特許第6496886号(P6496886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496886
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】天井吊り下げ固定具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   A47G29/00 H
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-165570(P2014-165570)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-32618(P2016-32618A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年6月8日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】512258344
【氏名又は名称】榎本 貴子
(72)【発明者】
【氏名】榎本 泰久
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4756499(US,A)
【文献】 特開2012−210369(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3112101(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3070879(JP,U)
【文献】 実開昭63−10979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00
A47G 1/16
A47G 29/00
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面の被固定材に設置して物品を吊り下げる固定具において、
固定具本体は、固定部と、押し上げ部と、フック部を備え、
前記固定具本体は、金属或いはプラスチックから成り、
前記固定部は、天井面と接する平面形状で、前記固定具本体の中央部付近から後方に向かい設置され、前記固定具本体後方で前記固定部後端が繋がり、前記固定部中央部側と両側がスリットにより前記固定具本体と分離し、且つ複数のピンを角度を変えて天井面に打ち込める2箇所以上の貫通孔を有し、
前記押し上げ部は、前記固定具本体後方に設置され天井面と当接し、
前記フック部は、前記固定具先端に設置され、フック形状を形成し、
前記フック部に物品を吊し荷重が掛かると、前記固定部を除く前記固定具本体全体が湾曲し、且つ前記押し上げ部を押し上げ、前記固定部に直接荷重が掛かり難い状態を形成する事を特徴とする天井吊り下げ固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として石膏ボード等により形成されている天井の被固定材に垂直方向に重力の掛る重量物を吊り下げる場合 被固定材に対して高い耐荷重性能を有して刺し込んだピンが抜け落ちることなく 安定した支持状態を維持できる天井吊り下げ固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の比較的軟弱な材質(たとえば石膏ボード等)の被固定材に用いられる固定具は直接ピンを刺し込み 耐荷重性能と保持力を維持する為 ピンが簡単に抜けない機能を付加している。たとえばピンの長さを長くしたり、太くしたり、曲げたりして形状に変化を持たせると共に 複数本のピンを用いて耐荷重性能を向上させている。さらに2本以上のピンを用い2方向以上からピンの刺し込む角度を変え 刺し込まれたピンが石膏ボードの中で非平行の関係を保ち 荷重に対して2方向以上のピンでそれぞれのピンの抜けを抑制して支える構造を取っている。
【0003】
このように 刺し込むピンの形状、本数、刺し込む方向と角度に変化を持たせることにより固定具の重量物を支える性能を保持している。しかし壁面等に固定する場合は荷重がピンの横方向全体に掛り支える為 性能を保ち易く本数を増やすことで耐荷重性能も向上するが 天井の被固定材に刺し込んだピンに対し垂直もしくは垂直に近い荷重が掛る場合は 刺し込んだピンと石膏ボードの接触部と刺し込んだピンの角度で形成される面で支えるだけであり 刺し込んだピンは抜け易く重量物を吊り下げる性能を充分に満たすことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開2010−162775
特許文献1の石膏ボード用画鋲は 針をさし込んだら抜けない機能を果たす為 壁面に対し垂直にさし込む針(垂直針)を有する台座と 壁面に対し斜めにさし込む針(傾斜針)を有する台座を可動状態で連結させ 前方の台座の垂直針を壁面にさし込んだ後前方の台座の内部を貫通する後方台座の傾斜針を壁面にさし込むことにより 前方の台座から壁に向けて2種類の方向から針をさし込んだ状態を実現するとし 垂直針と傾斜針が壁内で非平行の関係を保つことで耐荷重性能を高め抜けの発生を防止する機能を有する石膏ボート用画鋲を提供することを課題としている。
【0005】
上記石膏ボード用画鋲は 2方向から針をさし込んで垂直針と傾斜針が壁内で非平行の関係を保ち 吊り下げる重量物の荷重に耐え 針の抜けの発生を防止するとしているが さし込んだ針だけで支える為 たとえば垂直方向に荷重が掛る天井面では 効果が薄く重量の重い物品を吊るす事は難しい。