(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、包装袋によって画成された物品の収容空間の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。「底面部」とは、「底面」に位置している包装袋の実体的な部分を指すものとして参照される。一方、「頂部」とは、天面を覆っている実体的な部分である天面部と、これに必要に応じて付帯する部分と、を含む部分を言い、当該付帯部分がない場合には天面部自体と等しい。
【0013】
また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「包装体」とは、物品が収容された状態の包装袋、特に包装袋に複数の物品が収容されることで製造された後であって且つ開封前のものをいう。
【0014】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の記載における「閉塞」という用語は、包装袋の内部を雰囲気から完全に遮断すること(すなわち封止すること)だけでなく、包装袋の内部を異物の侵入から効果的に保護できる程度に実質的に包装袋を閉じることも包含するものである。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「接着」とは、接着剤を使用したものの他、溶着によるもの、熱融着(以下、ヒートシールということがある)によるものも含む。
【0016】
本発明の実施形態に係る包装袋は、当該包装袋の頂部に設けられた開閉部の位置の目安となる表示部を設けることにより、開閉部の位置を容易に特定できる結果、開閉部を簡単且つ迅速に閉じることが可能となるものである。
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る包装袋は、いわゆる、天面側に片ガセットを配置したタイプのものである。次の実施形態1−1から実施形態1−4において、上記表示部を設けた包装袋の4つの形態についてそれぞれ説明する。
【0018】
<実施形態1−1>
図1および
図2に本発明の実施形態1−1に係る、開封前の包装袋1および包装体100を示し、
図1は斜視図、
図2(a)は
図1のIIA方向の正面図、
図2(b)は上面図、
図2(c)は底面図をそれぞれ表す。
図2(a)は、説明を容易にするため、包装袋1の一部を破断している状態を示している(
図2(a)中、一点鎖線が破断線を表す)。
【0019】
本実施形態に係る包装袋1は、天面と底面との間の物品(実施形態1では衛生用品2)を収容する空間を実質的に画成する胴部3と、当該胴部3の天面を覆う頂部4とを備えて構成される。なお、これらの部分は別体に製造された後に一体化されたものではなく、1枚のシート状部材の折り曲げ等によって予め一体に形成されているものである。
【0020】
本実施形態の包装袋1は、
図1に示すように、衛生用品2を複数収容した状態で略直方体形状を呈し、胴部3は、包装袋1の底面部と略垂直な4つの側面部を有する。
図2(b)に示すように、その略直方体を包装袋1の天面部5側からみた場合の包装袋1の上面の形状は略長方形である。なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において「略直方体」というときは、当然に立方体も含まれるし、「略長方形」というときは、当然に正方形も含まれる。包装袋1の上面の形状が正方形である場合、いずれの辺を本明細書および特許請求の範囲の記載における長辺(または短辺)とみなしてもよい。
【0021】
頂部4には、包装袋1の胴部3の底面部(
図2(c)を参照)と略平行な天面部5とこれに付帯する立ち上がり部6とが設けられる。天面部5の中央付近には、上記略長方形の長辺と略平行に開封線7が設けられ、これを破断することで、包装袋1が開封され、包装袋1の開口が形成される。開封線7は、例えば、ミシン目として天面部5上に形成される。
【0022】
頂部4には包装袋1の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部8が設けられる。本実施形態では、開閉部8を閉じることによって包装袋1の開口を閉塞し、開閉部8を開くことによって包装袋1の開口を開放する。具体的には、開閉部8は、例えば、互いに係合(例えば、咬合)することで包装袋1の開口を閉塞可能な一対の係合部材を有するチャックで構成され、
図1および
図2(b)に示すように、互いに係合可能な雌係合部材8aと雄係合部材8bとで構成される。本実施形態では、開閉部8は、包装袋1の胴部3の底面部と略平行であって、頂部4の立ち上がり部6のうち内周部分に設けられ、例えば、包装袋1の表面に接着することによって形成される。本実施形態では、
図2(b)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材8aが形成され、
