(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1装飾部と第2装飾部との少なくとも2つの装飾部を有する可動演出部と、前後方向を軸として前記可動演出部を回転させる回転機構部とを備えた可動遊技手段が設けられた遊技機であって、
前記第1装飾部と前記第2装飾部とを、回転の中心から夫々異なる放射方向へ突出するように設けるとともに、
前記第1装飾部及び前記第2装飾部の前側に、前記可動遊技手段の一部を覆うカバー部を設けており、
前記回転機構部の動作に応じた回転により、前記可動演出部の姿勢が、前記第1装飾部の少なくとも一部が露出するとともに前記第2装飾部が前記カバー部の後側に位置する第1姿勢から、前記第2装飾部の少なくとも一部が露出するとともに前記第1装飾部が前記カバー部の後側に位置する第2姿勢へと変更可能になっている一方、
前記可動演出部及び前記回転機構部を支持するケース部材に、所定方向へ噛合面が延設されたラックギア部を設けるとともに、モータと、前記モータの回転を前記ラックギア部に伝える回転伝達機構部とを設けており、
前記可動遊技手段は、前記可動演出部が前記第1姿勢にあっても前記第2姿勢にあっても、前記モータの駆動に応じて前記ケース部材ごと前記所定方向へスライド可能であることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。
図2は、玉浮き部31が第1位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図3は、玉浮き部31が第2位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図4は、棒浮き部32が第1位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図であり、
図5は、棒浮き部32が第2位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図6は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0011】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられている。さらに、演出用表示部6を囲むようにセンター部材26が遊技盤2に設置されている。そして、該センター部材26における演出用表示部6の下側となる位置には、玉浮き部31が演出用表示部6の前方に位置し得る第1姿勢と、棒浮き部32が演出用表示部6の前方に位置する第2姿勢とに姿勢を変更可能であるとともに、玉浮き部31及び棒浮き部32を上下方向へ移動可能に備えた電動役物30(
図7に示す)が設けられている。また、センター部材26の下方には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19と、開閉可能な扉部材を有する第1大入賞装置17とが設けられている。さらにまた、センター部材26の左方から下方にかけては、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、左打ち用スペースSLを流下させることで、効率良く始動入賞口19や開成した第1大入賞装置17へ入賞させ得るようになっている。
【0012】
一方、センター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。また、該右打ち用スペースSRには、可動体(図示せず)を有して遊技球の入賞を可能/不可能とする可動入賞役物を内蔵した入賞装置20、及び開閉可能な扉部材を有する第2大入賞装置18が設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることにより、入賞装置20の可動入賞役物や、開成した第2大入賞装置18へ入賞させることができる。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄を夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0015】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させる等し(所謂左打ちを行い)、始動入賞口19への遊技球の入賞を狙う。そして、始動入賞口19への遊技球の入賞検知に起因して実行される所謂大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7、7」と確定表示させる)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、第1大入賞装置17を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は左打ちを継続し、断続的に開成する第1大入賞装置17への遊技球の入賞を狙う。なお、始動入賞口19へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第1特別図柄を変動/確定表示させる。
