(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板と、他方の通信回線の各通信線が接続されているラッピング用の第1端子が設けられている端子板とを備える配線盤に対して用いられる通信用回線接続装置であって、
一方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第1接続線と、
他方の前記端子板の第1端子に対して着脱可能に接続される第2端子が各通信線に設けられている第2接続線と、
前記第1接続線の各通信線と前記第2接続線の各通信線とを接続する接続路をそれぞれ備える装置本体と、
を備え、
前記装置本体は、
音信号を含む第1信号を流す通信線の接続路に設けられると共にこの第1信号を減衰する減衰器と、
この減衰器が設けられている接続路に設けられ、前記第1信号のレベル測定用の測定器を接続可能にするリンク部と、
を備える、
ことを特徴とする通信用回線接続装置。
前記装置本体は、前記第1接続線を収納して第1接続線の露出する長さを調節するための第1収納部と、前記第2接続線を収納して第2接続線の露出する長さを調節するための第2収納部との少なくとも一方を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信用回線接続装置。
【背景技術】
【0002】
通信用の主配線盤(MDF:Main Distributing Frame)や中間配線盤(IDF:Intermediate Distribution Frame)等の配線盤により、例えば事業者側の電話機等の通信端末と局側の伝送装置との間が接続されている。この配線盤による接続の様子を
図13に示す。
図13に示すように、局側の伝送装置などの局側装置に接続されている事業者側のMDF110は、通信回線120で事業者側のIDF130に接続されている。事業者側の通信端末140は、同じようにして、通信回線150でIDF130に接続されている。なお、
図13では、事業者側の規模に基づいて、例えば建物の各階毎にIDF130が設置され、IDF130に対して各通信端末140が通信回線で接続されている場合を例としている。
【0003】
通信回線120は、例えば
図14に示すように、通信端末140からの音声信号等の信号を送るための2本の送信線121、122と、通信端末に音声信号等の信号を送るための2本の受信線123、124と、呼出し信号等の信号を流すための2本の信号線125、126とを含んでいる。つまり、
図14では1チャンネルの通信回線は合計6本の通信線を含んでいる。以下では、送信線121、122と受信線123、124と信号線125、126とを単に通信線121〜126と記す。同じように、通信回線150は、合計6本の通信線から成り、通信端末140からの音声信号等の信号を送るための2本の送信線151、152と、通信端末に音声信号等の信号を送るための2本の受信線153、154と、呼出し信号等の信号を流すための2本の信号線155、156とを含んでいる。以下では、送信線151、152と受信線153、154と信号線155、156とを単に通信線151〜156と記す。
【0004】
IDF130は、通信回線120に対して通信回線150を接続する。このために、IDF130は、端子板131、132を備えている。つまり、端子板131の裏面131Aには通信回線120が接続され、表面131Bには、それぞれの通信線121〜126に接続されているピン端子であるラッピング用端子131
1〜131
6が設けられている。ラッピング用端子131
1〜131
6は、導体で作られた細長の棒状体であり、
図15に示すように、端子板131の表面131Bに対して直角方向に突き出ている。同じように、端子板132の裏面132Aには通信回線150が接続され、表面132Bには、それぞれの通信線151〜156に接続されているラッピング用端子132
1〜132
6が設けられている。
【0005】
このように、IDF130は、通信回線120と通信回線150とを接続して、MDF110と通信端末140との間の通信を可能にする。このために、作業者は、IDF130の端子板131に設けられているラッピング用端子131
1〜131
6と、端子板132に設けられているラッピング用端子132
1〜132
6との間を、ジャンパー線を用いてワイヤラッピングにより接続する。
【0006】