図2(b)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材8bが形成される。開閉部8を設けることによって、必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、包装袋1の開口を閉塞することが可能となるため、開封後に塵埃や虫などの異物が侵入し衛生用品2に付着することを防止することが可能となる。
【0023】
頂部4には開閉部8が設けられた位置の目安となる表示部9が設けられる。本実施形態では、表示部9は、包装袋1の表面に、開閉部8に沿って連続して(途切れなく)設けられ、
図1、
図2(a)中、ハッチングとして示される。具体的には、表示部9は、
図1および
図2(b)に示すように、雌係合部材8aの位置の目安となる第1の表示部9aと、雄係合部材8bの位置の目安となる第2の表示部9bと、を有する。第1の表示部9aおよび第2の表示部9bは、頂部4の立ち上がり部6のうち外周部分にそれぞれ設けられる。本実施形態では、
図2(b)に示す略長方形の上半分の外周部分に第1の表示部9aが設けられ、
図2(b)に示す略長方形の下半分の外周部分に第2の表示部9bが設けられる。尚、本実施形態では、表示部9は、立ち上がり部6のうち外周部分に設けられているが、これに限られず、立ち上がり部6のうち内周部分に設けられても良い。また、本実施形態では、表示部9は、開閉部8に沿って連続して設けられているが、開閉部8の近傍に設けられても良いし、断続して(間欠的に)設けられても良い。
【0024】
表示部9は、例えば、色、模様(図形、デザインを含む)、文字(記号を含む)またはこれらの結合を含んで構成される。表示部9は、例えば、印刷加工、プレス加工などによって包装袋1の表面に形成される。本実施形態では、包装袋1の表面を着色することによって表示部9を設ける場合、視認性を良くするため、その着色は、包装袋1のうち表示部9周辺の色と異なるようにする。尚、第1の表示部9aの着色と第2の表示部9bの着色とを異ならせたり、第1の表示部9aおよび第2の表示部9bのどちらか一方のみを着色したりしても良い。
【0025】
本実施形態では、「模様」は、実線、破線、矢印などの図形や、人物、動物、植物、アニメーションキャラクターなどのデザインを含む。また、「模様」は、包装袋1の表面を加工して凸凹状にしたものを含む。包装袋1の表面を凸凹状に加工することにより表示部9を設ける場合、ユーザは、視覚に頼らず触覚で表示部9の箇所を把握し、開閉部8の位置を特定することが可能となる。本実施形態では、「文字」は、開閉部8の位置を特定するような文言や記号を含む。
【0026】
図2(a)に示すように、開閉部8は、収容された衛生用品2に対し、胴部3の底面部に垂直な方向において、間隙Lをもって位置するように形成されている。当該間隙Lが設けられることによって、開閉部8のうち雌係合部材8aと雄係合部材8bとが、互いに対峙して容易に係合できる範囲に移動することができるため、包装袋1を閉塞することが可能となる。
【0027】
図3を用い、本発明の実施形態1−1に係る包装袋1を閉塞する様子について説明する。ここで、
図3(a)は、
図2(b)のIIIA−IIIA方向断面図であって、開封前の包装袋1の開閉部8付近を示し、
図3(b)は、開封後かつ閉塞後の包装袋1の開閉部8付近の模式図を示す。また、
図4に閉塞後の包装袋1および包装体100の斜視図を示す。
【0028】
包装袋1の開封前の開閉部8については、
図3(a)に示すように、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。開封後の包装袋1を閉塞する際の開閉部8については、
図3(b)に示すように、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに係合して包装袋1を閉塞している様子がわかる。包装袋1を閉塞すると、包装袋1は
図4に示すような状態になる。
【0029】
ユーザは、例えば、開封線7を破断して包装袋1の開封後に必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、包装袋1に収容された残りの衛生用品2を清潔に保つため、開閉部8を閉じて包装袋1の開口を閉塞する。本実施形態によれば、この開閉部8を閉じる際、ユーザは、第1の表示部9a、第2の表示部9bを見て(または触って)、雌係合部材8aの位置、雄係合部材8bの位置をそれぞれ把握して特定することが可能になる。よって、本実施形態によれば、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合しやすくなり、開閉部8を簡単且つ迅速に閉じて、包装袋1を速やかに閉塞することが可能となる。
【0030】
本実施形態では、物品として衛生用品を対象としたが、衛生用品は、他の物品に比べて、包装袋内部への異物の侵入を防ぐことへの要求が高いことから、本発明の効果をより享受できる。
【0031】
ここで包装袋1の製造工程の一例を以下に述べる。
【0032】