【0016】
また、大当たり状態が終了すると、第1特別図柄及び第2特別図柄の合計の確定表示回数が所定回数に達するまで、入賞装置20への遊技球の進入検知に起因して実行される所謂当たり抽選の結果が「当たり」となりやすく、入賞装置20の内部において可動入賞役物が頻繁に開状態となって遊技球の入賞を可能とする所謂時短状態が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂右打ちを行い、可動入賞役物への遊技球の入賞を狙う。そして、可動入賞役物へ遊技球が入賞すると、上記始動入賞口19へ遊技球が入賞した場合と同じく大当たり抽選が実行され、該大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される。また、可動入賞役物への遊技球の入賞に応じて「大当たり図柄」が確定表示されると、第2大入賞装置18を所定回数にわたって断続的に開成させるといった「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は右打ちを継続し、断続的に開成する第2大入賞装置18への遊技球の入賞を狙う。なお、可動入賞役物へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第2特別図柄を変動/確定表示させる。
【0017】
一方、「大当たり状態」が生起することなく、第1特別図柄及び第2特別図柄の合計の確定表示回数が所定回数に達して時短状態が終了すると、右打ちを止めて左打ちを行う上記遊技へと戻る。
さらに、図柄の変動表示中において、特定のリーチ演出が実行される等といったように所定の条件が満たされると、サブ制御装置による制御のもと電動役物30を作動させ、後述の如き動作で棒浮き部32を演出用表示部6の前方へ位置させたり、玉浮き部31や棒浮き部32を上下方向へ移動させたりし、遊技者に「大当たり状態」生起の期待感を抱かせる。
【0018】
(電動役物の説明)
ここで、本発明の要部となる電動役物30について、
図7〜
図25にもとづき詳細に説明する。
図7は、分解状態にある電動役物30を前側から示した斜視説明図である。
図8は、分解状態にある電動役物30を後側から示した斜視説明図である。
図9は、浮き部が第1姿勢にある状態を示した説明図である。
図10は、浮き部が第2姿勢にある状態を示した説明図である。
図11は、通常状態にある電動役物30を前側から示した説明図である。
図12は、通常状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を前側から示した説明図である。
図13は、通常状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を後側から示した説明図である。
図14は、浮き部が第1姿勢にある浮きユニットが下限位置に、波ユニットが上限位置にある電動役物30を前側から示した説明図である。
図15は、
図14と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を前側から示した説明図である。
図16は、
図14と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を後側から示した説明図である。
図17は、浮き部が第2姿勢にある浮きユニットが上限位置に、波ユニットが下限位置にある電動役物30を前側から示した説明図である。
図18は、
図17と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を前側から示した説明図である。
図19は、
図17と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を後側から示した説明図である。
図20は、浮き部が第2姿勢にある浮きユニットが下限位置に、波ユニットが上限位置にある電動役物30を前側から示した説明図である。
