特許第6497731号(P6497731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497731
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23M 5/08 20060101AFI20190401BHJP
   F23D 14/78 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   F23M5/08 B
   F23D14/78 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-264709(P2014-264709)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-11824(P2016-11824A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年8月24日
(31)【優先権主張番号】特願2014-115392(P2014-115392)
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−231559(JP,A)
【文献】 特開2005−069640(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/144766(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23M5/08
F23D14/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置であって、燃焼筐内に、前後方向に長手のバーナが横方向に並べて複数並設されるものにおいて、
燃焼筐の前面と後面の各外壁板の内面を覆う前側と後側の各遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間部に、燃焼筐の前面と後面の各外壁板側に屈曲する段部が設けられて、この段部に、空気通路から冷却用空気が噴出する通気孔が形成され、
前側と後側の各遮熱板の段部よりも上方部分は、上方に向かって燃焼筐の前面と後面の各外壁板から離隔する方向に傾斜し
前側と後側の各遮熱板の下端の高さはバーナの上端より低く、これら各遮熱板の下端に、燃焼筐の前面と後面の各外壁板から離隔する方向に屈曲する庇部が形成され、この庇部に、各バーナの前後の各端部が係合する切欠きと、空気が上方に噴出する噴出孔とが形成されることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、遮熱板の上端に外壁板側に屈曲する屈曲部を設け、この屈曲部に、外壁板と遮熱板との間の空気通路から冷却用空気が抜け出る通気孔を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、空気通路に遮熱板の上端に亘って冷却用空気が流れ、外壁板の耐熱性が確保される。
【0003】
ところで、バーナの燃焼ガスは広がりながら上昇し、遮熱板の上部が燃焼ガスに晒される。そのため、上記従来例の如く遮熱板と外壁板との間の空気通路に遮熱板の上端に亘って冷却用空気を流すことで、外壁板の過熱は防止できても、燃焼ガスに晒される遮熱板の上部の過熱は防止できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−69640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、遮熱板の上部の過熱を抑制して、遮熱板を含む燃焼筐全体の耐熱性を向上できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置であって、燃焼筐内に、前後方向に長手のバーナが横方向に並べて複数並設されるものにおいて、燃焼筐の前面と後面の各外壁板の内面を覆う前側と後側の各遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間部に、燃焼筐の前面と後面の各外壁板側に屈曲する段部が設けられて、この段部に、空気通路から冷却用空気が噴出する通気孔が形成され、前側と後側の各遮熱板の段部よりも上方部分は、上方に向かって燃焼筐の前面と後面の各外壁板から離隔する方向に傾斜し、前側と後側の各遮熱板の下端の高さはバーナの上端より低く、これら各遮熱板の下端に、燃焼筐の前面と後面の各外壁板から離隔する方向に屈曲する庇部が形成され、この庇部に、各バーナの前後の各端部が係合する切欠きと、空気が上方に噴出する噴出孔とが形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間の段部に形成した通気孔から噴出する冷却用空気が傾斜した遮熱板の上部内面に確実に接触して上方に流れる。そして、この空気流により、遮熱板の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが形成される。従って、燃焼ガスによる遮熱板の上部の過熱を抑制して、遮熱板を含む燃焼筐全体の耐熱性を向上できる。
また、本発明によれば、庇部の切欠きに各バーナの前後の端部を係合させることで、各バーナを横方向に位置決めでき、更に、庇部の噴出孔から噴出する空気が庇部の上方の遮熱板の内面に沿って上方に流れ、遮熱板の前記段部より下方部分を効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置の斜視図。
図2図1のII−II線で切断した燃焼装置の断面図。
図3図2のIII−III線で切断した燃焼装置の切断側面図。
図4】実施形態の燃焼装置の前側の遮熱板の斜視図。
