特許第6497621号(P6497621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497621
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】板金加工機
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   B21D43/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-94576(P2015-94576)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-209896(P2016-209896A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100094064
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】冨永 宏則
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−186198(JP,U)
【文献】 特開2000−237892(JP,A)
【文献】 特表2012−515657(JP,A)
【文献】 特開2001−87829(JP,A)
【文献】 特開2012−16747(JP,A)
【文献】 特開平10−180474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00 − 43/10
B21D 28/36
B23K 26/10
B23K 26/70
B26D 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するブラシテーブルを有し、隣接する両ブラシテーブル間にある1直線に沿って連続した隙間に対して、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシを、直立に対して隙間に向って斜めに植え、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くすようにしたことを特徴とする板金加工機。
【請求項2】
上記隣接する両ブラシテーブル間の隙間に対して、両ブラシテーブルのブラシが、直立に対して隙間に向って斜めに植えられている請求項1記載の板金加工機。
【請求項3】
上記隙間がいずれかのブラシテーブルの両端にある場合には、該ブラシテーブルの中央部にブラシを直立に植え、両隙間に近づくに従って、ブラシを両隙間に向って斜めに植える請求項1又は2記載の板金加工機。
【請求項4】
ワークを搬送するブラシテーブルを有し、隣接する両ブラシテーブル間の一方の接合部を凹部として構成すると共に他方の接合部を凸部として構成し、各凹部、凸部の接合部を複数個設け、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くすようにしたことを特徴とする板金加工機。
【請求項5】
上記隣接する両ブラシテーブル間にある隙間に対して、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシが直立に対して隙間に向って斜めに植えられているに請求項4記載の板金加工機。
【請求項6】
上記各凹部、凸部の接合部が矩形波、三角波又はサイン波により構成されている請求項5記載の板金加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する両ブラシテーブル間の隙間にワークから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようにして加工を続行する板金加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特開2001−321860号公報には、板金加工機(同公報の図5)のテーブル上のブラシに搬送されるワークが引っ掛からないようにした技術が開示されている。
【0003】
例えば、同公報の図1に記載したように、直交する格子形状を所定角度だけ反時計方向に回転させた場合に、各格子点にブラシ(同図ではブラシ束11)を配置した構成を有する。
【0004】
この構成により、上記従来技術は、ブラシ束の数を増加させることなく該ブラシ束を狭くすることができるので、移動するワークの引っ掛かりを防止することができる(同公報の段落番号0037参考)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−321860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来技術は、テーブル上のブラシ束11(同公報の図1)の間隔L1を狭くすることにより、ワークの引っ掛かりを防止している。
【0007】
しかしながら、本願の図9に示すように、例えばタレットパンチプレス(本願の図1)に代表される板金加工機には、固定されたテーブル100(例えば図1のセンタテーブル10)と移動するテーブル101(例えば図1のサイドテーブル10A、10B)があり、構造上両テーブル間には、テーブル全体に亘り、1直線に沿って連続する隙間Tができる。
