配置されている。
また、斜材130F、斜材131R、斜材131F、斜材132R、斜材132Fは、例えば、長手方向(軸方向)に沿って見たときの断面が中空円形の軸部材とされ、下弦11を構成する下弦部材同士を接合するボールジョイント14と、上弦12を構成する上弦部材同士を接合するボールジョイント14を介して、下弦11と上弦12とを接合している。
【0055】
また、この実施形態において、例えば、基端側(片持ちトラスの支持部側)が位置される後方側Rから先端側(自由端側)Fに向かって、斜材130Fの外径 > 斜材131R、斜材131Fの外径 > 斜材132R、斜材132Fの外径 となるように設定されている。
その他は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0056】
なお、下弦部材、上弦部材、斜材のいずれかの部材断面積に差を設定するかは、適宜設定することが可能である。また、隣接する部材ごとに順次断面積差を設定してもよいし、複数ごとに順次断面積差を設定してもよい。
【0057】
第2実施形態に係る立体トラス構造20によれば、下弦部材、上弦部材、斜材が、デプス変位部において、自由端側に近づくにしたがって部材断面積が小さく設定された断面積変位部を備えているので、デプス変位部における支持部側と由端側においてトラス部材に作用する応力を効率的に均等にし、又は近づけることができる。
【0058】
<第3実施形態>
以下、
図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係るトラス構造の概略構成を説明する側面から見た概念図である。
図8において、符号30は立体トラス(立体トラス構造)を、符号30Fは片持ちトラスを示している。
【0059】
立体トラス(立体トラス構造)30は、
図8に示すように、例えば、下弦11と、上弦12と、複数の斜材13と、複数のボールジョイント(ジョイント部)14と、横部材(不図示)とを備えている。
また、立体トラス30は、支持柱(支持部)101から前方側Fが片持ちトラス30Fとされている。
また、片持ちトラス30Fにおける最も前方側Fに位置される先端斜材13Fを除いた後方側Rのデプス設定領域12Fには、片持ちトラス10Fのデプス設定領域12Fの前方支持柱(支持部)101側から前方側(自由端側)Fに向かって全長にわたってデプス変位部12Eが形成されている。
デプス変位部12Eは、下弦11と上弦12の間の寸法が後方側Rよりも前方側が小さく設定されている。
【0060】
下弦11は、側面から見たときに、後方側Rに対して前方側Fがわずかに上方に位置されている。
また、下弦11は、片持ちトラス30Fにおいて、先端部に近づくにしたがって水平に対する傾きが大きくなる下方に突出する曲線状に形成されている。
【0061】
上弦12は、側面から見たときに、後方側Rに対して前方側Fがわずかに上方に位置されている。
また、上弦12は、片持ちトラス30Fにおいて、先端部に近づくにしたがって水平に対する傾きが小さくなる上方に突出する曲線状に形成されている。
その他は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0062】
<第4実施形態>
以下、
図9を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係るトラス構造の概略構成を説明する側面から見た概念図である。
図9において、符号40は立体トラス(立体トラス構造)を、符号40Fは片持ちトラスを示している。
【0063】
立体トラス(立体トラス構造)40は、
図9に示すように、例えば、下弦11と、上弦12と、複数の斜材13と、複数のボールジョイント(ジョイント部)14と、横部材(不図示)とを備えている。
【0064】
また、立体トラス40は、支持柱(支持部)101から前方側Fが片持ちトラス40Fとされている。
また、片持ちトラス40Fにおける最も前方側Fに位置される先端斜材13Fを除いた後方側Rのデプス設定領域12Fには、前後方向における途中に一つのデプス変位部12Eが形成されている。
デプス変位部12Eは、下弦11と上弦12の間の寸法が後方側Rよりも前方側が小さく設定されている。
【0065】
下弦11は、側面から見たときに、略水平に形成されている。
また、上弦12は、側面から見たときに、デプス変位部12Eを除いて略水平に形成されている。その他は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0066】
<第5実施形態>
以下、
図10を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係るトラス構造の概略構成を説明する側面から見た概念図である。
図10において、符号50は立体トラス(立体トラス構造)を、符号50Fは片持ちトラスを示している。
【0067】
立体トラス(立体トラス構造)50は、
