【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人科学技術振興機構研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
K.Terajima et al.,"Linearization of CMOS triple cascode push-pull power amplifiers by second harmonic feedback",Proceedings of Asia-Pacific Microwave Conference 2014,2014年,pp.107-109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4kb番目の伝送線路の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバラントランス。
前記第4kb番目の伝送線路の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のバラントランス。
前記第4kb番目の伝送線路の中点を互いに接続するとともに,この接続点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のバラントランス。
請求項3、請求項6、請求項9または請求項10の何れか一項に記載のバラントランスを2つ用いて、平衡端子間に増幅素子が設けられており、基本波端子から基本波を入力し、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子に反射処理、または、2倍波注入抽出を施して電力増幅を行うことを特徴とする電子機器。
請求項3、請求項6、請求項9または請求項10の何れか一項に記載のバラントランスを2つ用いて、平衡端子間に増幅素子が設けられており、基本波端子から基本波を入力し、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子間に2倍波振幅・位相調整回路を装荷しており、電力増幅を行うことを特徴とする電子機器。
請求項3、請求項6、請求項9または請求項10の何れか一項に記載のバラントランスを2つ用いて、平衡端子間に増幅素子を設け、基本波端子から基本波を入力し、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子から基本波と異なる周波数信号を入力して電力増幅を行うことを特徴とする電子機器。
請求項3、請求項6、請求項9または請求項10の何れか一項に記載のバラントランスを2つ用いて、平衡端子間に増幅素子が設けられており、基本波端子から基本波を入力し、出力側のバラントランスの基本波端子から奇数倍波を取り出し、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子から偶数倍波を取り出して逓倍出力を得ることを特徴とする電子機器。
前記第1の伝送線路の中点および前記第2の伝送線路の中点の少なくともいずれか一方に2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子が設けられていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の電子機器。
請求項11または請求項12に記載の電子機器、および請求項17に記載の電子機器を有し、前記バラントランスを初段の入力回路と出力回路に用いており、請求項17に記載の電子機器を段間のインピーダンス変換に用いて多段電力増幅を行うことを特徴とする電子機器。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施の形態2におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図4】本発明の実施の形態2におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施の形態3におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図6】本発明の実施の形態3におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図7】本発明の実施の形態3におけるバラントランスの他の変形例を示す回路図である。
【
図8】本発明の実施の形態3におけるバラントランスの他の変形例を示す回路図である。
【
図9】本発明の実施の形態1から実施の形態3におけるバラントランスの設計方程式の導出方法を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施の形態3に係るバラントランスにおける結合伝送線路の断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態3に係るバラントランスの結合伝送線路による設計方程式を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施の形態3に係るバラントランスの電磁界シミュレーションモデルを示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態3に係るバラントランスの電磁界シミュレーション結果を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態4におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図15】本発明の実施の形態5におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図16】本発明の実施の形態6におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図17】本発明の実施の形態6におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図18】本発明の実施の形態7におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図19】本発明の実施の形態7におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図20】本発明の実施の形態8におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図21】本発明の実施の形態8におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図22】本発明の実施の形態9におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図23】本発明の実施の形態9におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図24】本発明の実施の形態10におけるバラントランスを示す回路図である。
