特許第6497230号(P6497230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497230
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】通信用回線接続装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 1/14 20060101AFI20190401BHJP
   H01R 9/15 20060101ALI20190401BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   H04Q1/14
   H01R9/15
   H01R9/22
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-121953(P2015-121953)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-11357(P2017-11357A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】石飛 裕史
(72)【発明者】
【氏名】上野 知実
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3053378(JP,U)
【文献】 特開2008−53169(JP,A)
【文献】 特開2009−111679(JP,A)
【文献】 特開2013−157275(JP,A)
【文献】 実開昭60−108077(JP,U)
【文献】 特開昭60−134594(JP,A)
【文献】 特開2009−212581(JP,A)
【文献】 特開2007−214616(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0177042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
9/15−11/32
13/56−13/72
27/00−31/08
H04M 3/00
3/08−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q 1/00−1/16
1/20−1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板と、他方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板とを備える配線盤に対して用いられる通信用回線接続装置であって、
一方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第1接続線と、
他方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第2接続線と、
前記第1接続線の各通信線と前記第2接続線の各通信線とを接続する接続路をそれぞれ備える装置本体と、
を備え、
前記装置本体は、
音信号を含む第1信号を流す通信線の接続路に設けられると共にこの第1信号を減衰する減衰器と、
この減衰器が設けられている接続路に設けられ、前記第1信号のレベル測定用の測定器を接続可能にするリンク部と、
を備える、
ことを特徴とする通信用回線接続装置。
【請求項2】
前記リンク部は、前記減衰器が設けられている前記接続路に対して着脱可能に設けられ、この着脱によりこの接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信用回線接続装置。
【請求項3】
前記装置本体は、
呼出し信号を含む第2信号を流す通信線の接続路に対して着脱可能に設けられ、この着脱によりこの接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にするテストプラグ部を、
備えることを特徴とする請求項1または2に記載の通信用回線接続装置。
【請求項4】
前記装置本体は、前記第1接続線を収納して第1接続線の露出する長さを調節するための第1収納部と、前記第2接続線を収納して第2接続線の露出する長さを調節するための第2収納部との少なくとも一方を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信用回線接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信用の中間配線盤等に用いられる通信用回線接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信用の主配線盤(MDF:Main Distributing Frame)や中間配線盤(IDF:Intermediate Distribution Frame)等の配線盤により、例えば事業者側の電話機等の通信端末と局側の伝送装置との間が接続されている。この配線盤による接続の様子を図13に示す。図13に示すように、局側の伝送装置などの局側装置に接続されている事業者側のMDF110は、通信回線120で事業者側のIDF130に接続されている。事業者側の通信端末140は、同じようにして、通信回線150でIDF130に接続されている。なお、図13では、事業者側の規模に基づいて、例えば建物の各階毎にIDF130が設置され、IDF130に対して各通信端末140が通信回線で接続されている場合を例としている。
