(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6496985
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】パウチ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 75/52 20060101AFI20190401BHJP
B65D 33/02 20060101ALI20190401BHJP
B31B 70/74 20170101ALI20190401BHJP
【FI】
B65D75/52
B65D33/02
B31B70/74
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-106427(P2014-106427)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-221674(P2015-221674A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】相川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】丹生 啓佑
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−192958(JP,A)
【文献】
特開2002−096838(JP,A)
【文献】
特開2012−030911(JP,A)
【文献】
実公昭29−000180(JP,Y1)
【文献】
特開2004−359304(JP,A)
【文献】
特開2013−132887(JP,A)
【文献】
実開平04−027740(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/00−75/70
B65D 30/00−33/38
B31B 70/00−70/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層にヒートシール性樹脂を備える側面フィルム同士がサイドシール部で接合され、前記サイドシール部に沿った折り曲げ線で折り返されて成る折り返し部を有するパウチにおいて、
前記折り返し部は、第一の折り曲げ線を前記サイドシール部の内側端縁よりもパウチ内方側に位置させて折り返した第一の折り返し部を、前記サイドシール部が前記第一の折り曲げ線で折り返されただけの状態で、前記第一の折り曲げ線と平行、且つ前記第一の折り曲げ線よりもパウチ内方側であって、前記第一の折り返し部の上に形成された第二の折り曲げ線で更に折り返された三重構造を有し、
前記折り返し部は、パウチのフィルム切断部を前記三重構造の内部に位置させて折り曲げられていることを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記折り返し部は、サイドシール部に沿った少なくとも一部が側面フィルムに接合固定されている請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
最内層にヒートシール性樹脂を備える側面フィルム同士がサイドシール部で接合され、前記サイドシール部に沿った折り曲げ線で折り返す折り曲げ加工を施して折り返し部を形成するパウチの製造方法において、
前記サイドシール部内縁よりも内方側に位置する第一の折り曲げ線で、中間パウチの幅方向端部の折り曲げ加工を施し、第一の折り返し部を形成する第一の折り曲げ加工と、前記第一の折り曲げ線と平行、且つ前記第一の折り曲げ線よりもパウチ内方側であって、前記第一の折り返し部の上に位置する第二の折り曲げ線で、前記第一の折り曲げ加工後の第一の折り返し部に折り曲げ加工を施す第二の折り曲げ加工と、を施すことにより三重構造の折り返し部を形成し、
前記第二の折り曲げ加工は、パウチのフィルム切断部を前記三重構造の内部に位置させて折り曲げられ、前記第二の折り曲げ加工の際に、前記第二の折り曲げ線による折り曲げ部を加熱した後、冷却することを特徴とするパウチの製造方法。
【請求項4】
前記折り曲げ加工が、中間パウチの搬送方向の上流から下流に向かって変化する間隙を有する金型を用い、中間パウチの少なくとも折り曲げ線よりも外側のパウチ幅方向端部が、前記間隙を通過することにより、折り曲げ線を軸とする折り返し部とパウチの側面フィルムにより形成される折り曲げ角度を漸次減少させることにより行う請求項3に記載のパウチの製造方法。
【請求項5】
前記第二の折り曲げ加工を施す第二の金型が、前記第一の折り曲げ加工を施す第一の金型よりも、第一の折り曲げ線と第二の折り曲げ線の間の距離だけパウチ内方側に位置し、且つ中間パウチの搬送方向の上流から下流に向かって前記第一の金型の間隙の形状と同一の形状を有する請求項4に記載のパウチの製造方法。
【請求項6】
