特許第6496972号(P6496972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャー キャビア リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496972
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】チョウザメ卵嚢膜に由来する油
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/02 20060101AFI20190401BHJP
   A23L 17/20 20160101ALI20190401BHJP
   A23L 17/30 20160101ALI20190401BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20190401BHJP
   C11B 1/10 20060101ALI20190401BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20190401BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20190401BHJP
   C11C 3/00 20060101ALN20190401BHJP
【FI】
   A23D9/02
   A23L17/20
   A23L17/30 Z
   A23D9/00 518
   C11B1/10
   A23K50/40
   A23K20/158
   !C11C3/00
【請求項の数】18
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-517497(P2018-517497)
(86)(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公表番号】特表2018-520699(P2018-520699A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】GB2016050704
(87)【国際公開番号】WO2016203187
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】1510540.6
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519063808
【氏名又は名称】シャー キャビア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ベニング,ケニス
(72)【発明者】
【氏名】ベニング,ジェミマ
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1974741(CN,A)
【文献】 特開2004−002663(JP,A)
【文献】 特開平07−308174(JP,A)
【文献】 特開2014−217310(JP,A)
【文献】 特開平02−222641(JP,A)
【文献】 特開昭59−130172(JP,A)
【文献】 特開昭54−160773(JP,A)
【文献】 特開昭59−227272(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104544315(CN,A)
【文献】 特開2007−246430(JP,A)
【文献】 特開平10−028521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/02
A23D 9/00
A23K 20/158
A23K 50/40
A23L 17/20
A23L 17/30
C11B 1/10
C11C 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/
FSTA(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウザメ由来油を得る方法であって、前記油を、チョウザメ卵嚢から卵を分離した後の前記卵嚢の膜から抽出する、方法。
【請求項2】
(i)卵摘出後のチョウザメ卵嚢の膜を処理して、液体混合物を得ることと、
(ii)前記混合物を加熱して、これによりタンパク質を変性させ、油を蓄積させることと、
(iii)前記油を分離することと
を含む、請求項1に記載の油を得る方法。
【請求項3】
前記加熱が、少なくとも100℃で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記油がプロテアーゼを用いた酵素的抽出法により抽出される、請求項1に記載の油を得る方法。
【請求項5】
前記油から脂肪酸含有画分を得ることをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項の方法により得られる油組成物。
【請求項7】
摘出された、卵を保持するチョウザメ卵嚢を保存するための方法であって、
(i)1つまたは複数の卵嚢を、真空包装に好適な容器中の請求項1〜のいずれか一項に記載のチョウザメ卵嚢膜に由来する油中に浸漬して、前記卵嚢が前記油により完全に覆われるようにすることと、
(ii)前記容器を密閉することと、
(iii)前記容器中の前記卵嚢を真空包装することと
を含む、方法。
【請求項8】
保管のために前記容器を冷蔵することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の方法により保管および/または輸送のために包装された、摘出された、卵を保持するチョウザメ卵嚢。
