特許第6497049号(P6497049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497049パーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497049
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】パーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20190401BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   B65G47/14 Z
   B65G47/14 101C
   B07C5/342
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-246356(P2014-246356)
(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公開番号】特開2016-108081(P2016-108081A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】迎 邦暁
(72)【発明者】
【氏名】田邉 喜文
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢
(72)【発明者】
【氏名】有村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】入江 進
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−112815(JP,A)
【文献】 特開2001−327929(JP,A)
【文献】 特開平09−267911(JP,A)
【文献】 特開2014−197762(JP,A)
【文献】 特開平04−107000(JP,A)
【文献】 特開2003−292143(JP,A)
【文献】 特開2003−315272(JP,A)
【文献】 特開2011−245373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B07C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の4つの面とこの4面の長手方向両端にある端面とで略四角柱状をなし、前記4面のうち何れか1つの面を他の3面と光の反射効率が異なる姿勢判別用の特徴面としたワーク本体と、ワーク本体の前記端面にそれぞれ設けられ、前記ワーク本体の前記3面と光の反射効率が異なる端部部材とを有するワークを、搬送路に沿ってワークの長手方向と平行な方向に搬送しつつカメラで撮像可能なパーツフィーダに適用されるものであって、
前記カメラとして、複数の撮像素子を有し、前記ワーク本体の前記4面のうち少なくとも互いに隣接する2面を同時に撮像可能な位置に設けられたものを採用し、
前記カメラが取得した画像データを取り込む画像取込手段と、
前記画像取込手段が取り込んだ画像データに基づいて、ワークの姿勢を判別する姿勢判別手段とを備え、
前記画像データに現れるワーク本体の前記2面のうちの一方に対応する所定の第1領域と、他方に対応する所定の第2領域において、ワークの長手方向のほぼ全体に亘って色要素情報をそれぞれ取得するとともに、前記第1領域の色要素情報の変化と前記第2領域の色要素情報の変化とに基づいてワーク本体の前記長手方向の端部を検出し、ワークの姿勢を判別することを特徴とするパーツフィーダ用画像処理装置。
【請求項2】
前記特徴面が、ワークの前後方向の姿勢を判別するためのマークをワークの長手方向の偏った位置に有するとともに、
前記カメラは、ワークをその搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体を撮像し、前記搬送路に沿って搬送されるワークを順次撮像して、1つのワーク毎に複数の画像データを取得可能なものであり、
前記画像取込手段が取り込んだ画像データを撮像順につなぎ合わせて合成画像データを生成する前処理手段をさらに備え、
前記端部部材に対応する色要素情報の変化、及び、前記マークを含む前記特徴面に対応する色要素情報の変化をそれぞれ特定するとともに、前記合成画像データに基づいてマークの位置を判別する請求項1記載のパーツフィーダ用画像処理装置。
【請求項3】
前記カメラとして、ワークの搬送方向及びそれと略直交する方向にそれぞれ配列した複数の撮像素子を有するエリアカメラを採用し、
前記エリアカメラが有する複数の撮像素子のうち、前記搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用可能に設定する設定手段をさらに備え、
この設定手段で設定された撮像素子により、前記搬送路に沿って搬送されるワークを、その搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体の撮像範囲で順次撮像して、1つのワーク毎に複数の画像データを取得可能にしている請求項1又は2記載のパーツフィーダ用画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のパーツフィーダ用画像処理装置を用いるものであって、
前記ワークが搬送される搬送路を有するパーツフィーダ本体と、
複数の撮像素子を有し、前記ワーク本体の前記4面のうち少なくとも互いに隣接する2面を同時に撮像可能な位置に設けられたカメラと、