前記折り曲げ加工において加熱された折り曲げ部分を冷却する熱交換機構が設けられている請求項3〜5の何れかに記載のスタンディングパウチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、把持する際の感触、曲げ剛性、或いは自立性に優れたパウチ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムを重ね合わせ、端部をシールして成る袋状容器(パウチ)は、従来より、洗剤やシャンプー等の日用品や、調味料等の食料品等の各種用途に広く使用されている。このような袋状容器に自立性を持たせるべく、2枚の側面フィルムの間に2つ折りにした底部フィルムを介在させ、サイドシール部及びボトムシール部によりシールしたスタンディングパウチ、或いは樹脂フィルムを三方シール、四方シールした平パウチが広く知られている。
【0003】
そして、前記スタンディングパウチにおいては、自立性は確保されているとしても、パウチを構成する樹脂フィルムが可撓性を有するものであることから、自立した状態において側面フィルムに折れや座屈を生じやすいという問題がある。このような問題を解決するために、例えば、パウチのサイドシール部をサイドシール部よりもパウチ内側に位置する折り曲げ線で折り返した折り返し部を形成して成るスタンディングパウチが提案されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/001829号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記スタンディングパウチにおいては、パウチの座屈を防止し、側面フィルムに折れがない立ち姿を実現すると共に、折り返し部の折れ目を柔らかくして、把持する際の感触を向上し、更に曲げ剛性を向上させるため、パウチ側端部をサイドシール部よりもパウチ内側に位置する折り曲げ線で折り曲げ加工を行っている。しかしながら、大容量の大型パウチにおいては、曲げ剛性が低下して把持性が劣り、また、レトルト殺菌を行う場合は、レトルト殺菌後の折り返し部の形状保持性が低下し、さらに、スタンディングパウチにおいては自立性を保てないといった問題があった。
【0006】
従って本発明の目的は、折り返し部の曲げ剛性及び形状保持性、或いは自立性に優れたパウチを提供することである。
本発明の他の目的は、前記特性を有するパウチを効率よく製造可能な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、最内層にヒートシール性樹脂を備える側面フィルム同士がサイドシール部で接合され、前記サイドシール部に沿った折り曲げ線で折り返されて成る折り返し部を有するパウチにおいて、前記折り返し部は、第一の折り曲げ線を前記サイドシール部の内側端縁よりもパウチ内方側に位置させて折り返した第一の折り返し部を、前記サイドシール部が前記第一の折り曲げ線で折り返されただけの状態で、前記第一の折り曲げ線と平行、且つ前記第一の折り曲げ線よりもパウチ内方側
であって、前記第一の折り返し部の上に形成された第二の折り曲げ線で更に折り返された
三重構造を有し、前記折り返し部は、パウチのフィルム切断部を前記
三重構造の内部に位置させて折り曲げられて
いることを特徴とするパウチが提供される。
本発明のパウチにおいては、前記折り返し部は、サイドシール部に沿った少なくとも一部が側面フィルムに接合固定されていることが好適である。
【0008】
本発明によればまた、最内層にヒートシール性樹脂を備える側面フィルム同士がサイドシール部で接合され、前記サイドシール部に沿った折り曲げ線で折り返す折り曲げ加工を施して折り返し部を形成するパウチの製造方法において、前記サイドシール部内縁よりも内方側に位置する第一の折り曲げ線で、中間パウチの幅方向端部の折り曲げ加工を施
し、第一の折り返し部を形成する第一の折り曲げ加工と、前記第一の折り曲げ線と平行、且つ前記第一の折り曲げ線よりもパウチ内方側
であって、前記第一の折り返し部の上に位置する第二の折り曲げ線で、前記第一の折り曲げ加工後の
第一の折り返し部
に折り曲げ加工を施す第二の折り曲げ加工と、を施すことにより
三重構造
の折り返し部を形成し、前記第二の折り曲げ加工は、パウチのフィルム切断部を前記
三重構造の内部に位置させて折り曲げられ、前記第二の折り曲げ加工の際に、前記第二の折り曲げ線による折り曲げ部を加熱した後、冷却することを特徴とするパウチの製造方法が提供される。
本発明のパウチの製造方法においては、
1.前記折り曲げ加工が、中間パウチの搬送方向の上流から下流に向かって変化する間隙を有する金型を用い、中間パウチの少なくとも折り曲げ線よりも外側のパウチ幅方向端部が、前記間隙を通過することにより、折り曲げ線を軸とする折り返し部とパウチの側面フィルムにより形成される折り曲げ角度を漸次減少させることにより行うこと、
2.前記第二の折り曲げ加工を施す第二の金型が、前記第一の折り曲げ加工を施す第一の金型よりも、第一の折り曲げ線と第二の折り曲げ線の間の距離だけパウチ内方側に位置し、且つ中間パウチの搬送方向の上流から下流に向かって前記第一の金型の間隙の形状と同一の形状を有すること、
