特許第6496924号(P6496924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6496924ワーク円筒部の形状測定方法および形状測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496924
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ワーク円筒部の形状測定方法および形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20190401BHJP
   G01B 5/20 20060101ALI20190401BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G01B21/20 C
   G01B5/20 C
   G01B11/24 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-53866(P2015-53866)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-173320(P2016-173320A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】花岡 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】柴本 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】高 偉
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】伊東 聡
(72)【発明者】
【氏名】町田 裕貴
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−036713(JP,A)
【文献】 特開2000−258150(JP,A)
【文献】 特開2006−125893(JP,A)
【文献】 特開2011−257151(JP,A)
【文献】 特開平11−118472(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0124970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01B 5/00 − 5/30
G01B 21/00 − 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の円筒部を備えたワークを、多角形部分を備えたワーク保持具によって保持し、
前記多角形部分を規定している複数の外周側面の一つを用いて、前記ワーク保持具に保持された前記ワークの前記円筒部をその中心軸線回りの一つの回転位置に位置決めすることで、前記円筒部の外周面の一部分を、プロファイル測定機の測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に置き、
前記測定プローブにより、前記走査経路上あるいは測定領域内に位置する前記外周面の一部分の円弧形状を測定し、
前記多角形部分を規定する残りの前記外周側面のそれぞれを順次に用いて、前記ワークの前記円筒部を前記中心軸線回りの異なる回転位置に順次に位置決めして、前記測定プローブによる前記円筒部の外周面の各部分の円弧形状を順次に測定する測定動作を繰り返し、
測定された複数の前記円弧形状を繋ぎ合わせて、前記ワークの前記円筒部の円周形状を得ることを特徴とするワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項2】
前記走査経路あるいは前記測定領域は、前記円筒部の前記中心軸線に直交する方向に直線状に延びる経路あるいは領域である請求項1に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項3】
前記測定プローブは、触針式のもの、あるいは、光学式のものである請求項1に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項4】
前記回転位置のそれぞれにおいて、前記測定プローブの前記走査経路あるいは前記測定領域として、前記円筒部の外周面に沿って前記中心軸線の方向に延びる経路あるいは領域を設定して、前記円筒部の円筒形状を測定する請求項1に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項5】
前記走査経路上あるいは前記測定領域内に位置する前記円筒部の外周面部分が、所定角度だけ重なった状態で順次に切り替わるように、前記多角形部分の各外周側面は、前記円筒部を前記中心軸線回りの複数の前記回転位置に位置決めする請求項1に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項6】