【請求項10】
キャビアの生産方法であって、請求項に記載のチョウザメ卵嚢が、前記容器からの除去後に卵を回収するために使用される、方法。
【請求項11】
前記回収した卵が、請求項に記載の油組成物、またはその脂肪酸含有画分と混合されて、味に影響を及ぼす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャビアを密閉容器に詰めることをさらに含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャビアを、容器当たりより少量で再包装することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記油、またはその脂肪酸含有画分を、ヒトまたは非ヒト動物の消費のための食品組成物に組み込むことをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記食品組成物が、ペットフードである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項に記載の油組成物を含む、食品組成物。
【請求項17】
ットフードである、請求項16に記載の食品組成物。
【請求項18】
味に影響を及ぼすために、請求項に記載の油組成物、またはその脂肪酸含有画分が補助剤として加えられている、回収されたチョウザメの卵を含むキャビア調製物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のキャビア生産で通常廃棄される空のチョウザメ卵嚢(卵巣)に由来する油組成物に関する。そのような油組成物は、後のキャビア生産のための卵回収のために、単離されたチョウザメ卵嚢を保存するために使用され得る。同じ油組成物、およびその脂肪酸含有画分は、例えばペットフード等の食品に組み込むことにより、または栄養補助食品としての提供により、食品構成成分としての使用を見出すことができる。かかる油組成物は、キャビア生産において風味補助剤として、回収されたチョウザメの卵と洗浄後に混合することができる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で言及されるキャビアは、その生産の困難さおよび傷みやすい性質のために高級食材である、雌のチョウザメの卵巣からの無精卵または卵を塩漬けしたものにもっぱら関する、伝統的なこの用語の使用と一致する。チョウザメは、チョウザメ(Acipenser)属、ダウリアチョウザメ(Huso)属、シャベルノーズスタージョン(Scaphirhynchus)属、およびプセウドスカフィリンクス(Pseudoscaphirhynchus)属を含む、チョウザメ(Acipenseridae)科の多数の魚種についての慣用名である(さらなる情報については、www. sturgeonweb.co.ukを参照のこと)。多くの場合、それは、通常キャビア生産と関連する2つの種、チョウザメ(Acipenser)属およびダウリアチョウザメ(Huso)属を指すためにより排他的に使用される。例えば、野生のオオチョウザメ(Huso huso)に由来するベルーガキャビアは、伝統的に高く評価されているが、また、他のチョウザメ種もキャビア生産のために周知であり、益々養殖されている。これらは、例えば初めてExmoor Caviar社により英国でキャビア生産のために現在養殖されているシベリアチョウザメ(Acipenser baerii)、および他のチョウザメ(Acipenser)属の種を含む。キャビア生産についての問題の1つは、雌のチョウザメが生殖能力の成熟に達するのにかかる長い年月である。雌のシベリアチョウザメは通常、成熟し、卵を生産するようになるのに8〜10年かかり、いくつかの種、例えばオオチョウザメの雌は、もっと長く、例えばおよそ20年またはそれ以上かかる。この時間を低減するために、いくつかのハイブリッド交配が達成されており、例えば雄のオオチョウザメ(Huso huso)を、コチョウザメ(Acipenser sterlet)またはシベリアチョウザメ(Acipenser baerii)等のより速く成熟する種と交配して、養殖のためのハイブリッド種を得ている。本発明は、キャビア生産の目的のためにチョウザメの任意の種またはハイブリッド種から卵巣が摘出される場合はいつでもキャビア生産に適用可能であり、卵巣の摘出は、キャビア生産のための最もよく使用され、かつ好ましい開始ステップである。
【0003】
チョウザメの養殖は、キャビア生産を野生のチョウザメに頼る生態学的問題に対処し、かつキャビア生産をより広範にすることを可能にするが、キャビア生産者にとって、放卵の非常に直前が好ましい卵回収の慎重なタイミングが必要であること、およびこれに連結して卵の変質を避けるために卵嚢が一旦摘出されるとすぐに処理されなければならない必要があることについて問題が残っている。これはまだ通常手作業で行われている慎重を要する作業である。卵嚢を通常、ナイロンメッシュまたはステンレススチールふるいのいずれかのふるいを介して穏やかに擦り、これにより卵が卵嚢の膜から分離し、ふるいを通過して収集される。冷流水は、卵放出および分離を補助するために使用される場合がある。味の必要に応じて、かつ保存を補助するために、分離した卵に食塩を添加する。加えて、E285安定剤等の安定剤を添加してもよい。卵はこれでキャビアとなり、通常真空下で、気密シール容器に詰められ、冷蔵保管される。キャビアは、続いてより少量で、例えば缶当たり10〜125gで缶に再包装される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は以下を提供する。