前記カメラが取得した画像データを取り込む画像取込手段と、
前記画像取込手段が取り込んだ画像データを利用して、前記ワークの姿勢を判別する姿勢判別手段とを備えることを特徴とするパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定形態の複数のワークが搬送路上を互いに隙間なく搬送される場合であっても、1つ分のワークの長手方向端部を正確に判別して、ワークの姿勢判別精度を高く維持できるパーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等の搬送対象物であるワークを搬送路に沿って所定の供給先まで搬送可能なパーツフィーダが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示のパーツフィーダは、搬送路に沿って搬送されてくるワークの一面のみをエリアカメラと対向させた状態で撮像し、得られた画像データに基づいてワークの姿勢を判別するように構成されている。姿勢不良と判別されたワークは、搬送路上で所定方向に90°回転(反転)させて姿勢矯正されたり、搬送路上から排除されることが通例となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−39981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークとしては、例えば、図14に示すように、長手方向両端にそれぞれ電極W2が設けられ、これら電極W2,W2の間にあるワーク本体W1の4つの面Wf1のうちの1つに姿勢判別用として特徴面W10が形成され、ほかの3面Wf1は特徴面W10と色が異なる非特徴面W20とされているものが挙げられる。
【0005】
このような特定形態のワークWに対して姿勢判別を行う場合、図15(a)の部分断面図にて示すように、ワークWの1つの面とエリカカメラ200とを互いに対向させつつ図示しない光源よりワークWに光を当ててワークWを撮像し、ワークWの1つの面と電極W2とが現れた画像データを得て、その画像データに特徴面W10が現れているかどうか判断することで、ワークの姿勢を判別することが考えられる(4分の1選別)。例えば、同図(b)のパーツフィーダの一部分の平面図にて示すように、Xの方向に搬送されるワークW(WA〜WD)のうち、特徴面W10が上方を向くワークWB,WDが正しい姿勢とすれば、非特徴面W20が上方を向くワークWA,WCは、姿勢不良と判別されるべきものである。
【0006】
ここで、ワークWの排出能力(所定の供給先まで搬送される単位時間あたりのワークWの数)を向上させるためには、複数のワークWを互いに隙間をあけることなく搬送させることが有効である。
【0007】
しかしながら、このような特定形態のワークWを互いに隙間なく複数連続して搬送すると、得られる画像データにおいて、同図(c)に示すように、互いに隣接する電極W2,W2同士の境界Waを判別することが難しくなる(図では、判別し難い境界を二点鎖線で示す)。なお、同図(c)では、電極W2が暗く写るように調整している。また、同図(d)のように光源からの光の当て方により電極W2を明るく写した場合でも、電極W2,W2同士の境界Waを判断することが難しくなる。(図では、判別し難い境界を二点鎖線で示す)。そのため、画像データにおいて1つ分のワークWを正確に判断できず、パターンマッチング等による姿勢判定の精度が低下するという問題がある。
【0008】
なお、このような問題は、ワークWの長手方向端部Waに電極W2が配置されたものを使用する場合に限定されず、ワークWの長手方向両端部Waにワーク本体W1と光の反射効率が異なる他の部材が設けられたものを使用する場合にも起こり得る。
【0009】
一方、エリアカメラとして分解能等の性能が高いものを採用することで、微細な局面形状をとらえることを可能にし、ワークW,W同士の切れ目を画像データに明確に現わし、ワークWの長手方向端部を判別可能にすることも考えられるが、このような高性能なカメラは高価であり、パーツフィーダのコスト上昇につながる。
【0010】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、互いに隙間なく複数連続して搬送される特定の形態のワークに対しても、高価な装置を用いることなく、ワークの長手方向端部を正確に判別可能にして、ワークの姿勢判別精度を高く維持できるパーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明のパーツフィーダ用画像処理装置は、略矩形状の4つの面とこの4面の長手方向両端にある端面とで略四角柱状をなし、前記4面のうち何れか1つの面を他の3面と光の反射効率が異なる姿勢判別用の特徴面としたワーク本体と、ワーク本体の前記端面にそれぞれ設けられ、前記ワーク本体の前記3面と光の反射効率が異なる端部部材とを有するワークを、搬送路に沿ってワークの長手方向と平行な方向に搬送しつつカメラで撮像可能なパーツフィーダに適用されるものであって、前記カメラとして、複数の撮像素子を有し、前記ワーク本体の前記4面のうち少なくとも互いに隣接する2面を同時に撮像可能な位置に設けられたものを採用し、前記カメラが取得した画像データを取り込む画像取込手段と、前記画像取込手段が取り込んだ画像データに基づいて、ワークの姿勢を判別する姿勢判別手段とを備え、前記画像データに現れるワーク本体の前記2面のうちの一方に対応する所定の第1領域と、他方に対応する所定の第2領域において、ワークの長手方向のほぼ全体に亘って色要素情報をそれぞれ取得するとともに、前記第1領域の色要素情報の変化と前記第2領域の色要素情報の変化とに基づいてワーク本体の前記長手方向の端部を検出し、ワークの姿勢を判別することを特徴とする。
