特許第6497067号(P6497067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497067ヒンジキャップとこのヒンジキャップを取り付けた容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497067
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ヒンジキャップとこのヒンジキャップを取り付けた容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   B65D47/08 100
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-262477(P2014-262477)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120956(P2016-120956A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011757(JP,A)
【文献】 米国特許第05254314(US,A)
【文献】 特開2008−302974(JP,A)
【文献】 特開2014−196135(JP,A)
【文献】 特開2010−184729(JP,A)
【文献】 特開昭54−040778(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0211504(US,A1)
【文献】 実開平05−024552(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面(5)に注出口(10)を備えるキャップ本体(4)と、該キャップ本体(4)にヒンジ(6)を介して連接されてキャップ本体(4)の天面(5)を開閉可能に覆う蓋体(7)とからなるヒンジキャップ(3)であって、蓋体(7)の径方向での前記ヒンジ(6)とは反対側である反ヒンジ側位置に、蓋体(7)を開き方向に回動させるときの指を掛けるための指掛け手段(15)が設けられているヒンジキャップ(3)において、
前記指掛け手段(15)は、蓋体(7)の天板(12)における前記反ヒンジ側位置の辺部を外方に向けて張り出た板状体(14)から形成されていて、
前記指掛け手段(15)には、前記板状体(14)の外端縁より蓋体(7)側に寄った部分から蓋体(7)とキャップ本体(4)との境界高さ位置より下方となる高さ位置まで下垂していて、蓋体(7)側壁における反ヒンジ側位置(13)とキャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)とに相対して蓋体開き操作時の指を受ける指当て壁(17)が一体に備えられており、
前記指当て壁(17)は、キャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)との間に空間(19)を介在させて、このキャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)に対して非接触状態に設けられているとともに、前記指当て壁(17)が、蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)に対して離間していて、蓋体開き操作時に広がり変形する蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)を指当て壁(17)に非接触にする蓋体変形吸収部(20)が、指当て壁(17)と蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)との間の空間(19)から形成されて、
前記蓋体変形吸収部(20)の下方に、指当て壁(17)とキャップ本体(4)の側壁における反ヒンジ側位置(13)との間の前記空間(19)が連続していることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
上記指当て壁(17)の平断面が、外方に向けて凸となる湾曲した形状に設けられている請求項に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
