(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変形応力特性を取得する工程では、衝突モデルを用いて前記構成部品同士が衝突する状態、及び該構成部品同士の間に摩擦を生じる状態を解析する請求項1に記載の熱交換器の変形応力特性取得方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような簡易モデルでは、地震波に対して構造物が線形応答を示すことが前提とされている。一方で、実際の熱交換器では、地震波が入力された場合に、構造部材同士が衝突等することが想定される。このため、より精緻な地震波時刻歴応答解析を目指すに当たっては、構造部材の線形特性のみならず、構造部材部材同士の衝突や摩擦等に伴う非線形特性についても考慮する必要がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、非線形特性をモデル化することが可能な熱交換器の変形応力特性取得方法、及び耐震評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る熱交換器の変形応力特性取得方法は、
複数の伝熱管を有する熱交換器に含まれるUベンド部であって、隣り合う他の伝熱管との間にギャップが形成されているとともに全体として半球状を呈するように伝熱管を配列させたUベンド部について解析モデルを作成する工程と、前記解析モデルで固有値解析を行い、前記Uベンド部のモード情報を取得するとともに、該モード情報に基づいて固有モードを選定する工程と、前記解析モデルに
、前記伝熱管同士の間のギャップの寸法を考慮したギャップ要素を含み、前記ギャップ内で前記伝熱管同士が振動・衝突した際の挙動を規定する衝突モデルを設定し、この解析モデルを使用して前記固有モードを再現する静解析を行う工程と、前記静解析の結果から変形応力特性を取得する工程と、を含む。
【0007】
この方法によれば、Uベンド部の構成部品におけるギャップ要素を設定することで、該構成部品同士が隙間(ギャップ)を介して互いに衝突する状態を精緻に模擬することができる。
【0008】
また、本発明の第二の態様に係る熱交換器の変形応力特性取得方法において、前記変形応力特性を取得する工程では、衝突モデルを用いて前記構成部品同士が衝突する状態、及び該構成部品同士の間に摩擦を生じる状態を解析してもよい。
【0009】
この方法によれば、構成部品同士の衝突を衝突モデルによって解析することから、例えば弾塑性解析を行う場合に比べて、計算負荷を低減することができる。
【0010】
また、本発明の第三の態様に係る耐震評価方法は、上記第一又は第二の態様に係る蒸気発生器の変形応力特性取得方法を用いた耐震評価方法であって、
前記固有モードは、地震波応答スペクトルにおいて応答が大きくなる周波数領域に存在する固有モードであって、 前記変形応力特性と、予め取得された前記Uベンド部の
地震時のひずみ量
とに基づいて、該Uベンド部の耐震・応力評価を行う工程と、を含む。
【0011】
この方法によれば、非線形特性を考慮した耐震評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非線形特性をモデル化することが可能な蒸気発生器の変形応力特性取得方法、及び耐震評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る蒸気発生器の変形応力特性取得方法(耐震評価方法)について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の耐震評価方法は、例えば加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる蒸気発生器1のUベンド部10の耐震性を評価するための方法である。加圧水型原子炉は、原子炉冷却材及び中性子減速材として軽水を使用しており、この軽水を一次冷却材として用いる。加圧水型原子炉は、一次冷却材を、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水として、蒸気発生器1に送る。
ここで、蒸気発生器1の具体的な構成について以下に説明する。
【0015】