包装袋1は、一側縁にはガセット部が設けられ、当該一側縁に対向する他側縁が開放状態になった長尺状のフィルム(以下、片ガセットフィルムということがある)から製造される。上記ガセット部は、一側縁を谷折りにしたガセット構造となっており、一側縁を谷折りにして形成される2つの山(以下、ガセット半部ということがある)を有する。
(1)先ず、包装袋1の天面部5および立ち上がり部6が形成される領域を設けるため、ガセット半部の先端から基端までの間のうち一定幅で、
図2(a)に示す包装袋1の正面から見て横方向に相当する方向(片ガセットフィルムの長手方向)に、ガセット半部の内側の面を接着する。この接着は、2つのガセット半部についてそれぞれ行われ、例えば、ヒートシールによって行われる。
(2)そして、
図2(a)に示す包装袋1の正面から見て横方向に相当する方向(片ガセットフィルムの長手方向)において所定間隔で、一側縁から他側縁までを一定幅で片ガセットフィルムを接着し、片ガセットフィルムに複数の接着部を形成させる。
(3)次に、接着部の幅が半分になるように、
図2(a)に示す包装袋1の高さ方向に相当する方向(片ガセットフィルムの短手方向)に沿って、複数の接着部をそれぞれ切断していくと、両側端が接着された個々の袋状のフィルムを得ることができる。
(4)個々になった袋状のフィルムのうちガセット部を折り畳んで、天面部5、立ち上がり部6、および4つの側面部を形成することによって、底面部が開放状態の包装袋1を得ることができる。衛生用品2は、その開放された他側縁から挿入され、
図1の破断部分に示すように収容され、他側縁を折り込むことによって包装袋1に収容されることになる。折り込まれた他側縁は、接着によって封止される。
【0033】
本実施形態では、
図1に示すように、包装袋1の4つの側面部のうち対向する2つの側面部は、接着部を切断したときにできるシール部を中央付近にそれぞれ有し、残りの対向する2つの側面部は、シール部を有さない略フラットな面をそれぞれ有する。
【0034】
本実施形態では、表示部9は、例えば、上記製造工程(1)の前、または、工程(1)の中において、
図2(a)に示す包装袋1の正面から見て横方向に相当する方向(片ガセットフィルムの長手方向)に沿って片ガセットフィルムの表面に形成され、開閉部8が形成される位置に対応するように設けられる。尚、対向する2つの側面部に形成されたシール部、例えば、
図1および
図2(a)においてAで表す箇所が、表示部9の一部を含むような形態であっても良いし、表示部9の一部を含まない形態であっても良い。
【0035】
<実施形態1−2>
本発明の実施形態1−2に係る包装袋は、実施形態1−1に係る包装袋1と異ならせ、包装袋1の表面に表示部9を設ける代わりに、開閉部8自体に色、模様等を付して表示部9として設けることで、開閉部8の位置を特定し易くし、開閉部8を簡単且つ迅速に閉じることが可能となるものである。本実施形態に係る包装袋を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、実施形態1−1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、表示部9は、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bの全体または一部を着色して設けられ、雌係合部材8aの位置の目安となる第1の表示部9aと、雄係合部材8bの位置の目安となる第2の表示部9aと、を有する。雌係合部材8aおよび雄係合部材8bに着色して表示部9を設ける際には、色と共に模様や文字を付しても良い。
【0037】
ユーザは、開閉部8を閉じる際、第1の表示部9a、第2の表示部9bを見て、雌係合部材8aの位置、雄係合部材8bの位置をそれぞれ把握して特定することが可能になる。よって、本実施形態によれば、実施形態1−1と同様に、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合しやすくなり、開閉部8を簡単且つ迅速に閉じて、包装袋1を速やかに閉塞することが可能となる。
【0038】
<実施形態1−3>
本発明の実施形態1−3に係る包装袋では、実施形態1−2に係る包装袋1において、雌係合部材8aの着色および雄係合部材8bの着色を異ならせる。この構成により、開閉部8の位置を容易に特定しつつ、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bを別個にそれぞれ把握することができるため、実施形態1−2よりも、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合し易くなり、開閉部を簡単且つ迅速に閉じることが可能となるものである。本実施形態に係る包装袋を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、実施形態1−1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