【
図25】本発明の実施の形態10におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
【
図26】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態11における電子機器を示す回路図である。
【
図27】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態11における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図28】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態12における電子機器を示す回路図である。
【
図29】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態12における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図30】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態13における電子機器を示す回路図である。
【
図31】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態13における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図32】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態14における電子機器を示す回路図である。
【
図33】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態14における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図34】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態15における電子機器を示す回路図である。
【
図35】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態15における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図36】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態16における電子機器を示す回路図である。
【
図37】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態16における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図38】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態17における電子機器を示す回路図である。
【
図39】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態17における電子機器の変形例を示す回路図である。
【
図40】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態17における電子機器の他の変形例を示す回路図である。
【
図41】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態17における電子機器の他の変形例を示す回路図である。
【
図42】本発明に係るバラントランスを用いた実施の形態18における電子機器を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して詳述する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
【0011】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1のバラントランスについて説明する。
図1および
図2は、実施の形態1におけるバラントランス1000の回路図である。
図2は実施の形態1におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
バラントランス1000は、入力された不平衡信号を、位相が180度異なる平衡信号に変換する電気回路であり、かつ、不平衡端子と平衡端子のインピーダンスを変換する電気回路である。
バラントランス1000は、不平衡端子をなすアドミタンスがY
sである負荷P1、平衡端子をなすアドミタンスがY
Lである負荷P2、P3、第1の伝送線路11、第2の伝送線路12を備える。伝送線路11、12は隣接するように配置され、互いに電磁気的に結合した結合伝送線路111を構成する。第1の伝送線路11には端子1、2が設けられ、第2の伝送線路12には端子3、6が設けられている。
図1は第2の伝送線路12の端子3、6を同図において伝送線路12の右側部位置に設けたバラントランスであり、
