特許第6497600号(P6497600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497600
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】腹腔鏡ポートサイト開閉装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20190401BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   A61B17/34
   A61B17/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-545628(P2017-545628)
(86)(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公表番号】特表2018-526038(P2018-526038A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】KR2016010069
(87)【国際公開番号】WO2018026050
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0100005
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516140834
【氏名又は名称】キム,キ ソン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ ソン
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−280931(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/017540(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/040617(WO,A1)
【文献】 米国特許第05810863(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0018850(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0163323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔された手術部位ポートに挿管するために中空棒体でなるスリーブの一端にハンドル部が結合されたトロカール(4)と、
トロカールのハンドル部の上部に着脱可能に結合される中間コネクター(5)と、
前記中間コネクターにフック締結され、前記トロカールの前記ハンドル部と前記スリーブを順に貫通して終端部が前記スリーブの端部外に露出され、ポートを開放しながら腹腔の内部に進入するように構成される套管チップ(37)、及び前記套管チップ(37)が除去されてから取り替えられて結合されて開放ポートを縫合閉鎖するための縫合カートリッジ(36)を含むポート開放及び閉鎖兼用の穿孔/縫合アセンブリー(3)とを含んでなることを特徴とする、腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項2】
前記穿孔/縫合アセンブリー(3)は、ハンドル部(33)から長く伸びたカバーロッド(34)が両分され、
前記カバーロッド(34)内で規制角度範囲内で回転し、規制距離内で昇降するホルダー(35)を内蔵し、
前記カバーロッド(34)の下部に締結されて固定される前記縫合カートリッジ(36)と、
前記カバーロッド(34)の下部に締結されて固定される前記套管チップ(37)とを含んでなり、
前記縫合カートリッジ(36)と前記套管チップ(37)の中でいずれか一つを選択的に結合し、取り替えて使うことができるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項3】
前記カバーロッド(34)の外径部にはニードル案内溝(341)が螺旋状に形成され、前記カバーロッド(34)の両分された部材が対向し、ワンタッチフック(32)を内蔵したハンドルカバー(31)と結合されることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項4】
前記カバーロッド(34)の両分された部材は上下2ヶ所に対向して形成された複数の締結フック(342)と締結溝(343)が互いに締結されて結合され、前記カバーロッド(34)の内部にはホルダー(35)が内蔵され、
