(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像アセンブリは、眼の虹彩角膜環状領域の一部における少なくとも一つのサブ領域から到来する少なくとも一本の撮像光ビームを受けるために、少なくとも一つの像検出器を備えている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学機器。
前記撮像アセンブリと電気的に接続されており、画像を処理し、前記虹彩角膜環状領域の少なくとも一箇所における虹彩角膜角の大きさの測定と前記虹彩角膜環状領域の評価の少なくとも一方を行なうように構成されている電子処理ユニットを備えている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の光学機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、隅角鏡検査法の改善である。
【0006】
改善によって、より多くの眼科医と検眼医、あるいは熟練度の低い者により隅角鏡検査法が利用される。よって、例えば緑内障のより良質で迅速な診断が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の背後にある基本的な思想は、眼の虹彩角膜環状領域を照明する照明光ビームのための複数の照明光路を用い、眼に装用されたレンズを動かすことなく、少なくとも一つの撮像光ビームのための対応する複数の撮像光路から当該領域の複数の像を取得することにある。
【0008】
当該像は、同時に取得されてもよいし、異なるタイミングで(すなわち、短時間内に続けて一つの像の直後に別の像が)取得されてもよい。
【0009】
本発明は、本開示の一部と見なされるべき添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0010】
本発明の第一の、そして主要な態様は、眼の虹彩角膜環状領域の少なくとも一部を観察するための光学機器であって、
眼の虹彩角膜環状領域の少なくとも一部を照明するために、当該一部に含まれる複数のサブ領域のうち対応するものへ向かう少なくとも一つの照明光ビームのための複数の照明光路を有している照明アセンブリと、
眼の虹彩角膜環状領域の少なくとも一部の像を取得するために、当該一部に含まれる複数のサブ領域のうち対応するものから到来する少なくとも一つの撮像光ビームのための複数の撮像光路を有している撮像アセンブリと、
眼の前面に近い側に配置されるように構成された前面と当該前面から遠い側に配置されるように構成された後面を有しており、当該前面と当該後面の間に配置されている中央部と、当該中央部の周囲に配置されている側部を備えているフロント光学アセンブリと、
を備えており、
前記フロント光学アセンブリは不動であり、
全ての前記撮像光路は、前記前面と前記後面の間において前記中央部を通過しており、
前記側部は、前記中央部を包囲して全ての前記撮像光路に沿って光を反射する反射エレメントを備えている。
よって、使用時においては、少なくとも撮像アセンブリは、観察対象の眼から離れて配置される。
【0011】
ある程度拡散された(すなわち異なる複数の方向から到来する)弱い自然光では眼の虹彩角膜環状領域について所望の観察ができない。特許文献1に記載されたものを含む全ての隅角鏡レンズは、自然光を使用する。
【0012】
本発明においては、眼の虹彩角膜領域を照明する(人工的な)光ビームが、眼軸に対して高い傾角(好ましくは45°を超える)で眼に入射する。この点が特許文献2による教示と大きく異なる。
【0013】
本発明に係る第二の態様は、眼の虹彩角膜領域の少なくとも一箇所において虹彩角膜角の大きさを特定する方法であって、
前記虹彩角膜領域の前記少なくとも一箇所を所定の照明パターンを有する照明光ビームで照明し、
前記照明光ビームは、前記眼の角膜と虹彩を部分的に覆う被照明パターンを形成し、
前記被照明パターンを含む前記虹彩角膜領域の前記少なくとも一箇所の像を取得し、
前記照明パターンと前記被照明パターンの間のパターン変形を測定し、
前記パターン変形に基づいて、虹彩角膜角の大きさを演算する。
【0014】