図2は第2の伝送線路12の端子3、6を同図において伝送線路12の上部位置に設けたバラントランスであり、その他の部分の構成は両バラントランス共に同じである。第2の伝送線路12の端子3、6は、バラントランスの構造、配置を考慮して、第2の伝送線路12の任意の位置に設けられる。なお、端子4,5は第2の伝送線路の接続端子である。
伝送線路11の一方の端子1は、第1の負荷P1に接続され、伝送線路11の他方の端子2はグランドに短絡されている。第2の伝送線路12の一方の端子3は、第2の負荷P2に接続され、伝送線路12の他方の端子6は、第3の負荷P3に接続されている。
伝送線路11、12の線路長(電気長)は、基本波周波数f
0に対して1[rad]以下、即ち、2θ≦1[rad]である。
本発明の実施の形態1におけるバラントランス1000は結合伝送線路111の偶モード特性アドミタンスY
oeおよび奇モード特性アドミタンスY
oo、伝送線路11および伝送線路12の電気長2θを次式(1)の関係式を満足することを特徴とし、伝送線路の線路長(電気長)が基本周波数に対して1[rad]以下、即ち、2θ≦1[rad]とすることにより、バラントランスのサイズを非常に小さくすることができる。また、端子3、6は伝送線路12の任意の位置に設けても特性は変わらず、アプリケーションに合わせて端子を最適な配置にすることができる。
【0013】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2のバラントランスについて説明する。
図3および
図4は、実施の形態2におけるバラントランス1000の回路図である。
図4は実施の形態2におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
図3および
図4において、
図1、
図2と同一符号は同じ部分を示しており、その説明を省略する。
バラントランス1000は、バラントランス1000の負荷P1に並列に容量C
1、負荷P2とP3との間に容量C
2を装荷したバラントランスである。なお、この容量C
1と容量C
2は少なくとも何れか一方のみを設けたものであっても良い。ただし、C
1とC
2の一方を装荷しない場合は、C
1=0またはC
2=0に対応する。
実施の形態2におけるバラントランス1000は結合伝送線路111の偶モード特性アドミタンスY
oeおよび奇モード特性アドミタンスY
oo、伝送線路11および伝送線路12の電気長2θ、容量C
1、C
2を式(2)の関係式を満足することを特徴とする。
バラントランス1000では、負荷P1と負荷P2、負荷P3のインピーダンス比によっては、物理的に実現出来ない場合が存在するが、容量C
1、C
2を用いて端子インピーダンスを調整することによって、実現可能となる。
負荷P1のアドミタンスY
Sと負荷P2と負荷P3のアドミタンスY
Lを式(3)のように実部と虚部に分解し、式(2)に代入すると、式(4)が得られる。偶モード特性アドミタンスY
oeおよび奇モード特性アドミタンスY
ooは正の実数であるため、電気長θを増加させる効果と容量C
2を増加させる効果は同じである。従って、容量C
2によって電気長θを短くすることもできる。
【0017】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3のバラントランスについて説明する。
図5、
図6、
図7および
図8は、実施の形態3におけるバラントランス1000の回路図である。
図6〜
図8は実施の形態3におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
図5〜
図8において、
図1〜
図4と同一符号は同じ部分を示しており、その説明を省略する。
バラントランス1000は、実施の形態1、2におけるバラントランスの第2の伝送線路12の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子(2次高調波注入端子ともいう)をなす負荷P4が設けられていることを特徴とする。
【0018】
[設計方程式の導出]
実施の形態1、2および3のバラントランスの設計方程式の導出方法について
図9を用いて詳細に説明する。
図9に示す回路は
図1および
図2に示す回路と等価である。また、
図9において、
図1および
図2と同一符号は相当部分を示している。
図9に示すように、バラントランスを構成する伝送線路(伝送線路21〜24)は8つのノード(ノードn1
〜n8)を有する。ここでは、簡単のために、伝送線路21〜24の電気長が全て等しく
θである場合を考える。
各ノードにおける電流ベクトル
tI=(I
1,I
2,I
3,I
4,I
5,I
6,I
7,I
8)と電圧ベクトル
tV=(V
1,V
2,V
3,V
4,V
5,V
6,V
7,V
8)との関係は、オームの法則によって次式(5)で与えられる。
【0019】
【数5】
Yは結合伝送線路のアドミタンス行列であり、Yは一般に式(6)と式(7)で与えられる。
【0021】
【数7】
Y
ooとY
oeは夫々、結合伝送線路111と112の偶モード特性アドミタンスと奇モード特性アドミタンスである。
θ≪1の場合、A、B、C、Dをθの1次の項まで展開すると、次式(8)に展開できる。
【0022】
【数8】
さらに、
図9の回路の電圧の関係式より、次式(9)となる。
【0023】
【数9】
図9の回路にキルヒホッフの法則を適用して、次式(10)となる。
【0024】
【数10】
さらに、平衡端子と不平衡端子の入力アドミタンスの関係式より、次式(11)となる。
【0025】
【数11】
これらの方程式を解くことで、次式(12)の設計方程式が得られる。
【0027】
式(12)は複素方程式であるので、実部と虚部に分けて計算することで、Y
oo、Y
oe、θを求める2つの設計方程式が得られ、θの関数であるY
oo(θ)、Y
oe(θ)が得られる。θによってバラントランスの帯域特性と挿入損失が異なるため、特性を見ながらあらかじめ決められた所望の特性を持たすように調整する。
さらに、結合伝送線路111、112の電気長が異なる場合においても前述の設計方程式は成り立つ。
【0028】
(実施の形態3の具体例)
一例として、プシュプル電力増幅器の出力整合回路に用いることを目的として、以下の条件でシミュレーションした。
f
0=2.0 [GHz]