【0003】
通信回線120は、例えば図14に示すように、通信端末140からの音声信号等の信号を送るための2本の送信線121、122と、通信端末に音声信号等の信号を送るための2本の受信線123、124と、呼出し信号等の信号を流すための2本の信号線125、126とを含んでいる。つまり、図14では1チャンネルの通信回線は合計6本の通信線を含んでいる。以下では、送信線121、122と受信線123、124と信号線125、126とを単に通信線121〜126と記す。同じように、通信回線150は、合計6本の通信線から成り、通信端末140からの音声信号等の信号を送るための2本の送信線151、152と、通信端末に音声信号等の信号を送るための2本の受信線153、154と、呼出し信号等の信号を流すための2本の信号線155、156とを含んでいる。以下では、送信線151、152と受信線153、154と信号線155、156とを単に通信線151〜156と記す。
【0004】
IDF130は、通信回線120に対して通信回線150を接続する。このために、IDF130は、端子板131、132を備えている。つまり、端子板131の裏面131Aには通信回線120が接続され、表面131Bには、それぞれの通信線121〜126に接続されているピン端子であるラッピング用端子131〜131が設けられている。ラッピング用端子131〜131は、導体で作られた細長の棒状体であり、図15に示すように、端子板131の表面131Bに対して直角方向に突き出ている。同じように、端子板132の裏面132Aには通信回線150が接続され、表面132Bには、それぞれの通信線151〜156に接続されているラッピング用端子132〜132が設けられている。
【0005】
このように、IDF130は、通信回線120と通信回線150とを接続して、MDF110と通信端末140との間の通信を可能にする。このために、作業者は、IDF130の端子板131に設けられているラッピング用端子131〜131と、端子板132に設けられているラッピング用端子132〜132との間を、ジャンパー線を用いてワイヤラッピングにより接続する。
【0006】
ジャンパー線の接続に際して、例えば電話回線であれば1回線あたりジャンパー線6本ずつを接続する必要があり、回線構成の都度、専用工具にて構成する。さらに、ジャンパー線接続時は、回線レベルの測定および回線レベルの調整をする。そして、必要により、端局装置の基板を抜いてアッテネータ(減衰器)の調整をする。同一基板内に運用中回線が実装されている場合には回線停止を伴う。
【0007】
さらに、構成した回線が不要となった場合は、主配線盤や中間配線盤に構成したジャンパー線を撤去する。撤去したジャンパー線は、別の接続に使用としても、各通信線の長さに過不足があり、ほとんどの場合が廃棄される。
【0008】
こうしたジャンパー線接続を不要にした装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、ワイヤラッピングをされるジャンパー線の代わりに、プラグを用いた接続が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2009−111679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、先に述べた装置には次の課題がある。この装置はプラグにより、配線盤に接続される。しかし、通常、配線盤はワイヤラッピングによるジャンパー線接続を行っている。このために、配線盤のラッピング用端子をソケットに変更する必要がある。つまり、配線盤の構造を大幅に改変する必要がある。
【0011】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、配線盤による回線接続に際して、コネクタの使用を不要にし、配線盤に対する変更を行わなくても回線間の接続を可能にする通信用回線接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、一方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板と、他方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板とを備える配線盤に対して用いられる通信用回線接続装置であって、一方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第1接続線と、他方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第2接続線と、前記第1接続線の各通信線と前記第2接続線の各通信線とを接続する接続路をそれぞれ備える装置本体と、を備え、前記装置本体は、音信号を含む第1信号を流す通信線の接続路に設けられると共にこの第1信号を減衰する減衰器と、この減衰器が設けられている接続路に設けられ、前記第1信号のレベル測定用の測定器を接続可能にするリンク部と、を備える、ことを特徴とする通信用回線接続装置である。