本実施形態では、実施形態1−2と同様に、表示部9は、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bの全体または一部を着色して設けられ、雌係合部材8aの位置の目安となる第1の表示部9aと、雄係合部材8bの位置の目安となる第2の表示部9aと、を有する。本実施形態では、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bは、それぞれ異なる色で着色されている。尚、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bのどちらか一方のみを着色しても良い。また、雌係合部材8aのうち凹部分のみを着色し、雄係合部材8bのうち凸部分のみを着色することが、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bのうち係合すべき箇所を知る上で好ましい。
【0040】
本実施形態によれば、実施形態1−2よりも、開閉部を簡単且つ迅速に閉じて、包装袋を速やかに閉塞することが可能となる。
【0041】
<実施形態1−4>
本発明の実施形態1−4に係る包装袋では、実施形態1−2に係る包装袋1において、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを互いに係合させた場合に、色の表示状態が変化する。このような構成により、開閉部8の位置を特定しつつ、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが係合されたか否かを把握することができるため、実施形態1−2よりも、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合させ易くなり、簡単、迅速且つ確実に開閉部8を閉じることが可能となるものである。本実施形態に係る包装袋を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、実施形態1−1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、実施形態1−2と同様に、表示部9は、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bの全体または一部を着色して設けられ、雌係合部材8aの位置の目安となる第1の表示部9aと、雄係合部材8bの位置の目安となる第2の表示部9aと、を有する。本実施形態では、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに係合すると、表示部9の色の表示状態が変化する。
【0043】
表示部9の色の表示状態の変化の様子について具体例を次に述べる。
【0044】
雌係合部材8aおよび雄係合部材8bを、(i)透過可能(透明)な部材、または、(ii)透過不可(不透明)な部材によってそれぞれ構成し、(α)異なる色、または、(β)同じ色に着色する。ここで「透明」とは、透過率の高低に関わらず、その先に在るものが透けて見えることをいい、例えば、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合したときに、雌係合部材8aを介して雄係合部材8bの存在が視覚によって確認できることをいう。
【0045】
上記(i)および上記(α)の組合せの具体例として、雌係合部材8aを透明な部材によって構成して、雌係合部材8aを白、雄係合部材8bを赤に着色するケースや、雌係合部材8aを黄、雄係合部材8bを青に着色するケースが挙げられる。ここで、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合すると、雄係合部材8bが雌係合部材8aの一部に覆われ、その覆われた部分において、透明な雌係合部材8aの着色と雄係合部材8bの着色とが合わさって見えるため、当該係合した部分の色、つまり、表示部9の色の表示状態が変化する。前者のケースでは、当該係合した部分の色がピンクに変化し、後者のケースでは、当該係合した部分の色が緑に変化する。
【0046】
また、上記(i)および上記(β)の組合せの具体例として、雌係合部材8aを透明な部材によって構成して、雌係合部材8aおよび雄係合部材8bを同じピンクに着色するケースが挙げられる。ここで、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを係合すると、当該係合した部分の色が濃いピンクに変化するため、表示部9の色の表示状態が変化することになる。
【0047】
上記(ii)および上記(α)の組合せの具体例として、雌係合部材8aを不透明な部材によって構成して、雌係合部材8aを白、雄係合部材8bを赤に着色するケースが挙げられる。ここで、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに係合すると、雄係合部材8bが雌係合部材8aの一部に覆われ、雄係合部材8bの着色である赤が見えなくなる。このように、雌係合部材8aと雄係合部材8bとを互いに係合したときに、表示部9の一部が見えなくなることによって、表示部9の色の表示状態を変化させても良い。
【0048】