Y
s=20 [mS]
Y
L=59.88+j50 [mS]
C
1=3.5 [pF]
なお、このシミュレーションでは、インピーダンス整合のために、平衡端子間に容量C
1を用いた。
また、IC(集積回路)内部にバラントランスを作り込むことを想定し、シリコン基板上に作り込んだサイドカップル結合伝送線路を用いて伝送線路を構成した場合について説明する。
図10は、誘電体(半導体基板)31と誘電体(酸化膜)32で構成されたシリコン基板の上面部に設けたサイドカップル結合伝送線路の断面構造を示している。伝送線路11、12の線路幅をW、2つの伝送線路間の距離をSとし、これらを断面構造パラメータという。伝送線路11、12は誘電体31(半導体基板)の上面に形成された誘電体32(酸化膜)に設けられている。なお、伝送線路の厚さをTとしている。
まず、2次元の電磁界シミュレータを用いて、サイドカップル結合伝送線路の断面構造パラメータを媒介変数として、それぞれの断面構造パラメータにおける偶モードアドミタンスY
oeと奇モードアドミタンスY
ooを算出して、Y
oeを横軸、Y
ooを縦軸としてグラフにプロットする。
次に、不平衡端子アドミタンスY
sと平衡端子アドミタンスY
Lをインピーダンス整合させるために、設計方程式である式(1)を満足する偶モードアドミタンスY
oeと奇モードアドミタンスY
ooの組み合わせを結合伝送線路の電気長θを媒介変数とした直線を、先程のグラフにプロットする。
図11は実際にプロットした状態をグラフで示した図である。
断面構造パラメータを媒介変数としてプロットした曲線と、電気長θを媒介変数としてプロットした直線との交点が設計値である。設計値には電気長θの任意性があるが、これは、帯域特性を見ながら決定する。
以下が本具体例で用いた設計結果である。
Y
oo=25.03 [mS]
Y
oe=5.56 [mS]
W=20[mm]
S=8[mm]
θ=5.5 [deg]
この設計結果を用いて実際に3次元電磁界シミュレーションを実施した時の、電磁界シミュレーションモデルを
図12に示している。
図12において、結合伝送線路111には、不平衡端子をなす負荷P1、平衡端子をなす負荷P2、P3、2次高調波の注入抽出用端子(不平衡端子)をなす負荷P4、および容量C
1が設けられている。一点鎖線で示すA部の断面構造は、
図10に示す構造となっており、伝送線路の幅Wは20mm、伝送線路間の距離Sは8mm、伝送線路の厚さTは4.6mmに構成されている。
電磁界シミュレーション結果を
図13の(a)〜(f)に示す。
図13における横軸は周波数を表しており、
図13(a)の縦軸は入力反射係数であり、
図13(b)の縦軸は不平衡端子から平衡端子への電圧伝達振幅特性であり、
図13(c)の縦軸は不平衡端子から平衡端子への電圧伝達位相特性であり、
図13(d)の縦軸は2次高調波注入端子から平衡端子への電圧伝達振幅特性であり、
図13(e)の縦軸は2次高調波注入端子から平衡端子への電圧伝達位相特性であり、
図13(f)の縦軸は挿入損失である。
この結果から、中心周波数(2.0GHz)近傍で、不平衡端子の電圧反射特性が-20dB以下(
図13(a)参照)、不平衡端子から平衡端子への電圧伝達特性が逆相・同振幅(
図13(c)(b)参照)、不平衡端子から平衡端子への挿入損失が0.72dBであり(
図13(f)参照)、 2次高調波周波数(4.0GHz)近傍で2次高調波注入端子から平衡端子への電圧伝達特性が同相・略同振幅(
図13(e)(d)参照)、2次高調波注入端子から平衡端子への挿入損失が1.01dBであり(
図13(f)参照)、2次高調波の注入抽出が可能な良好なバラントランス特性が確保できる事がわかる。したがって、式(1)の設計方程式の有効性が示された。
なおここで、S
11は平衡端子をなす負荷P1の電圧反射特性、S
21は不平衡端子をなす負荷P1から平衡端子をなす負荷P2への電圧伝達特性、S
31は不平衡端子をなす負荷P1から平衡端子をなす負荷P3への電圧伝達特性、S
24は2次高調波注入端子(注入抽出用端子ともいう)をなす負荷P4から平衡端子をなす負荷P2への電圧伝達特性、S
34は2次高調波注入端子をなす負荷P4から負荷P3への電圧伝達特性である。
平衡端子をなす負荷P1と2次高調波注入端子をなす負荷P4は十分なアイソレーションを有するため、バラントランス1000のバラントランス特性を変化させること無く、2次高調波注入端子をなす負荷P4を装荷することが可能である。
【0029】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4のバラントランスについて説明する。
図14は、実施の形態4におけるバラントランス1000の概略構成を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態1におけるバラントランス1000の端子1と端子2を2ポート回路と見なし、実施の形態1のように構成されたバラントランスを直列にn個(n≧2)接続させることを特徴とするバラントランスである。
図14のバラントランスにおいては、第1番目の結合伝送線路411aは、第1の伝送線路41aおよび第2の伝送線路41bで構成され、第k番目の結合伝送線路41kaは、第1の伝送線路4kaおよび第2の伝送線路4kbで構成され、第n番目の結合伝送線路41naは、第1の伝送線路4naおよび第2の伝送線路4nbで構成されている。
伝送線路41aの一方の端子1aは、不平衡端子をなすアドミタンスがY
sである負荷P1に接続され、伝送線路41aの他方の端子1bは、これに接続される次番目の結合伝送線路の一方の端子に接続されており、それより後段の結合伝送線路も同様にして直列接続されている。n番目の結合伝送線路41naの第1の伝送線路4naの一方の端子naは、その前段の結合伝送線路の第1の伝送線路の他方の端子に接続され、第1の伝送線路4naの他方の端子nbはグランドに短絡されている。
第1番目の結合伝送線路411aの第2の伝送線路41bの端子1cおよび端子1fには、平衡端子をなすアドミタンスがY
L1である負荷P1ap、P1bpが夫々接続されている。次番目以降の結合伝送線路の夫々についても第1番目の結合伝送線路と同様に2個の平衡端子をなす負荷が接続されている。