【0013】
請求項1の発明による通信用回線接続装置を配線盤に接続する場合、配線盤の端子板の第1端子に対して、第1接続線の第2端子を接続し、端子板の第2端子に対して、第2接続線の第2端子を接続する。この後、リンク部に測定器を接続することにより、接続路の第1信号のレベルを測定することができ、減衰器により第1信号を所定値に減衰することができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の通信用回線接続装置において、前記リンク部は、前記減衰器が設けられている前記接続路に対して着脱可能に設けられ、この着脱によりこの接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にする、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の通信用回線接続装置において、前記装置本体は、呼出し信号を含む第2信号を流す通信線の接続路に対して着脱可能に設けられ、この着脱によりこの接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にするテストプラグ部を、備えることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信用回線接続装置において、前記装置本体は、前記第1接続線を収納して第1接続線の露出する長さを調節するための第1収納部と、前記第2接続線を収納して第2接続線の露出する長さを調節するための第2収納部との少なくとも一方を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、接続路を流れる音信号を含む第1信号を減衰する減衰器と、この接続路を流れる第1信号のレベル測定用の測定器を接続可能にするリンク部とを備えるので、通信回線の通信線を流れる第1信号のレベルを測定しながら、減衰器によりレベルを調整することを可能にする。また、この発明によれば、端子板の端子に対して着脱可能に接続される端子が各通信線に設けられているので、従来のように配線盤の改変を行うことを不要にすることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、リンク部が接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にするので、このリンク部を着脱することにより、第1信号の伝達状態をから、第1接続線や第2接続線の第1信号を流すための通信線が正常に接続されているかどうかを調べることを可能にする。
【0019】
請求項3の発明によれば、テストプラグ部が接続路を導通および非導通のどちらか一方の状態にするので、このテストプラグ部を着脱することにより、第2信号の伝達状態をから、第1接続線や第2接続線の第2信号を流すための通信線が正常に接続されているかどうかを調べることを可能にする。
【0020】
請求項4の発明によれば、第1接続線や第2接続線の露出する長さを調節するので、別の通信回線の接続に利用することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態1による通信用回線接続装置を示す斜視図である。
図2】接続線を示す断面図である。
図3図2のI−I断面を示す断面図である。
図4】巻取り具を示す斜視図である。
図5】本体での接続の様子を示す図である。
図6】アッテネータの接続の様子を示す図である。
図7】Uリンクが接続される基板を示す図である。
図8】Uリンクを平面、正面、側面および底面で示す図である。
図9】テストプラグが接続される基板を示す図である。
図10】テストプラグを平面、正面、側面および底面で示す図である。
図11】色分けをされた装置本体の一例を示す斜視図である。
図12】この発明の実施の形態2による通信用回線接続装置を示す斜視図である。
図13】配線盤を用いた接続の様子を示す図である。
図14】通信回線の接続を説明する説明図である。
図15】ラッピング用端子を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0023】
(実施の形態1)
この実施の形態による通信用回線接続装置について、音声通信用の中間配線盤に用いる場合を例として説明する。この通信用回線接続装置を図1に示す。なお、この実施の形態では、先に説明した図13図14および図15と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。図1の通信用回線接続装置は、音声通信の1チャンネルの通信回線用であり、装置本体10と、アジャスタ20、30と、接続線40、50とを備えている。
【0024】
接続線40は、通信回線41とソケット端子42A〜42Fとを備えている。
【0025】