図1に示す蒸気発生器1は、上下方向に延在し、かつ、密閉された中空円筒形状であって、上半部に対して下半部の方が小径をなす胴部2を備えている。胴部2の下端側には水室21が配置され、上端側には蒸気排出口22が配置されている。下半部から上半部にかけての領域には、胴部2の内壁面に間隔をあけて配列された円筒状の管群外筒(ラッパー管)3が設けられている。この管群外筒3の下端部は、胴部2の下半部内の下方に配置された管板(不図示)まで延在している。管群外筒3内には、複数の伝熱管15を有する熱交換器20が設けられている。
【0016】
この熱交換器20は、Uベンド部10を有する。Uベンド部10は、複数の伝熱管15を全体として半球状を呈するように配列したものである。それぞれの伝熱管15は、曲がり部15Uを有している。すなわち、これら曲がり部15U同士が互いに重なり合うように配列されることで、伝熱管15は全体として半球状をなす。
【0017】
より具体的には、この熱交換器20は、
図2に示すように、熱交換器本体11と、振止部材12と、保持部材13と、ブリッジ14と、を備えている。熱交換器本体11は、複数の伝熱管群16を面内方向に直交する面外方向に積層することによって構成される。この複数の伝熱管群16は、同一面内(面内方向)に並設された複数の伝熱管15から構成されている。
【0018】
各伝熱管15は、管状をなす部材であって、それぞれ下端が
図1に示す水室21に接続された一対の直線部と、これら直線部の上端部同士を接続する曲がり部15Uと、を有している。
【0019】
伝熱管群16は、曲がり部15Uの大きさが互いに異なる複数の伝熱管15を、曲がり部15Uの径が小さいものから順に該曲がり部15Uの外側に向かって配列することで構成される。このとき、上記の各直線部は互いに平行をなしている。これにより、上記のように同一平面内に配列された複数の伝熱管15を有する伝熱管群16が形成される。この伝熱管群16における各伝熱管15が配置される平面に沿う方向を、面内方向と呼ぶ。
【0020】
熱交換器本体11は、伝熱管群16を面内方向に直交する面外方向に複数積層することで構成される。このように伝熱管群16が積層されることで、熱交換器本体11の頂部では、複数の曲がり部15Uが全体として半球状をなすUベンド部を形成する。このUベンド部10は、熱交換器20の上方を向くようにして配置される。
【0021】
なお、このような熱交換器本体11は、胴部2の内側に固定された管支持板23に支持されている。すなわち、管支持板には、多数の貫通孔が形成されており、この貫通孔内に各伝熱管15が非接触状態で挿通されている。言い換えれば、各伝熱管群16における複数の伝熱管15は、隣り合う他の伝熱管15との間に間隙を形成するように配置されている。したがって、例えば地震や、後述する自励振動によって伝熱管群16に振動が生じた場合、1つの伝熱管15は、上記の隙間を介して他の伝熱管15に衝突するとともに、互いに当接し合った際に摩擦を生じた状態となる。
【0022】
振止部材12は、面外方向に積層された伝熱管群16の間にそれぞれ設けられている。この振止部材12は、全体としてI字状、又はV字状をなす矩形断面の棒状部材である。振止部材12の両端部には、固定部12aが設けられている。I字状の振止部材12は、Uベンド部10の中央部に位置している。さらに、V字状の振止部材12では、積層される伝熱管群16の間におけるUベンド部10がなす半球の中心側にV字の頂部が位置している。
以上のような構成により、振止部材12は、面外方向に隣り合う伝熱管群16に挟まれるように面内方向に延在している。
【0023】
保持部材13は、Uベンド部10の表面から突出する振止部材12の固定部12a同士を互いに連結する部材である。この保持部材13は、Uベンド部10の半球面に沿って延びる円弧状をなしている。
【0024】
ブリッジ14は、面外方向に間隔をあけて設けられた複数の振止部材12にそれぞれ接続されている。ここで、一部の振止部材12の固定部12aは、他の振止部材12の固定部12aよりも半球面の径方向外側に向かって突出している。ブリッジ14は、この突出部分に接続されている。以上により、ブリッジ14と振止部材12とが互いに接続される。
【0025】
このブリッジ14は、Uベンド部10の外周、すなわち、伝熱管群16の半球状の外周に沿って面内方向に延在するように配置された円弧状の部材である。なお、
図2では、1つのみのブリッジ14が示されているが、実際には複数のブリッジ14が面外方向に間隔をあけて配置されている。
【0026】
以上のように構成された蒸気発生器1では、