なお、符号に付されている「k」、「n」は、第k番目の結合伝送線路、あるいは第n番目の結合伝送線路に関係するものであることを表している。即ち、
図14において、「k」の表示部分は「1」から順次「n」まで付されることになり、例えば「k」が「1」の場合は第1番目のバラントランスに関係するものであることを表している。以下の実施の形態の図においても同様である。
第k番目の結合伝送線路41ka、の偶モード特性アドミタンスY
oekおよび奇モードアドミタンスY
ook、伝送線路4kaおよび伝送線路4kbの電気長2θ
kを次式(13)の関係式を満足することを特徴とする。
不平衡端子をなす負荷P1に対して2n個の平衡端子をなす負荷を接続できるので、多信号を合成、または、多信号への分配が可能であり、直列接続であるので、低いインピーダンスの平衡端子をなす負荷を接続する場合に適している。
【0031】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5のバラントランスについて説明する。
図15は、実施の形態5におけるバラントランス1000の概略構成を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態2におけるバラントランス1000の端子1と端子2を2ポート回路と見なし、実施の形態2のように構成されたバラントランスを直列にn個(n≧2)接続させることを特徴とするバラントランスである。このバラントランスは、実施の形態2のバラントランスを実施の形態4と同様に複数個を直列接続したものである。平衡端子をなす負荷P1apと負荷P1bpとの間には容量C
12を装荷している。次番目以降の結合伝送線路についても同様の構成である。なお、
図14と同一符号は同じ部分を示している。
第k番目の結合伝送線路41kaの偶モード特性アドミタンスY
oekおよび奇モードアドミタンスY
ook、容量C
k2、C
1、伝送線路4kaおよび伝送線路4kbの電気長2θ
kを式(14)の関係式を満足することを特徴とする。
不平衡端子をなす負荷P1に対して2n個の平衡端子を接続できるので、多信号を合成、または、多信号への分配が可能であり、直列接続であるので、低いインピーダンスの平衡端子を接続する場合に適している。
バラントランス1000では、不平衡端子をなす負荷と平衡端子をなす負荷のインピーダンス比によっては、物理的に実現出来ない場合が存在するが、容量C
1、C
2を用いて端子インピーダンスを調整することによって、実現可能となり、容量C
2によって電気長θを短くすることもできる。
【0033】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6のバラントランスについて説明する。
図16および
図17は、実施の形態6におけるバラントランス1000の概略構成を示す回路図である。
図17は実施の形態6におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
図14、
図15と同一符号は、同じ部分を示しており、説明は省略する。
バラントランス1000は、実施の形態4または実施の形態5におけるバラントランス1000の伝送線路41b、4kb、4nb等の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子をなす負荷P1cp、Pkcp、Pncpが設けられていることを特徴とするバラントランスである。
本実施の形態6におけるバラントランスにおいても、不平衡端子をなす負荷P1と2次高調波注入端子をなす負荷P4は十分なアイソレーションを有するため、バラントランス1000のバラントランス特性を変化させること無く、2次高調波注入端子をなす負荷P4を装荷することが可能である。
【0034】
実施の形態7.
本発明の実施の形態7のバラントランスについて説明する。
図18および
図19は、実施の形態7におけるバラントランス1000の概略構成を示す図である。
図19は実施の形態7におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態1におけるバラントランス1000の端子1と端子2を2ポート回路と見なし、実施の形態1のように構成されたバラントランスを並列にn個(n≧2)接続させることを特徴とするバラントランスである。
図18のバラントランスは、第1番目の結合伝送線路411aにおける第1の伝送線路41aの一方の端子1aは、次番目以降の伝送線路4ka、4na等の一方の端子ka、na等に並列接続され、また、各結合伝送線路における第1の伝送線路41a、4ka、4na等の他方の端子1b、kb、nb等はグランドに短絡されている。その他の構成は
図1に示す実施の形態1におけるバラントランスと同様である。
図19のバラントランスは、結合伝送線路の各伝送線路を同心的に配置した構成である。
図19において、結合伝送線路412aは2番目の結合伝送線路を示しており、第1の伝送線路42aと第2の伝送線路42bを有している。端子1aでは、第1番目の結合伝送線路411aの第1の伝送線路41aの一方の端子と第2番目の結合伝送線路412aの第1の伝送線路42aの一方の端子とが並列接続され、端子1bでは第1番目の結合伝送線路411aの第1の伝送線路41aの他方の端子と第2番目の結合伝送線路412aの第1の伝送線路42aの他方の端子とが並列接続されている。また、
図19における第2番目の結合伝送線路412aの第2の伝送線路42bの端子2c、2fには、平衡端子をなす負荷P2ap、P2bpが接続されている。
図19に示すバラントランスは、
図2に示すバラントランスを2個同心的に配置して並列接続したものに相当する。
第k番目の結合伝送線路41kaの偶モード特性アドミタンスY
oekおよび奇モードアドミタンスY
ook、伝送線路4kaおよび伝送線路4kbの電気長2θ
kを式(15)の関係式を満足することを特徴とする。
不平衡端子をなす負荷P1に対して2n個の平衡端子を接続できるので、多信号を合成、または、多信号への分配が可能であり、並列接続であるので、高いインピーダンスの負荷を平衡端子に接続する場合に適している。
【0036】
実施の形態8.
