(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置として、例えば道路脇等に立設されたポールに取り付けられて道路を照明する道路灯がある。この道路灯では、光源として例えばLED等を用いて薄形化が進んでいる。
【0003】
また、照明装置によるグレアの防止のために、道路脇の方向等の所定の遮光方向へ向かう光を遮光しなければならない場合がある。このような場合、一般的には、照明装置の筐体の下面に設けられた光が出射する透光カバーの下側に板状の遮光板を配設している。
【0004】
筐体の外部に配設する遮光板は、高さや形状を任意に設定できるため、遮光効果を任意に設定することが可能であるが、遮光板を含めた照明装置の高さが高くなり、照明装置の薄形化の要望に対応できない。
【0005】
また、筐体内に光源からの光を所定の方向に向けて反射する反射板を配設した照明装置があり、この反射板が所定の遮光方向へ向かう光を遮光する遮光板としても機能している。
【0006】
しかしながら、筐体内に反射板(遮光板)を配設する場合、筐体の薄形化を考慮すると、反射板(遮光板)の十分な高さを確保できないため、遮光方向に対して確実に遮光できない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態を、
図1ないし
図6を参照して説明する。
【0013】
図2および
図3に示すように、照明装置10は、例えば道路灯である。道路灯は、道路脇等に設置されるボールの先端に取り付けられ、道路を照明する。
【0014】
図1ないし
図6に示すように、照明装置10は、筐体11、この筐体11内に配置される光源12、配線カバー13、遮光体14、および図示しない電源ユニットを備えている。なお、電源ユニットは、筐体11内でなく、ポール内に配設してもよい。また、光源12は、
図1に図示するが、他の図では図示を省略している。
【0015】
そして、筐体11は、下側筐体20、上側筐体21、および下側筐体20に取り付けられたポール取付部22を備えている。筐体11は、上下方向(厚さ方向)の寸法が前後方向および幅方向の寸法に比べて小さい薄形に形成されている。
【0016】
下側筐体20の後部と上側筐体21の後部とがヒンジ23によって回動可能に連結されている。これにより、ヒンジ23を中心として上側筐体21が下側筐体20に対して上方に開放移動可能となっている。また、上側筐体21の前端にラッチ部材24が取り付けられ、上側筐体21を下側筐体20に閉じ合わせた状態で、ラッチ部材24が下側筐体20に引っ掛かり、上側筐体21を下側筐体20に閉じ合わせた状態を保持する。ラッチ部材24を操作し、下側筐体20からの引っ掛かりを外すことにより、上側筐体21を開放することができる。下側筐体20と上側筐体21との周辺部間にはパッキングが介在され、筐体11内の防水性が確保されている。
【0017】
下側筐体20は、例えばアルミダイカスト等の金属製で一体に形成されている。
【0018】
下側筐体20には、下側筐体20の前後方向の中間付近から前側領域に略四角形状の開口枠26が形成され、この開口枠26の内側に略四角形状の開口部27が形成されている。開口枠26は、下方へ向けて拡開するように形成されている。開口枠26の上側には開口部27を閉塞する透光カバー28がパッキング29を介して取り付けられている。透光カバー28は、例えば透明なガラス板によって構成されている。
【0019】
下側筐体20上には、下側筐体20の前後方向の中間付近から後側の領域であって、開口部27とポール取付部22との間に、電源ユニットが取り付けられている。
【0020】
上側筐体21は、例えばアルミダイカスト等の金属製で一体に形成されている。
【0021】
上側筐体21の下面には環状の隔壁31が突設されている。上側筐体21を下側筐体20に閉じ合わせた際、隔壁31がパッキングを介して下側筐体20に密着し、隔壁31の内側領域に密閉された空間部が形成される。
【0022】
上側筐体21の隔壁31の内側には、上側筐体21の前後方向の中間付近から前側の領域であって、下側筐体20の開口部27に対向する内面に、複数の光源12をそれぞれ取り付けるための複数の光源取付部32が設けられている。
【0023】
本実施形態では、光源取付部32は、筐体11の左右方向に3列で、中央列には前後方向に2つ、左右列には前後方向に3つ設けられている。さらに、左右列の3つの光源取付部32は前後方向の同じ位置に配列されるが、中央列の2つの光源取付部32は左右列の3つの光源取付部32に対して前後方向にずらした位置に配列されている。