本発明に係る第三の態様は、眼の虹彩角膜領域の少なくとも一箇所において虹彩角膜角の大きさを評価する方法であって、
前記虹彩角膜領域の前記少なくとも一箇所を所定の横断面形状を有する照明光ビームで照明し、
前記照明光ビームは、前記眼の角膜と虹彩を部分的に覆う被照明パターンを形成し、
前記被照明パターンを含む前記虹彩角膜領域の前記少なくとも一箇所の像を取得し、
前記照明パターンと前記被照明パターンに基づいて、取得された前記虹彩角膜領域の像を処理する。
【0015】
必須ではないものの、上記の両方法は、前述の光学機器によって非常に効果的に遂行されるのに適している。
【0016】
なお、本発明によれば、眼の虹彩角膜領域の観察は、人工的な照明光のみによってなされる。当該照明光は、まず虹彩角膜領域の組織によって後方散乱されてから検出に供される。すなわち、監察結果は、複数の(二次元可視)像からなる。よって、本技術は、例えばOCT(光干渉断層法)と混同されるべきではない。OCTは、干渉分光法に基づく三次元撮像技術である(特許文献3を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
【0020】
以降の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって定められる。
【0021】
明細書を通じて用いられる「一実施形態」という語は、開示対象の実施形態の少なくとも一つに含まれる特定の特徴、構造、あるいは特性を意味する。よって、明細書を通じて様々な箇所に現れる「一実施形態における」という表現は、必ずしも同じ実施形態を参照することを要しない。また、特定の特徴、構造、あるいは特性は、少なくとも一つの実施形態において適当な手法により組み合わせられうる。
【0022】
図1Aと
図1Bにおいて、符号100は眼を、符号101はその虹彩角膜環状領域を示している。
図1Aにおいては、虹彩角膜環状領域101の左側部は虹彩によって定められ、右側部は角膜によって定められ、中間側部は小柱網と隣接組織102によって定められる。
【0023】
本発明に係る光学機器は、眼における虹彩角膜環状領域の少なくとも一部を観察するように構成されている。当該機器の好ましい実施形態は、環状領域(すなわち
図1Bにおいて偏角360°を有する環状の領域)の全体を観察できる。当該機器の別実施形態は、例えば偏角180°、120°、あるいは90°を有する領域を観察できる。
【0024】
虹彩角膜領域における子柱網と隣接組織の状態は、緑内障の診断において非常に重要である。
【0025】
図1Bに示される360°にわたる虹彩角膜領域は、複数のサブ領域103に分割される。具体例として、虹彩角膜領域は、偏角45°を有する8個のサブ領域103に分割される。なお、別実施形態においては、サブ領域の数が異なりうる。例えば、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、あるいは24個でもよく、36個までのより大きな数でもよい。
【0026】
以降の説明においては、簡潔性を優先し、照明光ビームの照明光路はサブ領域の中央を終点とし、当該照明光ビームによって少なくとも一つのサブ領域全体が照明されるとする。また、結像光ビームの結像光路は、サブ領域の中央を始点とし、当該結像光ビームによって少なくとも一つのサブ領域全体の像情報が伝達される。
【0027】
図2、
図3、
図4、および
図5は、本発明に係る光学機器の四つの実施形態を示している。
図2に示される第一実施形態を詳細に説明し、第一実施形態と類似する残りの三つの実施形態については、より簡単に説明する。
図1において眼を示している符号100は、
図2、
図3、
図4、
図5においても同様に用いられる。いずれの図においても、虹彩角膜環状領域は8個のサブ領域に分割されるとするが、前述のように、本発明に係るサブ領域の数は、変更されうる。
【0028】
ある程度拡散された(すなわち異なる複数の方向から到来する)弱い自然光では、眼の虹彩角膜環状領域について所望の観察を行なうことができない。特許文献1に記載されたものを含む全ての隅角鏡レンズは、自然光を使用する。
【0029】
本発明においては、眼の虹彩角膜領域を照明する(人工的な)光ビームが、眼軸に対して高い傾角(好ましくは45°を超える)で眼に入射する。
