特許第6497737号(P6497737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497737建設機械におけるカウンタウエイト支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497737
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】建設機械におけるカウンタウエイト支持構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/18 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   E02F9/18
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-122740(P2015-122740)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2017-8514(P2017-8514A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】恒吉 剛
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−050461(JP,U)
【文献】 特開2000−072383(JP,A)
【文献】 実開平07−029052(JP,U)
【文献】 実開平02−068281(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0020567(KR,A)
【文献】 米国特許第05833268(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタウエイトを備えた建設機械において、該カウンタウエイトを車体フレームの後部に設けられるカウンタウエイト支持部に締結ボルトを介して支持するにあたり、
該カウンタウエイト支持部を、車体フレームの後部に立設固定される支持プレートと、車体フレームに固定された状態の支持プレートに前後位置調整自在に取付けられ、カウンタウエイトに当接するカウンタウエイト取付け座面および締結ボルトが締結される締結孔を有したサポート部材とを用いて構成するとともに、
該サポート部材は、支持プレートに対して回転位置調整自在で、且つ、前記締結孔が軸心位置から偏心した位置に形成された円柱形状のボルト締結ボスを備えて構成されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造。
【請求項2】
請求項1において、サポート部材は、支持プレートに前後位置調整自在および左右位置または上下位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面を有したベース部材と、該ベース部材に開設された円形のボス用孔に回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、締結孔が軸心位置から偏心した位置に形成された円柱形状のボルト締結ボスとを用いて構成されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造。
【請求項3】
請求項2において、ベース部材は、支持プレートに、該支持プレートに対して傾き調整自在に固定されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造。
【請求項4】
請求項1において、サポート部材は、支持プレートに開設された円形のボス用孔に前後位置調整自在および回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面を有した円柱形状のボルト締結ボスを用いて構成されるとともに、該ボルト締結ボスは、軸心位置からの偏心距離がそれぞれ異なる複数の締結孔を有することを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造。
【請求項5】