前記ワーク保持具の前記多角形部分を、辺数がn(n:3以上の整数)の前記外周側面によって規定される正多角柱とし、
前記回転位置のそれぞれを、回転角θが360°/nずつ回転した回転位置とし、
前記走査経路上あるいは前記測定領域内に位置する前記円筒部の外周面部分の円弧形状のそれぞれを、前記中心軸線を中心とする開き角φが回転角θよりも大きい円弧形状とする
請求項5に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項7】
測定した前記円弧形状のそれぞれを繋ぎ合わせて前記円筒部の前記円周形状を得る工程では、
隣り合う一対の前記回転位置を第1の回転位置および第2の回転位置とし、前記第1、第2の回転位置のそれぞれにおいて測定された前記円弧形状を第1円弧形状および第2円弧形状とすると、
前記第1、第2円弧形状のデータからそれぞれの円弧の中心点を求め、これらの中心が設定された共通の原点に重なるように第1、第2円弧形状を移動させ、
前記第2円弧形状を、前記原点を中心として既知の前記回転角θだけ相対的に回転させて、前記第1、第2円弧形状の間に、前記回転角θと前記開き角φによって定まる角度範囲だけ重なり合う領域を形成し、当該領域に含まれる第1円弧形状と回転演算後の前記第2円弧形状から、最小二乗円を求め、
前記第1、第2円弧形状の曲率半径が、前記最小二乗円の半径に一致するように、補正演算を施す
請求項6に記載のワーク円筒部の形状測定方法。
【請求項8】
測定対象の円筒部を備えたワークを保持するワーク保持具と、
前記ワーク保持具を搭載して位置決めするマウント台と、
前記ワーク保持具によって保持された状態で前記マウント台上に位置決めされる前記ワークの前記円筒部の円周形状を測定するプロファイル測定機と、
を有しており、
前記ワーク保持具は複数の外周側面によって規定される多角形部分を備え、前記外周側面のそれぞれは、前記ワークの前記円筒部をその中心軸線回りの1回転内の複数の回転位置に位置決めする位置決め面であり、
前記プロファイル測定機は、前記回転位置のそれぞれに位置決めされた前記円筒部の外周面における前記中心軸線を中心とする所定の開き角の円弧形状を測定する測定プローブを備えていることを特徴とするワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項9】
前記測定プローブの走査経路あるいは測定領域は、前記円筒部の前記中心軸線に直交する方向に直線状に延びる経路あるいは領域である請求項8に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項10】
前記測定プローブは、触針式のもの、あるいは、光学式のものである請求項8に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項11】
前記ワーク保持具および前記測定プローブを、前記ワーク保持具に保持された前記ワークの前記円筒部の前記中心軸線の方向に相対的に移動させる移動ステージ機構を有しており、
前記プロファイル測定機は、前記回転位置のそれぞれにおいて、前記測定プローブを、前記円筒部の外周面に沿って前記中心軸線の方向に1回または複数回に亘って相対的に移動させることにより走査して、前記円筒部の円筒形状を測定する請求項8に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項12】
前記測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に位置する前記円筒部の外周面部分が、所定角度だけ重なった状態で順次に切り替わるように、前記多角形部分の各外周側面あるいは各内周側面は、前記円筒部を前記中心軸線回りの複数の前記回転位置に位置決めする請求項8に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項13】
前記ワーク保持具の前記多角形部分は、辺数がn(n:3以上の整数)の前記外周側面によって規定される正多角柱であり、
前記回転位置のそれぞれは、回転角θが360°/nずつ回転した回転位置であり、
前記測定プローブの前記走査経路上あるいは前記測定領域内に位置する前記円筒部の外周面部分の円弧形状のそれぞれは、前記中心軸線を中心とする開き角φが回転角θよりも大きい円弧形状である
請求項12に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【請求項14】
測定した前記円弧形状のそれぞれを繋ぎ合わせて前記円筒部の前記円周形状を得る測定データ処理部を有しており、当該測定データ処理部は、
隣り合う一対の前記回転位置を第1の回転位置および第2の回転位置とし、前記第1、第2の回転位置のそれぞれにおいて測定された前記円弧形状を第1円弧形状および第2円弧形状とすると、
前記第1、第2円弧形状のデータからそれぞれの円弧の中心点を求め、これらの中心が設定された共通の原点に重なるように第1、第2円弧形状を移動させ、