前記カバーロッド(34)は内側上部にクランク型溝(345)が形成されてロック/アンロック規制部(300)を構成し、中間部に段差部である下降規制部(301)が、下部には段差部である上昇規制部(302)が形成され、最下端部には内向突起(347)を備えた突出片(346)が形成されることにより、対向して組み立てられるときに下端部にネック進入部(303)をなすように中空形になることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項5】
前記ホルダー(35)は上部ハンドルの下側の段差部(352)の上部直径が大きくて下部直径が小さいホールディングロッド(351)を構成し、ホールディングロッドの上下に上下突部(353、354)が突設され、下突部の直上部にストッパー(355)がディスク状に突設され、
前記ホールディングロッド(351)の上突部(353)は前記カバーロッド(34)のクランク型溝(345)に結合され、前記段差部(352)は下降規制部(301)の上側に位置して下方への移動を制限し、前記ストッパー(355)は上昇規制部(302)の下側に位置して上方への移動を制限し、前記クランク型溝(345)と上昇及び下降規制部(302、301)によって前記ホールディングロッド(351)の昇降距離を制限し、
前記クランク型溝(345)は前記ホールディングロッド(351)の昇降と上昇又は下降位置でのロック/アンロックのために水平回転するロック/アンロック規制部(300)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項6】
前記套管チップ(37)は尖鋭端部(371)が形成され、中心部には上方に長く伸びたネック(372)が形成され、前記カバーロッド(34)の端部に着脱可能に結合され、前記套管チップの外径は前記カバーロッドの外径と一致するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項7】
前記縫合カートリッジ(36)は前記カバーロッド(34)の端部にネック(362)が挿入されて着脱可能に結合されるように構成され、前記ホルダー(35)によってコントロールされて両側に展開するとか折り畳まれる羽部(361)と縫合糸を内蔵する隔室とを備え、縫合糸の両端が前記羽部(361)に挿入され、身体外部から侵襲するニードルに縫合糸の端部がかかって身体の外部に引き出されることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項8】
前記套管チップ(37)は、尖鋭端部(371)の内側に雌ネジ部(375)が形成され、対向するカバーロッド(34)の突出片(346)に雄ネジ部(346a)が形成され、雌雄ネジ部(375、346a)を螺合することによってカバーロッド(34)の下部に結合されて締結固定されることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【請求項9】
前記套管チップ(37)は、尖鋭端部(371)の内側に内溝部(375b)が形成され、対向する前記カバーロッド(34)の突出片(346)に外突起(346b)が形成され、前記内溝部と前記外突起が結合することによって前記カバーロッド(34)の下部に結合されて締結固定されることを特徴とする、請求項2に記載の腹腔鏡ポートサイト開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡ポートサイト開閉装置に関し、より詳しくは、ポートを維持しながら多様な手術器具を導入するためのトロカール(trocar)を通じて腹腔鏡手術のためのポートを人体に穿設する装置と、手術後に穿孔されたポートを縫合する閉鎖装置とを単一トロカールアセンブリーにおいて取り替えて使うことができるようにした腹腔鏡ポートサイト開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、腹腔鏡手術は、既存の開腹手術とは異なり、腹部に0.5〜1.2cm程度の孔を4個〜6個穿って、この内部に直径0.5〜1.2cm、長さ15〜16cmのトロカール(trocar)を入れた後、この孔に光源とカメラを入れ、他の孔には各種の手術道具を入れ、外部のモニターを見ながら、臓器を切ってから縫って成形する手術方法である。
【0003】
腹腔鏡手術を行うためには、まず患者の腹部にトロカール(troca)を挿入した後、トロカールを通じて腹腔の内部に炭酸ガスのような気体を注入して腹腔内に起伏を引き起こして手術空間を確保した後、多数のトロカールを介して内視鏡及び手術器具で手術部位を観察しながら患部を施術すると知られている。