【0030】
図2の機器は、眼の虹彩角膜環状領域全体を観察するのに適している。当該機器は、照明アセンブリを備えている。照明アセンブリは、例えば8個の照明電気(電子)装置(
図2においては第一装置201Aと第二装置201Bのみが示されている)からなる。当該機器は、撮像アセンブリを備えている。撮像アセンブリは、例えば8個の撮像電気(電子)装置(
図2においては第一装置202Aと第二装置202Bのみが示されている)からなる。各撮像装置202は、光センサ212を有している。光センサ212は、例えば256×256個の光検出器のマトリクスからなる。また、当該機器は、フロント光学アセンブリ203を備えている。
【0031】
全ての照明装置201と全ての撮像装置202は、同時に動作する。したがって、「ステッチング」すなわち直線あるいは円に沿って配置された撮像装置による8枚の画像を電子的に結合することにより、眼の角膜虹彩環状領域全体のパノラマ画像(矩形状あるいは環状の画像)が非常に短時間に取得されうる。
【0032】
図2において、撮像装置202における複数の光センサ212は、独立したセンサとして示されている。しかしながら、それらは、例えば4096×4096個の光検出器のマトリクスからなる大きな光センサにおける複数の部分で代えられうる。
【0033】
各照明装置は、個別の照明光路に対応付けられている。照明光路は、眼の角膜虹彩領域における対応するサブ領域(例えば
図1における要素103)を終点としている。例えば、装置201Aは光路251Aに対応付けられており、装置201Bは光路251Bに対応付けられている。
【0034】
各撮像装置は、個別の撮像光路に対応付けられている。撮像光路は、眼の角膜虹彩領域における対応するサブ領域(例えば
図1における要素103)を始点としている。例えば、装置202Aは光路252Aに対応付けられており、装置202Bは光路252Bに対応付けられている。
【0035】
フロント光学アセンブリ203は、前面204を備えている。前面204は、眼100の前面の近くに(眼100の前面から短い距離に)配置されるように構成されている。フロント光学アセンブリ203は、後面205を備えている。後面205は、眼100の前面から離れて(眼100の前面から長い距離に)配置されるように構成されている。光学アセンブリが眼に装着される前に、粘性光学結合剤(眼科用ゲルなど)が光学アセンブリの前面と角膜の外面の少なくとも一方に添加される。好適な実施例としては、上述したアセンブリの前面と眼の前面の間の「短い距離」は、0.5mm〜2.5mmの範囲であり、好ましくは1.0mm〜2.0mmの範囲である。より短い距離やより長い距離は避けられることが好ましく、特に当該アセンブリと眼の接触は避けられることが好ましい。上述した「長い距離」は、フロント光学アセンブリの長さに依存し、好ましくは1cm〜4cmの範囲であり、より好ましくは1.5cm〜2.5cmの範囲である。
【0036】
アセンブリ203は、中央部206を備えている。中央部206は、前面204と後面205の間に位置している。アセンブリ203は、側部207を備えている。側部207は、中央部206の周囲に位置し、中央部206を完全に(すなわち360°にわたって)囲んでいる。本実施形態においては、中央部206は、八角錐形状を有する透明なプリズム体である。前面204は、凹面である(凸面である角膜の外面に対応している)。本実施形態においては、側部207は、単一の反射エレメント208からなる。反射エレメント208は、プリズムの側面に隣接しており、中央部206に対向する8個の反射面を有する。なお、本実施形態例においては、反射エレメント208は、プリズムの側面全体を覆ってはいない。別実施形態例においては、反射エレメントは、プリズムの側面全体を覆う。
【0037】
アセンブリ203とその全ての構成要素(
図2の実施形態においては中央部206と側部207)は、不動である。すなわち、眼の虹彩角膜環状領域全体のパノラマ画像は、アセンブリ203を動かすことなく取得されうる。
【0038】
全ての撮像光路(光路252A、252Bなど)は、前面204と後面205の間において中央部206を通過する。反射エレメント208は、全ての撮像光路に沿って光を反射するように構成されている。
