特許第6497680号(P6497680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497680ゼロ価元素と水素化物とニトリルとを含む試薬錯体およびその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497680
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ゼロ価元素と水素化物とニトリルとを含む試薬錯体およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 255/03 20060101AFI20190401BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20190401BHJP
   C07F 1/02 20060101ALI20190401BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20190401BHJP
   C07F 13/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   C07C255/03CSP
   C07C253/30
   C07F1/02
   C07F5/02 F
   C07F13/00 A
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-2669(P2016-2669)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-128447(P2016-128447A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】14/593,371
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】516011154
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・マニトバ
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANITOBA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ポール・ロー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・マリー・スコロパタ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ・スティーブン・ウロシズンスキジ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・アレクサンダー・バン・リーロップ
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−152376(JP,A)
【文献】 特開2015−074829(JP,A)
【文献】 特開2016−128447(JP,A)
【文献】 特開2016−018786(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/008206(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0200753(US,A1)
【文献】 特開2015−178677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 255/03
C07C 253/30
C07F 1/02
C07F 5/02
C07F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
・X・L
を有する錯体を含む組成物であって、
式中、Qは、ゼロ価元素であり、Xは、水素化物であり、yは、ゼロより大きい整数または分数であり、Lは、ニトリルであり、zは、ゼロより大きい整数または分数であり、
前記水素化物は、二元の金属水素化物、二元のメタロイド水素化物、複合金属水素化物、および複合メタロイド水素化物のうちいずれか1つである、組成物。
【請求項2】
は、遷移金属である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
は、マンガンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Xは、水素化ホウ素リチウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Lは、ドデカンニトリルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
yおよびzの各々は、以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ゼロ価金属を含有する調製物と、水素化物と、ニトリルとを含む混合物をボールミリングするステップを含む試薬錯体を合成するための方法。
【請求項8】