図10に示すように、例えば、下弦11と、上弦12と、複数の斜材13と、複数のボールジョイント(ジョイント部)14と、横部材(不図示)とを備えている。
【0068】
また、立体トラス50は、支持柱(支持部)101から前方側Fが片持ちトラス50Fとされている。
また、片持ちトラス50Fにおける最も前方側Fに位置される先端斜材13Fを除いた後方側Rのデプス設定領域12Fには、後方側Rにデプス変位部12Eが形成され、前方側Fにデプス変位部12Gが形成されている。
デプス変位部12E及びデプス変位部12Gは、下弦11と上弦12の間の寸法が後方側Rよりも前方側が小さく設定されている。
なお、デプス変位部12Eとデプス変位部12GのデプスDの変化率は同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
下弦11は、側面から見たときに、略水平に形成されている。
また、上弦12は、側面から見たときに、デプス変位部12E、デプス変位部12Gを除いて略水平に形成されている。
その他は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0070】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、デプス変位部が、1又は2か所形成されている場合について説明したが、デプス変位部の数については任意に設定してもよい。
また、片持ちトラスを側面から見たときの下弦11、上弦12の形状については任意に設定してもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態においては、後方側Rから前方側Fに配置された連続する3つの下弦部材、上弦部材と、これら下弦部材と上弦部材と対応する5つの斜材の部材断面が、順次縮小する場合について説明したが、下弦部材、上弦部材、斜材のいずれかのみが上記構成を備えていればよく、対象とされる数については任意に設定することが可能であり、例えば、隣接するふたつであってもよいし3つ以上の複数を対象としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、トラス構造を構成する下弦部材110、上弦部材120、斜材13が、ボールジョイント14、140においてボルトで接合される場合について説明したが、ボルト以外の締結部材を用いて接合してもよい。
また、ジョイント部の形態については、ボールジョイントに限定されることなく球形以外の多面体を用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、下弦部材110、上弦部材120、斜材13が、軸方向に沿って見たときに、断面が中空円形に形成されている場合について説明したが、これらの断面形状については任意に設定することが可能であり、例えば、中実や多角形に形成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、上弦12が下弦11よりも前方側Fに延在する片持ちトラスである場合について説明したが、例えば、下弦11が上弦12よりも前方側Fに延在し、先端の斜材13Fが下弦11を構成する下弦部材110のジョイント部に接合される片持ちトラスに適用してもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、下弦部材、上弦部材、斜材、横部材を互いに接合する際に、ボールジョイント(ジョイント部)を適用する場合について説明したが、ジョイント部の構成につては適宜設定することが可能である。例えば、ノードであるボールジョイント(ジョイント部)、コーン部、ボルト等を有するトラス用機械式継手に代えて、又はトラス用機械式継手とともに高力ボルト接合による接合を適用してもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、建築物100が、支持部101に対して一方側(前方側F)に片持ちトラス10Fを備える場合について説明したが、例えば、
図1に示す符号R側にも片持ちトラスが形成されていてもよい。
また、基端側Rから先端側Fを見たときの左側Aと右側Bのいずれか一方又は双方に形成された複数の片持ちトラスを備えていてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【課題】立体トラスによって片持ちトラスを有するトラス構造を構成する際に、重量の増大及び建設コストが増加するのを抑制することが可能な立体トラス構造を提供すること。
【解決手段】複数の下弦部材110がジョイント部14で接合された下弦11と、複数の上弦部材120がジョイント部14で接合された上弦12と、前記ジョイント部14を介して前記下弦11と前記上弦12とを接合する複数の斜材13と、を有し、支持柱101により支持された片持ちトラス10Fを有する立体トラス構造10であって、前記片持ちトラス10Fには、デプスが前記支持柱101側から自由端側に向かって次第に小さくなるように設定されたデプス変位部12Eが形成されていることを特徴とする。