前記第2円弧形状を、前記原点を中心として既知の前記回転角θだけ相対的に回転させて、前記第1、第2円弧形状の間に、前記回転角θと前記開き角φによって定まる角度範囲だけ重なり合う領域を形成し、当該領域に含まれる第1円弧形状と回転演算後の前記第2円弧形状から、最小二乗円を求め、
前記第1、第2円弧形状の曲率半径が、前記最小二乗円の半径に一致するように、補正演算を施す
請求項13に記載のワーク円筒部の形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの微小径の円筒部(円柱部)の外周面形状、一般的には、ローラーベアリング、転がり案内等の精密機構に用いられる微小径の円筒体(円柱体)の外周面形状を精密に測定可能なワーク円筒部の形状測定方法、および当該方法を用いたワーク円筒部の形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラーベアリングや転がり軸受けなどの精密機構においては、径が数ミリメートル程度の微小円筒体が多用されている。微小円筒体の形状は、精密機械の性能を大きく左右する重要な要素であり、その精度保証には高精度な形状測定機による適切な工具管理が必要である。円筒体の形状を評価するためのパラメータは、ISOなどの国際規格によって細かく制定されており、例えば、真の円形状からのずれに相当する真円度がワークの精度を表すパラメータとしてよく用いられている。
【0003】
円筒体の形状を評価する従来手法として、直径法、三点法および半径法が挙げられる。直径法は、ワーク表面の相対する2点間距離として得られる直径のばらつきを評価する手法である。特に、実際の製造現場においては、作業の簡便さから、マイクロメータによる直径法での評価が良く行われている。マイクロメータでは、ワーク表面の相対する2か所を挟んで径を測定するが、挟む箇所を移動しながら繰り返しワークの径を測定して得られた最大直径と最小直径の差から、真円度が評価できる。しかし、この手法では等径ひずみ円の測定ができない。
【0004】
三点法は、V字溝を有する治具上にワークを置き、この治具上でワークを回転しながら、ダイヤルゲージ等を用いて読み取ったワーク表面の変位情報をもとに真円度を評価する手法である。直径法では測定できない等径ひずみ円を比較的簡易な装置で高精度に測定可能である。しかしながら、楕円形状の測定が出来ず、また、測定分解能に乏しい。さらに、得られる形状プロファイル情報は離散的なデータであり、測定点数が少ない場合には、得られる真円度の信頼度が低い。
【0005】
半径法は、スピンドル等を用いてワークを回転することで、ワーク表面を変位プローブで走査し、得られた連続的な変位プローブ出力データから、ワークの円筒形状および真円度を評価する手法である。高精度なスピンドルおよび変位プローブを用いることで、ワーク全周に亘って高精度かつ連続的なプロファイル情報を得ることができる。また、プロファイル情報から得られる真円度は信頼性が高いものとなるので、精密機構に用いられる円筒体の測定には、半径法を原理とした測定機が主に用いられている。
【0006】
これらの手法は、例えば、次の特許文献1、非特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−205855号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H.Oswaldo等,精密工学会誌,57(12)pp.2231−2236(1001)
【非特許文献2】横田篤也等,精密工学会誌,67(3)pp.483−487(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、半径法においては、ワーク軸と、ワークを回転するスピンドルの回転軸とのずれ(偏心)、およびワーク軸のスピンドル回転軸に対する傾き(倒れ)が測定結果に無視できない誤差として含まれることになる。近年の専用測定機においては、本測定を行う前に、ワークの高さ位置の異なる2断面に対して予備測定を実施し、得られたデータをもとに、これら偏心と傾きに起因する誤差を補正し、精密な形状想定を実現している。
【0010】
しかしながら、測定対象であるワークの径が、数ミリメートルあるいはサブミリメートルと小さい場合には、スピンドル上におけるワークの保持が困難となる。また、仮に保持できたとしても、ワークの偏心および傾きに起因する誤差がワーク径に対して相対的に大きくなり、精度の高い補正が困難になると共に、ワークを回転するスピンドルの運動誤差が無視できなくなってくる。
【0011】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、小径の円筒部を有するワークにおける円筒部の全周プロファイルあるいは全体として小径の円筒形状をしたワークの全周プロファイルを、ワークの偏心や傾き、スピンドルの運動誤差などに影響されることなく、高精度に測定可能なワーク円筒部の形状測定方法および形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のワーク円筒部の形状測定方法は、