上述した各例で説明したように、色の表示状態が変化することにより、ユーザは雌係合部材8aと雄係合部材8bとが確実に係合しているか否かを知ることができる。本実施形態によれば、実施形態1−2の効果を享受できるとともに、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが係合されたか否かを把握することが可能となるので、実施形態1−2よりも、開閉部を確実に閉じることが可能となる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2に係る包装袋は、胴部の天面を覆う屋根型形状の頂部を有したものである。このような実施形態1と異なる形状の包装袋についても、包装袋の頂部に表示部を設けることにより、開閉部を簡単且つ迅速に閉じることが可能となる。
【0050】
開封線および開閉部が設けられる位置がそれぞれ異なる包装袋の2つの形態について、次の実施形態2−1および実施形態2−2においてそれぞれ説明する。
図5から
図16に示す実施形態2−1および実施形態2−2に係る包装袋を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
<実施形態2−1>
本発明の実施形態2−1に係る包装袋では、屋根型形状を構成する一対の傾斜面部の一方に開封線を設け、一対の傾斜面部の内周に開閉部を設ける。
【0052】
図5および
図6に本発明の実施形態2−1に係る、開封前の包装袋10および包装体110を示し、
図5は斜視図、
図6(a)は
図5のVIA方向の正面図、
図6(b)は上面図、
図6(c)は底面図をそれぞれ表す。また、
図7に本実施形態に係る、開封後の包装袋10’および包装体110’を示し、
図7(a)は斜視図、
図7(b)は
図7(a)のVIIB方向の正面図、
図7(c)は上面図をそれぞれ表す。
図6(a)および
図7(b)は、説明を容易にするため、包装袋10および包装袋10’の一部を破断している状態をそれぞれ示している(
図6(a)および
図7(b)中、一点鎖線が破断線を表す)。
【0053】
包装袋10は、天面と底面との間の物品(本実施形態においては衛生用品2)を収容する空間を実質的に画成する胴部13と、胴部13の天面を覆う頂部14とを備えて構成される。なお、これらの部分は別体に製造された後に一体化されたものではなく、1枚のシート状部材の折り曲げ等によって予め一体に形成されているものである。
【0054】
本実施形態の包装袋10の胴部13は、包装袋10の底面部(
図6(c)を参照)と略垂直な4つの側面部を有する。
図6(b)に示すように、包装袋10の天面側からみた場合の包装袋10の上面の形状は略長方形である。
【0055】
頂部14には、一対の傾斜面部15とこれらに挟まれるように立ち上がり部16とが設けられる。一対の傾斜面部15の一方には、
図6(a)に示すように、
図6(b)に示す略長方形の長辺と略平行に開封線17が設けられ、これを破断することで、包装袋10が開封され、包装袋10の開口が形成される。
【0056】
図8は
図6(a)のVIII−VIII方向の断面を表した模式図である。この断面は、包装袋10の頂部14を、開封線17を含めるように破断したときに形成される開口を簡略的に示したものである。
図8では開封線17を間欠的にハッチングした部分で表す。本実施形態では、
図8に示すように、開封線17は、胴部13の底面部に略平行であって、一対の傾斜面部15の一方の面と、頂部14のうち側面部の上方に延在する2つの折り込み部分とに形成され、一対の傾斜面部15の他方の面には形成されていないことがわかる。このように形成された開封線17を破断すると、
図7(a)および
図7(b)に示すように、立ち上がり部16が残った状態で、包装袋10に略長方形の開口が形成され、包装袋10が開封される。
【0057】
包装袋10の内側の面のうち頂部14には包装袋10の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部18が設けられる。開閉部18は、実施形態1−1と同様に、例えば、互いに係合することで包装袋の開口を閉塞可能な一対の係合部材で構成されたチャックで構成され、
図5および
図6(b)に示すように、互いに係合可能な雌係合部材18aと雄係合部材18bとで構成される。本実施形態では、開閉部18は、包装袋10の胴部13の底面部と略平行であって、包装袋10の傾斜面部15のうち内側の面に設けられる。本実施形態では、
図7(c)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材18aが形成され、
図7(c)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材18bが形成される。
【0058】
頂部14には開閉部18が設けられた位置の目安となる表示部19が設けられる。本実施形態では、表示部19は、包装袋10の表面に、開閉部18に沿って連続して(途切れなく)設けられ、
図5から
図7中、ハッチングとして示される。具体的には、表示部19は、