3.前記折り曲げ加工において加熱された折り曲げ部分を冷却する熱交換機構が設けられていること、
が好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパウチにおいては、サイドシール部に沿った折り曲げ線が、サイドシール部の内側端縁よりもパウチ内方に位置し、前記折り返し部が、更に折り返された多重構造を有することにより、自立性、或いは把持する際の感触、曲げ剛性が顕著に向上されている。
【0010】
また本発明のパウチにおいては、折り返し部が多重構造を有することにより、サイドシール部の端縁を多重構造の内部に位置させることが可能になり、フィルムの切断端縁がパウチ外面に露出することがなく、手のあたりが柔らかいことはもちろん、引っ掛かり等が生じるおそれもない。
【0011】
更に本発明のパウチの製造方法においては、多重構造を有する折り返し部を、通常の折り返し部と連続して形成することが可能であり、切断端縁がむき出しとならない中間パウチを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のパウチにおける中間パウチを示す図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のX−X断面における側断面の概略図。
【
図2】本発明のパウチの折り返し部の多重構造を説明するための横断面の概略図。
【
図3】本発明のパウチの製造方法に使用する折り曲げ加工装置の平面概略図。
【
図4】
図3に示した金型における間隙の形状の変化を説明するための断面図。
【
図5】
図4に示した折り曲げ加工装置の金型内での折り曲げを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(パウチ)
前述したとおり、本発明のパウチは、サイドシール部に沿った折り曲げ線が、サイドシール部の内側端縁よりもパウチ内方に位置し、前記折り返し部が、更に折り返された多重構造を有することが重要な特徴である。
図1は本発明の折り返し部を有する中間パウチ、例えばスタンディングパウチにおける中間パウチの一例を示す図である。
図1に示す中間パウチ1は、側面フィルム2a,2bの間に底部フィルム3が折り目線8で折りたたまれた状態で位置し、側面フィルム2a,2bの両端部を接合したサイドシール部4a,4b及び側面フィルム2a,2bと、底部フィルム3を接合したボトムシール部6が形成されている。
【0014】
このようなスタンディングパウチにおいては、パウチの自立性を向上させ、把持した時の手のあたりを柔らかくする等の観点から、前述した中間パウチを折り曲げ線7a、7bに沿った折り曲げ加工を行う。この折り曲げ線7a、7bは、パウチのサイドシール部4a、4bに沿った軸方向に延び、サイドシール部の内側端縁よりもパウチ内方側(収納部側)に位置させ、これにより折り曲げ加工が容易になると共に自立性も向上する。
【0015】
また、折り返し部は、
図1にその一例を示した中間パウチを、折り曲げ線7a,7bで折り曲げ加工することにより形成され、折り曲げ線7a,7bよりも外側のサイドシール部を含むパウチ幅方向端部が折り返し部を構成する。
そして、本発明のパウチにおいては、折り曲げ線7a,7bで折り曲げ加工が施された折り返し部に、更に同様の折り曲げ加工を行い、折り返し部を多重構造とする。これにより、折り返し部の剛性が顕著に向上すると共に、側面フィルムの切断端縁を多重構造の内部に位置させることが可能になり、把持する際に当たりが柔らかく、また引っ掛かりが有効に防止される。さらに、パウチがスタンディングパウチの場合は、自立性及び自立時の座屈やしわの発生がより有効に防止される
【0016】
すなわち、パウチの折り返し部の多重構造を説明するための
図2に基づいて説明すると、
図1に示した折り曲げ線7a,7bで一回折り曲げ加工した折り返し部12は、
図2(A)に示すように、一重構造を有している。
尚、折り曲げ線7a,7bのサイドシール部4a、4b内側端縁からの距離は、パウチの大きさや、サイドシール部の幅等によっても異なるが、サイドシール部の内側端縁からパウチ内方側に1.5〜2.5mmであることが好適である。
次いで、
図2(A)に示した一回の折り曲げ加工による折り返し部12の部分を、
図2(A)に示す第二の折り曲げ線13を軸に、更に折り曲げ加工を行うことにより、
図2(B)に示すように、折り返し部12’は二重構造に形成される。
また、
図2(A)に示した一回折り曲げ加工による折り返し部12内に形成された第二の折り曲げ線14を軸に、更に折り曲げ加工を行うことにより、
図2(C)に示すように、折り返し部12”は三重構造に形成される。
【0017】
また、本発明のパウチは、パウチ上方には内容物の注出口が形成されるが、本発明においては注出口の形状や形成場所は、収納する内容物の性状やパウチの大きさ等、パウチの用途に応じて従来公知の形状等を採用することができる。パウチの上方角部に注出口を設ける場合には、前述した折り返し部は注出口を避けてその下部まで形成することが、注出性の点からも望ましい。