測定対象の円筒部を備えたワークを、多角形部分を備えたワーク保持具によって保持し、
前記多角形部分を規定している複数の外周側面の一つを用いて、前記ワーク保持具に保持された前記ワークの前記円筒部をその中心軸線回りの一つの回転位置に位置決めすることで、前記円筒部の外周面の一部分を、プロファイル測定機の測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に置き、
前記測定プローブにより、前記走査経路上あるいは測定領域内に位置する前記外周面の一部分の円弧形状を測定し、
前記多角形部分を規定する残りの前記外周側面のそれぞれを順次に用いて、前記ワークの前記円筒部を前記中心軸線回りの異なる回転位置に順次に位置決めして、前記測定プローブによる前記円筒部の外周面の各部分の円弧形状を順次に測定する測定動作を繰り返し、
測定された複数の前記円弧形状を繋ぎ合わせて、前記ワークの前記円筒部の円周形状を得ることを特徴としている。
【0013】
本発明の方法では、多角形部分を備えたワーク保持具と変位測定手段である測定プローブとを用いて、測定対象であるワークの円筒部の形状を複数の円弧形状に分割して測定し、測定によって得られる複数の円弧形状を繋ぎ合わせて(スティッチング処理を施して)、ワークの全周プロファイルを得るようにしている。
【0014】
ワークの円筒部の円周面を複数の円弧形状に分割して測定し、これらの円弧形状を繋ぎ合わせて円周面形状を算出することにより、ワーク保持具に保持されるワークの偏心や傾きによる影響を回避あるいは抑制して、小径の円筒部の精密測定を実現できる。また、ワーク保持具に形成した複数の外周側面によって規定される多角形部分を、ワークの円筒部の回転位置決め用の面として用いているので、複雑で精度の高い高価な回転機構を用いることなく、ワークの円筒部の回転位置決めを高精度に行うことができる。
【0015】
これにより、本発明の方法によれば、微小径のワーク円筒部の形状測定を高精度で行うことのできる廉価なワーク円筒部の形状測定方法を実現できる。また、高精度に測定された円筒部の形状データに基づき、微小径の円筒部の真円度を精度良く評価することができる。
【0016】
本発明の方法において、典型的には、測定プローブの走査経路あるいは測定領域は、ワークの円筒部の中心軸線に直交する方向に直線状に延びる経路あるいは領域に設定される。例えば、走査型の測定プローブでは、ワークの円筒部の外周面に沿って中心軸線に直交する方向に相対的に移動させることにより走査して、円弧形状のそれぞれを測定する。
【0017】
前記測定プローブとしては、触針式のもの、あるいは、光学式のものを用いることが可能である。光学式の場合には例えば光切断法による三次元計測技術を用いることができる。
【0018】
本発明の方法において、前記の回転位置のそれぞれにおいて、測定プローブの走査経路あるいは測定領域として、ワークの円筒部の外周面に沿ってその中心軸線の方向に延びる経路あるいは領域を設定すれば、ワークの円筒部の円筒形状を測定することができる。例えば、走査型の測定プローブの場合には、測定プローブを、円筒部の外周面に沿って中心軸線の方向に1回または複数回に亘って相対的に移動させることにより走査して、円筒部の円筒形状を測定することができる。このようにすれば、測定データに基づき、微小な円筒部の真円度の評価だけでなく、その円筒度の評価も精度良く行うことができる。
【0019】
本発明の方法においては、測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に位置するワークの円筒部の外周面部分が、所定角度だけ重なった状態で順次に切り替わるように、ワーク保持具の多角形部分の各外周側面によって、ワークの円筒部を、その中心軸線回りの複数の回転位置に位置決めするようにしている。
【0020】
この場合には、ワーク保持具の多角形部分を、例えば、外周側面の辺数がn(n:3以上の整数)の正多角柱とすれば、前記回転位置のそれぞれが、回転角θが360°/nずつ回転した回転位置となる。測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に位置するワークの円筒部の外周面部分の円弧形状のそれぞれを、中心軸線を中心とする開き角φが回転角θよりも大きい円弧形状とすることが望ましい。
【0021】
このようにすれば、測定した円弧形状のそれぞれを繋ぎ合わせてワークの円筒部の円周形状を得る工程において、測定された円弧形状のそれぞれに対して次のようにして、ワークの円筒部の円周形状を求めることができる。
【0022】
すなわち、隣り合う一対の回転位置を第1の回転位置および第2の回転位置とし、第1、第2の回転位置のそれぞれにおいて測定された円弧形状を第1円弧形状および第2円弧形状とする。まず、第1、第2円弧形状のデータからそれぞれの円弧の中心点を求め、これらの中心が設定された共通の原点に重なるように第1、第2円弧形状を移動させる。次に、第2円弧形状を、原点を中心として既知の回転角θだけ相対的に回転させて、これらの間に、回転角θと開き角φによって定まる角度範囲だけ重なり合う領域を形成し、当該領域に含まれる第1円弧形状と回転演算後の第2円弧形状から、最小二乗円を求める。そして、第1、第2円弧形状の曲率半径が、求まった最小二乗円の半径に一致するように、補正演算を施す。