[1]チョウザメ由来油を得る方法であって、上記油を、チョウザメ卵嚢から卵を分離した後の上記卵嚢の膜から抽出する、方法。
[2](i)卵摘出後のチョウザメ卵嚢の膜を処理して、液体混合物を得ることと、
(ii)上記混合物を加熱して、これによりタンパク質を変性させ、油を蓄積させることと、
(iii)上記油を分離することと
を含む、上記[1]に記載の油を得る方法。
[3]上記加熱が、少なくとも約100℃、例えば約120℃で行われる、上記[1]に記載の方法。
[4]上記[1]〜[3のいずれか一項の方法により得られる油組成物。
[5]摘出された、卵を保持するチョウザメ卵嚢を保存するための方法であって、
(i)1つまたは複数の卵嚢を、真空包装に好適な容器中の、好ましくは冷蔵温度の、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のチョウザメ卵嚢膜に由来するか、またはチョウザメ筋肉に由来する油中に浸漬して、上記卵嚢が上記油により完全に覆われるようにすることと、
(ii)上記容器を密閉することと、
(iii)上記容器中の上記卵嚢を真空包装することと
を含む、方法。
[6]上記油が、チョウザメ卵嚢膜に由来する、上記[5]に記載の方法。
[7]保管のために上記容器を冷蔵することをさらに含む、上記[5]または上記[6]に記載の方法。
[8]摘出され、かつ上記[5]〜[7]のいずれか一項に記載の方法により保管および/または輸送のために包装された、卵を保持するチョウザメ卵嚢。
[9]キャビアの生産方法であって、上記[8]に記載のチョウザメ卵嚢が、上記容器からの除去後に卵を回収するために使用される、方法。
[10]上記回収した卵が、上記[4]に記載の油組成物、またはその脂肪酸含有画分と混合されて、味に影響を及ぼす、上記[9]に記載の方法。
[11]上記キャビアを密閉容器に、好ましくは真空下で詰めることをさらに含む、上記[9]または上記[10]に記載の方法。
[12]上記キャビアを、容器当たりより少量で再包装することをさらに含む、上記[11]に記載の方法。
[13]上記油、またはその脂肪酸含有画分を、ヒトまたは非ヒト動物の消費のための食品組成物に組み込むことをさらに含む、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[14]上記食品組成物が、ペットフード、例えばイヌまたはネコのペットフードである、上記[13]に記載の方法。
[15]上記[4]に記載の油組成物を含む、食品組成物。
[16]場合により、さらに他のチョウザメ由来製品を含む、ペットフード、例えばイヌまたはネコのペットフードである、上記[15]に記載の食品組成物。
[17]味に影響を及ぼすために、上記[4]に記載の油組成物、またはその脂肪酸含有画分を組み込んでいる、キャビア調製物。
本発明は、有利なことに卵回収から相当な期間を隔ててチョウザメ卵嚢の摘出行うことを可能にし、これにより摘出された卵巣をかなり後の日に処理することができる。本発明は初めて、卵の許容できない変質を避け、かつ望ましい味を有するキャビア生産を可能にしながら、摘出された、卵を含有するチョウザメ卵嚢を相当な距離輸送し、さらにかかる卵嚢をキャビア生産のために輸出することを実行可能にする。上記に示すように、これは卵回収後の卵嚢の廃棄残存物に由来し、Biobengeon(商標)油と呼ばれる、油組成物を使用して達成された。未回収の卵を有する卵嚢を、この油中に浸し、冷蔵保管および/または冷蔵輸送のための気密容器中に真空包装することができる。
【0005】
他の研究者らは、以前に様々な方法により、乾燥させたチョウザメ筋肉から油を抽出することを調査しているが(Hao et al. (2015) Food Chem., 173, 274-282: "The effects of different extraction methods on composition and storage stability of sturgeon oil"を参照のこと)、任意の有用な油組成物が、卵回収後の通常廃棄されるチョウザメ卵嚢の膜残存物から抽出され得ることは、以前に理解されていない。卵回収前に、摘出されたチョウザメ卵嚢を保存することにおける使用について、任意のチョウザメ由来油が提案されたこともない。
【0006】
一態様では、上記に示すように、本発明はここで、チョウザメ由来油を得る方法であって、卵嚢から卵を分離した後のチョウザメ卵嚢の膜から油を抽出する、方法を提供する。
【0007】
好ましい実施形態では、摘出された、まだ卵を含有するチョウザメ卵嚢の保管における使用に好適な油組成物を得るためのかかる方法は、
(1)卵摘出後のチョウザメ卵嚢の膜を処理して、液体混合物を得ることと、
(2)前記混合物を加熱して、これによりタンパク質を変性させ、油組成物を蓄積させる(金色の流体として見える)ことと、
(3)前記油組成物を分離することと
を含む。かかる分離は、便利にふるいを使用して行って、眼に見える物質の凝集塊から油を分離することができる。あるいは、かかる分離は、遠心分離により達成することができる。分離した流体は一般的に、保管および後の使用のために冷蔵される。
【0008】
このようにして得られた油組成物(Biobengeon油)は、以下にさらに詳述するように、新しく摘出された、卵を含有するチョウザメ卵嚢の保存で使用することができる。異なる方法により卵嚢膜に由来するか、またはチョウザメの筋肉に由来する、他のチョウザメ由来油を同様に使用することができることが予想される。しかしながら、上記に説明するように調製したBiobengeon油は、この方法が任意の複雑な設備または追加の試薬の必要を伴わずに、非常に便利に行うことができるので、好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