図1に示すように、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却水が水室21の入室に送られ、熱交換器本体11の多数の伝熱管15内を通って循環して水室21の出室に到達する。一方、復水器で冷却された二次冷却水は、給水管に送られ、胴部2内の給水路を通って、伝熱管群16に沿って上昇する。この際、伝熱管15内を流通する高温の一次冷却水と伝熱管15周囲の二次冷却水との間で熱交換が行われる。この熱交換を経て冷却された一次冷却水は、出室から加圧水型原子炉内に戻される。一方、高温高圧の一次冷却水と熱交換した二次冷却水は、胴部2内を上昇し、気水分離器で蒸気と熱水とに分離される。分離された蒸気は、湿分分離器で湿分を除去されてからタービンに送られる。
【0027】
ここで、蒸気発生器1内で一次冷却水が各伝熱管15内を通過する際には、特にU字形状の曲がり部15Uの内外における流体の流動に伴って自励振動が発生することが知られている。このような自励振動は、各伝熱管群16の間に配置された振止部材12に伝達された後、減衰する。
【0028】
次に、上述した熱交換器20(Uベンド部10)における耐震評価方法、及び変形応力特性取得方法について説明する。なお、以下で説明する方法は、熱交換器20に限らず、Uベンド部10に類する構成、すなわち複数の配管内外での熱の授受を行う装置であれば、いかなるものにも適用可能である。熱交換器20の他には、例えば復水器がその適用対象として挙げられる。
まず、ステップS1において、Uベンド部10の構成部品をモデル化した構成部品モデル(
図4の伝熱管モデル15A、
図5に示す振止部材モデル12A、
図6に示す保持部材モデル13A、
図7に示すブリッジモデル14A)をUベンド部10の図面データ(図面情報)に基づいて組み合わせ、Uベンド部10の詳細解析モデルM(
図8参照)を作成する。
【0029】
ステップS1では、自動生成プログラムが組み込まれたコンピュータを使用し、予め作成された上記の構成部品モデル(振止部材モデル12A、保持部材モデル13A、ブリッジモデル14A、伝熱管モデル15A)に基づいて、管群全体(Uベンド部10の全体)の詳細解析モデルMが自動作成される。そして、ステップS1で詳細解析モデルMの作成した後、ステップS2、及ぶステップS4のそれぞれに進む。
なお、図面データは、Uベンド部10の設計図面などであって、構成部品(伝熱管15、振止部材12、保持部材13、及びブリッジ14)の位置や姿勢(角度、向き)や、構成部品同士の接続部の位置等の図面情報であり、上記の自動生成プログラムに予め組み込んでおく。
【0030】
ここで、
図2に示すUベンド部10は、上述した伝熱管15、振止部材12、保持部材13、及びブリッジ14の4種の構成部品の配置と組み合わせが規則的に配列された構成となっている。そのため、各種の構成部品をそれぞれモデル化した部品モデル(12A、13A、14A、15A)を作成し、前記自動生成プログラムに登録しておく。
【0031】
伝熱管15としては、
図4(a)、(b)に示すように、図面データに基づいて所定形状にモデル化した複数の伝熱管モデル15Aが、図面データに基づいて自動生成プログラムによりUベンド部10を構成する前記U字形状に組み合わせて配列される。伝熱管モデル15Aは、図面データから取得される主要寸法を入力することにより、FEMモデル(梁要素からなる解析モデル)として構築される。例えば、U字形状の曲げ半径を図面データから読み取って、その曲率に合わせて複数の伝熱管モデル15Aを配置し、伝熱管15の全体モデル(伝熱管詳細解析モデル15B)が作成される。
【0032】
また、振止部材12としては、
図5に示すように、図面データに基づいて所定形状にモデル化した複数の振止部材モデル12Aが、図面データに基づいて自動生成プログラムによりUベンド部10を構成するI字状、又は大小のV字状に組み合わせて配列される。振止部材モデル12Aは、図面データから取得される主要寸法を入力することにより、FEMモデル(梁要素からなる解析モデル)として構築される。例えば、振止部材12のV字状の折曲げ角度を図面データから読み取って、その角度に合わせて複数の振止部材モデル12Aを配置し、振止部材12の全体モデル(振止部材詳細解析モデル12B)が作成される。
【0033】
また、ブリッジ14としては、