図5】実施形態の燃焼装置の後側の遮熱板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至図3を参照して、1は、給湯用熱源機から成る燃焼装置を構成する燃焼筐を示している。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に被加熱物として図示省略した給湯用熱交換器が設置される。燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室2とその下側の給気室3とに仕切る仕切り板4が設けられている。燃焼室2内には、上端に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)を噴出する多数の炎口51を有する前後方向に長手のバーナ5が横方向に並べて複数並設されている。
【0010】
給気室3の底面には図外の燃焼ファンが接続されており、燃焼ファンから給気室3に空気が供給される。仕切り板4には、多数の分布孔41が形成されており、給気室3に供給された空気がこれら分布孔41を介して燃焼室2に二次空気として供給されるようにしている。
【0011】
また、仕切り板4の前端には、上方に屈曲する起立板部42と、起立板部42の上端から前方に屈曲して燃焼筐1の前面の外壁板11に達する上板部43とが設けられている。そして、給気室3の前端部に、起立板部42の前側で上板部43に達するように立上る一次空気室31が設けられる。起立板部42には、各バーナ5の下部の混合管部52の上流端を臨ませる各流入口44が形成され、一次空気室31の前面は、ガスマニホールド6で閉塞される。ガスマニホールド6には、各流入口44に対向する各ノズル61が設けられており、各流入口44、即ち、各バーナ5に各ノズル61から燃料ガスが供給されると共に一次空気室31から一次空気が供給される。また、燃焼筐1の前面の外壁板11には、フレームロッド7と点火電極8と覗き窓9とが配置されている。尚、図1ではガスマニホールド6が省略されている。
【0012】
ここで、燃焼筐1のバーナ5よりも上方の外壁板部分はバーナ5の燃焼で強く加熱される。そこで、燃焼筐1の耐熱性を確保するために、燃焼筐1の前面の外壁板11、後面の外壁板12及び左右各側面の外壁板13のバーナ5上端よりも上方の部分の内面を隙間を存して覆う前側と後側と左右各側の遮熱板14、15、16を設けている。そして、前面の外壁板11と前側の遮熱板14との間に、仕切り板4の上板部43に形成した透孔45を介して一次空気室31から上昇する空気を冷却用空気として流す空気通路14aを画成すると共に、後面の外壁板12と後側の遮熱板15との間にも、給気室3から仕切り板4の後部の分布孔41を介して上昇する空気を冷却用空気として流す空気通路15aを画成している。
【0013】
尚、前側と後側の遮熱板14、15の下端の高さはバーナ5上端よりも若干低くなっており、これら遮熱板14、15の下端に、前後の各外壁板11,12から離隔する方向(前側の遮熱板14では後方、後側の遮熱板15では前方)に屈曲する庇部141、151を形成している。そして、図4図5に示す如く、これら各庇部141、151に各バーナ5の上部の前後の各端部が係合する切欠き142、152を形成して、各バーナ5が横方向に位置決めされるようにしている。
【0014】
各庇部141、151には、更に、空気が噴出する噴出孔145、155が形成されており、噴出孔145、155から噴出する空気が庇部141、151の上方の遮熱板14、15の内面に沿って上方に流れ、この空気流により遮熱板14、15が効果的に冷却されるようにしている。尚、噴出孔145、155は、庇部141、151の前後方向外方寄りの部分に、切欠き142、152に連続して形成され、更に、前側の遮熱板14の庇部141には、隣接する切欠き142、142間に位置させて、小径の第2の噴出孔145´が形成されている。
【0015】
また、仕切り板4の上板部43に形成した透孔45から噴出する空気の一部が上板部43の後上方の燃焼室2の部分に流れてしまうと冷却不足を生ずる。そこで、前側の遮熱板14の庇部141の後端に、隣接するバーナ5、5間に位置させて、下方に屈曲する垂下板部146を曲成している。そして、庇部141と仕切り板4の上板部43との間の空間が垂下板部146により燃焼室2から仕切られ、この空間に透孔45を介して一次空気室31から空気が流入するようにしている。これによれば、透孔45から噴出する空気が上板部43の後上方の燃焼室2の部分に流れることを垂下板部146により防止して、冷却不足を解消できる。
【0016】
ところで、バーナ5の燃焼ガスは前後方向に広がりながら上昇し、前側と後側の各遮熱板14,15の上部に燃焼ガスが触れて、各遮熱板14,15の上部の過熱を生じやすくなる。そこで、本実施形態では、前側と後側の各遮熱板14,15のバーナ5より上方に位置する部分の上下方向中間部に、前後の各外壁板11,12側に屈曲する段部143,153を設けて、この段部143,153に、各空気通路14a,15aから冷却用空気が噴出する通気孔144、154を形成している。更に、各遮熱板14、15の段部143,153よりも上方部分を、上方に向かって各外壁板11,12から離隔する方向に傾斜させている。
【0017】
これによれば、通気孔144,154から噴出する冷却用空気が傾斜した遮熱板14,15の上部内面に確実に接触して上方に流れる。そして、この空気流により、遮熱板14,15の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが形成される。従って、燃焼ガスによる遮熱板14,15の上部の過熱を抑制して、遮熱板14,15を含む燃焼筐1全体の耐熱性を可及的に向上できる。
【0018】
また、遮熱板14,15の上部を上記の如く傾斜させると、燃焼ガスの前後方向の広がりが抑制される。そのため、燃焼筐1上に配置する熱交換器の胴部の前後方向寸法を燃焼筐1の前後方向寸法よりある程度小さくしても、胴部内面への燃焼ガスの接触が抑制され、胴部の過熱を生じない。従って、熱交換器をダウンサイジングしてコストダウンを図ることができる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、給湯用熱源機から成る燃焼装置に本発明を適用したものであるが、給湯用熱源機以外の燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0020】
1…燃焼筐、11,12…外壁板、14,15…遮熱板、14a,15a…空気通路、143,153…段部、144,154…通気孔、5…バーナ。
図1
図2
図3
図4
図5