ジャンパー線の接続に際して、例えば電話回線であれば1回線あたりジャンパー線6本ずつを接続する必要があり、回線構成の都度、専用工具にて構成する。さらに、ジャンパー線接続時は、回線レベルの測定および回線レベルの調整をする。そして、必要により、端局装置の基板を抜いてアッテネータ(減衰器)の調整をする。同一基板内に運用中回線が実装されている場合には回線停止を伴う。
【0007】
さらに、構成した回線が不要となった場合は、主配線盤や中間配線盤に構成したジャンパー線を撤去する。撤去したジャンパー線は、別の接続に使用としても、各通信線の長さに過不足があり、ほとんどの場合が廃棄される。
【0008】
こうしたジャンパー線接続を不要にした装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、ワイヤラッピングをされるジャンパー線の代わりに、プラグを用いた接続が行われている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0023】
(実施の形態1)
この実施の形態による通信用回線接続装置について、音声通信用の中間配線盤に用いる場合を例として説明する。この通信用回線接続装置を
図1に示す。なお、この実施の形態では、先に説明した
図13、
図14および
図15と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
図1の通信用回線接続装置は、音声通信の1チャンネルの通信回線用であり、装置本体10と、アジャスタ20、30と、接続線40、50とを備えている。
【0024】
接続線40は、通信回線41とソケット端子42A〜42Fとを備えている。
【0025】
通信回線41は、この実施の形態では6本の通信線41A〜41Fから成る。つまり、通信回線41は通信線41A〜41Fを束ねたものである。通信回線41の一方の端部は、アジャスタ20を介在して装置本体10に接続されている。通信回線41の他方の端部つまり通信線41A〜41Fの先端には、ソケット端子42A〜42Fが接続されている。
【0026】
ソケット端子42Aは金属製であり、
図2に示すように、先に述べたIDF130に設けられているピン端子であるラッピング用端子131
1〜131
6、例えばラッピング用端子131
1に差し込みが可能な円筒形状をしている。さらに、ソケット端子42Aには、
図3に示すように、長手方向に切込み42A
1が設けられている。そして、ラッピング用端子131
1がソケット端子42Aに差し込まれると、切込み42A
1が広がるが、ソケット端子42Aの弾性力により、広がり方向とは逆方向にソケット端子42Aがラッピング用端子131
1を締め付けることになる。これにより、ソケット端子42Aがラッピング用端子131
1から外れることを防いでいる。
【0027】
ソケット端子42B〜42Fは、ソケット端子42Aと同様であるので、これらの説明を省略する。
【0028】
接続線50は、通信線51A〜51Fから成る通信回線51と、ソケット端子52A〜52Fとを備えている。こうした接続線50は、接続線40と同じであるので、この説明を省略する。
【0029】
さらに、この実施の形態では、通信回線41、51を次のようにしている。例えば、
通信線41A・・・白色
通信線41B・・・赤色
通信線41C・・・黒色
通信線41D・・・緑色
通信線41E・・・水色
通信線41F・・・橙色
のように、通信線41A〜41Fが色分けをされている。同様にして、通信回線51の通信線51A〜51Fは、通信回線41の通信線41A〜41Fにそれぞれ対応しているので、
通信線51A・・・白色
通信線51B・・・赤色
通信線51C・・・黒色
通信線51D・・・緑色
通信線51E・・・水色
通信線51F・・・橙色
のように色分けをされている。こうした色分けにより、通信線41A〜41F、51A〜51Fの接続先を視認可能にしている。
【0030】
アジャスタ20は、通信回線41の少なくとも一部を収納する。つまり、アジャスタ20は、外部に出ている通信回線41の長さAを調節するものである。アジャスタ20の一番簡便な構造は、収納本体21と、
図4に示すような巻取り具22を備えるものである。収納本体21は箱状のものであり、その内部に楕円形をした巻取り具22を収納している。さらに、収納本体21の端面たとえば端面21Aが開閉可能になっている。巻取り具22は、通信回線41を巻き取り、また解くことにより、外部に出ている通信回線41の長さAを調整する。