通信回線41は、この実施の形態では6本の通信線41A〜41Fから成る。つまり、通信回線41は通信線41A〜41Fを束ねたものである。通信回線41の一方の端部は、アジャスタ20を介在して装置本体10に接続されている。通信回線41の他方の端部つまり通信線41A〜41Fの先端には、ソケット端子42A〜42Fが接続されている。
【0026】
ソケット端子42Aは金属製であり、図2に示すように、先に述べたIDF130に設けられているピン端子であるラッピング用端子131〜131、例えばラッピング用端子131に差し込みが可能な円筒形状をしている。さらに、ソケット端子42Aには、図3に示すように、長手方向に切込み42Aが設けられている。そして、ラッピング用端子131がソケット端子42Aに差し込まれると、切込み42Aが広がるが、ソケット端子42Aの弾性力により、広がり方向とは逆方向にソケット端子42Aがラッピング用端子131を締め付けることになる。これにより、ソケット端子42Aがラッピング用端子131から外れることを防いでいる。
【0027】
ソケット端子42B〜42Fは、ソケット端子42Aと同様であるので、これらの説明を省略する。
【0028】
接続線50は、通信線51A〜51Fから成る通信回線51と、ソケット端子52A〜52Fとを備えている。こうした接続線50は、接続線40と同じであるので、この説明を省略する。
【0029】
さらに、この実施の形態では、通信回線41、51を次のようにしている。例えば、
通信線41A・・・白色
通信線41B・・・赤色
通信線41C・・・黒色
通信線41D・・・緑色
通信線41E・・・水色
通信線41F・・・橙色
のように、通信線41A〜41Fが色分けをされている。同様にして、通信回線51の通信線51A〜51Fは、通信回線41の通信線41A〜41Fにそれぞれ対応しているので、
通信線51A・・・白色
通信線51B・・・赤色
通信線51C・・・黒色
通信線51D・・・緑色
通信線51E・・・水色
通信線51F・・・橙色
のように色分けをされている。こうした色分けにより、通信線41A〜41F、51A〜51Fの接続先を視認可能にしている。
【0030】
アジャスタ20は、通信回線41の少なくとも一部を収納する。つまり、アジャスタ20は、外部に出ている通信回線41の長さAを調節するものである。アジャスタ20の一番簡便な構造は、収納本体21と、図4に示すような巻取り具22を備えるものである。収納本体21は箱状のものであり、その内部に楕円形をした巻取り具22を収納している。さらに、収納本体21の端面たとえば端面21Aが開閉可能になっている。巻取り具22は、通信回線41を巻き取り、また解くことにより、外部に出ている通信回線41の長さAを調整する。
【0031】
アジャスタ30は、接続線50の通信回線51の長さBを調節するものであり、アジャスタ20と同じであるので、その説明を省略する。
【0032】
装置本体10は箱状体であり、一方の端面にアジャスタ20が設けられ、この一方の端面と対向する他方の端面にアジャスタ30が設けられている。装置本体10は、内部に基板10を収納している。基板10には、アッテネータ11、12と、Uリンク13、14と、テストプラグ15、16とが着脱可能に設けられている。これらのアッテネータ11〜テストプラグ16は、図5に示すように、基板10の配線で電気的に接続されている。
【0033】
具体的には、基板10により、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間が接続路101A、101Bによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路101A、101Bは、基板10上に形成された、信号を流すためのパターンである。接続路101A、101Bには、アッテネータ11とUリンク13とが着脱可能に接続されている。また、通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間が接続路101C、101Dによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路101C、101Dには、アッテネータ12とUリンク14とが着脱可能に接続されている。さらに、通信線41E、41Fと通信線51E、51Fとの間が接続路101E、101Fによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路101E、101Fには、テストプラグ15、16がそれぞれ着脱可能に接続されている。
【0034】
アッテネータ11は、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間、つまり接続路101A、101Bを流れる音声信号等の信号のレベルを調整するためのものである。この実施の形態では、アッテネータ11は、図6に示すように、減衰部11A〜11Dとスイッチ11E〜11Hとを備えている。スイッチ11E〜11Hは、オン・オフスイッチであり、接続路101A、101Bを伝送する音声信号等の信号をそのまま通すか、または、減衰部11A〜11Dで減衰するかを切り替えるためのものである。スイッチ11E〜11Hのツマミ部分は、作業者による操作が可能なように、装置本体10(図1)の外側に設けられている。減衰部11A〜11Dは、抵抗素子などを組み合わせた回路構成である。減衰部11A〜11Dは、直列に接続されて、接続路101A、101Bに挿入されている。減衰部11A〜11Dによる減衰量は、例えば、