【0024】
光源取付部32は、上側筐体21の内面から突出する台部33、この台部33の表面に設けられ光源12を取り付ける取付面34を有している。台部33の取付面34は、所定の光照射方向へ向けて傾斜されている。所定の光照射方向は、照明装置10の前側方向であり、道路の幅方向中央へ向けた方向である。取付面34の内側には窪み部35が形成されている。
【0025】
光源取付部32の周辺域には配線カバー13および遮光体14をねじ止め固定するための複数のボス36が突設されている。
【0026】
また、
図1に示すように、光源12は、発光モジュール40、および発光モジュール40に組み合わされるレンズ41を備えている。
【0027】
発光モジュール40は、基板42、およびこの基板42の表面に設けられた発光部43を有している。発光モジュール40は、COB(Chip On Board)モジュールによって構成されている。基板42の表面に複数の発光素子としてのLED44が実装され、これらLED44を囲む囲み部45内に蛍光体層46が充填されている。なお、光源12には、パッケージ内にLEDを収納して蛍光体層で封止したSMD(Surface Mount Device)パッケージを用いてもよい。そして、発光モジュール40の基板42は、光源取付部32の窪み部35に配置され、複数のねじによって光源取付部32に締め付け固定されることにより、光源取付部32に熱的に結合されている。また、基板42の表面には図示しないコネクタが実装され、このコネクタと電源ユニットとが電線によって電気的に接続される。
【0028】
レンズ41は、透明な樹脂あるいはガラスによって一体に形成されている。レンズ41は、光源取付部32に取り付けられるフランジ部47、およびこのフランジ部47から突出するレンズ部48を有している。フランジ部47は、光源取付部32の取付面34の周辺部に配置され、光源取付部32にねじ止め固定される。レンズ部48は、フランジ部47から半球形状に突出された凸レンズである。レンズ部48は、左右方向に2つの凸レンズが並ぶように一体に形成されており、このレンズ構成によって照明装置10の左右方向であって、道路の長手方向に沿った方向に光を広げる配光特性を有している。そして、発光モジュール40の発光部43が発光する光をレンズ41に入射し、レンズ41によって所定の配光方向に向けて出射させる。
【0029】
また、
図1および
図4に示すように、配線カバー13は、金属板によって形成されている。配線カバー13は、四角形状で、周辺部に縁部50が折曲形成されている。配線カバー13には、光源12および光源取付部32が挿通する四角形状の挿通開口51が形成されている。そして、配線カバー13は、四隅の挿通孔52をそれぞれ挿通するねじ53が上側筐体21のボス36にそれぞれ螺着されることにより、複数のボス36に固定されている。配線カバー13と上側筐体21の内面との間には配線空間54が形成され、この配線空間54に発光モジュール40と電源ユニットを接続する電線が配線される。すなわち、配線カバー13によって配線空間54を覆っている。
【0030】
また、
図1ないし
図6に示すように、遮光体14は、上側筐体21に取り付けられる取付板60、およびこの取付板60に取り付けられた複数の遮光板61を備えている。取付板60および複数の遮光板61は、それぞれ金属板によって形成されており、表面には光の反射を抑制するために黒色塗装が施されている。
【0031】
取付板60は、四角形状で、周辺部に縁部62が折曲形成されている。取付板60には、複数の光源12および光源取付部32が挿通する四角形状の挿通開口63が形成されている。取付板60の四隅のうち、一方の対角線上に一対の取付孔64が形成され、他方の対角線上に一対の逃し孔65が形成されている。取付孔64は、ねじ53の頭部が挿通可能な大径孔と、ねじ53のねじ軸が挿通可能であるが頭部が挿通不可能な小径孔とを有し、いわゆるだるま孔形状に形成されている。逃し孔65は、ねじ53の頭部が挿通可能で、取付孔64の大径孔と小径孔が並ぶ方向に沿って長い長孔に形成されている。そして、取付板60は、一対の取付孔64を挿通するねじ53で、配線カバー13とともに上側筐体21のボス36に共締め固定されている。
【0032】