【0013】
ここで、光の反射効率とは、ある位置に置いた光源より与えられる光が物体の表面で反射して、別の位置に置いた撮像手段の撮像素子に入射する量の程度を表すものであり、反射効率が高いものとは、それに反射した光のうち撮像素子へ入射する光の量が相対的に多いものをいい、反射効率が低いものとは、それに反射した光のうち撮像素子へ入射する光の量が相対的に少ないものをいう。また色要素情報は、輝度や照度の他に、明度や彩度など反射効率が異なることで画像データにおいて差異として現れる情報を含む。
【0014】
このような構成であると、1台のカメラで、ワーク本体の互いに隣接する2面が現れた画像データを同時に取得でき、画像取込手段を介して取り込まれた画像データからは、姿勢判別手段により、ワークの長手方向のほぼ全体に亘って第1領域と第2領域の色要素情報が取得される。第1領域または第2領域の少なくとも一方は、特徴面でない面に対応するものであることから、特徴面と端部部材が同程度の反射効率を有する場合であっても、第1領域の色要素情報の変化と第2領域の色要素情報の変化に基づくことで、端部部材による色要素情報の変化を検出して、ワーク本体の前記長手方向の端部を正確に判別することができる。ワーク本体の長手方向の端部が判別できれば、1つ分のワークの切り出しを行って、1つ分のワークが現れた画像データを得ることができ、これに基づいて正確に姿勢判別を行うことができる。したがって、互いに隙間なく連続して搬送される特定形態の複数のワークに対しても、高性能で高価なカメラを用いることなく、ワークの姿勢判別精度を高く維持することができる。
【0015】
前記特徴面が、ワークの前後方向の姿勢を判別するためのマークをワークの長手方向の偏った位置に有している場合に、上記のような姿勢判別を可能にする具体的な構成として、前記カメラは、ワークをその搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体を撮像し、前記搬送路に沿って搬送されるワークを順次撮像して、1つのワーク毎に複数の画像データを取得可能なものであり、前記画像取込手段が取り込んだ画像データを撮像順につなぎ合わせて合成画像データを生成する前処理手段をさらに備え、前記端部部材に対応する色要素情報の変化、及び、前記マークを含む前記特徴面に対応する色要素情報の変化をそれぞれ特定するとともに、前記合成画像データに基づいてマークの位置を判別する構成であることが好ましい。
【0016】
特に、一般的なカメラを利用して上記効果を発揮しつつ、さらに姿勢判別処理の高速化をも実現するためには、前記カメラとして、ワークの搬送方向及びそれと略直交する方向にそれぞれ配列した複数の撮像素子を有するエリアカメラを採用し、前記エリアカメラが有する複数の撮像素子のうち、前記搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用可能に設定する設定手段をさらに備え、この設定手段で設定された撮像素子により、前記搬送路に沿って搬送されるワークを、その搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体の撮像範囲で順次撮像して、1つのワーク毎に複数の画像データを取得可能に構成していることが好ましい。
【0017】
一方、本発明のパーツフィーダは、上記パーツフィーダ用画像処理装置を用いるものであって、前記ワークが搬送される搬送路を有するパーツフィーダ本体と、複数の撮像素子を有し、前記ワーク本体の前記4面のうち少なくとも互いに隣接する2面を同時に撮像可能な位置に設けられたカメラと、前記カメラが取得した画像データを取り込む画像取込手段と、前記画像取込手段が取り込んだ画像データを利用して、前記ワークの姿勢を判別する姿勢判別手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明した本発明によれば、ワーク本体の互いに隣接する2面を同時に撮像し、これら2面に対応する各領域の色要素情報の変化に基づくことで、ワーク本体の長手方向の端部を正確に判別できることから、互いに隙間なく連続して搬送される特定形態の複数のワークに対しても、高価な装置を用いることなく、ワークの姿勢判別精度を高く維持することが可能なパーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るパーツフィーダを示す側面図。
図2】同パーツフィーダで搬送可能なワークを示す斜視図。
図3図1に示す同パーツフィーダを切断面線III−IIIで切断して示す断面図。
図4】同パーツフィーダの搬送路に沿って搬送される複数のワークを上方から示す図。
図5】同パーツフィーダで取得される画像データを模式的に示す図。
図6】画像データに現れるワークの輝度の変化を説明するための図。
図7】ワークの部位ごとの輝度を示すグラフ。
図8】ワーク本体の4つの領域の平均輝度について説明するための図。
図9】他のワークを用いた場合に画像データに現れる輝度の変化を説明するための図。
図10】同ワークの部位ごとの輝度を示すグラフ。
図11】ワーク本体の4つの領域の平均輝度について説明するための図。
図12】同パーツフィーダの動作を説明するためのタイミングチャート。
図13】本発明の変形例を示す図。