【0008】
また、本願の図10に示すように、一般にブラシテーブル102、103をくっつけた場合に、隣接するブラシテーブル間には、テーブル全体に亘り、1直線に沿って連続する隙間Tが形成される。
【0009】
しかし、上述した例えば特許文献1に掲げた従来技術では、ワーク移動する際に、このような両ブラシテーブル間の隙間に、ワークとミクロジョイントで連結された製品、あるいは製品が打ち抜かれたスケルトン等が引っ掛かるのを防止することができない。
特に、既述したワークとミクロジョイントで連結された1製品の長さや、製品が打ち抜かれた1つのスケルトン部分の長さに対して、1直線に沿って連続する隙間Tの方が長い場合には、この1つの製品やスケルトン部分の全体が隙間Tに引っ掛かり易くなり、その可能性は、1直線に沿って連続する隙間Tが長ければ長い程高くなる。
【0010】
その結果、ワークの加工を中止し、当初からやり直さねばならず、極めて効率が悪い。
【0011】
本発明の目的は、隣接する両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くし、又は該隙間の長さを短くし、テーブル全体に亘って1直線に沿って連続した隙間を無くすことにより、ワークとミクロジョイントで連結された製品や製品が打ち抜かれたスケルトン等が上記隙間に引っ掛からないようにして加工を続行する板金加工機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は請求項1に記載されている第1発明のように、ワークW(図1)を搬送するブラシテーブル10、10A、10B、10C、10Dを有し、隣接する両ブラシテーブル間にある1直線に沿って連続した隙間Tに対して、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシを、直立に対して隙間Tに向って斜めに植え、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間Tを無くすようにしたことを特徴とする板金加工機と、
請求項4に記載されている第2発明のように、ワークW(図1)を搬送するブラシテーブル10、10A、10B、10C、10Dを有し、隣接する両ブラシテーブル間の一方の接合部を凹部として構成すると共に他方の接合部を凸部として構成し、各凹部、凸部の接合部を複数個設け、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間Tを無くすようにしたことを特徴とする板金加工機という技術的手段が提供される。
【0013】
上記本発明の構成によれば、第1発明(図2(A))の場合には、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシを、直立に対して隙間Tに向って斜めに植えることにより(例えば図3(A))、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間Tを無くすようにして、該隙間TにワークWとミクロジョイントで連結された製品、あるいは製品が打ち抜かれたスケルトン等が引っ掛からないようになり、また、第2発明(図2(B))の場合には、隣接する両ブラシテーブル間の一方と他方の接合部を凹部、凸部として構成し、各凹部、凸部の接合部を複数個設けることにより、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間Tを無くすようにして、比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・をワークWとミクロジョイントで連結された製品、あるいは製品が打ち抜かれたスケルトン等が瞬時に通過するために引っ掛からないようになり、前記第1発明、第2発明共に、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間Tを無くすという「技術的特徴」を有し、発明の「先行技術に対する貢献」が齎されるものである。
【発明の効果】
【0014】
従って、上記本発明の構成によれば、隣接する両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くし、又は該隙間の長さを短くし、テーブル全体にわたって1直線に沿って連続した隙間を無くすことにより、ワークとミクロジョイントで連結された製品や製品が打ち抜かれたスケルトン等が上記隙間に引っ掛からないようにして加工を続行する板金加工機を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る板金加工機を示す全体図である。
図2】本発明の第1発明と第2発明における隣接するブラシテーブル間の隙間Tの形態を示す図である。
図3】本発明の第1発明による第1実施例を示す図である。
図4】本発明の第1発明による第2実施例を示す図である。
図5】本発明の第1発明による第3実施例を示す図である。
図6】本発明の第1発明による第4実施例を示す図である。
図7】本発明の第2発明による隙間Tの例を示す図である。
図8】本発明の第2発明による実施例を示す図である。
図9】従来技術の説明図である(その1)。