図21は、
図20と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を前側から示した説明図である。
図22は、
図20と同状態にある電動役物30の本体ケースを省略した状態を後側から示した説明図である。
図23は、下限位置にある波ユニットを示した説明図である。
図24は、上限位置にある波ユニットを示した説明図である。
図25は、スライド用モータ55の駆動に応じた波ラックギア57、ピニオンギア58、及び浮きラックギア部46の動作を示した説明図である。
図26(a)は、浮き部が第1姿勢にある浮きユニット及び波ユニットが小刻みに上下動する様子を、
図26(b)は、浮き部が第1姿勢にある浮きユニットが下限位置に、波ユニットが上限位置に夫々移動する様子を夫々示した説明図である。
図27(a)は、浮き部が第2姿勢にある浮きユニット及び波ユニットが小刻みに上下動する様子を、
図27(b)は、浮き部が第2姿勢にある浮きユニットが下限位置に、波ユニットが上限位置に夫々移動する様子を夫々示した説明図である。
【0019】
電動役物30は、浮き部(可動演出部)等を有する浮きユニット(可動遊技手段)と、第1波部33、第2波部34、及び第3波部35を有する波ユニットと、浮きユニットや波ユニットを上下動させるためのスライド機構部と、それらを収納する本体ケースとを備えてなる。なお、36は、浮きユニットの上下動を案内する案内カバーであり、37は、前後方向を軸として回転可能にピニオンギア58を取り付けるための押さえカバーである。
【0020】
浮きユニットは、玉浮き部31及び棒浮き部32からなる浮き部と、浮き部を回転可能に支持する支持部とを有する。玉浮き部31は、正面視が玉浮き状に形成された装飾部(第1装飾部)と、装飾部から下方へ延びる舌片状の基端部40とを有しており、基端部40の略中央部には軸孔(図示せず)が設けられている。また、基端部40の下端には、連結片41が更に下方へ突設されている。棒浮き部32は、正面視が棒浮き状に形成された装飾部(第2装飾部)と、装飾部から下方へ延びる円板状の基端部42とを有しており、基端部42の略中央部には軸孔(図示せず)が設けられている。そして、玉浮き部31と棒浮き部32とは、両基端部40、42の軸孔を一致させ、且つ、両装飾部が軸孔を中心として夫々異なる放射方向へ突出するような姿勢で一体化され、浮き部として構成されている。一方、支持部は、浮きモータ43と、浮きモータ43から延びるアーム体44と、浮きモータ43等が設置される浮きケース部材45とを備えている。また、浮きケース部材45の右端部には、右側面に噛合面が形成された浮きラックギア部46が、浮きケース部材45の左端部には、被案内部47が夫々設けられている。
【0021】
そして、上記浮き部は、連結片41とアーム体44の先端とが軸着された状態で、浮きケース部材45に対し回転可能に設置されている。したがって、浮き部の姿勢は、浮きモータ43の駆動に応じてアーム体44が作動することにより軸着部を中心として回転し、玉浮き部31の装飾部が上方へ突出する第1姿勢(
図9)と、棒浮き部32の装飾部が上方へ突出する第2姿勢(
図10)とで変更可能となっている。なお、両浮き部31、32の後面には、LEDが搭載された発光基板が取り付けられており、LEDが点灯/点滅することによって両浮き部31、32の装飾部が発光するようになっている。また、浮きケース部材45の後面に設けられている53は、浮き部の回転を案内するための案内孔である。
【0022】
波ユニットを構成する第1波部33は、前面に波のような装飾が施された合成樹脂製の部材であり、前方へ突出するガイド突起48と、第3波部35に軸着するための軸着部49とが右下部に設けられている。第2波部34は、第1波部33同様、前面に波のような装飾が施された合成樹脂製の部材であり、前方へ突出するガイド突起50と、第3波部35に軸着するための軸着部51とが左下部に設けられている。第3波部35は、他の波部と同じく前面に波のような装飾が施された装飾部35aと、装飾部の右側に一体的に設けられたラックギア固定部35bとを有する合成樹脂製の部材である。また、装飾部35aの下辺部には、第1波部33や第2波部34を軸支するための軸支部52、52が設けられている。そして、第1波部33及び第2波部34は、第3波部35の前面側において第3波部35に対し回動自在に軸着されている。なお、各波部33、34、35の後面には、LEDが搭載された発光基板が取り付けられており、LEDが点灯/点滅することによって各波部33、34、35の装飾部が発光するようになっている。