チョウザメ卵巣膜から所望の油組成物を得るためのその処理は、単に食品配合器を使用して達成することができるが、より大きなスケールの生産にはより大きな配合器が使用される場合がある。加熱は、タンパク質を変性させ、かつ凝集塊および必要な油を蓄積させる任意の温度で行うことができる。一般的に、少なくとも約70℃、例えば少なくとも約80〜85℃、または少なくとも約90℃〜95℃、または少なくとも約100℃の温度が使用される。本発明者らは、例えば、約120℃の温度が好適であることを発見している。
【0010】
例えば便利のためにふるいを使用して、混合物から分離すると、得られた流体(Biobengeon油)は、
(1)1つまたは複数の卵嚢を、真空包装に好適な容器中の、好ましくは冷蔵温度、例えば約2〜4℃の、前記流体中に浸漬して、それらが前記流体により完全に覆われるようにすることと、
(2)容器を密閉することと、
(3)真空を適用して、これにより卵嚢を真空包装することと
を含む、摘出された、卵を保持するチョウザメ卵嚢を保存するためのプロトコルで使用することができる。容器は通常、保管のために、好ましくはおよそ2℃で、冷蔵される。
【0011】
上記に示すように、チョウザメ筋肉由来の既知の油を含む、他のチョウザメ由来油を、より不便ではあるが、同様に適用することができることが予想される。特に、また、以前にチョウザメ筋肉からチョウザメ油、および他の魚類の部分から魚油を抽出するために使用された他の方法は、チョウザメ卵嚢膜から油を抽出するために適用され得ることが予想される。かかる周知の抽出方法として、プロテアーゼを使用する酵素抽出、アンモニアおよび硫酸アンモニウムを使用する抽出、または例えば二酸化炭素を溶媒とする超臨界抽出(SFE:supercritical fluid extraction)法が挙げられる。かかる方法のさらなる詳細については、Hao et al. (2015)(同上)、およびその中の魚油抽出についての参考文献、例えばHao et al. (2013) Adv. Materials Res. 657, 1975-1981: "Extraction of fish oil from the muscle of sturgeon using supercritical fluids"を参照することができる。
【0012】
摘出され、かつ上記に論述する方法により保管および/または輸送のために包装された、卵を保持するチョウザメ卵嚢は、本発明のさらなる態様を構成する。
【0013】
後の卵回収のために、このようにして保管された卵嚢を、単に容器から除去し、その後、卵回収およびキャビア生産を既知の様式で行うことができる。回収中および/または回収後に卵を冷水ですすぐことは、好ましい場合がある。このようにして、キャビアは、外観および優れた味についての質において顕著な変質を伴わずに、かかる保管された卵嚢から調製することができる。さらに、上記に示すように、本発明に従って卵嚢膜から調製した油、またはその脂肪酸含有画分は、場合により、味に影響を及ぼすために包装前にキャビア調製物に含めることができる。このようにして得られたキャビアは、最初に例えば真空下で詰められ、その後続いて、従来の様式でより少量にて再び詰められる場合がある。
【0014】
このようにして、このようにしなければ単に廃棄され得る卵嚢膜について使用が提供され、これはより費用効率の良いキャビア生産を大いに補助し、養殖または野生チョウザメからのチョウザメの全卵嚢の輸出を可能にする。
【0015】
上記に示すように、さらに、本発明に従うチョウザメ卵嚢膜に由来する油、またはその脂肪酸含有画分は、栄養補助食品としてより広く使用を有する場合がある。したがって、かかる油を得るための本発明の方法はさらに、油またはその脂肪酸含有画分を、ヒトまたは非ヒト動物いずれかの消費のために好適な食品組成物、例えばペットフード、例えばイヌまたはネコのペットフードに組み込むことを含む。かかるペットフードは、加えて、他のチョウザメ由来製品、例えばチョウザメ筋肉を含んでもよい。
【0016】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明の油組成物を含む食品組成物、例えばペットフード、例えばイヌまたはネコのペットフードを提供する。上記に示すように、かかるペットフードは、加えて、例えばチョウザメ筋肉および/または他のチョウザメ由来製品、例えばチョウザメ卵嚢の断片を含んでもよい。それは、ペットおやつフードとして、例えばペレットまたはボールの形態で調合してもよい。
【0017】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するために提供される。
【実施例】
【0018】
1)卵回収後の卵嚢に由来するチョウザメ卵嚢膜を取り、それを食品配合器に入れることと、
2)厚く、滑らかになるまで、配合器内で膜をふやかすことと、
3)ふやけた卵嚢膜を容器に移し、120℃まで加熱することと、
4)油を金色の流体として蓄積させ、タンパク質を凝集させることと、
5)ふるいを使用して油を分離することと、
6)油を冷蔵することと
により、養殖シベリアチョウザメ(Acipenser baerii)のチョウザメ卵嚢膜から油を抽出した。
【0019】
このようにして得られた油(Biobengeon(商標)油と呼ばれる)を、Eurofins Food Testing UK社によりその脂肪酸含有量について分析し、その油の定義と一致する以下の組成を有することが分かった。
【0020】
【表1】