図6に示すように、図面データに基づいて所定形状にモデル化した複数のブリッジモデル14Aが、図面データに基づいて自動生成プログラムによりUベンド部10を構成するように組み合わせて配列される。ブリッジモデル14Aは、図面データから取得される主要寸法を入力することにより、FEMモデル(梁要素からなる解析モデル)として構築される。例えば、ブリッジ14の曲げ半径(曲率)を図面データから読み取って、その曲率に合わせて複数のブリッジモデル14Aを配置し、ブリッジ14の全体モデル(ブリッジ詳細解析モデル14B)が作成される。
【0034】
また、保持部材13としては、
図7に示すように、図面データに基づいて所定形状にモデル化した複数の保持部材モデル13Aが、図面データに基づいて自動生成プログラムによりUベンド部10を構成するように組み合わせて配列される。保持部材モデル13Aは、図面データから取得される主要寸法を入力することにより、FEMモデル(梁要素からなる解析モデル)として構築される。例えば、保持部材13の曲げ半径(曲率)を図面データから読み取って、その曲率に合わせて複数の保持部材モデル13Aを配置し、保持部材13の全体モデル(保持部材詳細解析モデル13B)が作成される。
【0035】
図8に示す詳細解析モデルMは、上述した伝熱管詳細解析モデル15B、振止部材詳細解析モデル12B、ブリッジ詳細解析モデル14B、及び保持部材詳細解析モデル13Bを図面データに基づいてUベンド部10として集合させることで作成される。
【0036】
次に、ステップS2において、上記ステップS1で作成した詳細解析モデルMを使用して固有値解析を行い、管群(Uベンド部10)のモード情報を取得する。
【0037】
さらに、ステップS3において、ステップS2で取得した固有値解析結果のうち、地震応答スペクトルにおいて応答が大きくなる周波数領域(
図9で符号Tの範囲)に存在する固有モードを特定する。なお、この地震波応答スペクトルは、横軸を周期(s)とし、縦軸を加速度(G)として示している。
【0038】
次に、ステップS4において、ステップS3で特定した固有モードのモード質量から
図12に示すような1自由度系の簡易モデルM2を作成する。
図12中のmはモード質量、Kは
図11中のk1(弾性剛性)又はk2(塑性剛性)をそれぞれ示している。
そして、ステップS5において、簡易モデルM2に対して地震加速度を与える地震波時刻歴応答解析を行い、
図13に示すような応答波形を得る。
【0039】
次いで、ステップS6において、ステップS5で取得した
図13に示す応答波形を用いて、地震時のひずみ量(応答変位)を求める。
図14は、
図13に示す応答波形をひずみ量へ変換した時刻歴波形を、レインフロー法等によって、疲労評価線図にプロットしたものである。
図14は、横軸を応力繰り返し数Nとし、縦軸に応力範囲Δσ(MPa)として示した図である。このような
図14に示す疲労評価結果に基づいて、例えば
図15に示すようなUベンド部のひずみ量と応力との関係を求めることができる。
【0040】
ステップS7では、上述したステップS1で作成した詳細解析モデルMに弾塑性の特性を設定するとともに、上記した伝熱管15同士の間のギャップ(隙間)に関する要素(ギャップ要素)を設定する。具体的には、伝熱管15同士の間のギャップの寸法や、該ギャップ内で伝熱管15同士が振動・衝突した際の挙動を規定する衝突モデルを設定する。当該衝突モデルにより、振動・衝突に加えて伝熱管15同士の摩擦による挙動を規定することができる。以上により、弾塑性特性、及びギャップ要素を織り込んだ非線形モデルが定義される。
【0041】
次いで、ステップS8において、上記の弾塑性特性が設定された詳細解析モデルM1(
図10参照)を使用し、ステップS3で選定されたモード形状(固有モードの形状)を再現するための静解析を行う。例えば、管群全体に水平方向の荷重(慣性加速度)を左右させる等の全数モデルで静的な弾塑性特性、及びギャップ要素を織り込んだ非線形モデルによる静解析を実施する。これにより、当該固有モードの形状が模擬される。さらに、上記の静解析を行った結果に基づいて、固有モードの形状を模擬した際の
図11に示すような管群(Uベンド部10)に作用する荷重変位特性(荷重と最大変位q、最大ひずみδの関係)を取得する。ここで、
図11中のk
1が一次剛性(弾性剛性)、k
2が二次剛性(塑性剛性)、k
nが伝熱管15同士の衝突後の剛性、そしてδ
yが降伏変形をそれぞれ示している。
【0042】