請求項1または2の何れか一項に記載のヒンジキャップ(3)が口頸部に取り付けられている容器(1)であり、ヒンジキャップ(3)における上記板状体(14)の蓋体径方向に沿った方向での張り出しの長さは、上方から見た状態においての容器本体(2)の胴部における外周面の位置に対応する位置(a)を板状体(14)が超えない長さであって、板状体(14)の外端縁(16)が容器本体(2)の胴部の前記外周面の位置に対応する位置に近接する位置となる長さであることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を収容する容器に取り付けられるヒンジキャップとこのヒンジキャップを取り付けた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から飲食店舗においては、サラダなどの食材にかける各種のドレッシングや調味液を収容した容器を、顧客が座るカウンターやテーブルに並べておき、顧客自身が好みのドレッシングや調味液を自由に選択できるサービス形態を採用する店舗が多く存在している。そして、このような店舗において前記ドレッシングや調味液などを入れる容器に関しては、好みのドレッシングなどを簡単に注ぎ出すことができるように取り扱い容易な容器が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されているように上方に凸となって突出するノズルを一体的に備えたキャップ本体を容器本体の口頸部に取り付けていて、キャップ本体のベース部分から延びる帯状にして湾曲自由な連結体の端部に小型のトップキャップを設け、そのトップキャップを前記ノズルの先端口に被せ付けることができるようにした容器が提案されている。
【0004】
さらに、キャップ本体の天面に注出口を備えるとともにキャップ本体の天面を全体的に覆う蓋体をそのキャップ本体にヒンジを介して回動可能に連接しているヒンジキャップが多く流通している(特許文献2参照)。そして、このヒンジキャップを取り付けた容器から収容液を注ぎ出す場合には、手の親指を蓋体の前記ヒンジとは反対側の部分に掛けながら蓋体を開く方向に跳ね上げるようにしてキャップ本体の注出口を開放させればよく、また、注出口を塞ぐには蓋体を倒し込めばよいものであって、キャップの開閉操作が簡単に行なえるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3116898号公報
【特許文献2】実開平05−024552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ヒンジキャップを取り付けた容器では蓋体を開ける操作が簡単であることから、容器の肩口辺りを持った手の親指などでヒンジキャップの蓋体を跳ね上げるようにして取り扱われる場合が多く、蓋体を開く際に指がその蓋体から滑るなどしてキャップ本体の注出口の部分に触れてしまい、注出口の部分が不衛生になるという問題がある。
【0007】
具体的には、上記特許文献2で示されているようにヒンジキャップの蓋体において、ヒンジとは反対側となる側壁の下部から、蓋体の径方向での外方に向けて指掛け部分としての舌片が突設されている。蓋体を開く際には、親指などの指先の腹を、前記舌片を部分を含むその周囲、即ち、蓋体の側壁の下部からキャップ本体の筒部の上部に亘って当てがい、その指先にヒンジ上方となる斜め上方に向けて力を入れて蓋体を開くようにしている。
【0008】
そして、蓋体自体は開き方向に回動することとなるが、指先に斜め上方に向けて力を加え続けているため、その指先が蓋体と共に回動移動しかける動きの途中で蓋体の舌片の部分から外れて注出口の部分に当たってしまい、これによって注出口の部分が不衛生なものとなる。
【0009】
また、ドレッシングや調味液にあっては上記飲食店で提供されるものに限らず、一般的に粘稠性が高いものである。上記ヒンジキャップでは粘稠性が高い収容液を注出する場合でも液切れが良好になるように、注出口の部分は上方に向けて外開きで傾斜している排出案内壁を有する構造となってはいるが、ヒンジとは反対側となる注出口の部分に液残りが生じ易いのが現状である。このようなヒンジキャップにおいて上述した指のみでの蓋体の跳ね上げをして注出口の部分に指先が当たると、液残りしていたドレッシングや調味液が指先に付いて指先を汚してしまうという問題もあった。
【0010】
そこで本発明は上記事情に鑑み、キャップ本体にヒンジを介して蓋体を連接したヒンジキャップにおいて、蓋体を上方に開く操作をしたときにその蓋体を開き方向に操作する指がキャップ本体の注出口の部分に接触することが無いようにすることを課題とし、簡単な構造にて指を支持した状態で蓋体の開きの回動操作が行なわれるようにしたヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、天面(5)に注出口(10)を備えるキャップ本体(4)と、該キャップ本体(4)にヒンジ(6)を介して連接されてキャップ本体(4)の天面(5)を開閉可能に覆う蓋体(7)とからなるヒンジキャップ(3)であって、蓋体(7)の径方向での前記ヒンジ(6)とは反対側である反ヒンジ側位置に、蓋体(7)を開き方向に回動させるときの指を掛けるための指掛け手段(15)が設けられているヒンジキャップ(3)において、
前記指掛け手段(15)は、蓋体(7)の天板(12)における前記反ヒンジ側位置の辺部を外方に向けて張り出た板状体(14)から形成されていて、
