特許第6497085号(P6497085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497085高強度フレッシュコンクリートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497085
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】高強度フレッシュコンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20190401BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20190401BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   B28C7/04
   C04B28/02
   C04B24/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-12069(P2015-12069)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-137575(P2016-137575A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】榎 康成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智章
(72)【発明者】
【氏名】浅野 智也
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−335386(JP,A)
【文献】 特開2011−095183(JP,A)
【文献】 特開2007−283724(JP,A)
【文献】 特開2008−188999(JP,A)
【文献】 特開2011−025426(JP,A)
【文献】 特表平02−501824(JP,A)
【文献】 村崎 慎一 他,“現場練りコンクリート廃棄物の再利用技術”,土木学会第65回年次学術講演会,日本,2010年 9月,p.23-24,VI-012
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 7/00−7/16
C04B 28/02
C04B 24/06
C04B103/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分濃度10〜30%のスラッジ水と、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」附属書D「トラックアジテータのドラム内に付着したモルタルの使用方法」の規定に適合する付着モルタル安定剤とを混合し練混ぜ水を調製する工程と、
前記練混ぜ水と、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤とを混合し、高強度フレッシュコンクリートを調製する工程とを含むことを特徴とする高強度フレッシュコンクリートの製造方法。
【請求項2】
前記付着モルタル安定剤は、オキシカルボン酸を含む高分子である、請求項1記載の高強度フレッシュコンクリートの製造方法。
【請求項3】
前記高強度フレッシュコンクリートの水セメント比が0.25〜0.40である、請求項1又は2記載の高強度フレッシュコンクリートの製造方法。
【請求項4】
前記高強度フレッシュコンクリート1m中、スラッジ水を10〜200kg、セメントを350〜650kg、細骨材を600〜950kg及び粗骨材を600〜950kg含み、高性能AE減水剤をセメントに対して質量比で0.5〜1.5質量%含む、請求項1〜3の何れか1項記載の高強度フレッシュコンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,スラッジ水を有効活用した高強度フレッシュコンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続的社会構築の観点から環境保全への意識が高まり、コンクリート分野においても再生材の利用が徐々に増えつつある。再生材の中で、生コン工場での戻りコンや洗浄水から得られるスラッジ水がコンクリートの練混ぜ水の一部として使用されている。しかしながら、JASS5やJIS A 5308では高強度コンクリートへのスラッジ水の使用が認められていない。
一方、都市部においては、高強度コンクリートの出荷比率が高く、また産廃処理もますます困難な状況が予想され、スラッジ水が使用できれば、再生材の有効利用拡大に繋がるが、高強度コンクリートに練混ぜ水の一部としてスラッジ水を使用すると、上水道水を使用した高強度コンクリートと比較して、時間の経過とともにコンクリートの粘性が増大し、締固めや仕上げ作業が困難となり、作業性が低下する。また、長距離配管等、ポンプ圧送時の管内圧力損失が大きくなり、閉塞等の問題が生じる。
【0003】
以上の問題を解決するために、例えば特許文献1では、生コン搬送用ドラムを遅延剤含有水で洗浄後、ドラム内の上澄水のみを排出しコンクリートに練混ぜ水として使用する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、スラッジ水にポリカルボン酸系のセメント減水剤を添加し再利用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−168548号公報
【特許文献2】特開2010−214909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、ドラム内の上澄水を分離する工程が発生するため、作業が繁雑になる。
【0007】
また、特許文献2の方法では、スラッジ添加剤の添加量の調整が難しく、過剰添加するとコンクリートの凝結を遅延するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、添加量が多少過剰であってもコンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分得られ、かつ、工程も簡便な高強度フレッシュコンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは,上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、トラックアジテータドラム用にコンクリートが付着するのを防止するのを目的で使用される付着モルタル安定剤を、練混ぜ水の一部として使用するスラッジ水に添加することで、上記目的を達成出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、固形分濃度10〜30%のスラッジ水と、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」附属書D「トラックアジテータのドラム内に付着したモルタルの使用方法」の規定に適合する付着モルタル安定剤とを混合し練混ぜ水を調製する工程と、前記練混ぜ水と、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤とを混合し、高強度フレッシュコンクリートを調製する工程とを含む、高強度フレッシュコンクリートの製造方法に関する。