【0023】
スライド機構部は、スライド用モータ55と、スライド用モータ55に直結されたモータピニオン56と、左右両側面に噛合面が形成された波ラックギア57と、波ラックギア57のスライドにより回転するピニオンギア58と、浮きユニットに設けられた浮きラックギア部46と、波ラックギア57のスライドを案内するガイドレール59と、浮きユニットのスライドを案内するガイドレール60とを備えてなる。スライド用モータ55は、浮きユニット及び波ユニットを上下方向へ移動させる駆動源となるものであって、前後方向を軸として回転可能に固定されており、前方へ突出するスライド用モータ55の軸にモータピニオン56が嵌着されている。また、モータピニオン56の左隣に、波ラックギア57がガイドレール59に沿って上下方向へスライド可能に取り付けられている。波ラックギア57は、その左側面の噛合面がモータピニオン56と噛合しており、モータピニオン56の回転に応じて上下動するようになっている。さらに、波ラックギア57の左隣に、ピニオンギア58が前後方向を軸として回転可能に取り付けられている。ピニオンギア58は、波ラックギア57の右側面の噛合面と噛合しており、波ラックギア57の上下動に応じて回転するようになっている。加えて、ピニオンギア58の左隣に、浮きラックギア部46が、その噛合面をピニオンギア58に噛合させた状態で位置しており、ピニオンギア58の回転に応じガイドレール60に沿って上下方向へスライド可能となっている。
【0024】
本体ケースは、後ケース63と前ケース64とを組み付けてなるものであって、上面が開口しており、内蔵されている浮きユニットの玉浮き部31や棒浮き部32が演出用表示部6の前方まで突出したり、波ユニットが演出用表示部6の前方に重なる位置まで移動したりすることを許容している。また、前ケース64には、第1波部33及び第2波部34のガイド突起48、50が嵌入可能で、波ユニットが上下動する際にガイド突起48、50を案内する一対のガイド孔61、62が設けられている。第1波部33のガイド突起48が嵌入する左側のガイド孔61は右上がりに傾斜する方向へ、第2波部34のガイド突起50が嵌入する右側のガイド孔62は左上がりに傾斜する方向へ夫々延びる長孔状に形成されている。
【0025】
そして、浮きユニットは、上述したように浮きラックギア部46をピニオンギア58に噛合させた状態で、本体ケース内に収納されている。また、波ユニットは、第1波部33及び第2波部34が軸着された第3波部35のラックギア固定部35bを、波ラックギア57の前面にネジ止めするとともに、第1波部33及び第2波部34のガイド突起48、50をガイド孔61、62に嵌入させた状態で、本体ケース内に収納されている。なお、本体ケース内では、浮きユニットの前方に波ユニットが位置している。
【0026】
ここで、上述の如く構成される電動役物30の動作、及び電動役物30の動作に関連した演出用表示部6での表示演出について詳述すると、電動役物30は、通常、浮きユニットにおいて浮き部が第1姿勢にあるとともに該浮きユニットが上限位置にあり、且つ、波ユニットが下限位置にあるという通常状態にある(
図11)。すなわち、
図13に示すように、浮きラックギア部46の噛合面の下端部とピニオンギア58とが噛合し、波ラックギア57の噛合面の上端部とモータピニオン56及びピニオンギア58とが噛合している。また、第1波部33及び第2波部34のガイド突起48、50が各ガイド孔61、62の下端に位置しており、更に、浮きユニットでは、玉浮き部31の装飾部が上方へ突出した状態となっている。そして、通常状態では、玉浮き部31の装飾部、及び第1波部33、第2波部34の上部が遊技者から視認可能となっており、特に玉浮き部31の装飾部の略全体が演出用表示部6の前方に位置している(
図2)。また、棒浮き部32は左側へ傾倒しており、棒浮き部32の装飾部は、その前方に位置する波ユニットやセンター部材26の後方に隠れている(
図12)。すなわち、波ユニットやセンター部材26が、棒浮き部32の装飾部の移動軌跡の前側に位置し、その移動軌跡の一部を前側から覆うことにより、浮き部が第1姿勢にある際に棒浮き部32の装飾部を前側から覆うカバー部として機能する。
【0027】
上記通常状態から、たとえば演出用表示部6において第1のアニメーションが表示される等の第1の所定条件が満たされると、スライド用モータ55が正回転(右回りに回転)と逆回転(左回りに回転)とを小刻みに繰り返す。すると、