【0039】
よって、使用時においては、少なくとも撮像アセンブリ(本実施形態においては撮像装置202)は、観察対象の眼100から離間している。その距離は、好ましくは2.5cmよりも長く、より好ましくは4.0cmよりも長い。
【0040】
なお、光路の数は、虹彩角膜環状領域のサブ領域の数に対応している。
【0041】
図3の実施形態は、
図2の実施形態に類似している。照明電気(電子)装置301は、照明装置201と同一である。フロント光学アセンブリ303における中央部306と側部(反射エレメント308を含む)は、フロント光学アセンブリ203における中央部206と側部207(反射エレメント208を含む)と同一である。
【0042】
図3の実施形態は、一つの光センサ312を有する撮像電気(電子)装置302を一つだけ備えている点が異なる。撮像装置302は、フロント光学アセンブリ303の軸300を中心とする回転Rが可能に構成されている点において、例えば撮像装置202Aと異なる。
【0043】
第一動作状態(
図3A)において、照明装置301Aはアクティブであり、照明光路351A(光路251Aと同一)に対応付けられた照明光ビームを生成する。当該照明光ビームは、眼100の虹彩角膜環状領域における第一サブ領域により後方散乱され、撮像光路352A(光路252Aと同一)に対応付けられた撮像光ビームを形成する。当該撮像光ビームは、センサ312に到達し、像を形成する。
【0044】
撮像装置302が180°回転された第二動作状態(
図3B)においては、照明装置301Bがアクティブであり、照明光路351B(光路251Bと同一)に対応付けられた照明光ビームを生成する。当該照明光ビームは、眼100の虹彩角膜環状領域における第二サブ領域により後方散乱され、撮像光路352B(光路252Bと同一)に対応付けられた撮像光ビームを形成する。当該撮像光ビームは、センサ312に到達し、像を形成する。
【0045】
図3の実施形態においては、撮像装置302が段階的(例えば45°ずつ)回転されることにより、センサ312上に8個の画像が順次形成される。これらの画像は、センサ312から光学機器の内部または外部にある電子処理ユニットへ順次転送される。
【0046】
なお、全ての照明装置301は、観察プロセスの間、常にアクティブな状態を維持されうる。
【0047】
図4の実施形態は、
図2の実施形態に類似している。単一のセンサ412を有する撮像装置402は、撮像装置202とよく似ており、中央部406と側部(反射エレメント408を含む)を有するフロント光学アセンブリ403は、中央部206と側部207(反射エレメント208を含む)を有するフロント光学アセンブリ203とよく似ている。なお、本実施形態例においては、撮像光路452に沿って8個のビームスプリッタ409がある。反射エレメント408は、プリズムの側面全体を覆っているが、必ずしもプリズムの側面全体を覆っていなくてもよい。
【0048】
図4の実施形態は、照明アセンブリが観察対象の眼100から離れて(好ましくは2.5cmを超え、より好ましくは4.0cmを超えて)配置された8個の照明電気(電子)装置401を備えている点が異なる。各照明装置401は、一つの発光器411を備えている。8個の発光装置401は、8個の照明光路451に対応付けられた8個の照明光ビームを生成する。全ての光路451において、ビームスプリッタ409による第一の反射光と反射エレメント408による第二の反射光が存在する。全ての光路451は、フロント光学アセンブリ403の前面と後面の間において中央部406を通過する。眼100の虹彩角膜環状領域を始点とする撮像光ビームは、光センサ412に至る。全ての撮像光路452は、フロント光学アセンブリ403の前面と後面の間において中央部406を通過し、ビームスプリッタ409を通過する。全ての光路452において、反射エレメント408による反射光が存在する。よって、ビームスプリッタ409と反射エレメント403の間に位置する部分453と、反射エレメント408と眼100の間に位置する部分454において、光路451と光路452は一致する。
【0049】
図5の実施形態は、照明光路と撮像光路に関して