前記指掛け手段(15)には、前記板状体(14)の外端縁より蓋体(7)側に寄った部分から蓋体(7)とキャップ本体(4)との境界高さ位置より下方となる高さ位置まで下垂していて、蓋体(7)側壁における反ヒンジ側位置(13)とキャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)とに相対して蓋体開き操作時の指を受ける指当て壁(17)が一体に備えられており、
前記指当て壁(17)は、キャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)との間に空間(19)を介在させて、このキャップ本体(4)側壁における反ヒンジ側位置(13)に対して非接触状態に設けられているとともに、前記指当て壁(17)が、蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)に対して離間していて、蓋体開き操作時に広がり変形する蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)を指当て壁(17)に非接触にする蓋体変形吸収部(20)が、指当て壁(17)と蓋体(7)の側壁における反ヒンジ側位置(13)との間の空間(19)から形成されて、
前記蓋体変形吸収部(20)の下方に、指当て壁(17)とキャップ本体(4)の側壁における反ヒンジ側位置(13)との間の前記空間(19)が連続していることを特徴とするヒンジキャップを提供して、上記課題を解消するものである。
【0013】
(請求項の発明)
そして、本発明において、上記指当て壁(17)の平断面が、外方に向けて凸となる湾曲した形状に設けられていることが良好である。
【0014】
(請求項の発明)
また、もう一つ発明は、上記ヒンジキャップ(3)が口頸部に取り付けられている容器(1)であり、ヒンジキャップ(3)における上記板状体(14)の蓋体径方向に沿った方向での張り出しの長さは、上方から見た状態においての容器本体(2)の胴部における外周面の位置に対応する位置(a)を板状体(14)が超えない長さであって、板状体(14)の外端縁(16)が容器本体(2)の胴部の前記外周面の位置に対応する位置に近接する位置となる長さであることを特徴とする容器であり、この容器を提供して上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、蓋体側に指を掛けて開ける操作をしても、指当て壁がキャップの高さ方向にある程度の長さを有しているので、指当て壁での指を受ける面が広くなり、その指当て壁の広い面で指先を受けることにより指先自体が安定して蓋体を開く方向に操作する際の力がその蓋体に加わり易く、よって蓋体を開け易くなるという利点がある。
【0016】
また、指当て壁がキャップの高さ方向にある程度の長さを有しているので、その指当て壁に指先を添わせた状態で蓋体を開き方向に動かす動作をせざるを得ない。そのため、指当て壁が指と注出口との間にあって前記指先がキャップ本体の注出口に接触することが防止され、その注出口を衛生的に保つことができる。また、注出口の部分に液残りが生じていても、液残りしているその収容液が指に付着するのを防止することができる。
【0017】
また、一般的にヒンジキャップを取り付けた容器においては、収容液を注出したときに注出口の外側をその収容液の一部が伝ってキャップ本体の天面での反ヒンジ側位置に達して残ることが多く、勢いを付けて蓋体を閉じた際には収容液が飛沫となって飛び散り、衣服を汚したり容器を並べ置くカウンター面を汚すという不具合が生じる。
【0018】
これに対して請求項1の発明では、指掛け手段が、蓋体の反ヒンジ側位置とキャップ本体の反ヒンジ側位置とに相対する指当て壁を備えているので、蓋体を閉じたときに収容液が飛び散ったとしても指当て壁に遮られるようになり、衣服への付着や容器を置いたカウンター面への付着を防止できる。
【0019】
さらに、上記指当て壁が蓋体の上記反ヒンジ側位置に対して離間していて、蓋体開き操作時に広がり変形する蓋体の反ヒンジ側位置を指当て壁に非接触にする変形吸収部が、指当て壁と蓋体の反ヒンジ側位置との間に空間として設けられており、蓋体に指を当てて開く方向に操作するときにも蓋体の反ヒンジ側位置を指先で押すことがなく、蓋体が開くときの拡径方向の変形が妨げられず、抵抗を増加させずに蓋体を簡単に開くことができるようになる。
【0020】
(請求項の発明の効果)
また、請求項の発明によれば、指当て壁の平断面が、外方に向けて凸となる湾曲した形状に設けられているので、蓋体を閉じたときに反ヒンジ側位置から飛び散った飛沫が指当て壁に衝突しても、飛沫が指当て壁から外方に向けて弾かれる可能性が少なくなり、飛沫の飛び散りによる周囲の汚れをより確実に防止できる。
【0021】
(請求項の発明の効果)
請求項の発明によれば、容器を手持ちした手自体の指で蓋体を開ける操作をしてもその指が注出口の部分に触れることがなく、また、指を掛ける部分が広く確実に蓋体の開き操作が行なえる容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るヒンジキャップを取り付けた容器の実施例を示すもので、(イ)は上方から見た状態を示す説明図、(ロ)は正面側から見た状態を示す説明図である。