図25で示すように、波ラックギア57は、スライド用モータ55の正回転に応じて上方へ、逆回転に応じて下方へ夫々スライドする。したがって、波ラックギア57に固定されている波ユニットは、
図26(a)で示すように、小刻みに上下動を繰り返す。一方、ピニオンギア58は、
図25で示すようにスライド用モータ55の回転方向に対して反回転方向へ回転することになり、浮きユニットは、波ユニットが上方へスライドする際には下方へ、波ユニットが下方へスライドする際には上方へ夫々スライドする。したがって、浮きユニットも、
図26(a)で示すように、小刻みに上下動を繰り返す。また、このとき、浮きユニットにおいて浮き部は第1姿勢のままとなっており、玉浮き部31は、その装飾部の少なくとも一部が常に演出用表示部6の前方に位置したまま上下動する。そして、電動役物30がこのように作動するに伴い、演出用表示部6では、
図26(a)で示すような玉浮き部31に関連する表示演出が実行される。すなわち、玉浮き部31の周囲に、玉浮き部31の動作を表すような擬態語表示(
図26(a)中の「ピクピク」等)が表示されたり、水面が揺れているようなアニメーションが表示されたりする。
【0028】
さらに、たとえば玉浮き部31が上下動する上記状態から演出用表示部6において押しボタン25の操作が促され、遊技者により押しボタン25が操作される等の第2の所定条件が満たされると、スライド用モータ55が正回転し、波ユニットは上方へ、浮きユニットは下方へ夫々スライドする。そして、最終的に、電動役物30は
図14〜
図16で示すような状態となり、波ユニットは上限位置に達して第1波部33、第2波部34、及び第3波部35が演出用表示部6の前方に位置する一方、浮きユニットは下限位置に達して玉浮き部31の装飾部が本体ケース内に隠れる(
図3)ことになる。また、上限位置に達しするに際し、波ユニットでは、ガイド孔61、62が右上がり若しくは左上がりの傾斜方向に延びているため、第1波部33及び第2波部34の第3波部35との軸着部と、第1波部33及び第2波部34のガイド突起48、50との左右方向での位置関係が変化する。具体的に説明すると、通常状態においては、ガイド突起48、50の略真上に軸着部が位置しているところ、上方へのスライドに伴い、
図23及び
図24に示すように、ガイド突起48、50が軸着部よりも波ユニットの中央側へ移動することになる。また、電動役物30がこのように作動するに伴い、演出用表示部6では、
図26(b)で示すような玉浮き部31に関連する表示演出が実行される。すなわち、玉浮き部31が水面下に引き込まれるようなアニメーションが表示される。なお、電動役物30では、波ユニットが上限位置に、浮きユニットが下限位置に夫々達した後、所定の時間の経過をもってスライド用モータ55が逆回転し、上記通常状態へ復帰する。
【0029】
また、上記通常状態から、たとえば演出用表示部6において第2のアニメーションが表示される等の第3の所定条件が満たされると、浮きモータ43が駆動し、上限位置にある浮きユニットにおいて浮き部が第2姿勢をとる(
図17)。つまり、玉浮き部31に代わり棒浮き部32の装飾部が上方へ突出し、棒浮き部32の装飾部の略全体が演出用表示部6の前方に位置して遊技者から視認可能となる(
図4)。一方、玉浮き部31は右側へ傾倒しており、玉浮き部31の装飾部は、前方に位置する波ユニットの後方に隠れている(
図18)。すなわち、ここでは波ユニットが、玉浮き部31の装飾部の移動軌跡の前側に位置し、その移動軌跡の一部を前側から覆うことにより、浮き部が第2姿勢にある際に玉浮き部31の装飾部を前側から覆うカバー部として機能する。なお、このとき波ユニットは下限位置にある(
図19)。
【0030】
さらに、上限位置にある浮きユニットにおいて浮き部が第2姿勢をとった上記状態から、たとえば演出用表示部6において第3のアニメーションが表示される等の第4の所定条件が満たされると、スライド用モータ55が正回転と逆回転とを小刻みに繰り返し、波ユニット及び浮きユニットが、
図27(a)で示すように、小刻みに上下動を繰り返す。このとき、棒浮き部32は、その装飾部の少なくとも一部が常に演出用表示部6の前方に位置したまま上下動する。そして、電動役物30がこのように作動するに伴い、演出用表示部6では、
図27(a)で示すような棒浮き部32に関連する表示演出が実行される。すなわち、棒浮き部32の周囲に、棒浮き部32の動作を表すような擬態語表示(
図27(a)中の「ピクピク」等)が表示されたり、水面が揺れているようなアニメーションが表示されたりする。
【0031】