本発明の実施の形態8のバラントランスについて説明する。
図20および
図21は、実施の形態8におけるバラントランス1000の概略構成図である。
図21は実施の形態8におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態2におけるバラントランス1000の端子1と端子2を2ポート回路と見なし、実施の形態2のように構成されたバラントランスを並列にn個(n≧2)接続させることを特徴とするバラントランスである。
図20のバラントランスは、
図15に示す実施の形態5のバラントランスと同様に平衡端子をなす負荷P1apと負荷P1bpとの間に容量C
12を装荷している。次番目以降の結合伝送線路についても同様の構成である。また、その他の構成は
図18と同様である。
図21のバラントランスにおいても容量C
12、C
22が平衡端子間に並列的に装荷されている。また、
図21に示すバラントランスのその他の構成は
図19と同様である。
第k番目の結合伝送線路41kaの偶モード特性アドミタンスY
oekおよび奇モードアドミタンスY
ook、伝送線路4kaおよび伝送線路4kbの電気長2θ
k、容量C
1 、 C
k2を式(16)の関係式を満足することを特徴とする。
不平衡端子をなす負荷P1に対して2n個の平衡端子を接続できるので、多信号を合成、または、多信号への分配が可能であり、並列接続であるので、高いインピーダンスの負荷を平衡端子に接続する場合に適している。
バラントランス1000では、不平衡端子をなす負荷と平衡端子をなす負荷のインピーダンス比によっては、物理的に実現出来ない場合が存在するが、容量C
1、C
2を用いて端子インピーダンスを調整することによって、実現可能となり、容量C
2によって電気長θを短くすることもできる。
【0038】
実施の形態9.
本発明の実施の形態9のバラントランスについて説明する。
図22および
図23は、実施の形態9におけるバラントランス1000の概略構成を示す回路図である。
図23は実施の形態9におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態7または実施の形態8におけるバラントランス1000の伝送線路41b、4kb、4nb等の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子をなす負荷P1cp、Pkcp、Pncp等が設けられていることを特徴とするバラントランスである。
図22、
図23のバラントランスのその他の構成は
図18、
図20と同様である。
バラントランス1000のバラントランス特性を変化させること無く、2次高調波注入端子をなす負荷Pkcpを装荷することが可能である。
【0039】
実施の形態10.
本発明の実施の形態10のバラントランスについて説明する。
図24および
図25は、実施の形態10におけるバラントランス1000の概略構成を示す回路図である。
図25は実施の形態10におけるバラントランスの変形例を示す回路図である。
バラントランス1000は、実施の形態7(
図19)または実施の形態8(
図21)のバラントランス1000の伝送線路4kbの中点を互いに接続するとともに、この接続点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子をなす負荷P1cpが設けられていることを特徴とするバラントランスである。
2次高調波注入端子を共通化させることができるので、小型なバラントランスを得ることができる。
【0040】
本発明による上述した実施の形態1〜10におけるバラントランスは、試行錯誤を必要とせずに所望のインピーダンス変換を行うバラントランスを設計することができる。
また、本発明のバラントランス設計方法では、結合伝送線路の断面構造と結合伝送線路の電気長とを設計することを特徴とする。例えば、2次元電磁界シミュレーションを行えば、断面構造を変えながら、結合伝送線路の偶モードアドミタンスY
oeと奇モードアドミタンスY
oo 、電気長θを算出できる。したがって、従来の3次元電磁界シミュレーションによる試行錯誤による設計に比べて格段に容易にバラントランスを設計することができる。また、断面構造と電気長だけで電気特性が決まるので、伝送線路の配線パターンは自由な形に設計することができる。
【0041】
実施の形態11.
本発明の実施の形態11における電子機器について説明する。
図26および
図27は、実施の形態11における電子機器2000が2個のバラントランス1000を用いて構成された電力増幅器の場合の概略構成を示す回路図である。
図27は実施の形態11における電力増幅器の変形例を示す回路図である。
電力増幅器である電子機器2000は、実施の形態3、実施の形態6、実施の形態9、実施の形態10におけるバラントランスに相当するバラントランスを2個用いて、平衡端子間に増幅素子を装荷した電力増幅器であり、基本波端子から基本波を入力し、2次高調波注入端子(注入抽出用端子)は反射処理、または、2次高調波注入抽出を施した高効率・低歪み電力増幅器である。
図26の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1を装荷し、
図27の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1、A2を装荷している。
2次高調波注入端子は、基本波端子とアイソレーションが取れているため、基本波の整合を変化させること無く、2次高調波を反射処理、または、注入抽出することが可能である。従って、2次高調波の反射処理、または、注入抽出により電力増幅器の高効率化、低歪み化を可能とする。
【0042】
実施の形態12.