図5から
図7に示すように、雌係合部材18aの位置の目安となる第1の表示部19aと、雄係合部材18bの位置の目安となる第2の表示部19bと有する。第1の表示部19aおよび第2の表示部19bは、頂部14の傾斜面部15のうち外周部分にそれぞれ設けられる。本実施形態では、
図7(c)に示す略長方形の上半分の外周部分に第1の表示部19aが設けられ、
図7(c)に示す略長方形の下半分の外周部分に第2の表示部19bが設けられる。尚、本実施形態では、表示部19は、傾斜面部15のうち外周部分に設けられているが、これに限られず、傾斜面部15のうち内周部分に設けられても良い。また、本実施形態では、表示部19は、開閉部18に沿って連続して設けられているが、開閉部18の近傍に設けられても良いし、断続して(間欠的に)設けられても良い。
【0059】
表示部19は、例えば、色、模様(図形、デザインを含む)、文字(記号を含む)またはこれらの結合を含んで構成される。表示部19の構成の詳細は、実施形態1−1に係る表示部9と同様である。
【0060】
図7(b)に示すように、開封後の包装袋10’において、開閉部18は、収容された衛生用品2に対し、胴部13の底面部に垂直な方向において、間隙L’をもって位置するように形成されている。当該間隙L’が設けられることによって、開閉部18のうち雌係合部材18aと雄係合部材18bとが、互いに対峙して容易に係合できる範囲に移動することができるため、包装袋10’を閉塞することが可能となる。
【0061】
図9を用い、本発明の実施形態2に係る包装袋10’を閉塞する様子について説明する。ここで、
図9(a)は、
図6(b)のIXA−IXA方向断面図であって、開封前の包装袋10および包装体110の開閉部18付近を示し、
図9(b)は、
図7(c)のIXB−IXB方向断面図であって、開封後の包装袋10’および包装体110’の開閉部18付近を示す。また、
図9(c)は、開封後かつ閉塞後の包装袋10’および包装体110’の開閉部18付近を示す。さらに、
図10に閉塞後の包装袋10’および包装体110’の斜視図を示す。
【0062】
開封前の包装袋10の開閉部18については、
図6(b)、
図9(a)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、並行して配設されている様子がわかる。開封後の包装袋10’の開閉部18については、
図9(b)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。閉塞する際の開閉部18については、
図9(c)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに係合して包装袋10’を閉塞している様子がわかる。包装袋10’を閉塞すると、包装袋10’は
図10に示すような状態になる。
【0063】
ユーザは、例えば、開封線17を破断して包装袋10の開封後に必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、包装袋10’に収容された残りの衛生用品2を清潔に保つため、開閉部18を閉じて包装袋10’の開口を閉塞する。本実施形態によれば、実施形態1―1と同様に、この開閉部18を閉じる際、ユーザは、第1の表示部19a、第2の表示部19bを見て(または触って)、雌係合部材18aの位置、雄係合部材18bの位置をそれぞれ把握して特定することが可能になる。よって、雌係合部材18aと雄係合部材18bとを係合しやすくなり、開閉部18を簡単且つ迅速に閉じて、包装袋10’を速やかに閉塞することが可能となる。
【0064】
<実施形態2−2>
本発明の実施形態2−2に係る包装袋では、屋根型形状を構成する一対の傾斜面部の双方に開封線を設け、一対の傾斜面部の内周に開閉部を設ける。
【0065】
図11および
図12に本発明の実施形態2−2に係る、開封前の包装袋10および包装体120を示し、
図11は斜視図、
図12(a)は
図11のXIIA方向の正面図、
図12(b)は上面図、
図12(c)は底面図をそれぞれ表す。また、
図13に本実施形態に係る、開封後の包装袋10’および包装体120’を示し、
図13(a)は斜視図、
図13(b)は
図13(a)のXIIIB方向の正面図、
図13(c)は上面図をそれぞれ表す。
図12(a)および
図13(b)は、説明を容易にするため、包装袋10および包装袋10’の一部を破断している状態をそれぞれ示している(
図12(a)および
図13(b)中、一点鎖線が破断線を表す)。
【0066】
本実施形態の包装袋10の胴部13は、包装袋10の底面部(
図12(c)を参照)と略垂直な4つの側面部を有し、
図11に示すように、包装袋10の天面側からみた場合の包装袋10の上面の形状は略長方形である。
【0067】
一対の傾斜面部15には、
図12(a)に示すように、
図12(b)に示す略長方形の長辺と略平行に開封線17が設けられ、これを破断することで、包装袋10が開封され、包装袋10の開口が形成される。
【0068】
図14は