【0023】
次に、本発明は、上記のワーク円筒部の形状測定方法に用いるワーク円筒部の形状測定装置であって、
測定対象の円筒部を備えたワークを保持するワーク保持具と、
前記ワーク保持具を搭載して位置決めするマウント台と、
前記ワーク保持具によって保持された状態で前記マウント台上に位置決めされる前記ワークの前記円筒部の円周形状を測定するプロファイル測定機と、
を有しており、
前記ワーク保持具は複数の外周側面によって規定される多角形部分を備え、前記外周側面のそれぞれは、前記ワークの前記円筒部をその中心軸線回りの1回転内の複数の回転位置に位置決めする位置決め面であり、
前記プロファイル測定機は、前記回転位置のそれぞれに位置決めされた前記円筒部の外周面における前記中心軸線を中心とする所定の開き角の円弧形状を測定する測定プローブを備えていることを特徴としている。
【0024】
ここで、測定プローブの走査経路あるいは測定領域は、ワークの円筒部の中心軸線に直交する方向に直線状に延びる経路あるいは領域とすることができる。測定プローブは、触針式のもの、あるいは、光学式のものとすることができる。
【0025】
本発明のワーク円筒部の形状測定装置は、ワーク保持具および測定プローブを、ワーク保持具に保持されたワークの円筒部の中心軸線の方向に相対的に移動させる移動ステージ機構を有していることが望ましい。この場合には、プロファイル測定機は、回転位置のそれぞれにおいて、測定プローブを、ワークの円筒部の外周面に沿ってその中心軸線の方向に1回または複数回に亘って相対的に移動させることにより走査して、ワークの円筒部の円筒形状を測定することができる。
【0026】
本発明のワーク円筒部の形状測定装置において、測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に位置するワークの円筒部の外周面部分が、所定角度だけ重なった状態で順次に切り替わるように、ワーク保持具の多角形部分の各外周側面は、ワークの円筒部をその中心軸線回りの複数の回転位置に位置決めすることが望ましい。
【0027】
この場合、ワーク保持具の多角形部分を、例えば、その外周側面の辺数がn(n:3以上の整数)の正多角柱とすると、回転位置のそれぞれは、回転角θが360°/nずつ回転した回転位置となる。測定プローブの走査経路上あるいは測定領域内に位置するワークの円筒部の外周面部分の円弧形状のそれぞれを開き角φが回転角θよりも大きい円弧形状とすればよい。
【0028】
また、本発明のワーク円筒部の形状測定装置は、測定した円弧形状のそれぞれを繋ぎ合わせてワークの円筒部の円周形状を得る測定データ処理部を有している。当該測定データ処理部は次のように円弧形状の繋ぎ合わせ処理を行う。すなわち、隣り合う一対の回転位置を第1の回転位置および第2の回転位置とし、これら第1、第2の回転位置のそれぞれにおいて測定された円弧形状を第1円弧形状および第2円弧形状とする。測定データ処理部はまず、第1、第2円弧形状のデータからそれぞれの円弧の中心点を求め、これらの中心が設定された共通の原点に重なるように第1、第2円弧形状を移動させる。次に、第2円弧形状を、原点を中心として既知の回転角θだけ相対的に回転させて、第1、第2円弧形状の間に、回転角θと開き角φによって定まる角度範囲だけ重なり合う領域を形成し、当該領域に含まれる第1円弧形状と回転演算後の前記第2円弧形状から、最小二乗円を求める。そして、第1、第2円弧形状の曲率半径が、最小二乗円の半径に一致するように、補正演算を施す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態1に係る円筒体形状測定装置を示す概念図である。
図2】円筒体の円周形状の測定方法を示す説明図である。
図3】円筒体の円周形状の測定手順を示す概略フローチャートである。
図4図3のステップST5におけるスティッチング処理(隣り合う円弧形状の繋ぎ合わせの手順)を示す説明図である。
図5】測定プローブを走査して得られた円弧形状の例を示すグラフである。
図6】測定プローブを走査して得られた隣り合う円弧形状の重ね合わせ前の状態を示すグラフおよび重ね合わせ操作後の状態を示すグラフである。
図7】複数の円弧形状を繋ぎ合わせて生成された円周形状測定結果を示すグラフである。
図8】複数の円弧形状を繋ぎ合わせて生成された円周形状測定結果を基に真円度を評価した結果を示すグラフである。
図9】市販の真円度測定機で真円度誤差を評価した結果のグラフ、および、同一対象物を本発明による円周形状測定結果を基に真円度誤差を評価した結果のグラフである。
