【実施例】
【0071】
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
【0072】
(1)ポリマー中のリン元素量の定量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
(2)ポリマー中の銅元素量及びアルカリ金属元素量の定量
原子吸光法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
【0073】
(3)ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
【0074】
(4)ポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基量
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice, F.Huizinga, Anal.Chem.Acta, 22 363 (1960)) 。
【0075】
(5)溶融耐熱性(耐熱性の評価)
150℃で12時間乾燥したペレット状のポリエステル樹脂組成物を、窒素雰囲気下、300℃で60分加熱処理した。この処理前後のIV及びCOOH末端基量を測定し、耐熱性評価を実施した。
ΔCOOH =|COOH末端基量(処理後)−COOH末端基量(処理前)|
ΔCOOHが低いほど、耐熱性が良好である。
【0076】
(6)耐酸化分解性
150℃で12時間乾燥したペレット状のポリエステル樹脂組成物を、空気雰囲気下、200℃で24時間熱処理した。この処理前後のIV及びCOOH末端基量を測定し、耐熱性評価を実施した。
ΔCOOH =|COOH末端基量(処理後)−COOH末端基量(処理前)|
ΔIV = |IV(処理後)−IV(処理前)
|
ΔCOOH及びΔIVが低いほど、耐酸化分解性が良好である。
【0077】
(7)耐加水分解性
ペレット状のポリエステル樹脂組成物を155℃、100%RHで4時間処理し、処理前後のCOOH末端基量を測定した。処理後のCOOH末端基量が低いほど、耐加水分解性が良好である。なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製)。
【0078】
(実施例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
【0079】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0080】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
【0081】
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0082】
(実施例2〜6)
よう化銅(I)の量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
【0083】
実施例2〜6で得られた樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0084】
【表1】
【0085】
(比較例1)
よう化銅(I)を加えなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
【0086】
比較例1で得られた樹脂組成物は、よう化銅(I)を加えていなかったため、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも不十分であった。
【0087】
(比較例2)
使用するリン化合物をリン酸二水素ナトリウム(3.7mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
【0088】
比較例2で得られた樹脂組成物は、アルカリ金属元素のモル量とリン元素のモル量の比であるM/Pが1.0を超えていたために、耐加水分解性が不十分であった。
【0089】
(比較例3)
使用するリン化合物をリン酸(3.7mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
【0090】
比較例3で得られた樹脂組成物は、アルカリ金属元素を含まず、アルカリ金属元素のモル量とリン元素のモル量の比であるM/Pが0であったため、溶融耐熱性と耐加水分解性が不十分であった。
【0091】
(比較例4)
リン酸の添加量を0.044重量部(4.5mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
【0092】
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物はリンの含有量が5.0mol/tを超えたため、重合遅延が起こり、初期カルボキシル末端基量が高くなった。その結果、耐加水分解性が不十分なポリエステル樹脂組成物が得られた。
【0093】
(比較例5)
リン酸二水素ナトリウムの添加量を0.019重量部(1.2mol/t相当)に、リン酸の添加量を0.005重量部(0.5mol/t相当)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
【0094】
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物はリンの含有量が1.5mol/tを下回ったため、溶融耐熱性および耐加水分解性が不十分であった。
【0095】
比較例1〜5にて得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
(実施例7)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
【0098】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0099】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
【0100】
実施例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0101】
(実施例8〜12)
酢酸銅(II)一水和物の量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
【0102】
実施例8〜12で得られた樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0103】
(実施例13)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0104】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.033重量部(3.4mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.0047重量部(0.3mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0105】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
【0106】
実施例13で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0107】
(実施例14)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0108】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.027重量部(2.8mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.014重量部(0.9mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0109】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
【0110】
実施例14で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0111】
(実施例15)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0112】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.013重量部(1.3mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.0375重量部(2.4mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0113】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
【0114】
実施例15で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0115】
【表3】
【0116】
(実施例16〜25)
銅化合物を表4のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
【0117】
実施例16〜25で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0118】
【表4】
【0119】
(実施例26〜34)
銅化合物を表5のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表5に示す。
【0120】
実施例26〜34で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0121】
【表5】
【0122】
(実施例35)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0123】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素リチウム0.018重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0124】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0125】
実施例35で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0126】
(実施例36)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例35と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0127】
実施例36で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0128】
(実施例37)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0129】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素カリウム0.023重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0130】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0131】
実施例37で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0132】
(実施例38)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例37と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0133】
実施例38で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0134】
(実施例39)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0135】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.027重量部(2.7mol/t相当)/リン酸水素二ナトリウム0.014重量部(1.0mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0136】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0137】
実施例39で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0138】
(実施例40)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例39と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0139】
実施例40で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0140】
(実施例41)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0141】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、酢酸リチウム二水和物0.017重量部(1.7mol/t相当)を添加し、5分撹拌後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸トリメチル0.024重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0142】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0143】