図12(a)のXIV−XIV方向の断面を表した模式図である。この断面は、包装袋10の頂部14を、開封線17を含めるように破断したときに形成される開口を簡略的に示したものである。
図14では開封線17を間欠的にハッチングした部分で表す。本実施形態では、
図14に示すように、開封線17は、胴部13の底面部に略平行であって、一対の傾斜面部15の双方の面と、頂部14のうち側面部の上方に延在する2つの折り込み部分とに形成されていることがわかる。このように形成された開封線17を破断すると、
図13(a)および
図13(b)に示すように、立ち上がり部16が除去され、包装袋10に略長方形の開口が形成され、包装袋10が開封される。
【0069】
包装袋10の内側の面のうち頂部14には、実施形態2−1と同様に、包装袋10の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部18が設けられる。開閉部18は、実施形態2−1と同様に、互いに係合可能な雌係合部材18aと雄係合部材18bとで構成される。本実施形態では、開閉部18は、包装袋10の胴部13の底面部と略平行であって、包装袋10の傾斜面部15のうち内側の面に設けられる。本実施形態では、
図13(c)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材18aが形成され、
図13(c)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材18bが形成される。
【0070】
図13(b)に示すように、開封後の包装袋10’において、開閉部18は、収容された物品(本実施形態においては衛生用品2)に対し、胴部13の底面部に垂直な方向において、間隙L’をもって位置するように形成されている。この構成により、実施形態2−1と同様に、包装袋10’を閉塞することが可能となっている。
【0071】
図15を用い、本発明の実施形態2−2に係る包装袋10’を閉塞する様子について説明する。ここで、
図15(a)は、
図12(b)のXVA−XVA方向断面図であって、開封前の包装袋10および包装体120の開閉部18付近を示し、
図15(b)は、
図13(c)のXVB−XVB方向断面図であって、開封後の包装袋10’および包装体120’の開閉部18付近を示す。また、
図15(c)は、開封後かつ閉塞後の包装袋10’および包装体120’の開閉部18付近を示す。さらに、
図16に閉塞後の包装袋10’および包装体120’の斜視図を示す。
【0072】
開封前の包装袋10の開閉部18については、
図12(b)、
図15(a)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、並行して配設され、開封後の包装袋10’の開閉部18については、
図15(b)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。閉塞する際の開閉部18については、
図15(c)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに係合して包装袋10’を閉塞している様子がわかる。包装袋10’を閉塞すると、包装袋10’は
図16に示すような状態になる。
【0073】
ユーザは、例えば、開封線17を破断して包装袋10の開封後に必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、包装袋10’に収容された残りの衛生用品2を清潔に保つため、開閉部18を閉じて包装袋10’の開口を閉塞する。本実施形態によれば、実施形態2−1と同様に、この開閉部18を閉じる際、ユーザは、第1の表示部19a、第2の表示部19bを見て(または触って)、雌係合部材18aの位置、雄係合部材18bの位置をそれぞれ把握して特定することが可能になる。よって、雌係合部材18aと雄係合部材18bとを係合しやすくなり、開閉部18を簡単且つ迅速に閉じて、包装袋10’を速やかに閉塞することが可能となる。また、本実施形態によれば、開封後に立ち上がり部16が除去されるので、立ち上がり部16が無い分、実施形態2−1より係合部材同士を係合しやすくなり、包装袋10’を速やかに閉塞することが可能となる。
【0074】
<その他>
本発明は、上述した実施形態1および実施形態2や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0075】
例えば、上記各実施形態のみならず、実施形態1−1、実施形態2−1、および実施形態2−2のいずれか1つの形態と、実施形態1−2から実施形態1−4のいずれか1つの形態とを組合せる態様であっても良い。例えば、包装袋の立ち上がり部の外周部分に着色して表示部を設けつつ、開閉部自体を着色して表示部をさらに設けても良い。
【0076】