請求項4において、ボルト締結ボスは、支持プレートに開設されたボス用孔に、支持プレートに対して傾き調整自在に嵌合固定されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械におけるカウンタウエイト支持構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械のなかには、機体バランスを確保するためのカウンタウエイトを備えたものがあるが、該カウンタウエイトを機体に搭載する場合に、車体フレームの後部に設けたカウンタウエイト支持部に締結ボルトを介してカウンタウエイトを支持せしめたものが広く知られている。例えば、建設機械の一例である油圧ショベルでは、上部旋回体の架台を形成する車体フレーム(旋回フレーム)の後部にカウンタウエイト支持部を設け、該カウンタウエイト支持部に締結される締結ボルトを介してカウントウエイトを支持するようにしたものがあるが、このものにおいて、カウンタウエイト支持部は、車体フレームの後部に溶着等により一体的に固定されて車体フレームの一部を構成するとともに、カウンタウエイトに面接触状態に当接するカウンタウエイト取付け座面を有しており、該カウンタウエイト取付け座面には、平面を確保するための加工や、締結ボルト用の締結孔(ネジ孔)を形成するための加工が工作機械により施される場合がある。
ところで、建設機械には大型の車両が数多くあるが、車両サイズが大きくなると、工作機械寸法の都合上、車体フレームの組立完了後にカウントウエイト取付け座面に機械加工を施すことが困難になる。このため、予めカウンタウエイト取付け座面に機械加工が施された状態のカウンタウエイト支持部を溶接により組付けて車体フレームを形成しているが、この場合に、車体フレームの組付け時における溶接歪等によってカウンタウエイト支持部が予め設定される正規位置からずれてしまい、これに伴いカウンタウエイト取付け座面や締結孔も正規位置からずれてしまうことがある。特に、車体フレームの前側、旋回ベアリング部に位置決め基準がある場合、車体フレームの後端側に位置するカウンタウエイト支持部は溶接歪の集積により位置ずれが大きくなってしまい、カウンタウエイトの取付けが困難になったり、位置ずれした状態のままカウンタウエイトを取付けたためにカウンタウエイトと該カウンタウエイトの前側に配される車体カバーやスカートチャンネルとの間に隙間や段差が生じて、外観が損なわれたりするという問題があった。
そこで、従来、カウンタウエイト支持部を、車体フレームから延設される立板と、該立板の上下端面に溶着される背板および底板と、背板および底板との上下間で上下方向にスライド移動自在で、上面にカウンタウエイト取付け座面(カウンタウエイト支持面)を有するパイプ部材とを用いて構成し、前記立板に背面および底板を溶着した後に、該背面および底板にパイプ部材を溶着するようにした技術(例えば、特許文献1参照)や、車体フレームから延設される立板に背板を溶着した後で、上面にカウンタウエイト取付け座面を有するブロックを背板の切り欠き部に溶着するようにした技術(例えば、特許文献1の図7参照)が知られている。
また、車体フレームの後部にボス嵌入穴部を形成する一方、該ボス嵌入穴部に係合可能なボスをカウンタウエイトの前面に形成するとともに、ボスを貫通するボルトの締結によりカウンタウエイトを車体フレームに取付けるようにしたものにおいて、前記ボス嵌入穴部を水平方向の長さが上下方向の長さより大寸の楕円形に形成し、該ボス嵌入穴部に対するボスの嵌合位置を左右方向に小寸だけ変位調整できるようにした技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−32328号公報
【特許文献2】特開平9−209407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のものは、カウンタウエイト取付け座面を有するパイプ部材やブロックが車体フレームの組立て後に溶着されるものであるから、該パイプ部材やブロックの溶着時にその取付位置を調整することが可能であると思われる。しかしながら、パイプ部材は、背板および底板に開けられたパイプ穴に上下動自在に嵌入しているため上下方向の位置調整を行うことはできるが、前後方向および左右方向の位置調整を行うことはできないことになる。また、ブロックは、背板の切欠き部に前後左右位置が位置決めされた状態で取付けられるから、同様に、上下方向の位置調整を行うことはできても、前後方向および左右方向の位置調整を行うことはできないことになる。さらに、車体フレームの組立て時における溶接歪等によりカウンタウエイト支持部を構成する立板、背板、底板に傾きが生じてしまった場合には、パイプ材やブロックのカウンタウエイト取付け座面も傾いてしまって、機体の水平基準に対する垂直度を確保できないという惧れもある。