【0018】
さらに、本発明のパウチは、スタンディングパウチの場合は、自立性を向上する観点から、折り返し部は少なくとも底部フィルムが位置する部分において側面フィルムに接合固定されていることが望ましく、より好適には、底部から上部までの軸方向全体にわたって、或いは底部フィルムが位置する部分及び折り返し部の上端部が、側面フィルムに接合固定されていることが望ましい。
尚、本発明おいては、スタンディングパウチを例示して説明したが、樹脂フィルムを三方シール、四方シールした平パウチにも適用される。
【0019】
本発明のパウチは、従来公知のパウチに使用される樹脂フィルムを用いることができ、これに限定されないが、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層フィルム、或いはこれらのヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルムをパウチの内層とし、他のフィルムを積層した2層以上の層構成を有する積層フィルムを使用することができる。
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂等を挙げることができる。
積層フィルムとしては、前記ヒートシール性熱可塑性樹脂から成るフィルムをパウチの内層とし、種々の熱可塑性樹脂、アルミニウム箔等の金属箔、或いは紙やセロハン等を外層或いは中間層として使用することができる。またパウチにガスバリア性を付与する場合には、エチレンビニルアルコール共重合体、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等のガスバリア性樹脂から成る層、アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物蒸着膜を有する樹脂層、粘土鉱物を含有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔を含む従来公知の積層フィルムを使用できる。
【0020】
(製造方法)
本発明のパウチの製造方法においては、サイドシール部と平行、且つサイドシール部内縁よりも内方に位置する折り曲げ線の位置で、中間パウチの搬送方向の上流から下流に向かって変化する間隙を有する金型を用いて、中間パウチのサイドシール部を一方側に折り曲げ、折り曲げ線を軸とする折り返し部とパウチの側面フィルムにより形成される折り曲げ角度を漸次減少させるパウチ幅方向端部の折り曲げ加工が施される。そして、この折り曲げ加工を、少なくとも、第一の折り曲げ線で折り曲げ加工を施す第一の折り曲げ加工と、第一の折り曲げ線と平行、且つ第一の折り曲げ線よりもパウチ内方側に位置する第二の折り曲げ線で第一の折り曲げ加工後の折り返し部の折り曲げ加工を施す第二の折り曲げ加工を行う。
この折り曲げ加工を行う折り曲げ装置は、前記中間パウチを搬送させつつ、中間パウチの少なくともサイドシール部を、搬送方向と平行な折り曲げ線に沿って、側面フィルム側に折り曲げる折り曲げ加工を施し、形成された折り返し部の形状を安定させる。
【0021】
図3は、本発明のスタンディングパウチの製造に用いられる折り曲げ装置の一例を示す上面図である。
図3に示す具体例においては、パウチの搬送方向(図中、矢印Z)の上流から下流に向かって、第一の折り曲げ加工部200A及び第二の折り曲げ加工部200Bを直列的に備えると共に、パウチを搬送する複数の搬送ロール220を備えた折り曲げ機構200が設けられており、その下流に、形成された折り返し部の折り曲げ状態を安定させるための加熱機構300が設けられている。尚、図示していないが、折り曲げ装置の上流側には、加熱装置が設置されており、折り曲げ装置に搬送される中間パウチの、折り曲げ加工が施されるパウチの幅方向端部を折り曲げ可能な温度に加熱して、折り曲げ装置に供給する。尚、中間パウチの折り曲げ装置への供給は、底部側又はパウチ上部側のいずれから供給してもよい。しかしながら、スタンディングパウチの場合は、中間パウチの上部側の内容物充填のための開口から空気が入ってパウチが膨らんだり、或いは異物が入ることを防止するために、底部側から折り曲げ装置に供給することが好適である。
【0022】
図3に示す態様においては、2つの折り曲げ加工部200A及び200Bで、折り曲げ加工が2回行われ、折り返し部12が多重構造を有するパウチを形成することができる。折り曲げ加工を一回のみ行う場合は、折り曲げ加工部を一つにすればよい。また加熱機構300は、折り返し部12を挟持しながら搬送する一対の回転機構320及び複数の加熱ブロック330を備えており、加熱ブロック330によって折り返し部12の折り曲げ状態を安定させることができる。また、前述した折り返し部12の折り曲げ状態をより安定させるために、折り返し部分12の加熱後に冷却を行っても良い。さらに、折り曲げ装置の上流側に加熱装置を設置し、折り返し部12の形成後に冷却を行っても良い。このように、折り返し部12の形成後は、必要に応じて加熱、冷却を行う熱交換機構が設けられる。