図14】従来より用いられるワークの一例を示す図。
図15】従来のパーツフィーダの課題を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるパーツフィーダ100は、パーツフィーダ本体100が備える搬送路10に沿って搬送物である複数のワークWを図示しない供給先に向けて搬送するものである。
【0022】
本実施形態のパーツフィーダ100は、図2に示すように、略矩形状の4つの面Wf1と当該面Wf1の長手方向両端にある略正方形状の端面Wf2とで略四角柱状をなすワーク本体W1と、ワーク本体W1の長手方向両端にそれぞれ設けられた端部部材としての電極W2とを有して構成されるワークWを、その長手方向が搬送方向と平行になるように搬送可能なものである。電極W2は表面に比較的凹凸が少ない一方、ワーク本体W1は表面に比較的凹凸が多いことから、電極W2の表面とワーク本体W1の表面とは、それぞれ光の反射効率が異なっている。
【0023】
ここで、光の反射効率とは、ある位置に置いた光源より与えられる光が物体の表面で反射して、別の位置に置いた撮像手段の撮像素子に入射される量の程度を表すものであり、反射効率が高いものとは、それに反射した光のうち撮像素子へ入射する光の量が相対的に多いものをいい、反射効率が低いものとは、それに反射した光のうち撮像素子へ入射する光の量が相対的に少ないものをいう。なお、同じ物体であっても、光源や撮像手段の位置によっては、反射効率は異なるものとなり得る。また、この反射効率は、光を当てる物体の材質や形状、表面粗さ、色などの表面性状によっても変化する。この反射効率の違いは、エリアカメラ2の撮像によって得られる画像データでの現れ方(色要素)に影響を及ぼす。この点に関しては、後で詳述する。
【0024】
また、ワーク本体W1の4つの面Wf1のうち、1つの面Wf1には、他の3つの面W20と光の反射効率が異なる姿勢判別用の特徴面W10が形成されている。光の反射効率は、色や表面形状によって調整可能であり、本実施形態では、比較的凹凸の多いワーク本体W1の1つの面Wf1に、他の3つの面Wf1と色及び表面形状の異なる特徴面W10が形成されている。この特徴面W10には、ワークWの長手方向端部Waの偏った位置に、ワークWの前後方向の姿勢を判別するための略矩形状のマークMが形成されている。このマークMと、特徴面W10のうちマークM以外の部分である非マーク部分W11とは、互いに異なる色で構成され、互いに光の反射効率が異なっている。マークMは、他の3つの面である非特徴面W20と反射効率が略等しく、非マーク部分W11は、電極W2と反射効率が略等しく構成されている。なお、ワーク本体W1と電極W2とはわずかに高さが異なっている。また、ワークWとして、特徴面W10にマークMが形成されていないものを用いてもよい。
【0025】
パーツフィーダ本体100は、搬送路10と駆動手段11とを含んで構成され、駆動手段11によって搬送路10を振動させることで搬送路10上にある複数のワークWを搬送する。搬送路10は、図3に示すように、ワークWの搬送方向と直交する断面が略V字状に形成されており、ワーク本体W1の4面Wf1のうちの2面Wf1,Wf1と同時に当接し、残りの2面Wf1,Wf1を斜め上方に向けつつ、図4の平面図に示すように、複数のワークWを長手方向と平行な方向に互いに隙間なく搬送可能なものである。
【0026】
このような搬送路10の上方には、図1に示すように撮像手段としてエリアカメラ2が設けられており、このエリアカメラ2は、ワークWの搬送方向(搬送路10の延在方向)およびそれに直交する方向に並ぶ複数の感度の高い撮像素子(CMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor))を有し、図示しない光源よりワークWの長手方向両側からワークWに光を当てつつ撮像を行う。そのため、ワーク本体W1と電極W2の高さが異なることによる影をこれらの境界部分に生じさせることなく、ワークWを撮像することができる。また、本実施形態では、ワークWの上面に対して光が浅い角度で入射されるような位置に上記光源を配置しており、光源の配置位置によって画像データに現れるワークWの各部位の後述する色要素情報を調整することができる。なお、エリアカメラ2のスキャンレートは数十kHz程度であり、ワークWの搬送速度に対し十分に早い速度に設定されている。
【0027】
エリアカメラ2は、設定手段30によって、ワークWの搬送方向に直交して並ぶ一部の撮像素子(本実施形態では1列)のみを撮像に利用することができる。エリアカメラ2の撮像範囲(撮像ライン)Eは、ワークWを搬送方向においては一部のみ、搬送方向と直交する方向に対しては略全体を撮像可能な範囲に設定される。そのため、エリアカメラ2は、ワーク本体W1の互いに隣接する2面Wf1,Wf1を同時に撮像することができ、例えば図5に示すような画像データa〜dを得ることができる。
【0028】
具体的に、画像データaは電極W2を撮像したものであり、画像データa中で電極W2が比較的暗く現れる。また、画像データbはワーク本体W1のうち電極W2との境界近傍を撮像したものであり、画像データb中で非マーク部分W11が比較的暗く現れ、ワーク本体W1の4つの面Wf1のうち非特徴面W20が比較的明るく現れる。また、画像データcはマークMを撮像したものであり、画像データc中で非マーク部分W11が比較的暗く現れ、マークM及び非特徴面W20が比較的明るく現れる。さらに、画像データdはマーク本体W1のうちマークMに対応しない部分を撮像したものであり、画像データd中で非マーク部分W11が比較的暗く現れ、非特徴面W20が比較的明るく現れる。なお、ワークWの姿勢によっては、画像データには、非特徴面W20が2つ現れたり、特徴面W10が同図の下側に現れる場合もある。なお、上記光源からの光の当て方によって、電極W2を明るく現わすことも可能である。