一方、特許文献2のものは、車体フレームのボス嵌入穴部に対するボスの嵌入位置を左右方向に変位させることができるから、カウンタウエイトの取付位置の左右方向の調整を行うことはできるが、上下方向および前後方向の位置調整を行うことはできないことになる。さらに、特許文献2のものでは、ボス嵌入穴部の底面部にカウンタウエイトのボスの前端面が当接する構成となっている、つまり、ボス嵌入穴部の底面部がカウンタウエイト取付け座面になっているが、車体フレームの組立て時における溶接歪等により該カウンタウエイト取付け座面に傾きが生じてしまった場合には、前記特許文献1のものと同様に、機体の水平基準に対する垂直度を確保できないという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、カウンタウエイトを備えた建設機械において、該カウンタウエイトを車体フレームの後部に設けられるカウンタウエイト支持部に締結ボルトを介して支持するにあたり、該カウンタウエイト支持部を、車体フレームの後部に立設固定される支持プレートと、車体フレームに固定された状態の支持プレートに前後位置調整自在に取付けられ、カウンタウエイトに当接するカウンタウエイト取付け座面および締結ボルトが締結される締結孔を有したサポート部材とを用いて構成するとともに、該サポート部材は、支持プレートに対して回転位置調整自在で、且つ、前記締結孔が軸心位置から偏心した位置に形成された円柱形状のボルト締結ボスを備えて構成されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造である。
請求項2の発明は、請求項1において、サポート部材は、支持プレートに前後位置調整自在および左右位置または上下位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面を有したベース部材と、該ベース部材に開設された円形のボス用孔に回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、締結孔が軸心位置から偏心した位置に形成された円柱形状のボルト締結ボスとを用いて構成されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造である。
請求項3の発明は、請求項2において、ベース部材は、支持プレートに、該支持プレートに対して傾き調整自在に固定されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造である。
請求項4の発明は、請求項1において、サポート部材は、支持プレートに開設された円形のボス用孔に前後位置調整自在および回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面を有した円柱形状のボルト締結ボスを用いて構成されるとともに、該ボルト締結ボスは、軸心位置からの偏心距離がそれぞれ異なる複数の締結孔を有することを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造である。
請求項5の発明は、請求項4において、ボルト締結ボスは、支持プレートに開設されたボス用孔に、支持プレートに対して傾き調整自在に嵌合固定されることを特徴とする建設機械におけるカウンタウエイト支持構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、カウンタウエイト取付け座面および締結孔の位置精度を確実に向上させることができる。
請求項2の発明とすることにより、サポート部材を、ベース部材とボルト締結ボスとを用いて構成することができる。
請求項3の発明とすることにより、支持プレートに対するベース部材の傾きを調整することで、機械加工を施さずとも、機体の水平基準に対する垂直度を確保できるとともに、取付け座面同士の平面度を確保できる。
請求項4の発明とすることにより、サポート部材を、偏心位置に複数の締結孔を有するボルト締結ボスを用いて構成することができる。
請求項5の発明とすることにより、支持プレートに対するボルト締結ボスの傾きを調整することで、機械加工を施さずとも、機体の水平基準に対する垂直度を確保できるとともに、取付け座面同士の平面度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】油圧ショベルの側面図である。
図2】第一の実施の形態における旋回フレームの斜視図である。
図3】第一の実施の形態における前方から視たカウンタウエイト支持部の斜視図である。
図4】第一の実施の形態における後方から視たカウンタウエイト支持部の斜視図である。
図5】(A)は第一の実施の形態におけるカウンタウエイト支持部の要部断面図、(B)は第一の実施の形態におけるカウンタウエイトが取付けられたカウンタウエイト支持部の断面図である。
図6】(A)、(B)、(C)、(D)は第一の実施の形態におけるサポート部材の取付けを示す図である。
図7】(A)は第二の実施の形態におけるサポート部材の取付けを示す図、(B)は第三の実施の形態におけるベース部材の取付けを示す断面図である。
図8】第四の実施の形態におけるカウンタウエイト支持部の斜視図である。
図9】第五の実施の形態における旋回フレームの斜視図である。
図10】第五の実施の形態における前方から視たカウンタウエイト支持部の斜視図である。