図4の実施形態に類似している。中央部506と側部(反射エレメント508を含む)を有するフロント光学アセンブリ503は、中央部406と側部(反射エレメント408を含む)を有するフロント光学アセンブリ403と同一である。
【0050】
図5の実施形態は、単一の発光器511を備えた照明電気(電子)装置501を一つだけ備えている点、単一の光センサ512を備えた撮像電気(電子)装置502を一つだけ備えている点、およびビームスプリッタ509を一つだけ備えている点が異なる。
【0051】
照明装置501は、例えば照明装置401Aと同一である。撮像装置502は、例えば撮像装置501Aと同一である。ビームスプリッタ509は、例えばビームスプリッタ409Aと同一である。照明装置501、撮像装置502、およびビームスプリッタ509は、単一の照明・撮像アセンブリを構成している。当該照明・撮像アセンブリは、フロント光学アセンブリ503の軸500を中心とした回転動作Rが可能に構成されている。
【0052】
符号Aが付された
図5の上部に示される第一動作状態においては、眼100の虹彩角膜環状領域における第一のサブ領域の照明と撮像が可能とされる。
【0053】
符号Bが付された
図5の下部に示される第二動作状態においては、眼100の虹彩角膜環状領域における第二のサブ領域の照明と撮像が可能とされる。
【0054】
図5の実施形態においては、照明・撮像アセンブリが段階的に(例えば45°ずつ)回転されることにより、センサ512上に8個の画像が順次形成される。これらの画像は、センサ512から光学機器の内部または外部にある電子処理ユニットへ順次転送される。
【0055】
図2、
図3、
図4、および
図5に示された機器に加え、
図6に示されるように、一つだけの不動フロント光学アセンブリと一つだけの撮像素子を備えている機器を通じても、眼の虹彩角膜環状領域の全体を観察できる。当該撮像素子は、例えば256×256個のマトリクスからなる比較的小さな光センサを含んでいる。
【0056】
図6の機器は、単一の発光器611を備えた単一の不動照明電気(電子)装置601、単一の光センサ612を備えた単一の不動撮像電気(電子)装置602、中央部606と側部(反射エレメント608を含む)単一の不動フロント光学アセンブリ603、および単一の不動ビームスプリッタ609に加え、リア光学アセンブリ610を備えている。
【0057】
本実施形態においては、リア光学アセンブリ610は相違する二つの機能を有している。一方は照明装置601から到来する照明光ビームを回転させる機能であり、他方は眼100から到来して撮像素子602へ向かう撮像光ビームを回転させる機能である。どちらの回転もフロント光学アセンブリ603の対称軸600を中心として行なわれる。
【0058】
その構成要素の幾つかがフロント光学アセンブリ603の対称軸を中心とする回転動作Rを行なうように回転可能に構成されているため、リア光学アセンブリ610は、ロータリー式であると言える。本実施形態においては、中央ミラー621と側方ミラー622が存在する。両ミラーは、フロント光学アセンブリ603の対称軸600を中心として、段階的に(例えば45°ずつ)回転することにより、センサ612上に8個の画像が順次形成される。これらの画像は、センサ612から光学機器の内部または外部にある電子処理ユニットへ順次転送される。これにより、眼100と中央ミラー621の間、および反射エレメント608と側方ミラー622の間において、照明光ビームと撮像光ビームがフロント光学アセンブリ603の対称軸600を中心として回転される。
【0059】
図3、
図5、および
図6に示される実施形態においては、機器(具体的には、照明アセンブリ、撮像アセンブリ、およびリア光学アセンブリ)における少なくとも一つの構成要素が段階的に回転される。すなわち、照明光路と撮像光路の少なくとも一方の数は有限である(本実施形態においては8本)。
【0060】
あるいは、機器(具体的には、照明アセンブリ、撮像アセンブリ、およびリア光学アセンブリ)における少なくとも一つの構成要素は、連続的に回転される。すなわち、照明光路と撮像光路の少なくとも一方の数は無限である。
【0061】