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は 天井の被固定材に吊り下げる固定具の耐荷重性能、保持力を向上させる為 固定具を固定する部分(固定部)に複数本のピンを角度を変えて刺し込んで固定する他 固定具の端付近の重量物が吊り下がる力で上へ上昇する部分(押し上げ部)を利用して当接する天井面を押し上げる力で荷重を支え ピンで固定している固定部の荷重負荷を軽減し固定部と押し上げ部の複数個所で重量物を支える構造を有した高い耐荷重性能を実現する天井吊り下げ固定具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、天井の被固定材に当接する固定具に開けられた孔を貫通してピンを刺し込む固定部と重量物を吊るして垂直方向に荷重が掛った時に押し上げられる固定具端付近で天井面に当接する押し上げ部と物品を吊るす固定具先端のフック部から形成される天井吊り下げ固定具において 耐荷重性能を向上、保持する方策として 固定部に2方向以上から角度を変えてピンを刺し込むと共に固定具端付近の天井面に当接する押し上げ部が重量物を吊り下げると上昇する力を利用して固定部と押し上げ部に掛る力が均衡する状態になり 固定部のピンの荷重負荷を軽減しピンが抜けに難くなる状態を保つことが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば 垂直に荷重が掛る為ピンが抜け易く ピンの形状、本数、刺し込み方で天井の被固定材との接触面を広げても耐荷重性能を向上させることが難しい天井に設置する天井吊り下げ固定具において 複数のピンを複数の方向、角度から刺し込み固定するだけでなく垂直方向に掛る荷重により天井面と当接する固定具端付近が上昇して天井面を押し上げる押し上げ部を設置することにより 複数個所で重量物を均衡して支える構造でピンを刺し込んだ固定部に掛る荷重を軽減し 固定具全体の耐荷重性能を向上させることが出来る。又天井の被固定材に刺し込まれた埋設されたピンにおいて 一部のピンを押し上げ部と同一方向に角度をつけて刺し込み さらに押し上げ部方向にピンを曲げた形状にすることで押し上げ部と埋設されたピンが天井の被固定材を挟み込んだ状態で均衡し支えあい荷重に対してより高い保持状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】天井吊り下げ固定具の正面図
図2】天井吊り下げ固定具の上面図
図3】天井吊り下げ固定具の斜視図
図4】天井吊り下げ固定具を天井面に取り付けた詳細図
図5】天井吊り下げ固定具を天井に取り付けた全体図
図6】天井吊り下げ固定具を4方向から連結させた図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施形態を 図面を参照に説明する。
図1は 天井吊り下げ固定具1の正面から見た全体像を示す。天井の被固定材に固定する固定部10と物品を吊り下げるフック部12とフック部12に物品を吊り下げた時に垂直方向に掛る荷重により上方向に上昇する押し上げ部11から構成され 天井の被固定材としっかり固定が出来 物品を吊るした時に掛る荷重に耐えうる強靭性と弾力性を備えた材質(金属、プラスチック等)で形成されている。固定部10、フック部12、押し上げ部11は一体となって形成されており 固定部10が複数本のピンで複数方向、角度で刺し込まれ固定された状態でフック部12に物品を掛けると固定部以外のフック部に連なる固定具全体がたわみ湾曲することで固定部端付近の天井面に当接する押し上げ部11が上昇し天井の被固定材を押し上げ荷重を支えて固定部10に掛る荷重を軽減する。押し上げ部11と隣接する固定具端に設置された滑り止め13は押し上げ部11が上昇して当接する天井面を押し上げ荷重を支える時 下方向への擦れ落ちを防止する。
【0011】
図2は 天井吊り下げ固定具1を真上から見た全体図を示している。固定部10は固定具全体の幅方向の中央部に一部接続した状態でスリット10bにより切り離されて配置され 固定部10は開けられた孔10aを貫通して刺し込まれたピンで天井の被固定材に固定され 荷重が掛ると固定部10を除いた固定具全体が湾曲する構造になっている。これにより固定部10が荷重方向の真上付近に位置していても直接固定部には荷重は掛らず、湾曲して天井面を押し上げる押し上げ部11で荷重を支える為 固定部10に掛る荷重を軽減できる。
【0012】
図3は 天井吊り下げ固定具1を斜め上から見た全体像を示す。固定部10と押し上げ部11とそれに連なるフック部12の配置が示されている。フック部12に荷重が掛った時固定具全体が下方向に下がるが 固定部10はピンにより天井の被固定材に固定されている為 固定部10を除く固定具全体が湾曲する。固定部10と固定具は一部が接続しているがスリット10bで切り離されている為 固定部10を除く固定具全体が湾曲しやすい状態になり 固定部に直接荷重が掛り難く、さらに天井面に当接する押し上げ部11が上昇し荷重を支える為固定部10に掛る荷重を軽減し固定部10のピンが抜け落ちるのを防ぐ。
【0013】
図4は 天井の被固定材に天井吊り下げ固定具1を複数本のピンを固定部10に刺し込み固定し フック部12に重量物をを吊るし固定具全体が下にたわんだ状態を示している。重量物を吊るすと固定具全体が下方向に湾曲し 押し上げ部11が当接する天井面を押し上げる力で固定具を支え 又押し上げ部の押し上げる力と天井の被固定材に異なった角度、方向から刺し込まれた固定部10の複数本のピンの内押し上げ部方向に下方に曲がった状態で埋設されたピン10cが 被固定材を挟んで支えあって均衡し荷重が掛ってもピンが抜けることなく安定した状態を保ち又固定具端の滑り止め13は荷重が掛った固定具が下にずり落ちるのを防ぐ。
【0014】
図5は 天井の被固定材に天井吊るし固定具1を設置し 重量物を吊り下げた状態を示す全体像である。部屋の天井の任意の場所に固定具を設置でき 重量のある物品を安定して保持し吊るすことが出来る。
【0015】
図6は 天井吊り下げ固定具1を 4方向、4ヶ所で固定して連結して一体化させた場合の構造を示した図である。固定部10、押し上げ部12、滑り止め部13を4ヶ所設置し 4方向から連なる固定具の中心にフック部12を設置している。この様に複数方向、複数ヶ所に固定部10、押し上げ部11、滑り止め13を設置すると 中心のフック部12に重量物を吊るした時の耐荷重性能を大幅に向上することが出来る。
【符号の説明】
【0016】
1 天井吊り下げ固定具本体
10 天井吊り下げ固定具固定部
10a 天井吊り下げ固定具固定部ピン孔
10b 天井吊り下げ固定具固定部スリット
10c 天井吊り下げ固定具固定部ピン(押し上げ部と均衡を形成する箇所)
11 天井吊り下げ固定具押し上げ部
12 天井吊り下げ固定具フック部
13 天井吊り下げ固定具滑り止め
図1
図2
図3
図4
図5
図6