【0029】
図1に示すエリアカメラ2はワークWが撮像位置P1に到達する前から一定間隔で連続して撮像を行うように動作し、下流側へ向けて搬送されるワークWが撮像位置P1を通過する間に複数回撮像を行ない、そのワークWの長手方向略全体にわたって当該ワークWの異なる位置がそれぞれ現れた複数の画像データを取得する。取得された画像データは、1回の撮像が行われるたびに後述する制御装置(コントローラ)3に転送される。エリアカメラ2により取得された上記のような画像データは、エリアカメラ2のほぼ全ての撮像素子を利用した撮像によって取得される画像データよりも画素数が少なく、データ量が少ないことから、図1に示す画像取込手段31を介して制御装置3に即時に取り込むことができる。
【0030】
図1に示す制御装置3は、図示しないCPUやメモリ、インターフェース等を備えた通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されるもので、メモリ内に適宜のプログラムが格納されており、CPUは逐次そのプログラムを読み込み、周辺ハードリソースと協働して設定手段30、画像取込手段31、前処理手段32、姿勢判別手段33及び指令出力手段34としての役割を担う。
【0031】
画像取込手段31は、エリアカメラ2が取得した画像データを制御装置3に取り込むものであり、エリアカメラ2が撮像を行うたびに画像データを即時に取り込む。
【0032】
前処理手段32は、2値化処理部32aと検出部32bと合成画像データ生成部32cとを有し、画像データが画像取込手段31を介して取り込まれると、2値化処理部32aは、図6に示すように、画像データに現れたワーク本体W1の2面Wf1,Wf1のうちの一方に対応する第1領域61の色要素情報としての輝度データと、第1領域61に対してワークWの搬送方向と略直交する方向に離間し、2面Wf1,Wf1のうちの他方に対応する第2領域62の輝度データを順次取得していく。
【0033】
そして、得られた輝度の値が閾値Aよりも高ければUP(1)、低ければDOWN(0)として、ワークWの長手方向における輝度変化データを生成する。本実施形態において、輝度値は、電極W2及び非マーク部分W11でDOWN(0)となり、マークM及び非特徴面W20でUP(1)となる。
【0034】
そのため、図7に示すように、第1領域61及び第2領域62でともに電極W2の輝度値はDOWN(0)となってOR出力が0になる。また、ワーク本体W1のうちマークMに対応しない範囲(非マーク範囲N(図6参照))では、特徴面W10に位置する第1領域61でDOWN(0)となり、非特徴面W20に位置する第2領域62でUP(1)となってOR出力が1になる。さらに、ワーク本体W1のうちマークMに対応する範囲(マーク対応範囲M1(図6参照))では、第1領域61でUP(1)となり、第2領域62でUP(1)となってOR出力が1になる。なお、第1領域61及び第2領域62は、特徴面W10が画像データに現れている場合にマークMと重なるよう、ワークWの搬送方向と直交する方向の位置が適宜設定されている。
【0035】
検出部32bは、輝度変化データに基づいて、ワーク本体W1に対応する輝度の変化を判別するものである。具体的に、検出部32bは、一方の領域61(62)と他方の領域62(61)のOR出力が0から1になると、それがワークWの搬送方向下流側(進行方向前側)にある電極W2とワーク本体W1との境界(ワーク本体1の搬送方向下流側の端部W10a)に対応するものと判断する。また、検出部32bは、一方の領域61(62)と他方の領域62(61)のOR出力が1から0になると、それがワークWの搬送方向上流側(進行方向後ろ側)にある電極W2とワーク本体W1との境界(ワーク本体W1の搬送方向上流側の端部W10a)に対応するものと判断する。
【0036】
このようにしてワーク本体W1の端部W10aが検出されると、合成画像データ生成部32cは、画像データを撮像順につなぎ合わせて、1つのワークWの略全体が現れた2次元の画像データとして合成画像データを生成する。合成画像データ生成部32cは、ワーク本体W1と電極W2の実寸となる設定値およびスキャンレート、レンズ倍率、CMOS受光素子サイズから、ワーク本体W1前後にある電極W2部の取得画像を推測し、おおよその1ワーク分の画像を合成することが可能なものである。なお、ワーク本体W1の略全体が現れた画像データがあれば後述する姿勢判別処理が可能であることから、合成画像データ生成部32cは、合成画像データとして、電極W2は現われず、ワーク本体W1の略全体が現れたものを生成するものであってもよい。
【0037】