本発明の実施の形態12における電子機器について説明する。
図28および
図29は、実施の形態12における電子機器2000が2個のバラントランス1000を用いて構成された電力増幅器の場合の概略構成を示す回路図である。
図29は実施の形態12における電力増幅器の変形例を示す回路図である。
電力増幅器である電子機器2000は、実施の形態3、実施の形態6、実施の形態9、実施の形態10におけるバラントランスに相当するバラントランスを2個用いて構成されている。
図28の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1を装荷し、
図29の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1、A2を装荷した電力増幅器であって、基本波端子から基本波を入力し、また2次高調波注入端子は端子間に2次高調波振幅・位相調整回路APAを装荷している2次高調波フィードバック高効率・低歪み電力増幅器である。
2次高調波注入端子は、基本波端子とアイソレーションが取れているため、基本波の整合を変化させること無く、2次高調波をフィードバックすることが可能である。従って、2次高調波フィードバックにより電力増幅器の高効率化、低歪み化を可能とする。
【0043】
実施の形態13.
本発明の実施の形態13における電子機器について説明する。
図30および
図31は、実施の形態13における電子機器2000が2個のバラントランス1000を用いて構成された電力増幅器の場合の概略構成を示す回路図である。
図31は実施の形態13における電力増幅器の変形例を示す回路図である。
電力増幅器である電子機器2000は、実施の形態3、実施の形態6、実施の形態9、実施の形態10におけるバラントランスに相当するバラントランスを2個用いて、平衡端子間に増幅素子を装荷した電力増幅器であり、基本波端子から基本波を入力してプシュプル動作により信号を増幅して基本波端子から取り出すモードと、2次高調波注入端子から基本波と異なる周波数信号を入力して同相動作により信号を増幅して2次高調波注入端子から取り出すモードの動作を選択できる2バンドの電力増幅器である。
図30の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1を装荷し、
図31の電力増幅器は平衡端子間に増幅素子A1、A2を装荷している。また、アドミタンスがY
2Sである負荷P41、アドミタンスがY
2Lである負荷P42が接続されている。
2次高調波注入端子は、基本波端子とアイソレーションが取れているため、基本波端子の整合と2次高調波注入端子の整合を別々に取ることが可能である。
【0044】
実施の形態14.
本発明の実施の形態14における電子機器について説明する。
図32および
図33は、実施の形態14における電子機器3000が2個のバラントランス1000を用いて構成された逓倍器の場合の概略構成を示す回路図である。
図33は実施の形態14における逓倍器の変形例を示す回路図である。
逓倍器である電子機器3000は、実施の形態3、実施の形態6、実施の形態9、実施の形態10におけるバラントランスに相当するバラントランスを2個用いて、平衡端子間に増幅素子を装荷した逓倍器であり、基本波端子から基本波を入力し、出力側のバラントランスの基本波端子から奇数倍波を取り出し、2次高調波注入端子から偶数倍波を取り出すことができる逓倍器である。
図32の逓倍器は平衡端子間に増幅素子A1を装荷し、
図33の逓倍器は平衡端子間に増幅素子A1、A2を装荷している。また、アドミタンスがY
2Lである負荷P42が接続されている。
2次高調波注入端子は、基本波端子とアイソレーションが取れているため、奇数倍波と偶数倍波を別々に取り出すことが可能である。
【0045】
実施の形態15.
本発明の実施の形態15における電子機器について説明する。
図34および
図35は、実施の形態15における電子機器4000が本発明に係るバラントランスを用いて構成されたトランスフォーマの場合の概略構成を示す回路図である。
図35は実施の形態15におけるトランスフォーマの変形例を示す回路図である。
トランスフォーマである電子機器4000は、入力された平衡端子間のインピーダンスを変換する電気回路である。
トランスフォーマである電子機器4000は、不平衡端子をなすアドミタンスがY
sである負荷P1、P5、平衡端子をなすアドミタンスがY
Lである負荷P2、P3、伝送線路11、12を備える。伝送線路11、12は隣接するように配置され、互いに電磁気的に結合した結合伝送線路111を構成する。
図34は伝送線路12の端子3、6を同図において伝送線路12の右側部位置に設けたトランスフォーマであり、
図35は伝送線路12の端子3、6を同図において伝送線路12の上部位置に設けたトランスフォーマであり、その他の部分の構成は両トランスフォーマ共に同じである。伝送線路12の端子3、6は、トランスフォーマの構造、配置を考慮して、伝送線路12の任意の位置に設けられる。
伝送線路11の一方の端子1は、平衡端子をなす負荷P1に接続され、伝送線路11の他方の端子2は平衡端子をなす負荷P5に接続され、伝送線路12の端子3は、平衡端子をなす負荷P2に接続され、伝送線路12の端子6は、平衡端子をなす負荷P3に接続されている。伝送線路12の端子4と伝送線路12の端子5は互いに接続され、伝送線路を構成する。
伝送線路11、12の線路長は、基本波周波数に対して1[rad]以下、即ち、2θ≦1[rad]である。これにより、バラントランスのサイズを非常に小さくすることができ、小型のトランスフォーマを得ることができる。
伝送線路11の電気長を2θとすると、伝送線路12の電気長も2θである。
実施の形態15は結合伝送線路111、112の偶モード特性アドミタンスY
oeおよび奇モード特性アドミタンスY
ooを次式(17)の関係式を満足することを特徴とする。
【0047】
実施の形態16.