【0023】
第一の折り曲げ加工部200A及び第二の折り曲げ加工部200Bはそれぞれ、中間パウチの搬送経路内に、少なくとも折り曲げ線よりも外側に位置する中間パウチの幅方向端部をそれぞれ収納可能な、一対の第一の金型210A,210A及び一対の第二の金型210B,210Bを有している。この一対の金型210A,210A及び一対の金型210B,210Bはいずれも、中間パウチの搬送方向(図中、矢印Z)の上流側から下流側に向かって、変化する間隙を有しており、中間パウチの幅方向端部がこの金型200A及び200B内を通過することによって、折り曲げ線を軸とする折り返し部と、パウチの側面フィルムにより形成される折り曲げ角度を漸次減少させて、折り曲げ線よりも外側の幅方向端部を側面フィルム側に折り曲げる折り曲げ加工が施される。
【0024】
図4は、
図3に示した第一の金型210A及び第二の金型210Bが有する間隙の形状変化を説明する図であり、
図4(A)は第一の金型210Aのパウチの搬送方向に対する断面を示しており、(a)〜(d)は
図3に示した(a)〜(d)付近の位置におけるそれぞれの断面を概略的に示しており、間隙230Aは上流から下流に向かって断面(a)〜(d)の形状をとりながら連続的に変化する。
すなわち、
図4(A)において、断面(a)においてはパウチ1の幅方向端部が金型210Aの間隙に入った状態を表し、断面(b)においては下方にL字型にまがった間隙230Aの形状に沿って、折り曲げ線7aを軸に折り返し部12が下方に折り曲げられる。更に断面(c)において、折り返し部12とパウチ1の側面フィルムとの角度を小さくするように折り曲げられる。そして最終的には、断面(d)のように、折り返し部12がパウチ1の側面フィルムとほぼ平行になるまで折り曲げられ、第一の折り曲げ加工が終了する。
【0025】
次いで、
図4(B)に示すように、第一の金型210Aで一回目の折り曲げ加工が施されたパウチ1は、第二の金型210Bに搬送され、
図2(A)に示した折り曲げ線14の位置を軸にして、第一の折り曲げ加工と同様の折り曲げ加工が施される。
図4(B)に示すように、第二の金型210Bに形成された間隙230Bは、第一の金型210Aに形成された間隙230Aと同様に、上流から下流に向かって断面(a)〜(d)の形状をとりながら連続的に変化する。
図4に示した態様においては、折り返し部12”が三重の多重構造が形成され、しかもフィルムの切断端縁は折り返し部内にある。
尚、前述した2つの折り曲げ加工部200A、200Bでそれぞれ折り曲げ加工を行う第一の金型210A、第二の金型210Bの二つの金型は、図示しないが、一つの金型210で構成しても良い。
また、前述した加熱ブロック330に変えて、二つの金型210A、210B、或いは一つの金型210の間隙において、中間パウチの折り曲げ線が位置する間隙部位を加熱する熱交換機構を設けても良い。
【0026】
図5は、
図4に示した第一の金型210A及び第二の金型210Bにおける中間パウチ1の幅方向端部が折り曲げられる過程を説明する図であり、この態様においては、第二の折り曲げ線は、
図2に示した折り曲げ線13の位置で折り曲げ加工が行われている。
第一の金型210Aでの折り曲げ加工によるパウチ端部の折り曲げ状態(a)〜(d)は、
図4(A)の金型210Aの断面(a)〜(d)に対応しており、上流から下流に向かって搬送されつつあるパウチが金型210Aの間隙230Aの形状の変化に従って、徐々に折り曲げられていることがわかる。第一の金型210Aでの折り曲げ加工が終了すると、第二の金型210Bで同様に折り曲げ加工が施され、この態様では折り返し部12’が、
図2(B)に示す二重構造に形成される。
【0027】
尚、前述したとおり、第一の金型210Aと第二の金型210Bに形成される間隙は同じ形状変化を有するものであるが、
図5から明らかなように、第二の金型210Bにおける間隙は、第一の折り曲げ線7aと第二の折り曲げ線13a(7bと13b)の間隔だけ第一の金型210Aよりも内側に位置するように形成されていることが、複数の折り曲げ加工を連続して行う上で望ましい。
また、本発明のパウチの製造方法は、スタンディングパウチを例示して説明したが、樹脂フィルムを三方シール、四方シールした平パウチの製造方法にも適用される。
そして、折り曲げ加工が施された中間パウチは、次いでパウチ上部に内容物に応じた注出口を形成することにより完成する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のパウチは、把持する際の感触、曲げ剛性、或いは自立性に優れ、特に大型パウチに好適に使用することができ、洗剤やシャンプー等の日用品や、調味料等の食料品に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 中間パウチ、2 側面フィルム、3 底フィルム、4 サイドシール部、6 ボトムシール部、7 折り曲げ線、8 折り目線、10 収納部、12 折り返し部、13、14 第二の折り曲げ線、210 金型、230 間隙。