図10】本発明の実施の形態2に係る円筒体形状測定装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したワーク円筒体の形状測定装置の実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、測定対象のワークがローラーベアリング等に用いられる微小径のローラーなどのように全体形状が円筒体であるが、本発明は一部に円筒部を備えたワークにおける円筒部の形状測定にも適用可能である。
【0031】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る円筒体形状測定装置の基本構成を示す概念図である。円筒体形状測定装置1(以下、「形状測定装置1」と呼ぶ。)は、測定対象のワークである円筒体wを保持するワーク保持具2と、ワーク保持具2が搭載されるマウント台3と、円筒体wの外周面の円弧形状を測定する測定プローブ4を備えたプロファイル測定機5と、制御盤1Aとを備えている。
【0032】
ワーク保持具2は、円筒体wを保持するワークチャック2aと、外周面が多角形部分2bとなっている保持具本体部2cとを備えている。本例の保持具本体部2cは全体として正八角柱をしており、その中心軸線の方向に延びる平坦な8つの外周側面2dによって規定されている。多角形部分2bが保持具本体部2cの一部分に形成されていてもよい。
【0033】
マウント台3は、ワーク保持具2を搭載して位置決めする保持具支持面3aと、ワーク保持具2に保持された円筒体wを支持するワーク支持部3bとを備えている。保持具支持面3aは、ワーク保持具2に取り付けた円筒体wをその中心軸線wa回りの1回転内の複数の回転位置に位置決めするための位置決め面として、ワーク保持具2の多角形部分2bを規定する複数の外周側面2dのそれぞれを用いるように構成されている。
【0034】
ワーク保持具2の多角形部分2bの外周側面2dのうちのいずれをマウント台3の側の保持具支持面3aに接触させた状態に位置決めするのかによって、ワーク保持具2の回転位置が規定される。本例では、回転角度θ=360°/8ずつの8つの回転位置に回転した状態でワーク保持具2をマウント台3に位置決め可能となっている。したがって、ワーク保持具2に保持されている円筒体wも同一の回転角度で回転した8つの回転位置に位置決めされる。なお、ワーク保持具2を位置決めするための昇降・回転機構1Bが付設されている。
【0035】
プロファイル測定機5の測定プローブ4は、回転位置のそれぞれに位置決めされた円筒体wの外周面を、その中心軸線waに直交する方向に走査して、中心軸線waを中心とする所定の開き角の円弧形状を測定する。本例の測定プローブ4は接触式のものであるが、測定プローブ4としては非接触型のもの、例えば光学式のものであってもよい。光学式の
プロファイル測定機としては、プローブの走査を要さずに、円筒体wの円弧形状を測定できる形式のものであってもよいことは勿論である。
【0036】
いずれの場合においても、走査式の測定プローブ4の場合には、その走査方向が円筒体wの中心軸線waの方向に対して直交する方向となるように、円筒体wは、ワーク保持具2およびマウント台3を用いて位置決めされる。また、測定プローブが走査を要しない場合には、その測定領域が、中心軸線waに直交する方向に直線状に延びる領域となるように設定される。
【0037】
制御盤1Aは、プロファイル測定機5によって測定された円弧形状のデータを演算する測定データ処理部1aと、各部の駆動を制御する駆動制御部1bを備えている。測定データ処理部1aでは、プロファイル測定機5によって測定された円弧形状のそれぞれのデータを繋ぎ合わせて、円筒体wの全周に亘る円周形状を生成する。また、生成された円周形状のデータに基づき真円度を評価する機能が備わっていても良い。
【0038】
形状測定装置1においては、測定プローブ4の走査精度がそのまま円筒体wの円周形状の測定精度に反映されるので、測定精度の高いプロファイル測定機を用いることが望ましい。また、ワーク保持具2およびマウント台3も精度良く加工されたものであることが望ましい。
【0039】
なお、図1において、マウント台3に搭載されるワーク保持具2の中心軸線の方向をY方向、これに直交する方向である測定プローブ4の走査方向をX方向、これらX、Y方向に直交する方向をZ方向として示してある。
【0040】
(円周形状の測定方法)
図2は形状測定装置1による円筒体wの測定方法の説明図であり、図3はその概略フローチャートである。図2においては、円筒体w、ワーク保持具2、マウント台3、プロファイル測定機5の測定プローブ4の位置関係、これらと測定プローブ4の走査軌道(走査経路)との位置関係、測定された円弧形状、および測定された円弧形状を繋ぎ合わせて円筒体wの円周形状を生成する手順を示してある。
【0041】
まず、図2(a1)に示すように、マウント台3によって、円筒体wはワーク保持具2によって保持された状態で、測定プローブ4に対して、X、Y、Z方向に位置決めされる。すなわち、円筒体wはワーク保持具2に同軸となるように取り付けられ、ワーク保持具2はその中心軸線の方向がY方向に平行な状態で、定まった高さ位置において、マウント台3に搭載されて位置決めされる。