【0031】
アジャスタ30は、接続線50の通信回線51の長さBを調節するものであり、アジャスタ20と同じであるので、その説明を省略する。
【0032】
装置本体10は箱状体であり、一方の端面にアジャスタ20が設けられ、この一方の端面と対向する他方の端面にアジャスタ30が設けられている。装置本体10は、内部に基板10
1を収納している。基板10
1には、アッテネータ11、12と、Uリンク13、14と、テストプラグ15、16とが着脱可能に設けられている。これらのアッテネータ11〜テストプラグ16は、
図5に示すように、基板10
1の配線で電気的に接続されている。
【0033】
具体的には、基板10
1により、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間が接続路10
1A、10
1Bによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路10
1A、10
1Bは、基板10
1上に形成された、信号を流すためのパターンである。接続路10
1A、10
1Bには、アッテネータ11とUリンク13とが着脱可能に接続されている。また、通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間が接続路10
1C、10
1Dによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路10
1C、10
1Dには、アッテネータ12とUリンク14とが着脱可能に接続されている。さらに、通信線41E、41Fと通信線51E、51Fとの間が接続路10
1E、10
1Fによりそれぞれ電気的に接続されている。接続路10
1E、10
1Fには、テストプラグ15、16がそれぞれ着脱可能に接続されている。
【0034】
アッテネータ11は、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間、つまり接続路10
1A、10
1Bを流れる音声信号等の信号のレベルを調整するためのものである。この実施の形態では、アッテネータ11は、
図6に示すように、減衰部11A〜11Dとスイッチ11E〜11Hとを備えている。スイッチ11E〜11Hは、オン・オフスイッチであり、接続路10
1A、10
1Bを伝送する音声信号等の信号をそのまま通すか、または、減衰部11A〜11Dで減衰するかを切り替えるためのものである。スイッチ11E〜11Hのツマミ部分は、作業者による操作が可能なように、装置本体10(
図1)の外側に設けられている。減衰部11A〜11Dは、抵抗素子などを組み合わせた回路構成である。減衰部11A〜11Dは、直列に接続されて、接続路10
1A、10
1Bに挿入されている。減衰部11A〜11Dによる減衰量は、例えば、
1:2:4:8
のように設定されていて、スイッチ11E〜11Hによる切り替えにより、減衰量を連続的に切り替えるようにしている。
【0035】
通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間を接続する接続路10
1C、10
1Dに挿入されているアッテネータ12は、アッテネータ11と同じであるので、この説明を省略する。
【0036】
Uリンク13は、基板10
1の接続路10
1A、10
1Bを伝送する音声信号等の信号の通過を阻止するか、または、接続路10
1A、10
1Bの音声信号等の信号を通し、かつ、接続路10
1A、10
1Bを流れる音声信号等の信号のレベルを測定可能にする。この実施の形態では、
図7に示すように、接続路10
1A、10
1Bを切り離してUリンク13の接続位置にする。接続路10
1A、10
1Bの接続位置、つまり接続路10
1A、10
1Bの切離し位置には、Uリンク13の後述する差込み片を差し込むための差込み口10
11A、10
11Bと、これらの差込み口10
11A、10
11Bに向かい合うように差込み口10
12A、10
12Bとが設けられている。
【0037】
Uリンク13は、
図8に示すように、箱形状の収納体13Aを備えている。収納体13Aの内部には、接続路10
1Aの差込み口10
11A、10
12Aと向かい合うように、コ字状の接続具13Bが設けられている。接続具13Bは、差込み口10
11A、10
12Aに差し込まれる金属片である差込み片13B
1、13B