1:2:4:8
のように設定されていて、スイッチ11E〜11Hによる切り替えにより、減衰量を連続的に切り替えるようにしている。
【0035】
通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間を接続する接続路101C、101Dに挿入されているアッテネータ12は、アッテネータ11と同じであるので、この説明を省略する。
【0036】
Uリンク13は、基板10の接続路101A、101Bを伝送する音声信号等の信号の通過を阻止するか、または、接続路101A、101Bの音声信号等の信号を通し、かつ、接続路101A、101Bを流れる音声信号等の信号のレベルを測定可能にする。この実施の形態では、図7に示すように、接続路101A、101Bを切り離してUリンク13の接続位置にする。接続路101A、101Bの接続位置、つまり接続路101A、101Bの切離し位置には、Uリンク13の後述する差込み片を差し込むための差込み口1011A、1011Bと、これらの差込み口1011A、1011Bに向かい合うように差込み口1012A、1012Bとが設けられている。
【0037】
Uリンク13は、図8に示すように、箱形状の収納体13Aを備えている。収納体13Aの内部には、接続路101Aの差込み口1011A、1012Aと向かい合うように、コ字状の接続具13Bが設けられている。接続具13Bは、差込み口1011A、1012Aに差し込まれる金属片である差込み片13B、13Bを備えている。さらに、接続具13Bは、差込み片13Bと差込み片13Bとの間を電気的に接続する金属片である接続片13Bを備えている。さらに、接続片13Bには受け具13Bが設けられている。受け具13Bは、音声信号等の信号のレベル等を測定する測定器を接続可能にする。このために、受け具13Bは差込み口(図示を省略)を備え、差込み口は収納体13Aの表面に開口13B41を形成している。
【0038】
同じようにして、収納体13Aの内部には、基板10の接続路101Bの差込み口1011B、1012Bと向かい合うように、コ字状の接続具13Cが設けられている。接続具13Cは、差込み口1011B、1012Bに差し込まれる金属片である差込み片13C、13Cを備えている。また、接続具13Cは、差込み片13Cと差込み片13Cとの間を電気的に接続する金属片である接続片13Cを備えている。さらに、接続片13Cには受け具13Cが設けられている。受け具13Cの差込み口は、収納体13Aの表面に開口13C41を形成している。
【0039】
こうした構成のUリンク13は、装置本体10の基板10に対して着脱自在である。Uリンク13の接続具13B、13Cの差込み片13B、13Bおよび差込み片13C、13Cが、基板10の接続路101Aの差込み口1011A、1012Aおよび差込み口1011B、1012Bに差し込まれると、Uリンク13は、差込み口1011Aと差込み口1012Aとの間、および差込み口1011Bと差込み口1012Bとの間を電気的に接続する。同時に、Uリンク13の受け具13B、13Cに対して測定器が接続可能である。これにより、接続路101A、101Bを流れる音声信号等の信号のレベルなどが測定可能になる。つまり、装置本体10に対してUリンク13が差し込まれると、接続路101A、101Bを導通の状態にすると共に測定器を接続可能にする。また、Uリンク13が引き抜かれると、接続路101A、101Bが非導通の状態になる。
【0040】
Uリンク14は、通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間つまり接続路101C、101Dを非導通の状態にして音声信号等の信号の通過を阻止するか、または、接続路101C、101Dを導通の状態にして音声信号等の信号のレベルを測定可能にする。こうしたUリンク14は、Uリンク13と同じであるので、この説明を省略する。
【0041】
通信線41E、41Fと通信線51E、51Fとの間は接続路101E、101Fによりそれぞれ電気的に接続され、接続路101E、101Fには、テストプラグ15、16が接続されている。
【0042】
テストプラグ15は、通信線41Eを伝送する呼出し信号や応答信号等の信号の通過を阻止する場合に用いられる。この実施の形態では、図9に示すように、基板10の接続路101Eを切り離してテストプラグ15の接続位置にする。接続路101Eの接続位置、つまり接続路101Eの切離し位置には、テストプラグ15の後述する差込み片を差し込むための差込み口1011Eと、この差込み口1011Eに向かい合うように差込み口1012Eとが設けられている。
【0043】
テストプラグ15は、図10に示すように、箱形状の収納体15Aを備えている。収納体15Aの内部には、基板10の接続路101Eの差込み口1011E、1012Eと向かい合うように、コ字状の接続具15Bが設けられている。接続具15Bは、差込み口1011E、1012Eに差し込まれる金属片である差込み片15B、15Bを備えている。また、接続具15Bは、差込み片15Bと差込み片15Bとの間を電気的に接続する金属片である接続片15Bを備えている。