図11】第五の実施の形態における後方から視たカウンタウエイト支持部の斜視図である。
図12】(A)は第五の実施の形態におけるカウンタウエイト支持部の要部断面図、(B)は第五の実施の形態におけるカウンタウエイトが取付けられたカウンタウエイト支持部の断面図である。
図13】(A)、(B)は第五の実施の形態におけるボルト締結ボスの取付けを示す図である。
図14】第六の実施の形態におけるボルト締結ボスの取付けを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
まず、第一の実施の形態を図1図6に基づいて説明すると、該図面において、1は建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2に旋回ベアリング3を介して旋回自在に支持される上部旋回体4、該上部旋回体4に装着されるフロント作業部5等の各部から構成されている。そして、上部旋回体4には、運転室6やエンジンルーム7が配設されるとともに、その後端部には、フロント作業部5とバランスをとるためのカウンタウエイト8が配設されている。
【0009】
9は前記上部旋回体4の架台となる旋回フレーム(本発明の車体フレームに相当する)であって、該旋回フレーム9は、旋回ベアリング3が取付けられる底面板10、該底面板10から立設され、フロント作業部5の基端部が軸支される作業部取付座11aを備えた前後方向に延びる左右一対のメインフレーム11L、11R、該メインフレーム11L、11Rの左右外方に設けられ、運転室6やエンジン等の各種機器(図示せず)が搭載される左右のサイドフレーム12L、12R、該左右のサイドフレーム12L、12Rの左右外方側端部に設けられ、前後方向に延びる左右のスカートチャンネル13L、13R等の各種フレーム材から構成されており、これらフレーム材を溶接により一体的に組立てて形成されるとともに、該旋回フレーム9の後部には、前記カウンタウエイト8を締結ボルト15を介して支持するためのカウンタウエイト支持部16が設けられている。
【0010】
前記カウンタウエイト支持部16は、旋回フレーム9の後部に立設固定される後述の支持プレート17と、該支持プレート17に取付けられ、カウンタウエイト8の前面8aに当接するとともに前記締結ボルト15が締結される後述のサポート部材18とを用いて構成されている。
【0011】
前記支持プレート17は、旋回フレーム9を構成するフレーム材の一つであって、カウンタウエイト支持部16に支持されたカウンタウエイト8の前面8aと対向するよう面方向が縦方向を向く状態で、左右のメインフレーム11L、11Rおよび底面板10の後端部に溶接により一体的に固定されている。この支持プレート17には、左側上部、右側上部、左側下部、右側下部の計四箇所に矩形状の貫通孔17aが開設されており、これら貫通孔17aにそれぞれサポート部材18が取付けられるようになっている。尚、図中、19は支持プレート17と左右のメインフレーム11L、11Rの上面11bとのコーナー部に溶着される補強プレートである。また、17bは、支持プレート17の後面(カウンタウエイト8の前面8aと対向する側の面)に形成され、カウンタウエイト8の前面8a下部に形成された凹部(図示せず)に係合する凸部である。
【0012】
一方、前記サポート部材18は、旋回フレーム9の組立て後に、該旋回フレーム9に固定された状態の支持プレート17に取付けられるものであって、支持プレート17に開設の貫通孔17aに前後位置調整自在および左右位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面20aを有する後述のベース部材20と、該ベース部材20に開設された円形のボス用孔20bに回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、偏心位置に締結孔(ネジ孔)21aを有する後述のボルト締結ボス21とを用いて構成されている。
【0013】
前記ベース部材20は、前記支持プレート17に開設された矩形状の貫通孔17aに嵌合される矩形ブロック状のものであって、該ベース部材20の前後方向の厚みは支持プレート17の前後方向の厚みよりも大きく設定されており、溶接脚長を除いた厚みの差分だけベース部材20を前後方向に移動させることができるようになっている。さらに、支持プレート17の貫通孔17aの左右幅はベース部材20の左右幅よりも大きく設定されており、該左右幅の差分だけベース部材20を左右方向に移動させることができるようになっている。そして、ベース部材20は、その後面(カウンタウエイト8の前面8aと対向する側の面)が支持プレート17の後面よりも突出する状態で貫通孔17aに嵌合されるが、該ベース部材20の後面は、カウンタウエイト8の前面8aが面接触状態で接触するカウンタウエイト取付け座面20aになっている。さらにベース部材20には、前記ボルト締結ボス21が嵌合される円形のボス用孔20bが穿設されているが、本実施の形態では、支持プレート17の左側上部および右側上部の貫通孔17aに取付けられるサポート部材18のベース部材20には、左右一対のボス用孔20bが穿設されており、また、左側下部および右側下部の貫通孔17aに取付けられるサポート部材18のベース部材20には、該ベース部材20の中心部に一つのボス用孔20bが穿設されている。