【0011】
上記製造方法によれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来るコンクリートの製造方法を提供することが可能である。
【0012】
また、前記付着モルタル安定剤は、オキシカルボン酸を含む高分子である、高強度フレッシュコンクリートの製造方法に関する。
【0013】
また、前記高強度フレッシュコンクリートの水セメント比が0.25〜0.45である、高強度フレッシュコンクリートの製造方法に関する。
【0014】
また、前記高強度フレッシュコンクリート1m中、スラッジ水を10〜200kg、セメントを350〜650kg、細骨材を600〜950kg及び粗骨材を600〜950kg含み、高性能AE減水剤をセメントに対して質量比で0.5〜1.5質量%含む、高強度フレッシュコンクリートの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,コンクリートの所要のスランプフローを得るための高性能AE減水剤量を低減でき、スランプフローの保持性を確保出来る。また、凝結遅延が発生せず、強度が十分確保出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】フレッシュコンクリートのスランプフロー保持率を示す図である。
図2】フレッシュコンクリート練り上がり直後のV漏斗流下時間を示す図である。
図3】フレッシュコンクリート練り上がりから60分経過後のV漏斗流下時間を示す図である。
図4】フレッシュコンクリートの凝結時間を示す図である。
図5】コンクリートの圧縮強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下,本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る高強度フレッシュコンクリートの製造方法は、固形分濃度10〜30%のスラッジ水と、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」附属書D「トラックアジテータのドラム内に付着したモルタルの使用方法」の規定に適合する付着モルタル安定剤とを混合し練混ぜ水を調製する工程と、前記練混ぜ水と、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤とを混合し、高強度フレッシュコンクリートを調製する工程とを備える。
【0019】
スラッジ水の固形分濃度は、15〜25%であることが好ましく、18〜23%であることがより好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0020】
前記付着モルタル安定剤は、オキシカルボン酸を含む高分子である。凝結遅延性を示す薬剤としては、本発明に係るオキシカルボン酸を含む高分子以外にも、特開2008−168541号公報に記載のグルコン酸ソーダがあるが、強度低下、添加量の調整の難しさの観点から好ましくない。
【0021】
前記高強度フレッシュコンクリートの水セメント比は、0.25〜0.45であることが好ましく、0.28〜0.40であることがより好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0022】
前記高強度フレッシュコンクリート1m中、スラッジ水を10〜200kg含むことが好ましく、50〜190kg含むことがより好ましく、150〜180kg含むことがさらに好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0023】
また、セメントを350〜650kg含むことが好ましく、400〜600kg含むことがより好ましく、500〜550kg含むことがさらに好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0024】
また、細骨材を600〜950kg含むことが好ましく、700〜900kg含むことがより好ましく、800〜850kg含むことがさらに好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0025】
粗骨材を600〜950kg含むことが好ましく、700〜900kg含むことがより好ましく、800〜900kg含むことがさらに好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【0026】
高性能AE減水剤をセメントに対して質量比で0.5〜1.5質量%含むことが好ましく、0.8〜1.4質量%含むことがより好ましく、1.0〜1.3質量%含むことがさらに好ましい。この範囲であれば、コンクリートの凝結遅延が発生せず、強度や流動性が十分確保出来る。
【実施例】
【0027】
本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0028】
[1]使用材料
(1)セメント
普通ポルトランドセメント(宇部興産社製、密度3.16/cm
(2)骨材
(2.1)細骨材
山砂(表乾密度:2.62/cm
(2.2)粗骨材
石灰石骨材(表乾密度:2.69/cm
(3)化学混和剤
高性能AE減水剤(シーカメント1100NT:日本シーカ株式会社製)
(4)練混ぜ水
(4.1)上水道水
(4.2)スラッジ水
スラッジ水は安定した品質を保つために模擬スラッジ水を調製し実験に供した。まず、質量比で、普通ポルトランドセメント:石灰石微粉末(100メッシュアンダー品):山砂(0.6mm未満)=9:0.5:0.5となるようにしてこれらの材料をプラスチック製の円形容器に投入し、次に固形分濃度20質量%となるように水を加え攪拌機により攪拌状態で一夜間保管し、模擬スラッジ水とした。
(5)添加剤
(5.1)付着モルタル安定剤(以下安定剤と略記する)
デルボクリーン110(オキシカルボン酸系、BASFジャパン株式会社製)
*「デルボクリーン110」はJIS A 5308「レディーミクストコンクリート」付属書D「トラックアジテータのドラム内に付着したモルタルの使用方法」の規定に適合する安定剤である。
(5.2)回収水改質剤(以下改質剤と略記する)
リカバー(オキシカルボン酸系、グレースケミカルズ株式会社製)
*「リカバー」はJIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)の「減水剤遅延形I種」に性能に適合する改質剤である。
【0029】
安定剤または改質剤は上述した模擬スラッジ水作製後、2時間後に添加した。安定剤の添加量は、固形分濃度20%の模擬スラッジ水、20リットルに対して0.1、0.3、0.5質量%とし、それぞれ20、60、100cc添加した。
【0030】
改質剤の添加量は、固形分濃度20%の模擬スラッジ水、20リットルに対して0.2%質量とし、40cc添加した。