加えて、たとえば棒浮き部32が上下動する上記状態から演出用表示部6において押しボタン25の操作が促され、遊技者により押しボタン25が操作される等の第5の所定条件が満たされると、スライド用モータ55が正回転し、波ユニットは上方へ、浮きユニットは下方へ夫々スライドする。そして、最終的に、電動役物30は
図20〜
図22で示すような状態となり、波ユニットは上限位置に達して第1波部33、第2波部34、及び第3波部35が演出用表示部6の前方に位置する一方、浮きユニットは下限位置に達するものの棒浮き部32の装飾部の上部が演出用表示部6の前方に位置する(
図5)ことになる。また、電動役物30がこのように作動するに伴い、演出用表示部6では、
図27(b)で示すような棒浮き部32に関連する表示演出が実行される。すなわち、棒浮き部32の下部が水面下へ引き込まれるようなアニメーションが表示される。なお、電動役物30では、波ユニットが上限位置に、浮きユニットが下限位置に夫々達してから所定の時間が経過すると、浮きモータ43が駆動して浮き部が第1姿勢をとるとともにスライド用モータ55が逆回転し、上記通常状態へ復帰する。また、浮き部が第2姿勢をとったものの、浮きユニットが下限位置へとスライドすることなく(すなわち、棒浮き部32が引き込まれるような演出が実行されることなく)、浮きモータ43が駆動して浮き部が第1姿勢をとり、上記通常状態へ復帰することもある。さらに、電動役物30の作動に応じた演出用表示部6での表示演出として使用するアニメーションや擬態語表示等については、サブ制御装置に記憶されている。
【0032】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有する電動役物30を備えたパチンコ機1によれば、電動役物30の浮きユニットに、装飾部が夫々異なる放射方向へ突出するように一体化された玉浮き部31及び棒浮き部32を有する浮き部と、浮き部を回転させる浮きモータ43等を設けており、前後方向を軸として浮き部を回転させることにより、浮き部の姿勢が、玉浮き部31の装飾部が演出用表示部6の前方に露出するとともに棒浮き部32の装飾部が波ユニットやセンター部材26の後側に位置する第1姿勢と、棒浮き部32の装飾部が演出用表示部6の前方に露出するとともに玉浮き部31の装飾部が波ユニットの後側に位置する第2姿勢とに変更されるようにしている。したがって、1つの電動役物30で、玉浮き部31の装飾部と棒浮き部32の装飾部との2つの装飾部を夫々別個に露出させる演出を実現することができ、従来よりも部品点数が少なくコスト低減を図ることができる。また、電動役物30のために必要なスペースの省スペース化することができ、他の部材の設計自由度を向上することができる等の効果もある。
【0033】
また、浮き部や浮きモータ43等を支持する浮きケース部材43に、上下方向へ延びる噛合面が側面に形成された浮きラックギア部46を設けるとともに、スライド用モータ55と、モータピニオン56等からなる回転伝達機構部を別途設け、スライド用モータ55の駆動に応じて、浮きユニットが、浮き部の姿勢に拘わらず、上下方向へスライドするようになっている。したがって、そのような従来にない動きを利用した斬新な演出を実現することができ、遊技性の高いパチンコ機1とすることができる。
【0034】
さらに、スライド用モータ55の駆動に応じて、浮きユニットとは別に上下方向へスライドする波ユニットを設けるとともに、浮きユニットが下方へスライドする際には波ユニットが上方へスライドし、浮きユニットが上方へスライドする際には波ユニットが下方へスライドするようにしている。したがって、ユニットのスライドに際してスライド用モータ55にかかる負荷を軽減することができ、スライド機構部の耐久性の向上等を図ることができる。
【0035】
さらにまた、玉浮き部31の装飾部が上方へ突出する第1姿勢としても、棒浮き部32の装飾部が上方へ突出する第2姿勢としても、可動演出部である浮き部の少なくとも一部が演出用表示部6の前方に位置するように電動役物30を備えている。すなわち、浮き部が第1姿勢にある通常状態において、玉浮き部31の装飾部が演出用表示部6の前方に露出しているとともに、浮き部の姿勢が第2姿勢へ変更されたとしても、棒浮き部32の装飾部が演出用表示部6の前方に露出する。したがって、従来よりも長時間にわたり、演出用表示部6の前方に可動演出部が露出することになり、演出効果の高いパチンコ機1とすることができる。
【0036】