前記水素化物は、複合金属水素化物または複合メタロイド水素化物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化物は、水素化ホウ素リチウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化物と前記ゼロ価金属を含有する調製物とは、実質的に等モル比で混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化物は、倍以下のモル過剰量で、ゼロ価金属を含有する調製物と混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記ボールミリングするステップは、無酸素環境、無水環境、または無水無酸素環境の下で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記ゼロ価金属を含有する調製物は、遷移金属を含有する調製物である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記ゼロ価金属を含有する調製物は、マンガンを含有する調製物である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般的に、1つ以上の水素化物分子および1つ以上のニトリル化合物と安定に複合したゼロ価元素を含む試薬錯体およびその錯体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
従来の開示は、一般式Q・Xを有する新規試薬錯体を記載している。式中、Qは、ゼロ価元素(すなわち、元素状態固体)であり、Xは、LiBHなどの水素化物分子である。AERC(陰イオン元素還元性錯体)とも称され得るこの種類の試薬錯体は、ゼロ価元素Qを含むナノ粒子の容易かつ再現性のある合成に有用であると示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなAERCに対して、その反応性を向上させる修飾が望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
結合型試薬錯体と、結合型試薬錯体を用いて合成されたナノ粒子とが開示されている。
【0005】
一局面において、組成物が開示されている。この組成物は、式Iを有する錯体を含む組成物であって、
・X・L(I)
式中、Qは、ゼロ価元素であり、Xは、水素化物であり、yは、ゼロより大きい整数または分数であり、Lは、ニトリルであり、zは、ゼロより大きい整数または分数である。いくつかの変形例において、ゼロ価元素は、非金属またはメタロイド元素である。いくつかの例において、水素化物は、水素化ホウ素リチウムであってもよく、yおよびzの各々は、約4以下であってもよい。
【0006】
別の局面において、結合型試薬錯体を製造するための方法が開示されている。この方法は、ゼロ価元素を含有する調製物と、水素化物分子と、ニトリル化合物とを含む混合物をボールミリングするステップを含む。必要に応じて、混合物中に有機溶媒を追加することができる。
【0007】
さらに別の局面において、方法によって製造された組成物が開示されている。この組成物は、式Iを有する錯体を含み、
・X・L(I)
式中、Qは、ゼロ価元素であり、Xは、水素化物であり、Lは、ニトリルであり、yは、ゼロより大きい整数または分数であり、zは、ゼロより大きい整数または分数である。組成物を製造する方法は、ゼロ価元素と水素化物分子とニトリル化合物とを含有する調製物を含む混合物をボールミリングするステップを含む。
【0008】
本発明のさまざまな局面および利点は、添付の図面に関連して理解される以下の実施形態に関する以下の詳細な説明からより明らかになり、より容易になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】代表的なニトリル、代表的な水素化物、およびニトリルと水素化物とを有する本開示の結合型試薬錯体を示す3つの赤外線(IR)スペクトルである。
図2A】マンガン粉末のX線光電子スペクトルである。
図2B】非結合型試薬錯体Mn・(LiBHのX線光電子スペクトルである。
図2C図1の結合型試薬錯体Mn・(LiBH・[CH(CH10CN]のX線光電子スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明は、元素状態ナノ粒子の合成に有用な結合型試薬錯体、および結合型試薬錯体を形成する方法を提供する。結合型試薬錯体は、ゼロ価元素と、水素化物分子と、ニトリルとを含む。結合型試薬錯体を形成する方法は、上記した各成分を含む混合物をボールミリングするステップを含む。ニトリルを含むことによって、得られた結合型試薬錯体は、非結合型試薬錯体に比べて、その後のナノ粒子の形成の反応性を向上させることができる。
【0011】
「ゼロ価」または「ゼロ価元素」という用語は、本明細書に使用される場合、酸化状態がゼロである状態を指す。より一般的に、「ゼロ価」という用語は、本明細書に使用される場合、元素状態にある材料の状態を指す。
【0012】
「元素」という用語は、本明細書に使用される場合、周期表の任意の元素を指す。具体的には、「元素」という用語は、使用条件下ゼロ価で存在する固体または液体である任意の元素を指す。より具体的には、「元素」という用語は、本明細書に使用される場合、たとえば25℃および1気圧などの温度および圧力の標準条件の下で、固体または液体である任意の元素を指す。
【0013】