2を備えている。さらに、接続具13Bは、差込み片13B
1と差込み片13B
2との間を電気的に接続する金属片である接続片13B
3を備えている。さらに、接続片13B
3には受け具13B
4が設けられている。受け具13B
4は、音声信号等の信号のレベル等を測定する測定器を接続可能にする。このために、受け具13B
4は差込み口(図示を省略)を備え、差込み口は収納体13Aの表面に開口13B
41を形成している。
【0038】
同じようにして、収納体13Aの内部には、基板10
1の接続路10
1Bの差込み口10
11B、10
12Bと向かい合うように、コ字状の接続具13Cが設けられている。接続具13Cは、差込み口10
11B、10
12Bに差し込まれる金属片である差込み片13C
1、13C
2を備えている。また、接続具13Cは、差込み片13C
1と差込み片13C
2との間を電気的に接続する金属片である接続片13C
3を備えている。さらに、接続片13C
3には受け具13C
4が設けられている。受け具13C
4の差込み口は、収納体13Aの表面に開口13C
41を形成している。
【0039】
こうした構成のUリンク13は、装置本体10の基板10
1に対して着脱自在である。Uリンク13の接続具13B、13Cの差込み片13B
1、13B
2および差込み片13C
1、13C
2が、基板10
1の接続路10
1Aの差込み口10
11A、10
12Aおよび差込み口10
11B、10
12Bに差し込まれると、Uリンク13は、差込み口10
11Aと差込み口10
12Aとの間、および差込み口10
11Bと差込み口10
12Bとの間を電気的に接続する。同時に、Uリンク13の受け具13B
4、13C
4に対して測定器が接続可能である。これにより、接続路10
1A、10
1Bを流れる音声信号等の信号のレベルなどが測定可能になる。つまり、装置本体10に対してUリンク13が差し込まれると、接続路10
1A、10
1Bを導通の状態にすると共に測定器を接続可能にする。また、Uリンク13が引き抜かれると、接続路10
1A、10
1Bが非導通の状態になる。
【0040】
Uリンク14は、通信線41C、41Dと通信線51C、51Dとの間つまり接続路10
1C、10
1Dを非導通の状態にして音声信号等の信号の通過を阻止するか、または、接続路10
1C、10
1Dを導通の状態にして音声信号等の信号のレベルを測定可能にする。こうしたUリンク14は、Uリンク13と同じであるので、この説明を省略する。
【0041】
通信線41E、41Fと通信線51E、51Fとの間は接続路10
1E、10
1Fによりそれぞれ電気的に接続され、接続路10
1E、10
1Fには、テストプラグ15、16が接続されている。
【0042】
テストプラグ15は、通信線41Eを伝送する呼出し信号や応答信号等の信号の通過を阻止する場合に用いられる。この実施の形態では、
図9に示すように、基板10
1の接続路10
1Eを切り離してテストプラグ15の接続位置にする。接続路10
1Eの接続位置、つまり接続路10
1Eの切離し位置には、テストプラグ15の後述する差込み片を差し込むための差込み口10
11Eと、この差込み口10
11Eに向かい合うように差込み口10
12Eとが設けられている。
【0043】
テストプラグ15は、
図10に示すように、箱形状の収納体15Aを備えている。収納体15Aの内部には、基板10
1の接続路10
1Eの差込み口10
11E、10
12Eと向かい合うように、コ字状の接続具15Bが設けられている。接続具15Bは、差込み口10
11E、10
12Eに差し込まれる金属片である差込み片15B
1、15B
2を備えている。また、接続具15Bは、差込み片15B
1と差込み片15B
2との間を電気的に接続する金属片である接続片15B
3を備えている。
【0044】
こうした構成のテストプラグ15は、装置本体10の基板10
1に対して着脱自在である。テストプラグ15の接続具15Bの差込み片15B
1、15B
2が接続路10
1Eの差込み口10
11E、10
12Eに差し込まれると、テストプラグ15は、差込み口10
11Eと差込み口10
12Eとの間を電気的に接続する。つまり、装置本体10に対してテストプラグ15が差し込まれると、接続路10
1Eを導通の状態にする。また、テストプラグ15が引き抜かれると、接続路10
1Eが非導通の状態になる。
【0045】
テストプラグ16は、通信線41Fと通信線51Fとの間、つまり接続路10