【0004】
手術が終われば、手術部位を縫合するための縫合器具が用いられる。この縫合器具は、トロカールを通じて腹腔の内部に挿入された固定やっとこでニードルを摘んで手術部位を縫う方法で手術部位を縫合し、手術部位を縫った後には、糸が解けることを防止するために、糸の両端をトロカールを通じて体外に抜き取り、体外で結び目を作った後、結び目を結び目押込器で押し込んで腹腔内で結び目が形成されるようにしている。
【0005】
腹腔内部の手術部位の処置が完了した後、トロカールを除去してポートを閉鎖する縫合を行う。
【0006】
ポート閉鎖縫合は、直接縫う方式と縫合器で縫合する方式が知られている。
【0007】
従来技術によると、トロカールによるポート穿孔で手術通路を確保し、縫合器による縫合は別個の装置でポート閉鎖を行っている。
【0008】
手術用ポートサイトの形成は図1のようにトロカールによって行われる。トロカール10は、套管チップ16が貫く管状スリーブ14とスリーブ上部のハンドル部12とからなり、腹腔皮下組職を貫くように套管チップ16の端部を尖鋭端部16aにし、ポート穿孔後には套管チップを除去し、トロカール10を通じて各種の手術道具を挿入して手術を行うように構成されている。
【0009】
手術が終わった後には、前記トロカール10を除去し、図2のような縫合器でポートを縫合することで閉鎖を成すものである。
【0010】
図2の縫合器も多様に知られており、このような縫合器はポートの縫合を速かに成し、失敗ない縫合の安全性を提供するので、その使用が段々拡がっている。
【0011】
このような縫合器は筋膜閉鎖装置として知られてもいる。
【0012】
これは、穿孔された手術部位ポートに挿管するために棒体でなり、ニードル23の挿入を案内するガイド溝22を対向させて複数形成したチューブ状の本体21と、この本体の下部に結合され、カム方式で展開するとか折り畳まれる羽部25とからなり、羽部には前記ニードル23が貫通する位置にシリコンパッド26が設けられ、前記操作棒24の回動によって前記羽部25が展開し、逆回動によって羽部がさらに折り畳まれるようになっている。
【0013】
本発明者も前記従来の縫合器の欠点を改善した新たな構造の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置を韓国特許登録第1594082号として受けたことがある。
【0014】
本発明者の前記登録特許によると、腹腔鏡ポートサイト縫合用ニードルガイドの先端に縫合糸を内蔵したカートリッジを設け、ニードルガイドによって案内されて生体組職を貫通するニードルの先端部に縫合糸をかけてニードルを抜き取るとき、この侵襲した経路に沿って縫合糸を取り出して外部で縛ることで腹腔鏡ポートを縫合することができるようになった腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置に関するもので、穿孔された手術部位ポートに挿管するために、棒体からなり、ニードルの挿入を案内するガイド孔を対向して複数形成したチューブ状の本体と、この本体に結合され、カム方式で展開するとか折り畳まれるように下部に設けられた羽部とからなり、前記チューブ状の本体を貫通する操作棒の回動によって羽部が展開し、逆回動によって羽部が折り畳まれるようになり、本体の下端には前記操作棒に着脱される交替型カートリッジが設けられ、カートリッジは操作棒によって両側に広がる羽部を含み、縫合糸を内蔵する隔室が設けられ、縫合糸の両端が羽部に差し込まれ、身体の外部から侵襲するニードルの溝に前記縫合糸の端部がかかって身体の外部に引き出されるように構成されるものである。
【0015】
前記本発明者の先登録特許によって、縫合糸を内蔵したカートリッジを交替型に構成することにより、ポートサイト閉鎖縫合が失敗なしに極めて容易であり、縫合糸が内蔵されたカートリッジのみを取り替えて再使用することができるなどの有用性があったが、このような先登録発明を含む従来の縫合器は単に開放したポートを縫合する閉鎖装置に限定されるものなので、ポート開放とポート閉鎖がそれぞれ異なる装置によって行われている。
【0016】