【0042】
位置決めされた状態の円筒体wは、図2(a1)に示すように、マウント台3のワーク支持部3bである矩形断面の溝に装着され、その両側のマウント台3の平坦な上面部分3cから外周部分の一部が上方に突出する。円筒体wの突出量は、その半径よりも少ない量に設定される。また、後述のように、突出している外周面部分の円弧形状の開き角φが円筒体wの回転角θ(=360°/8)よりも十分に大きな角度となるように設定される。
【0043】
この状態で、測定動作が開始される(図3のステップST1:測定開始)。まず、測定プローブ4をマウント台3の側に接近させて、図2(a1)において想像線で示すように、その走査開始位置4Aに位置決めする。走査開始位置4Aから、図2(a1)において矢印で示すように、X方向に測定プローブ4を走査する。
【0044】
測定プローブ4は、マウント台3の上面部分3cに沿って、円筒体wの外周面に乗り上げ、ここを通過する。この後に、測定プローブ4が、図2(a1)において想像線で示す
ように、再びマウント台3の保持具支持面3aの反対側の測定終了位置4Bにたどり着いたところで、測定プローブ4の走査を終了する。図2(b1)、図2(c1)に示すように、一回の走査により、マウント台3の保持具支持面3aの形状と、円筒体wの円周形状6の一部分である円弧形状7を含む走査軌道8が得られる。
【0045】
このようにして、ワーク保持具2の多角形部分2bの一つの外周側面2d(1)によって規定される一つの回転位置に位置決めされた円筒体wの外周面の一部の円弧形状が測定される(図3のステップST2:円筒体の円弧形状を測定)。
【0046】
次に、ワーク保持具2はマウント台3からZ方向に持ち上げられ、しかる後に、多角形部分2bにおける外周側面2d(1)に隣接する次の外周面部2d(2)がマウント台3の保持具支持面3aに対峙するように、回転角度θだけ回転させられる。この状態で、ワーク保持具2がマウント台3の保持具支持面3aに搭載されて位置決めされる(図3のステップST3→ST4:円筒体をθ回転)。
【0047】
ワーク保持具2の多角形部分2bを利用して円筒体wを回転角θだけ回転させた状態で位置決めした後は、図2(a2)に示すように、上記と同様に測定プローブ4を走査して、図2(b2)、図2(c2)に示すように、先に得た円弧形状7に隣接する円弧形状9を含む走査軌道10を得る(図3のステップST2)。
【0048】
なお、円筒体wの回転角θはワーク保持具2の多角形部分2bによって定まり、既知である。多角形部分2bが辺数n(nは3以上の整数)の正多角形である場合には、回転角θは、360°/nで表される。本例では、辺数が8であるので、回転角θは45°である。
【0049】
同様の測定動作を繰り返し、円筒体wの円周全周を再構築するための円弧形状群11を取得する(図3のステップST2→ST3→ST4のループ)。ここで、回転角θは、後述の円弧形状群11の繋ぎ合わせ操作の精度を鑑み、測定プローブ4の1回の走査で取得できる円弧形状の開き角φよりも十分に小さいことが望ましい。
【0050】
図2(d)、図2(e)に示すように、回転角θを基に、円弧形状群11に回転演算を施した後に繋ぎ合わせることで、円筒体wの円周形状6の測定結果14を得ることができる(図3のステップST5:スティッチング処理により円周形状を再構築)。この後は、得られた円筒体wの円周形状6の測定結果14を用いて、円筒体wの円周形状、直径および真円度を評価し(図3のステップST6:円周形状の直径と真円度を評価)、測定を終了する(図3のステップST7:測定終了)。
【0051】
(円弧形状の繋ぎ合わせ方法)
次に、図4は、形状測定装置1によって得られた円弧形状群11から、円筒体wの円周形状6の測定結果14を得る手順の一例を示す説明図であり、隣り合う第1、第2円弧形状を繋ぎ合わせる操作手順の一例を示してある。
【0052】
まず、図4(a)に示すように、測定プローブ4の走査軌道8から円弧形状7を抽出すると共に、走査軌道10から円弧形状7に隣接する円弧形状9を抽出する(図2参照)。円弧形状7および円弧形状9のデータから、それぞれ円弧の中心点を求め、それが原点Oに重なり合うように、円弧形状7、9を移動する。
【0053】
次に、図4(b)に示すように、ワーク保持具2の多角形部分2bから既知である円筒体wの回転角θを基に、円弧形状9に対して角度θだけ回転させる演算を行う。このとき、円弧形状7、9には、測定プローブ4の1回の走査で取得できる円弧形状の開き角φと
円筒体wの回転角θによって定まる角度範囲の分だけ、重なり合う領域16が発生する。
【0054】
次に、図4(c)に示すように、この重なり合う領域16に含まれる円弧形状7および、回転演算後の円弧形状9から最小二乗円17を求め、円弧形状7および円弧形状9の曲率半径が、この最小二乗円の半径に一致するように、補正演算を施す。この走査を、円弧形状群11に含まれる全円弧形状に対して実施することで、円筒体wの円周形状6の測定結果14が得られる。