上述した実施形態1に係る包装袋1から表示部9を除いた包装袋においては、胴部3の底面部に垂直な方向において、頂部4の上端(立ち上がり部6の上端縁)から開閉部8(雌係合部材8aまたは雄係合部材8b)までの距離が20mm未満であることが、包装袋を速やかに閉塞する上で好ましい。これは、通常、ユーザが、係合部材同士を係合する箇所を目測して、その箇所の裏側から指で挟むように押圧して包装袋を閉塞するため、指が容易に届く範囲に係合部材が在ることが望まれるからである。ここで、頂部4の上端から開閉部8までの距離が20mm以上である場合、立ち上がり部6がユーザの指と指の間等に接触して、立ち上がり部6が変形すると共に、立ち上がり部6に形成された係合部材も変形する結果、目測どおりの箇所において係合部材同士を係合しにくくなるケースが考えられる。しかし、表示部9を設けることで、頂部4の上端から開閉部8までの距離が20mm以上の場合に、本発明の効果をより享受することが可能である。何故ならば、本発明では、開閉部8の位置の目安となる表示部9が設けられることにより、係合部材が変形したとしても開閉部8の位置が把握できるため、包装袋を迅速に閉塞することが可能となるためである。これは、上述した実施形態2に係る、開封後の包装袋10’についても同様である。
【0077】
上記各実施形態に係る包装袋では、開閉部が、胴部の底面部と略平行であって、包装袋の頂部の内側の面に形成されているが、これに限られず、開閉部は、胴部の底面部と平行にならないように(例えば、底面部に対して斜めに)設けられても良い。例えば、高さの異なる複数の物品が包装袋にそれぞれ収容されていた場合、この態様の開閉部によって、包装袋を適切に閉塞し、閉塞後の包装袋をコンパクトな形状にすることが可能になる。ここで、上記各実施形態に係る包装袋から表示部を除いた包装袋に、この構成を適用すると、略平行に設けた場合と比較して、開閉部が形成された位置が把握しづらく、開閉部を閉じにくい場合があることが考えられる。しかし、本発明では、開閉部の位置の目安となる表示部が設けられることにより開閉部の位置を把握できるため、平行にならないように開閉部を設けた場合に、包装袋を迅速に閉塞するという効果をより享受することが可能となる。
【0078】
上記各実施形態では、包装袋の頂部の内側の面に、開閉部が1つ設けられているが、これに限られず、胴部の底面部に対して垂直方向に複数設けられても良い。この態様によって、例えば、収容された物品の残量に応じて閉塞する位置を選択することが可能となる。具体的には、包装袋が複数段の物品を収容していた場合、最上段の物品を使い切ったときに、次の段の物品の上端付近において開閉部を閉じることが可能となる。この構成により、包装袋を適切に閉塞しつつ、閉塞後の包装袋をコンパクトな形状にすることが可能となる。ここで、上記各実施形態に係る包装袋から表示部を除いた包装袋に、この構成を適用すると、開閉部が形成された位置が複数在るために別々に把握しづらく、開閉部を閉じにくい場合があることが予想される。しかし、本発明では、開閉部の位置の目安となる表示部が設けられることにより、それぞれの開閉部の位置を把握できるため、開閉部が複数設けられる場合に、包装袋を迅速に閉塞するという効果をより享受することが可能となる。また、異なる開閉部によって表示部を表示分け(例えば、色分け)することで、複数の開閉部の位置を別々に把握することが容易となる。
【0079】
上記各実施形態に係る包装袋は、可搬性を考慮して、実施形態1に係る包装袋の立ち上がり部6の内側(または外側)の面に基端領域が接着された一対の持ち手部を備えたり、実施形態2に係る包装袋の立ち上がり部16に手で持って提げるための穴を形成したりしても良い。ここで、実施形態1に係る包装袋1から表示部9を除いた包装袋に、この構成を適用すると、持ち手部の基端領域が邪魔になって、開閉部8が形成された位置が把握しづらく、開閉部8を閉じにくい場合が考えられる。しかし、本発明では、開閉部8の位置の目安となる表示部9が設けられることにより開閉部8の位置を把握できるため、上記持ち手部を備えた場合に、包装袋1を迅速に閉塞するという効果をより享受することが可能となる。
【0080】
上記各実施形態では、開封線が形成されているが、包装袋を開封可能であるなら、開封線を形成せずに、簡単に破断可能な素材で構成された易破断部を包装袋の頂部付近に設けても良い。また、開封線を形成せずに、両縁を掴んで開封するような包装袋についても本発明は適用可能である。
【0081】
上記各実施形態では、開閉部は、包装袋の開口を閉塞可能な一対の係合部材を有するチャックで構成されているが、これに限られず、例えば、雄係合部材と当該雄係合部材が繰り返し剥離可能に接着できる雌係合部材とで構成される面ファスナーを使用して包装袋の開口を閉塞しても良い。
【0082】
上記各実施形態に係る包装袋は、開閉部のうち一方の係合部材と他方の係合部材とが、向かい合うように、包装袋の内側に設けられているが、これに限られず、開閉部を閉じ易いという本発明の所期の目的を達成し得るのであれば、開閉部を、互いに背向するように包装袋の外側に形成してもよい。
【0083】
上記各実施形態に係る包装袋には、立ち上がり部が形成されているが、立ち上がり部を形成しない形態であっても良い。これにより、包装袋全体をコンパクトな形状にすることが可能となる。