このような開放と閉鎖がそれぞれ異なる装置でなされるため、手術後の縫合時にはポートからトロカールを除去して開放し、その位置にさらに筋膜閉鎖装置(縫合器)を入れてポートを縫合閉鎖するとき、既に腹腔内に注入した手術用ガスが過度に逆流出するので、手術空間が狭くなって後続処置が難しくなる問題があり、トロカールの除去と筋膜閉鎖装置の交替挿入の処置によって手術が煩わしくて時間が伸ばされる問題があり、患者の予後を良くするのに障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】韓国特許登録第1594082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上述したようにトロカールの機能と縫合器の機能が区分されている問題点を解決しようと開示するものである。
【0019】
本発明はトロカールスリーブを貫いて腹腔内に挿入される新しい穿孔/縫合アセンブリーを提供して、ポート穿孔による腹膜開放と手術後の開放ポートの閉鎖を兼ねるようにした腹腔鏡ポートサイト開閉装置を提供しようとする。
【0020】
本発明はポート縫合のためにトロカールを除去せずにトロカールスリーブ内に縫合カートリッジを取り替えた穿孔/縫合アセンブリーを挿入して縫合することによって腹腔内に注入されたガスの逆流出を最小化するので、手術空間を持続的に確保するのに有用であり、縫合時間を縮めるようにした腹腔鏡ポートサイト開閉装置を提供しようとする。
【0021】
本発明は腹腔鏡ポートサイト開閉装置の胴体の端部に着脱可能なカートリッジを構成し、反復使用時にカートリッジのみを取り替えて使うことができるようにして、簡便に同じ患者に対して再使用した後に廃棄するので、感染のおそれがない腹腔鏡ポートサイト開閉装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために構成される本発明は次のようである。
【0023】
穿孔された手術部位ポートに挿管するために中空棒体でなるスリーブとスリーブの一端のハンドル部とからなるトロカールを含み、前記トロカールのハンドル部とスリーブを順に貫いて終端部が腹腔の内部に進入するように構成される穿孔/縫合手段が前記トロカールのハンドル部にフック結合されるように構成される。
【0024】
前記穿孔/縫合手段はトロカールのハンドル部にフック締結するハンドルとハンドルから長く伸びたカバーロッドとを含み、カバーロッド内で規制角度内で回転し、規制距離内で昇降するホルダーを内蔵し、カバーロッドの下部に結合され、ホルダーによって締結固定される縫合カートリッジと、カバーロッドの下部に結合されるとか、カバーロッドの下部に結合され、ホルダーによって締結固定される套管チップとを含んでなり、縫合カートリッジと套管チップを選択的に結合し、取り替えて使うことができる。
【0025】
前記カバーロッドの外径部にはニードル案内溝が螺旋状に複数形成されている。
【0026】
前記套管チップは、尖鋭端部が形成されてカバーロッドの端部に結合するように構成され、套管チップの外径はカバーロッドの外径と一致することが好ましい。
【0027】
前記縫合カートリッジは、カバーロッド端部に結合するように構成され、ホルダーによってコントロールされて両側に展開するとか折り畳まれる羽部と縫合糸を内蔵する隔室とを備え、縫合糸の両端を羽部に挿入され、身体の外部から侵襲するニードルに縫合糸の端部がかかって身体の外部に引き出される。
【発明の効果】
【0028】
以上のような本発明によると、従来トロカールのポート開放機能と縫合器のポート閉鎖機能がそれぞれの装置によってなされるように区分されていたものを、単一装置でポート開放とポート閉鎖を具現するようにした飛躍的な特徴を有する。
【0029】
本発明は、堅固に結合され、容易に取り替えられる穿孔/縫合アセンブリーによって、ポート穿孔による腹膜開放と術後の開放ポートの縫合閉鎖を兼ねることができる効果がある。
【0030】
本発明は、ポート縫合のために、従来にはトロカールを除去し、別個の縫合器を挿入施術するとき、トロカールが除去されたポートを通じて腹腔内に注入されたガスが逆流出する問題が解消される。
【0031】
すなわち、本発明は、ポートを閉鎖しているトロカールを除去せずにトロカールスリーブ内に縫合カートリッジを取り替えた穿孔/縫合アセンブリーを挿入して縫合することによって腹腔内に注入されたガスの逆流出を最小化するので、手術空間を持続的に確保することができる効果があり、既存に施術されたトロカールを通じて穿孔/縫合アセンブリーを挿入するので、縫合時間を縮め、手術時間を減らして患者の処置に有益な効果がある。
【0032】
本発明は、腹腔鏡ポートサイト開閉装置のカバーロッドの端部に着脱可能なカートリッジを形成することで、反復使用時にカートリッジのみを取り替えて使うことができるように構成して、簡便に同じ患者に対して再使用した後に廃棄するので、感染のおそれがないなどの多くの優れた効果を有する発明である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来の腹腔鏡ポートサイト開放装置としてトロカールを例示した外形図である。