【0044】
こうした構成のテストプラグ15は、装置本体10の基板10に対して着脱自在である。テストプラグ15の接続具15Bの差込み片15B、15Bが接続路101Eの差込み口1011E、1012Eに差し込まれると、テストプラグ15は、差込み口1011Eと差込み口1012Eとの間を電気的に接続する。つまり、装置本体10に対してテストプラグ15が差し込まれると、接続路101Eを導通の状態にする。また、テストプラグ15が引き抜かれると、接続路101Eが非導通の状態になる。
【0045】
テストプラグ16は、通信線41Fと通信線51Fとの間、つまり接続路101Fを導通または非導通の状態にする。こうしたテストプラグ16は、テストプラグ15と同じであるので、この説明を省略する。
【0046】
以上が装置本体10の基本的な構成である。この実施の形態では、さらに装置本体10を次のようにしている。Uリンク13が装着される基板10の差込み口1011A、1012Aは、通信回線41の通信線41Aおよび通信線51Aに対応し、差込み口1011B、1012Bは、通信線41Bおよび通信線51Bに対応している。この関係を視覚的に示すために、
差込み口1011A、1012A・・・白色・赤色
差込み口1011B、1012B・・・白色・赤色
のように着色して色分けをしている。同じようにして、Uリンク14が装着される基板10の差込み口を黒色・緑色に着色して色分けをしている。
【0047】
さらに、テストプラグ15が装着される基板10の差込み口1011E、1012Eは通信回線41の通信線41Eおよび通信線51Eに対応している。この関係を視覚的に示すために、
差込み口1011E、1012E・・・水色
のように着色して色分けをしている。同じようにして、テストプラグ16が装着される基板10の差込み口を橙色に着色して色分けをしている。
【0048】
このようにUリンク13、14とテストプラグ15、16の各差込み口の色分けをすることにより、各差込み口に流れる信号を視認可能にしている。
【0049】
さらに、この実施の形態では、図11に示すように、装置本体10の表面1020に対して、アッテネータ11およびUリンク13の下部面を通過するように、2本のライン1021、1022が印刷されている。同じように、装置本体10の表面1020に対して、アッテネータ12およびUリンク14の下部面を通過するように、2本のライン1023、1024が印刷され、テストプラグ15、16の下部面を通過するように、2本のライン1025、1026が印刷されている。
【0050】
装置本体10の表面1020のライン1021、1022は、基板10に形成されている接続路101A、101Bに対応して印刷されたものである。また、ライン1023、1024は、基板10に形成されている接続路101C、101Dに対応して印刷されたものであり、ライン1025、1026は、基板10に形成されている接続路101E、101Fに対応して印刷されたものである。そして、接続路101A〜101Fに対応するライン1021〜1026は、通信回線41の通信線41A〜41Fおよび通信回線51の通信線51A〜51Fに対応している。この関係を視覚的に示すために、ライン1021〜1026は、
ライン1021・・・白色
ライン1022・・・赤色
ライン1023・・・黒色
ライン1024・・・緑色
ライン1025・・・水色
ライン1026・・・橙色
のように色分けをされている。こうしたライン1021〜1026により、例えばアッテネータ11およびUリンク13に流れる信号、アッテネータ12およびUリンク14に流れる信号、テストプラグ15、16に流れる信号を視認可能にしている。
【0051】
次に、この実施の形態による通信用回線接続装置の作用について説明する。この通信用回線接続装置を音声通信用の中間配線盤に設置する場合、中間配線盤の正面に設けられているラッピング用端子であって、接続対象の通信回線をつなぐためのラッピング用端子に、通信用回線接続装置の通信回線41のソケット端子42A〜42Fと、通信回線51のソケット端子52A〜52Fとを作業者が差し込む。これにより、作業者が中間配線盤に通信用回線接続装置を接続することができる。つまり、通信用回線接続装置はジャンパー線として機能する。
【0052】
この後、作業者は、通信回線41の長さAをアジャスタ20で調節し、通信回線51の長さBをアジャスタ30で調節する。つまり、通信用回線接続装置はジャンパー線の長さ調整の機能を持つ。
【0053】
通信線41A、41Bから通信線51A、51Bに流れる信号の回線レベルの測定を行う場合には、レベルを測定するための測定器の端子を、Uリンク13の開口13B41、13C41に作業者が差し込む。これにより、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間を接続する接続線101Aと接続線101Bとの間に測定器が接続される。この後、作業者は接続された測定器により、回線レベルの測定を行う。レベルを調整する場合には、作業者は、アッテネータ11のスイッチ11E〜11Hをオン・オフして、回線レベルを所定値にする。