実施例41で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0144】
(実施例42)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0145】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸トリメチル0.028重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0146】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例42で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0147】
(実施例43)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0148】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル0.071重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0149】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
【0150】
実施例43で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0151】
【表6】
【0152】
(比較例6)
テレフタル酸ジメチル101.0重量部、エチレングリコール69.2重量部(ジカルボン酸成分の2.1倍モル)、酢酸マンガン4水和物を0.058重量部、三酸化二アンチモンを0.038重量部を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
【0153】
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.033重量部を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
【0154】
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応系内を窒素ガスにて一度常圧にし、酢酸銅(II)一水和物0.01重量部(0.5mol/t相当)とヨウ化カリウム0.1重量部(6.0mol/t相当)を添加した。その後再度真空へ減圧し、固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0155】
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物はM/Pが1.0を越えており、耐加水分解性が不十分であった。さらに、実施例7と比較して、溶融耐熱性と耐酸化分解性の悪化が見られた。
【0156】
(比較例7)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0157】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.02重量部(1.0mol/t相当)、ヨウ化カリウム0.015重量部(0.9mol/t相当)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.005重量部(0.5mol/t相当)をそれぞれ添加し、重合装置に移送した。
【0158】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0159】
比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、M/Pが1.0を超えており、リン元素残存量が少なかったため、溶融耐熱性および耐加水分解性が不十分であり、実施例7と比較すると耐酸化分解性の低下が見られた。
【0160】
(比較例8)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0161】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸マンガン(II)四水和物0.06重量部(2.4mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0162】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0163】
比較例8で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅を含んでおらず、溶融耐熱性および耐酸化分解性が不十分であった。
【0164】
(実施例44)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0165】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0166】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.55相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
【0167】
その後、得られたポリエステル樹脂組成物を150℃で4時間乾燥、結晶化させたのち、チップ温度230℃、真空度0.3Torr以下で12時間固相重合を行い、固有粘度0.75のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0168】
実施例44で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0169】
(実施例45)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
【0170】
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
【0171】
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.55相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
【0172】
その後、得られたポリエステル樹脂組成物を150℃で4時間乾燥、結晶化させたのち、チップ温度230℃、真空度0.3Torr以下で12時間固相重合を行い、固有粘度0.82のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0173】
実施例45で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0174】
(実施例46)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例44と同様の方法で、固有粘度0.75のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0175】
実施例46で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0176】
(実施例47)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例45と同様の方法で、固有粘度0.82のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
【0177】
実施例47で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0178】
【表7】
【0179】
(実施例48)
テレフタル酸ジメチル96.0重量部、イソフタル酸ジメチル5.0重量部、エチレングリコール61.4重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム0.06重量部(2.8mol/t相当)、三酸化二アンチモンを0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
【0180】
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
【0181】
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PET/I)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0182】
実施例48で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0183】
(実施例49)
テレフタル酸ジメチル94.8重量部、ナフタレンジカルボン酸ジメチル6.3重量部、エチレングリコール61.4重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム0.06重量部(2.8mol/t相当)、三酸化二アンチモンを0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
【0184】
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
【0185】
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PET/N)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0186】
実施例49で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0187】
(実施例50)
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール51.2重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を180℃で溶解した後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.05重量部(2.0mol/t相当)、三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)を添加した。撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分撹拌後エステル交換反応を終了した。
【0188】
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0189】
実施例50で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0190】
(実施例51)
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール51.2重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を180℃で溶解した後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.05重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加した。撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分撹拌後エステル交換反応を終了した。
【0191】
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0192】
実施例51で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0193】
(実施例52)
リン酸二水素ナトリウム(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例50と同様の方法でポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。
【0194】
実施例52で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0195】
(実施例53)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例51と同様の方法でポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0196】
実施例53で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
【0197】
(比較例9)
銅化合物を添加しない以外は、実施例50と同様にしてポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0198】
比較例9で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅を含んでいないため溶融耐熱性が不十分であった。また耐酸化分解性と耐加水分解性も実施例50と比べて劣っていた。
【0199】
(比較例10)
リン酸二水素ナトリウム二水和物を添加せず、リン酸の添加量を3.7mol/tに変更した以外はは、実施例50と同様にしてポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
【0200】
比較例10で得られたポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属を含んでおらず、M/P=0であったため、耐加水分解性が不十分であり、実施例50と比べて溶融耐熱性が悪化した。
【0201】
【表8】