姿勢判別手段33は、このような合成画像データに基づいてワークWの姿勢を判別する。具体的に、姿勢判別手段33は、合成画像データに現れたワーク本体W1を搬送方向中央で2分割するとともに、搬送方向と直交する方向で2分割して図8に示す計4つの領域(第1−1領域、第1−2領域、第2−1領域、第2−2領域)に分ける。そして、マークMが存在する領域の平均輝度がUP(1)となり、それ以外の領域の平均輝度がDOWN(0)となるような閾値を設けて、各領域を2値化し、その4つの領域の相関関係により、予め設定された姿勢に対するワークWの良否を判断する。図8には、ワークWを用いる場合における4つの領域の相関関係のすべてのパターンが記載されており、具体的には、第1領域61の搬送方向下流側(前側)または搬送方向上流側(後ろ側)にマークMが現れるものを正しい姿勢とした場合、図8のa,bのパターンのものを良品と判別して4分の1選別を行うことができ、またマークMがワーク本体Wの搬送方向下流側(前側)に現れるものを正しい姿勢とした場合、図8のaのパターンのみを良品と判断して8分の1選別を行うことができる。なお、特徴面W10にマークMが形成されていないワークを用いた場合も、おおむね同じ考えで4分の1選別を行うことが可能である。
【0038】
また、このような輝度を用いたワーク本体W1の検出および領域分割によるパターンマッチングは、図9に示すように、マークMと電極W2との光の反射効率が同程度であり、非マーク部分W11と非特徴面W20と同程度の反射効率を有するようなワークW´であっても、正確に検出することができる。
【0039】
具体的に、ワークW´は、図10に示すように、ワーク本体W1のうちマークMに対応しない範囲(非マーク範囲N)において、第1領域61でUP(1)となり、第2領域62でUP(1)となってOR出力が1になる。また、マーク対応範囲M1において、第1領域61でDOWN(0)となり、第2領域62でUP(1)となってOR出力が1になる。そのため、検出部32bは、両方の領域61,62のOR出力が0から1になると、それがワークWの搬送方向下流側(進行方向前側)にある電極W2とワーク本体W1との境界(ワーク本体W1の搬送方向下流側の端部W10a)に対応するものと判断する。また、検出部32bは、両方の領域61,62のOR出力が1から0になると、それがワークWの搬送方向上流側(進行方向後ろ側)にある電極W2とワーク本体W1との境界(ワーク本体W1の搬送方向上流側の端部W10a)に対応するものと判断する。
【0040】
また、姿勢判別手段33は、第1領域61の搬送方向下流側(前側)または搬送方向上流側(後ろ側)にマークMが現れるものを正しい姿勢とした場合、図11のa,bのパターンのものを良品と判別して4分の1選別を行うことができ、またマークMがワーク本体Wの搬送方向下流側(前側)に現れるものを正しい姿勢とした場合、図11のaのパターンのみを良品と判断して8分の1選別を行うことができる。
【0041】
このように画像取込手段31、前処理手段32及び姿勢判別手段33はワークWの姿勢を判別する本発明のパーツフィーダ用画像処理装置8を構成するものである。
【0042】
指令出力手段34は、姿勢判定手段33が不適切な姿勢(不正姿勢)であると判定すると、図1に示す姿勢矯正手段5に対して、搬送路10に設定された姿勢矯正位置P2にあるワークWを搬送路10上で搬送方向と平行な軸回りに90°回転(反転)させるための指令を出力する。この指令は、ワークWの特定箇所(長手方向の端部W10a等)を検出部32bが検出した時点を基準として、所定時間経過後に発信されることから、指令出力のためのトリガが不要となり、同期トリガ用のファイバーセンサや同期用の孔加工が不要となる。姿勢矯正手段5は、エリアカメラよりも搬送方向下流側に設定された姿勢矯正位置P2に向けて圧縮空気を噴射する付勢力付与部としての空気噴射ノズル50を有し、この空気噴射ノズル50から噴射された圧縮空気によりワークWに付勢力を付与してワークWを搬送路10上で90°回転させ、姿勢変更させる。空気噴射ノズル50は、例えば搬送路10の側壁10aに設けられた孔により形成され、前記指令としての通電指令が入力されることで圧縮空気が噴射される。
【0043】
以上のような構成のパーツフィーダ100における動作を、図12に示すタイミングチャートを参照して説明する。以下では、不適切な姿勢の1つのワークWがエリアカメラ2により撮像されてから姿勢矯正手段5により姿勢矯正されるまでの動作を記載している。
【0044】
搬送路10上を搬送されるワークWを時刻t01で撮像すると、それによって取得された画像データは即時に画像取込手段31を介して取り込まれ(転送され)、その画像データに対して前処理手段32が前処理を行う。この前処理のうち、検出部32bは輝度変化データより時刻t02でワーク本体W1と電極W2との境界(ワーク本体W1の長手方向の端部W10a)に対応する箇所を検出する。時刻t01における撮像後も所定の間隔で順次撮像が行われ、そのたびに画像データの取り込み及び前処理が即時に行われていく。そして、時刻t03で合成画像データ生成部32cが合成画像データの生成を開始するとともに、この合成画像データに基づいて時刻t04まで姿勢判別手段33による姿勢判別処理(領域分割によるパターンマッチング)を行う。なお、時刻t03までの処理はソフト的に行われる以外に、ハードウエア(例えばFPGA(field-programmable gate array))により行われることも可能であり、時刻t03以後の処理はメモリに記憶させたプログラムを実行することによりソフト的に行われる。その後、時刻t02から待機時間tαが経過した時刻t05に通電指令が出力されるように指令出力手段34を制御する。そして、これにより姿勢矯正手段5の空気噴射ノズル50から圧縮空気が噴射され、時刻t05から伝達時間tdが経過した時刻t06でワークWに空気による付勢力が実際に作用する。なお、仮に姿勢判別処理が行われたワークWが適切な姿勢であり、姿勢判別処理により所定の姿勢であると判別された場合には、そのワークWを搬送路10上で姿勢矯正するための処理(通電指令の出力及び空気噴射ノズル50からの噴射)は行われない。
【0045】