【0014】
また、前記ボルト締結ボス21は、前記ベース部材20のボス用孔20bに軸心回り方向に回転自在に嵌合される円柱形ブロック状のものであって、該ボルト締結ボス21には、前記締結ボルト15が締結される締結孔21aが軸心位置Oから偏心した位置に穿設されている。そして、該ボルト締結ボス21は、その後面がベース部材20の後面(カウンタウエイト取付け座面20a)よりも内方に没入し、前面がベース部材20の前面よりも突出する状態でボス用孔20bに嵌合されるが、該ボス用孔20bに嵌合されたボルト締結ボス21を軸心回り方向に回転させることによって、該ボルト締結ボス21に形成された締結孔21aの上下位置および左右位置を変位させることができるようになっている。
【0015】
そして、前記ベース部材20およびボルト締結ボス21を支持プレート17に取付ける場合には、まず、ベース部材20を支持プレート17の貫通孔17aに嵌合させ、この状態でベース部材20を前後移動させてカウンタウエイト取付け座面20aの前後位置が予め設定された正規位置となるように調整する。さらに、ベース部材20のボス用孔20bにボルト締結ボス21を嵌合させた状態で、該ボルト締結ボス21を回転させて締結孔21aの上下位置が予め設定された正規位置となるように調整するとともに、ベース部材20を左右移動させて締結孔21aの左右位置が予め設定された正規位置となるように調整する。そして、前記前後位置調整および左右位置調整がなされたベース部材20を溶接により支持プレート17の貫通孔17aに固定するとともに、回転位置調整がなされたボルト締結ボス21を溶接によりベース部材20のボス用孔20bに固定する。
【0016】
而して、カウンタウエイト支持部16は、旋回フレーム9の組立て後に、該旋回フレーム9を構成する支持プレート17に、ベース部材20およびボルト締結ボス21を固定することによって形成されるが、この場合に、ベース部材20の前後位置調整によってカウンタウエイト取付け座面20aの前後位置を正規位置に位置させることができ、さらにボルト締結ボス21の回転位置調整およびベース部材20の左右位置調整によって締結孔21aの上下左右位置を正規位置に位置させることができる構成になっている。
【0017】
一方、カウンタウエイト8には、前記締結ボルト15が挿通されるボルト挿通孔8bが、カウンタウエイト8を前後に貫通する状態で形成されている。そしてカウンタウエイト8をカウントウエイト支持部16に支持せしめる場合には、カウンタウエイト8の前面8aをベース部材20のカウンタウエイト取付け座面20aに面接触状態で当接させた状態で、カウンタウエイト8の後方側からボルト挿通孔8bに挿通した締結ボルト15を、ボルト締結ボス21の締結孔21aに螺入して締結する。これによりカウンタウエイト8はカウンタウエイト支持部16に支持されるが、この場合に、前述したようにカウンタウエイト取付け座面20aおよび締結孔21aが正規位置に位置するように位置調整されており、これによりカウンタウエイト8を正規位置に取付けることができるようになっている。
【0018】
叙述の如く構成された第一の実施の形態において、カウンタウエイト8は、旋回フレーム9の後部に設けられるカウンタウエイト支持部16に締結ボルト15を介して支持されるが、該カウンタウエイト支持部16は、旋回フレーム9の後部に立設固定される支持プレート17と、旋回フレーム9に固定された状態の支持プレート17に取付けられ、カウンタウエイト8に当接するカウンタウエイト取付け座面20aおよび締結ボルト15が締結される締結孔21aを有したサポート部材18とを用いて構成されるとともに、該サポート部材18は、前記支持プレート17に開設された貫通孔17aに前後位置調整自在および左右位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面20aを有したベース部材20と、該ベース部材20に開設された円形のボス用孔20bに回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、締結孔21aが軸心位置Oから偏心した位置に形成された円柱形状のボルト締結ボス21とを用いて構成されている。
【0019】