図10】従来技術の説明図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
図1は、本発明に係る板金加工機の一例であるタレットパンチプレスを示す図であり、上部タレット6と下部タレット7には、パンチPとダイDが同心円状に配置されている。
【0017】
上部タレット6の回転軸8と下部タレット7の回転軸9には、チェーン4と5が巻回され、該チェーン4と5は、駆動軸3に巻回されている。
【0018】
また、パンチセンタKにおけるパンチPの直上方であって、上部フレーム1には、パンチPを殴打するラム2が設けられている。
【0019】
この構成により、モータMで駆動軸3を回転させチェーン4と5を循環させれば、上部タレット6と下部タレット7が同期回転し、所定のパンチPとダイDから成る金型をパンチセンタKにおいて選択することができる。
【0020】
下部フレーム21には、Y軸ガイドレール17が敷設され、このガイドレール17には、サポートブラケット16が滑り結合しており、該サポートブラケット16にはキャリッジべース11が固定され、該キャリッジべース11には、上部フレーム1に設けたY軸モータMyのボールねじ14が螺合している。
【0021】
また、キャリッジべース11には、ワークWを把持するクランプ装置13が取り付けられているキャリッジ12がX軸ガイドレール(図示省略)を介して滑り結合しており、該キャリッジ12には、X軸モータMxのボールねじ15が螺合している。
【0022】
また、タレットパンチプレスの中央には、ブラシ(図示省略)が植えられたセンタテーブル10が固定され、該センタテーブル10を跨がってキャリッジべース11が配置され、センタテーブル10の両側のブラシ(図示省略)が植えられたサイドテーブル10A、10Bがキャリッジべース11に取り付けられ、更に、サイドテーブル10A、10Bの外側には同様にブラシ(図示省略)が植えられたテーブル10C,10Dが固定され、加工中にはみ出したワークWを支持する。
【0023】
この構成により、X軸モータMxを回転させると、キャリッジ12がキャリッジべース11上をX軸方向に移動すると共に、Y軸モータMyを回転させるとキャリッジべース11がサイドテーブル10A、10Bと共にY軸方向に移動する。
【0024】
従って、クランプ装置13に把持されたワークWを所定位置に位置決めできる。
【0025】
一方、図1のタレットパンチプレスにおいては、ワークW(図1)を搬送するブラシテーブル10、10A、10B、10C、10Dが設けられ、これらは端的に言えば、中央に固定された中央固定ブラシテーブル10、該中央固定ブラシテーブル10の両側で移動する移動ブラシテーブル10A、10B、該移動ブラシテーブル10A、10Bの外側で固定された最外側固定ブラシテーブル10C,10Dである。
【0026】
そして、例えば前記中央固定ブラシテーブル10と移動ブラシテーブル10Bのように隣接する両ブラシテーブル間には、隙間Tが形成されているが、以下、その隙間Tの形態(図2)と、そのときのブラシBを植える構成(例えば図3図6図8)に基づき、前記第1発明と第2発明を詳述する。
【0027】
即ち、本発明においては、既述したように、第1発明と第2発明により、隣接する両ブラシテーブル間の隙間Tの形態に基づいてブラシBを植える構成を異ならせることにより、上記隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようにして加工を続行する板金加工機を提供するという効果を奏するものである。
【0028】
そして、上記隙間Tの形態には、第1形態(図2(A))と第2形態(図2(B))とがあり、前者は第1発明に属し、第2形態は第2発明に属する
【0029】
第1形態(図2(A))は、隙間Tが1直線に沿って連続して設けられた比較的長い隙間Tの場合をいい、第2形態(図2(B))は、隙間Tがジグザグに沿って連続して設けられた比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・から成る場合をいう。
【0030】
即ち、第1発明(図2(A))の場合には、隙間Tは1直線に沿って連続して設けられているのに対して、第2発明(図2(B))の場合には、隙間Tはジグザグ、換言すれば、ぎざぎざに屈曲した線に沿って連続して設けられているが、隣接するブラシテーブル間の全体に亘って1直線に沿って連続して設けられてはいない。
【0031】
以下、第1発明(図2(A))と第2発明(図2(B))について、詳述する。
【0032】
A.第1発明について。
【0033】
第1発明に属する第1形態は、既述したように(図2(A))、上記隙間Tが1直線に沿って連続して設けられた比較的長い隙間Tの場合をいう。(尚、図1(A)に示す図番である図3図6は、前記第1発明(図2(A))の第1実施例〜第4実施例(図3図6)が板金加工機全体のどの位置の状態を示しているかを示唆している。)
【0034】
第1発明(図2(A))の隙間T(第1形態)の例としては、既述した中央固定ブラシテーブル10(図1)とその横に配置された移動ブラシテーブル10B間の隙間Tがこれに該当する(図3)。
【0035】
この場合の隙間Tは(図2(A))、文字どおり、1直線に沿って連続して設けられた比較的長い隙間Tであり、ブラシBを植える構成としては、少なくとも一方のブラシテーブルにブラシBを、隙間Tに向って斜めに植える。