このようにして、ワークWの姿勢が矯正されて供給先に供給されることになる。
【0046】
以上のように第1実施形態のパーツフィーダ用画像処理装置8は、略矩形状の4つの面Wf1と当該4面Wf1の長手方向両端にある端面Wf2とで略四角柱状をなし、4面Wf1のうちの1面Wf1を他の3面Wf1と光の反射効率が異なる姿勢判別用の特徴面W10としたワーク本体W1と、ワーク本体W1の端面Wf2にそれぞれ設けられ、ワーク本体W1の前記3面Wf1と光の反射効率が異なる端部部材としての電極W2とを有するワークWを、搬送路10に沿ってワーク10の長手方向と平行な方向に搬送しつつエリアカメラ2で撮像可能なパーツフィーダ1に適用されるものであって、エリアカメラ2として、複数の撮像素子を有し、ワーク本体W1の前記4面Wf1のうち少なくとも互いに隣接する2面Wf1,Wf1を同時に撮像可能な位置に設けられたものを採用し、エリアカメラ2が取得した画像データを取り込む画像取込手段31と、画像取込手段31が取り込んだ画像データに基づいて、ワークWの姿勢を判別する姿勢判別手段33とを備え、画像データに現れた前記2面Wf1,Wf1のうちの一方に対応する所定の第1領域61と、他方に対応する所定の第2領域62において、ワークWの長手方向のほぼ全体に亘って色要素情報をそれぞれ取得するとともに、第1領域61の色要素情報と第2領域62の色要素情報とに基づいてワーク本体W1の長手方向の端部W10aを検出し、ワークWの姿勢を判別するように構成されたものである。
【0047】
このような構成であると、1台のエリアカメラ2で、ワーク本体W1の互いに隣接する2面Wf1,Wf1が現れた画像データを同時に取得でき、画像取込手段31を介して取り込まれた画像データからは、姿勢判別手段33により、ワークWの長手方向のほぼ全体に亘って第1領域61と第2領域62の色要素情報が取得される。第1領域61または第2領域62の少なくとも一方は、非特徴面W20に対応するものであることから、特徴面W10のうちの非マーク部分W11と電極W2とが同程度の反射効率を有する場合であっても、第1領域61の色要素情報の変化と第2領域62の色要素情報の変化に基づくことで、電極W2による色要素情報の変化を検出して、ワーク本体W10の長手方向の端部Waを正確に判別することができる。ワークWの長手方向端部が判別できれば、1つ分のワークWの切り出しを行って、1つ分のワークWが現れた合成画像データを得ることができ、合成画像データに基づいて正確に姿勢判別を行うことができる。したがって、互いに隙間なく連続して搬送される特定形態の複数のワークWに対しても、高性能で高価なカメラを用いることなく、ワークWの姿勢判別精度を高く維持することができる。
【0048】
また、特徴面W10がワークWの前後方向の姿勢を判別するためのマークMをワークWの長手方向の偏った位置に有するとともに、エリアカメラ2は、ワークWをその搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体を撮像し、搬送路10に沿って搬送されるワークWを順次撮像して、1つのワークW毎に複数の画像データを取得可能なものであり、画像取込手段31が取り込んだ画像データを撮像順につなぎ合わせて合成画像データを生成する前処理手段32をさらに備え、電極W2に対応する色要素情報の変化、及び、マークMを含む特徴面W10に対応する色要素情報の変化をそれぞれ特定するとともに、合成画像データに基づいてマークMの位置を判別することから、エリアカメラ2の分解能等を上げることなく、ワークWの長手方向端部Wa及びマークの位置を正確に判別して、ワークWの姿勢を正確に判別することができる。
【0049】
特に、エリアカメラ2が有する複数の撮像素子のうち、前記搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用するよう設定する設定手段30をさらに備え、この設定手段30で設定された撮像素子により、搬送路10に沿って搬送されるワークWを、ワークWをその搬送方向に対しては一部のみ、搬送方向と略直交する方向に対してはほぼ全体の撮像範囲Eで順次撮像して、1つのワーク毎に複数の画像データを取得可能に構成したものである。
【0050】
このような構成であると、エリアカメラ2が1回の撮像で取得する画像データの画素数が少なくて済むので、画像取込手段31による取込速度(転送速度)が向上し、1つのワークWに対して撮像から姿勢判別処理までの時間を短縮してワークWの搬送を高速化できる。したがって、一般的に汎用しているエリアカメラ2を利用して、姿勢判別精度を高水準で維持可能な上記効果を発揮しつつ、さらに姿勢判別処理の高速化をも実現し、複数のワークWを互いに隙間なく搬送可能であることと併せて、ワークWの処理能力を大幅に向上させることができる。
【0051】
さらに、本発明のパーツフィーダ1は、上記パーツフィーダ用画像処理装置8を用いるものであって、ワークWが搬送される搬送路10を有するパーツフィーダ本体100と、複数の撮像素子を有し、ワーク本体W1の前記4面Wf1のうち少なくとも互いに隣接する2面Wf1,Wf1を同時に撮像可能な位置に設けられたエリアカメラ2と、エリアカメラ2が取得した画像データを取り込む画像取込手段31と、画像取込手段31が取り込んだ画像データを利用して、ワークWの姿勢を判別する姿勢判別手段33とを備えるものであることから、互いに隙間なく連続して搬送される特定形態の複数のワークWに対しても、高性能で高価なカメラを用いることなく、ワークWの姿勢判別精度を高く維持することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0053】