図2】本発明に係るヒンジキャップの実施例を示すもので、(イ)は蓋体が閉じられた状態を示す説明図、(ロ)は蓋体が開かれた状態を示す説明図である。
図3】実施例におけるヒンジキャップの閉状態を断面で示す説明図である。
図4】同じく実施例におけるヒンジキャップの開時を断面で示す説明図である。
図5】同じく実施例におけるヒンジキャップの開時を上方から見た状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに本発明を図1から図5に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図中1はドレッシングや調味液などの粘稠性のある液体が収容されるボトルタイプの容器で、該容器1は、図1に示されているように口頸部が肩部を介してこの口頸部より大径とされた胴部に連続する容器本体2と、容器本体2の口頸部に被せ付けられているヒンジキャップ3とからなるものである。
【0024】
ヒンジキャップは、図2に示すように上記口頸部に被せ付けるキャップ本体4と、このキャップ本体4の天面5側の一部にヒンジ6を介して連接されて、キャップ本体4の天面5を開閉可能に覆う蓋体7とからなるものであり、例えば合成樹脂材によりキャップ本体4と蓋体7とが前記ヒンジ6を介した形態で一体に形成されている。
【0025】
(キャップ本体)
キャップ本体4は、天面5の外周部分に筒状胴部8が一体にして設けられている。キャップ本体4の天面5には、外周に沿った位置に段状とされた係止環状部9が配置されている。(図3図5参照)
【0026】
また、天面5の中央には注出口10が開口していて、注出口10の周辺から、収容液が注ぎ出される方向を整えて液切れを良好にするために上方に向けてテーパー状に開く傾斜とした排出案内板11が立ち上げられている。注出口10を囲む排出案内板11中の上記ヒンジ側となる部分は、排出案内板11の他の部分より段落とし状とされ高さが低く設けられている。
【0027】
(蓋体)
上記蓋体7においては、図3に示されているようにこの蓋体7の天板12における上記ヒンジ6とは反対側である反ヒンジ側位置13の辺部から蓋体の径方向における外方に向けて板状体14を張り出させていて、この板状体14により、蓋体7を開き方向に回動させるときの指を掛けるための指掛け手段15が形成されている。そして、この指掛け手段15においては、前記板状体14の外端縁16より蓋体側に寄った部分の下面から下方に向けて延びた指当て壁17が一体にして設けられている。
【0028】
なお、図示されているように前記板状体14の蓋体径方向に沿った方向での張り出しの長さは、本容器1を上方から見た状態において、容器本体2の胴部における外周面の位置に対応する位置aを超えず、前記外端縁16が胴部の外周面の位置に対応する位置に近い位置となるようにその長さが設定されている。
【0029】
上記指当て壁17は、上述したように上部が指掛け手段15(板状体14)の外端縁16より蓋体7に寄った部分に連続し、その部分から、閉じた蓋体7とキャップ本体4との境界高さ位置18より下方となる高さ位置までであって、この実施例では、キャップ本体4の下部の高さ位置より下がらずにそのキャップ本体4の下部の高さ位置まで下垂された状態となるようにしている。
【0030】
蓋体7は通常ではその背が高い形状となるものではないことから、本容器1の上記蓋体7を開くために指先を当てがう操作では、上記指掛け手段15の外端縁16側での下面に指先の一部を当てながらも、指先が蓋体7の側部に対応する高さ位置に揃ってその指先の腹が蓋体7とキャップ本体4との境界高さ位置18にも対応するようになるのが一般的である。
【0031】
即ち、指当て壁17が境界高さ位置18より下方となる高さ位置まで延設されていることにより、上述のように指掛け手段15に当てた指先の腹は確実にこの指当て壁17の外側面が受けて支持するようになる。さらに前記指当て壁17はキャップ本体4の下部の高さ位置まで延設されているので、蓋体開き操作をするときの指先を一層確実にこの指当て壁17に当てがうことができる。
【0032】
図4に示されているように指当て壁17は、蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13とキャップ本体4の側壁における反ヒンジ側位置13と相対する状態(蓋体閉時)となっているとともに、蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13との間に空間19が介在し、キャップ本体4の側壁における反ヒンジ側位置13との間でも空間19を介在させて、これにより前記指当て壁17は蓋体7とキャップ本体4の反ヒンジ側位置13に対して非接触の状態となるように設けられている。