遮光板61は、1枚の金属板をプレス成形して所定の形状に形成されている。遮光板61は、取付板60の挿通開口63毎にそれぞれ取り付けられている。遮光板61は、取付部66、この取付部66から略直角に折曲された第1の遮光部67、この第1の遮光部67の先端から取付部66とは反対方向に向けて略直角に折曲された第2の遮光部68、この第2の遮光部68の両側から第1の遮光部67の両側域に略直角に折曲された第3の遮光部69、およびこの第3の遮光部69の縁から第1の遮光部67に沿うように略直角に折曲された折曲部70を備えている。
【0033】
取付部66は、挿通開口63の縁部で取付板60の上面にねじ止めされる。
【0034】
第1の遮光部67は、挿通開口51を通じて下方に突出し、光源12に対して所定の遮光方向の側部から立ち上がるように配置される。所定の遮光方向は、照明装置10の後側方向であって、道路脇方向である。第1の遮光部67が光源12に対して立ち上がる方向は、取付板60の面から垂直でもよいし、光源12側に傾斜していてもよい。第1の遮光部67が光源12に対して立ち上がる高さは、必要な遮光方向への遮光効果に応じて適宜設定される。
【0035】
第2の遮光部68は、下側筐体20の開口部27に対向し、第1の遮光部67の先端(下端)から光源12側に突出する。第2の遮光部68が第1の遮光部67の先端から光源12側に突出する方向は、開口部27と平行でもよいし、先端側(前端側)が下方に傾斜していてもよい。第2の遮光部68が第1の遮光部67の先端から光源12側に突出する突出量は、必要な遮光方向への遮光効果に応じて適宜設定される。
【0036】
第3の遮光部69は、光源12に対して立ち上がり第1の遮光部67および第2の遮光部68の両側に配置される。
【0037】
折曲部70は、第3の遮光部69の縁から第1の遮光部67に沿うように折曲されることにより、第1の遮光部67と第3の遮光部69との間の隙間を閉塞し、光漏れを防止する。
【0038】
また、電源ユニットは、交流電力を入力し、この交流電力を所定の直流電力に変換して各発光モジュール40に供給し、発光部43を発光させる。
【0039】
そして、このように構成された照明装置10において、電源ユニットから発光モジュール40に給電することにより発光部43が発光し、この発光部43からの光をレンズ41に入射するとともにこのレンズ41によって所定の配光方向に向けて出射する。
【0040】
光源12は光源取付部32に所定の照射方向へ向けて傾斜状に取り付けられているため、レンズ41から出射する光は、主に照明装置10の前側方向であって、道路の幅方向中央へ向けた方向に照射される。さらに、レンズ41のレンズ部48は左右方向に2つの凸レンズが並ぶように一体に形成されているため、レンズ41から出射される光は、照明装置10の左右方向であって、道路の長手方向に沿った広い方向にも照射される。
【0041】
レンズ41から出射する光のうち、一部の光は、照明装置10の遮光方向である後側方向に向かう。レンズ41から後側方向へ向かう光は、遮光板61の第1の遮光部67および第2の遮光部68によって遮光するとともに、両側の第3の遮光部69によって遮光する。
【0042】
このとき、筐体11が薄形であるため、筐体11内に配設される第1の遮光部67のみでは遮光できる角度や範囲は限られるが、第1の遮光部67に加えて第2の遮光部68を備えることにより、遮光できる角度や範囲を大きくすることができ、後側方向への遮光を確実にできる。
【0043】
さらに、第1の遮光部67および第2の遮光部68の両側域が開放されていた場合には、その第1の遮光部67および第2の遮光部68の両側域から斜め後側方向に光が漏れてしまうが、第1の遮光部67および第2の遮光部68の両側域に第3の遮光部69を設けていることにより、斜め後側方向への光漏れを確実に防止できる。
【0044】
また、遮光体14は、取付板60に複数の光源12がそれぞれ挿通する複数の挿通開口63を設け、これら複数の挿通開口63毎に遮光板61を設けているため、光源12を個別に遮光することができ、後側方向への遮光を確実にできる。
【0045】
また、遮光体14は、取付板60に設けただるま孔形状の取付孔64を利用し、筐体11に簡単に取り付けることができる。例えば、照明装置10を設置する際に遮光機能が不要で遮光体14を取り付けていなかったが、その後の環境の変化で遮光機能が必要となった場合、既設の照明装置10に遮光体14を簡単に取り付けることができる。
【0046】
なお、遮光体14は、取付板60から遮光板61を一体に切り起こし形成してもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。