この様に、本実施の形態にあっては、旋回フレーム9に固定された状態の支持プレート17にサポート部材18を取付けることになるため、該サポート部材18を、旋回フレーム9の組立て時における溶接歪等による支持プレート17の位置ずれを考慮して取付けできることになるが、この場合にサポート部材18は、支持プレート17に対して前後位置調整自在および左右位置調整自在で、カウンタウエイト取付け座面20aを有するベース部材20と、該ベース部材20に対して回転位置調整自在で、偏心位置に締結孔21aが形成された円柱形状のボルト締結ボス21とから構成されており、而して、ベース部材20の前後位置調整によってカウンタウエイト取付け座面20aの前後位置調整を行うことができ、さらにボルト締結ボス21の回転位置調整およびベース部材20の左右位置調整によって締結孔21aの上下左右位置調整を行うことができることになって、カウンタウエイト取付け座面20aおよび締結孔21aの位置精度を大幅に向上させることができる。これにより、カウンタウエイト8の取付け作業を精度よく行うことができて、カウンタウエイト取付け座面20aや締結孔21aの位置ずれによってカウンタウエイト8とエンジンルーム7を覆うカバー体やスカートチャンネル13L、13Rとの間に隙間や段差が生じて外観が損なわれたりする不具合を、確実に防止することができる。
【0020】
尚、本発明は前記第一の実施の形態に限定されないことは勿論であって、第一の実施の形態では、支持プレート17の貫通孔17aは、左右幅がベース部材20の左右幅よりも大きく設定されていて、該左右幅の差分だけベース部材20を左右方向に移動させることができるようになっており、該ベース部材20の左右移動で締結孔21aの左右位置調整を行う一方、ボルト締結ボス21の回転で締結孔21aの上下位置調整を行うように構成されているが、図7(A)に示す第二の実施の形態の如く、支持プレート17の貫通孔17aの上下幅をベース部材20の上下幅よりも大きく設定して、該上下幅の差分だけベース部材20を上下方向に移動させることができるように構成することもできる。この場合には、ベース部材20の上下移動で締結孔21aの上下位置調整を行う一方、ボルト締結ボス21の回転で締結孔21aの左右位置調整を行うことになる。尚、この第二の実施の形態のものは、支持プレート17の貫通孔17aの寸法設定以外は第一の実施の形態と同様のものであって、第一の実施の形態と同一の符号を付してある。
【0021】
また、図7(B)に示す第三の実施の形態のものでは、支持プレート17に開設された貫通孔17aと該貫通孔17aに嵌合されたベース部材20とのあいだに、ベース部材20を貫通孔17aに固定する前の段階で、支持プレート17に対するベース部材20の傾きを調整するための間隙Sが形成されている。そして、ベース部材20は、カウンタウエイト取付け座面20aが正規位置のカウンタウエイト8の前面8aと平行になるように傾きの調整が行われた状態で、溶接により支持プレート17に固定されるようになっているとともに、該溶接により前記間隙Sが埋められるようになっている。そして、このように、ベース部材20を支持プレート17に対して傾き調整自在に固定する構成にすることにより、溶接歪等により支持プレート17が前後上下左右方向に傾いた状態で旋回フレーム9に固定されてしまった場合であっても、カウンタウエイト取付け座面20aが正規位置のカウンタウエイト8の前面8aと平行になるように傾きを調整することができて、機械加工を施さずとも、機体(車体フレーム)の水平基準に対する垂直度を確保できるとともに、取付け座面同士の平面度を確保できる。尚、図7(B)には、支持プレート17が上下方向に傾いた場合を例として示すとともに、判りやすくするため傾きおよび隙間Sを大きく図示してある。また、この大三の実施の形態のものは、前記間隙S以外は第一の実施の形態と同様のものであつて、第一の実施の形態と同一の符号を付してある。
【0022】
さらに、前記第一〜第三の実施の形態のものでは、支持プレートにベース部材を取付けるにあたり、支持プレートに開設された貫通孔にベース部材が嵌合固定される構成になっているが、このように支持プレートに貫通孔が開設されたものに限定されることなく、例えば、図8に示す第四の実施の形態のものでは、支持プレート25の上部の左右両側に凹部25aが切欠き形成されており、該凹部25aにベース部材26が前後位置調整自在および左右位置調整自在に固定されるようになっている。尚、支持プレート25の左側下部、右側下部には、第一の実施の形態と同様の貫通孔25bが形成されているとともに、該貫通孔25bには第一の実施の形態と同様にしてベース部材26が取付けられている。また、図8において、第一の実施の形態と同一のものは同一の符号を付してある。さらに、図8中、27はベース部材26に開設のボス用孔26aに回転位置調整自在に嵌合固定されるボルト締結ボス、27aはボルト締結ボス27に形成される締結孔である。さらにまた、第四の実施の形態のものにおいても、前記第三の実施の形態の如く、支持プレート25に対するベース部材26の傾きを調整することで、機体の水平基準に対する垂直度を確保することができる。