図2】従来の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置として縫合器を例示した外形図である。
図3】本発明の穿孔/縫合アセンブリーを含む腹腔鏡ポートサイト開閉装置を示す分解斜視図である。
図4】本発明の穿孔/縫合アセンブリーを抜粋して示す要部構成図である。
図5図4の穿孔/縫合アセンブリーを平面的に示す構成図である。
図6】本発明の套管チップを示す平面状態図及び正面状態図である。
図7】本発明の縫合カートリッジを示す平面状態図及び正面状態図である。
図8】本発明の穿孔/縫合アセンブリーの要部作動状態図である。
図9図8のロック/アンロック規制部による套管チップ着脱作動状態を示す作動図である。
図10図8のロック/アンロック規制部による縫合カートリッジ着脱作動状態を示す作動図である。
図11】本発明の套管チップ着脱状態を示す作動図である。
図12】本発明の縫合カートリッジ着脱及び作動状態を示す作動図である。
図13】本発明の套管チップの変形例を示す構成図である。
図14】本発明の套管チップの変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に基づいて本発明の具体的な構成及び作用を説明する。
【0035】
穿孔された手術部位ポートに挿管するために中空棒体でなるスリーブの一端にハンドル部を結合したトロカールにおいて、前記トロカールのハンドル部とスリーブを順に貫通し、終端部がスリーブ端部の外側に露出され、腹腔の内部に進入するようになる套管チップを含み、套管チップを除去し、縫合カートリッジを取り替えて結合するようになる穿孔/縫合手段を前記トロカールのハンドル部にワンタッチフックで結合するように構成される。
【0036】
前記穿孔/縫合手段は、トロカールに着脱され、ポート開放(穿孔)時には套管チップを終端部に結合設置し、ポート閉鎖(縫合)時には縫合カートリッジを終端部に取り替えて結合してポートの開放と閉鎖を兼用する穿孔/縫合アセンブリー3でなる。
【0037】
前記穿孔/縫合アセンブリー3は、トロカールのハンドル部にワンタッチフック32が締結されるハンドルカバー31と、ハンドル部33から長く伸び、両分されたカバーロッド34と、カバーロッド34内で規制角度内で回転し、規制距離内で昇降するように内蔵されたホルダー35と、カバーロッド34の下部に結合され、ホルダー35によって締結固定される縫合カートリッジ36と、カバーロッド34の下部に結合されるとかカバーロッド34の下部に結合され、ホルダー35によって締結固定される套管チップ37とを含んでなり、縫合カートリッジ36と套管チップ37を選択的に結合し、交代して使うようになるものでよる。
【0038】
前記カバーロッド34の外径部にはニードル案内溝341を螺旋状に形成し、複数のカバーロッド34を対向させ、ワンタッチフック32を内蔵したハンドルカバー31を組み立てることで構成する。
【0039】
前記複数のカバーロッド34は、上下2ヶ所に締結フック342と締結溝343を対向するように形成して互いに対向して締結されるようにし、カバーロッド34の内部にはホルダー35を内装結合してなる。
【0040】
前記カバーロッド34は、内側上部にクランク型溝345を成形してロック/アンロック規制部300を構成し、中間部に下降規制部301を、下部には上昇規制部302を形成し、最下端部には内向突起347を備えた突出片346を形成することで、対向して組み立てられるときに下端部にネック進入部303をなすように中空形になる。
【0041】
前記ホルダー35は、上部ハンドルの下側に段差部352を形成して上部の直径が大きくて下部の直径が小さいホールディングロッド351を構成し、ホールディングロッドの上下に上下突部353、354を突設し、下突部の直上部にストッパー355をディスク状に突設することでなる。
【0042】
前記ホールディングロッド351の上突部353はカバーロッド34のクランク型溝345に結合し、段差部352は下降規制部301の上側に位置して下方への移動を制限するようにし、ストッパー355は上昇規制部302の下側に位置して上方への移動を制限するようにし、前記クランク型溝345と上昇及び下降規制部302、301によってホールディングロッド351の昇降距離を制限するようにする。
【0043】