【0036】
つまり、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシを、直立に対して隙間Tに向って斜めに植える。
【0037】
例えば図3に示す第1発明(図2(A))の第1実施例の場合のように、中央固定ブラシテーブル10(図3(B))とそれに隣接した移動ブラシテーブル10B間には、第1形態(図2(A))に属する隙間Tが形成されているが、図3(A)に示すように、移動ブラシテーブル10Bに対してはブラシBが隙間Tに向って斜めに植えられ、中央固定ブラシテーブル10に対してはブラシBが直立して植えられている。
【0038】
尚、これとは反対に、移動ブラシテーブル10Bに対してはブラシBが直立して植えられ、中央固定ブラシテーブル10に対してはブラシBが隙間Tに向って斜めに植えられもよい。
【0039】
これにより、隙間Tを無くしたために該隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようになり、加工を中断することなく続行することができる。
【0040】
この場合、隙間Tを無くすためには(図3(A))、ブラシBが隙間Tに向って斜めに植えられていなければならず、反対方向(図3(A)の右側)に向って斜めに植えられていたのでは隙間Tが広がってしまい本発明の効果を達成できず、このことは、図4図6についても同様である。
【0041】
また、図4に示す第1発明(図2(A))の第2実施例の場合のように、移動ブラシテーブル10B(図4(B))とそれに隣接した最外側固定ブラシテーブル10D間には、同様に第1形態(図2(A))に属する隙間Tが形成されているが、図4(A)に示すように、両テーブル10B、10Dに対してブラシBが隙間Tに向って斜めに植えられている。
【0042】
これにより、同様に、隙間Tを無くしたために該隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようになり、加工を中断することなく続行することができる。
【0043】
更に、図5に示す第1発明(図2(A))の第3実施例の場合のように、最外側固定ブラシテーブル10Dが極めて大きく、内部が第1固定ブラシテーブル10D1と第2固定ブラシテーブル10D2に分割され、両ブラシテーブル間に隙間Tが形成されているものとする(図5(B))。
【0044】
この場合には、上記隙間Tを無くすべく、いずれのブラシテーブルにもブラシBが隙間Tに向って斜めに植えられている(図5(A))。
【0045】
これにより、同様に、隙間Tを無くしたために該隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようになり、加工を中断することなく続行することができる。
【0046】
最後に、図6に示す第1発明(図2(A))の第4実施例の場合のように、ブラシテーブル、例えば中央固定ブラシテーブル10の両端に、隙間Tがある場合には(図6(B))、前記第1実施例〜第3実施例とは異なるブラシBを植える構成を採用する。
【0047】
即ち、図6(A)に示すように、中央固定ブラシテーブル10の中央部にブラシBを直立に植え、両隙間Tに近づくに従って、両隙間Tに向ってブラシBを斜めに植える。
【0048】
これにより、同様に、隙間Tを無くしたために該隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようになり、加工を中断することなく続行することができる。
【0049】
B.第2発明について。
【0050】
他方、第2発明に属する第2形態は、既述したように(図2(B))、上記隙間Tがジグザグ、即ち、ぎざぎざに屈曲した線に沿って連続して設けられた比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・(図7図8)から成る場合であって、その場合にはブラシBを直立に植えるか隙間Tに向って斜めに植えるかは問わない
【0051】
この第2発明(図2(B))によれば、隣接する両ブラシテーブル間の一方の接合部を凹部として、他方の接合部を凸部としてそれぞれ構成し、各凹部、凸部の接合部を複数個設け、これにより比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・(図7図8)を形成することにより、1直線に沿って連続した隙間を無くす構成とし、ワークWから打ち抜かれた製品等が瞬時に通過するために、該製品等は引っ掛からず、加工を続行するという効果を奏する。
【0052】
そして、例えばジグザグを遠くから見ると、図7(A)に示すように、接合部の形状が、矩形波により構成され、また、図7(B)に示すように、三角波により構成され、更に、図7(C)に示すように、サイン波により構成されている。
【0053】
これら第2発明(図2(B))の実施例としては、図8に示すように、両接合部の凹凸状のジグザグが前記した(図7(A))ように矩形波により構成された場合の詳細があり、この場合には、両ブラシテーブルにはブラシBが直立に植えられている。
【0054】