例えば、上記実施形態のパーツフィーダ100ではエリアカメラ2において1列の撮像素子だけが撮像に用いられているが、図13に示すように、ワークWの搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、この第1撮像素子群よりも搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定して、第1撮像素子群の撮像範囲(第1撮像ライン)E1または第2撮像素子群の撮像範囲(第2撮像ライン)E2に位置するワークWが撮像されるように構成される。なお、Eは、全ての撮像素子を用いた場合のエリアカメラ2の撮像範囲を示す。また、姿勢矯正手段5が2つの空気噴射ノズル50a,50bを有し、一方の空気噴射ノズル50aを第1撮像素子群の撮像範囲E1と第2撮像素子群の撮像範囲E2との間の位置に設けるとともに、他方の空気噴射ノズル50bを第2撮像素子群の撮像範囲E2よりも搬送方向下流側に設けてもよい。これによって、姿勢判別手段33(図1参照)は、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて姿勢判別処理を行い、その結果、不適正な姿勢と判別されたワークWに対しては一方の空気噴射ノズル50aを用いて姿勢矯正を行うとともに、第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて再度姿勢判別処理を行うように構成されている。再度の姿勢判別処理で不適正な姿勢と判別されたワークWは、他方の空気噴射ノズル50bを用いて姿勢矯正処理が行われる。
【0054】
エリアカメラ2は、例えばワークW,W同士の隙間を明確に現すために分解能を上げると視野が狭くなるが、本発明はワーク本体W1の長手方向の端部W10aを検出するにあたってエリアカメラ2の分解能を高くする必要がないので、1台のエリアカメラ2を用いて1つのワークWに対して姿勢判別処理を複数回行うこともできる。また、カメラ設置のためのスペースを複数台分確保できない場合であっても、1つのワークWに対する複数回の姿勢判別処理を好適に行うことができる。
【0055】
また、エリアカメラ2は、エリアカメラ2に備わるすべての撮像素子(またはある一部分撮像素子)を撮像に利用するエリアスキャンモードと、前記搬送方向に直交して並ぶ一部の撮像素子(本実施形態では1列)のみを撮像に利用するラインスキャンモードとに切り替え可能なものとし、ラインスキャンモード設定時に検出部32b(図1参照)によってワークWの長手方向端部Wa等を検出すると、エリアスキャンモードでワークWの略全体を撮像し、合成画像データでなく、エリアモードで取得した画像データに基づいて姿勢判別処理を行うようにしてもよい。
【0056】
また、画像データに現れた互いに隣接する2面Wf1から、所定姿勢とするまでに必要な反転の予想回数を求め、それに応じて姿勢矯正処理を行うようにしてもよい。たとえば、第1領域61に特徴面W10が現れるものが正しい姿勢とすると、第2領域62に特徴面W10が現れれば1回、特徴面W10が現れていなければ、少なくとも2回姿勢矯正処理を行う必要があるとわかるので、このようなワークWに対して、次に姿勢判別を行うまでの間に2回回転させておく等の処理を行うことで、撮像の回数を最大3回から2回に減少させることができる。
【0057】
また上記実施形態では、前処理手段32は画像取込手段31により画像データが取り込まれるたびに即時2値化処理等の前処理を行っているが、1つ分のワークWの取り込みが終了してから当該ワークWが現れている全ての画像データに対して前処理である2値化処理および画像の結合を行うように構成されてもよい。
【0058】
またさらに上記実施形態ではエリアカメラ2で取得された画像データが合成されるが、合成されることなく判別が行われるようにしてもよい。
【0059】
さらに、撮像素子群は撮像素子が1列のみ配列したものに限らず、本発明の効果が発揮される範囲内において、ワークWの搬送方向に沿って隣接する2列以上の撮像素子が配列したものであってもよい。また、撮像手段として、エリカカメラ2の代わりにラインカメラを用いてもよい。またさらに、ワークWとして、ワーク本体W1の両端面Wf2に電極W2が設けられたものだけでなく、ワーク本体W1の両端面Wf2にワーク本体W1と光の反射効率が異なる他の部材が設けられたものであっても、好適に姿勢判別処理を行うことができる。また、上記実施形態では色要素情報として輝度を用いたが、彩度や照度等の別の検出値を用いても良い。さらに、ワークWとして、搬送方向と直交する方向が長手方向となるワーク本体W1を有するものを用いてもよい。
【0060】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・パーツフィーダ
2・・・エリアカメラ
8・・・パーツフィーダ用画像処理装置
10・・・搬送路
30・・・設定手段
31・・・画像取込手段
32・・・前処理手段
33・・・姿勢判別手段
61・・・第1領域
62・・・第2領域
E・・・撮像範囲
M・・・マーク
W,W´・・・ワーク
W1・・・ワーク本体
W2・・・端部部材(電極)
W10・・・特徴面
W10a・・・ワーク本体の端部
Wa・・・ワークの長手方向端部
Wf1・・・面
Wf2・・・端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15