「金属元素」という用語は、金属、ランタニドまたはメタロイドを指す。「金属」は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、遷移金属またはポスト遷移金属を指すことができる。「遷移金属」という用語は、第3族〜第12族のDブロック金属を指すことができる。「ポスト遷移金属」という用語は、第13族〜第16族の金属を指すことができる。「メタロイド」という用語は、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、またはポロニウムのいずれかを指すことができる。
【0014】
「水素化物」または「水素化物分子」という用語は、本明細書に使用される場合、水素陰イオンドナーとして機能することができる任意の分子種を指す。異なる例において、水素化物は、本明細書に言及される場合、二元の金属水素化物または「水素化物塩」(たとえば、NaHまたはMgH)、二元のメタロイド水素化物(たとえば、BH)、複合金属水素化物(たとえば、LiAlH)、または複合メタロイド水素化物(たとえば、LiBHまたはLi(CHCHBH)であってもよい。いくつかの例において、水素化物は、LiBHである。いくつかの変形例において、上述した用語「水素化物」は、対応する重水素化物またはトリチウム化物を含む。
【0015】
「ニトリル」という用語は、本明細書に使用される場合、式R−CNを有する分子を指す。異なる実現例において、Rは、置換されたアルキル基またはアリール基もしくは非置換のアルキル基またはアリール基であってもよい。これらのアルキル基またはアリール基は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアルコキシ基、もしくは単環または多環のアリール基またはヘテロアリール基を含むがこれらに限定されない。いくつかの実現例において、ニトリルのR基は、直鎖アルキル基である。1つの特定の実現例において、ニトリルは、ドデカンニトリルまたはウンデシルシアン化物とも呼ばれるCH(CH10CNである。
【0016】
開示された組成物は、式Iを有する錯体を含む。
・X・L(I)
式中、Qは、ゼロ価元素であり、Xは、水素化物であり、yは、ゼロより大きい整数または分数である。以下、式Iを有する錯体は、代わりに、「結合型試薬錯体」またはLAERC(結合型陰イオン元素試薬錯体)として称される。
【0017】
式I中のyの値は、錯体中のゼロ価元素状態原子に対する水素化物分子の化学量論比を規定する。yの値は、ゼロより大きい任意の整数または分数を含むことができる。いくつかの例において、yは、4以下であってもよい。いくつかの特定例において、yは、3に等しくしてもよい。
【0018】
式I中のzの値は、錯体中のゼロ価元素状態原子に対するニトリル分子の化学量論比を規定する。zの値は、ゼロより大きい任意の整数または分数を含むことができる。いくつかの例において、zは、4以下であってもよい。いくつかの特定例において、zは、3に等しくしてもよい。いくつかの例において、yは、zに等しくしてもよい。
【0019】
上述したたように、結合型試薬錯体は、式Q・X(Q、Xおよびyは、上記と同様である)を有する従来に開示された非結合型試薬錯体と比較して、反応性を向上させることができる。いかなる特定の理論に拘束されるものではないが、ニトリルを包含することによって、より小さく、より均一な粒径または形の試薬、さもなければより好ましい粒径または形の試薬を提供することができると考えられる。
【0020】
本開示の結合型試薬錯体は、任意の超分子構造を有してもよく、超分子構造を有しなくてもよい。たとえば、結合型試薬錯体は、水素化物分子および/またはニトリル化合物により散在させられた多くのゼロ価元素状態原子の超分子クラスタとして存在することができる。結合型試薬錯体は、ゼロ価元素状態原子のクラスタとして存在し、クラスタの表面が水素化物分子および/またはニトリル化合物により被覆されることができる。結合型試薬錯体は、個体のゼロ価元素状態原子として存在し、これらのゼロ価元素状態原子の各々は、互いに分子間の結合がほとんどなくまたは全くないが、式Iを有する水素化物分子およびニトリル化合物に結合されている。これらの微細構造または式Iと一致する他の微細構造のいずれかが本開示の範囲に含まれるように意図される。
【0021】
さらに、上述した種類の結合型試薬錯体を合成する方法が開示される。この方法は、ゼロ価金属を含有する調製物と、水素化物分子と、ニトリルとを含む混合物をボールミリングするステップを含む。一般的には、この方法を実施することにより、上記種類の結合型試薬錯体および上記式Iによって規定された分子式を有する結合型試薬錯体は、製造される。
【0022】
いくつかの例において、ボールミリングするステップは、アルゴン環境または真空環境などのような無酸素環境、無水環境、または無酸素無水環境の下で行うことができる。無酸素および/または無水環境は、得られた結合型試薬錯体の望ましくない酸化を潜在的に制限することができる。
【0023】
いくつかの例において、ボールミリングされる混合物は、モル比1:1:1のゼロ価元素状態原子と水素化物分子とニトリル化合物とを含むことができる。いくつかの例において、混合物は、ゼロ価元素状態原子に対してモル過剰量の水素化物分子またはニトリル化合物もしくはその両方を含むことができる。いくつかのこのような例において、モル過剰量は、約4倍以下であってもよい。いくつかの例において、ボールミリングされる混合物は、モル比1:3:3のゼロ価元素原子と水素化物分子とニトリル化合物とを含むことができる。