【0054】
同じようにして、通信線51C、51Dから通信線41C、41Dに流れる信号の回線レベルの測定と調整とを、Uリンク14とアッテネータ12とを利用して行うことができる。
【0055】
また、通信用回線接続装置による接続の状態などをチェックするときがある。このときには、Uリンク13、14やテストプラグ15、16を装置本体10から作業者が引き抜くことにより、回線を非導通の状態にすることができる。これにより、所定の信号が断続するので、信号が正常に受け渡しをされているかどうか、つまり、通信回線41や通信回線51が正常に接続されているかどうかを調べることができる。
【0056】
さらに、通信用回線接続装置を撤去する場合には、中間配線盤のラッピング用端子から、通信用回線接続装置の通信回線41のソケット端子42A〜42Fと、通信回線51のソケット端子52A〜52Fとを作業者が外す。これにより、ジャンパー線の撤去と同じように、通信用回線接続装置による接続を解除することができる。しかも、通信用回線接続装置には、アジャスタ20、30が設けられている。これにより、通信回線41の長さAや通信回線51の長さBを変えることができるので、別の通信回線を接続する場合に、通信用回線接続装置を再利用することが可能である。
【0057】
こうして、この実施の形態によれば、従来のようなコネクタの使用を不要にしている。また、Uリンク13、14が着脱可能であるので、音声信号等の信号を伝送するための接続線の接続が正常であるかをチェック可能にする。さらに、この実施の形態によれば、テストプラグ15、16が着脱可能であるので、呼出し信号等の信号を伝送するための接続線の接続が正常であるかをチェック可能にする。
【0058】
また、この実施の形態により、次の効果を達成することができる。
a.通信回線41や通信回線51の被覆剥き器や電動ラッパー等の工具を不要にすることができる。
b.通信回線41のソケット端子42A〜42Fや通信回線51のソケット端子52A〜52Fを用いるので、ワイヤラッピング作業のような作業スキルが不要で、誰でも簡単に回線構成できる。
c.中間配線盤に対する作業時間を大幅に短縮できる。
改善前:被覆剥き12回、接続12回(3〜10分)
改善後:ピン接続12回 (1分以内)
d.アジャスタ20、30(ケーブル長アジャスタ)により、通信回線41、51の長さ調整が可能である。
e.通信用回線接続装置に実装するアッテネータ11、12(可変アッテネータ)で回線レベル調整が可能である。
f.端局の同一基板に実装される隣接回線の停止が不要である。
g.通信用回線接続装置に実装するUリンク13、14で回線レベル測定や信号試験が可能である。
h.アッテネータ11、12とUリンク13、14とを実装しているので、回線を構成したままレベル調整が可能である。
i.接続路101A〜101Fの差込み口1011A、1011Bや、装置本体10の表面1020に対して、信号に基づく色分けをしているため、測定間違いや接続間違いが起こりにくい。
j.回線撤去時は、配線盤から通信用回線接続装置を撤去して再利用できる。
k.ソケット端子42A〜42F、ソケット端子52A〜52Fによるピン接続なので、運用中のケーブルと間違えない。
【0059】
(実施の形態2)
この実施の形態による通信用回線接続装置を図12に示す。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1による通信用回線接続装置と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。図12の通信用回線接続装置では、実施の形態1によるアジャスタ20、30を、装置本体10に対して外付けにしている。図12では、図面の都合上、アジャスタ30の図示を省略している。
【0060】
実施の形態2によるアジャスタ20は、円筒形状の収納本体21の内部に、通信回線41を巻き取るための巻取り器(図示を省略)を収納している。なお、巻取り器としては、手動で通信回線41を巻き取るものや、バネのような弾性力を利用して通信回線41を巻き取るものなど、各種のものがある。
【0061】
こうした実施の形態2により、アジャスタ20、30を外付けにしたので、装置本体10を小型にすることができ、また、アジャスタ20の置き場所の選択範囲を広げることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 装置本体
10 基板
101A〜101F 接続路
11、12 減衰器
13、14 Uリンク(リンク部)
20、30 アジャスタ
40 接続線(第1接続線)
50 接続線(第2接続線)
41、51 通信回線
41A〜41F、51A〜51F 通信線
42A〜42F、52A〜52F ソケット端子(第2端子)
130 IDF(配線盤)
131、132 端子板
131〜131、132〜132 ラッピング用端子(第1端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15