本発明の実施の形態16における電子機器について説明する。
図36および
図37は、実施の形態16における電子機器4000が本発明に係るバラントランスを用いて構成されたトランスフォーマの場合の概略構成を示す回路図である。
図37は実施の形態16におけるトランスフォーマの変形例を示す回路図である。
図36および
図37において、
図34、
図35と同一符号は同じ部分を示しており、その説明は省略する。
トランスフォーマである電子機器4000は、電子機器4000の平衡端子をなす負荷P1とP5との間に並列に容量C
1、平衡端子をなす負荷P2とP3との間に容量C
2を装荷したトランスフォーマである。なお、この容量C
1と容量C
2は少なくも何れか一方のみを設けたものであっても良い。ただし、C
1とC
2の一方を装荷しない場合は、C
1=0またはC
2=0に対応する。
トランスフォーマである電子機器4000では、一方の平衡端子をなす負荷と他方の平衡端子をなす負荷のインピーダンス比によっては、物理的に実現出来ない場合が存在するが、容量C
1、C
2を用いて端子インピーダンスを調整することによって、実現可能となる。また、容量C
2によって、電気長θを短くすることもできる。
実施の形態16は結合伝送線路111の偶モード特性アドミタンスY
oeおよび奇モード特性アドミタンスY
oo、容量C
1、C
2を次式(18)の関係式を満足することを特徴とする。
【0049】
実施の形態17.
本発明の実施の形態17における電子機器について説明する。
図38〜
図41は、実施の形態17における電子機器4000が本発明に係るバラントランスを用いて構成されたトランスフォーマの場合の概略構成を示す回路図である。
図39〜
図41は実施の形態17おけるトランスフォーマの変形例を示す回路図である。
図38〜
図41において、
図34〜
図37と同一符号は同じ部分を示しており、その説明は省略する。
トランスフォーマである電子機器4000は、実施の形態15または実施の形態16の電子機器4000伝送線路12の中点に、2次高調波を注入もしくは抽出する注入抽出用端子をなす負荷P4が設けられていることを特徴とする。また、この注入抽出用端子をなす負荷P4は、伝送線路11の中点に設けることも可能である。即ち、この注入抽出用端子をなす負荷P4は、伝送線路11の中点および伝送線路12の中点の少なくともいずれか一方に設けられる。
実施の形態17においても、実施の形態15、実施の形態16と同様に、バラントランスのサイズを小さくすることができ、小型のトランスフォーマを得ることができる。
【0050】
実施の形態18.
本発明の実施の形態18における電子機器について説明する。
図42は、実施の形態18における電子機器5000が本発明に係るバラントランスを用いて構成された電力増幅器の場合の概略構成を示す回路図である。
電力増幅器である電子機器5000は、実施の形態1〜実施の形態10におけるバラントランス1000を初段の入力回路と終段の出力回路に用いて、実施の形態15〜実施の形態17におけるトランスフォーマである電気機器4000を段間のインピーダンス変換に用いた多段電力増幅器である。
本実施の形態18における電力増幅器においては、設計方程式に則って設計することができるバラントランス1000やトランスフォーマ4000を用いて構成されているので、設計が容易である。
また、基本波と十分なアイソレーションを有するため、2次高周波の注入抽出用端子をなす負荷P4から、バラントランス1000またはトランスフォーマ4000のバラントランス特性を変化させること無く、2次高調波を注入もしくは抽出することができるので、2次高調波の反射処理、または、注入抽出により電力増幅器の高効率化、低歪み化を可能とする。
【0051】
本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することができる。