【0033】
このように本実施例のヒンジキャップ3においては、蓋体7の天板12から板状体14を外方に向けて張り出させて指掛け手段15が設けられ、その指掛け手段15から下方に指当て壁17が延設されている。そのため、指掛け手段15における板状体14での外縁16側と指当て壁17とに指先を当てがいながら蓋体7を開き方向に回動させた場合、指当て壁17も当然ながらヒンジ6の位置を中心にして回動(開き方向)することとなる。
【0034】
そして、指先とキャップ本体4の注出口10の間、特に排出案内板11との間に前記指当て壁17が存在しているので、指先が出案内板11に触れることなくこの指当て壁17に乗った状態で円弧の軌跡を描く動きとなるように案内されることとなる。よって、注出口10やその周りの排出案内板11が清浄に保たれる。
【0035】
また、指当て壁17が、蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13とキャップ本体4の側壁における反ヒンジ側位置13とに相対するので、仮にキャップ本体4の天面5でのヒンジとは反対側となる辺部に収容液の一部が残渣として付着していて、蓋体7を閉じたときに収容液が飛び散ったとしても、この指当て壁17が外方への飛び散りを防ぐようになる。
【0036】
上述したように上記指当て壁17は、キャップ本体4の側壁における反ヒンジ側位置13との間に空間19を介在させて離間しているとともに、蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13との間にも空間19を介在させて離間していて、本ヒンジキャップ1では、指当て壁17と蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13との間の空間19を蓋体変形吸収部20として備えている。
【0037】
(蓋体変形吸収部)
本ヒンジキャップ3では蓋体7の閉状態を安定的に保つことができるようにするために、即ち、閉じている蓋体7が不用意に開き方向に持ちあがることがないように、キャップ本体4の上記係止環状部9に係脱可能に係止する受け環状部21が蓋体7の下端内周縁に設けられており、蓋体7を閉じているときにはキャップ本体4側の係止環状部9と蓋体7側の前記受け環状部21とが係止し合っている。
【0038】
蓋体7を開き方向に回動させるときには、蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13での受け環状部21がキャップ本体4側の係止環状部9から外れるときに拡径方向に広がるようにして変形し、この変形は蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13の部分を始めとして蓋体7の下端全周にも及ぶものである。そして、指当て壁17と蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13との間に蓋体変形吸収部20が設けられていて、蓋体開き操作時に蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13が拡径するように径方向に広がり変形したとしてもその変形を蓋体変形吸収部20で吸収し、また、蓋体7が閉じるときの径方法の広がり変形をもこの蓋体変形吸収部20が吸収する。図3において仮想線bにて前記変形を示した。
【0039】
このように径方向に広がり変形する蓋体7の下端の部分と指当て壁17とが相対していてもその両者の間に蓋体変形吸収部20を配して非接触となるように設けられているので、蓋体7の開け閉めに際しての広がり変形が自由に行なわれる。勿論、指先を指当て壁17に当てて蓋体7を開く方向に操作する場合に、前記変形をする蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13を指先で押すことがなく、蓋体7を開くときのその蓋体7の拡径方向の変形を妨げずに開く方向に操作ができる。
【0040】
上記指当て壁17はその平断面が外方に向けて凸となる湾曲した形状に設けられている。これによって、蓋体7を閉じたときに蓋体7の側壁における反ヒンジ側位置13の部分とキャップ本体4の側壁における反ヒンジ側位置13の部分とのぶつかりによって飛び散った飛沫が指当て壁17に衝突しても、飛沫が指当て壁17から外方に向けて弾かれる可能性を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1…容器
2…容器本体
3…ヒンジキャップ
4…キャップ本体
5…天面
6…ヒンジ
7…蓋体
8…本体胴部
9…係止環状部
10…注出口
11…排出案内板
12…天板
13…反ヒンジ側位置
14…板状体
15…指掛け手段
16…外端縁
17…指当て壁
18…境界高さ位置
19…空間
20…蓋体変形吸収部
21…受け環状部
図1
図2
図3
図4
図5