1Fを導通または非導通の状態にする。こうしたテストプラグ16は、テストプラグ15と同じであるので、この説明を省略する。
【0046】
以上が装置本体10の基本的な構成である。この実施の形態では、さらに装置本体10を次のようにしている。Uリンク13が装着される基板10
1の差込み口10
11A、10
12Aは、通信回線41の通信線41Aおよび通信線51Aに対応し、差込み口10
11B、10
12Bは、通信線41Bおよび通信線51Bに対応している。この関係を視覚的に示すために、
差込み口10
11A、10
12A・・・白色・赤色
差込み口10
11B、10
12B・・・白色・赤色
のように着色して色分けをしている。同じようにして、Uリンク14が装着される基板10
1の差込み口を黒色・緑色に着色して色分けをしている。
【0047】
さらに、テストプラグ15が装着される基板10
1の差込み口10
11E、10
12Eは通信回線41の通信線41Eおよび通信線51Eに対応している。この関係を視覚的に示すために、
差込み口10
11E、10
12E・・・水色
のように着色して色分けをしている。同じようにして、テストプラグ16が装着される基板10
1の差込み口を橙色に着色して色分けをしている。
【0048】
このようにUリンク13、14とテストプラグ15、16の各差込み口の色分けをすることにより、各差込み口に流れる信号を視認可能にしている。
【0049】
さらに、この実施の形態では、
図11に示すように、装置本体10の表面10
20に対して、アッテネータ11およびUリンク13の下部面を通過するように、2本のライン10
21、10
22が印刷されている。同じように、装置本体10の表面10
20に対して、アッテネータ12およびUリンク14の下部面を通過するように、2本のライン10
23、10
24が印刷され、テストプラグ15、16の下部面を通過するように、2本のライン10
25、10
26が印刷されている。
【0050】
装置本体10の表面10
20のライン10
21、10
22は、基板10
1に形成されている接続路10
1A、10
1Bに対応して印刷されたものである。また、ライン10
23、10
24は、基板10
1に形成されている接続路10
1C、10
1Dに対応して印刷されたものであり、ライン10
25、10
26は、基板10
1に形成されている接続路10
1E、10
1Fに対応して印刷されたものである。そして、接続路10
1A〜10
1Fに対応するライン10
21〜10
26は、通信回線41の通信線41A〜41Fおよび通信回線51の通信線51A〜51Fに対応している。この関係を視覚的に示すために、ライン10
21〜10
26は、
ライン10
21・・・白色
ライン10
22・・・赤色
ライン10
23・・・黒色
ライン10
24・・・緑色
ライン10
25・・・水色
ライン10
26・・・橙色
のように色分けをされている。こうしたライン10
21〜10
26により、例えばアッテネータ11およびUリンク13に流れる信号、アッテネータ12およびUリンク14に流れる信号、テストプラグ15、16に流れる信号を視認可能にしている。
【0051】
次に、この実施の形態による通信用回線接続装置の作用について説明する。この通信用回線接続装置を音声通信用の中間配線盤に設置する場合、中間配線盤の正面に設けられているラッピング用端子であって、接続対象の通信回線をつなぐためのラッピング用端子に、通信用回線接続装置の通信回線41のソケット端子42A〜42Fと、通信回線51のソケット端子52A〜52Fとを作業者が差し込む。これにより、作業者が中間配線盤に通信用回線接続装置を接続することができる。つまり、通信用回線接続装置はジャンパー線として機能する。
【0052】
この後、作業者は、通信回線41の長さAをアジャスタ20で調節し、通信回線51の長さBをアジャスタ30で調節する。つまり、通信用回線接続装置はジャンパー線の長さ調整の機能を持つ。
【0053】
通信線41A、41Bから通信線51A、51Bに流れる信号の回線レベルの測定を行う場合には、レベルを測定するための測定器の端子を、Uリンク13の開口13B
41、13C
41に作業者が差し込む。これにより、通信線41A、41Bと通信線51A、51Bとの間を接続する接続線10
1Aと接続線10
1Bとの間に測定器が接続される。この後、作業者は接続された測定器により、回線レベルの測定を行う。レベルを調整する場合には、作業者は、アッテネータ11のスイッチ11E〜11Hをオン・オフして、回線レベルを所定値にする。