前記クランク型溝345はホールディングロッド351の昇降と上昇又は下降位置でのロック/アンロックのために水平回転を成すロック/アンロック規制部300を構成する。
【0044】
前記套管チップ37は、尖鋭端部371を形成し、中心部には上方に長く伸びたネック372を形成して前記カバーロッド34の端部に着脱可能に結合するようにし、套管チップの外径はカバーロッドの外径と一致するようにすることが好ましい。
【0045】
前記縫合カートリッジ36は、カバーロッド34の端部にネック362が挿入して着脱可能に結合され、ホルダー35によってコントロールされて両側に展開するとか折り畳まれる羽部361が設けられ、縫合糸を内蔵する隔室を備え、縫合糸の両端を羽部361に挿入することで、身体の外部から侵襲するニードルに縫合糸の端部がかかって身体の外部に引き出されるように構成される。
【0046】
このような縫合カートリッジ36は本発明者の先登録特許に既に知られているので、具体的な構成の説明は省略し、後述する作動過程でより具体的に説明する。
【0047】
前記のような本発明は交替型套管チップ37の構造を変形し、対向カバーロッド34の組立構造を変形して実施することもできる。
【0048】
套管チップ37は、尖鋭端部371の内側に雌ネジ部375を形成し、対向するカバーロッド34の突出片346に雄ネジ部346aをさらに形成することで、雌雄ネジ部375、346aの螺合による着脱ができるように構成することもできる(図13参照)。
【0049】
また、套管チップ37は、尖鋭端部371の内側に内溝部375bを形成し、対向するカバーロッド34の突出片346に外突起346bを形成することで、内溝部と外突起の結合によって着脱できるように構成することもできる(図14参照)。
【0050】
上述したような構成を有する本発明についてより具体的に説明する。
【0051】
本発明の腹腔鏡ポートサイト開閉装置は周知のように主に手術患者の腹膜を通じて手術通路を開放して維持するトロカールとして作用する。
【0052】
本発明の腹腔鏡ポートサイト開閉装置は、手術ポートを開放し、さらに開放された手術ポートを縫合して閉鎖する。
【0053】
図11及び図9に示したポート開放のための過程を先に説明する。
【0054】
ポート開放のために、本発明の穿孔/縫合アセンブリー3のカバーロッド34の最下端に套管チップ37を締結固定する。
【0055】
套管チップ37は、線形ガイド溝372aとロッキング溝372bを有するネック372をカバーロッド34の下端ネック進入部303に挿入してからホルダー35を一方向に回すと、ホルダーの下突部354が套管チップ37のロッキング溝372bに締結されて堅固なロックをなす。
【0056】
前記ネック372の進入時、突出片346の突起347は套管チップ37の線形ガイド溝372aを案内して挿入角度を一定に誘導する作用をする。一定の角度で挿入することは、ホールディングロッド351の下突部354と套管チップ37のロッキング溝372bを整列して互いに結合位置に合わせるためであり、このような挿入誘導作用は縫合カートリッジ36の着脱においても同様である。
【0057】
前記套管チップ37のネック372部分はネック進入部303に深く挿入され、ホールディングロッド351を回転させれば、下突部354がロッキング溝372bに締結されると同時に上突部353はクランク型溝345の溝位置(345aから345bに)に移動し、套管チップとカバーロッド34の端部が互いに接して溝位置345cの方向への上向移動ができなくてホールディングロッド351の昇降は制限され、套管チップ37の固定が完了する。
【0058】
套管チップ37が固定された穿孔/縫合アセンブリー3をトロカール4に挿合すれば、中間コネクター5にワンタッチフック32が締結して腹腔套管の準備が完了する。
【0059】
トロカール4に締結された穿孔/縫合アセンブリー3を把持し、切開された腹膜に押し込んで挿入することは公知のようである。
【0060】
腹腔套管が完了すれば、ワンタッチフック32を分離してトロカール4から穿孔/縫合アセンブリー3を抜き取って除去する。
【0061】
その後、トロカール4の開放孔を通じて手術することもやはり公知のようである。
【0062】
手術が完了すれば、除去された穿孔/縫合アセンブリー3の下端部に締結された套管チップ37を除去し、ポート閉鎖縫合のために縫合カートリッジに取り替える。この除去は、前述したホールディングロッド351を溝位置(345bから345aに)に逆回転させて下突部354からロッキング溝372bを分離させた後、套管チップ37を引き出して除去する。
【0063】