【0023】
次いで、本発明の第五の実施の形態について図9図13に基づいて説明すると、該第五の実施の形態のものも、前記第一の実施の形態と同様に、油圧ショベル1の上部旋回体4の架台となる旋回フレーム9の後部に、カウンタウエイト8を締結ボルト15を介して支持するためのカウンタウエイト支持部22が設けられている。尚、第五の実施の形態のものにおいて、第一の実施の形態と共通するものは、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0024】
前記カウンタウエイト支持部22は、旋回フレーム9の後部に立設固定される支持プレート23と、該支持プレート23に取付けられ、カウンタウエイト8の前面8aに当接するとともに前記締結ボルト15が締結される後述のサポート部材24とを用いて構成されている。
【0025】
前記支持プレート23は、第一の実施の形態の支持プレート17と同様に、旋回フレーム9を構成するフレーム材の一つであって、カウンタウエイト支持部22に支持されたカウンタウエイト8の前面8aと対向するよう面方向が縦方向を向く状態で、左右のメインフレーム11L、11Rおよび底面板10の後端部に溶接により一体的に固定されているが、第五の実施の形態の支持プレート23には、左側上部、右側上部、左側下部、右側下部に複数(本実施の形態では六個)の円形のボス用孔23aが開設されており、これらボス用孔23aにそれぞれサポート部材24が取付けられるようになっている。
【0026】
一方、前記サポート部材24は、旋回フレーム9の組立て後に、該旋回フレーム9に固定された状態の支持プレート23に取付けられるものであって、カウンタウエイト取付け座面24aと締結孔(ネジ孔)24bとを有する後述のボルト締結ボス24を用いて構成されている。尚、第五の実施の形態では、サポート部材24はボルト締結ボス24のみで構成されている、つまりボルト締結ボス24自体がサポート部材24となるため、同一の符号を付してある。
【0027】
前記ボルト締結ボス24は、前記支持プレート23に開設された円形のボス用孔23aに前後方向移動自在および回転位置調整自在に嵌合される円柱形ブロック状のものであって、該ボルト締結ボス24の前後方向の厚みは支持プレート23の前後方向の厚みよりも大きく設定されており、溶接脚長を除いた厚みの差分だけボルト締結ボス24を前後方向に移動させることができるようになっている。そして、ボルト締結ボス24は、その後面(カウンタウエイト8の前面8aと対向する側の面)が支持プレート23の後面よりも突出する状態でボス用孔23aに嵌合されるが、該ボルト締結ボス24の後面は、カウンタウエイト8の前面8aが面接触状態で接触するカウンタウエイト取付け座面24aになっている。さらにボルト締結ボス24には、複数(本実施の形態では三個)の締結孔24bが穿設されているが、これら複数の締結孔24bは、ボルト締結ボス24の軸心位置Oから偏心した位置に形成されているとともに、その偏心距離L1、L2、L3がそれぞれ異なるように設定されている。そして、ボルト締結ボス24を軸心回り方向に回転させることによって、上記複数の締結孔24bの上下左右位置をそれぞれ変位させることができるようになっている。
【0028】
そして、前記ボルト締結ボス24を支持プレート23に取付ける場合には、ボルト締結ボス24を支持プレート23のボス用孔23aに嵌合させ、この状態でボルト締結ボス24を前後移動させてカウンタウエイト取付け座面24aの前後位置が予め設定された正規位置となるように調整する。さらに、ボルト締結ボス24を軸心回り方向に回転させることで該ボルト締結ボス24に穿設された複数の締結孔24bの上下左右位置を変位させ、予め設定された正規位置(或いは正規位置に最も近い位置)に位置する何れかの締結孔24bを選択する。そして、前記前後位置調整および回転位置調整がなされたボルト締結ボス24を溶接により支持プレート23のボス用孔23aに固定する。
【0029】
而して、カウンタウエイト支持部22は、旋回フレーム9の組立て後に、該旋回フレーム9を構成する支持プレート23にボルト締結ボス24を固定することによって形成されるが、この場合に、ボルト締結ボス24の前後位置調整によってカウンタウエイト取付け座面24aの前後位置を正規位置に位置させることができ、さらにボルト締結ボス24の回転位置調整と締結孔24bの選択とによって、該選択された締結孔24bの上下左右位置を正規位置に位置させることができる構成になっている。
【0030】