【0055】
(測定例)
図5は、形状測定装置1を用いて、マウント台3の形状と円筒体wの円周形状6の一部分である円弧形状7を含む走査軌道8を得た結果の一例を示すグラフである。ここでは、直径1.5mmの円筒体wを測定対象として用い、正8角形の多角形部分2bを備えたワーク保持具2を用いた。1回の走査で得られる円弧形状の開き角φは、円筒体wの回転角θよりも十分に大きくなるように設定されており、走査軌道8からの円弧形状7の抽出は容易であることが分かる。
【0056】
図6は、形状測定装置1を用いて、隣り合う円弧形状を測定した結果および前述の重ね合わせ演算を実施した結果を示すグラフである。図6(a)に示すように、プロファイル測定機5によって得られる、隣り合う円弧形状を円筒体wの回転角に応じて回転演算処理後、そのまま並べると、半径方向にずれが生じる。これに対して、図6(b)に示すように、前述の通り、最小二乗円17を求め、隣り合う円弧形状について曲率半径の補正演算を実施すると、2つの円弧形状が精度良く繋ぎ合わされていることが確認できる。
【0057】
図7は、上記の操作を円弧形状群11に含まれる全円弧形状に適用して得られた、円筒体wの円周形状6の測定結果14の一例を示すグラフである。ここには、実際にプロファイル測定機5の測定プローブ4をマウント台3上に搭載した円筒体w上で走査した際に得られた複数の円弧形状を繋ぎ合わせて得られる円周形状測定結果を示してある。このグラフから、本発明の実施の形態1に係る形状測定装置1によって、小径の円筒体wの円周形状が測定できていることが確認できる。
【0058】
図8は、測定結果を基に円筒体wの真円度を評価した結果を示すグラフである。得られた円筒体wの円周形状を基に最小二乗円を算出し、元の円周形状から差し引くことで得られたデータから円筒体wの円周1周に亘る真円度誤差を求め、最小半径値および最大半径値から真円度が評価可能である。このように、形状測定装置1によって得られた円周形状に基づき、円筒体wの形状評価の分析を行うことが可能である。
【0059】
(測定結果の妥当性の検証)
形状測定装置1による測定結果の妥当性の検証のために、当該形状測定装置1によって得られた円弧形状を繋ぎ合わせて得られた円筒形状測定結果を基に真円度誤差を評価した結果を、市販の真円度測定機で得られた測定結果と比較した。
【0060】
図9(a)は、市販の真円度測定機で得られた真円度誤差の測定結果を示すグラフであり、図9(b)は形状測定装置1による真円度誤差の測定結果を示すグラフである。測定対象である円筒体には直径3mmのピンゲージを用いた。用いている測定プローブの先端径が異なることもあり、高周波成分については得られた結果に差異が見られるものの、低周波成分については良い一致が確認できる。この結果から、本発明の実施の形態に係る形状測定装置1により、信頼性の高い円筒体の形状評価が可能であるといえる。
【0061】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2に係る円筒体形状測定装置を示す概略構成図である。円筒体形
状測定装置20の基本構成は、図1に示す円筒体形状測定装置1と同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0062】
実施の形態2の円筒体形状測定装置20では、測定プローブ4を搭載したプロファイル測定機5を、円筒体wの中心軸線の方向(Y方向)に移動できる移動ステージ機構18を備えている。これにより、円筒体wの中心軸線方向における異なる位置における円周評価が可能となり、結果として、円筒体wの円筒度を測定できる。
【0063】
なお、図10では、測定プローブ4を搭載したプロファイル測定機5を移動ステージ機構18に搭載したが、円筒体wと測定プローブ4との間に、円筒体wの中心軸線の方向に相対運動を与える構成であればよい。例えば、測定プローブ4のみを円筒体wの中心軸線の方向に変位させる機構を設けることができる。あるいは、円筒体w、ワーク保持具2およびマウント台3を移動ステージ機構18に搭載することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 円筒体形状測定装置(形状測定装置)
1A 制御盤
1B 昇降・回転機構
1a 測定データ処理部
1b 駆動制御部
2 ワーク保持具
2a ワークチャック
2b 多角形部分
2c 保持具本体部
2d、2d(1)、2d(2) 外周側面
3 マウント台
3a 保持具支持面
3b ワーク支持部
3c 上面部分
4 測定プローブ
4A 測定開始位置
4B 測定終了位置
5 プロファイル測定機
6 円周形状
7 円弧形状
8 走査軌道
9 円弧形状
10 走査軌道
11 円弧形状群
14 円周形状の測定結果
17 最小二乗円
18 移動ステージ機構
20 円筒体形状測定装置
w 円筒体(ワーク)
wa 中心軸線
θ 回転角
φ 開き角
O 原点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10