連続的に回転される場合、撮像アセンブリは、ビデオカメラのように像を繰り返し(通常は周期的に)取得するように構成されうる。
【0062】
連続的に回転される場合、照明アセンブリは、連続的に光ビームを出射するように構成されてもよいし、断続的に(例えば周期的に)光ビームを出射するように構成されてもよい。
【0063】
連続的に回転される場合、フロント光学アセンブリの反射エレメントは、円筒体あるいは円錐体の側面のような形状の反射面を有する。段階的に回転される場合、当該反射エレメントは、角柱体あるいは角錐体の側面のような形状の反射面を有する。
【0064】
本発明に係る光学機器は、電子処理ユニット(いずれの図面においても不図示)を備えることが普通である。当該ユニットは、当該機器を制御するように構成される。具体的には、当該ユニットは、撮像アセンブリにおける少なくとも一つのセンサと電気的に接続され、取得された像を処理するように構成される。画像処理は、完全に自動化されてもよいし、部分的に自動化(すなわち、オペレータとのやり取りを伴う)されてもよい。
【0065】
図7は、本発明に係る光学機器の一実施形態を他の図面よりも幾分詳細に示している。
【0066】
図7の実施形態は、
図6の実施形態に類似しており、不動のフロント光学アセンブリ703、回転するリア光学アセンブリ705、不動の撮像電気(電子)装置702、および不動の照明アセンブリ701を備えている。
【0067】
加えて、当該実施形態は、エイミングアセンブリ704を備えている。当該実施形態は、中空ミラー706とビームスプリッタ707を備えている点が異なる。
【0068】
図7の機器の構成要素は、以下の通りである。
703:フロント光学アセンブリ(反射エレメント723を有するプリズム713、および環状のフレーム733を備えており、光軸には符号700が付されている)
705:回転するリア光学アセンブリ(回転する中央ミラー715、および回転する側方ミラー725を備えている)
706:中空ミラー
707:ビームスプリッタ
702:撮像アセンブリ(光センサ712、および可変焦点レンズなどの集光光学系722を備えている)
701:照明アセンブリ(照明光ビーム出射器711、スリットなどの光ビーム成形光学系721を備えている)
704:エイミングアセンブリ(エイミング光ビーム出射器714を備えている)
708:固定ターゲット(すなわち検査中に患者の眼がほぼ固定された状態を保つための光出射器:照明光ビームによって眼が動いてしまう場合があるため)
【0069】
図7の実施形態においては、照明アセンブリ701は、所定の、あるいは選択可能な照明パターンを眼の虹彩角膜環状領域におけるサブ領域上に形成するために、所定の、あるいは選択可能な断面形状を有する照明光ビームを出射するように構成されている。一般に、当該断面形状は、形状が一定あるいは可変のスリット、または可変回折光学系によって得られうる。本実施形態においては、単一のスリット721が設けられている。
【0070】
図7の実施形態においては、撮像アセンブリ702は、異なる焦点面で眼の虹彩角膜環状領域のサブ領域に集光できるように構成されている。当該動作は、集光光学系722によって行なわれる。
【0071】
図7の実施形態においては、フロント光学アセンブリ703は、交換可能であり、環状フレーム733が一体型のバヨネットマウントを備えていることが好ましい。
【0072】
図7の実施形態においては、サージカルレーザシステムのエイミングアセンブリ704は、光出射器714によって生成されるエイミング光ビームを眼に向かって出射するように構成されている。この場合、フロント光学アセンブリ703とリア光学アセンブリ705の双方は、当該エイミング光ビームを伝達するように構成されている。
【0073】
図7の実施形態においては、フロント光学アセンブリ703の軸700と同軸に固定ターゲット708が設けられている。なお、
図7は機器を簡略化して示すブロック図であるため、実際の機器においては他の構成要素が存在しうる(少なくとも一つの場所に設けられた少なくとも一つのレンズや光学系など)。
【0074】
前述のように、本発明に係る機器によって取得された像は、電子処理ユニットによって処理されうる。
【0075】