【0054】
同じようにして、通信線51C、51Dから通信線41C、41Dに流れる信号の回線レベルの測定と調整とを、Uリンク14とアッテネータ12とを利用して行うことができる。
【0055】
また、通信用回線接続装置による接続の状態などをチェックするときがある。このときには、Uリンク13、14やテストプラグ15、16を装置本体10から作業者が引き抜くことにより、回線を非導通の状態にすることができる。これにより、所定の信号が断続するので、信号が正常に受け渡しをされているかどうか、つまり、通信回線41や通信回線51が正常に接続されているかどうかを調べることができる。
【0056】
さらに、通信用回線接続装置を撤去する場合には、中間配線盤のラッピング用端子から、通信用回線接続装置の通信回線41のソケット端子42A〜42Fと、通信回線51のソケット端子52A〜52Fとを作業者が外す。これにより、ジャンパー線の撤去と同じように、通信用回線接続装置による接続を解除することができる。しかも、通信用回線接続装置には、アジャスタ20、30が設けられている。これにより、通信回線41の長さAや通信回線51の長さBを変えることができるので、別の通信回線を接続する場合に、通信用回線接続装置を再利用することが可能である。
【0057】
こうして、この実施の形態によれば、従来のようなコネクタの使用を不要にしている。また、Uリンク13、14が着脱可能であるので、音声信号等の信号を伝送するための接続線の接続が正常であるかをチェック可能にする。さらに、この実施の形態によれば、テストプラグ15、16が着脱可能であるので、呼出し信号等の信号を伝送するための接続線の接続が正常であるかをチェック可能にする。
【0058】
また、この実施の形態により、次の効果を達成することができる。
a.通信回線41や通信回線51の被覆剥き器や電動ラッパー等の工具を不要にすることができる。
b.通信回線41のソケット端子42A〜42Fや通信回線51のソケット端子52A〜52Fを用いるので、ワイヤラッピング作業のような作業スキルが不要で、誰でも簡単に回線構成できる。
c.中間配線盤に対する作業時間を大幅に短縮できる。
改善前:被覆剥き12回、接続12回(3〜10分)
改善後:ピン接続12回 (1分以内)
d.アジャスタ20、30(ケーブル長アジャスタ)により、通信回線41、51の長さ調整が可能である。
e.通信用回線接続装置に実装するアッテネータ11、12(可変アッテネータ)で回線レベル調整が可能である。
f.端局の同一基板に実装される隣接回線の停止が不要である。
g.通信用回線接続装置に実装するUリンク13、14で回線レベル測定や信号試験が可能である。
h.アッテネータ11、12とUリンク13、14とを実装しているので、回線を構成したままレベル調整が可能である。
i.接続路10
1A〜10
1Fの差込み口10
11A、10
11Bや、装置本体10の表面10
20に対して、信号に基づく色分けをしているため、測定間違いや接続間違いが起こりにくい。
j.回線撤去時は、配線盤から通信用回線接続装置を撤去して再利用できる。
k.ソケット端子42A〜42F、ソケット端子52A〜52Fによるピン接続なので、運用中のケーブルと間違えない。
【0059】
(実施の形態2)
この実施の形態による通信用回線接続装置を
図12に示す。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1による通信用回線接続装置と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
図12の通信用回線接続装置では、実施の形態1によるアジャスタ20、30を、装置本体10に対して外付けにしている。
図12では、図面の都合上、アジャスタ30の図示を省略している。
【0060】
実施の形態2によるアジャスタ20は、円筒形状の収納本体21の内部に、通信回線41を巻き取るための巻取り器(図示を省略)を収納している。なお、巻取り器としては、手動で通信回線41を巻き取るものや、バネのような弾性力を利用して通信回線41を巻き取るものなど、各種のものがある。
【0061】
こうした実施の形態2により、アジャスタ20、30を外付けにしたので、装置本体10を小型にすることができ、また、アジャスタ20の置き場所の選択範囲を広げることができる。