図12及び図10に示すように、套管チップを除去した穿孔/縫合アセンブリー3の下端部に縫合カートリッジ36のネック362を押し込んでホールディングロッド351を回転させることによって結合させる。
【0064】
縫合カートリッジ36に取り替えられた穿孔/縫合アセンブリー3を腹膜に挿管されたトロカール4に挿入した後、ホールディングロッド351を引き上げると、上突部353はクランク型溝345の溝位置345bに沿って上方に移動する。この時、突出片346の突起347によって羽部361の溝が案内されて羽部361が水平方向に展開し、ホールディングロッド351を回転方向にさらに回転させれば、上突部353が溝位置345cに結合して展開した羽部361の折り畳みを防止するようにホールディングロッド351の下降を制限する。
【0065】
前記縫合カートリッジ36の具体的な構造及び作動は既に本発明者の先登録特許で詳細に言及したことがある。
【0066】
略述すれば、縫合カートリッジ36は下部の隔室に縫合糸を巻き取って内蔵し、縫合糸の両端部を羽部361に挿入し、ニードルが羽部に侵襲することによって縫合糸がニードルにかかって外部に取り出されるようにして縫合を容易にしたものである。
【0067】
したがって、縫合は、トロカール4のハンドル42のキャップを開いて縫合用ニードルを差し込めば、螺旋形ニードル案内溝341に沿ってスリーブ41を通過して展開した羽部361に至り、羽部に設けられた縫合糸の一端をニードル39にかけて人体の外部に抜き取り、反対方向からニードルを差し込んで繰り返した後、ホールディングロッド351を逆動作させて羽部361を折り畳み、穿孔/縫合アセンブリー3をスリーブ41から抜き出して除去した後、縫合糸を結束することによってポート閉鎖を成すようにする。
【0068】
他の位置に施術されたトロカール4にもやはり前記縫合作業が行われる。この時にも縫合カートリッジ36のみを新しいものに取り替えて決着し、腹膜に挿入して縫合を行うことによって全てのポート閉鎖が可能である。
【0069】
前記套管チップ73は、図13のように、尖鋭端部371の内側に雌ネジ部375を形成し、対向するカバーロッド34の突出片346に雄ネジ部346aをさらに形成して、雌雄ネジ部375、346aの螺合によって着脱できるように構成した場合、着脱はロッキング溝372bによらなくてネジ部375、346aの相互結合によってなされる。
【0070】
また、套管チップ37は、図14のように、尖鋭端部371の内側に内溝部375bを形成し、対向するカバーロッド34の突出片346に外突起346bをさらに形成し、内溝部375bの折曲水平溝に外突起結合346bを結合することによって着脱を成すこともできる。
【0071】
套管チップ37は、縫合カートリッジ36とは違い、カバーロッド34の下端部に堅固に結合された状態を維持し、結合状態を解除することができる構造であればいずれも採択することができ、さらに手術場所で使用の便利性があり、手術中に易しく分離されない構造であればいずれも適用可能であり、このような範疇の変形は特に限定しなくても通常の知識人によって本発明から容易に発明することができる程度のもので、このような変形は請求範囲の技術に含まれるものである。
【0072】
前記のようなポート開放と開放ポートの閉鎖縫合はいずれも穿孔/縫合アセンブリー3によってなされ、下端部の套管チップ37又は縫合カートリッジ36の交替によって兼用が可能であり、多数回施術されたトロカールのポートも縫合カートリッジ36のみを取り替えてポート縫合を行うので、手術は時間が短縮し、ポート開放と閉鎖に必要な道具も減少するので、経済性の高い非常に優れた発明である。
【符号の説明】
【0073】
3 穿孔/縫合アセンブリー
31 ハンドルカバー
32 ワンタッチフック
33 ハンドル部
34 カバーロッド
35 ホルダー
36 縫合カートリッジ
37 套管チップ
300 ロック/アンロック規制部
301 下降規制部
302 上昇規制部
303 ネック進入部
341 ニードル案内溝
342 締結フック
343 締結溝
345 クランク型溝
346 突出片
346a 雄ネジ部
346b 外突起
347 突起
351 ホールディングロッド
352 段差部
353 上突部
354 下突部
355 ストッパー
361 羽部
362、372 ネック
362a、372a ガイド溝
362b、372b ロッキング溝
371 尖鋭端部
375a 雌ネジ部
375b 内溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
図12
図13
図14