【0031】
[フレッシュコンクリートの調製]
上記のセメント及び細骨材を水平二軸形強制ミキサ内に投入して15秒間攪拌混合した後、スラッジ水または上記の安定剤または減水剤を添加したスラッジ水、混和剤と上水道水を混合した練混ぜ水を当該ミキサ内に投入して120秒間攪拌し、上記の粗骨材をさらに投入して120秒攪拌を行い5分間静置した後に30秒間攪拌することによって、フレッシュコンクリートを製造した。
【0032】
フレッシュコンクリートの配合は、高性能AE減水剤を用いた高強度コンクリート(W/C:30%、目標スランプフロー65cm)とした。実験では上水道水、スラッジ水及び安定剤または改質剤の添加量を変えたスラッジ水を比較した。スラッジ固形分(密度2.1g/cmと仮定)は細骨材に置換し、所要のスランプフローを得るための調整は、高性能AE減水剤量により行った。フレッシュコンクリートの測定は、練混ぜ直後のスランプフロー値と、30分後及び60分後のスランプフロー値を測定した。また、施工性の評価を定量的に行うためにV漏斗とストップウォッチを用いて、コンクリートの全量がV漏斗から排出されるまでに要した時間を測定した。
【0033】
圧縮強度試験は、標準水中養生とし、材齢は7、28日とした。
【0034】
表1に実験水準及び実験結果を示す。なお、表1中の「スラッジ固形分率」とは、上述した模擬スラリー中の固形分とセメント(C)との質量比(模擬スラリー中の固形分の質量÷セメントの質量)である。ここで固形分率3%の割合になるように、模擬スラッジ水の使用量を調整した。
【0035】
【表1】
【0036】
スランプフローの測定は、JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準じて行った。空気量の測定は、JIS A 1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法(空気圧力方法)」に準じて行った。凝結試験は、JIS A 1147「コンクリートの凝結時間試験方法」に準じて行った。V漏斗流下時間は、JASS 5 M−702「高強度コンクリート用混和剤の性能判定基準」に準じて行った。圧縮強度試験は、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて行った。
【0037】
また、図1は、練り混ぜ水に上水道水、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)、固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水、並びに、固形分率3%のスラッジ水に改質剤を0.2%添加したスラッジ水を使用した場合の60分後の漏斗流下時間のグラフである。
【0038】
図2は、練り混ぜ水に上水道水、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)、固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合の経過時間に伴うスランプフロー保持率を表したグラフである。
【0039】
ここで、スランプフロー保持率とは、コンクリートの経過時間のコンシステンシーの変化量としての指標であるスランプフロー保持性について練り上り直後のスランプフロー値に対する経過時間30分後及び60分後のスランプフロー値の割合である。図2及び図3に示す漏斗流下時間は施工性の指標とした練り上り直後と60分後のコンクリートの流下時間の測定値である。
【0040】
図3及び図4は、練り混ぜ水に上水道水、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)、固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合の練り上り直後の漏斗流下時間と60分後の漏斗流下時間のグラフである。
【0041】
図5は、練り混ぜ水に上水道水、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)、固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合の凝結時間のグラフである。
【0042】
図6は、練り混ぜ水に上水道水、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)、固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合の7日及び28日材齢の圧縮強度のグラフである。
【0043】
表1に示す結果から、所要のスランプフローを得るための高性能AE減水剤量は、固形分率3%のスラッジ水の場合、上水道水の場合に比べ添加量が増大した。固形分率3%のスラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合は、固形分率3%のスラッジ水(安定剤無添加)の場合と比べて、安定剤の添加率が多くなるほど高性能AE減水剤量が減少した。
【0044】
図1に示す結果から、60分後のV漏斗流下時間は、安定剤を添加したスラッジ水を使用した場合、安定剤の添加量が増大するほど流下時間が早い結果となった。改質剤を0.2%添加したスラッジ水を使用した場合は、安定剤を0.1%、0.3%及び0.5%添加したスラッジ水を使用した場合の何れと比較しても、60分後のV漏斗流下時間は遅くなった。この結果より、安定剤を添加した方がV漏斗流下時間が早くなり流動性改善に効果的であることがわかる。
【0045】
図2に示す結果から、スラッジ水(安定剤無添加)を使用した場合や、安定剤を0.1、0.3%添加したスラッジ水を使用した場合は、上水道水を使用した場合と比べて同等のスランプフロー保持率となったが、安定剤を0.5%添加したスラッジ水を使用した場合は、30分後、60分後と保持率が若干小さくなった。
【0046】
図3及び4に示す結果から、スラッジ水(安定剤無添加)を使用した場合は、練り上り直後と60分後の流下時間は長い結果となり、粘性が大きくなる傾向が認められた。スラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合、安定剤の添加率が多くなるほど練り上り直後と60分後の流下時間は早い結果となり、粘性が小さくなる傾向が認められた。0.5%添加したスラッジ水を使用した場合、練り上り直後と60分後の流下時間は上水道水と比較して同等であり、粘性が低減できた。
【0047】
図5に示す結果から、スラッジ水(安定剤無添加)を使用した場合は、上水道水と比べて、約40分早い結果となった。スラッジ水に安定剤をそれぞれ0.1、0.3、0.5%添加したスラッジ水を使用した場合、安定剤の添加率が多くなるほど凝結時間は遅い結果となった。しかしながら、最大で50分であり、仕上げや打ち継ぎ等の施工上の問題となるような結果ではないと考えられる。
【0048】
図6に示す結果より、強度結果においては、安定剤を0.1、0.3、0.5%添加したいずれの条件においても上水道水と比べて差異はなかった。
図1
図2
図3
図4
図5