一方、カウンタウエイト8には、第一の実施の形態と同様にボルト挿通孔8bが形成されている。そして、前記ボルト締結ボス24のカウンタウエイト取付け座面24aにカウンタウエイト8の前面8aを面接触状態で当接させた状態で、カウンタウエイト8の後方側からボルト挿通孔8bに挿通した締結ボルト15を、ボルト締結ボス24の前記選択された締結孔24bに螺入して締結することにより、カウンタウエイト8をカウンタウエイト支持部22に支持せしめることができるようになっているが、この場合に、前述したようにカウンタウエイト取付け座面24aおよび締結孔24bが正規位置に位置するように位置調整されており、これによりカウンタウエイト8を正規位置に取付けることができるようになっている。
【0031】
叙述の如く構成された第五の実施の形態において、カウンタウエイト支持部22は、第一の実施の形態と同様に、旋回フレーム9の後部に立設固定される支持プレート23と、旋回フレーム9に固定された状態の支持プレート23に取付けられ、カウンタウエイト8に当接するカウンタウエイト取付け座面24aおよび締結ボルト15が締結される締結孔24bを有したサポート部材24とを用いて構成されることになるが、第五の実施の形態のサポート部材24は、支持プレート23に開設された円形のボス用孔23aに前後位置調整自在および回転位置調整自在に嵌合固定され、且つ、カウンタウエイト取付け座面24aを有した円柱形状のボルト締結ボス24を用いて構成されるとともに、該ボルト締結ボス24には、軸心位置Oからの偏心距離L1、L2、L3が異なる複数の締結孔24bが形成されている。
【0032】
そして、この様に構成された第五の実施の形態にあっては、ボルト締結ボス24の前後位置調整によってカウンタウエイト取付け座面24aの前後位置調整を行うことができ、さらにボルト締結ボス24の回転位置調整および締結孔24bの選択によって締結孔24bの上下左右位置調整を行うことができて、カウンタウエイト取付け座面24aおよび締結孔24bの位置精度を大幅に向上させることができる。これによりカウンタウエイト8の取付け作業を精度よく行えることになるが、さらに第五の実施の形態のものは、サポート部材24がボルト締結ボス24のみで構成されていて、部品点数が少ないうえ、構造が簡単であるという利点がある。
【0033】
さらに、図14に示す第六の実施の形態のものでは、第五の実施の形態と同じ構造のボルト締結ボス24が用いられているとともに、支持プレート23に開設されたボス用孔23aと該ボス用孔23aに嵌合されたボルト締結ボス24とのあいだに、ボルト締結ボス24を支持プレート23に固定する前の段階で、支持プレート23に対するボルト締結ボス24の傾きを調整するための間隙Sが形成されている。そして、ボルト締結ボス24は、前述した第五の実施の形態と同様に前後位置調整および回転位置調整が行われ、さらに、カウンタウエイト取付け座面24aが正規位置のカウンタウエイト8の前面8aと平行になるように傾きの調整が行われた状態で、溶接により支持プレート23に固定されるようになっているとともに、該溶接により前記間隙Sが埋められるようになっている。そして、このように、ボルト締結ボス24を、支持プレート23に開設されたボス用孔23aに、支持プレート23に対して傾き調整自在に嵌合固定される構成にすることにより、前述した第三の実施の形態と同様に、溶接歪等により支持プレート23が前後上下左右方向に傾いた状態で旋回フレーム9に固定されてしまった場合であっても、カウンタウエイト取付け座面24aが正規位置のカウンタウエイト8の前面8aと平行になるように傾きを調整することができて、機体の水平基準に対する垂直度を確実に確保することができる。尚、図14では、支持プレート23が上下方向に傾いた場合を例として示すとともに、判りやすくするため傾きおよび隙間Sを大きく図示してある。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械において、機体バランスをとるためのカウンタウエイトを取付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
8 カウンタウエイト
9 旋回フレーム
15 締結ボルト
16 カウンタウエイト支持部
17 支持プレート
17a 貫通孔
18 サポート部材
20 ベース部材
20a カウンタウエイト取付け座面
20b ボス用孔
21 ボルト締結ボス
21a 締結孔
22 カウンタウエイト支持部
23 支持プレート
23a ボス用孔
24 ボルト締結ボス
24a カウンタウエイト取付け座面
24b 締結孔
25 支持プレート
26 ベース部材
26a ボス用孔
27 ボルト締結ボス
27a 締結孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14