一般化して述べると、本発明においては、眼の虹彩角膜領域における少なくとも一箇所の虹彩角膜角が(観察されるだけでなく)以下のステップを通じて評価されうる。
・前記少なくとも一箇所の虹彩角膜領域を、所定の横断面形状(一定)を有する照明光ビームで照明する(例えば
図10における形状1200、1300、1400を参照)。当該照明光ビームは、眼の角膜(例えば
図10における領域1020)と虹彩(例えば
図10における領域1030)を各々部分的に覆う被照明パターン(一定)を形成する。
・上記の被照明パターンを含む前記少なくとも一箇所の虹彩角膜領域の像を取得する。
・取得された虹彩角膜領域の像を、上記の照明パターン(例えば
図10における形状1100)と上記の被照明パターン(例えば
図10における形状1200、1300、1400)に基づいて処理する。
【0076】
具体的には、例えば照明パターン(例えば1100)の形状(外側と内側の少なくとも一方)と被照明パターン(例えば1200、1300、1400)の形状(外側と内側の少なくとも一方)を比較することにより、小柱網と隣接組織の少なくとも一方の形態を判断できる。
【0077】
本発明に係る機器は眼の虹彩角膜領域全体の像(複数の像の組合せ)を取得可能であるため、上記の評価は、角膜の全周に亘って遂行されうる。
【0078】
図10Aは、照明パターン1100の一例を示している。
図10Bは、正常な虹彩角膜角の場合における被照明パターン1200の一例を示している(比較のために照明パターン1100を破線で示す)。
図10Cは、正常時よりも虹彩角膜角が開いた場合における被照明パターン1300の一例を示している(比較のために照明パターン1100を破線で示す)。
図10Dは、正常時よりも虹彩角膜角が閉じた場合における被照明パターン1400の一例を示している(比較のために照明パターン1100を破線で示す)。
【0079】
図10B、
図10C、および
図10Dにおいて、被照明パターンは、眼の角膜と虹彩の一部だけでなく、小柱網を覆っている。領域1020は、角膜の一部に対応している。領域1030は、虹彩の一部に対応している。領域1010は、小柱網の一部に対応している。これらは、例えば本発明に係る光学機器によって取得される像に現れうる。
【0080】
図10B、
図10C、および
図10Dから明らかなように、被照明パターンの端部の形状および寸法(幅や長さなど)は、照明パターンの端部の形状および寸法とは異なり、虹彩角膜角の大きさに対応している。すなわち、角度が狭い場合は寸法が小さく、角度が正常の場合は寸法が中程度であり、角度が広い場合は寸法が大きい。このようになされる照明パターンの端部の変形は、虹彩角膜角の大きさに応じて端部のフォーカス度が増減するという事実に依拠している(
図10B、
図10C、および
図10Dにおいては、小柱網に焦点が合っているとする)。
【0081】
本発明に係る光学機器の電子処理ユニットは、上記のような評価と判断を遂行するように構成されている。
【0082】
本発明に係る光学機器の電子処理ユニットは、眼の小柱網と隣接組織を含む虹彩角膜領域(全体)の可視化も遂行するように構成されることが一般的である。
【0083】
図8は、第一の例として、本発明に係る光学機器によって遂行される検査における「極座標系表示」を示している。例えば、環状領域802は、眼の虹彩角膜環状領域全体のパノラマ環状画像を含みうる(当該環状画像は、円に沿う複数の画像を「繋ぎ合わせる」などして取得される)。環状領域804は、虹彩角膜角の大きさの極座標プロットを含みうる。一般に、環状画像と極座標プロットは整列配置される。あるいは、環状領域802がプロットを含み、環状領域804が画像を含みうる。
【0084】
図9は、第二の例として、本発明に係る光学機器によって遂行される検査における「デカルト座標系表示」を示している。例えば、矩形状領域902は、眼の虹彩角膜環状領域全体のパノラマ線状画像を含みうる(当該環状画像は、線に沿う複数の画像を「繋ぎ合わせる」などして取得される)。矩形状領域904は、虹彩角膜角の大きさのデカルト座標プロットを含みうる。一般に、環状画像と極座標プロットは整列配置される。あるいは、環状領域902がプロットを含み、環状領域904が画像を含みうる。