(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6496927
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】融雪車両
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
E01H5/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-142023(P2018-142023)
(22)【出願日】2018年7月30日
【審査請求日】2018年7月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300091784
【氏名又は名称】薄井 介
(72)【発明者】
【氏名】薄井 介
【審査官】
田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6278376(JP,B1)
【文献】
特開2005−009085(JP,A)
【文献】
特開平02−274910(JP,A)
【文献】
特開2015−214874(JP,A)
【文献】
実開平02−006724(JP,U)
【文献】
特開平04−005304(JP,A)
【文献】
特開2003−055929(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0194565(EP,A2)
【文献】
特開昭53−042423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に伸長及び回動可能なアームを介して円筒形の排土板を上下動可能に設け、円筒形の排土板の内部には、回転可能な中心軸となるバーナー室と前記バーナー室の周囲に羽根を複数枚設け、前記円筒形の排土板内に融雪剤拡散ノズルを設けることで、降雪した雪を羽根で排土板内に取り込みながらバーナー熱により短時間に融雪し、融雪剤拡散ノズルから融雪剤を散布することを特徴とする融雪車両。
【請求項2】
前記円筒形の排土板にヒーターを設けたことを特徴とする請求項1に記載の融雪車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は降雪した雪を除雪する際、その場で融かしながら進行する融雪車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常降雪した雪は除雪などにより他の場所に排除するか、その近辺に集積されている。しかし、排除するのには集積場所の確保や、運搬車両が必要となりスムーズに除雪が進まず、手間とコストが掛かるという課題がある。
【0003】
この改善策として、融雪剤の散布があるが、塩化カルシウムは使用された後に、路面上に放置され車両の腐食や自然環境上好ましくなく、またコスト的にも割高なために特定の場所での使用となっているのが現状である。
【0004】
除雪に関しては例えば、特開2005−265302号には、雪を取り込むバケットの後方から火炎を放射し、融雪する融雪装置に関する技術が記載されているが、火気の使用は他の災害等に繋がる危険性がある。特開2005−009085号には、オーガハウジング内部に掻き込まれた雪を温風で融雪する技術が記載されているが、温風の熱量不足が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265302号(明細書0006、
図4)
【特許文献2】特開2005−009085号(明細書0008、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、降雪した雪を道路脇への集積や仮置き場などに運搬させることなく除雪ができるように、除雪と同時に雪を融かすことのできる融雪車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両に前方が開口した円筒形の排土板をアームを介して昇降自在に設け、前記円筒形の排土板内に回転ローダーを設け、前記回転ローダーにはバーナー室を設けることで、降雪した雪を回転ローダーで排土板内に取り込みながら、バーナー熱により短時間に融雪することを特徴とする。また、排土板にもヒーターを設けてもよい。
【0008】
排土板内に拡散ノズルを設け、取り込んだ雪に拡散ノズルからの融雪剤を散布することにより、溶かされた雪の再凍結防止をはかることができる。また、融雪剤に替えて温風を吹き付けてもよい。
【0009】
排土板内に取り込まれた雪は、回転ローダーに設けたバーナーの熱により融かされ、排水された水が路上に残った雪を融かすことにもつながり、融雪剤を拡散ノズルから散布した場合は、融雪剤が混合された水として排水され、再凍結を防止することにつながる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の融雪機械は、降雪状態の雪をその場で融かして排除できるため、従来のような仮置き場の確保や仮置き場まで運搬するための経費と時間の節約が可能である。
【0011】
融雪剤を用いずとも融雪は可能であるが、気温が氷点下を超える寒さの厳しい地域においては、融雪剤の利用が効果的である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本発明の融雪車両について、図面を引用して説明する。
【0014】
図1に示すように、車両の前部に、アーム2を介して、円筒形の排土板3を上下動可能に設ける。円筒形の排土板3の内部には、回転可能な中心軸となるバーナー室5と前記バーナー室5の周囲に羽根6を複数枚設ける。前記円筒形の排土板3の両側面にはサイドカバー4を設ける。
【0015】
回転可能な中心軸となるバーナー室5を回転駆動するためのモータ10を設け、前記バーナー室5の周囲に複数枚設けた羽根6が進行方向に向けて回転するようにしており、車両が進行しながら円筒形の排土板3内に雪を取り込むようにしている。取り込まれた雪は、バーナー室5からの熱により融かされ、路面に水として排出される。バーナー室5の熱源は、燃焼用の燃料となる、ガス、油など、または電気ヒーターなどが利用でき、適宜選択可能としている。
【実施例2】
【0016】
円筒形の排土板3にヒーターを設けることで、羽根6が取り込んだ雪をバーナー室5の熱と併せ、効率よく雪を解かすことができる。ヒーターにはHIヒーターなどが利用でき、取付位置は、円筒形の排土板3の内面または外面など適宜選択が可能である。
【実施例3】
【0017】
円筒形の排土板3の内部であって、縦方向及び横方向中心部付近に、融雪剤散布ノズル7を設けることで、羽根6が取り込んだ雪に融雪剤を散布することができる。車両の一部に融雪剤タンク11を設け、配管により融雪剤散布ノズル7へ連結する。融かされた雪が再凍結しないために有効的である。本融雪剤は塩分を含まないものを用いる。
【実施例4】
【0018】
図4に示すように、車両と並列に円筒形の排土板3を設けてもよい。車両が入れない場所や側道などの除雪に効果的である。
【0019】
車両への設置は、アーム2を介して伸長及び回動可能に設けることができる。
【実施例5】
【0020】
図5に示すように、車両にアーム2を設け、アーム2の先端に円筒形の排土板3を設けてもよい。アーム2の伸長や回動により、屋根などの高所の除雪が可能となる。
【0021】
アームには複数個所に関節部を設け、車両への固定部を回動可能に設置する。関節部伸長可能にし、更に回動可能にしてもよい。アーム2の駆動には油圧などが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の融雪機械は、工業生産が可能であり、降雪時の除雪作業にも利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 融雪車両 7 融雪剤散布ノズル 13 建物
2 アーム 8 雪 14 雪
3 円筒形の排土板 9 路面
4 サイドカバー 10 モータ
5 バーナー室 11 融雪剤タンク
6 回転羽根 12 塀
【要約】
【課題】
解決しようとする課題は、降雪した雪を道路脇への集積や仮置き場などに運搬させることなく除雪ができるように、除雪と同時に雪を融かすことのできる融雪車両を提供することにある。
【課題手段】
本発明は、車両に前方が開口した円筒形の排土板をアームを介して昇降自在に設け、前記円筒形の排土板内に回転ローダーを設け、前記回転ローダーにはバーナー室を設けることで、降雪した雪を回転ローダーで排土板内に取り込みながら、バーナー熱により短時間に融雪することを特徴とし、排土板内に拡散ノズルを設けることで、取り込んだ雪に拡散ノズルからの融雪剤を散布することにより、溶かされた雪の再凍結防止をはかることができる。
【選択図】
図1