またさらに、玉浮き部31が小刻みに上下動している間(すなわち、玉浮き部31の位置が第1位置と第2位置とで変更されている間)、玉浮き部31の少なくとも一部が常に演出用表示部6の前方に位置するように電動役物30を備えている。また、棒浮き部32に関しては、小刻みに上下動している間(すなわち、棒浮き部32の位置が第1位置と第2位置とで変更されている間)は勿論、浮きユニットが下限位置に達した場合(棒浮き部32では、この場合も、その位置が第1位置から第2位置へ変更されたことになる)にも棒浮き部32の少なくとも一部が演出用表示部6の前方に位置するように電動役物30を備えている。すなわち、浮き部を有する浮きユニットが上限位置(第1位置)にある通常状態において、玉浮き部31や棒浮き部32が演出用表示部6の前方に露出しているとともに、小刻みの上下動するにあたって浮きユニットが下方へ移動したり、時には下限位置まで移動したりと言ったように、浮き部の位置が第2位置へ変更されたとしても、玉浮き部31や棒浮き部32の装飾部が演出用表示部6の前方に露出する。したがって、従来よりも長時間にわたり、演出用表示部6の前方に可動演出部が露出することになり、演出効果の高いパチンコ機1とすることができる。
【0037】
加えて、浮き部が第1姿勢と第2姿勢との何れの姿勢にあっても、演出用表示部6で浮き部に関連した表示演出を実行する上、玉浮き部31や棒浮き部32が上下動している間にも、演出用表示部6で浮き部に関連した表示演出を実行する。したがって、一層演出効果の高いパチンコ機1とすることができる。
【0038】
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、可動遊技手段や回転機構部、回転伝達機構部等に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0039】
たとえば、上記実施形態では、電動役物として波ユニットを設けているが、浮きユニットのみとしてもよい。
また、第1装飾部や第2装飾部を露出させるにあたり、表示手段の下部において表示画面の前方に露出させるとしているが、表示手段の側部や上部から表示画面の前方に露出させる等してもよいし、第1装飾部に関しては表示画面の前方に露出するものの、第2装飾部には関しては表示画面の前方ではない位置で露出させる等、各装飾部の露出位置については適宜変更可能である。加えて、遊技領域の外側等、センター部材とは別の位置に可動遊技手段を設けてもよく、表示画面とは全く関係のない位置に第1装飾部や第2装飾部を露出させるように構成しても何ら問題はない。
【0040】
さらに、第1姿勢や第2姿勢において第1装飾部や第2装飾部をどの程度露出させるかについても適宜変更可能であり、略全体を露出させていなくとも、少なくとも一部が露出していればよいし、3つ以上の装飾部を設けることも可能であり、姿勢についても3つ以上の姿勢に変更可能としてもよい。なお、第1装飾部や第2装飾部の前側を覆うカバー部についても、専用のカバー部材をセンター部材に取り付ける等することで設けても何ら問題はない。
さらにまた、上記実施形態では、可動遊技手段である浮きユニットを上下方向へスライド可能としているが、どの方向へスライドさせるかについては言うまでもなく適宜変更可能であるし、可動演出部が回転する構造のみを有しており、スライドはしないように構成することも可能である。
【0041】
またさらに、上記実施形態では、浮きユニットと波ユニットとが交互に上下動するように構成しているが、共に上方へスライドしたり、下方へスライドしたりするように構成することも可能である。
また、可動演出部をどのような構造で回転させるか、すなわち回転機構部の具体的な構造や、可動遊技手段をどのような構造で上下動させるか、すなわち回転伝達機構部の具体的な構造についても、言うまでもなく上記実施形態の構造に限定されることはない。
【0042】
さらに、電動役物の作動態様として、別の作動態様(たとえば、玉浮き部の装飾部が視認できる範囲内で、浮きユニットと波ユニットとを小刻みに上下動させる等)を設定しても何ら問題はない。
さらにまた、可動遊技手段が作動する契機となる所定の条件についても、上記実施形態以外の条件(たとえば何らかの契機で抽選を実行し、その抽選に当選する等)を所定の条件としてもよい。
【0043】
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、装飾部、可動演出部、回転機構部、可動遊技手段、カバー部、ケース部材、ラックギア部、モータ、回転伝達機構部等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。