既述したように、両ブラシテーブルにはブラシBが直立に植えられているとしたが、本実施例においてはこれに限らず、両ブラシテーブルにはブラシBが斜めに植えられていることもあり、また、一方のブラシテーブルにはブラシBが直立に植えられ、他方のブラシテーブルにはブラシBが斜めに植えられていても良い。
【0055】
図8に示す両ブラシテーブルの例としては、前記図5で示した最外側固定ブラシテーブル10Dを分割する第1固定ブラシテーブル10D1と第2固定ブラシテーブル10D2がある。
【0056】
以下、前記構成を有する本発明の動作を説明する。
【0057】
図1において、X軸モータMxとY軸モータMyを回転させると、キャリッジ12がキャリッジべース11上をX軸方向に移動すると共に、キャリッジべース11がサイドテーブル10A、10Bと共にY軸方向に移動することにより、クランプ装置13に把持されたワークWをパンチセンタKに位置決めし、パンチPとダイDの協働によりワークWから製品を打ち抜く等所定のパンチ加工が行われる。
【0058】
このワークWの位置決めとパンチP及びダイDの協働に基づき、ワークから製品を打ち抜く動作を繰り返すことにより、所定のパンチ加工を完了する。
【0059】
パンチ加工の初期段階では、ワークWを打ち抜いた箇所は少なく、製品を打ち抜いた穴やスケルトン部分は殆ど無く、何れの穴も小さく(短く)、ワークWの移動位置決めを繰り返しても、隣接する両ブラシテーブル間の隙間にワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛かることは無い。
【0060】
しかし、パンチ加工が進行すると、ワークWを打ち抜いた空間部分が多くなり、ワークWとミクロジョイントで連結された製品、あるいは製品が打ち抜かれたスケルトン等が多くなり、ワークWから垂れ下がる傾向が強くなり、ワークWの移動位置決めの際に、前記隙間に製品やスケルトン等が引っ掛かり易くなる。
【0061】
その際に、前記隙間が1直線に沿って連続して長ければ長い程、既述したようなワークWとミクロジョイントで連結された製品、あるいは製品が打ち抜かれたスケルトン等が引っ掛かる可能性は高くなる。
【0062】
第1発明に属する隙間Tの第1形態は、既述したように、隙間Tが1直線に沿って連続して設けられた比較的長い隙間Tの場合(図2(A))であって、その場合には少なくとも一方のブラシテーブルにブラシを隙間Tに向って斜めに植える。
【0063】
具体例としては、図3図6があり、従って、第1発明によれば、隙間Tを無くしたために該隙間TにワークWから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようになり、加工を続行する板金加工機を提供するという効果を奏する。
【0064】
第2発明に属する隙間Tの第2形態は、同様に既述したように、隙間Tがジグザグ、即ち、ぎざぎざに屈曲した線に沿って連続して設けられた比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・から成る場合(図2(B))であって、ブラシBを直立に植えるか隙間Tに向って斜めに植えるかは問わない。
【0065】
具体例としては、図8があり、ジグザグが矩形波により構成され、この場合には、両ブラシテーブルにはブラシBが直立に植えられている。
【0066】
この構成により、第2発明によれば、前記比較的短い複数個の隙間T1、T2・・・を形成することにより、1直線に沿って連続した隙間を無くす構成としたことで、ワークWから打ち抜かれた製品等が前記複数個の隙間T1、T2・・・を瞬時に通過するために引っ掛からず、従って、加工を続行する板金加工機を提供するという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ワークを搬送するブラシテーブルを有し、隣接する両ブラシテーブル間にある1直線に沿って連続した隙間に対して、少なくとも一方のブラシテーブルのブラシを、直立に対して隙間に向って斜めに植え、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くすようにし、該隙間にワークから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようにした板金加工機と、ワークを搬送するブラシテーブルを有し、隣接する両ブラシテーブル間の一方の接合部を凹部として構成すると共に他方の接合部を凸部として構成し、各凹部、凸部の接合部を複数個設け、比較的短い複数個の隙間を形成することにより、両ブラシテーブル間の1直線に沿って連続した隙間を無くすようにし、該隙間にワークから打ち抜かれた製品等が引っ掛からないようにした板金加工機に利用され、極めて有益である。
【符号の説明】
【0068】
1 上部フレーム
2 ラム
3 駆動軸
4、5 チェーン
6 上部タレット
7 下部タレット
8、9 回転軸
10 中央固定ブラシテーブル
10A、10B 移動ブラシテーブル
10C,10D 最外側固定ブラシテーブル
11 キャリッジべース
12 キャリッジ
13 クランプ
14、15 ボールねじ
16 サポートブラケット
17 Y軸ガイドレール
21 下部フレーム
D ダイ
P パンチ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10