最後にステップS9では、ステップS6で取得された地震時の応答(ひずみ量)と、ステップS8で取得された荷重変位特性(変形応力特性)に基づいて、終局耐力評価(耐震・応力評価)を行う。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る蒸気発生器の変形応力特性取得方法、及び耐震評価方法では、構成部品の弾塑性と上記のギャップ要素とを考慮した耐震評価を行うことで、部材の塑性化と衝突・摩擦とによる応力の非線形特性を精緻に評価することができる。
さらに、局所的に発生する応力に対しても耐力評価を行うことが可能となるので、従来のようにUベンド部の多数の構成部品数を大幅に減らした簡易集約モデルを使用して地震波時刻歴応答解析を行う評価方法に比べて、精度の高い評価を行うことができる。したがって、従来の評価方法に比べて耐震裕度を見込むことが可能となる。
【0044】
また、図面データに基づいて構成部品モデルを規則的に配列することで、Uベンド部10の詳細解析モデルMを簡単に、かつ短時間で作成することができる。このように、本実施の形態では、試験結果や計測結果に依存しない評価方法となり、設計図面等の図面データの情報のみを使用して評価することができることから、精度よく、かつ簡易な評価方法を実現することができる。
【0045】
しかも、前記詳細解析モデルM(全数モデル)に基づく弾塑性解析を考慮した簡易モデルM2を作成し、この簡易モデルM2に対して地震波時刻歴応答解析を行う方法となることから、全数モデルに対して地震波応答時刻歴解析を行うといった多大な時間をかける必要がなくなり、耐震評価にかかる時間と手間を低減することができる。
【0046】
本実施形態による蒸気発生器の耐震評価方法では、簡単、かつ短時間で弾塑性、及びギャップ要素を考慮した精度の高い耐震評価を行うことができ、評価手法の精緻化を図ることができる。
【0047】
以上、蒸気発生器の耐震評価方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
例えば、本実施の形態では、Uベンド部10の構成部品として、伝熱管15、振止部材12、保持部材13、及びブリッジ14の4種を採用しているが、これらに限定されることはなく、これら4種のうちいずれかでも、或いはこれら4種に加えて他の構成部材の部品モデルを用いることも可能である。
【0049】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について
図16を参照して説明する。上記第一実施形態では、線形モデルとしての詳細解析モデルMによる応答評価を行った。しかしながら、本実施形態ではこれに代えて
図16に示すように、予め弾塑性特性を考慮した非線形モデルとしての詳細解析モデルMによって地震時の応答解析を行い、この解析から得られたひずみ量に基づいて、応力評価を行う。
【0050】
図16に示すように、本実施形態では、ステップS24において地震時のひずみ量(応答変形)を求めるに当たり、弾塑性特性を設定した非線形モデルを用いる。すなわち、上記の第一実施形態では、ステップS4、ステップS5において、線形モデルとしての簡易モデルを用いて地震時のひずみ量(応答変形)を算出した一方で、本実施形態では、第一実施形態におけるステップS7と同様に、弾塑性特性も非線形モデル上で表現される。言い換えれば、本実施形態では、詳細解析モデルMの静解析と動解析の双方が、非線形モデルに基づいて行われる。
【0051】
より具体的には、まず、ステップS21にて、上記と同様の詳細解析モデルMを作成する。次いで、ステップS22にて、弾塑性特性を考慮した非線形モデルを作成する。ステップS23では、この弾塑性特性を考慮した非線形モデルに基づいて、地震時の応答解析が行われる。ステップS23では、上述した第一実施形態におけるステップ2、3と同様に、固有値解析と、この固有値解析の結果に基づく、評価モードの選定が行われた後、該評価モードを対象として、時刻歴応答解析が行われる。
【0052】
後続のステップS24では、上記ステップS23の応答解析に基づいて、地震時のひずみ量(応答変位)が求められる。さらに、以上の各ステップに並列するステップS25、及びステップS26にて上記ステップS22と同様に、ギャップ要素を考慮した非線形モデルを用いて変形応力特性を取得する。ステップS27では、ステップS24における歪み量と、ステップS26における荷重変位特性(変形応力特性)とに基づいて、終局耐力評価(耐震・応力評価)が行われる。
【0053】
このような方法によっても、簡単、かつ短時間で弾塑性、及びギャップ要素を考慮した精度の高い耐震評価を行うことができ、評価手法のさらなる精緻化を図ることができる。