【0024】
ゼロ価元素を含有する調製物は、実質的にゼロ価金属からなる任意の組成物であってもよい。多くの例において、ゼロ価元素を含有する調製物は、表面積対質量比が高い形態でゼロ価金属を含む。いくつかの例において、ゼロ価元素は、粉末状である。よって、ゼロ価元素を含有する調製物は、高度多孔質の元素状態固体、ハニカム構造を有する元素状態固体または高表面積対質量比を有する他の調製物であると考えられる。
【0025】
いくつかの例において、ゼロ価元素を含有する調製物は、粉末状の遷移金属元素などのゼロ価遷移金属を含有する調製物である。適切な遷移金属は、カドミウム、コバルト、銅、クロム、鉄、マンガン、金、銀、プラチナ、チタン、ニッケル、ニオブ、モリブデン、ロジウム、パラジウム、スカンジウム、バナジウムおよび亜鉛を含むがこれらに限定されない。いくつかの例において、ゼロ価金属を含有する調製物は、ゼロ価ポスト遷移金属を含むことができる。適切なポスト遷移金属は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛またはビスマスを含む。いくつかの実施例において、ゼロ価元素を含有する調製物は、ゼロ価マンガンを含有する調製物であってもよい。
【0026】
任意の特定の理論に拘束されるものではないが、開示された結合型試薬錯体中のニトリル(L)は、ゼロ価元素および/または試薬錯体の粒子サイズをアブレートする、さもなければ減少することを補助するように機能することができると考えられる。
【0027】
一例において、元素状態マンガン粉末は、1:3:3のモル比で、水素化ホウ素リチウムおよびドデカンニトリルと結合させることができる。化合物に溶媒を添加した後、不活性環境中で4時間ボールミリングすることができる。得られた製品は、Mn・Li(BH・[CH(CH10CN]錯体である。図1は、ドデカンニトリル、水素化ホウ素リチウムおよびMn・Li(BH・[CH(CH10CN]錯体の赤外線(IR)スペクトルを示している。図1に示すように、結合型試薬錯体は、ニトリルのスペクトルおよび水素化物のスペクトルに比べて、いくつかのピークシフトおよび/または新しいピークを有し、結合型試薬錯体の形成を示す。たとえば、結合型試薬錯体のスペクトルに存在した約1147cm−1、1163cm−1および2978cm−1を中心にする新しいピークは、ニトリルまたは水素化物のスペクトルには存在しない。
【0028】
図2A〜2Cは、元素状態マンガンのマンガン領域のX線光電子スペクトル、ニトリルを含まない(非結合型)試薬錯体Mn・Li(BHのX線光電子スペクトル、および本開示の結合型試薬錯体Mn・Li(BH・[CH(CH10CN]のX線光電子スペクトルをそれぞれ示している。それぞれの図において、最大である実線は、取得したスペクトルを表し、種々の破線または点線は、デコンボリューションピークを表す。従来に開示した図2BのMn・Li(BH試薬錯体は、ニトリルが存在なしで、マンガン粉末および水素化ホウ素リチウムの混合物をボールミリングすることにより製造された。図2Cのスペクトルと、図2Aおよび図2Bのスペクトルとの比較は、結合型試薬錯体の形成を再度サポートする。たとえば、図2Aのマンガン粉末のスペクトルに比較して、図2Cの結合型試薬錯体のスペクトルは、約637.95eVを中心にした新しいピークを有する。
【0029】
また、結合型試薬錯体を合成するための開示された方法により製造された式Iを有する結合型試薬錯体も開示されている。結合型試薬錯体および結合型試薬錯体を合成するための方法は、上記に記載されている。
【0030】
また、留意すべきことは、本開示の結合型試薬錯体は、ゼロ価元素Qを含むナノ粒子の合成に適した試薬であることである。たとえば、Qがゼロ価金属である場合、Mおよび第2の陽イオン金属M′+を結合型試薬錯体に添加すると、混合物は、金属MおよびM′+をゼロ価に還元したMからなる合金から自発に金属ナノ粒子を形成することができる。
【0031】
本発明は、以下の実施例に関連して示される。理解すべきことは、これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことである。
【0032】
実施例1 Mn・Li(BH・[CH(CH10CN]の合成
0.496gのマンガン粉末、0.592gの水素化ホウ素リチウム、4.912gのドデカンニトリルおよび6mLのトルエンは、アルゴン環境の下で、ボールミリングジャに添加される。混合物は、300rpmで4時間ボールミリングされる。得られた錯体のIRスペクトルは、図1に示され、得られた錯体のXPSスペクトルは、図2Cに示される。
【0033】
上記の説明は、現在最も実用的な実施形態であると考えられるものに関連する。しかしながら、理解すべきことは、本開示は、これらの実施例に限定されず、すべての修正および等価な構造を包含するように法律上許可される最も広い解釈に従った添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修正および等価な構成を含むように意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C